(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076691
(43)【公開日】2022-05-20
(54)【発明の名称】ボイラ伝熱管肉厚推測方法、ボイラ伝熱管肉厚推測装置、ボイラ伝熱管肉厚推測プログラムおよび当該方法に基づくボイラ伝熱管管理方法
(51)【国際特許分類】
F22B 37/38 20060101AFI20220513BHJP
F22B 37/10 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
F22B37/38 E
F22B37/10 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020187204
(22)【出願日】2020-11-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】518449180
【氏名又は名称】日本エネルギーパートナーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠原 伸夫
(72)【発明者】
【氏名】阪井 雅也
(57)【要約】
【課題】廃棄物燃料燃焼ボイラを備えた発電設備におけるボイラ伝熱管の腐食量を管理するために、ボイラ伝熱管の肉厚を適切に推測することができるボイラ伝熱管肉厚推測方法を提供する。
【解決手段】ボイラ伝熱管肉厚推測方法は、廃棄物燃料燃焼ボイラを備えた発電設備において、(1)ボイラ伝熱管の肉厚を測定し、(2)測定された肉厚に基づいて、測定間隔における減肉量を算出し、(3)ボイラの燃焼ガス中の塩化水素濃度を連続して測定し、(4)測定された塩化水素濃度とボイラ稼働時間とから塩化水素濃度の積算値を算出し、(5)ボイラ伝熱管の減肉量と、塩化水素濃度の積算値との相関係数Rを導出し、(6)導出された相関係数Rと塩化水素濃度の積算値とに基づいて、ボイラ伝熱管の肉厚を推測する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物燃料燃焼ボイラを備えた発電設備におけるボイラ伝熱管肉厚推測方法であって、
ボイラ伝熱管の肉厚を測定し、
測定された前記肉厚に基づいて、測定間隔における減肉量を算出し、
前記ボイラの燃焼ガス中の塩化水素濃度を連続して測定し、
測定された前記塩化水素濃度と前記ボイラの稼働時間とから塩化水素濃度の積算値を算出し、
算出された前記減肉量と、算出された前記積算値との相関係数を導出し、
前記ボイラ伝熱管の肉厚を、前記相関係数と前記積算値とに基づいて推測する
ことを特徴とするボイラ伝熱管肉厚推測方法。
【請求項2】
さらに、
任意の期間における塩化水素濃度に基づいて、将来の塩化水素濃度を予測し、
前記ボイラ伝熱管の寿命を、前記ボイラ伝熱管の肉厚の実測値または推測された前記ボイラ伝熱管の前記肉厚と、予測された前記将来の塩化水素濃度と、前記ボイラ伝熱管の必要最小肉厚とに基づいて予測する
ことを特徴とする請求項1に記載のボイラ伝熱管肉厚推測方法。
【請求項3】
任意の時点の前記ボイラ伝熱管の肉厚から前記ボイラ伝熱管の前記必要最小肉厚を減算して許容減肉量を算出し、
算出された前記許容減肉量を前記相関係数で除算して、許容塩化水素濃度積算値を算出し、
算出された前記許容塩化水素濃度積算値を予測された前記塩化水素濃度で除算して前記ボイラ伝熱管の寿命を予測する
ことを特徴とする請求項2に記載のボイラ伝熱管肉厚推測方法。
【請求項4】
前記将来の塩化水素濃度を、前記任意の期間における塩化水素濃度の平均値に基づいて予測する
ことを特徴とする請求項2または3に記載のボイラ伝熱管肉厚推測方法。
【請求項5】
前記ボイラ伝熱管は、複数列の配管によって構成された過熱器を含み、
前記配管ごとの肉厚を推測するとともに、前記配管ごとの寿命を予測する
ことを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載のボイラ伝熱管肉厚推測方法。
【請求項6】
前記燃焼ガス中の塩化水素濃度は、集塵器の上流に設けられた塩化水素濃度計によって測定する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のボイラ伝熱管肉厚推測方法。
【請求項7】
前記廃棄物燃料燃焼ボイラは、RPF燃焼ボイラである
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のボイラ伝熱管肉厚推測方法。
【請求項8】
請求項5のボイラ伝熱管肉厚推測方法によって予測された前記配管ごとの寿命に基づいて、前記配管同士の配置を入れ替えるか、または1以上の前記配管を交換するとともに1以上の前記配管の配置を変更する
ことを特徴とするボイラ伝熱管管理方法。
【請求項9】
廃棄物燃料燃焼ボイラを備えた発電設備に関するボイラ伝熱管肉厚推測装置であって、
測定されたボイラ伝熱管の肉厚に基づいて、測定間隔における前記ボイラ伝熱管の減肉量を算出する減肉量算出部と、
連続的に測定された前記ボイラの燃焼ガス中の塩化水素濃度から塩化水素濃度の積算値を算出する積算値算出部と、
算出された前記減肉量と、算出された前記積算値との相関係数を導出する相関導出部と、
前記ボイラ伝熱管の肉厚を、前記相関係数と前記積算値とに基づいて推測する肉厚推測部と、を備える
ことを特徴とするボイラ伝熱管肉厚推測装置。
【請求項10】
任意の期間における前記ボイラの燃焼ガス中の塩化水素濃度に基づいて、前記ボイラの燃焼ガス中の将来の塩化水素濃度を予測する塩化水素濃度予測部と、
前記ボイラ伝熱管の肉厚の実測値または推測された前記ボイラ伝熱管の前記肉厚と、予測された前記将来の塩化水素濃度と、前記ボイラ伝熱管の必要最小肉厚とに基づいて、前記ボイラ伝熱管の寿命を予測する寿命予測部と、をさらに備える
ことを特徴とする請求項9に記載のボイラ伝熱管肉厚推測装置。
【請求項11】
前記任意の時点の前記ボイラ伝熱管の肉厚から前記ボイラ伝熱管の前記必要最小肉厚を減算して前記任意の時点の許容減肉量を算出する許容減肉量算出部と、
算出された前記許容減肉量を前記相関係数で除算して、前記任意の時点の許容塩化水素濃度積算値を算出する許容積算値算出部と、をさらに備え、
前記寿命予測部は、前記許容塩化水素濃度積算値を予測された前記将来の塩化水素濃度で除算して、前記ボイラ伝熱管の寿命を予測する
ことを特徴とする請求項10に記載のボイラ伝熱管肉厚推測装置。
【請求項12】
コンピュータを請求項9~11のいずれか1項に記載のボイラ伝熱管肉厚推測装置として機能させる
ことを特徴とするボイラ伝熱管肉厚推測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物燃料燃焼ボイラを備えた発電設備におけるボイラ伝熱管肉厚推測方法、ボイラ伝熱管肉厚推測装置、ボイラ伝熱管肉厚推測プログラムおよび当該方法に基づくボイラ伝熱管管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RDF(Refuse Derived Fuel)やRPF(Refuse Paper & Plastic Fuel)といった廃棄物固形燃料を利用する発電設備が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の発電設備は、例えば、従来の発電機を既存の焼却炉やボイラの廃熱経路に設置し廃熱を利用して発電することにより、焼却炉やボイラで使用する燃料と購入電力の低減を図ることができる。
【0003】
ところで、廃棄物固形燃料は、塩素やアルカリ金属等の腐食成分を含んでおり、これら腐食成分が火炉壁管、過熱器管等といったボイラ伝熱管を腐食させるという問題がある。配管は、所定の厚さ以上の肉厚がないと運用できないため、配管の管理が重要となっている。塩化物による腐食速度は、管壁温度(メタル温度)が320度を超えると速まる傾向があるため、腐食速度を抑制するために、管壁温度を320度未満に抑える必要がある。しかしながら、例えば、ボイラ伝熱管のうち過熱器は、発電効率の観点から320度以上で運用し蒸気を過熱する必要があるので、腐食が特に進行することになる。その結果、腐食がすすんだボイラ伝熱管を交換する必要があるが、ボイラ伝熱管の交換にはコストを要する。したがって、廃棄物燃料燃焼ボイラを備えた発電設備を運用するにあたり、経済合理性の観点からも、適切にボイラ伝熱管の腐食を管理する必要がある。
【0004】
しかしながら、廃棄物固形燃料の塩素含有量がボイラ伝熱管の腐食速度に影響するところ、廃棄物固形燃料の塩素含有量は一定でないので、ボイラ伝熱管の腐食量を管理することは、困難であった。そのため、ボイラ伝熱管の肉厚を短い間隔で定期的に測定することが推奨されるが、ボイラ伝熱管の肉厚を測定するためには、ボイラを停止しなければならず、コストがかかる。また、ボイラ伝熱管の肉厚の実測値から最小二乗法などの近似式によってボイラ伝熱管の減肉速度を推定し、肉厚を推測する方法があるが、正確性にかけるので、あまり適切でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、廃棄物燃料燃焼ボイラを備えた発電設備におけるボイラ伝熱管の腐食量を管理するために、ボイラ伝熱管の肉厚を適切に推測することができるボイラ伝熱管肉厚推測方法、ボイラ伝熱管肉厚推測装置、ボイラ伝熱管推測プログラムおよび当該方法に基づくボイラ伝熱管管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るボイラ伝熱管肉厚推測方法は、
廃棄物燃料燃焼ボイラを備えた発電設備におけるボイラ伝熱管肉厚推測方法であって、
ボイラ伝熱管の肉厚を測定し、
測定された肉厚に基づいて、測定間隔における減肉量を算出し、
ボイラの燃焼ガス中の塩化水素濃度を連続して測定し、
測定された塩化水素濃度とボイラの稼働時間とから塩化水素濃度の積算値を算出し、
算出された減肉量と、算出された積算値との相関係数を導出し、
ボイラ伝熱管の肉厚を、相関係数と積算値とに基づいて推測する、ことを特徴とする。
【0008】
上記ボイラ伝熱管肉厚推測方法は、好ましくは、さらに、
任意の期間における塩化水素濃度に基づいて、将来の塩化水素濃度を予測し、
ボイラ伝熱管の寿命を、ボイラ伝熱管の肉厚の実測値または推測されたボイラ伝熱管の肉厚と、予測された将来の塩化水素濃度と、ボイラ伝熱管の必要最小肉厚とに基づいて予測する。
【0009】
上記ボイラ伝熱管肉厚推測方法は、例えば、
任意の時点のボイラ伝熱管の肉厚からボイラ伝熱管の必要最小肉厚を減算して許容減肉量を算出し、
算出された許容減肉量を相関係数で除算して、許容塩化水素濃度積算値を算出し、
算出された許容塩化水素濃度積算値を予測された塩化水素濃度で除算してボイラ伝熱管の寿命を予測する。
【0010】
上記ボイラ伝熱管肉厚推測方法は、例えば、
将来の塩化水素濃度を、任意の期間における塩化水素濃度の平均値に基づいて予測する。
【0011】
上記ボイラ伝熱管肉厚推測方法は、
ボイラ伝熱管が、複数列の配管によって構成された過熱器を含み、
好ましくは、配管ごとの肉厚を推測するとともに、配管ごとの寿命を予測する。
【0012】
上記ボイラ伝熱管肉厚推測方法は、例えば、
燃焼ガス中の塩化水素濃度は、集塵器の上流に設けられた塩化水素濃度計によって測定する。
【0013】
上記ボイラ伝熱管肉厚推測方法は、例えば、
廃棄物燃料燃焼ボイラが、RPF燃焼ボイラである。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明に係るボイラ伝熱管管理方法は、
上記ボイラ伝熱管肉厚推測方法によって予測された配管ごとの寿命に基づいて、配管同士の配置を入れ替えるか、または1以上の配管を交換するとともに1以上の配管の配置を変更する。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明に係るボイラ伝熱管肉厚推測装置は、
廃棄物燃料燃焼ボイラを備えた発電設備に関するボイラ伝熱管肉厚推測装置であって、
測定されたボイラ伝熱管の肉厚に基づいて、測定間隔におけるボイラ伝熱管の減肉量を算出する減肉量算出部と、
連続的に測定されたボイラの燃焼ガス中の塩化水素濃度から塩化水素濃度の積算値を算出する積算値算出部と、
算出された減肉量と、算出された積算値との相関係数を導出する相関導出部と、
ボイラ伝熱管の肉厚を、相関係数と積算値とに基づいて推測する肉厚推測部と、を備える、ことを特徴とする。
【0016】
上記ボイラ伝熱管肉厚推測装置は、好ましくは、
任意の期間におけるボイラの燃焼ガス中の塩化水素濃度に基づいて、ボイラの燃焼ガス中の将来の塩化水素濃度を予測する塩化水素濃度予測部と、
ボイラ伝熱管の肉厚の実測値または推測されたボイラ伝熱管の肉厚と、予測された将来の塩化水素濃度と、ボイラ伝熱管の必要最小肉厚とに基づいて、ボイラ伝熱管の寿命を予測する寿命予測部と、をさらに備える。
【0017】
上記ボイラ伝熱管肉厚推測装置は、好ましくは、
任意の時点のボイラ伝熱管の肉厚からボイラ伝熱管の必要最小肉厚を減算して任意の時点の許容減肉量を算出する許容減肉量算出部と、
算出された許容減肉量を相関係数で除算して、任意の時点の許容塩化水素濃度積算値を算出する許容積算値算出部と、をさらに備え、
寿命予測部は、許容塩化水素濃度積算値を予測された将来の塩化水素濃度で除算して、ボイラ伝熱管の寿命を予測する。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明に係るボイラ伝熱管肉厚推測プログラムは、
コンピュータを上記ボイラ伝熱管肉厚推測装置として機能させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るボイラ伝熱管肉厚推測方法、ボイラ伝熱管肉厚推測装置およびボイラ伝熱管肉厚推測プログラムは、廃棄物燃料燃焼ボイラを備えた発電設備におけるボイラ伝熱管の肉厚を適切に推測することができる。また、当該方法に基づくボイラ伝熱管管理方法は、ボイラ伝熱管を適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係る廃棄物燃料燃焼ボイラを概略的に示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るボイラ伝熱管肉厚推測装置のハード構成を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るボイラ伝熱管肉厚推測装置のブロック図である。
【
図4】
図3に示されたボイラ伝熱管肉厚推測装置の各構成要素のボイラ伝熱管肉厚推測に係る動作を示すフロー図である。
【
図5】
図1に示されたボイラの稼働時間と、塩化水素濃度と、塩化水素濃度の積算値と、伝熱管肉厚とを示すグラフである。
【
図6】
図3に示されたボイラ伝熱管肉厚推測装置の各構成要素のボイラ伝熱管寿命予測に係る動作を示すフロー図である。
【
図7】
図2に示されたボイラ伝熱管肉厚推測装置のボイラ伝熱管寿命予測を説明するグラフである。
【
図8】
図2に示されたボイラ伝熱管肉厚推測装置のボイラ伝熱管寿命予測を説明する別のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るボイラ伝熱管肉厚推測装置、ボイラ伝熱管肉厚推測プログラム、ボイラ伝熱管肉厚推測方法および当該方法に基づくボイラ伝熱管管理方法について説明する。
【0022】
<ボイラ>
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る廃棄物燃料燃焼ボイラ(以下、単に「ボイラ」という)Bについて説明する。ボイラBは、発電設備に設けられたRPF燃焼ボイラである。ボイラBは、火炉1と、火炉壁管2と、節炭器4と、蒸発水管6と、過熱器8と、塩化水素濃度計10と、を備えている。本実施形態では、ボイラBは、RPF燃焼ボイラであるが、単なる一例であって、本発明に係る「廃棄物燃料燃焼ボイラ」は、これに限定されない。
【0023】
火炉1は、流動層1aと燃料投入口1bとを有し、燃料投入口1bから投入されたRPFを流動層1aにおいて燃焼し、燃焼ガスを発生させる。火炉1の燃焼ガス温度は、例えば、800度~900度となるよう設定されている。
【0024】
火炉壁管2は、火炉1内の放射熱を吸収し、かつ、炉壁温度を低下させるよう炉壁に並べられ、水冷壁として機能するよう構成されている。火炉壁管2内部の流体温度は、例えば、280度~290度で設定され、これにより、火炉壁管2の表面温度は、320度未満で運用される。
【0025】
節炭器4、蒸発水管6および過熱器8は、それぞれ複数の配管を有する。
図1に示すように、本実施形態では、各配管は、燃焼ガスの流路に直交するように配置されている。節炭器4は、配管外部の燃焼ガスで配管内部の水を予熱し、蒸発水管6は、配管外部の燃焼ガスで配管内部の水を蒸気に変える。過熱器8は、蒸気を過熱して過熱蒸気にする。火炉壁管2、節炭器4、蒸発水管6および過熱器8は、本発明の「ボイラ伝熱管」に相当する。以下、火炉壁管2、節炭器4、蒸発水管6および過熱器8を「ボイラ伝熱管」と言うことがある。
【0026】
塩化水素濃度計10は、過熱器8の下流側に設けられている。火炉1で発生させられた燃焼ガスは、節炭器4、蒸発水管6および過熱器8が配置された煙道を通り、煙道内に吹込まれた消石灰と反応させられ塩化カルシウムとしてバグフィルター(図示略)で集塵される。したがって、塩化水素濃度計10は、燃焼ガス中の塩化水素濃度を適切に測定するために、煙道内において集塵機の上流かつ消石灰が吹き込まれる位置より上流に配置されている。塩化水素濃度計10は、燃焼ガス中の塩化水素濃度をボイラBの稼働中、連続して測定する。塩化水素濃度計10は、例えば、レーザー方式の塩化水素濃度計でもよい。レーザー方式の塩化水素濃度計として、例えば、測定ガス温度が1,200度でも測定可能な装置が知られている。
【0027】
<ボイラ伝熱管肉厚推測装置>
次に、
図2~
図8を参照して、ボイラ伝熱管肉厚推測装置Dについて説明する。
【0028】
図2は、本実施形態に係るボイラ伝熱管肉厚推測装置Dのハード構成を示す図である。コンピュータCは、ボイラ伝熱管肉厚推測プログラムPによって、ボイラ伝熱管に関する各種情報が入力されるとボイラ伝熱管の肉厚を算出するボイラ伝熱管肉厚推測装置Dとして機能するよう構成されている。
【0029】
図2に示すように、コンピュータCは、入力部C1と、制御部C2と、メモリC3と、記憶部C4と、出力部C5と、を有する。記憶部C4は、ハードディスクなどからなり、OSとボイラ伝熱管肉厚推測プログラムPとを記憶している。入力部C1は、キーボード、受信装置などからなり、ボイラ伝熱管に関する各種情報は、入力部C1を介してコンピュータCに入力される。制御部C2は、ボイラ伝熱管肉厚推測プログラムPを動作させる。出力部C5は、モニタ、送信装置などからなり、ボイラ伝熱管の肉厚の推測結果、ボイラ伝熱管の寿命予測結果を出力する。
【0030】
図3は、本実施形態に係るボイラ伝熱管肉厚推測装置Dのブロック図である。ボイラ伝熱管肉厚推測装置Dは、記憶部12と、減肉量算出部14と、積算値算出部16と、相関導出部18と、肉厚推測部20と、を備えている。
【0031】
記憶部12は、定期的に測定されるボイラ伝熱管の肉厚(以下、単に「肉厚」という)をボイラBの稼働時間とともに記憶する(
図4のS42参照)。火炉壁管2、節炭器4、蒸発水管6および過熱器8は、配管ごとに複数箇所測定されてもよい。肉厚が測定される間隔は、減肉速度に基づいて決定されてもよい。
【0032】
図5のグラフは、ボイラB稼働中における過熱器8の複数の配管のうちの1つの配管8aの肉厚の推移を一例として示している。減肉速度は、ボイラ伝熱管の表面温度の影響を受けるので、過熱器8は、
図5に示すように、例えば、稼働開始から3ヶ月ごとに肉厚を測定されてもよく、過熱器8よりも低温で運用される火炉壁管2は、1年ごとに肉厚を測定されてもよい。肉厚測定は、例えば、超音波厚さ計を用いてもよい。記憶部12は、さらに、塩化水素濃度計10によって測定された塩化水素濃度をボイラBの稼働時間とともに記憶する(
図4のS41参照)。
【0033】
減肉量算出部14は、測定された肉厚に基づいて、測定間隔ごとの減肉量を算出する(
図4のS43参照)。
【0034】
積算値算出部16は、塩化水素濃度と稼働時間とに基づいて、塩化水素濃度の積算値を算出する(
図4のS44参照)。
図5において、3ヶ月ごとに測定されプロットされた肉厚を結ぶ実線の傾きT1、T2、T3、T4は、配管8aの減肉速度を示している。また、塩化水素濃度の積算値は、
図5の網掛け部分で示されており、
図5中のH1、H2、H3、H4の網掛け部分は、配管8aの3ヶ月ごとの塩化水素濃度の積算値を示している。すなわち、本発明の「塩化水素濃度の積算値」とは、
図5に示すように、塩化水素濃度の値を時間軸で積算された値のことである。積算値算出部16は、肉厚測定間隔における塩化水素濃度の積算値を算出する。また、積算値算出部16は、連続して塩化水素濃度の積算値を算出してもよい。
【0035】
相関導出部18は、減肉量算出部14によって算出されたボイラ伝熱管の減肉量と、塩化水素濃度の積算値との相関係数Rを導出する(
図4のS45参照)。相関導出部18は、例えば、3ヶ月ごとの減肉量および塩化水素濃度の積算値から、減肉量と塩化水素濃度の積算値との相関係数Rを導出する。これにより、1年あたり、3ヶ月ごとの4つの相関係数R1、R2、R3、R4が算出されることになる。相関導出部18は、算出された4つの相関係数R1、R2、R3、R4の平均値を肉厚の推測に用いる相関係数Rとしてもよい。
【0036】
肉厚推測部20は、相関係数Rと塩化水素濃度の積算値とに基づいて、ボイラ伝熱管の肉厚を推測する(
図4のS46参照)。肉厚推測部20は、例えば、直近の肉厚測定から現在までの塩化水素濃度の積算値と相関係数Rをかけ合わせ減肉量を推測し、直近の肉厚の実測値から推測した減肉量を減算して現在の肉厚を推測する。すなわち、ボイラ伝熱管肉厚推測装置Dは、肉厚を直接測定しなくても相関係数Rを用いることにより、肉厚推測部20によって肉厚を随時推測することができる。
【0037】
ボイラ伝熱管肉厚推測装置Dは、さらに、塩化水素濃度予測部22と、許容減肉量算出部24と、許容積算値算出部26と、寿命予測部28と、を備えている。
【0038】
塩化水素濃度予測部22は、
図7に示すように、任意の期間APにおける塩化水素濃度に基づいて、将来の塩化水素濃度FHを予測する(
図6のS61参照)。塩化水素濃度予測部22は、例えば、任意の期間APにおける塩化水素濃度の平均値に基づいて将来の塩化水素濃度FHを予測してもよい。任意の期間APは、将来の塩化水素濃度FHを予測しようとする時点の直近6ヶ月間としてもよい。塩化水素濃度予測部22は、塩化水素濃度が連続的に計測されているので平均値を求める期間は任意に設定することができ、その結果、将来の塩化水素濃度FHを随時算出し更新することができる。
【0039】
許容減肉量算出部24は、
図8に示すように、任意の時点M1のボイラ伝熱管の肉厚CTからボイラ伝熱管の必要最小肉厚LTを減算して許容減肉量PTを算出する(
図6のS62参照)。必要最小肉厚LTは、「発電用火力設備に関する技術基準を定める省令」を参照し、最高使用圧力または最高使用温度において発生する最大の応力に対し安全な肉厚としてもよい。また、必要最小肉厚は、例えば、「発電用火力設備の技術基準の解釈」に基づく値としてもよい。許容減肉量算出部24は、例えば、次の式(1)で示すように、ボイラ伝熱管の必要最小肉厚LTとボイラ伝熱管の肉厚の実測値または推測されたボイラ伝熱管の肉厚との差分から任意の時点M1の許容減肉量PTを算出してもよい。
式(1)・・・許容減肉量PT=任意時点の肉厚CT-必要最小肉厚LT
【0040】
許容積算値算出部26は、例えば、次の式(2)で示すように、算出された許容減肉量PTを相関係数Rで除算して任意の時点M1の許容塩化水素濃度積算値PHを算出する(
図6のS63参照)。
式(2)・・・許容塩化水素濃度積算値PH=許容減肉量PT/相関係数R
【0041】
寿命予測部28は、例えば、次の式(3)で示すように、許容塩化水素濃度積算値PHを予測された塩化水素濃度FHで除算してボイラ伝熱管の寿命M2を予測する(
図6のS64参照)。
式(3)・・・ボイラ伝熱管の寿命M2=許容塩化水素濃度積算値PH/塩化水素濃度FH
【0042】
ボイラ伝熱管肉厚推測装置Dは、肉厚推測部20によって肉厚を随時予測し、塩化水素濃度予測部22によって将来の塩化水素濃度FHを随時予測し、かつ、許容積算値算出部26によって、許容塩化水素濃度積算値PHを随時予測することができるので、適切にボイラ伝熱管の寿命M2を予測することができる。
【0043】
また、ボイラ伝熱管肉厚推測装置Dは、ボイラ伝熱管の配管ごとに肉厚を推測するとともに、ボイラ伝熱管の配管ごとに寿命を予測してもよい。この場合、ボイラ伝熱管肉厚推測装置Dのユーザは、予測された配管ごとの寿命に基づいて、配管同士の配置を入れ替えるか、または1以上の配管を交換するとともに1以上の配管の配置を変更することにより、適切に各配管の管理をすることができる。
【0044】
ボイラ伝熱管肉厚推測装置Dは、上述のとおり、相関係数Rと、燃焼ガス中の塩化水素濃度の実測値とに基づいて、ボイラ伝熱管の肉厚を随時推測することができるので、ユーザは、ボイラ伝熱管の肉厚を適切に管理することができる。さらに、ボイラ伝熱管肉厚推測装置Dは、ボイラ伝熱管の肉厚の実測値または推測されたボイラ伝熱管の肉厚と、予測された将来の塩化水素濃度FHと、ボイラ伝熱管の必要最小肉厚LTとに基づいて予測することができるので、ユーザは、頻繁にボイラ伝熱管の肉厚を測定しなくても、ボイラ伝熱管の更新時期を適切に判断することができる。加えて、本実施形態に係るボイラ伝熱管推測方法は、燃焼ガス中の塩化水素濃度を随時観測できることから、廃棄物燃料の塩素含有量を減少させてボイラ伝熱管の更新時期を遅らせることを容易にする効果を有する。
【0045】
以上、本発明に係るボイラ伝熱管肉厚推測装置D、ボイラ伝熱管肉厚推測プログラムP、ボイラ伝熱管肉厚推測方法および当該方法に基づくボイラ伝熱管管理方法の一実施形態について説明してきたが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明は、以下の変形例によって実施されてもよい。
【0046】
・ボイラ伝熱管肉厚推測装置Dは、さらに、将来の減肉速度を予測する減肉速度予測部をさらに備えてもよい。この場合、寿命予測部28は、許容減肉量算出部24によって算出された許容減肉量PTを将来の減肉速度で除算することによりボイラ伝熱管の寿命を予測してもよい。減肉速度予測部は、例えば、任意の期間における減肉速度から将来の減肉速度を予測してもよい。この場合の任意の期間は、塩化水素濃度予測部22によって参照された期間APに関連する期間が好ましい。
【0047】
・塩化水素濃度予測部22は、投入予定の廃棄物燃料の原料の出処と同じ出処の原料から製造された燃料を使用していた期間の塩化水素濃度に基づいて、将来の塩化水素濃度FHを予測してもよい。これは、廃棄物燃料の塩素含有量が原料の出処に依存する傾向があることに基づく。
【符号の説明】
【0048】
B ボイラ
C コンピュータ
P ボイラ伝熱管肉厚推測プログラム
D ボイラ伝熱管肉厚推測装置
1 火炉
2 火炉壁管
4 節炭器
6 蒸発水管
8 過熱器
10 塩化水素濃度計
12 記憶部
14 減肉量算出部
16 積算値算出部
18 相関導出部
20 肉厚推測部
22 塩化水素濃度予測部
24 許容減肉量算出部
26 許容積算値算出部
28 寿命予測部
【手続補正書】
【提出日】2021-03-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物燃料燃焼ボイラを備えた発電設備におけるボイラ伝熱管肉厚推測方法であって、
ボイラ伝熱管の肉厚を測定し、
測定された前記肉厚に基づいて、測定間隔における減肉量を算出し、
前記ボイラの燃焼ガス中の塩化水素濃度を連続して測定し、
測定された前記塩化水素濃度と前記ボイラの稼働時間とから塩化水素濃度の積算値を算出し、
算出された前記減肉量と、算出された前記積算値との相関係数を導出し、
任意の時点における前記ボイラ伝熱管の肉厚を、前記相関係数と前記積算値とに基づいて推測し、
任意の期間における塩化水素濃度に基づいて、将来の塩化水素濃度を予測し、
前記ボイラ伝熱管の寿命を、推測された前記ボイラ伝熱管の前記肉厚と、予測された前記将来の塩化水素濃度と、前記ボイラ伝熱管の必要最小肉厚とに基づいて予測する
ことを特徴とするボイラ伝熱管肉厚推測方法。
【請求項2】
廃棄物燃料燃焼ボイラを備えた発電設備におけるボイラ伝熱管肉厚推測方法であって、
ボイラ伝熱管の肉厚を測定し、
測定された前記肉厚に基づいて、測定間隔における減肉量を算出し、
前記ボイラの燃焼ガス中の塩化水素濃度を連続して測定し、
測定された前記塩化水素濃度と前記ボイラの稼働時間とから塩化水素濃度の積算値を算出し、
算出された前記減肉量と、算出された前記積算値との相関係数を導出し、
前記ボイラ伝熱管の肉厚を、前記相関係数と前記積算値とに基づいて推測し、
さらに、
任意の期間における塩化水素濃度に基づいて、将来の塩化水素濃度を予測し、
前記ボイラ伝熱管の寿命を、前記ボイラ伝熱管の肉厚の実測値または推測された前記ボイラ伝熱管の前記肉厚と、予測された前記将来の塩化水素濃度と、前記ボイラ伝熱管の必要最小肉厚とに基づいて予測し、
さらに、
前記ボイラ伝熱管の寿命予測は、
任意の時点の前記ボイラ伝熱管の肉厚から前記ボイラ伝熱管の前記必要最小肉厚を減算して許容減肉量を算出し、
算出された前記許容減肉量を前記相関係数で除算して、許容塩化水素濃度積算値を算出し、
算出された前記許容塩化水素濃度積算値を予測された前記塩化水素濃度で除算して前記ボイラ伝熱管の寿命を予測する
ことを特徴とするボイラ伝熱管肉厚推測方法。
【請求項3】
前記将来の塩化水素濃度を、前記任意の期間における塩化水素濃度の平均値に基づいて予測する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のボイラ伝熱管肉厚推測方法。
【請求項4】
前記ボイラ伝熱管は、複数列の配管によって構成された過熱器を含み、
前記配管ごとの肉厚を推測するとともに、前記配管ごとの寿命を予測する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のボイラ伝熱管肉厚推測方法。
【請求項5】
前記燃焼ガス中の塩化水素濃度は、集塵器の上流に設けられた塩化水素濃度計によって測定する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のボイラ伝熱管肉厚推測方法。
【請求項6】
前記廃棄物燃料燃焼ボイラは、RPF燃焼ボイラである
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のボイラ伝熱管肉厚推測方法。
【請求項7】
請求項4のボイラ伝熱管肉厚推測方法によって予測された前記配管ごとの寿命に基づいて、前記配管同士の配置を入れ替えるか、または1以上の前記配管を交換するとともに1以上の前記配管の配置を変更する
ことを特徴とするボイラ伝熱管管理方法。
【請求項8】
廃棄物燃料燃焼ボイラを備えた発電設備に関するボイラ伝熱管肉厚推測装置であって、
測定されたボイラ伝熱管の肉厚に基づいて、測定間隔における前記ボイラ伝熱管の減肉量を算出する減肉量算出部と、
連続的に測定された前記ボイラの燃焼ガス中の塩化水素濃度から塩化水素濃度の積算値を算出する積算値算出部と、
算出された前記減肉量と、算出された前記積算値との相関係数を導出する相関導出部と、
任意の時点における前記ボイラ伝熱管の肉厚を、前記相関係数と前記積算値とに基づいて推測する肉厚推測部と、
任意の期間における前記ボイラの燃焼ガス中の塩化水素濃度に基づいて、前記ボイラの燃焼ガス中の将来の塩化水素濃度を予測する塩化水素濃度予測部と、
前記推測された前記ボイラ伝熱管の前記肉厚と、予測された前記将来の塩化水素濃度と、前記ボイラ伝熱管の必要最小肉厚とに基づいて、前記ボイラ伝熱管の寿命を予測する寿命予測部と、を備える
ことを特徴とするボイラ伝熱管肉厚推測装置。
【請求項9】
廃棄物燃料燃焼ボイラを備えた発電設備に関するボイラ伝熱管肉厚推測装置であって、
測定されたボイラ伝熱管の肉厚に基づいて、測定間隔における前記ボイラ伝熱管の減肉量を算出する減肉量算出部と、
連続的に測定された前記ボイラの燃焼ガス中の塩化水素濃度から塩化水素濃度の積算値を算出する積算値算出部と、
算出された前記減肉量と、算出された前記積算値との相関係数を導出する相関導出部と、
前記ボイラ伝熱管の肉厚を、前記相関係数と前記積算値とに基づいて推測する肉厚推測部と、
任意の期間における前記ボイラの燃焼ガス中の塩化水素濃度に基づいて、前記ボイラの燃焼ガス中の将来の塩化水素濃度を予測する塩化水素濃度予測部と、
前記ボイラ伝熱管の肉厚の実測値または推測された前記ボイラ伝熱管の前記肉厚と、予測された前記将来の塩化水素濃度と、前記ボイラ伝熱管の必要最小肉厚とに基づいて、前記ボイラ伝熱管の寿命を予測する寿命予測部と、
前記任意の時点の前記ボイラ伝熱管の肉厚から前記ボイラ伝熱管の前記必要最小肉厚を減算して前記任意の時点の許容減肉量を算出する許容減肉量算出部と、
算出された前記許容減肉量を前記相関係数で除算して、前記任意の時点の許容塩化水素濃度積算値を算出する許容積算値算出部と、を備え、
前記寿命予測部は、前記許容塩化水素濃度積算値を予測された前記将来の塩化水素濃度で除算して、前記ボイラ伝熱管の寿命を予測する
ことを特徴とするボイラ伝熱管肉厚推測装置。
【請求項10】
コンピュータを請求項8または9に記載のボイラ伝熱管肉厚推測装置として機能させる
ことを特徴とするボイラ伝熱管肉厚推測プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るボイラ伝熱管肉厚推測方法は、
廃棄物燃料燃焼ボイラを備えた発電設備におけるボイラ伝熱管肉厚推測方法であって、
ボイラ伝熱管の肉厚を測定し、
測定された肉厚に基づいて、測定間隔における減肉量を算出し、
ボイラの燃焼ガス中の塩化水素濃度を連続して測定し、
測定された塩化水素濃度とボイラの稼働時間とから塩化水素濃度の積算値を算出し、
算出された減肉量と、算出された積算値との相関係数を導出し、
任意の時点におけるボイラ伝熱管の肉厚を、相関係数と積算値とに基づいて推測し、
任意の期間における塩化水素濃度に基づいて、将来の塩化水素濃度を予測し、
ボイラ伝熱管の寿命を、推測されたボイラ伝熱管の肉厚と、予測された将来の塩化水素濃度と、ボイラ伝熱管の必要最小肉厚とに基づいて予測する、ことを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るボイラ伝熱管肉厚推測方法は、
廃棄物燃料燃焼ボイラを備えた発電設備におけるボイラ伝熱管肉厚推測方法であって、
ボイラ伝熱管の肉厚を測定し、
測定された肉厚に基づいて、測定間隔における減肉量を算出し、
ボイラの燃焼ガス中の塩化水素濃度を連続して測定し、
測定された塩化水素濃度とボイラの稼働時間とから塩化水素濃度の積算値を算出し、
算出された減肉量と、算出された積算値との相関係数を導出し、
ボイラ伝熱管の肉厚を、相関係数と積算値とに基づいて推測し、
さらに、
任意の期間における塩化水素濃度に基づいて、将来の塩化水素濃度を予測し、
ボイラ伝熱管の寿命を、ボイラ伝熱管の肉厚の実測値または推測されたボイラ伝熱管の肉厚と、予測された将来の塩化水素濃度と、ボイラ伝熱管の必要最小肉厚とに基づいて予測し、
さらに、
ボイラ伝熱管の寿命予測は、
任意の時点のボイラ伝熱管の肉厚からボイラ伝熱管の必要最小肉厚を減算して許容減肉量を算出し、
算出された許容減肉量を相関係数で除算して、許容塩化水素濃度積算値を算出し、
算出された許容塩化水素濃度積算値を予測された塩化水素濃度で除算してボイラ伝熱管の寿命を予測する、ことを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明に係るボイラ伝熱管肉厚推測装置は、
廃棄物燃料燃焼ボイラを備えた発電設備に関するボイラ伝熱管肉厚推測装置であって、
測定されたボイラ伝熱管の肉厚に基づいて、測定間隔におけるボイラ伝熱管の減肉量を算出する減肉量算出部と、
連続的に測定されたボイラの燃焼ガス中の塩化水素濃度から塩化水素濃度の積算値を算出する積算値算出部と、
算出された減肉量と、算出された積算値との相関係数を導出する相関導出部と、
任意の時点におけるボイラ伝熱管の肉厚を、相関係数と積算値とに基づいて推測する肉厚推測部と、
任意の期間におけるボイラの燃焼ガス中の塩化水素濃度に基づいて、ボイラの燃焼ガス中の将来の塩化水素濃度を予測する塩化水素濃度予測部と、
推測されたボイラ伝熱管の肉厚と、予測された将来の塩化水素濃度と、ボイラ伝熱管の必要最小肉厚とに基づいて、ボイラ伝熱管の寿命を予測する寿命予測部と、を備える、ことを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明に係るボイラ伝熱管肉厚推測装置は、
廃棄物燃料燃焼ボイラを備えた発電設備に関するボイラ伝熱管肉厚推測装置であって、
測定されたボイラ伝熱管の肉厚に基づいて、測定間隔におけるボイラ伝熱管の減肉量を算出する減肉量算出部と、
連続的に測定されたボイラの燃焼ガス中の塩化水素濃度から塩化水素濃度の積算値を算出する積算値算出部と、
算出された減肉量と、算出された積算値との相関係数を導出する相関導出部と、
ボイラ伝熱管の肉厚を、相関係数と積算値とに基づいて推測する肉厚推測部と、
任意の期間におけるボイラの燃焼ガス中の塩化水素濃度に基づいて、ボイラの燃焼ガス中の将来の塩化水素濃度を予測する塩化水素濃度予測部と、
ボイラ伝熱管の肉厚の実測値または推測されたボイラ伝熱管の肉厚と、予測された将来の塩化水素濃度と、ボイラ伝熱管の必要最小肉厚とに基づいて、ボイラ伝熱管の寿命を予測する寿命予測部と、
任意の時点のボイラ伝熱管の肉厚からボイラ伝熱管の必要最小肉厚を減算して任意の時点の許容減肉量を算出する許容減肉量算出部と、
算出された許容減肉量を相関係数で除算して、任意の時点の許容塩化水素濃度積算値を算出する許容積算値算出部と、を備え、
寿命予測部は、許容塩化水素濃度積算値を予測された将来の塩化水素濃度で除算して、ボイラ伝熱管の寿命を予測する、ことを特徴とする。