(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076740
(43)【公開日】2022-05-20
(54)【発明の名称】無線通信タグ
(51)【国際特許分類】
G06K 19/077 20060101AFI20220513BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
G06K19/077 156
G06K19/07 230
G06K19/077 144
G06K19/077 248
G06K19/077 280
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020187283
(22)【出願日】2020-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100160864
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 政治
(74)【代理人】
【識別番号】100158698
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 基樹
(74)【代理人】
【識別番号】100217892
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】多田 健人
(72)【発明者】
【氏名】山田 武司
(72)【発明者】
【氏名】安藤 弘晃
(57)【要約】 (修正有)
【課題】折り曲げてもICタグが剥離し難い無線通信タグを提供する。
【解決手段】無線通信タグ1は、可撓性を有するシート状基材3と、シート状基材の一方主面に付いている層状のアンテナ導体5と、アンテナ導体と電気的に接続しているICチップ7と、を有する。シート状基材の一方主面におけるアンテナ導体及びICチップと別の位置に、さらに補強層9を有する。補強層の長手方向は、シート状基材の短手方向に沿っている。補強層の短手方向の長さは、シート状基材の長手方向におけるICチップの長さよりも長く、補強層の短手方向における両端は、共に、ICチップのシート状基材の長手方向における両端よりもシート状基材の両端側にある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するシート状基材と、
前記シート状基材の一方主面に付いている層状のアンテナ導体と、
前記アンテナ導体と電気的に接続しているICチップと、
を有する無線通信タグであって、
前記シート状基材の前記一方主面における前記アンテナ導体および前記ICチップと別の位置に、さらに補強層を有し、
前記補強層の長手方向は、前記シート状基材の短手方向に沿っており、
前記補強層の短手方向の長さは、前記シート状基材の長手方向における前記ICチップの長さよりも長く、前記補強層の短手方向における両端は、前記ICチップの前記シート状基材の長手方向における両端よりも、共に前記シート状基材の両端側にある、
無線通信タグ。
【請求項2】
前記アンテナ導体と前記補強層とが同じ金属材料からなる、請求項1に記載の無線通信タグ。
【請求項3】
前記アンテナ導体と前記補強層とが繋がっていない、請求項1または2に記載の無線通信タグ。
【請求項4】
前記補強層の短手方向の長さは1.0mm以下である、請求項1~3のいずれかに記載の無線通信タグ。
【請求項5】
前記シート状基材の短手方向の長さに対する前記補強層の長手方向の長さが60%以上である、請求項1~4のいずれかに記載の無線通信タグ。
【請求項6】
前記シート状基材の短手方向において、前記補強層と前記アンテナ導体との間隔が0.2~1.0mmである、請求項1~5のいずれかに記載の無線通信タグ。
【請求項7】
複数の前記補強層を有する、請求項1~6のいずれかに記載の無線通信タグ。
【請求項8】
前記シート状基材の前記一方主面上の短手方向において、複数の前記補強層のうちの2つが前記ICチップを挟むように配置されている、請求項7に記載の無線通信タグ。
【請求項9】
複数の前記補強層の短手方向の長さが同一である、請求項7または8に記載の無線通信タグ。
【請求項10】
前記ICチップはUHF帯域を通信周波数とし、前記アンテナ導体はダイポール型である、請求項1~9のいずれかに記載の無線通信タグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信タグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フレキシブルプリント基板にICチップを搭載した薄型かつ柔軟性を備える無線通信タグが利用されている。
【0003】
このような無線通信タグとして、例えば特許文献1に記載のものが提案されている。
特許文献1には、可撓性を有する基材シートと、前記基材シートに設けられたアンテナ導体と、前記基材シートの一方主面に設けられた補強層と、前記アンテナ導体に接続される接続端子を有し、前記基材シートの他方主面に搭載されたRFIC素子と、を備える無線通信タグであって、前記補強層の輪郭は平面視で円形をなし、前記RFIC素子は平面視で前記補強層の輪郭によって囲まれ、前記接続端子は前記基材シートの他方主面側で露出する、無線通信タグが記載されている。そして、このような無線通信タグでは、RFIC素子は平面視で補強層の輪郭によって囲まれるため、RFIC素子とアンテナ導体との接続部への応力集中が緩和され、これによって、接続部の破損が抑制され、また、補強層の輪郭は平面視で円形をなすため、基材シートの一方主面に沿う外力が補強層に加えられたとき、この外力に対する補強層の応力が分散され、これによって、補強層が剥がれ難くなり、さらに、補強層は基材シートの一方主面に形成され、RFIC素子の接続端子は他方主面側で露出するため、接続部の破損を容易に発見できると記載されている。
【0004】
つまり、特許文献1に記載された無線通信タグにおける補強層は、RFIC素子とは別の主面に存在する。
また、特許文献1の0019段落には補強層の材質について、基材フィルムよりも弾性率が高く(特にヤング率が小さく)、かつ、基材フィルムとの密着性が高い(基材フィルムが樹脂なら補強層も樹脂)ものが好ましく、例えば、シリコン等の樹脂を材料とすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような無線通信タグでは、シート状基板の主面上においてICチップが他の部位よりも厚く凸状となっているため、無線通信タグを折り曲げたときにICチップとシート状基板との界面付近に応力が集中しやすい。
このような応力集中が生じてもICチップがシート状基板から剥がれ難いことが、無線通信タグには求められる。
【0007】
本発明は上記のような課題を解決することを目的とする。すなわち、本発明は、折り曲げてもICタグが剥離し難い無線通信タグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明者は鋭意検討し、本発明を完成させた。
本発明は、以下の(1)~(10)である。
(1)可撓性を有するシート状基材と、
前記シート状基材の一方主面に付いている層状のアンテナ導体と、
前記アンテナ導体と電気的に接続しているICチップと、
を有する無線通信タグであって、
前記シート状基材の前記一方主面における前記アンテナ導体および前記ICチップと別の位置に、さらに補強層を有し、
前記補強層の長手方向は、前記シート状基材の短手方向に沿っており、
前記補強層の短手方向の長さは、前記シート状基材の長手方向における前記ICチップの長さよりも長く、前記補強層の短手方向における両端は、前記ICチップの前記シート状基材の長手方向における両端よりも、共に前記シート状基材の両端側にある、
無線通信タグ。
(2)前記アンテナ導体と前記補強層とが同じ金属材料からなる、上記(1)に記載の無線通信タグ。
(3)前記アンテナ導体と前記補強層とが繋がっていない、上記(1)または(2)に記載の無線通信タグ。
(4)前記補強層の短手方向の長さは1.0mm以下である、上記(1)~(3)のいずれかに記載の無線通信タグ。
(5)前記シート状基材の短手方向の長さに対する前記補強層の長手方向の長さが60%以上である、上記(1)~(4)のいずれかに記載の無線通信タグ。
(6)前記シート状基材の短手方向において、前記補強層と前記アンテナ導体との間隔が0.2~1.0mmである、上記(1)~(5)のいずれかに記載の無線通信タグ。
(7)複数の前記補強層を有する、上記(1)~(6)のいずれかに記載の無線通信タグ。
(8)前記シート状基材の前記一方主面上の短手方向において、複数の前記補強層のうちの2つが前記ICチップを挟むように配置されている、上記(7)に記載の無線通信タグ。
(9)複数の前記補強層の短手方向の長さが同一である、上記(7)または(8)に記載の無線通信タグ。
(10)前記ICチップはUHF帯域を通信周波数とし、前記アンテナ導体はダイポール型である、上記(1)~(9)のいずれかに記載の無線通信タグ。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、折り曲げてもICタグが剥離し難い無線通信タグを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の無線通信タグにおける一方主面の平面視を示す概略図である。
【
図2】
図1におけるA部の拡大図(概略図)である。
【
図3】
図1におけるB-B´線断面図(概略図)である。
【
図4】
図1におけるC-C´線断面図(概略図)である。
【
図5】2つの補強層を有する本発明の無線通信タグにおける一方主面の平面視を示す概略図である。
【
図6】3つの補強層を有する本発明の無線通信タグにおける一方主面の平面視を示す概略図である。
【
図7】
図5におけるD部の拡大図(概略図)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の無線通信タグについて説明する。
本発明の無線通信タグは、可撓性を有するシート状基材と、前記シート状基材の一方主面に付いている層状のアンテナ導体と、前記アンテナ導体と電気的に接続しているICチップと、を有する無線通信タグであって、前記シート状基材の前記一方主面における前記アンテナ導体および前記ICチップと別の位置に、さらに補強層を有し、前記補強層の長手方向は、前記シート状基材の短手方向に沿っており、前記補強層の短手方向の長さは、前記シート状基材の長手方向における前記ICチップの長さよりも長く、前記補強層の短手方向における両端は、前記ICチップの前記シート状基材の長手方向における両端よりも、共に前記シート状基材の両端側にある、無線通信タグである。
【0012】
本発明の無線通信タグについて、図を用いて説明する。
図1は本発明の無線通信タグにおける一方主面の平面視を示す概略図であり、
図2は
図1におけるA部の拡大図であり、
図3は
図1におけるB-B´線断面図であり、
図4は
図1におけるC-C´線断面図である。
【0013】
なお、図は、本発明の無線通信タグの好適態様を示している。本発明の無線通信タグは図に示す態様に限定されない。
【0014】
図1~4に示すように本発明の無線通信タグ1は、シート状基材3と、アンテナ導体5と、ICチップ7とを有し、さらに補強層9を有する。
【0015】
<シート状基材>
本発明の無線通信タグ1は、可撓性を備えるシート状基材3を有する。
シート状基材3は柔軟で折り曲げることができるものであるため、それを実現できる材料からなる。例えばポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエステル、液晶ポリマー等の材料からなる。
シート状基材3は、これらの中でもポリイミドからなることが好ましい。可撓性に加え、耐熱性も備えることになるからである。
【0016】
シート状基材3の大きさや厚さは特に限定されない。シート状基材3は、その一方主面31において長手方向と短手方向とを認識できる形状であればよく、矩形であることが好ましく、帯状であることがより好ましい。ここで角に丸みを備える矩形または帯状であってよい。なお、本発明において帯状とは矩形であって、長手方向の長さが短手方向の長さに対して十分に長い(例えば1.5~22倍の長さの)形状を意味する。また、長手方向と短手方向とは通常、垂直に交わる。また、矩形または帯状は中抜きされていない形状であることが好ましい。
シート状基材3の長手方向の長さ(最大長さ)は、例えば13mm~148mmであってよい。
シート状基材3の短手方向の長さ(最大長さ)は、例えば7mm~21mmであってよい。
シート状基材3の厚さ(最大厚さ)は、例えば0.012mm~0.050mmであってよい。
【0017】
<アンテナ導体>
本発明の無線通信タグ1は、シート状基材3の一方主面31に付いている層状のアンテナ導体5を有する。
【0018】
アンテナ導体5はダイポール型であることが好ましい。
【0019】
シート状基材3の一方主面31に、従来公知のスパッタや蒸着等の方法で金属等の導電性材料からなる薄膜を形成した後、パターニングすることで、所望のパターン形状の層状のアンテナ導体5をシート状基材3の一方主面31上に形成することができる。
アンテナ導体の厚さは特に限定されず、従来公知のものと同様であってよく、0.018mm~0.070mmの厚さであってよい。
【0020】
なお、アンテナ導体5と同時に、後述する補強層9も形成することが好ましい。この場合、アンテナ導体5と補強層9とは同じ材料からなることが好ましく、通常、同じ厚さとなる。
【0021】
アンテナ導体5は導電性材料からなるが、金属からなることが好ましく、銅または銀からなることがより好ましい。
【0022】
アンテナ導体5のパターン形状等は特に限定されないが、
図1に示すようなミアンダパターン51を形成していてもよい。ミアンダパターン51とは、
図1に示すように、シート状基材3の短手方向に蛇行しながら長手方向に延びるパターンである。
また、アンテナ導体5は、
図1に示すように、2つのミアンダパターン51、51を結ぶループパターン53を含んでいてよい。
【0023】
<ICチップ>
本発明の無線通信タグ1は、アンテナ導体5と電気的に接続しているICチップ7を有する。
ICチップ7は、例えばRFID信号を処理するRFICチップとこれを実装する給電回路基板とを含む構造のものであってよい。給電回路基板は、例えばセラミックまたは樹脂を材料として板状に形成されている。給電回路基板の上面に実装されたRFICチップは、樹脂製の封止層によって封止されている。また、ICチップ7の下面には2つのI/O端子が設けられていて、これがAgや半田等の導電性の接合材によってアンテナ導体5に接合されている。この接合はリフロー法によって行うことできる。また、このI/O端子は給電回路基板に設けられた給電回路を介して、RFICチップに接続されている。
【0024】
ICチップ7はUHF帯域を通信周波数とすることが好ましい。
【0025】
<補強層>
本発明の無線通信タグ1は、さらに補強層9を有する。
図1~4に示すように、補強層9はシート状基材3においてアンテナ導体5およびICチップ7と同じ一方主面31上に形成される。
また、補強層9はその一方主面31上においてアンテナ導体5およびICチップ7と別の位置に形成される。つまり、補強層9は、その一方主面31においてアンテナ導体5およびICチップ7と繋がっていない。
【0026】
前述のように、補強層9はアンテナ導体5と同様の方法によって同時に形成することが好ましい。この場合、アンテナ導体5と補強層9とは同じ材料からなり、同じ厚さとなる。
補強層9の材質は特に限定されないが、金属であることが好ましく、銅または銀からなることがより好ましい。また、アンテナ導体5と同一材料からなることが好ましい。
【0027】
図1に示すような平面視図において、補強層9は長手方向と短手方向とを認識できる形状であればよく、矩形であることが好ましく、帯状であることがより好ましい。ここで長手方向と短手方向とは通常、垂直に交わる。
また、補強層9の長手方向はシート状基材3の短手方向に沿っている。通常、補強層9の長手方向は、シート状基材3の長手方向に対して垂直である。
【0028】
また、
図2に示すように、補強層9の短手方向の長さは、シート状基材3の長手方向におけるICチップ7の長さよりも長い。そして、補強層9の短手方向における両端91、92は、シート状基材3の長手方向におけるICチップ7の両端71、72よりも、共にシート状基材3の両端側にある。つまり、
図2において、補強層9の短手方向における一方の端91は、ICチップ7のシート状基材3の長手方向における一方の端71よりもシート状基材3の端側にあり、補強層9の短手方向における他方の端92は、ICチップのシート状基材3の長手方向における他方の端72よりもシート状基材3の端側にある。別の言い方をすれば、補強層9の短手方向における両端91、92からシート状基材3の短手方向に引いた線(
図2中の点線L
1およびL
2)に挟まれる範囲内に、ICチップ7が存在する。
この場合、本発明の無線通信タグを折り曲げてもICタグは剥離し難いことを、本発明者は見出した。
【0029】
図1~4に示した態様の本発明の無線通信タグ1は、補強層9を1つ有する態様であるが、本発明の無線通信タグ1は、
図5および
図6に示すように、複数の補強層9(9´、9´´)を有していてもよい。
図5は2つの補強層9、9´を有する本発明の無線通信タグ1における一方主面31の平面視を示す概略図である。
本発明の無線通信タグ1は、
図5に示すように、シート状基材3の一方主面31上の短手方向において、2つの補強層9、9´がICチップ7を挟むように配置されていることが好ましい。
図6は3つの補強層9、9´、9´´を有する本発明の無線通信タグにおける一方主面31の平面視を示す概略図である。
本発明の無線通信タグ1は、
図6に示すように、シート状基材3の一方主面31上の短手方向において、複数(
図6では3つ)の補強層9のうちの2つ(補強層9、9´)がICチップ7を挟むように配置されていることが好ましい。
複数の補強層9を有する場合、それらの補強層9は、シート状基材3の長手方向において同じ位置に存在していることが好ましい。つまり、シート状基材3の短手方向において複数の補強層9が並んで存在していることが好ましい。
また、本発明の無線通信タグ1が、複数の補強層9を有する場合、
図5および
図6に示すように、複数の補強層9の短手方向の長さが同一であることが好ましい。
【0030】
図7は、
図5におけるD部の拡大図である。
図7において、補強層9の短手方向の長さαは1.0mm以下であることが好ましく、0.6mm以下であることがより好ましい。
【0031】
また、シート状基材3の短手方向の長さwに対する補強層9の長手方向の長さβは60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。
なお、
図7に示すように補強層9が2つ存在している場合、補強層9の長手方向の長さβは、2つの補強層9,9´の各々の長さβ1、β2の合計を意味するものとする。補強層9が3以上存在する場合も同様とする。
【0032】
また、シート状基材3の短手方向において、補強層9とアンテナ導体5との間隔γが0.2~1.0mmであることが好ましく、0.2~0.5mmであることがより好ましい。
【0033】
補強層9が存在することによって、アンテナ導体5のインピーダンスが影響を受けることとなる。この影響を予め考慮して設計すれば、本発明の無線通信タグの電気的性能は損なわれない。
【実施例0034】
厚さが0.045mm、長手方向の長さが43mm、短手方向の長さが9mmのポリイミドからなる矩形のシート状基材を用意した。そして、シート状基材の一方主面に銅箔を形成し、エッチングすることで、
図5および
図7に示すパターンのアンテナ導体を備える本発明の無線通信タグを製造した。
ここで2つの補強層9、9´の短手方向の長さαは、いずれも0.6mmとした。
また、2つの補強層9、9´の各々の長手方向の長さβ1、β2を2.55mm、3.15mmとした。よって、補強層9の長手方向の長さβは5.70mmであり、この長さβはシート状基材3の短手方向の長さw(9mm)に対して、約63%に相当する。
また、シート状基材3の短手方向において、補強層9、9´とアンテナ導体5との間隔γは0.45mmとした。
【0035】
なお、ICチップ7の外寸は、シート状基材3の長手方向において0.46mm、短手方向において0.4mmである。このようなICチップ7を、クリーム半田を用いて、シート状基材3の一方主面31上のアンテナ導体5の上に実装した。
【0036】
アンテナ導体5および補強層9を形成し、ICチップ7を実装した後、ICチップ7の部位のみが露出し、それ以外の一方主面31を覆うカバーポリイミドを貼り付けた。
【0037】
このような本発明の無線通信タグは、プラスチックパレットに貼り付けた際の共振周波数が920MHzとなった。
なお、共振周波数は次のように測定した。
周波数可変リーダを用い、周波数可変リーダと、プラスチックパレットに貼り付けた本発明の無線通信タグ間で通信させた。周波数可変リーダから送信する電磁波は、送信強度と周波数を可変させ、その際の通信回数を評価した。通信回数、周波数、送信強度を3次元的に評価し、送信強度が最低、かつ通信回数が1回以上となる周波数を共振周波数として取得した。
【0038】
また、ICチップを搭載した部分における曲率半径が1mmとなるように本発明の無線通信タグを屈曲させた。この場合、ICチップは剥離しなかった。
【0039】
一方、本発明の無線通信タグが有する補強層を有さず、その他は同一とした無線通信タグを比較対象として製造し、これについて、同様に、本発明の無線通信タグを屈曲させた。これによって、本発明の無線通信タグは、当該比較対象の無線通信タグと比較すると、2.5倍以上の耐屈曲性を備えることが分かった。
【0040】
なお、耐屈曲性は次のように測定した。
本発明の無線通信タグを屈曲させた状態で2つの平板に取付け、片方の平板をスライドすることでICチップ部へ繰返し屈曲負荷を付与した。スライド回数5回おきにタグリーダを用いて通信を確認し、通信不可となった際に加えていた屈曲回数を評価した。
本発明の無線通信タグは、UHF帯の電波を使用する電子機器に用いることができる。具体的には、例えば、ユニフォームやシーツ等のリネンに装着し、これを管理するために用いることができる。その他、繰返し屈曲が想定される、リストバンドやホース等の部品管理に用いることができる。