(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076757
(43)【公開日】2022-05-20
(54)【発明の名称】ロールペーパーホルダ
(51)【国際特許分類】
A47K 10/38 20060101AFI20220513BHJP
【FI】
A47K10/38 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020187313
(22)【出願日】2020-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000133928
【氏名又は名称】株式会社テラモト
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】吉田 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】山下 龍士
(57)【要約】
【課題】全体構造が複雑になるのを抑制しつつ、使い勝手が良好なロールペーパーホルダを提供する。
【解決手段】ロールペーパーホルダA1は、複数のロールペーパー9を収納する収納ケース1と、ロールペーパー9を支持し、開口111に臨む位置に移動させる可動部材2と、を備え、収納ケース1は、開口111を有する正面パネル11と、正面パネル11に対向する背面パネル12と、一対の側面パネルと、正面パネル11、背面パネル12および上記一対の側面パネルで囲まれた領域の下端を覆う底面パネル15と、を含み、可動部材2は、ロールペーパー9が載置される支持板21と、底面パネル15の下方に延出する操作レバー22と、を含み、支持板21は、操作レバー22の操作により、正面パネル11に近づくほど高くなるように傾斜する第1姿勢と、正面パネル11に近づくほど低くなるように傾斜する第2姿勢と、の間で姿勢変更可能である。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のロールペーパーを内部に収納し、かつ当該ロールペーパーの紙片を引き出すための開口を有する収納ケースと、上記ロールペーパーを支持し、上記開口に臨む位置に移動させるための可動部材と、を備え、
上記収納ケースは、上記開口を有し、直立する正面パネルと、上記正面パネルに対して水平な第1方向に対向する背面パネルと、上記第1方向に対して直角であり、かつ水平な第2方向において互いに対向する一対の側面パネルと、上記正面パネル、上記背面パネルおよび上記一対の側面パネルで囲まれた領域の下端を覆う底面パネルと、を含み、
上記可動部材は、上記ロールペーパーが載置される支持板と、上記底面パネルよりも下方に延出する操作レバーと、を含み、
上記支持板は、上記操作レバーの操作により、上記第1方向において上記正面パネルに近づくにつれて高くなるように傾斜する第1姿勢と、上記第1方向において上記正面パネルに近づくにつれて低くなるように傾斜する第2姿勢と、の間で姿勢変更可能である、ロールペーパーホルダ。
【請求項2】
上記可動部材は、上記支持板において上記正面パネルに近接する端部と、上記操作レバーとの間に介在する連携部、および、上記支持板よりも上方に位置し、上記背面パネルの内側面に当接する背面側当接部、を含み、
上記底面パネルには、上記第1方向に沿って延びる第1溝が形成されており、
上記第1溝は、上記操作レバーの上記第1方向への移動を許容する、請求項1に記載のロールペーパーホルダ。
【請求項3】
上記背面パネルには、上下方向に沿って延びる第2溝が形成されており、
上記背面側当接部には、上記背面パネル側に向けて突出するとともに上記第2溝に挿通された突出部が設けられている、請求項2に記載のロールペーパーホルダ。
【請求項4】
上記可動部材は、上記支持板と上記背面側当接部との間に介在する補助支持板を含み、
上記支持板および上記補助支持板は、それぞれ平板状とされており、
上記補助支持板は、上記第1方向において上記背面パネルに近づくにつれて上方に位置するように傾斜している、請求項2または3に記載のロールペーパーホルダ。
【請求項5】
上記収納ケースの内部に配置されたガイド部材をさらに備え、
上記ガイド部材は、上記ロールペーパーが上記可動部材の上に載置されるように当該ロールペーパーを転動させる傾斜ガイド面を有する、請求項1ないし4のいずれかに記載のロールペーパーホルダ。
【請求項6】
上記収納ケースは、上記正面パネル、上記背面パネルおよび上記一対の側面パネルで囲まれた領域の上端を覆う天井パネルを含み、
上記天井パネルにおいて上記傾斜ガイド面の上端部に対応する位置には、上記ロールペーパーを上記収納ケースの内部に入れるための投入口が設けられている、請求項5に記載のロールペーパーホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばトイレットペーパーなどのロールペーパーを、その紙片を引き出し可能に収納するロールペーパーホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレットペーパーなどのロールペーパーを複数収納できるロールペーパーホルダが提案されている(たとえば特許文献1を参照)。特許文献1に記載されたロールペーパーホルダは、ロールペーパーを収納するための収納具本体(12)を具備し、当該収納具本体に複数のロールペーパーが上下に積み重なる状態で収納されている。上記収納具本体の内部には、円弧状の受け板(17)が配置されており、当該受け板によりロールペーパーの外周部が支持されている。受け板(17)の円弧形状部は、ロールペーパーの外周部の直径に対応する寸法とされている。上記受け板は、収納具本体に設けられた円弧状のガイド溝(14)に沿って円周方向に回動可能とされている。受け板をガイド溝に沿って回動させることで当該受け板に支持されていたロールペーパーが下方に落下し、収納具本体の下部に配置された複数の受けローラー(22)によって支持される。受け板(17)を回動させて元の位置に戻すと、次のロールペーパーが落下して受け板に支持される。複数の受けローラーに支持されたロールペーパーについては、収納具本体の正面下部に形成されたペーパー引出し口(20)から紙片を引き出すことが可能である。
【0003】
上記従来のロールペーパーホルダにおいて、ロールペーパーを下部に落下させるための受け板が、ロールペーパーの外周部の直径に対応する寸法の円弧形状とされている。このため、収納具本体に収納されるロールペーパーの外周部直径が異なると、受け板の動作によりロールペーパーを下方に送ることに支障を来すおそれがあった。また、回動操作可能な円弧状の受け板や複数の受けローラーを具備する従来のロールペーパーホルダにおいては、その構造が比較的複雑となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、全体構造が複雑になるのを抑制しつつ、使い勝手が良好なロールペーパーホルダを提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本発明によって提供されるロールペーパーホルダは、複数のロールペーパーを内部に収納し、かつ当該ロールペーパーの紙片を引き出すための開口を有する収納ケースと、上記ロールペーパーを支持し、上記開口に臨む位置に移動させるための可動部材と、を備え、上記収納ケースは、上記開口を有し、直立する正面パネルと、上記正面パネルに対して水平な第1方向に対向する背面パネルと、上記第1方向に対して直角であり、かつ水平な第2方向において互いに対向する一対の側面パネルと、上記正面パネル、上記背面パネルおよび上記一対の側面パネルで囲まれた領域の下端を覆う底面パネルと、を含み、上記可動部材は、上記ロールペーパーが載置される支持板と、上記底面パネルよりも下方に延出する操作レバーと、を含み、上記支持板は、上記操作レバーの操作により、上記第1方向において上記正面パネルに近づくにつれて高くなるように傾斜する第1姿勢と、上記第1方向において上記正面パネルに近づくにつれて低くなるように傾斜する第2姿勢と、の間で姿勢変更可能である。
【0008】
好ましい実施の形態においては、上記可動部材は、上記支持板において上記正面パネルに近接する端部と、上記操作レバーとの間に介在する連携部、および、上記支持板よりも上方に位置し、上記背面パネルの内側面に当接する背面側当接部、を含み、上記底面パネルには、上記第1方向に沿って延びる第1溝が形成されており、上記第1溝は、上記操作レバーの上記第1方向への移動を許容する。
【0009】
好ましい実施の形態においては、上記背面パネルには、上下方向に沿って延びる第2溝が形成されており、上記背面側当接部には、上記背面パネル側に向けて突出するとともに上記第2溝に挿通された突出部が設けられている。
【0010】
好ましい実施の形態においては、上記可動部材は、上記支持板と上記背面側当接部との間に介在する補助支持板を含み、上記支持板および上記補助支持板は、それぞれ平板状とされており、上記補助支持板は、上記第1方向において上記背面パネルに近づくにつれて上方に位置するように傾斜している。
【0011】
好ましい実施の形態においては、上記収納ケースの内部に配置されたガイド部材をさらに備え、上記ガイド部材は、上記ロールペーパーが上記可動部材の上に載置されるように当該ロールペーパーを転動させる傾斜ガイド面を有する。
【0012】
好ましい実施の形態においては、上記収納ケースは、上記正面パネル、上記背面パネルおよび上記一対の側面パネルで囲まれた領域の上端を覆う天井パネルを含み、上記天井パネルにおいて上記傾斜ガイド面の上端部に対応する位置には、上記ロールペーパーを上記収納ケースの内部に入れるための投入口が設けられている。
【0013】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係るロールペーパーホルダの一例を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示したロールペーパーホルダの正面図である。
【
図3】
図1に示したロールペーパーホルダの背面図である。
【
図4】
図1に示したロールペーパーホルダの底面図である。
【
図7】
図2のVII-VII線に沿う拡大断面図である。
【
図8】可動部材の動作を説明するための
図7と同様の断面図である。
【
図9】可動部材の動作を説明するための
図7と同様の断面図である。
【
図10】可動部材の動作を説明するための
図7と同様の断面図である。
【
図11】検出センサを配置した例を示す
図7と同様の図である。
【
図12】本発明に係るロールペーパーホルダの他の例を示す、
図7と同様の断面図である。
【
図13】
図12に示したロールペーパーホルダにおける可動部材の動作を説明するための
図12と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0016】
図1~
図7は、本発明に係るロールペーパーホルダの一例を示す。本実施形態のロールペーパーホルダA1は、収納ケース1、可動部材2、カッター3およびガイド部材4を備えている。以下の説明では、原則として
図1に示したロールペーパーホルダA1の態様を基準として上下方向Zを規定する。なお、
図1においては、収納ケース1の内部構造を省略している。
【0017】
図1に示すように、収納ケース1は、正面パネル11、背面パネル12、一対の側面パネル13,14、底面パネル15および天井パネル16を含み、平面視において略矩形の箱状とされている。この収納ケース1の内部には、たとえばトイレットペーパーなどのロールペーパーを複数収納することが可能である。より具体的には、正面パネル11および背面パネル12は、それぞれが直立しており、水平な方向X(第1方向)において互いに対向している。一対の側面パネル13,14は、正面パネル11および背面パネル12の間に配置されている。一対の側面パネル13,14は、それぞれが直立しており、方向Xに対して直角である水平な方向Y(第2方向)において互いに対向している。一対の側面パネル13,14の間の距離は、ロールペーパーの幅方向の寸法に対応しており、当該ロールペーパー9の幅方向寸法より大きくされている。底面パネル15は、正面パネル11、背面パネル12および一対の側面パネル13,14で囲まれた領域の下端を覆っている。天井パネル16は、正面パネル11、背面パネル12および一対の側面パネル13,14で囲まれた領域の上端を覆っており、底面パネル15に対向している。
【0018】
本実施形態において、正面パネル11の下端近傍には、開口111が形成されている。開口111は、ロールペーパーの紙片を収納ケース1の外部に引き出すための通過口である。開口111の幅方向(方向Y)における寸法は、ロールペーパーの幅方向の寸法に対応しており、当該ロールペーパーの幅方向寸法よりも少し大きくされている。また、開口111の上下方向Zにおける寸法は、ロールペーパーの芯筒の外径よりも大きくされており、当該開口111を通じて収納ケース1の内部に手指を入れることが可能な程度とされている。
【0019】
図3、
図7に示すように、背面パネル12には、第2溝121が形成されている。第2溝121は、背面パネル12の上下方向Zにおける中間に形成され、上下方向Zに沿って延びている。また本実施形態では、背面パネル12の下端近傍にメンテナンス用開口122が形成されている。当該メンテナンス用開口122は、取り外し可能な蓋123によって覆われている。第2溝121およびメンテナンス用開口122の意義については後述する。
【0020】
図7に示すように、側面パネル14には、複数の取付孔141が形成されている。これら取付孔141は、ロールペーパーホルダA1をトイレの壁面に対してたとえばビス止めなどの手段により固定する際に利用される。
【0021】
図4等に示すように、底面パネル15には、第1溝151が形成されている。第1溝151は、底面パネル15の方向Xにおける中間に形成され、方向Xに沿って延びている。第1溝151の意義については後述する。
【0022】
図1、
図7等に示すように、天井パネル16には、投入口161が形成されている。投入口161は、ロールペーパー9を収納ケース1の内部に入れるための通過口であり、天井パネル16の方向Xにおける一方側(正面パネル11側)の端部付近に形成されている。本実施形態では、天井パネル16には、投入口161を開閉可能に塞ぐ開閉扉162が設けられている。開閉扉162は、たとえばヒンジ機構163を介して天井パネル16に取り付けられており、
図7において仮想線で表すように、開閉扉162を回動させることで投入口161が開いた状態にすることが可能である。
【0023】
上記の収納ケース1を構成する各パネル11~16は、たとえばステンレス鋼板などの金属の平板からなる。これらパネル11~16は、端部が適宜折り曲げられて隣接するパネルと部分的に重ね合わされ、溶接やビス止めなどの適宜手段により固定的または着脱可能に接合されている。なお、上記パネル11~16の構成材料は金属板に限定されず、たとえば合成樹脂材料からなる板材によってパネル11~16を構成してもよい。
【0024】
図7に示すように、可動部材2は、ロールペーパー9を支持するとともに、ロールペーパー9を開口111に臨む位置に移動させるための部材である。可動部材2は、その大半が収納ケース1の内部に配置されている。
図5、
図6に示すように、可動部材2は、支持板21、操作レバー22、連携部23、背面側当接部24、および補助支持板25を含む。
【0025】
支持板21は、ロールペーパー9が載置される部分である。支持板21は、所定の厚さを有する平板状とされている。支持板21の幅方向(
図5における上下方向)の寸法は、ロールペーパー9の幅方向の寸法に対応しており、当該ロールペーパー9の幅方向寸法と同程度とされている。詳細は後述するが、支持板21は、操作レバー22の操作により姿勢変更させられる。
【0026】
操作レバー22は、支持板21を姿勢変更させるための操作部分である。操作レバー22の幅方向(
図5における上下方向)の寸法は、支持板21の幅方向寸法よりも小さくされている。
図7に示すように、操作レバー22は、底面パネル15よりも下方に延出している。
【0027】
連携部23は、
図7に示すように、支持板21において正面パネル11に近接する端部211と、操作レバー22との間に介在している。本実施形態において、連携部23は、支持板21の上記端部211に屈曲してつながり、傾斜姿勢の第1部231と、当該第1部および操作レバー22の双方に屈曲してつながり、略水平姿勢の第2部232と、を有する。第1部231の幅方向(
図5における上下方向)の寸法は、支持板21の幅方向寸法と同程度である。第2部232の幅方向寸法は、第1部231の幅方向寸法よりも小さくされている。本実施形態では、第2部232が底面パネル15の第1溝151に臨んでおり、当該第2部232が第1溝151に沿って方向Xに移動可能である。この第2部232につながる操作レバー22は第1溝151が延びる方向Xに移動可能である。即ち、上記第1溝151は、操作レバー22の方向Xへの移動を許容する。
【0028】
背面側当接部24は、
図7に示すように、支持板21よりも上方に位置し、背面パネル12の内側面12aに当接している。
図7に示す態様では、背面側当接部24は、略直立する平板状である。この背面側当接部24には、突出部241が設けられている。突出部241は、背面側当接部24から背面パネル12側に突出するとともに、背面パネル12の第2溝121に挿通している。本実施形態において、突出部241は、たとえば植込みボルトにより構成され、背面側当接部24に固着されている。
【0029】
補助支持板25は、支持板21と背面側当接部24との間に介在している。補助支持板25は、平板状とされており、支持板21および背面側当接部24の双方に屈曲してつながっている。補助支持板25は、方向Xにおい背面パネル12に近づくにつれて上方に位置するように傾斜している。
【0030】
上記構成の可動部材2(支持板21、操作レバー22、連携部23、背面側当接部24および補助支持板25)は、たとえばステンレス鋼板などの金属の平板からなり、当該金属の平板を適宜折り曲げて形成されたものである。また、本実施形態では、
図5によく表れているように、可動部材2には、厚さ方向に貫通する貫通孔20が形成されている。当該貫通孔20は、支持板21、連携部23(第1部231)および補助支持板25に跨って形成されている。なお、上記可動部材2の構成材料は金属板に限定されず、たとえば合成樹脂材料からなる板材によって可動部材2を構成してもよい。
【0031】
カッター3は、ロールペーパー9の紙片92を切断するものである。カッター3は、底面パネル15の方向Xにおける一方側(正面パネル11側)の端部付近に設けられている。カッター3は、ステンレス鋼板などの金属の平板からなり、当該金属の平板を適宜折り曲げて形成されたものである。カッター3は、溶接やビス止めなどの適宜手段によって、底面パネル15に固定的または着脱可能に取り付けられている。カッター3の端部には、刃先部31が形成されている。刃先部31は、方向Yに延びる凹凸状の波形とされている。当該刃先部31は、開口111の下縁よりも少し上方に位置し、開口111側を向いている。
【0032】
ガイド部材4は、収納ケース1の内部に配置されており、ロールペーパー9を可動部材2上に誘導するものである。本実施形態において、ガイド部材4は、たとえばステンレス鋼板などの金属の平板からなり、当該金属の平板を適宜折り曲げて形成されたものである。
図7に示すように、ガイド部材4は、方向Yに見てV字状に屈曲しており、概略上方を向く傾斜ガイド面41を有する。ガイド部材4は、たとえば上記V字状の板部から適宜折れ曲がる折り曲げ片42を有する。折り曲げ片42は、側面パネル14の内側面に重ね合わされ、溶接などの適宜手段により側面パネル14に固定されている。
【0033】
傾斜ガイド面41は、可動部材2よりも上方に位置し、方向Xにおいて背面パネル12に近づくにつれて下方に位置するように傾斜している。方向Xにおいて、傾斜ガイド面41の下端と可動部材2における背面側当接部24との間の寸法は、ロールペーパー9の外周部の直径よりも大きくされている。このような構成により、傾斜ガイド面41は、ロールペーパー9が可動部材2上(補助支持板25上ないし支持板21上)に載置されるように当該ロールペーパー9を転動させることが可能である。
【0034】
本実施形態において、傾斜ガイド面41の上端部は、方向Xにおける一方側(正面パネル11側)に近接している。傾斜ガイド面41の上端部は、上下方向Zに見て天井パネル16の投入口161と重なっており、傾斜ガイド面41の当該上端部に対応する位置に上記天井パネル16の投入口161が設けられている。
【0035】
このような構成によれば、収納ケース1にロールペーパー9が収納されていない状態から1つ目のロールペーパー9を補充する際、ロールペーパー9を投入口161から収納ケース1の内部に入れると、ロールペーパー9は傾斜ガイド面41を転動する。そして当該ロールペーパー9は傾斜ガイド面41の下端から落下して可動部材2上に載り、補助支持板25上、支持板21上を転動して、底面パネル15の方向Xにおける一方側(正面パネル11側)の端部に移動する。当該移動したロールペーパー9は、開口111に臨む位置にあり、開口111からロールペーパー9の先端部93およびそれに続く紙片92を外部に引き出して使用することが可能である。なお、2つ目以降のロールペーパー9について投入口161から収納ケース1の内部に順次入れると、傾斜ガイド面41や可動部材2上を適宜転動し、複数のロールペーパー9が斜めに連なった状態で収納ケース1内に収納される。
図7に示した例では、収納ケース1の内部に最大5つのロールペーパー9が収納される。
【0036】
次に、可動部材2の動作および本実施形態の作用について説明する。
【0037】
本実施形態のロールペーパーホルダA1は、たとえば公共施設、鉄道駅や空港などのインフラ施設、オフィスビル、あるいは商業施設などのトイレに設置される。ロールペーパーホルダA1は、トイレの室内の壁面に収納ケース1の側面パネル14を対面させて、当該壁面に固定される。ロールペーパーホルダA1は、便器の斜め前方の壁面に固定され、正面パネル11が便器の後方を向くように配置される。これにより、トイレの利用者は、ロールペーパー9を使用する際、便器に座りながら開口111からロールペーパー9の紙片92を手前に引き出すことができ、使い勝手が良い。
【0038】
図7に示すように、開口111に臨むロールペーパー9を使用する際、次のロールペーパー9(図中右隣のロールペーパー9)は支持板21に支持されている。ここで、支持板21は、方向Xにおいて正面パネル11に近づくほど高くなるように傾斜する姿勢(第1姿勢)をとっている。これにより、次のロールペーパー9は支持板21上において方向Xの背面パネル12寄りに位置し、使用中のロールペーパー9(開口111に臨むロールペーパー9)と離間している。したがって、使用中のロールペーパー9が次のロールペーパー9と接触することは無く、開口111から紙片92をスムーズに引き出すことができる。
【0039】
開口111に臨むロールペーパー9を使い切った際、開口111から芯筒91を取り出し、操作レバー22を操作することにより次のロールペーパー9を開口111に臨む位置に移動させる。具体的には、底面パネル15の下方に位置する操作レバー22を方向Xにおける他方側(背面パネル12側)に押し込む。ここで、
図8に示すように、操作レバー22の方向X他方側への移動に伴い、背面側当接部24が背面パネル12に当接しながら上方に押し上げられ、支持板21の傾斜状態については、背面パネル12側が徐々に高くなるように変化する。
【0040】
操作レバー22の操作時には、連携部23(第2部232)が底面パネル15の第1溝151に沿ってガイドされることで、操作レバー22は方向Xに沿ってスムーズに移動する。また、背面側当接部24の上方への移動については、突出部241が背面パネル12の第2溝121に沿ってガイドされることで、スムーズに移動可能である。
【0041】
図9に示すように、操作レバー22を方向Xにおける他方側(背面パネル12側)にさらに押し込むと、背面側当接部24がより上方に押し上げられる。ここで、支持板21は、方向Xにおいて正面パネル11に近づくにつれて低くなるように傾斜する姿勢(第2姿勢)をとる。そうすると、支持板21に支持された次のロールペーパー9が支持板21上を方向Xの一方側(正面パネル11側)に転動し、開口111に臨む位置に移動する。なお、本実施形態において
図9に示す例では、突出部241が第2溝121の上端に到達しており、背面側当接部24の上方への移動が制限される。
【0042】
次いで、操作レバー22から手を離すと、
図10に示すように、可動部材2は自重により、背面側当接部24が下方に移動するとともに、操作レバー22が方向Xにおける一方側(正面パネル11側)に移動する。そして、支持板21は元の姿勢(第1姿勢)に戻る。
図10において、支持板21が第1姿勢をとる際の可動部材2を実線で表し、支持板21が第2姿勢をとる際の可動部材2を仮想線で表す。本実施形態において
図10に示す例では、支持板21が第1姿勢をとる際(実線で表す)、連携部23(第2部232)が第2溝121の方向X一方側端(図中左端)に到達しており、操作レバー22の方向Xの一方側(正面パネル11側)への移動が制限される。このような構成から理解されるように、支持板21は、操作レバー22の操作により、方向Xにおいて正面パネル11に近づくにつれて高くなるように傾斜する第1姿勢と、方向Xにおいて正面パネル11に近づくにつれて低くなるように傾斜する第2姿勢と、の間で姿勢変更可能である。
【0043】
本実施形態のロールペーパーホルダA1によれば、操作レバー22の操作によって支持板21の傾斜状態を容易に変更することができ、次のロールペーパー9が支持板21上を転動することにより所定の使用位置に配置される。したがって、ロールペーパー9の外周部の直径が異なるような場合においても、ロールペーパー9を使用位置に適切に移動させることができる。
【0044】
支持板21の姿勢変更は、操作レバー22の水平方向のスライド動作と背面側当接部24の上下方向のスライド動作によって実現される。これにより、ロールペーパーホルダA1の全体構造が複雑になるのを抑制しつつ、簡単な操作によって次のロールペーパー9を使用位置に移動させることができる。
【0045】
背面側当接部24は、支持板21よりも上方に位置しており、背面パネル12に当接している。これにより、可動部材2の重心位置を、支持板21よりも上方の比較的高い位置に設定することができる。このような構成によれば、支持板21が第2姿勢をとるとき、背面側当接部24はより高い位置にある。操作レバー22から手を離すことで支持板21が第2姿勢から第1姿勢まで自重により戻る動作は、このような背面側当接部24等の配置の工夫により実現される。
【0046】
上記構成のロールペーパーホルダA1において、収納ケース1内のロールペーパー9の残数が少なくなった場合にそのことを検出するための検出センサを設けてもよい。
図11は、収納ケース1の内部に検出センサ5を配置した例を示している。
【0047】
図11に示した検出センサ5は、たとえば背面パネル12に設けられたメンテナンス用開口122を通じて収納ケース1の内部に配置することができる。検出センサ5は、たとえばマイクロスイッチなどの機械的センサからなり、支持板21上のロールペーパー9の有無を検出する。
図11に示すように支持板21上にロールペーパー9が存在せず、予備のロールペーパー9が無くなった場合、検出センサ5は支持板21上にロールペーパー9が無いことを検出する。また、支持板21上にロールペーパー9が無いことの検出信号は、たとえばロールペーパーホルダA1の管理者に別途の通信手段等によって通知される。この場合、収納ケース1内部のロールペーパー9の残数が少なくなった時点で、ロールペーパーホルダA1にロールペーパー9を適宜補充することが可能になる。なお、検出センサ5としては、上記のマイクロスイッチ等の機械的センサに限定されず、たとえば非接触でロールペーパー9の有無を検出可能な光センサ等を採用してもよい。
【0048】
図12は、本発明に係るロールペーパーホルダの他の例を示している。なお、
図12以降の図面において、上記実施形態1と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付しており、適宜説明を省略する。
【0049】
図12に示したロールペーパーホルダA2は、上記実施形態のロールペーパーホルダA1と比べて、可動部材2の構成が異なっている。
【0050】
本実施形態の可動部材2は、支持板21、操作レバー22、連携部23および背面側当接部24を含む。本実施形態において、支持板21は、その全体が湾曲しており、連携部23および背面側当接部24の双方につながっている。
図12に示すように、支持板21のうち方向Xの一方側(正面パネル11側)寄りの部分は、方向Xにおいて正面パネル11に近づくほど高くなるように傾斜する姿勢(第1姿勢)をとっている。これにより、使用中のロールペーパー9(開口111に臨むロールペーパー9)の隣りにある次のロールペーパー9は、支持板21上に安定して載っており、使用中のロールペーパー9と離間している。したがって、使用中のロールペーパー9が次のロールペーパー9と接触することは無く、開口111から紙片92をスムーズに引き出すことができる。
【0051】
開口111に臨むロールペーパー9を使い切った後、次のロールペーパー9を使用位置に移動させる際には、
図13に示すように、操作レバー22を方向Xにおける他方側(背面パネル12側)に押し込む。これにより、背面側当接部24が背面パネル12に当接しながら上方に押し上げられ、支持板21のうち方向Xの一方側(正面パネル11側)寄りの部分は、方向Xにおいて正面パネル11に近づくにつれて低くなるように傾斜する姿勢(第2姿勢)をとる。そうすると、支持板21に支持された次のロールペーパー9が支持板21上を方向Xの一方側(正面パネル11側)に転動し、開口111に臨む位置に移動する。
【0052】
本実施形態のロールペーパーホルダA2によれば、操作レバー22の操作によって支持板21の傾斜状態を容易に変更することができ、次のロールペーパー9が支持板21上を転動することにより所定の使用位置に配置される。したがって、ロールペーパー9の外周部の直径が異なるような場合においても、ロールペーパー9を使用位置に適切に移動させることができる。
【0053】
支持板21の姿勢変更は、操作レバー22の水平方向のスライド動作と背面側当接部24の上下方向のスライド動作によって実現される。これにより、ロールペーパーホルダA1の全体構造が複雑になるのを抑制しつつ、簡単な操作によって次のロールペーパー9を使用位置に移動させることができる。その他にも、本実施形態のロールペーパーホルダA2は、上記のロールペーパーホルダA1と同様の作用効果を奏する。
【0054】
以上、本発明の具体的な実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の思想から逸脱しない範囲内で種々な変更が可能である。本発明に係るロールペーパーホルダの各部の具体的な形状や材質なども、上記実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0055】
A1,A2 ロールペーパーホルダ
1 収納ケース
11 正面パネル
111 開口
12 背面パネル
12a 内側面(背面パネルの内側面)
121 第2溝
122 メンテナンス用開口
123 蓋
13,14 側面パネル
141 取付孔
15 底面パネル
151 第1溝
16 天井パネル
161 投入口
162 開閉扉
163 ヒンジ機構
2 可動部材
20 貫通孔
21 支持板
211 端部
22 操作レバー
23 連携部
24 背面側当接部
241 突出部
25 補助支持板
3 カッター
31 刃先部
4 ガイド部材
41 傾斜ガイド面
42 折り曲げ片
5 検出センサ
9 ロールペーパー
91 芯筒
92 紙片
93 先端部
X 方向(第1方向)
Y 方向(第2方向)
Z 上下方向