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  • 特開-インターホンシステム 図1
  • 特開-インターホンシステム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076812
(43)【公開日】2022-05-20
(54)【発明の名称】インターホンシステム
(51)【国際特許分類】
   H04M 9/00 20060101AFI20220513BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
H04M9/00 D
H04N7/18 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020187404
(22)【出願日】2020-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】大野 眞裕
【テーマコード(参考)】
5C054
5K038
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054FC12
5C054GB02
5C054GD07
5C054HA22
5K038AA06
5K038CC01
5K038FF01
5K038GG03
(57)【要約】
【課題】 玄関子機と配送ロボットとが直接通信することを可能とし、外部のネットワークを介さずに居室親機に宅配物の到着を通知するインターホンシステムを提供する
【解決手段】 玄関子機1がBlueTooth(登録商標)通信を行う子機通信部12を有すると共に、自走して宅配物Mを配送する無人の配送ロボット3がBlueTooth(登録商標)通信を行う無線通信部36を備え、配送ロボット3が配達先の住戸に到着したら、無線通信部36から玄関子機1に到着通知信号を送信し、居室親機2は玄関子機1が到着通知信号を受信したら報音動作する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄関に設置されて来訪者が居住者を呼び出すための玄関子機と、住戸内に設置されて前記玄関子機からの呼び出しに居住者が応答する居室親機とを有するインターホンシステムであって、
前記玄関子機が、自走して宅配物を配送する無人の配送ロボットと近距離無線通信を行う子機通信部を有すると共に、
前記配送ロボットは、近距離無線通信を行う無線通信部を備えた配送ロボット制御部を有し、
前記配送ロボット制御部は、前記配送ロボットが配達先の住戸に到着したら、前記無線通信部から前記玄関子機に到着通知信号を送信して到着を知らせ、
前記居室親機は、前記玄関子機が前記到着通知信号を受信したら、報音動作することを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
前記居室親機は、前記到着通知信号を受けて報音を開始してから、一定時間が経過しても応答操作を受けなかったら、宅配物の受け取りができない旨の情報を前記子機通信部を介して前記配送ロボットに返信する親機返信部を有することを特徴とする請求項1記載のインターホンシステム。
【請求項3】
前記玄関子機がカメラを具備すると共に、前記居室親機は玄関子機が呼出操作されたら前記カメラの撮像映像を録画する留守モードに設定する留守設定ボタンを有し、
前記親機返信部は、前記留守モードの状態で前記到着通知信号を受信したら、即時に宅配物の受け取りができない旨の情報を返信することを特徴とする請求項2記載のインターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインターホンシステムに関し、特に無人で宅配物を配送する配送ロボットに対応する機能を備えたインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
宅配物を無人で配達する配送ロボットが提案されているが、無人で宅配物が配達された場合は、従来のように配達人がインターホンで居住者を呼び出すといった動作がないため、玄関子機が呼出操作されて居住者がそれに応答して宅配物を受け取るといった対応ができない。
そのため、本出願人は特許文献1でドローン等の配送ロボットによる配達に対応可能なインターホンシステムを提案した。このインターホンシステムでは、配送ロボットと通信する通信ネットワーク上に配置された外部サーバとインターホンシステムの居室親機とを互いに通信可能とし、この外部サーバを介して居室親機が配送ロボットの情報を入手して居住者に通知することで、宅配物の情報を居住者が把握可能とした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-87818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のインターホンシステムは、外部サーバを介することで、玄関子機の呼出ボタンが操作されなくても、配送ロボットの到着を居住者に通知することができた。
しかしながら、上記従来のインターホンシステムは、居室親機が通信ネットワークを介して外部サーバと通信する構成であり、玄関子機を介して無人の配送ロボットと直接通信してその到着を認識する構成では無いため、ネットワーク環境の状態によっては、居室親機側で宅配物の状況を把握できない場合が発生したし、システム全体で大きな設計変更を伴った。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、玄関子機と配送ロボットとが直接通信することを可能とし、外部のネットワークを介さずに居室親機に宅配物の到着を通知するインターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、玄関に設置されて来訪者が居住者を呼び出すための玄関子機と、住戸内に設置されて玄関子機からの呼び出しに居住者が応答する居室親機とを有するインターホンシステムであって、玄関子機が、自走して宅配物を配送する無人の配送ロボットと近距離無線通信を行う子機通信部を有すると共に、配送ロボットは、近距離無線通信を行う無線通信部を備えた配送ロボット制御部を有し、配送ロボット制御部は、配送ロボットが配達先の住戸に到着したら、無線通信部から玄関子機に到着通知信号を送信して到着を知らせ、居室親機は、玄関子機が到着通知信号を受信したら、報音動作することを特徴とする。
この構成によれば、無人の配送ロボットであっても、人が配達する場合と同様に玄関子機から宅配物の到着を居住者に報音通知するため、ネットワークを介して外部と通信する機能が必要が無い。よって、確実に宅配物の到着を居室親機に通知できるし、システムの大きな設計変更を行わずに済む。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、居室親機は、到着通知信号を受けて報音を開始してから、一定時間が経過しても応答操作を受けなかったら、宅配物の受け取りができない旨の情報を子機通信部を介して配送ロボットに返信する親機返信部を有することを特徴とする。
この構成によれば、インターホンシステムから居住者が宅配物を受け取れない旨の情報が返信されるため、配送ロボットは次の配送等の動作に移行できる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の構成において、玄関子機がカメラを具備すると共に、居室親機は玄関子機が呼出操作されたらカメラの撮像映像を録画する留守モードに設定する留守設定ボタンを有し、親機返信部は、留守モードの状態で到着通知信号を受信したら、即時に宅配物の受け取りができない旨の情報を返信することを特徴とする。
この構成によれば、居住者が宅配物を受け取れない旨の情報が速やかに返信されるため、配送ロボットは待つことなく次の動作に移行できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、無人の配送ロボットであっても、人が配達する場合と同様に玄関子機から宅配物の到着を居住者に報音通知するため、ネットワークを介して外部と通信する機能が必要無い。よって、確実に宅配物の到着を居室親機に通知できるし、システムの大きな設計変更を行わずに済む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係るインターホン装置の一例を示すブロック図である。
図2】配送ロボット制御部のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係るインターホン装置の一例を示すブロック図であり、玄関に設置されて来訪者が居住者を呼び出すための玄関子機1と、住戸内に設置されて玄関子機1からの呼び出しに居住者が応答する居室親機2とで構成されており、3は宅配物を無人で配送する配送ロボットを示している。玄関子機1と居室親機2とは伝送線L1で接続されている。
【0012】
玄関子機1は、カメラ11、近距離無線通信する子機通信部12、呼出ボタン13、マイク14a及びスピーカ14bを備えた通話部14、玄関子機1を制御する子機CPU15、居室親機2と通信する子機通信IF16等を備えている。
【0013】
居室親機2は、カメラ11の撮像映像に加えて各種情報を表示するモニタ21、呼び出しに応答するための通話ボタン22、マイク23a及びスピーカ23bを備えた通話部23、各種操作をする操作部24、自住戸の住所情報等の住戸ID情報を記憶する記憶部25、居室親機2を制御する親機CPU26、玄関子機1と通信する親機通信IF27等を備えている。
尚、24aは居室親機2を留守モードに設定するための留守設定ボタンを示し、留守モードに設定されると、呼出ボタン13の押下を受けて起動したカメラ11の撮像映像が図示しない録画部に録画される。
【0014】
配送ロボット3は、宅配物Mを収容する宅配物収容部31、配送ロボット3を制御する配送ロボット制御部32を備えている。
図2は配送ロボット制御部32のブロック図を示し、自走するための車輪33を駆動する車輪駆動部34、GPS信号を受信するGPS信号受信部35、玄関子機1と近距離無線通信であるBluetooth(登録商標)規格に準拠した通信を行う無線通信部36、GPS位置情報から成る目的地(配達先玄関位置)の情報、及び住所情報等の住戸ID情報を記憶する記憶部37、配送ロボット3を制御する配送ロボットCPU38、電源であるバッテリ39等を備えている。
【0015】
尚、玄関子機1の子機通信部12もBluetooth(登録商標)規格に準拠した通信を行うよう構成されている。
【0016】
上記のように構成されたインターホンシステムは以下のように動作する。但し、呼出ボタン13の操作による呼び出し、居室親機2での応答操作で通話路が形成される動作は従来と同様であるため説明を省略し、ここでは配送ロボット3が宅配物Mを配送してきた場合の動作を中心に説明する。
【0017】
配送ロボット3は、例えば集合住宅内を自走して宅配物Mを配送する。そして、配送ロボットCPU38の制御により、配送ロボット3が配達先の住戸玄関に到着したら、無線通信部36から到着通知信号を発信する。この到着通知信号には、宅配物Mの届け先ID(住所情報)が添付されている。
この到着通知信号は、玄関子機1の子機通信部12で受信され、居室親機2に送信される。居室親機2では、親機CPU26がその情報を読み取り、到着通知信号に添付されているID情報が自身が記憶している情報と一致すると判断したら、自住戸あての信号であることを認識し、宅配物Mの到着を居住者に通知する制御を行う。
例えば、「宅配物が届きました」のメッセージがアナウンスされる。加えて呼出音とは異なる通知音を鳴動させる。尚、更にカメラ11の撮像映像をモニタ21に表示させても良い。
【0018】
この報音通知を認識した居住者により、通話ボタン22の押下等所定の通知停止操作が成されると、親機CPU26の制御により受け取りの意志を示す了解信号が生成されて返信される。了解信号は子機通信部12を介して配送ロボット3に送信され、無線通信部36で受信される。
この了解信号を受信した配送ロボットCPU38は、宅配物収容部31のロック(図示せず)を解除し、居住者が宅配物Mを取り出すのを待つ。
その後、玄関から出てきた居住者により宅配物Mが取り出されると、配送ロボットCPU38はそれを把握して配達完了を認識する。
【0019】
但し、居室親機2が通知停止操作されずに、到着通知信号を受信してから一定の時間が経過したら、親機CPU26の制御により受取不可信号が生成されて返信される。この信号を受信した配送ロボットCPU38は、居住者が宅配物Mの受け取りができないと認識して、配送を終了する。
【0020】
また、配送ロボット3が到着した段階で、居室親機2の留守設定ボタン24aが押下されて留守モードに設定されていたら、到着通知信号を受けたら直ぐに受取不可信号が返信される。この到着通知信号の送信直後に受取不可信号を受信した配送ロボットCPU38は、受取人が不在であるため宅配物Mの受け取りができないと認識し、配達を終了する。
【0021】
このように、無人の配送ロボット3であっても、人が配達する場合と同様に玄関子機1から宅配物Mの到着を居住者に報音通知するため、ネットワークを介して外部と通信する機能が必要が無い。よって、確実に宅配物Mの到着を居室親機2に通知できるし、システムの大きな設計変更を行わずに済む。
また、配送ロボット3から到着通知信号が送信されてから、一定時間が経過しても居住者による応答操作が成されなかったら、居住者が不在であると判断して宅配物Mの受け取りができない旨の情報が配送ロボット3に返信されるため、配送ロボット3は次の動作に移行できる。
更に、居室親機2が留守モードに設定されていたら、居住者が宅配物Mを受け取れない旨の情報が速やかに返信されるため、配送ロボット3は待つことなく次の動作に移行できる。
【0022】
尚、上記実施形態では、近距離無線通信機能としてBluetooth(登録商標)を使用しているが、WiFi(登録商標)を使用しても良い。
また、配送ロボット3を自走式のロボットとしているが、飛行して配送するドローンであっても良い。
【符号の説明】
【0023】
1・・玄関子機、2・・居室親機、3・・配送ロボット、12・・子機通信部、24a・・留守設定ボタン、26・・親機CPU(親機返信部)、32・・配送ロボット制御部、M・・宅配物。
図1
図2