(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076832
(43)【公開日】2022-05-20
(54)【発明の名称】バッグ
(51)【国際特許分類】
A45C 3/04 20060101AFI20220513BHJP
【FI】
A45C3/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020187431
(22)【出願日】2020-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】396016445
【氏名又は名称】株式会社フェリシモ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岬 直子
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045AA53
3B045CB05
3B045CE07
3B045CE09
(57)【要約】
【課題】 容易にバッグをコンパクトな収納形態にすることができ、バッグの袋本体部を収納する構造を目立たなくすることができるバッグを提供する。
【解決手段】 バッグ100は、柔軟な材質であり、取っ手部28を有し、下端24が閉塞され上部が開口する袋状の袋本体部1であって、正面部10と、正面部10に対峙して配置されている背面部15と、正面側側縁21及び背面側側縁22を有し、正面側側縁21が正面部10の一方の側縁11に接続され、背面側側縁22が正面部10の一方の側縁11と対峙する背面部15の一方の側縁16に接続されているマチ部20とを有し、マチ部20の下端24が折り畳まれた状態で正面部10の下端12及び背面部15の下端17の間に挟み込まれて固定されている袋本体部1と、正面側側縁21の下部及び背面側側縁22の下部に沿って延びる筒状の紐通し部4と、紐通し部4に挿通されている絞り紐5と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟な材質であり、取っ手部を有し、下端が閉塞され上部が開口する袋状の袋本体部であって、正面部と、前記正面部に対峙して配置されている背面部と、正面側側縁及び背面側側縁を有し、前記正面側側縁が前記正面部の一方の側縁に接続され、前記背面側側縁が前記正面部の一方の側縁と対峙する前記背面部の一方の側縁に接続されているマチ部とを有し、前記マチ部の下端が折り畳まれた状態で前記正面部の下端及び前記背面部の下端の間に挟み込まれて固定されている袋本体部と、
前記正面側側縁の下部及び前記背面側側縁の下部に沿って延びる筒状の紐通し部と、
前記紐通し部に挿通されている絞り紐と、を有する、バッグ。
【請求項2】
前記紐通し部は、上端が前記正面側側縁の下部に位置し、前記正面側側縁に沿って延び、下端が前記正面側側縁の下端に位置する第1筒部と、上端が前記背面側側縁の下部に位置し、前記背面側側縁に沿って延び、下端が前記背面側側縁の下端に位置する第2筒部と、前記マチ部に直接又は間接的に取り付けられ、一端が前記第1筒部の上端が位置する領域に位置し、他端が前記第2筒部の上端が位置する領域に位置するように延びる第3筒部と、を含む、請求項1に記載のバッグ。
【請求項3】
前記マチ部は前記正面側側縁及び前記背面側側縁の間の折返部で折り返されて折り畳まれ、
前記第3筒部が形成されている上縁と、前記マチ部に取り付けられ、上端が前記上縁の正面側の端部に接続され、前記折返部の下端に向かって延びる正面側下縁と、前記マチ部に取り付けられ、上端が前記上縁の背面側の端部に接続され、前記折返部の下端に向かって延びる背面側下縁と、を有する収納袋片を更に有する、請求項2に記載のバッグ。
【請求項4】
前記収納袋片の前記正面側下縁及び前記背面側下縁は、それぞれ前記マチ部の下端と鋭角を成して交差する、請求項3に記載のバッグ。
【請求項5】
前記絞り紐は、前記紐通し部の外部に引き出されている延出部を有し、
前記延出部の延在方向における任意の位置に係止可能であるストッパーを有する、請求項1ないし3の何れか1項に記載のバッグ。
【請求項6】
前記延出部に取り付けられたフックを有する、請求項5に記載のバッグ。
【請求項7】
前記マチ部の前記正面側側縁及び下端が成す角を含む3角形の領域を前記正面部に固定する正面側下部固定構造と、前記マチ部の前記背面側側縁及び下端が成す角を含む3角形の領域を前記背面部に固定する背面側下部固定構造と、を有する、請求項1乃至6の何れか一項に記載のバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から所謂エコバッグと称される買い物袋が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この買い物袋は、袋体の外面の下側コーナ部のうち、一方のコーナ部が袋体の他部を収脱可能な収納部として構成され、袋体の下側コーナ部に向けて袋体の他部を押し込むようにしつつ収納し、袋体の収納部と他部との境界に設けられた開閉手段によって収納部を閉塞することで、買い物袋をコンパクトに纏めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の買い物袋は、収納部が袋体の外面に設けられているために、収納袋や開閉手段が目立ち、不自然な印象を与える場合があり、シンプルな美観を創出することが困難であるという問題があった。加えて、紐等から構成される開閉手段が外面に露出して設けられているため、買い物袋として使用時に、突起物に開閉手段の紐等が引っかかったり、収納袋が傷ついたりするおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のある態様に係るバッグは、柔軟な材質であり、取っ手部を有し、下端が閉塞され上部が開口する袋状の袋本体部であって、正面部と、前記正面部に対峙して配置されている背面部と、正面側側縁及び背面側側縁を有し、前記正面側側縁が前記正面部の一方の側縁に接続され、前記背面側側縁が前記正面部の一方の側縁と対峙する前記背面部の一方の側縁に接続されているマチ部とを有し、前記マチ部の下端が折り畳まれた状態で前記正面部の下端及び前記背面部の下端の間に挟み込まれて固定されている袋本体部と、前記正面側側縁の下部及び前記背面側側縁の下部に沿って延びる筒状の紐通し部と、前記紐通し部に挿通されている絞り紐と、を有する。
【0007】
この構成によれば、紐通し部によって囲まれる領域を返し口として裏返すことによって、収納袋を形成し、この収納袋に袋本体部を押し込んで収容し、絞り紐で返し口を絞ることにより、容易にバッグをコンパクトな収納形態にすることができる。また、袋本体部を収納する構造の主要部は、正面部と背面部との間に位置するので、バッグの使用形態において、袋本体部を収納する構造を目立たなくすることができる。更に、袋本体部を収納する構造の主要部が外面に露出しにくい態様となるため、買い物袋として使用時に、突起物にひっかかったり、傷つけたりするおそれを減らすことができ、バッグ使用時に袋体を収納する構造が障害となるおそれを減らすことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、容易にバッグをコンパクトな収納形態にすることができ、また、バッグの袋本体部を収納する構造を目立たなくすることができ、また袋体部を収納する構造がバッグ使用時に障害となるおそれを減らすことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係るバッグの構成例を示す斜視図であり、バッグの使用形態を示す図である。
【
図2】
図1のバッグの構成例を示す要部拡大図であり、袋本体部収納構造が設けられているマチ部の下部を外側から見た状態を示す図である。
【
図3】
図1のバッグの使用例を示す図であり、返し口からバッグを裏返した状態を示す図である。
【
図4】
図1のバッグの構成例を示す図であり、バッグの収納形態を示す図である。
【
図5】実施の形態2に係るバッグの構成例を示す要部拡大図であり、袋本体部収納構造が設けられているマチ部の下部を外側から見た状態を示す図である。
【
図6】実施の形態1に係るバッグを示す図であり、(a)が正面図、(b)が背面図、(c)が平面図、(d)が底面図、(e)が左側面図、(f)が右側面図である。
【
図7】実施の形態1に係るバッグの底面を拡げた状態を示す図であり、(a)が正面図、(b)が背面図、(c)が平面図、(d)が底面図、(e)が左側面図、(f)が右側面図である。
【
図8】実施の形態1に係るバッグを示す図であり、(a)が
図7の(e)のA-A断面図、(b)が(a)のB-B部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下では、全ての図を通じて、同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るバッグ100の構成例を示す斜視図であり、バッグの使用形態を示す図である。
図2は、バッグ100の構成例を示す要部拡大図であり、袋本体部収納構造80が設けられているマチ部20の下部を外側から見た状態を示す図である。
【0012】
図1及び
図2に示すように、バッグ100は、所謂エコバッグと称される買い物袋であり、小さく折り畳むことができる折り畳み式のバッグである。
【0013】
バッグ100は、購入した物品を収容するための袋本体部1を備える。袋本体部1は、例えばナイロン製であり、柔軟な材質である。これによって、小さく折りたたむことができる。そして、袋本体部1は、一対の取っ手部28を有し、下端が閉塞され上部が開口する袋状に縫製されている。
【0014】
袋本体部1は、正面部10と、正面部10に対峙して配置されている背面部15とを有する。正面部10は、上下方向に延びる略長方形に形成され、一対の側縁11と、下端12とを含む。背面部15は、正面部10と略同一形状に形成され、一対の側縁16と、下端17とを含む。
【0015】
一対の取っ手部28は、使用者が袋本体部1を提げるために保持する部分であり、袋本体部1の上縁から上方に延びるように設けられている逆U字状の部材である。一対の取っ手部28は、互いに対向する位置に配設されている。
【0016】
そして、袋本体部1は、正面部10の一対の側縁11と背面部15の一対の側縁16とを接続する一対のマチ部20が形成されている。このうち、一方のマチ部20(
図1における左側のマチ部20)に、特徴的な袋本体部収納構造80が設けられている。以下では、袋本体部収納構造80が設けられているマチ部20について詳述するが、他方のマチ部20も袋本体部収納構造80(袋本体部収納構造80のマチ部20にかかる部分を除く)が設けられていないことを除き、同様に構成されている。
【0017】
袋本体部収納構造80が設けられているマチ部20は、上下方向に延びる略長方形に形成され、正面側側縁21と、背面側側縁22とを含む。正面側側縁21は、正面部10の一方の側縁11に接続され、背面側側縁22は、正面部10の一方の側縁11と対峙する背面部15の一方の側縁16に接続されている。そして、マチ部20は、正面側側縁21及び背面側側縁22の間の折返部23で谷折りに折り返されて折り畳まれている。そして、マチ部20の下端24は、折り畳まれた状態で正面部10の下端12及び背面部15の下端17の間に挟み込まれ、この状態で正面部10、背面部15及びマチ部20がまとめて縫着され、互いに固定されている。これによって、袋本体部1に物品を収容していない状態において、マチ部20は、正面部10及び背面部15の間に位置するように保持され、マチ部20及びここに設けられている袋本体部収納構造80を目立たなくすることができる。また、袋本体部1にマチ部20を設けることによって、袋本体部1の容量を大きくしつつ、袋本体部1をコンパクトにすることができる。
【0018】
そして、袋本体部1は、マチ部20の正面側側縁21及び下端24が成す角A1を含む3角形の領域を正面部10に固定する正面側縫着部26を有する。具体的には、マチ部20の折返部23の下端から正面側側縁21の下端よりも上側の部分(後述する第3筒部47の一端48が位置する付近)に向かって斜め上方に向かって延びる直線状の部位が正面部10に縫着されている。また、袋本体部1は、マチ部20の背面側側縁22及び下縁24が成す角A2を含む3角形の領域を背面部15に固定する背面側縫着部27を有し、正面側縫着部26と同様に背面部15に縫着されている。これによって、正面部10とマチ部20との間及び背面部15とマチ部20との間に砂塵等が入り込むことを防止することができる。また、
図7に示すように底面を容易に形成することができる。なお、図に表したバッグの形態において破線で表した部分は縫製線である。正面側縫着部26及び背面側縫着部27がそれぞれ正面側下部固定構造81及び背面側下部固定構造82である。正面側下部固定構造81及び背面側下部固定構造82は、接着等の縫着以外の手段によって固定されてもよい。
【0019】
本実施の形態において、袋本体部1は、一対のマチ部20の折返部23よりも正面側の生地と、一対のマチ部20の折返部23よりも背面側の生地との2枚の生地で構成されている。各生地には取っ手部28が一体的に設けられ、2枚の生地は一対の折返部23において縫合されている。そして、マチ部20に係る部位を正面部10及び背面部15の間に挟み込んだ状態で、袋本体部1の下端を縫合することによって、袋本体部1が縫製されている。
【0020】
袋本体部収納構造80が設けられているマチ部20には、収納袋片3が取り付けられている。収納袋片3は、ナイロン等の柔軟な材質の生地であり、後述する袋本体部1の収納形態においては、袋本体部1を収納する収納袋87の一部を成す部材である。収納袋片3は、上縁31と、正面側下縁32と、背面側下縁33とを含む略倒立3角形に形成されている。上縁31には、後述する第3筒部47が形成されている。上縁31の幅はマチ部20の幅と略同一に形成されている。正面側下縁32は、上端が上縁31の正面側の端部に接続されている。背面側下縁33は、上端が上縁31の背面側の端部に接続され、下端が正面側下縁32と交わる。そして、収納袋片3は、内側面がマチ部20の外側面と対向するように正面側下縁32及び背面側下縁33がマチ部20に取り付けられている。具体的には、収納袋片3の正面側下縁32の上端が、マチ部20の正面側側縁21又はその近傍であって、マチ部20の下端24から離れた位置に取り付けられている。そして、正面側下縁32は、折返部23の下端に向かって斜め下方に直線状に延びるようにマチ部20に取り付けられ、正面側下縁32の下端は折返部23の下端に取り付けられている。背面側下縁33は正面側下縁32と同様に構成されている。すなわち、背面側下縁33は、収納袋片3の背面側下縁33の上端が、マチ部20の背面側側縁22又はその近傍であって、マチ部20の下端24から離れた位置に取り付けられている。そして、背面側下縁33は、折返部23の下端に向かって斜め下方に直線状に延びるようにマチ部20に取り付けられ、背面側下縁33の下端は折返部23の下端に取り付けられている。このように、正面視において、収納袋片3の正面側下縁32及び背面側下縁33は、それぞれマチ部20の下端24と鋭角を成して交差する。正面側下縁32は正面側縫着部26上又は正面側縫着部26に沿って取り付けられていてもよい。また、背面側下縁33は、背面側縫着部27上又は背面側縫着部27に沿って取り付けられていてもよい。
【0021】
上縁31、正面側側縁21のうち上縁31の正面側端部が取り付けられた部位から下端24に亘る部分(後述する第1筒部41が設けられている部分)、及び背面側側縁22のうち上縁31の背面側端部が取り付けられた部位から下端24に亘る部分(後述する第2筒部44が設けられている部分)によって囲まれる部分が返し口86を成す。そして、
図2に示すように、上縁31を持ち上げた状態においては、返し口86を底面とし、マチ部20の下端24、収納袋片3の正面側下縁32及び背面側下縁33が交差する部位を頂点とする錘状の内部空間が形成されている。そして、返し口86から裏返すことによって、収納袋片3に係る部分、並びにこの収納袋片3の正面側下縁32及び背面側下縁33に連なるマチ部20の一部分(マチ部20の正面側側縁21、背面側側縁22、収納袋片3の正面側下縁32及び背面側下縁33によって囲まれる部分)が全体として略円錐形となり、内部に袋本体部1を収容するための収納袋87が形成される。これによって、容易に袋本体部1を収容することができる。
【0022】
そして、バッグ100は、返し口86を絞るための絞り機構である紐通し部4、絞り紐5、及びストッパー6を有する。
【0023】
紐通し部4は、絞り紐5が挿通される筒状の部位であり、正面側側縁21の下部、背面側側縁22の下部に沿って延びる筒状の部位を含む。紐通し部4は、返し口86に沿って断続的に延びる筒状の部位であり、第1筒部41と、第2筒部44と、第3筒部47とを含む。紐通し部4が返し口86に沿って断続的に延びるとは、絞り紐5の延出部51を引き出すための間隙が形成されていることを意味してもよい。
【0024】
第1筒部41は、上下方向に延び、上端42が正面側側縁21の下部に位置し、正面側側縁21に沿って下方に延び、下端43が正面側側縁21の下端に位置する。具体的には、第1筒部41は、正面側側縁21のうち上縁31の正面側端部が取り付けられた部位の近傍から下端24に亘る部分まで伸びている。
【0025】
第2筒部44は、上下方向に延び、上端45が背面側側縁22の下部に位置し、背面側側縁22に沿って下方に延び、下端46が背面側側縁22の下端に位置する。具体的には、第2筒部44は、背面側側縁22のうち上縁31の背面側端部が取り付けられた部位の近傍から下端24に亘る部分まで伸びている。第2筒部44の下端は第1筒部41の下端と連続しているが、離間していてもよい。
【0026】
第1筒部41及び第2筒部44は、マチ部20の正面側側縁21及び背面側側縁22に沿って、帯状の生地を宛がって、この生地の側縁を縫って形成されている。
【0027】
なお、第1筒部41の上端42は、正面側側縁21の下端からマチ部20の幅の0.25倍から0.75倍の長さに相当する距離を隔てた位置に形成されていてもよい。第2筒部44の上端45は、第1筒部41の上端42と同様に背面側側縁22に形成されていてもよい。これによって、後述する収納袋87を袋本体部1の収納に適した形状とすることができる。
【0028】
第3筒部47は、マチ部20に直接又は間接的に取り付けられ、一端48が第1筒部41の上端42が位置する領域に位置し、他端49が第2筒部44の上端45が位置する領域に位置するように延びる。本実施の形態において、第3筒部47は、マチ部20に収納袋片3を介して間接的に取り付けられている。そして、第3筒部47の一端48は、第1筒部41の上端42の近傍に、この上端42と離間して設けられている。また、第3筒部47の他端49は、第2筒部44の上端45の近傍に、この上端45と離間して設けられている。第3筒部47は、例えば、収納袋片3の生地の上縁を三つ折りにして内側の折り曲げ部分を縫って形成されている。なお、第3筒部47の一端48は、第1筒部41の上端42と連続していてもよく、また、第3筒部47の他端49は、第2筒部44の上端45と連続していてもよい。
【0029】
絞り紐5は、紐通し部4に挿通されている。具体的には、絞り紐5は、第3筒部47の一端48と第1筒部41の上端42との間から第3筒部47に挿入され、第3筒部47の他端49から引き出されている。そして、この引き出された部分は、第3筒部47の他端49と第2筒部44の上端45との間から第2筒部44に挿入され、第1筒部41の上端42から引き出されている。そして、絞り紐5の両端を結び合わせて結び目52が形成され、絞り紐5は環状に形成されている。そして、絞り紐5の第3筒部47の他端49と第2筒部44の上端45との間の部分が、紐通し部4の外部に引き出されている延出部51である。延出部51は中間部分で折り曲げられ、折り曲げられた部位よりも紐通し部4寄りの部分には、絞り紐5の第3筒部47の他端49から折り曲げられた部分まで延びる部位と折り曲げられた部分から第2筒部44の上端45まで延びる部位とをまとめて保持するようにストッパー6が取り付けられている。ストッパー6は、延出部51の延在方向にスライドさせて、この延出部51の延在方向における任意の位置に位置させて係止することが可能となっており、またその係止の解除が可能となっている。そして、絞り紐5の折り返した部分を持って、ストッパー6を紐通し部4側にスライドさせることによって返し口86を絞ることができ、この状態でストッパー6を延出部51に係止することによって、返し口86が絞られた状態が維持される。また、ここから、ストッパー6の係止を解除し、ストッパー6を絞り紐5の折り曲げられた部位の側にスライドさせることによって返し口86を開くことができ、この状態でストッパー6を延出部51に係止することによって、返し口86を開いた状態が維持される。このように、ストッパー6を操作することによって、返し口86を容易に絞ったり開いたりすることができる。
【0030】
そして、絞り紐5の延出部51には、フック7が取り付けられている。よって、フック7を用いて、内部に袋本体部1を収容した形態のバッグ100を他のバッグ等に留めることができる。また、収納袋87の外側面となる部分にはフック7を掛けて係止することができる丸環及び丸環と収納袋87とを連結する部材とを含むフック掛け71が設けられている。よって、絞り紐5を他のバッグの持ち手に掛けて、フック7をフック掛け71の丸環に係止することによって、バッグ100を他のバッグに留めることができる。
【0031】
以上に説明したように、バッグ100は、
図1に示す袋本体部1の使用形態において、紐通し部4によって囲まれる領域を返し口86として裏返すことによって、
図3に示すように、袋本体部1を収容するための収納袋87を形成することができる。そして、収納袋87の内部に袋本体部1を押し込んで、容易に袋本体部1を収納袋87に収納することができる。そして、
図4に示すように、絞り紐5で返し口86を絞ることにより、容易にバッグ100をコンパクトな収納形態にすることができる。なお、収納袋87は、円錐状であるので、使用者に収納袋87のの内部に袋本体部1を押し込むときは、畳む必要がないことをその収納袋87の形状から伝えることができる。また、本来は必要のない畳むという手順を使用者が踏んでしまい、押し込むだけでコンパクトにすることができるというバッグ100の利点を使用者が享受し損ねることを防止することができる。なお、収納袋87を構成する部分、紐通し部4、絞り紐5が袋本体部収納構造80を構成する。また、袋本体部収納構造80には、取っ手部28を除くマチ部20の下半分が含まれてもよい。
【0032】
そして、収納袋87は、袋本体部1を構成するマチ部20の一部を用いて構成されているので、袋本体部収納構造80の構成を簡素化することができ、製造に有利、且つ、製造コストも安価となる。
【0033】
また、
図1に示す袋本体部1の使用形態において、袋本体部収納構造80の主要部は、正面部10と背面部15との間に位置するので、使用形態において収納袋87を目立たなくすることができる。
【0034】
なお、
図6は、実施の形態1に係るバッグ100を示す図であり、(a)が正面図、(b)が背面図、(c)が平面図、(d)が底面図、(e)が左側面図、(f)が右側面図である。また、
図7は、バッグ100の底面を拡げた状態を示す図であり、(a)が正面図、(b)が背面図、(c)が平面図、(d)が底面図、(e)が左側面図、(f)が右側面図である。さらに、
図8は、バッグ100を示す図であり、(a)が
図7の(e)のA-A断面図、(b)が(a)のB-B部分拡大図である。
【0035】
(実施の形態2)
以下では実施の形態2の構成、動作について、実施の形態1との相違点を中心に述べる。
図5は、実施の形態2に係るバッグ200の構成例を示す要部拡大図であり、袋本体部収納構造80が設けられているマチ部20の下部を外側から見た状態を示す図である。上記実施の形態1において、第3筒部47は、マチ部20に収納袋片3を介して間接的に取り付けられている。一方、本実施の形態において、バッグ200は、収納袋片3が設けられておらず、第3筒部47はマチ部20に直接取り付けられている。また、フック掛け71に代えて、絞り紐5を結んで形成した輪であるフック掛け271が絞り紐5の第3筒部47の一端48と第1筒部41の上端42との間に位置する部位に設けられている。フック掛け271は、例えば2重8の字結びによって形成され、フック7を係止することができるものである。
【0036】
このように、ある態様に係るバッグ100は、柔軟な材質であり、取っ手部28を有し、下端が閉塞され上部が開口する袋状の袋本体部1であって、正面部10と、正面部10に対峙して配置されている背面部15と、正面側側縁21及び背面側側縁22を有し、正面側側縁21が正面部10の一方の側縁11に接続され、背面側側縁22が正面部10の一方の側縁11と対峙する背面部15の一方の側縁16に接続されているマチ部20とを有し、マチ部20の下端24が折り畳まれた状態で正面部10の下端12及び背面部15の下端17の間に挟み込まれて固定されている袋本体部1と、正面側側縁21の下部及び背面側側縁22の下部に沿って延びる筒状の紐通し部4と、紐通し部4に挿通されている絞り紐5と、を有する。
【0037】
この構成によれば、紐通し部4によって囲まれる領域を返し口86として裏返すことによって、収納袋87を形成し、この収納袋87に袋本体部1を押し込んで収容し、絞り紐5で返し口86を絞ることにより、容易にバッグ100をコンパクトな収納形態にすることができる。また、袋本体部1を収納する構造の主要部は、正面部10と背面部15との間に位置するので、バッグ100の使用形態において、袋本体部1を収納する構造を目立たなくすることができる。また、袋本体部1を収納する構造の主要部が外面に露出しにくい態様となるため、買い物袋として使用時に、突起物にひっかかったり、傷つけたりするおそれを減らすことができ、バッグ使用時に袋体を収納する構造が障害となるおそれを減らすことができる。
【0038】
紐通し部4は、上端42が正面側側縁21の下部に位置し、正面側側縁21に沿って延び、下端43が正面側側縁21の下端に位置する第1筒部41と、上端45が背面側側縁22の下部に位置し、背面側側縁22に沿って延び、下端46が背面側側縁22の下端に位置する第2筒部44と、マチ部20に直接又は間接的に取り付けられ、一端48が第1筒部41の上端42が位置する領域に位置し、他端49が第2筒部44の上端45が位置する領域に位置するように延びる第3筒部47と、を含んでいてもよい。
【0039】
この構成によれば、返し口86を適切に構成することができる。
【0040】
マチ部20は正面側側縁21及び背面側側縁22の間の折返部23で折り返されて折り畳まれ、第3筒部47が形成されている上縁31と、マチ部20に取り付けられ、上端が上縁31の正面側の端部に接続され、折返部23の下端に向かって延びる正面側下縁32と、マチ部20に取り付けられ、上端が上縁31の背面側の端部に接続され、折返部23の下端に向かって延びる背面側下縁33と、を有する収納袋片3を更に有してもよい。
【0041】
この構成によれば、収納袋片3に係る部分、並びにマチ部20の正面側側縁21、背面側側縁22、収納袋片3の正面側下縁32及び背面側下縁33によって囲まれる部分を内部に袋本体部1を収容するための収納袋87とすることができる。
【0042】
収納袋片3の正面側下縁32及び背面側下縁33は、それぞれマチ部20の下端24と鋭角を成して交差してもよい。
【0043】
この構成によれば、第1~第3筒部41、44、47によって囲まれる領域を返し口86として裏返したときに収納袋87が略円錐形となり、容易に袋本体部1を収容することができる。
【0044】
絞り紐5は、紐通し部4の外部に引き出されている延出部51を有し、延出部51の延在方向における任意の位置に係止可能であるストッパー6を有してもよい。
【0045】
この構成によれば、返し口86を絞った状態を容易に保つことができる。
【0046】
延出部51に取り付けられたフック7を有してもよい。
【0047】
この構成によれば、内部に袋本体部1を収容した形態のバッグ100を他のバッグ100等に留めることができ、携帯が容易となる。
【0048】
マチ部20の正面側側縁21及び下端24が成す角を含む3角形の領域を正面部10に固定する正面側下部固定構造81と、マチ部20の背面側側縁22及び下端24が成す角を含む3角形の領域を背面部15に固定する背面側下部固定構造82と、を有してもよい。
【0049】
この構成によれば、正面部10とマチ部20との間及び背面部15とマチ部20との間に砂塵等が入り込むことを防止することができる。
【0050】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【符号の説明】
【0051】
1 袋本体部
3 収納袋片
4 紐通し部
5 絞り紐
10 正面部
11 (正面部の)側縁
12 (正面部の)下端
15 背面部
16 (背面部の)側縁
17 (背面部の)下端
20 マチ部
21 正面側側縁
22 背面側側縁
24 (マチ部の)下端
28 取っ手部
31 上縁
86 返し口
87 収納袋
100 バッグ