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特開2022-76847加工部品の製造装置、加工部品の製造方法及びパーツホーマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076847
(43)【公開日】2022-05-20
(54)【発明の名称】加工部品の製造装置、加工部品の製造方法及びパーツホーマー
(51)【国際特許分類】
   B21J 13/02 20060101AFI20220513BHJP
   B21J 5/08 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
B21J13/02 K
B21J13/02 C
B21J5/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020187463
(22)【出願日】2020-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】592061050
【氏名又は名称】大川精螺工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨山 一希
【テーマコード(参考)】
4E087
【Fターム(参考)】
4E087AA10
4E087CA28
4E087CA33
4E087CB03
4E087DA04
4E087EA37
4E087EC11
4E087EE01
4E087HB03
(57)【要約】
【課題】被金属加工部品を加工するための工程を減らすことができる加工部品の製造装置、パーツホーマー及び加工部品の製造方法を得る。
【解決手段】加工部品の製造装置10は、軸方向に移動可能とされると共に被金属加工部品100の第1筒部104を外周側から支持する接触部20B及び第1筒部104と突起106との間に係合される係合部22Aが設けられた金型20と、突起106に孔部126を形成するための成形ピン24と、を備えたダイス側部材12と、第2筒部108と係合する凹状部14Bを備え、被金属加工部品100を成形ピン24の側に押し付けることで、突起106の塑性変形により突起106の端面から軸方向に沿って孔部126を形成し、さらにダイス側部材12を固定した状態で被金属加工部品100をダイス側部材12の側に押し付けることで、本体部102を変形させるパンチ側部材14と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部の一方側に延びた第1筒部と、前記第1筒部の内部に配置された柱状の突起と、前記本体部の他方側に延びた第2筒部と、を備えた被金属加工部品を用いて加工部品を製造する製造装置であって、
軸方向に移動可能とされると共に前記第1筒部を外周側から支持する支持部及び前記第1筒部と前記突起との間に係合される係合部が設けられた金型と、前記突起に孔部を形成するための成形ピンと、を備えたダイス側部材と、
前記第2筒部と係合する環状部を備え、前記被金属加工部品を前記成形ピンの側に押し付けることで、前記突起の塑性変形により前記突起の端面から軸方向に沿って前記孔部を形成し、さらに前記ダイス側部材を固定した状態で前記被金属加工部品を前記ダイス側部材の側に押し付けることで、前記本体部を変形させるパンチ側部材と、
を有する加工部品の製造装置。
【請求項2】
前記成形ピンは固定されており、
前記突起に前記孔部が形成されるまでは、前記金型は、前記支持部が前記第1筒部を外周側から支持すると共に前記係合部が前記第1筒部と前記突起との間に係合された状態で前記パンチ側部材の押し付け方向に向かって軸方向に移動する構成とされている請求項1に記載の加工部品の製造装置。
【請求項3】
前記金型を前記パンチ側部材の方向へ付勢する付勢部材と、
前記金型の前記押し付け方向への移動を規制するストッパと、を備え、
前記金型は、前記付勢部材の付勢力に抗して前記押し付け方向に向かって軸方向に移動する構成とされている請求項2に記載の加工部品の製造装置。
【請求項4】
本体部の一方側に延びた第1筒部と、前記第1筒部の内部に配置された柱状の突起と、前記本体部の他方側に延びた第2筒部と、を備えた被金属加工部品を用いて加工部品を製造する製造方法であって、
前記第1筒部の外周側を金型の支持部に接触させ、前記第1筒部と前記突起との間に前記金型の係合部を係合させるように前記被金属加工部品をセットするセット工程と、
パンチ側部材により前記被金属加工部品を成形ピンに押し付け、塑性変形により前記突起の端面から軸方向に沿って孔部を形成する孔部形成工程と、
前記金型と前記成形ピンを固定した状態で、前記パンチ側部材により引き続き前記被金属加工部品を前記金型の側に押し付けることで、前記本体部を変形させる本体部変形工程と、
を有する加工部品の製造方法。
【請求項5】
前記本体部変形工程では、前記本体部に半径方向外側に張り出したフランジ部が形成される請求項4に記載の加工部品の製造方法。
【請求項6】
前記加工部品は、継手金具を製造する過程の中間部品である請求項4又は請求項5に記載の加工部品の製造方法。
【請求項7】
中実の金属円柱体を複数の加工部に順次搬送し、複数の加工を行うことで、前記金属円柱体から継手金具部品を製造する製造方法の一部に、請求項4から請求項6までのいずれか1項に記載の加工部品の製造方法に記載した工程が組み込まれているパーツホーマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工部品の製造装置、加工部品の製造方法及びパーツホーマーに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ホース継手金具の製造方法が開示されている。このホース継手金具の製造方法では、例えば、第2工程で材料片の一端に円柱状のニップル構成部分とソケット部を形成し、第3工程で材料片の中間部分にソケット部よりも大径のフランジ部を形成する。さらに、第4工程で材料片のソケット部の反対側に有底円筒状のねじ接続部を形成し、第5工程で材料片のねじ接続部の底面に円錐台状の穴を形成する。さらに、第6工程を経て第7工程でニップル構成部分の外周をダイで保持しながらパンチ挿入し、後方押し出しによって筒状のニップルを形成する。そして、第8工程でフランジ部を継手金具取付け用の形状に成形するトリミング工程を行うことで、ホース継手金具ブランク素材を製造する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-123493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のホース継手金具の製造方法では、ホース継手金具を製造する工程の数が多く、作業が煩雑となる。また、ホース継手金具を製造する工程の数が多いため、例えば、材料片を順次搬送して複数の加工を行うパーツホーマー内に、ホース継手金具を製造するための多数の工程を組み込むことが難しい。パースホーマーは、工程数が決まっているため、ホース継手金具を製造する際には、パースホーマーから材料片を取り出して別の加工装置で材料片を加工する必要がある。このため、パースホーマー内で材料片からホース継手金具を一貫して製造することが難しい。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、被金属加工部品を加工するための工程を減らすことができる加工部品の製造装置、加工部品の製造方法及びパーツホーマーを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に記載の加工部品の製造装置は、本体部の一方側に延びた第1筒部と、前記第1筒部の内部に配置された柱状の突起と、前記本体部の他方側に延びた第2筒部と、を備えた被金属加工部品を用いて加工部品を製造する製造装置であって、軸方向に移動可能とされると共に前記第1筒部を外周側から支持する支持部及び前記第1筒部と前記突起との間に係合される係合部が設けられた金型と、前記突起に孔部を形成するための成形ピンと、を備えたダイス側部材と、前記第2筒部と係合する環状部を備え、前記被金属加工部品を前記成形ピンの側に押し付けることで、前記突起の塑性変形により前記突起の端面から軸方向に沿って前記孔部を形成し、さらに前記ダイス側部材を固定した状態で前記被金属加工部品を前記ダイス側部材の側に押し付けることで、前記本体部を変形させるパンチ側部材と、を有する。
【0007】
第1態様に記載の加工部品の製造装置によれば、被金属加工部品がダイス側部材にセットされた状態で、被金属加工部品の第1筒部が外周側から金型の支持部で支持され、被金属加工部品の第1筒部と柱状の突起との間に金型の係合部が係合される。パンチ側部材の環状部は、被金属加工部品の第2筒部に係合される。金型が軸方向に移動可能とされた状態で、パンチ側部材によって、被金属加工部品を成形ピンの側に押し付けることで、突起の塑性変形により突起の端面から軸方向に沿って孔部が形成される。さらに、ダイス側部材を固定した状態で、パンチ側部材によって、被金属加工部品をダイス側部材の側に押し付けることで、本体部を変形させる。これにより、被金属加工部品の突起に孔部を形成する加工と本体部を変形させる加工とを分離せずに、パンチ側部材によって被金属加工部品を押し付けるという1工程で行うことが可能となる。このため、被金属加工部品を加工するための工程を減らすことができる。
【0008】
第2態様に記載の加工部品の製造装置は、第1態様に記載の加工部品の製造装置において、前記成形ピンは固定されており、前記突起に前記孔部が形成されるまでは、前記金型は、前記支持部が前記第1筒部を外周側から支持すると共に前記係合部が前記第1筒部と前記突起との間に係合された状態で前記パンチ側部材の押し付け方向に向かって軸方向に移動する構成とされている。
【0009】
第2態様に記載の加工部品の製造装置によれば、パンチ側部材によって、被金属加工部品を成形ピンの側に押し付ける際には、成形ピンは固定されている。さらに、金型がパンチ側部材の押し付け方向に向かって軸方向に移動することで、金型の支持部によって第1筒部の外周側が支持され、金型の係合部によって第1筒部の内周側と突起の外周側が支持される。この状態で、突起が成形ピンの側に押し付けられることで、第1筒部の変形や突起の外周側への変形が抑制される。このため、突起の塑性変形により突起の端面から軸方向に沿って孔部を効率よく形成することができる。
【0010】
第3態様に記載の加工部品の製造装置は、第2態様に記載の加工部品の製造装置において、前記金型を前記パンチ側部材の方向へ付勢する付勢部材と、前記金型の前記押し付け方向への移動を規制するストッパと、を備え、前記金型は、前記付勢部材の付勢力に抗して前記押し付け方向に向かって軸方向に移動する構成とされている。
【0011】
第3態様に記載の加工部品の製造装置によれば、金型は、付勢部材によりパンチ側部材の方向へ付勢されている。パンチ側部材が被金属加工部品をダイス側部材の側に押し付けることで、突起に孔部が形成されるまでは、付勢部材の付勢力に抗して金型が押し付け方向に向かって軸方向に移動する。そして、ストッパにより、金型の押し付け方向への移動が停止される。この状態で、さらにパンチ側部材が被金属加工部品をダイス側部材の側に押し付けることで、本体部を変形させることが可能である。このため、被金属加工部品の突起に孔部を形成する加工と本体部を変形させる加工とを連続して1工程で行うことができる。
【0012】
第4態様に記載の加工部品の製造方法は、本体部の一方側に延びた第1筒部と、前記第1筒部の内部に配置された柱状の突起と、前記本体部の他方側に延びた第2筒部と、を備えた被金属加工部品を用いて加工部品を製造する製造方法であって、前記第1筒部の外周側を金型の支持部に接触させ、前記第1筒部と前記突起との間に前記金型の係合部を係合させるように前記被金属加工部品をセットするセット工程と、パンチ側部材により前記被金属加工部品を成形ピンに押し付け、塑性変形により前記突起の端面から軸方向に沿って孔部を形成する孔部形成工程と、前記金型と前記成形ピンを固定した状態で、前記パンチ側部材により引き続き前記被金属加工部品を前記金型の側に押し付けることで、前記本体部を変形させる本体部変形工程と、を有する。
【0013】
第4態様に記載の加工部品の製造方法によれば、セット工程では、第1筒部の外周側を金型の支持部に接触させ、第1筒部と突起との間に金型の係合部を係合させるように被金属加工部品をセットする。孔部形成工程では、パンチ側部材により被金属加工部品を成形ピンに押し付け、塑性変形により突起の端面から軸方向に沿って孔部を形成する。さらに、本体部変形工程では、金型と成形ピンを固定した状態で、パンチ側部材により引き続き被金属加工部品を金型の側に押し付けることで、本体部を変形させる。これにより、被金属加工部品の突起に孔部を形成する加工と本体部を変形させる加工とを分離せずに、パンチ側部材によって被金属加工部品を押し付けるという1工程で行うことが可能となる。このため、被金属加工部品を加工するための工程を減らすことができる。
【0014】
第5態様に記載の加工部品の製造方法は、第4態様に記載の加工部品の製造方法において、前記本体部変形工程では、前記本体部に半径方向外側に張り出したフランジ部が形成される。
【0015】
第5態様に記載の加工部品の製造方法によれば、本体部変形工程では、金型と成形ピンを固定した状態で、パンチ側部材により被金属加工部品を金型の側に押し付けることで、本体部に半径方向外側に張り出したフランジ部を形成することができる。
【0016】
第6態様に記載の加工部品の製造方法は、第4態様又は第5態様に記載の加工部品の製造方法において、前記加工部品は、継手金具を製造する過程の中間部品である。
【0017】
第6態様に記載の加工部品の製造方法によれば、加工部品は、継手金具を製造する過程の中間部品であるので、継手金具を製造する際に工程の数を減らすことができる。
【0018】
第7態様に記載のパーツホーマーは、中実の金属円柱体を複数の加工部に順次搬送し、複数の加工を行うことで、前記金属円柱体から継手金具部品を製造する製造方法の一部に、第4態様から第6態様までのいずれか1つの態様に記載の加工部品の製造方法に記載した工程が組み込まれている。
【0019】
第7態様に記載のパーツホーマーによれば、金属円柱体から継手金具部品を製造する製造方法の一部に、第4態様から第6態様までのいずれか1つの態様に記載の加工部品の製造方法に記載した工程が組み込まれている。上記の加工部品の製造方法は、被金属加工部品を加工するための工程の数を減らすことができるので、パーツホーマーにおいて、無理なく上記の加工部品の製造方法に記載した工程を組み込むことができる。このため、パーツホーマーにおいて、金属円柱体から継手金具部品を製造するまでの工程を一貫して行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る加工部品の製造装置、パーツホーマー及び加工部品の製造方法によれば、被金属加工部品を加工するための工程を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】(A)は、第1実施形態に係る加工部品の製造装置により加工する前の被金属加工部品を示す半裁断面図であり、(B)は、第1実施形態に係る加工部品の製造装置により加工した後の加工部品を示す半裁断面図である。
図2図1(B)に示す加工部品をさらに加工した継手金具部品を示す半裁断面図である。
図3】第1実施形態に係る加工部品の製造装置を示す断面図であって、被金属加工部品をダイス側部材にセットした状態を示す断面図である。
図4図3に示す加工前の被金属加工部品を示す断面図である。
図5】第1実施形態に係る加工部品の製造装置を示す断面図であって、被金属加工部品を加工する中間加工状態を示す断面図である。
図6図5に示す中間加工状態の被金属加工部品を示す断面図である。
図7】第1実施形態に係る加工部品の製造装置を示す断面図であって、被金属加工部品の加工の完了した状態を示す断面図である。
図8図7に示す加工が完了した状態の被金属加工部品を示す断面図である。
図9】第1実施形態に係る加工部品の製造装置を組み込んだパーツホーマーを示す構成図である。
図10】比較例に係る加工部品の製造工程を示す図であって、(A)は、加工前の被金属加工部品を示す半裁断面図であり、(B)は、金属加工片に第1工程により孔部を形成した状態を示す半裁断面図であり、(C)は、金属加工片に第2工程によりフランジ部を形成した状態を示す半裁断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図1図9を用いて、第1実施形態に係る加工部品の製造装置及び製造方法について説明する。
【0023】
図1(A)には、第1実施形態に係る加工部品の製造装置を用いて加工する前の被金属加工部品が示されている。図1(B)には、第1実施形態に係る加工部品の製造装置を用いて被金属加工部品を加工した後の加工部品が示されている。
【0024】
図1(A)に示されるように、第1実施形態に係る加工部品の製造装置を用いて加工する前の被金属加工部品100は、本体部102と、本体部102の一方側に延びた第1筒部104と、第1筒部104の内部に配置された柱状の突起106と、を備えている。また、被金属加工部品100は、本体部102の他方側に延びた第2筒部108を備えている(図4参照)。
【0025】
本体部102は、例えば、略円柱状とされている。第1筒部104は、本体部102の軸方向の一方側に延びている。第1筒部104は、略円筒状とされており、第1筒部104の外径は、本体部102の外径よりも小さい。
【0026】
突起106は、本体部102の中心部に沿って、本体部102の軸方向の一方側に延びている。突起106は、略円柱状とされている。突起106と第1筒部104との間には環状の隙間が形成されている、突起106の軸方向の長さは、第1筒部104の軸方向の長さよりも短い。
【0027】
第2筒部108は、本体部102の軸方向の他方側に延びている。第2筒部108は、略円筒状とされており、第2筒部108の外径は、本体部102の外径と等しい。第2筒部108の軸方向の長さは、第1筒部104の軸方向の長さよりも短い。第2筒部108の厚みは、第1筒部104の厚みよりも大きい。
【0028】
本実施形態では、後述するパーツホーマー150(図9参照)の複数段の加工工程により、金属円柱体162を加工することで、図1(A)に示す被金属加工部品100が形成されている。
【0029】
図1(B)に示されるように、被金属加工部品100を加工した後の加工部品120は、本体部122から半径方向外側に延びたフランジ部(鍔部)128と、本体部122から軸方向の一方側に延びたニップル124と、を備えている(図8参照)。また、加工部品120は、本体部122から一方向に延びた第1筒部104と、本体部122から他方側に延びた第2筒部108と、を備えている。本体部122及びフランジ部128は、被金属加工部品100の本体部102(図1(A)参照)を変形させることよって形成されている。本体部122の軸方向の長さは、本体部102の軸方向の長さよりも短い。例えば、本体部122及びフランジ部128は、被金属加工部品100の本体部102が軸方向に圧縮されると共に半径方向外側に張り出した形状とされている。
【0030】
また、第2筒部108の内部の本体部122の底面には、軸方向に窪んだ円錐台状の穴130が形成されている。
【0031】
ニップル124は、筒状とされており、中心部に軸方向に沿って孔部126が形成されている。ニップル124は、被金属加工部品100の突起106を変形させることによって形成されている。例えば、ニップル124は、被金属加工部品100の突起106が軸方向に伸びると共に突起106の端面から軸方向に沿って孔部126が形成された形状とされている。なお、加工部品120の製造装置及び製造方法については、後に説明する。
【0032】
図2には、加工部品120をさらに加工した継手金具部品140が示されている。図2に示されるように、継手金具部品140は、本体部122の軸方向の第1筒部104の側に形成されたフランジ部142と、第1筒部104の軸方向の長さよりも短いニップル144と、を備えている。フランジ部142は、加工部品120のフランジ部128よりも軸方向の長さが短く、半径方向外側への張り出し長さが長い。ニップル144の中心部には、軸方向に沿って孔部146が形成されている。孔部146は、加工部品120の孔部126に面取り等を施している。継手金具部品140は、パーツホーマー150(図9参照)のすべての段の加工工程を施すことによって形成されている。
【0033】
図3には、第1実施形態に係る加工部品の製造装置10が示されている。図3に示されるように、製造装置10には、図1(A)及び図4に示す被金属加工部品100がセットされている。図3には、被金属加工部品100を加工する前の状態が示されている。
【0034】
製造装置10は、被金属加工部品100を受けるダイス側部材12と、被金属加工部品100を押し付けるパンチ側部材14と、を備えている。製造装置10は、パンチ側部材14により被金属加工部品100をダイス側部材12に押し付けることで、被金属加工部品100を冷間圧造により加工するものである。ここで、圧造加工とは、金属材料に力を加えることにより目的の形状に変形させる塑性加工の一種であり、圧造加工のなかの冷間とは、形状変形のために材料を加熱することなく、常温状態において叩く、伸ばす、曲げるなどの力を加えるのみで目的形状を得る加工方法のことである。
【0035】
ダイス側部材12は、筐体18と、筐体18の内部に軸方向に移動可能に支持された金型20と、金型20の半径方向内側に配置された成形ピン24と、を備えている。
【0036】
また、ダイス側部材12は、金型20をパンチ側部材14の方向へ付勢する付勢部材28と、金型20のダイス側部材12による押し付け方向の移動を規制するストッパ30と、を備えている。
【0037】
筐体18は、筒状部40と、筒状部40の軸方向におけるパンチ側部材14の反対側に配置された側壁部42と、筒状部40の内側で金型20を軸方向に移動可能に支持する支持体44と、を備えている。筒状部40は、略円形状の穴部40Aを備えている。筒状部40の穴部40Aの軸方向の奥側には、側壁部42と接触するように底壁部43が配置されている。底壁部43は、板状の部材であり、筒状部40の軸方向と交差(本実施形態では直交)する方向に配置されている。底壁部43は、側壁部42に固定されており、軸方向に移動しない。
【0038】
支持体44は、筒状とされており、筒状部40の内壁及び底壁部43に接触するように配置されている。支持体44は、筒状部40及び底壁部43に固定されており、軸方向に移動しない。支持体44は、一例として、筒状部40の軸方向に沿って配置された複数(本実施形態では3つ)の筒部44A、44B、44Cで構成されている。支持体44のうちのパンチ側部材14に最も近い筒部44Aには、金型20のパンチ側部材14の側への抜け出しを規制するストッパ46が設けられている。ストッパ46は、半径方向内側に突出する壁部であり、第1金型20の半径方向外側に突出する壁部20Eが当たることで、金型20がパンチ側部材14の側に抜け出さない構成とされている。
【0039】
金型20は、被金属加工部品100の第1筒部104と突起106に対応する凹部を備えたブロック状の部材とされている。図示を省略するが、金型20は、複数の部材により一体的に構成されている。金型20は、筒状の本体部20Aと、本体部20Aの軸方向の挿入口側(パンチ側部材14の側)で被金属加工部品100の第1筒部104の外周面と接触する接触部20Bと、を備えている。また、金型20は、本体部20Aの軸方向の奥側に配置された奥側壁部20Cと、奥側壁部20Cからパンチ側部材14の方向に向かって突出する突出部20Fと、を備えている。
【0040】
接触部20Bは、本体部20Aの内壁よりも半径方向内側に突出している。接触部20Bは、略円形状の湾曲部とされており、接触部20Bの内径は、本体部20Aの内径よりも小さい。接触部20Bの軸方向の長さは、被金属加工部品100の第1筒部104の軸方向の長さよりも長い。接触部20Bは、第1筒部104を外周側から支持する。接触部20Bは、支持部の一例である。金型20は、接触部20Bが第1筒部104の外周面と接触した状態で、被金属加工部品100と共に筒状部40の軸方向に沿って移動可能とされている。なお、金型20の形状は変更可能である。
【0041】
奥側壁部20Cは、本体部20Aの軸方向に対して交差(本実施形態では直交)する方向に配置されている。奥側壁部20Cは、本体部20Aによって形成された略円形状の凹部の底部を構成している。奥側壁部20Cには、後述する複数のスライド部48がそれぞれ挿通される貫通孔23が形成されている。
【0042】
突出部20Fは、略円筒状とされており、奥側壁部20Cの中心付近からパンチ側部材14の側に向かって突出されている。突出部20Fの先端側は、筒状部40の挿入口側(すなわち、パンチ側部材14の側)に配置された係合部22Aとされている。係合部22Aは、接触部20Bの半径方向内側に配置されており、係合部22Aと接触部20Bとの間には、被金属加工部品100の第1筒部104が挿入可能な隙間が形成されている。係合部22Aは、被金属加工部品100の第1筒部104と突起106との間に係合可能とされている。言い換えると、係合部22Aは、第1筒部104と突起106との間の環状の凹部に挿入可能とされている。
【0043】
例えば、係合部22Aの外径は、第1筒部104の内径と同等又は第1筒部104の内径より僅かに小さく、係合部22Aの外周面は、第1筒部104の内周面と接触可能とされている。例えば、係合部22Aの内径は、突起106の外形と同等又は突起106の外径より僅かに大きく、係合部22Aの内周面は、突起106の外周面と接触可能とされている。係合部22Aの先端面は、金型20の本体部20Aの端面20Dよりも軸方向奥側(パンチ側部材14から離れる側)に配置されている。係合部22Aの先端面が最もパンチ側部材14の側に移動した状態で、係合部22Aの先端面は、筒状部40の端面40Bより僅かに軸方向奥側に配置された位置まで移動している。金型20は、接触部20Bが第1筒部104の外周面と接触されると共に、係合部22Aが第1筒部104と突起106との間に係合された状態で、被金属加工部品100と共に筒状部40の軸方向に沿って移動可能とされている。
【0044】
金型20における本体部20A及び接触部20Bと係合部22Aとの間には、管状体50が配置されている。管状体50の先端部50Aの厚みは、被金属加工部品100の第1筒部104の厚みと同等である。これにより、管状体50の先端部50Aが金型20の接触部20Bと係合部22Aとの間で第1筒部104の端面に接触するように配置されている。管状体50の軸方向における先端部50Aと反対側には、半径方向外側に突出した突出部50Bが形成されている。突出部50Bには、スライド部48の先端部が接触している。スライド部48は、底壁部43及び金型20の奥側壁部20Cを貫通しており、図示しない駆動部により軸方向にスライド可能とされている。駆動部により、スライド部48がパンチ側部材14の側にスライドすることで、管状体50を介して加工後の被金属加工部品100をダイス側部材12から蹴り出すようになっている。
【0045】
付勢部材28は、例えば、筒状部40の内部に軸方向に沿って配置されている。付勢部材28は、複数配置されていてもよい。付勢部材28は、一端が底壁部43に接触するように配置されており、他端が金型20の軸方向の奥側の端面に接触している。付勢部材28は、金型20をパンチ側部材14の方向へ付勢する。付勢部材28の付勢力により、金型20の壁部20Eがストッパ46に当たる位置まで金型20が軸方向に移動している。この状態では、金型20におけるパンチ側部材14と対向する端面20Dは、筒状部40の端面40Bに沿った位置まで移動している。また、パンチ側部材14で被金属加工部品100をダイス側部材12の側に押し付けた際に、金型20は、付勢部材28の付勢力に抗してパンチ側部材14の押し付け方向に向かって軸方向に移動するようになっている。
【0046】
ストッパ30は、付勢部材28の内側に配置されている。ストッパ30の軸方向の奥側の端部は、底壁部43に接触するように配置されている。ストッパ30は、底壁部43に固定されている。ストッパ30の軸方向の長さは、付勢部材28が圧縮される前(図3参照)の軸方向の長さよりも短く、金型20とストッパ30との間に隙間が設けられている。金型20が付勢部材28の付勢力に抗してパンチ側部材14の押し付け方向に向かって軸方向に移動したときに、金型20がストッパ30に当たることで、金型20がダイス側部材12による押し付け方向にそれ以上移動しない構成とされている。このとき、パンチ側部材14で被金属加工部品100を押し付けても、金型20がストッパ30に安定して支持されるようになっている。
【0047】
ストッパ30には、軸方向に移動可能なスライド部48がそれぞれ挿通される複数の貫通孔31が設けられている。
【0048】
成形ピン24は、被金属加工部品100の突起106に孔部126を形成する機能を有する。成形ピン24は、略円柱状の部材である。成形ピン24は、軸方向に延びた中間部24Bと、中間部24Bの軸方向における挿入口側に配置された先端部24Aと、中間部24Bの軸方向における奥側に配置された突出部24Cと、を備えている。先端部24Aは、中間部24Bより小径とされている。先端部24Aの外径は、被金属加工部品100の突起106の外径よりも小さい。先端部24Aの外径は、突起106に形成する孔部126の内径に合わせた寸法とされている。
【0049】
成形ピン24の突出部24Cは、ストッパ30の孔部32に挿入されている。ストッパ30の孔部32は、先端側に向かうに従って内径が徐々に縮小しており、成形ピン24がストッパ30から抜け出さない構成とされている。成形ピン24の突出部24Cは、ストッパ30の孔部32の内壁に接合されている。これにより、成形ピン24は、軸方向に移動しない構成とされている。成形ピン24は、例えば金属で形成されている。
【0050】
パンチ側部材14は、ブロック状の本体部14Aと、本体部14Aにおけるダイス側部材12側の面に設けられた凹状部14Bと、を備えている。凹状部14Bは、環状部の一例であり、軸方向から見て環状に形成されている。凹状部14Bには、被金属加工部品100の第2筒部108が係合されている。凹状部14Bの軸方向の長さは、第2筒部108の軸方向の長さよりも長い。被金属加工部品100の第2筒部108がパンチ側部材14の凹状部14Bに係合された状態で、図示しない駆動部により、パンチ側部材14が被金属加工部品100をダイス側部材12の側に押し付けるようになっている。
【0051】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0052】
図3に示されるように、加工部品の製造装置10では、付勢部材28の付勢力により、金型20が筐体18の筒状部40の挿入口側に移動している。この状態で、加工部品の製造装置10には、図4に示す被金属加工部品100がダイス側部材12にセットされる。例えば、被金属加工部品100が図示しない搬送部材により、パンチ側部材14と対向する位置に移動され、パンチ側部材14の凹状部14Bに被金属加工部品100の第2筒部108が係合される。この状態で、図示しない駆動部によりパンチ側部材14をダイス側部材12の側に移動させることで、被金属加工部品100の第1筒部104が金型20の接触部20Bの内部に挿入され、第1筒部104と突起106との間に金型20の係合部22Aが係合される。これにより、金型20の接触部20Bにより第1筒部104の外周側が支持され、金型20の係合部22Aにより第1筒部104の内周側及び突起106の外周側が支持される。
【0053】
この状態で、図5に示されるように、図示しない駆動部によりパンチ側部材14が被金属加工部品100をダイス側部材12の側に押し付ける。被金属加工部品100に金型20が押されることで、接触部20Bが第1筒部104を支持すると共に、係合部22Aが第1筒部104と突起106との間に係合された状態で、金型20は、付勢部材28の付勢力に抗してパンチ側部材14の押し付け方向に向かって軸方向に移動する。このとき、成形ピン24は、ストッパ30に固定されており、軸方向に移動しない。このため、被金属加工部品100が成形ピン24の側に押し付けられることで、突起106の塑性変形により突起106が軸方向に伸長すると共に、突起106の端面から軸方向に沿って孔部126が形成される。これにより、図6に示すように、第1筒部104の内側に、孔部126を備えたニップル124が形成される。
【0054】
図5に示されるように、パンチ側部材14により、金型20が付勢部材28の付勢力に抗してパンチ側部材14の押し付け方向に向かって軸方向に移動すると、金型20がストッパ30に当たり、金型20がそれ以上軸方向に移動しなくなる。
【0055】
図7に示されるように、金型20の移動が停止した(すなわち、金型20が固定された)後も、図示しない駆動部により、パンチ側部材14が被金属加工部品100をダイス側部材12の側に押し付ける動作を引き続き行う。すなわち、金型20の移動が停止した後も、そのままパンチ側部材14を押し付ける動作を続ける。これにより、パンチ側部材14により本体部102が金型20に押し付けられることで本体部102が塑性変形により圧縮されると共に、本体部102が半径方向外側に拡大する。これにより、図8に示すような加工部品120が形成される。加工部品120には、図6に示す本体部102より軸方向の長さの短い本体部122が形成されると共に、本体部122から半径方向外側に張り出したフランジ部128が形成されている。
【0056】
その後、図示を省略するが、パンチ側部材14をダイス側部材12に対して後退させ、駆動部(図示省略)によりスライド部48をパンチ側部材14の方向にスライドさせる。これにより、スライド部48が管状体50をパンチ側部材14の方向にスライドさせ、管状体50によりダイス側部材12から加工部品120が蹴り出される。
【0057】
上記の加工部品の製造装置10では、被金属加工部品100がダイス側部材12にセットされた状態で、被金属加工部品100の第1筒部104が外周側から金型20の接触部20Bで支持され、被金属加工部品100の第1筒部104と突起106との間に金型20の係合部22Aが係合される。パンチ側部材14の凹状部14Bは、被金属加工部品100の第2筒部108に係合される。金型20が軸方向に移動可能とされた状態で、パンチ側部材14によって、被金属加工部品100を成形ピン24の側に押し付けることで、突起106の塑性変形により突起106の端面から軸方向に沿って孔部126が形成される。さらに、ダイス側部材12を固定した状態で、パンチ側部材14によって、被金属加工部品100をダイス側部材12の側に押し付けることで、本体部102を変形させる。これにより、被金属加工部品100の突起106に孔部126を形成する加工と本体部102を変形させる加工とを分離せずに、パンチ側部材14によって被金属加工部品100を押し付けるという1工程で行うことが可能となる。このため、被金属加工部品100を加工するための工程を減らすことができる。
【0058】
また、加工部品の製造装置10では、パンチ側部材14によって、被金属加工部品100を成形ピン24の側に押し付ける際には、成形ピン24は固定されている。さらに、金型20がパンチ側部材14の押し付け方向に向かって軸方向に移動することで、金型20の接触部20Bによって第1筒部104の外周側が支持され、金型20の係合部22Aによって第1筒部104の内周側と突起106の外周側が支持される。この状態で、突起106が成形ピン24の側に押し付けられることで、第1筒部104の変形や突起106の外周側への変形が抑制される。このため、突起106の塑性変形により突起106の端面から軸方向に沿って孔部126を効率よく形成することができる。
【0059】
また、加工部品の製造装置10では、金型20は、付勢部材28によりパンチ側部材14の方向へ付勢されている。パンチ側部材14が被金属加工部品100をダイス側部材12の側に押し付けることで、突起106に孔部126が形成されるまでは、付勢部材28の付勢力に抗して金型20が押し付け方向に向かって軸方向に移動する。そして、ストッパ30により、金型20の押し付け方向への移動が停止される。この状態で、さらにパンチ側部材14が被金属加工部品100をダイス側部材12の側に押し付けることで、本体部102を変形させることが可能である。このため、被金属加工部品100の突起106に孔部126を形成する加工と本体部102を変形させる加工とを連続して1工程で行うことができる。
【0060】
また、加工部品の製造方法では、第1筒部104の外周側を金型20の接触部20Bに接触させ、第1筒部104と突起106との間に金型20の係合部22Aを係合させるように被金属加工部品100をセットする(セット工程)。また、パンチ側部材14により被金属加工部品100を成形ピン24に押し付け、塑性変形により突起106の端面から軸方向に沿って孔部126を形成する(孔部形成工程)。さらに、金型20と成形ピン24を固定した状態で、パンチ側部材14により被金属加工部品100を金型20の側に押し付けることで、本体部102を変形させる(本体部変形工程)。これにより、被金属加工部品100の突起106に孔部126を形成する加工と本体部102を変形させる加工とを分離せずに、パンチ側部材14によって被金属加工部品100を押し付けるという1工程で行うことが可能となる。このため、被金属加工部品100を加工するための工程を減らすことができる。
【0061】
また、加工部品の製造方法では、本体部変形工程において、金型20と成形ピン24を固定した状態で、パンチ側部材14により被金属加工部品100を金型20の側に押し付ける。このため、被金属加工部品100の本体部102に半径方向外側に張り出したフランジ部128を形成することができる。
【0062】
また、加工部品の製造方法では、加工部品120は、継手金具部品140を製造する過程の中間部品であるので、継手金具を製造する際の工程を減らすことができる。
【0063】
図10には、比較例の加工部品の製造方法が示されている。
【0064】
図10(A)に示されるように、被金属加工部品100は、第1工程を経ることで、図10(B)に示す第1加工部品200が形成される。第1工程では、例えば、被金属加工部品100の本体部102側を支持すると共に、第1筒部104と突起106との間に金型(図示省略)を挿入した状態で、被金属加工部品100の突起106の端面から成形ピン(図示省略)を押し付ける。これにより、突起106に孔部を126が形成された第1加工部品200が形成されている。
【0065】
次に、第1加工部品200は、第2工程を経ることで、図10(C)に示す第2加工部品210が形成される。第2工程では、第1加工部品200の軸方向両側を図示しない複数の金型で支持した状態で、軸方向両側の複数の金型を相対的に接近させる方向に移動させる。これにより、第1加工部品200の本体部102を変形させ、軸方向の長さの短い本体部122とフランジ部128を備えた第2加工部品210を形成する。
【0066】
このため、比較例の加工部品の製造方法では、被金属加工部品100から第2加工部品210を形成する際に、第1工程と第2工程の2つの工程が必要である。
【0067】
これに対し、本実施形態の加工部品の製造装置10及び製造方法では、被金属加工部品100から加工部品120を形成する際に、突起106に孔部126を形成する加工と本体部102を変形させる加工とを分離せずに1工程で行うことが可能となる。このため、被金属加工部品100を加工するための工程を減らすことができる。
【0068】
次に、図9を用いて、加工部品の製造方法を組み込んだパーツホーマー150について説明する。
【0069】
図9に示されるように、パーツホーマー150は、横型の多段式鍛造装置であり、パーツホーマー本体部としての筐体(図示省略)の内部に、複数のダイス側部材152と、複数のダイス側部材152にそれぞれ対向する複数のパンチ側部材154と、を備えている。一例として、パーツホーマー150は、6段とされており、6段のダイス側部材152A~152Fと、ダイス側部材152A~152Fに対向する6段のパンチ側部材154A~154Fと、を備えている。
【0070】
複数のパンチ側部材154は、ラム156に支持されている。ラム156は、複数のパンチ側部材154を矢印に示す押し付け方向に駆動させる。パーツホーマー150には、棒状の金属素材160の端面を突き当て部170に突き当て、金属素材160を切断する切断刃172が設けられている。また、パーツホーマー150には、金属素材160を切断した中実の金属円柱体162を複数のパンチ側部材154とダイス側部材152との間に順次搬送する搬送部材(図示省略)が設けられている。搬送部材により金属円柱体162が順次搬送され、各々のパンチ側部材154とダイス側部材152とで金属円柱体162が圧造(すなわち、冷間鍛造)により順次加工されることで、金属円柱体162が所望の形状に加工される。
【0071】
パーツホーマー150には、金属円柱体162から継手金具部品140を製造する製造方法の一部に、本実施形態の製造装置10による加工部品の製造方法に記載した工程が組み込まれている。より具体的には、パーツホーマー150では、複数のダイス側部材152と複数のパンチ側部材154の1つに本実施形態の製造装置10が組み込まれている。例えば、ダイス側部材152Eは、製造装置10のダイス側部材12とされており、パンチ側部材154Eは、製造装置10のパンチ側部材14とされている。
【0072】
パーツホーマー150では、一例として、搬送部材により金属円柱体162が1段目のパンチ側部材154Aとダイス側部材152Aとの間に搬送され、パンチ側部材154Aとダイス側部材152Aにより第1部品164が形成される。また、搬送部材により第1部品164が2段目のパンチ側部材154Bとダイス側部材152Bとの間に搬送され、パンチ側部材154Bとダイス側部材152Bにより第2部品166が形成される。また、搬送部材により第2部品166が3段目のパンチ側部材154Cとダイス側部材152Cとの間に搬送され、パンチ側部材154Cとダイス側部材152Cにより第3部品168が形成される。
【0073】
第1部品164、第2部品166、第3部品168の詳細は省略する。例えば、金属円柱体162からスタンピング工程などの加工により第1部品164が形成される。また、第1部品164から圧造により筒部とその内部の突起を備えた第2部品166が形成される。また、第2部品166から圧造により一部の外径を絞ることで第1筒部104と突起106を備えた第3部品168が形成される。
【0074】
また、搬送部材により第3部品168が4段目のパンチ側部材154Dとダイス側部材152Dとの間に搬送され、パンチ側部材154Cとダイス側部材152Cにより被金属加工部品100が形成される。例えば、第3部品168から第2筒部108を備えた被金属加工部品100が形成される。
【0075】
また、搬送部材により被金属加工部品100が5段目のパンチ側部材14とダイス側部材12との間に搬送され、パンチ側部材14とダイス側部材12により加工部品120が形成される。被金属加工部品100から加工部品120を製造する方法は、上記の加工部品120の製造方法に記載の通りである。さらに、搬送部材により第3部品168が6段目のパンチ側部材154Fとダイス側部材152Fとの間に搬送され、パンチ側部材154Fとダイス側部材152Fにより継手金具部品140が形成される。
【0076】
上記のパーツホーマー150では、金属円柱体162から継手金具部品140を製造する製造方法の一部に、本実施形態の加工部品の製造方法に記載した工程が組み込まれている。本実施形態の加工部品の製造方法は、被金属加工部品100を加工するための工程の数を減らすことができるので、パーツホーマー150において、無理なく上記の加工部品の製造方法に記載した工程を組み込むことができる。このため、パーツホーマー150において、金属円柱体162から継手金具部品140を製造するまでの工程を一貫して行うことができる。
【0077】
なお、本実施形態の製造装置10では、ストッパ30は、一体的に構成されているが、ストッパは、複数の部材により分離した構成としてもよい。
【0078】
また、本実施形態の製造装置10では、金型20が一体的に構成されているが、金型20は複数の部材により分離した構成としてもよい。
【0079】
また、本実施形態の製造装置10の各部の構成部品の形状や数などは、本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0080】
また、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0081】
10 加工部品の製造装置
12 ダイス側部材
14 パンチ側部材
14B 凹状部(環状部)
20 金型
20B 接触部(支持部)
22A 係合部
24 成形ピン
28 付勢部材
30 第1ストッパ(ストッパ)
100 被金属加工部品
102 本体部
104 第1筒部
106 突起
108 第2筒部
120 加工部品
122 本体部
124 ニップル
126 孔部
128 フランジ部
140 継手金具部品
150 パーツホーマー
152 ダイス側部材
154 パンチ側部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10