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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076867
(43)【公開日】2022-05-20
(54)【発明の名称】アンテナユニットおよびアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/22 20060101AFI20220513BHJP
   H01Q 1/32 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
H01Q1/22 B
H01Q1/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020187497
(22)【出願日】2020-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139365
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 武雄
(72)【発明者】
【氏名】土田 雅裕
【テーマコード(参考)】
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
5J046AA03
5J046AA10
5J046AB03
5J046MA08
5J047AA03
5J047AA10
5J047AB03
5J047EB01
(57)【要約】
【課題】準ミリ波帯またはミリ波帯の電波を送信または受信するアンテナモジュールを支持基板に強固に支持し、かつアンテナモジュールと支持基板の回路との間のインピーダンスの不整合を抑える。
【解決手段】アンテナ装置1に設けられた各ミリ波アンテナユニット21~24は、支持基板14に固定されるベースコネクタ31と、ベースコネクタ31と挿抜可能に接続されるモジュールコネクタ51と、モジュールコネクタ51に固定され、準ミリ波帯またはミリ波帯の電波を送信または受信するアンテナモジュール81とを備え、支持基板14にベースコネクタ31が固定され、かつベースコネクタ31にモジュールコネクタ51が接続された状態において、アンテナモジュール81は、アンテナ基板82の表面がモジュールコネクタ51の外側かつ斜め上方を向くように、モジュールコネクタ51のケーシング52に固定されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板の取付面上に設けられ、準ミリ波帯またはミリ波帯の電波の送信または受信に用いられるアンテナユニットであって、
前記支持基板に固定されるベースコネクタと、
前記ベースコネクタと挿抜可能に接続されるモジュールコネクタと、
前記モジュールコネクタに固定され、準ミリ波帯またはミリ波帯の電波を送信または受信するアンテナモジュールとを備え、
前記ベースコネクタは、
下端側が前記支持基板に固定されるベース側ケーシングと、
前記ベース側ケーシングの上端側に設けられ、前記モジュールコネクタのモジュール側嵌合部と嵌合されるベース側嵌合部と、
前記ベース側ケーシング内に設けられ、前記支持基板に設けられた基板側回路と前記モジュールコネクタの複数のモジュール側端子とを接続する複数のベース側端子とを備え、
前記モジュールコネクタは、
モジュール側ケーシングと、
前記モジュール側ケーシングの下端側に設けられ、前記ベース側嵌合部と嵌合される前記モジュール側嵌合部と、
前記モジュール側ケーシング内に設けられ、前記複数のベース側端子と前記アンテナモジュールとを接続する前記複数のモジュール側端子とを備え、
前記アンテナモジュールは、
アンテナ基板と、
前記アンテナ基板の表面に設けられ、準ミリ波帯またはミリ波帯の電波を送信または受信するアンテナ素子とを備え、
前記支持基板に前記ベースコネクタが固定され、かつ前記ベースコネクタに前記モジュールコネクタが接続された状態において、前記アンテナモジュールは、前記アンテナ基板の前記表面が前記モジュールコネクタの外側かつ斜め上方を向くように前記モジュール側ケーシングに固定されていることを特徴とするアンテナユニット。
【請求項2】
前記ベースコネクタが前記支持基板に固定された状態において、前記ベース側嵌合部および前記モジュール側嵌合部は、前記ベースコネクタに対する前記モジュールコネクタの挿抜方向が前記支持基板の前記取付面に対して垂直となるように形成され、前記アンテナモジュールは、前記アンテナ基板の前記表面が前記挿抜方向に対して傾斜するように前記モジュール側ケーシングに固定されていることを特徴とする請求項1に記載のアンテナユニット。
【請求項3】
前記ベースコネクタが前記支持基板に固定された状態において、前記ベース側嵌合部および前記モジュール側嵌合部は、前記ベースコネクタに対する前記モジュールコネクタの挿抜方向が前記支持基板の前記取付面に対して傾斜するように形成され、前記アンテナモジュールは、前記アンテナ基板の前記表面が前記挿抜方向に対して平行となるように前記モジュール側ケーシングに固定されていることを特徴とする請求項1に記載のアンテナユニット。
【請求項4】
前記アンテナモジュールは、前記アンテナ基板に設けられ、準ミリ波帯またはミリ波帯の電波の送信または受信に係る信号処理を行うアンテナ回路を備え、
前記複数のベース側端子は、前記基板側回路から前記アンテナ回路へ送信信号を伝送するためのベース側送信端子と、前記アンテナ回路から前記基板側回路へ受信信号を伝送するためのベース側受信端子と、前記基板側回路から前記アンテナ回路へ電力を供給するためのベース側電力供給端子とを含み、前記複数のモジュール側端子は、前記基板側回路から前記アンテナ回路へ送信信号を伝送するためのモジュール側送信端子と、前記アンテナ回路から前記基板側回路へ受信信号を伝送するためのモジュール側受信端子と、前記基板側回路から前記アンテナ回路へ電力を供給するためのモジュール側電力供給端子とを含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のアンテナユニット。
【請求項5】
前記ベースコネクタは、
導電材料により形成され、前記ベース側送信端子の外周側を包囲し、前記ベース側送信端子を個別に電磁シールドする第1のベース側個別シールド部材と、
導電材料により形成され、前記ベース側受信端子の外周側を包囲し、前記ベース側受信端子を個別に電磁シールドする第2のベース側個別シールド部材とを備え、
前記モジュールコネクタは、
導電材料により形成され、前記モジュール側送信端子の外周側を包囲し、前記モジュール側送信端子を個別に電磁シールドする第1のモジュール側個別シールド部材と、
導電材料により形成され、前記モジュール側受信端子の外周側を包囲し、前記モジュール側受信端子を個別に電磁シールドする第2のモジュール側個別シールド部材とを備えていることを特徴とする請求項4に記載のアンテナユニット。
【請求項6】
前記ベース側ケーシングは絶縁材料により形成され、前記ベース側ケーシングには、導電材料により形成され、前記複数のベース側端子をまとめて覆うことにより前記複数のベース側端子を全体的に電磁シールドするベース側全体シールド部材が設けられ、前記モジュール側ケーシングは絶縁材料により形成され、前記モジュール側ケーシングには、導電材料により形成され、前記複数のモジュール側端子をまとめて覆うことにより前記複数のモジュール側端子を全体的に電磁シールドするモジュール側全体シールド部材が設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のアンテナユニット。
【請求項7】
前記ベース側嵌合部と前記モジュール側嵌合部とが互いに嵌合されたときに、前記モジュールコネクタが前記ベースコネクタから分離しないように前記モジュールコネクタを前記ベースコネクタにロックするロック機構を備えていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のアンテナユニット。
【請求項8】
車両に設けられ、前記車両に設けられた通信装置と前記車両以外の物体に設けられた通信装置との間の無線通信に用いられるアンテナ装置であって、
支持基板と、
前記支持基板の取付面上に設けられた複数のアンテナユニットと、
前記支持基板および前記複数のアンテナユニットを収容するケースとを備え、
前記複数のアンテナユニットは、
準ミリ波帯またはミリ波帯の電波を送信または受信する複数のミリ波アンテナユニットと、
準ミリ波帯よりも低い周波数帯の電波を送信または受信する非ミリ波アンテナユニットとを含み、
前記複数のミリ波アンテナユニットはそれぞれ請求項1ないし7のいずれかに記載のアンテナユニットであり、
前記支持基板の前記取付面において、前記複数のミリ波アンテナユニットは、前記非ミリ波アンテナユニットが配置された領域の外側の領域に配置されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項9】
前記複数のミリ波アンテナユニットは第1のミリ波アンテナユニット、第2のミリ波アンテナユニット、第3のミリ波アンテナユニットおよび第4のミリ波アンテナユニットを含み、前記第1のミリ波アンテナユニットは前記非ミリ波アンテナユニットの前方に配置され、前記第2のミリ波アンテナユニットは前記非ミリ波アンテナユニットの後方に配置され、前記第3のミリ波アンテナユニットは前記非ミリ波アンテナユニットの左方に配置され、かつ前記第4のミリ波アンテナユニットは前記非ミリ波アンテナユニットの右方に配置されていることを特徴とする請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記複数のミリ波アンテナユニットは第1のミリ波アンテナユニット、第2のミリ波アンテナユニット、第3のミリ波アンテナユニットおよび第4のミリ波アンテナユニットを含み、前記第1のミリ波アンテナユニットは前記複数のアンテナユニットのうち最も前側に配置され、前記第2のミリ波アンテナユニットは前記複数のアンテナユニットのうち最も後側に配置され、前記第3のミリ波アンテナユニットは前記複数のアンテナユニットのうち最も左側に配置され、かつ前記第4のミリ波アンテナユニットは前記複数のアンテナユニットのうち最も右側に配置されていることを特徴とする請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
車両に設けられ、前記車両に設けられた通信装置と前記車両以外の物体に設けられた通信装置との間の無線通信に用いられるアンテナ装置であって、
支持基板と、
準ミリ波帯またはミリ波帯の電波を送信または受信する複数のミリ波アンテナユニットと、
前記支持基板および前記複数のミリ波アンテナユニットを収容するケースとを備え、
前記各ミリ波アンテナユニットは、
前記支持基板に固定されるベースコネクタと、
前記ベースコネクタと挿抜可能に接続されるモジュールコネクタと、
準ミリ波帯またはミリ波帯の電波を送信または受信するアンテナモジュールと、
前記モジュールコネクタと前記アンテナモジュールとの間を接続するケーブルとを備え、
前記ベースコネクタは、
下端側が前記支持基板に固定されるベース側ケーシングと、
前記ベース側ケーシングの上端側に設けられ、前記モジュールコネクタのモジュール側嵌合部と嵌合されるベース側嵌合部と、
前記ベース側ケーシング内に設けられ、前記支持基板に設けられた基板側回路と前記モジュールコネクタの複数のモジュール側端子とを接続する複数のベース側端子とを備え、
前記モジュールコネクタは、
モジュール側ケーシングと、
前記モジュール側ケーシングの下端側に設けられ、前記ベース側嵌合部と嵌合される前記モジュール側嵌合部と、
前記モジュール側ケーシング内に設けられ、前記複数のベース側端子と前記ケーブルの複数の電線とを接続する前記複数のモジュール側端子とを備え、
前記ケーブルは、前記複数のモジュール側端子と前記アンテナモジュールとを接続する前記複数の電線を備え、
前記アンテナモジュールは、
アンテナ基板と、
前記アンテナ基板の表面に設けられ、準ミリ波帯またはミリ波帯の電波を送信または受信するアンテナ素子とを備え、
前記各ミリ波アンテナユニットの前記アンテナモジュールは、前記アンテナ基板の前記表面が前記ケースの内面と対向し、かつ斜め上方を向くように、前記ケースに取り付けられていることを特徴とするアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、準ミリ波帯またはミリ波帯の電波の送信または受信に利用されるアンテナユニットおよびアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車には、AM/FMラジオ用のアンテナ、カーナビゲーション等に用いられるGNSS(Global Navigation Satellite System)用のアンテナ等が設けられている。また、近時は、V2X(Vehicle to Everything)通信等に用いられるLTE(Long Term Evolution)用のアンテナが自動車に設けられることもある。
【0003】
下記の特許文献1には、自動車のルーフに設けられたシャークフィン(鮫の鰭のような形をしたケース)内に複数のアンテナを設けたアンテナ装置が記載されている。このアンテナ装置は、衛星デジタルラジオ用のアンテナ、GPS(Global Positioning System)用のアンテナ、および携帯電話網の無線基地局との通信用のアンテナを備え、これらのアンテナは、シャークフィンをルーフに支持するベースに設けられた基板上に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-29873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、自動車を第5世代移動通信システム(5G)に接続し、自動車とその外部との間において、高速、大容量かつ低遅延の通信を実現するための技術開発が進められている。この一環として、Sub6(3.6GHz~6GHz)、準ミリ波帯(20GHz~30GHz)またはミリ波帯(30GHz~300GHz)の電波を用いて通信を行うためのアンテナを自動車に設けることが検討されている。以下、説明の便宜上、準ミリ波帯またはミリ波帯の電波を送信または受信するためのアンテナを「ミリ波アンテナ」という。
【0006】
準ミリ波帯またはミリ波帯の電波は、その周波数が高いため、自動車の金属製のボディ等に遮られ、自動車の外部から送信された電波は受信し難い。したがって、ミリ波アンテナは、自動車の外側に面するように取り付ける必要がある。そこで、自動車のルーフに設けられた樹脂製のシャークフィンの内部にミリ波アンテナを配置するのがよい。また、準ミリ波帯またはミリ波帯の電波は、準ミリ波帯よりも低い周波数帯の電波と比較して電波伝搬損失が大きく、例えば降雨等により大きく減衰する。そのため、ミリ波アンテナは、アレイアンテナを用い、アンテナ利得を高めることが望ましい。もっとも、移動体である自動車は車体の向きが頻繁に変化するので、外部からの電波を広範囲に受けることができるようにしなければならない。そこで、シャークフィン内に複数のミリ波アンテナを設け、複数のミリ波アンテナをそれらの向きが互いに異なるように配置するのがよい。例えば、4つのミリ波アンテナをそれらの向きが前方、後方、左方、右方となるように配置する方法が考えられる。さらに、自動車が地上を走るのに対し、無線基地局は建物や電柱等の高い位置に設置されているので、各ミリ波アンテナが無線基地局に向くように、各ミリ波アンテナを上方に傾けて配置するのがよい。
【0007】
ここで、シャークフィン内にはアンテナを固定するための基板が設けられている。通常、基板は、その部品実装面が略水平となるように配置されている。シャークフィン内にミリ波アンテナを上方に傾けて配置する場合、自動車の走行時の振動等によりミリ波アンテナの向きが変化しないように、ミリ波アンテナを上方に傾けた状態で、基板の略水平な部品実装面に強固に支持することが要求される。
【0008】
一方、ミリ波アンテナは、シャークフィン内に設けられた基板に形成された回路(例えば基板の表面に形成された配線)、およびこの基板の回路にコネクタを用いて接続されたケーブル等を介して、自動車の車内に設けられた通信装置と接続される。準ミリ波帯またはミリ波帯の電波を用いて通信を行う場合、車内の通信装置とミリ波アンテナとの間において伝送される信号も数GHzの高周波信号となる。したがって、ミリ波アンテナと基板の回路との間などにインピーダンスの不整合があると、反射損失等が増大し、車内の通信装置とミリ波アンテナとの間において伝送される高周波信号が劣化し、通信の品質が低下する。
【0009】
この点、上記特許文献1に記載されたアンテナ装置においては、携帯電話網の無線基地局と通信を行うためのアンテナが基板の回路に半田付けにより接続されている。アンテナと基板との接続が半田ごてを用いた手作業による半田付けである場合、アンテナと基板の回路との間のインピーダンスがアンテナと基板の回路との接続部分に盛られる半田の量によって変動するので、アンテナと基板の回路との間においてインピーダンスの不整合が生じ易い。上記特許文献1に記載されたアンテナ装置において、基板の回路と半田付けにより接続されたアンテナは、準ミリ波帯よりも低い周波数の電波の送信または受信を行うアンテナであるので、半田の量の変動に起因するインピーダンスの不整合が通信の品質に与える影響は然程大きくないと考えられる。しかしながら、ミリ波アンテナの場合には、このような半田の量の変動に起因するインピーダンスの不整合が通信の品質に与える影響は増大する。したがって、ミリ波アンテナをシャークフィン内に設けられた基板の回路と接続する方法として、手作業による半田付けは好ましくなく、ミリ波アンテナと基板の回路との間のインピーダンスの不整合を抑えることができる別の方法が要求される。
【0010】
本発明は例えば上述したような要求に応じてなされたものであり、本発明の課題は、準ミリ波帯またはミリ波帯の電波を送信または受信するアンテナモジュールを支持基板に強固に支持することができ、かつ当該アンテナモジュールと支持基板の回路との間のインピーダンスの不整合を抑えることができるアンテナユニットおよびアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のアンテナユニットは、支持基板の取付面上に設けられ、準ミリ波帯またはミリ波帯の電波の送信または受信に用いられるアンテナユニットであって、前記支持基板に固定されるベースコネクタと、前記ベースコネクタと挿抜可能に接続されるモジュールコネクタと、前記モジュールコネクタに固定され、準ミリ波帯またはミリ波帯の電波を送信または受信するアンテナモジュールとを備え、前記ベースコネクタは、下端側が前記支持基板に固定されるベース側ケーシングと、前記ベース側ケーシングの上端側に設けられ、前記モジュールコネクタのモジュール側嵌合部と嵌合されるベース側嵌合部と、前記ベース側ケーシング内に設けられ、前記支持基板に設けられた基板側回路と前記モジュールコネクタの複数のモジュール側端子とを接続する複数のベース側端子とを備え、前記モジュールコネクタは、モジュール側ケーシングと、前記モジュール側ケーシングの下端側に設けられ、前記ベース側嵌合部と嵌合される前記モジュール側嵌合部と、前記モジュール側ケーシング内に設けられ、前記複数のベース側端子と前記アンテナモジュールとを接続する前記複数のモジュール側端子とを備え、前記アンテナモジュールは、アンテナ基板と、前記アンテナ基板の表面に設けられたアンテナ素子とを備え、前記支持基板に前記ベースコネクタが固定され、かつ前記ベースコネクタに前記モジュールコネクタが接続された状態において、前記アンテナモジュールは、前記アンテナ基板の前記表面が前記モジュールコネクタの外側かつ斜め上方を向くように前記モジュール側ケーシングに固定されている。
【0012】
上記本発明のアンテナユニットにおいて、前記ベースコネクタが前記支持基板に固定された状態において、前記ベース側嵌合部および前記モジュール側嵌合部は、前記ベースコネクタに対する前記モジュールコネクタの挿抜方向が前記支持基板の前記取付面に対して垂直となるように形成され、前記アンテナモジュールは、前記アンテナ基板の前記表面が前記挿抜方向に対して傾斜するように前記モジュール側ケーシングに固定されている構成を採用することができる。また、これに代え、前記ベースコネクタが前記支持基板に固定された状態において、前記ベース側嵌合部および前記モジュール側嵌合部は、前記ベースコネクタに対する前記モジュールコネクタの挿抜方向が前記支持基板の前記取付面に対して傾斜するように形成され、前記アンテナモジュールは、前記アンテナ基板の前記表面が前記挿抜方向に対して平行となるように前記モジュール側ケーシングに固定されている構成を採用してもよい。
【0013】
また、上記本発明のアンテナユニットにおいて、前記アンテナモジュールは、前記アンテナ基板に設けられ、準ミリ波帯またはミリ波帯の電波の送信または受信に係る信号処理を行うアンテナ回路を備え、前記複数のベース側端子は、前記基板側回路から前記アンテナ回路へ送信信号を伝送するためのベース側送信端子と、前記アンテナ回路から前記基板側回路へ受信信号を伝送するためのベース側受信端子と、前記基板側回路から前記アンテナ回路へ電力を供給するためのベース側電力供給端子とを含み、前記複数のモジュール側端子は、前記基板側回路から前記アンテナ回路へ送信信号を伝送するためのモジュール側送信端子と、前記アンテナ回路から前記基板側回路へ受信信号を伝送するためのモジュール側受信端子と、前記基板側回路から前記アンテナ回路へ電力を供給するためのモジュール側電力供給端子とを含む構成としてもよい。この場合、前記ベースコネクタは、導電材料により形成され、前記ベース側送信端子の外周側を包囲し、前記ベース側送信端子を個別に電磁シールドする第1のベース側個別シールド部材と、導電材料により形成され、前記ベース側受信端子の外周側を包囲し、前記ベース側受信端子を個別に電磁シールドする第2のベース側個別シールド部材とを備え、前記モジュールコネクタは、導電材料により形成され、前記モジュール側送信端子の外周側を包囲し、前記モジュール側送信端子を個別に電磁シールドする第1のモジュール側個別シールド部材と、導電材料により形成され、前記モジュール側受信端子の外周側を包囲し、前記モジュール側受信端子を個別に電磁シールドする第2のモジュール側個別シールド部材とを備えている構成としてもよい。
【0014】
また、上記本発明のアンテナユニットにおいて、前記ベース側ケーシングは絶縁材料により形成され、前記ベース側ケーシングには、導電材料により形成され、前記複数のベース側端子をまとめて覆うことにより前記複数のベース側端子を全体的に電磁シールドするベース側全体シールド部材が設けられ、前記モジュール側ケーシングは絶縁材料により形成され、前記モジュール側ケーシングには、導電材料により形成され、前記複数のモジュール側端子をまとめて覆うことにより前記複数のモジュール側端子を全体的に電磁シールドするモジュール側全体シールド部材が設けられている構成としてもよい。
【0015】
また、上記本発明のアンテナユニットにおいて、前記ベース側嵌合部と前記モジュール側嵌合部とが互いに嵌合されたときに、前記モジュールコネクタが前記ベースコネクタから分離しないように前記モジュールコネクタを前記ベースコネクタにロックするロック機構を備えることとしてもよい。
【0016】
また、本発明の第1のアンテナ装置は、車両に設けられ、前記車両に設けられた通信装置と前記車両以外の物体に設けられた通信装置との間の無線通信に用いられるアンテナ装置であって、支持基板と、前記支持基板の取付面上に設けられた複数のアンテナユニットと、前記支持基板および前記複数のアンテナユニットを収容するケースとを備え、前記複数のアンテナユニットは、準ミリ波帯またはミリ波帯の電波を送信または受信する複数のミリ波アンテナユニットと、準ミリ波帯よりも低い周波数帯の電波を送信または受信する非ミリ波アンテナユニットとを含み、前記複数のミリ波アンテナユニットは上記本発明のアンテナユニットであり、前記支持基板の前記取付面において、前記複数のミリ波アンテナユニットは、前記非ミリ波アンテナユニットが配置された領域の外側の領域に配置されている。
【0017】
上記本発明の第1のアンテナ装置において、前記複数のミリ波アンテナユニットは第1のミリ波アンテナユニット、第2のミリ波アンテナユニット、第3のミリ波アンテナユニットおよび第4のミリ波アンテナユニットを含み、前記第1のミリ波アンテナユニットは前記非ミリ波アンテナユニットの前方に配置され、前記第2のミリ波アンテナユニットは前記非ミリ波アンテナユニットの後方に配置され、前記第3のミリ波アンテナユニットは前記非ミリ波アンテナユニットの左方に配置され、かつ前記第4のミリ波アンテナユニットは前記非ミリ波アンテナユニットの右方に配置されている構成としてもよい。また、上記本発明のアンテナ装置において、前記第1のミリ波アンテナユニットは前記複数のアンテナユニットのうち最も前側に配置され、前記第2のミリ波アンテナユニットは前記複数のアンテナユニットのうち最も後側に配置され、前記第3のミリ波アンテナユニットは前記複数のアンテナユニットのうち最も左側に配置され、かつ前記第4のミリ波アンテナユニットは前記複数のアンテナユニットのうち最も右側に配置されている構成としてもよい。
【0018】
また、本発明の第2のアンテナ装置は、車両に設けられ、前記車両に設けられた通信装置と前記車両以外の物体に設けられた通信装置との間の無線通信に用いられるアンテナ装置であって、支持基板と、準ミリ波帯またはミリ波帯の電波を送信または受信する複数のミリ波アンテナユニットと、前記支持基板および前記複数のミリ波アンテナユニットを収容するケースとを備え、前記各ミリ波アンテナユニットは、前記支持基板に固定されるベースコネクタと、前記ベースコネクタと挿抜可能に接続されるモジュールコネクタと、準ミリ波帯またはミリ波帯の電波を送信または受信するアンテナモジュールと、前記モジュールコネクタと前記アンテナモジュールとの間を接続するケーブルとを備え、前記ベースコネクタは、下端側が前記支持基板に固定されるベース側ケーシングと、前記ベース側ケーシングの上端側に設けられ、前記モジュールコネクタのモジュール側嵌合部と嵌合されるベース側嵌合部と、前記ベース側ケーシング内に設けられ、前記支持基板に設けられた基板側回路と前記モジュールコネクタの複数のモジュール側端子とを接続する複数のベース側端子とを備え、前記モジュールコネクタは、モジュール側ケーシングと、前記モジュール側ケーシングの下端側に設けられ、前記ベース側嵌合部と嵌合される前記モジュール側嵌合部と、前記モジュール側ケーシング内に設けられ、前記複数のベース側端子と前記ケーブルの複数の電線とを接続する前記複数のモジュール側端子とを備え、前記ケーブルは、前記複数のモジュール側端子と前記アンテナモジュールとを接続する前記複数の電線を備え、前記アンテナモジュールは、アンテナ基板と、前記アンテナ基板の表面に設けられたアンテナ素子とを備え、前記各ミリ波アンテナユニットの前記アンテナモジュールは、前記アンテナ基板の前記表面が前記ケースの内面と対向し、かつ斜め上方を向くように、前記ケースに取り付けられている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、準ミリ波帯またはミリ波帯の電波を送信または受信するアンテナモジュールを支持基板に強固に支持することができ、かつ当該アンテナモジュールと支持基板の回路との間のインピーダンスの不整合を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ケースのベースからカバーを分離させた状態の本発明の実施形態のアンテナ装置を示す斜視図である。
図2図1中の支持基板、並びに支持基板に設けられた複数のミリ波アンテナユニットおよび複数の非ミリ波アンテナユニットを示す平面図である。
図3】ベースコネクタとモジュールコネクタとを互いに分離させた状態の本発明の実施形態のミリ波アンテナユニットを示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態のミリ波アンテナユニットを示す正面図である。
図5】本発明の実施形態のミリ波アンテナユニットを示す側面図である。
図6】本発明の実施形態のミリ波アンテナユニットのベースコネクタおよび支持基板を示す分解斜視図である。
図7】本発明の実施形態のミリ波アンテナユニットのモジュールコネクタおよびアンテナモジュールを示す分解斜視図である。
図8】本発明の実施形態のミリ波アンテナユニットのベースコネクタを示す平面図である。
図9】本発明の実施形態のミリ波アンテナユニットのモジュールコネクタおよびアンテナモジュールを示す底面図である。
図10図5中のミリ波アンテナユニットを切断線X-Xに沿って切断し、その断面を図5中の左側から見た状態を示す断面図である。
図11】図中の(a)は、互いに嵌合されたベースコネクタとモジュールコネクタとの嵌合部分を図8中の切断線XIa-XIaに沿って切断した断面を図8中の右側から見た状態を示す断面図であり、図中の(b)は、互いに嵌合されたベースコネクタとモジュールコネクタとの嵌合部分を図8中の切断線XIb-XIbに沿って切断した断面を図8中の右側から見た状態を示す断面図である。
図12図10中のミリ波アンテナユニットを切断線XII-XIIに沿って切断し、その断面を図10中の右側から見た状態を示す断面図である。
図13図10中のミリ波アンテナユニットを切断線XIII-XIIIに沿って切断し、その断面を図10中の右側から見た状態を示す断面図である。
図14】本発明のアンテナユニットの他の実施形態を示す説明図である。
図15】本発明のアンテナ装置の他の実施形態を示す説明図である。
図16図15中のミリ波アンテナユニットを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(アンテナ装置)
本発明のアンテナ装置の実施形態について説明する。図1は本発明の実施形態のアンテナ装置1を示している。図1では、アンテナ装置1の内部を見せるために、ケース11のカバー13がケース11のベース12から分離されている。なお、アンテナ装置1における上(Ud)、下(Dd)、前(Fd)、後(Bd)、左(Ld)、右(Rd)の方向については、図1中および図2中、または図15中の右下に描いた矢印に従う。
【0022】
アンテナ装置1は、例えば自動四輪車等の車両のルーフの上部に設けられる。アンテナ装置1は、例えばシャークフィンアンテナである。アンテナ装置1は、当該車両に搭載された通信装置と、当該車両以外の物体に設けられた通信装置(例えば移動体通信システムの無線基地局)との間の無線通信に用いられる。以下、アンテナ装置1が設けられた車両を「自車両」という。
【0023】
アンテナ装置1は、図1に示すように、ケース11、支持基板14、複数のミリ波アンテナユニット21~24、および複数の非ミリ波アンテナユニット121~124を備えている。
【0024】
ケース11は、ベース12、およびベース12をその上方から覆うカバー13を備えている。ベース12は平板状に形成されている。カバー13は底のない箱状に形成され、鮫の鰭の如き外観を有している。また、少なくともカバー13は例えば樹脂等の絶縁材料により形成されている。ベース12は自車両のルーフの上部に固定され、カバー13はベース12に固定される。ケース11内には、支持基板14、複数のミリ波アンテナユニット21~24、および複数の非ミリ波アンテナユニット121~124が収容される。
【0025】
支持基板14はベース12上に固定されている。また、支持基板14は、自車両が水平な地面の上に存在しているときに支持基板14の上面14A(取付面)が略水平となるように配置されている。支持基板14の上面14Aには、ミリ波アンテナユニット21~24および非ミリ波アンテナユニット121~124が固定されている。また、支持基板14は例えばプリント基板である。支持基板14には、ミリ波アンテナユニット21~24および非ミリ波アンテナユニット121~124を、自車両に搭載された通信装置および電源等と接続するための配線が形成されている。支持基板14に形成された配線は、例えばコネクタおよびケーブルを介して自車両に搭載された通信装置および電源等と接続されている。
【0026】
ミリ波アンテナユニット21~24はそれぞれ、準ミリ波帯またはミリ波帯の電波を送信または受信するアンテナユニットである。各ミリ波アンテナユニット21~24は例えば28GHz帯の電波を送信または受信するアンテナユニットである。ミリ波アンテナユニット21~24は、例えば、第5世代移動通信システムにおける準ミリ波帯またはミリ波帯の電波を送信または受信する無線基地局と通信を行うために用いられる。なお、ミリ波アンテナユニット21、22、23および24はそれぞれ、第1、第2、第3および第4のミリ波アンテナユニットの具体例である。
【0027】
ミリ波アンテナユニット21は、ベースコネクタ31、モジュールコネクタ51およびアンテナモジュール81を備えている。ベースコネクタ31は支持基板14に固定されている。モジュールコネクタ51は、ベースコネクタ31の上方に位置し、ベースコネクタ31と挿抜可能に接続されている。アンテナモジュール81はモジュールコネクタ51に固定されている。
【0028】
アンテナモジュール81は、アンテナ基板82、複数のアンテナ素子83、アンテナ回路としてのRF(Radio Frequency)回路84を備えている。アンテナ基板82は、図1に示すように、略方形の小型の基板である。
【0029】
各アンテナ素子83は、準ミリ波帯またはミリ波帯の電波を送信または受信する素子である。各アンテナ素子83はアンテナ基板82の表面に設けられている。例えば、アンテナ基板82には、4つのアンテナ素子83を2×2のマトリクス状に配列することより送信用の平面アレイアンテナが形成され、さらに、4つのアンテナ素子83を2×2のマトリクス状に配列することより受信用の平面アレイアンテナが形成されている。また、これら平面アレイアンテナはそれぞれ、アンテナ基板82の表面の前方に向かって、アンテナ基板82の表面に対して垂直な方向における電波の放射強度または受信感度が最も大きくなるような指向性を有している。
【0030】
RF回路84は、準ミリ波帯またはミリ波帯の電波の送信または受信に係る信号処理を行う回路であり、アンテナ基板82の裏面に設けられている。例えば、RF回路84においては、MIMO(Multiple Input Multiple Output)を用い、複数のアンテナ素子83を介して信号の送受信を行うための信号処理が行われる。また、RF回路84は、モジュールコネクタ51、ベースコネクタ31、支持基板14に形成された配線、および当該配線に接続されたケーブル等を介して、自車両に搭載された通信装置および電源に接続されている。また、アンテナモジュール81は、自車両に搭載された通信装置から出力された、例えば数GHzまたは十数GHzの送信信号(送信中間周波数信号)を準ミリ波帯またはミリ波帯の信号に周波数変換して電波として放射し、また、受信した電波に対応する準ミリ波帯またはミリ波帯の信号を例えば数GHzまたは十数GHzの受信信号(受信中間周波数信号)に周波数変換して、自車両に搭載された通信装置に出力する。RF回路84には、このような周波数変換を行う周波数コンバータが設けられている。
【0031】
また、アンテナモジュール81は、支持基板14の上面14Aが略水平であり、支持基板14にベースコネクタ31が固定され、かつベースコネクタ31にモジュールコネクタ51が接続された状態において、アンテナ基板82の表面がモジュールコネクタ51の外側かつ斜め上方を向くようにモジュールコネクタ51に固定されている。
【0032】
また、ミリ波アンテナユニット22、23、24はそれぞれ、ミリ波アンテナユニット21と同じ構成を有している。
【0033】
一方、非ミリ波アンテナユニット121~124はそれぞれ、準ミリ波帯よりも低い周波数帯の電波を送信または受信するアンテナユニットである。例えば、ミリ波アンテナユニット21~24における電波の周波数は20GHz以上であるのに対し、非ミリ波アンテナユニット121~124における電波の周波数は20GHz未満である。例えば、非ミリ波アンテナユニット121は、第5世代移動通信システムにおける準ミリ波帯よりも低い周波数帯(例えば3.7GHz帯または4.5GHz帯)の電波を用いて通信を行うためのアンテナユニットである。また、非ミリ波アンテナユニット122は、GNSS用のアンテナユニットである。また、非ミリ波アンテナユニット123はLTE用のアンテナユニットである。また、非ミリ波アンテナユニット124はV2X用のアンテナユニットである。なお、非ミリ波アンテナユニット123は、第5世代移動通信システムにおける準ミリ波帯よりも低い周波数帯の電波を用いた通信にも用いられる。また、非ミリ波アンテナユニット121、123、124のアンテナはそれぞれ無指向性アンテナである。また、非ミリ波アンテナユニット122のアンテナは、支持基板14の上面14Aの上方に向かって、上面14Aに対して垂直な方向における電波の放射強度または受信感度が最も大きくなるような指向性を有している。また、非ミリ波アンテナユニット121~124は、支持基板14に形成された配線、および当該配線に接続されたケーブル等を介して、自車両に搭載された通信装置および電源等に接続されている。なお、非ミリ波アンテナユニット121、122、123および124はそれぞれ、第1、第2、第3および第4の非ミリ波アンテナユニットの具体例である。
【0034】
図2は、ミリ波アンテナユニット21~24および非ミリ波アンテナユニット121~124が固定された支持基板14を上方から見た状態を示している。非ミリ波アンテナユニット121~124は、支持基板14の上面14Aにおける内側または中央側の領域、別言すれば、上面14Aの中央を含む領域、具体的には、図2において二点鎖線で示した領域Z内に配置されている。より具体的には、非ミリ波アンテナユニット121は領域Z内の前部に配置され、非ミリ波アンテナユニット122は領域Z内の略中央部に配置されている。また、非ミリ波アンテナユニット123は領域Z内の後部に配置され、非ミリ波アンテナユニット124は領域Z内において、非ミリ波アンテナユニット123の後方に配置されている。また、非ミリ波アンテナユニット121は、非ミリ波アンテナユニット121~124のうち、領域Z内において最も前側に配置されている。また、非ミリ波アンテナユニット124は、非ミリ波アンテナユニット121~124のうち、領域Z内において最も後側に配置されている。
【0035】
一方、ミリ波アンテナユニット21~24は、支持基板14の上面14Aにおける外側、端側または周縁側の領域、具体的には、支持基板14の上面14Aにおいて、非ミリ波アンテナユニット121~124が配置された領域Zの外側の領域に配置されている。
【0036】
より具体的には、ミリ波アンテナユニット21は支持基板14の上面14Aの前端部に、アンテナ基板82の表面が前上方を向くように配置されている。また、ミリ波アンテナユニット22は支持基板14の上面14Aの後端部に、アンテナ基板82の表面が後上方を向くように配置されている。また、ミリ波アンテナユニット23は支持基板14の上面14Aの左端部(矢印Ldが指す方向の端部)に、アンテナ基板82の表面が左上方を向くように配置されている。また、ミリ波アンテナユニット24は支持基板14の上面14Aの右端部(矢印Rdが指す方向の端部)に、アンテナ基板82の表面が右上方を向くように配置されている。
【0037】
また、ミリ波アンテナユニット21は非ミリ波アンテナユニット121の前方に配置され、ミリ波アンテナユニット22は非ミリ波アンテナユニット124の後方に配置されている。また、ミリ波アンテナユニット23は非ミリ波アンテナユニット123の左方に配置され、ミリ波アンテナユニット24は非ミリ波アンテナユニット123の右方に配置されている。
【0038】
また、ミリ波アンテナユニット21は、支持基板14の上面14Aに配置されたすべてのアンテナユニット(ミリ波アンテナユニット21~24および非ミリ波アンテナユニット121~124)のうち、最も前側に配置されており、ミリ波アンテナユニット21とカバー13の前部の内面との間には他の部品が介在していない。また、ミリ波アンテナユニット22は支持基板14の上面14Aに配置されたすべてのアンテナユニットのうち最も後側に配置されており、ミリ波アンテナユニット22とカバー13の後部の内面との間には他の部品が介在していない。また、ミリ波アンテナユニット23は支持基板14の上面14Aに配置されたすべてのアンテナユニットのうち最も左側に配置されており、ミリ波アンテナユニット23とカバー13の左部の内面との間には他の部品が介在していない。また、ミリ波アンテナユニット24は支持基板14の上面14Aに配置されたすべてのアンテナユニットのうち最も右側に配置されており、ミリ波アンテナユニット24とカバー13の右部の内面との間には他の部品が介在していない。
【0039】
本発明の実施形態のアンテナ装置1によれば、ミリ波アンテナユニット21~24のアンテナ基板82の表面、すなわち、各アンテナ素子83の表面が、水平方向において四方(前方、後方、左方、右方)を向いているので、自車両の周囲の水平方向の広範囲において、強度の大きい準ミリ波帯またはミリ波帯の電波を放射することができ、かつ、自車両の周囲の水平方向の広範囲において、準ミリ波帯またはミリ波帯の電波の受信感度を高めることができる。したがって、自車両が水平方向において、いかなる方向を向いているときであっても、準ミリ波帯またはミリ波帯の電波を用いて良好な通信を行うことが可能になる。
【0040】
また、本発明の実施形態のアンテナ装置1によれば、各ミリ波アンテナユニット21~24のアンテナ基板82の表面、すなわち、各アンテナ素子83の表面が斜め上方を向いているので、建物や電柱の上部など、自車両のルーフよりも高い位置に設置された無線基地局に向けて、強度の大きい準ミリ波帯またはミリ波帯の電波を放射することができ、かつ、このような高い位置に設置された無線基地局から放射される準ミリ波帯またはミリ波帯の電波の受信感度を高めることができる。したがって、雨天時など、準ミリ波帯またはミリ波帯の電波伝搬損失が増大し易い状況においても、準ミリ波帯またはミリ波帯の電波を用いて高品質な通信を行うことが可能になる。
【0041】
さらに、本発明の実施形態のアンテナ装置1によれば、ミリ波アンテナユニット21~24が、支持基板14の上面において、非ミリ波アンテナユニット121~124が配置された領域Zの外側の領域に配置されているので、各ミリ波アンテナユニット21~24から放射された準ミリ波帯またはミリ波帯の電波が非ミリ波アンテナユニット121、122、123または124によって遮られることがない。また、無線基地局からミリ波アンテナユニット21、22、23または24へ放射された準ミリ波帯またはミリ波帯の電波が、非ミリ波アンテナユニット121、122、123または124によって遮られることがない。したがって、準ミリ波帯またはミリ波帯の電波を用いて良好な通信を行うことができる。
【0042】
また、本発明の実施形態のアンテナ装置1によれば、ミリ波アンテナユニット21とカバー13の前部の内面との間には他の部品が介在しておらず、ミリ波アンテナユニット22とカバー13の後部の内面との間には他の部品が介在しておらず、ミリ波アンテナユニット23とカバー13の左部の内面との間には他の部品が介在しておらず、かつミリ波アンテナユニット24とカバー13の右部の内面との間には他の部品が介在していない。したがって、準ミリ波帯またはミリ波帯の電波を用いて良好な通信を行うことができる。
【0043】
(ミリ波アンテナユニット)
ミリ波アンテナユニット21~24についてさらに説明する。なお、ミリ波アンテナユニット21~24はそれぞれ互いに同じ構成を有しているので、以下、ミリ波アンテナユニット21についてのみ説明する。また、アンテナモジュール81については既に十分に説明したので、以下、ミリ波アンテナユニット21のベースコネクタ31およびモジュールコネクタ51について説明する。
【0044】
図3は、ベースコネクタ31とモジュールコネクタ51とを互いに分離させた状態のミリ波アンテナユニット21を示している。図4はミリ波アンテナユニット21の正面図である。図5はミリ波アンテナユニット21の側面図である。図6はベースコネクタ31および支持基板14の分解斜視図である。図7はモジュールコネクタ51およびアンテナモジュール81の分解斜視図である。図8はベースコネクタ31の平面図である。図9はモジュールコネクタ51の底面図である。図10は、図5中のミリ波アンテナユニット21を切断線X-Xに沿って切断し、その断面を図5中の左側から見た状態を示す断面図である。図11(a)は、互いに嵌合されたベースコネクタ31とモジュールコネクタ51との嵌合部分を図8中の切断線XIa-XIaに沿って切断した断面を図8中の右側から見た状態を示す断面図である。図11(b)は、互いに嵌合されたベースコネクタ31とモジュールコネクタ51との嵌合部分を図8中の切断線XIb-XIbに沿って切断した断面を図8中の右側から見た状態を示す断面図である。図12は、図10中のミリ波アンテナユニット21を切断線XII-XIIに沿って切断し、その断面を図10中の右側から見た状態を示す断面図である。図13は、図10中のミリ波アンテナユニット21を切断線XIII-XIIIに沿って切断し、その断面を図10中の右側から見た状態を示す断面図である。
【0045】
ミリ波アンテナユニット21は、図3ないし図5に示すように、支持基板14に固定されるベースコネクタ31と、ベースコネクタ31と挿抜可能に接続されるモジュールコネクタ51と、モジュールコネクタ51に固定され、準ミリ波帯またはミリ波帯の電波を送信または受信するアンテナモジュール81とを備えている。
【0046】
ベースコネクタ31は、図6に示すように、ケーシング32、嵌合部36、送信端子37、受信端子38、2つの個別シールド部材39、40、電力供給端子41、複数の他の端子42および全体シールド部材43を備えている。
【0047】
ケーシング32は、例えば樹脂等の絶縁材料により、横断面形状が長方形である略筒状に形成されている。嵌合部36はケーシング32の上端側に形成されている。すなわち、ケーシング32の上側の開口部が嵌合部36に当たる。嵌合部36はモジュールコネクタ51の嵌合部55と嵌合される。また、嵌合部36は、ベースコネクタ31に対するモジュールコネクタ51の挿抜方向A(図5参照)が支持基板14の上面14Aに対して垂直となるように形成されている。
【0048】
送信端子37、受信端子38、個別シールド部材39、40、電力供給端子41、複数の他の端子42はそれぞれ、例えば金属等の導電材料により形成され、ケーシング32内に配置されている。
【0049】
送信端子37は、自車両に搭載された通信装置からアンテナモジュール81のRF回路84へ送信信号(送信中間周波数信号)を伝送するための端子である。受信端子38は、アンテナモジュール81のRF回路84から自車両に搭載された通信装置へ受信信号(中間受信周波数信号)を伝送するための端子である。送信端子37および受信端子38はそれぞれ、上下方向に伸長する円筒状に形成されている。送信端子37の下端側は、支持基板14の上面14Aに形成されたパッド91に、例えばリフロー半田付けにより接続される。受信端子38の下端側は、支持基板14の上面14Aに形成されたパッド92に、例えばリフロー半田付けにより接続される。パッド91、92は、支持基板14に形成された配線、および当該配線に接続されたケーブル等を介して、自車両に搭載された通信装置にそれぞれ接続されている。また、図10または図13に示すように、ベースコネクタ31の嵌合部36にモジュールコネクタ51の嵌合部55が嵌合されたとき、送信端子37の上端側はモジュールコネクタ51の送信端子61と接触し、受信端子38の上端側はモジュールコネクタ51の受信端子62と接触する。
【0050】
個別シールド部材39は送信端子37を個別に電磁シールドする部材である。また、個別シールド部材39は、ベースコネクタ31と支持基板14との間およびベースコネクタ31とモジュールコネクタ51との間における送信信号伝送経路のインピーダンスを整合させる機能を有している。個別シールド部材40は受信端子38を個別に電磁シールドする部材である。また、個別シールド部材40は、ベースコネクタ31と支持基板14との間およびベースコネクタ31とモジュールコネクタ51との間における受信信号伝送経路のインピーダンスを整合させる機能を有している。これら個別シールド部材39、40は、図6に示すように、それぞれ、上下方向に伸長する円筒状に形成されている。個別シールド部材39は送信端子37の外周側を包囲している。送信端子37と個別シールド部材39は同軸に配置されている。個別シールド部材40は受信端子38の外周側を包囲している。受信端子38と個別シールド部材40は同軸に配置されている。また、図10に示すように、送信端子37と個別シールド部材39との間、および受信端子38と個別シールド部材40との間にはそれぞれ、絶縁部材50が設けられている。また、図6に示すように、個別シールド部材39、40の下端側は、支持基板14の上面14Aに形成されたパッド93、94に、例えばリフロー半田付けによりそれぞれ接続される。パッド93、94は例えばグランドラインに接続されている。また、図10または図13に示すように、ベースコネクタ31の嵌合部36にモジュールコネクタ51の嵌合部55が嵌合されたとき、個別シールド部材39、40はモジュールコネクタ51の個別シールド部材63、64とそれぞれ接触する。
【0051】
電力供給端子41は、自車両に搭載された電源からアンテナモジュール81のRF回路84へ電力を供給するための端子である。電力供給端子41は、線状の導電材料を図12に示すような形状に曲げることにより形成されている。また、図6に示すように、電力供給端子41の下端側は、支持基板14の上面14Aに形成されたパッド95に、例えばリフロー半田付けにより接続される。パッド95は、支持基板14に形成された配線、および当該配線に接続されたケーブル等を介して、自車両に搭載された電源に接続されている。また、図12に示すように、ベースコネクタ31の嵌合部36にモジュールコネクタ51の嵌合部55が嵌合されたとき、電力供給端子41の上端側はモジュールコネクタ51の電力供給端子65と接触する。
【0052】
複数の他の端子42は、例えば、RF回路84へクロック信号、制御信号等を伝送するための端子である。複数の他の端子42はそれぞれ、電力供給端子41と同様に形成されている。図6に示すように、複数の他の端子42の下端側は、支持基板14の上面14Aに形成された複数のパッド96に例えばリフロー半田付けによりそれぞれ接続されている。複数のパッド96は、支持基板14に形成された配線、および当該配線に接続されたケーブル等を介して、自車両に搭載された通信装置にそれぞれ接続されている。また、ベースコネクタ31の嵌合部36にモジュールコネクタ51の嵌合部55が嵌合されたとき、各他の端子42の上端側はモジュールコネクタ51の各他の端子66と接触する。
【0053】
図8に示すように、ベースコネクタ31を上から見たとき、送信端子37および受信端子38は、ケーシング32内(嵌合部36内)の左側および右側にそれぞれ配置されている。また、電力供給端子41および複数の他の端子42は、送信端子37と受信端子38との間に配置され、ケーシング32内(嵌合部36内)の中央に位置している。
【0054】
全体シールド部材43は、送信端子37、受信端子38、個別シールド部材39、40、電力供給端子41および複数の他の端子42をまとめて覆うことにより、これらの端子および部材を全体的に電磁シールドする部材である。全体シールド部材43は、例えば金属等の導電材料により形成され、ケーシング32の外周側を包囲している。
【0055】
また、図6に示すように、全体シールド部材43の上端側には、上方に突出する4つの取付片44が設けられ、各取付片44には係止突起が形成されている。また、ケーシング32の周壁の上端側にはその全周に亘って外側に張り出た鍔状部33が形成され、鍔状部33の4箇所には取付穴34が設けられている。全体シールド部材43は4つの取付片44を4つの取付穴34にそれぞれ挿入し、各取付穴34内に各取付片44を係止することにより、ケーシング32に固定されている。
【0056】
また、全体シールド部材43には4つのシールド接触片45が設けられている。また、ケーシング32の4箇所には接続片挿通穴35が形成されている。図8に示すように、4つのシールド接触片45は4つの接続片挿通穴35内をそれぞれ通り、ケーシング32の外側から嵌合部36内に張り出している。また、図11(a)に示すように、全体シールド部材43の正面側に配置された2つのシールド接触片45はそれぞれ、全体シールド部材43の正面側の壁板の下部から背面側へ張り出した後、上方に伸長している。また、図11(b)に示すように、全体シールド部材43の背面側に配置された2つのシールド接触片45はそれぞれ、全体シールド部材43の背面側の壁板の下部から正面側へ張り出した後、上方に伸長している。ベースコネクタ31の嵌合部36にモジュールコネクタ51の嵌合部55が嵌合されたとき、嵌合部36内に張り出している4つのシールド接触片45が、モジュールコネクタ51のシールド接続片74、75と接触する。
【0057】
また、図4ないし図6から把握されるように、全体シールド部材43の下端側には、ケーシング32および全体シールド部材43を支持基板14に固定するための4つの固定部46が設けられている。各固定部46は、支持基板14の上面14Aに形成されたパッド97に、例えばリフロー半田付けにより接続される。
【0058】
また、図6に示すように、全体シールド部材43の左部および右部には係止片47がそれぞれ設けられ、各係止片47には係止穴48が設けられている。図10に示すように、ベースコネクタ31の嵌合部36にモジュールコネクタ51の嵌合部55が嵌合されたとき、モジュールコネクタ51の左右の係止突起78が全体シールド部材43の左右の係止片47の係止穴48にそれぞれ係止され、モジュールコネクタ51がベースコネクタ31にロックされる。
【0059】
なお、ケーシング32はベース側ケーシングの具体例である。嵌合部36はベース側嵌合部の具体例である。送信端子37、受信端子38、電力供給端子41および他の端子42はベース側端子の具体例である。送信端子37はベース側送信端子の具体例である。受信端子38はベース側受信端子の具体例である。個別シールド部材39は第1のベース側個別シールド部材の具体例である。個別シールド部材40は第2のベース側個別シールド部材の具体例である。電力供給端子41はベース側電力供給端子の具体例である。全体シールド部材43はベース側全体シールド部の具体例である。支持基板14の上面14Aに形成されたパッド91~97および支持基板14に形成された配線は基板側回路の具体例である。
【0060】
モジュールコネクタ51は、図7に示すように、ケーシング52、嵌合部55、送信端子61、受信端子62、2つの個別シールド部材63、64、電力供給端子65、複数の他の端子66および全体シールド部材67を備えている。
【0061】
ケーシング52は、例えば樹脂等の絶縁材料により、概ね直方体状に形成されている。また、ケーシング52の中央部には端子収容部53が形成されている。嵌合部55はケーシング52の下端側から下方へ突出している。嵌合部55はベースコネクタ31の嵌合部36内に挿入され、嵌合部36と嵌合される。また、嵌合部55の下端面の左部および右部には、下方に突出する凸部56がそれぞれ形成されている。図10に示すように、嵌合部55がベースコネクタ31の嵌合部36内に挿入されたとき、これら2つの凸部56が、嵌合部36の底部の左部および右部にそれぞれ形成された凹部49に挿入される。これにより、嵌合部36内における嵌合部55の位置が高精度に定まる。
【0062】
送信端子61、受信端子62、個別シールド部材63、64、電力供給端子65、複数の他の端子66はそれぞれ、例えば金属等の導電材料により形成され、ケーシング52の端子収容部53内に配置されている。また、図7に示すように、送信端子61、受信端子62、個別シールド部材63、64、電力供給端子65、複数の他の端子66のそれぞれの下端側は、嵌合部55に形成された端子挿通穴57、58、59内に挿入される。各端子挿通穴57、58、59は、図9ないし図13に示すように、嵌合部55を上下方向に貫通しており、また、端子収容部53と連通している。
【0063】
送信端子61は、自車両に搭載された通信装置からアンテナモジュール81のRF回路84へ送信信号(送信中間周波数信号)を伝送するための端子である。受信端子62は、アンテナモジュール81のRF回路84から自車両に搭載された通信装置へ受信信号(中間受信周波数信号)を伝送するための端子である。図7および図13に示すように、送信端子61および受信端子62はそれぞれ、棒状の導電材料を折り曲げることによりL字状に形成されている。送信端子37の上端側は、アンテナ基板82の裏面82Bに形成されたパッド101に、例えばリフロー半田付けにより接続される。受信端子62の上端側は、アンテナ基板82の裏面82Bに形成されたパッド102に、例えばリフロー半田付けにより接続される。パッド101、102は、アンテナ基板82に形成された配線を介してRF回路84にそれぞれ接続されている。また、図10および図13に示すように、モジュールコネクタ51の嵌合部55がベースコネクタ31の嵌合部36に嵌合されたとき、送信端子61の下端側はベースコネクタ31の送信端子37と接触し、受信端子62の下端側はベースコネクタ31の受信端子38と接触する。
【0064】
個別シールド部材63は送信端子61を個別に電磁シールドする部材である。また、個別シールド部材63は、モジュールコネクタ51とベースコネクタ31との間およびモジュールコネクタ51とRF回路84との間における送信信号伝送経路のインピーダンスを整合させる機能を有している。個別シールド部材64は受信端子62を個別に電磁シールドする部材である。また、個別シールド部材64は、モジュールコネクタ51とベースコネクタ31との間およびモジュールコネクタ51とRF回路84との間における受信信号伝送経路のインピーダンスを整合させる機能を有している。これら個別シールド部材63、64はそれぞれ、上下方向に伸長する円筒状に形成されている。個別シールド部材63は送信端子61の外周側を包囲している。送信端子61と個別シールド部材63は同軸に配置されている。個別シールド部材64は受信端子62の外周側を包囲している。受信端子62と個別シールド部材64は同軸に配置されている。また、図10に示すように、送信端子61と個別シールド部材63との間、および受信端子62と個別シールド部材64との間にはそれぞれ、絶縁部材79が設けられている。また、図7に示すように、個別シールド部材63、64の下端側は、アンテナ基板82の裏面82Bに形成されたパッド103、104に、例えばリフロー半田付けにより接続される。パッド103、104は例えばグランドラインに接続されている。また、図10および図13に示すように、モジュールコネクタ51の嵌合部55がモジュールコネクタ51の嵌合部36に嵌合されたとき、個別シールド部材63、64はベースコネクタ31の個別シールド部材39、40とそれぞれ接触する。
【0065】
電力供給端子65は、自車両に搭載された電源からアンテナモジュール81のRF回路84へ電力を供給するための端子である。電力供給端子65は、線状の導電材料を図12に示すような形状に曲げることにより形成されている。また、図7に示すように、電力供給端子65の上端側は、アンテナ基板82の裏面82Bに形成されたパッド105に、例えばリフロー半田付けにより接続される。パッド105は、アンテナ基板82に形成された配線を介してRF回路84に接続されている。また、図12に示すように、モジュールコネクタ51の嵌合部55がベースコネクタ31の嵌合部36に嵌合されたとき、電力供給端子65の下端側はベースコネクタ31の電力供給端子41と接触する。
【0066】
複数の他の端子66は、例えば、RF回路84へクロック信号、制御信号等を伝送するための端子である。複数の他の端子66はそれぞれ、電力供給端子65と同様に形成されている。複数の他の端子66の上端側は、アンテナ基板82の裏面82Bに形成された複数のパッド106に例えばリフロー半田付けによりそれぞれ接続される。複数のパッド106は、アンテナ基板82に形成された配線を介してRF回路84にそれぞれ接続されている。また、モジュールコネクタ51の嵌合部55がベースコネクタ31の嵌合部36に嵌合されたとき、各他の端子66の下端側はベースコネクタ31の各他の端子42と接触する。
【0067】
図9に示すように、モジュールコネクタ51を下から見たとき、送信端子61、受信端子62、電力供給端子65および複数の他の端子66は、ベースコネクタ31の送信端子37、受信端子38、電力供給端子41および他の端子42と対応するように配置されている。
【0068】
全体シールド部材67は、送信端子61、受信端子62、個別シールド部材63、64、電力供給端子65および複数の他の端子66をまとめて覆うことにより、これらの端子および部材を全体的に電磁シールドする部材である。全体シールド部材67は、図7に示すように、例えば金属等の導電材料により形成された2つのシールド板68,69を有している。一方のシールド板68はケーシング52の正面側に取り付けられ、他方のシールド板69はケーシング52の背面側に取り付けられる。これにより、ケーシング52の上側および外周側がシールド板68,69によって包囲される。
【0069】
また、一方のシールド板68の左部および右部には取付穴70を有する複数の取付片が設けられ、一方のシールド板68の上部には取付穴71が設けられている。また、他方のシールド板68の左部および右部には取付穴72を有する複数の取付片が設けられ、他方のシールド板の上部には取付穴が設けられている。また、ケーシング52の左面、右面および上面には複数の取付突起54が設けられている。シールド板68,69は複数の取付穴70、71、72が複数の取付突起54にそれぞれ係止されることにより、ケーシング52に固定される。また、ケーシング52の正面側に取り付けられるシールド板68には、送信端子61、受信端子62、電力供給端子65および他の端子66の上端側を貫通させるための貫通穴73が形成されている。
【0070】
また、一方のシールド板68には、クランク状にケーシング52に接近する方向に折れ曲がりつつ下方に伸長するシールド接続片74が設けられている。また、他方のシールド板69にも同様のシールド接続片75が設けられている。また、嵌合部55の正面側の外面には、シールド板68のシールド接続片74を装着するための凹みである接続片装着部が形成されている。また、嵌合部55の背面側の外面には、シールド板69のシールド接続片75を装着するための凹みである接続片装着部60が形成されている。シールド板68,69をケーシング52に取り付けたとき、シールド接続片74、75が嵌合部55の正面側および背面側にそれぞれ形成された接続片装着部60内に装着される。図11(a)および図11(b)に示すように、ベースコネクタ31の嵌合部36にモジュールコネクタ51の嵌合部55が嵌合されたとき、ベースコネクタ31の全体シールド部材43に設けられたシールド接触片45が、モジュールコネクタ51の全体シールド部材67に設けられたシールド接続片74、75に接触する。これにより、ベースコネクタ31の全体シールド部材43とモジュールコネクタ51の全体シールド部材67とが電気的に接続される。
【0071】
また、ケーシング52の正面側に取り付けられるシールド板68には、アンテナモジュール81をモジュールコネクタ51に固定するための複数の固定部76が設けられている。例えば、図5および図7から把握されるように、シールド板68には5つの固定部76が設けられ、5つの固定部76は、シールド板68の左上部、右上部、左下部、右下部、下部中央にそれぞれ配置されている。各固定部76は、アンテナ基板82の裏面82Bに形成されたパッド107に、例えばリフロー半田付けにより接続される。また、図5に示すように、シールド板68の左下部、右上部および下部中央に配置された3つの固定部76は、シールド板68の左上部および右上部に配置された2つの固定部76と比較して正面側(前方)に大きく突出している。このような複数の固定部76の突出端部にアンテナ基板82の裏面82Bが固定されることで、アンテナモジュール81は、アンテナ基板82の表面82Aがモジュールコネクタ51の外側かつ斜め上方を向くように、シールド板68を介してケーシング52に固定される。ここで、図5に示すように、支持基板14の上面14Aに対するアンテナ基板82の表面の角度αがおよそ45度以上90度未満となるように、アンテナモジュール81をモジュールコネクタ51のケーシング52に固定することが好ましい。
【0072】
また、ケーシング52の正面側に取り付けられるシールド板68の左部および右部には、図7に示すように、ばね部77がそれぞれ設けられている。シールド板68の左部に設けられたばね部77は、その上端部がシールド板68の左上部に接続され、下端部が自由端となっている。このばね部77は下端部が左右方向に変位するように弾性変形する板ばねである。また、シールド板68の左部に設けられたばね部77の下端部には、当該ばね部77の下端部から左方に突出する係止突起78が形成されている。シールド板68の右部に設けられたばね部77は、シールド板68の左部に設けられたばね部77と左右対称に形成されおり、その下端部が左右方向に変位するように弾性変形する板ばねである。また、シールド板68の右部に設けられたばね部77の下端部には、当該ばね部77の下端部から右方に突出する係止突起78が形成されている。図10に示すように、モジュールコネクタ51の嵌合部55がベースコネクタ31の嵌合部36に嵌合されたとき、シールド板68の左右の係止突起78が全体シールド部材43の左右の係止片47の係止穴48にそれぞれ係止され、モジュールコネクタ51がベースコネクタ31にロックされる。
【0073】
なお、ケーシング52はモジュール側ケーシングの具体例である。嵌合部55はモジュール側嵌合部の具体例である。送信端子61、受信端子62、電力供給端子65および他の端子66はモジュール側端子の具体例である。送信端子61はモジュール側送信端子の具体例である。受信端子62はモジュール側受信端子の具体例である。個別シールド部材63は第1のモジュール側個別シールド部材の具体例である。個別シールド部材64は第2のモジュール側個別シールド部材の具体例である。電力供給端子65はモジュール側電力供給端子の具体例である。全体シールド部材67はモジュール側全体シールド部の具体例である。モジュールコネクタ51のばね部77および係止突起78並びにベースコネクタ31の係止片47および係止穴48はロック機構の具体例である。
【0074】
本発明の実施形態のミリ波アンテナユニット21(22~24)によれば、ベースコネクタ31を支持基板14に固定し、アンテナモジュール81をアンテナ基板82の表面が上方を向くように固定し、このモジュールコネクタ51をベースコネクタ31に嵌合接続する構成としたから、アンテナ基板82の表面を上方に傾けた状態で、アンテナモジュール81を支持基板14に強固に支持することができる。これにより、自車両の走行時の振動等によりアンテナ基板82の向きが変化することを防止することができる。
【0075】
また、本発明の実施形態のミリ波アンテナユニット21(22~24)によれば、ベースコネクタ31とモジュールコネクタ51との嵌合接続により、アンテナモジュール81のRF回路84と支持基板14に形成された配線とを電気的に接続するので、半田ごてを用いた手作業による半田付けによってRF回路84と支持基板14に形成された配線とを電気的に接続する場合と比較して、RF回路84と支持基板14に形成された配線との間におけるインピーダンスの不整合を抑制することができる。詳しく説明すると、アンテナ装置1の組立時においてミリ波アンテナユニット21(22~24)を支持基板14に取り付けるに当たり、半田ごてを用いた手作業による半田付けによってRF回路84と支持基板14に形成された配線とを電気的に接続する従来の方法によれば、RF回路84と支持基板14に形成された配線との接続部分に盛られる半田の量が多すぎたり、少なすぎたりすることにより、RF回路84と支持基板14に形成された配線との間においてインピーダンスの不整合が生じる。これに対し、ベースコネクタ31とモジュールコネクタ51との嵌合接続により、アンテナモジュール81のRF回路84と支持基板14に形成された配線とを電気的に接続する方法によれば、ベースコネクタ31とモジュールコネクタ51との嵌合により、ベースコネクタ31の端子とモジュールコネクタ51の端子とが常に一定の接触面積を持って互いに確実に接触するので、半田ごてを用いた半田付けと比較して、RF回路84と支持基板14に形成された配線との間においてインピーダンスの不整合が生じ難い。すなわち、RF回路84とモジュールコネクタ51との間、モジュールコネクタ51とベースコネクタ31との間、およびベースコネクタ31と支持基板14の配線との間のそれぞれにおいてインピーダンスが整合するように、モジュールコネクタ51およびベースコネクタ31を設計し、製造しておけば、ベースコネクタ31とモジュールコネクタ51とを嵌合接続してアンテナモジュール81を支持基板14に取り付けることにより、RF回路84と支持基板14の配線との間の各所において設計通りのインピーダンスを再現することができ、RF回路84とモジュールコネクタ51との間、モジュールコネクタ51とベースコネクタ31との間、およびベースコネクタ31と支持基板14の配線との間のそれぞれにおいて、設計した通りに、インピーダンスを整合させることができる。よって、本発明の実施形態のミリ波アンテナユニット21(22~24)によれば、送信信号(送信中間周波数信号)または受信信号(受信中間周波数信号)の反射損失等を低減させ、準ミリ波帯またはミリ波帯の電波を用いた通信の品質を向上させることができ、このような極めて高い周波数の電波の用いた場合でも、良好な通信を実現することができる。
【0076】
なお、ミリ波アンテナユニット21(22~24)においては、ベースコネクタ31の送信端子37、受信端子38、個別シールド部材39、40、電力供給端子41、他の端子42および固定部46と支持基板14のパッド91~97との接続、およびモジュールコネクタ51の送信端子61、受信端子62、個別シールド部材63、64、電力供給端子65、他の端子66および固定部76とアンテナ基板82のパッド101~107との接続の方法としてリフロー半田付けを用いている。リフロー半田付けは、パッドに塗布する半田の量を高精度に制御することができるので、アンテナ装置1の組立時における、半田ごてを用いた手作業の半田付けのように、半田の量が多すぎたり、少なすぎたりすることは起こり難い。
【0077】
また、本実施形態のミリ波アンテナユニット21(22~24)において、ベースコネクタ31は送信端子37、受信端子38、電力供給端子41および他の端子42を備え、モジュールコネクタ51は送信端子61、受信端子62、電力供給端子65および他の端子66を備え、ベースコネクタ31とモジュールコネクタ51とを嵌合接続することで、これらの端子同士をそれぞれ接続することができる。したがって、アンテナモジュール81と支持基板14の配線との接続を容易に行うことができ、アンテナ装置1の製造、組立て、修理、またはミリ波アンテナモジュールの交換等の作業の簡素化を図ることができる。
【0078】
また、本実施形態のミリ波アンテナユニット21(22~24)においては、ベースコネクタ31の送信端子37およびモジュールコネクタ51の送信端子61を個別シールド部材39、63により個別に電磁シールドし、これとは別に、ベースコネクタ31の受信端子38およびモジュールコネクタ51の受信端子62を個別シールド部材40、64により個別に電磁シールドする構成としたから、送信信号へのノイズの混入または送信信号の外部への漏洩を抑制する効果と、受信信号へのノイズの混入または受信信号の外部への漏洩を抑制する効果とをそれぞれ高めることができる。また、送信信号が受信信号に混入してノイズが生じることや、受信信号が送信信号に混入してノイズが生じることを抑制することができる。
【0079】
また、本実施形態のミリ波アンテナユニット21(22~24)においては、ベースコネクタ31には、ベースコネクタ31の複数の端子を全体的に電磁シールドする全体シールド部材43を設け、モジュールコネクタ51には、モジュールコネクタ51の複数の端子を全体的に電磁シールドする全体シールド部材67を設けたので、RF回路84と支持基板14の配線との間において伝送される種々の信号のいずれにおいても、ノイズの混入または外部への漏洩を抑制することができる。特に、送信信号、受信信号については、個別シールド部材39、40、63、64と全体シールド部材43、67との二重の電磁シールドにより、ノイズの混入または外部への漏洩の抑制効果を高めることができる。
【0080】
また、本実施形態のミリ波アンテナユニット21(22~24)によれば、ばね部77、係止突起78および係止穴48を備えたロック機構により、ベースコネクタ31に対してモジュールコネクタ51をロックする構成としたら、ベースコネクタ31とモジュールコネクタ51との嵌合接続を保持することができ、自車両の走行時の振動等により、ベースコネクタ31とモジュールコネクタ51とが分離してしまうことを防止することができる。
【0081】
(ミリ波アンテナユニットの他の実施形態)
図14は本発明の他の実施形態のミリ波アンテナユニット201を示している。上述したミリ波アンテナユニット21(22~24)では、図5に示すように、ベースコネクタ31が支持基板14に固定された状態において、嵌合部36および嵌合部55は、ベースコネクタ31に対するモジュールコネクタ51の挿抜方向Aが支持基板14の上面14Aに対して垂直となるように形成され、アンテナモジュール81は、アンテナ基板82の表面が挿抜方向Aに対して傾斜するようにケーシング52に固定されている。これに対し、他の実施形態のミリ波アンテナユニット201においては、図14に示すように、ベースコネクタ202が支持基板14に固定された状態において、ベースコネクタ202の嵌合部およびモジュールコネクタ203の嵌合部は、ベースコネクタ202に対するモジュールコネクタ203の挿抜方向Bが支持基板14の上面14Aに対して傾斜するように形成され、アンテナモジュール205は、アンテナ基板206の表面が挿抜方向Bに対して平行となるようにモジュールコネクタ203のケーシング204に固定されている。具体的には、ベースコネクタ202を支持基板14に固定する複数の固定部207のうち、ベースコネクタ202の正面側に配置された固定部207を、ベースコネクタ202の背面側に配置された固定部208よりも下方に大きく突出させることにより、ベースコネクタ202の正面を向いた面が斜め上方を向くように、ベースコネクタ202を支持基板14の上面14Aに対して傾斜させる。これに加え、アンテナモジュール205をモジュールコネクタ203のケーシング204に固定する複数の固定部の突出量を互いに等しくすることにより、アンテナ基板82の表面82Aがモジュールコネクタ203のケーシング204の正面を向いた面と平行になるようにアンテナモジュール205をケーシング204に固定する。このような構成を有するミリ波アンテナユニット201によっても、ミリ波アンテナユニット21(22~23)と同様の作用効果を得ることができる。
【0082】
(アンテナ装置の他の実施形態)
図15は本発明の他の実施形態のアンテナ装置301を示している。図16はアンテナ装置301が有するミリ波アンテナユニット311を示している。図15中のアンテナ装置301において、ケース、支持基板、各非ミリ波アンテナユニットについては、図1中のアンテナ装置1におけるものと同じであるので、図1中のアンテナ装置1におけるものと同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0083】
本実施形態のアンテナ装置301においては、図16に示すように、各ミリ波アンテナユニット311~314は、支持基板14に固定されるベースコネクタ321、ベースコネクタ321に挿抜可能に接続されるモジュールコネクタ331、および準ミリ波帯またはミリ波帯の電波を送信または受信するアンテナモジュール351に加え、モジュールコネクタ331とアンテナモジュール351との間を接続するケーブル341を備えている。
【0084】
ベースコネクタ321は、ケーシング322、嵌合部323、送信端子324、受信端子325、個別シールド部材326、327、電力供給端子328および他の端子を備えている。モジュールコネクタ331も、ケーシング332、嵌合部333、およびベースコネクタ321が有する端子およびシールド部材に対応する端子およびシールド部材を備えている。また、ベースコネクタ321およびモジュールコネクタ331のそれぞれに全体シールド部材を設けてもよい。
【0085】
また、ケーブル341は、モジュールコネクタ331の送信端子、受信端子、個別シールド部材、電力供給端子および他の端子をアンテナモジュール351のRF回路354にそれぞれ接続するための電線を備えている。また、モジュールコネクタ331の送信端子および個別シールド部材とRF回路354を接続する2本の電線を内部導体の周囲を、絶縁体を介して外部導体が包囲する同軸ケーブルの構造とすることが好ましい。また、モジュールコネクタ331の受信端子および個別シールド部材とRF回路354を接続する2本の電線も同様に同軸ケーブルの構造とすることが好ましい。
【0086】
また、アンテナモジュール351はアンテナ基板352、アンテナ素子353およびRF回路354を備えている。各ミリ波アンテナユニット311~314のアンテナモジュール351は、図15に示すように、アンテナ基板82の表面がケース11の内面と対向し、かつ斜め上方を向くように、ケース11に取り付けられている。具体的には、ミリ波アンテナユニット311のアンテナモジュール351はケース11の前部の内面に取り付けられている。ミリ波アンテナユニット312のアンテナモジュール351はケース11の後部の内面に取り付けられている。ミリ波アンテナユニット313のアンテナモジュール351はケース11の左部の内面に取り付けられている。ミリ波アンテナユニット314のアンテナモジュール351はケース11の右部の内面に取り付けられている。
【0087】
このような構成を有するアンテナ装置301によっても、上述した図1に示すアンテナ装置1と同様の作用効果を得ることができる。
【0088】
なお、上述した各実施形態では、アンテナ装置1(301)に設けるミリ波アンテナユニットの個数を4つとしたが、アンテナ装置1(301)に設けるミリ波アンテナユニットの個数はこれに限らない。例えば、アンテナ装置1に2つのミリ波アンテナユニットを設け、それら2つのミリ波アンテナユニットを支持基板14の上面14Aにおける領域Zの外側の領域の前端側と後端側、または左端側と右端側にそれぞれ配置してもよい。また、アンテナ装置1に3つのミリ波アンテナユニットを設け、それら3つのミリ波アンテナユニットを支持基板14の上面14Aにおける領域Zの外側の領域の前端側、左端側および右端側、あるいは後端側、左端側および右端側にそれぞれ配置してもよい。また、アンテナ装置1に5つ以上のミリ波アンテナユニットを設け、それらを支持基板14の上面14Aにおける領域Zの外側の領域に適当な間隔を置いて配列してもよい。また、アンテナ装置1(301)に設ける非ミリ波アンテナユニットの個数および種類は限定されない。また、本発明のアンテナ装置はシャークフィンアンテナに限定されない。また、本発明のアンテナユニット(ミリ波アンテナユニット)は、送信専用のものでもよいし、受信専用のものでもよい。また、アンテナ基板上におけるアンテナ素子の配置や個数は限定されない。また、ベースコネクタおよびモジュールコネクタにおける端子の個数も限定されない。また、アンテナ回路はRF回路に限定されない。また、本発明において、アンテナ回路(RF回路)をアンテナ基板ではなく支持基板に取り付けてもよい。
【0089】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うアンテナユニットおよびアンテナ装置もまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
1、301 アンテナ装置
11 ケース
14 支持基板
14A 上面(取付面)
21~24、201、311~314 ミリ波アンテナユニット(アンテナユニット)
31、202、321 ベースコネクタ
32、322 ケーシング(ベース側ケーシング)
36、323 嵌合部(ベース側嵌合部)
37、324 送信端子(ベース側送信端子)
38、325 受信端子(ベース側受信端子)
39、326 個別シールド部材(第1のベース側個別シールド部材)
40、327 個別シールド部材(第2のベース側個別シールド部材)
41、328 電力供給端子(ベース側電力供給端子)
48 係止穴(ロック機構)
43 全体シールド部材(ベース側全体シールド部材)
51、203、331 モジュールコネクタ
52、204、332 ケーシング(モジュール側ケーシング)
55、333 嵌合部(モジュール側嵌合部)
61 送信端子(モジュール側送信端子)
62 受信端子(モジュール側受信端子)
63 個別シールド部材(第1のモジュール側個別シールド部材)
64 個別シールド部材(第2のモジュール側個別シールド部材)
65 電力供給端子(モジュール側電力供給端子)
67 全体シールド部材(モジュール側全体シールド部材)
77 ばね部(ロック機構)
78 係止突起(ロック機構)
81、205、351 アンテナモジュール
82、206、352 アンテナ基板
82A 表面
83、353 アンテナ素子
84、354 RF回路
121~124 非ミリ波アンテナユニット
341 ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16