(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076935
(43)【公開日】2022-05-20
(54)【発明の名称】エアシャワー装置
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20220513BHJP
【FI】
F24F7/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020187591
(22)【出願日】2020-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】吉井 泰生
(72)【発明者】
【氏名】矢田 洋一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 朋行
(72)【発明者】
【氏名】八木 星弥
【テーマコード(参考)】
3L058
【Fターム(参考)】
3L058BF04
(57)【要約】
【課題】
エアジェット気流により吹き飛ばした塵埃を迅速に捕集することにより、飛散を抑制、再付着を抑制し、清浄室側への塵埃の持ち込みを低減するエアシャワー装置を提供する。
【解決手段】
エアジェット気流を入室者に吹付けて付着した塵埃や花粉などを除去するエアシャワー装置であって、エアシャワー室の一方の側壁面に吹出しユニット(1)を、他方の側壁面に吸込みユニット(2)を備え、前記吹出しユニット(1)は、中央部にエアジェット気流を吹出す塵埃除去用ノズル(12)を設け、入口側および出口側に捕集補助気流を吹出すスリット型ノズル(13)を設け、前記吸込みユニット(2)は、全面をエアーを吸込む吸込み部とし、前記塵埃除去用ノズル(12)の風速よりも前記スリット型ノズル(13)の風速が大きくなるように制御するものである。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアジェット気流を入室者に吹付けて付着した塵埃や花粉などを除去するエアシャワー装置であって、
エアシャワー室の一方の側壁面に吹出しユニットを、他方の側壁面に吸込みユニットを備え、
前記吹出しユニットは、中央部にエアジェット気流を吹出す塵埃除去用ノズルを設け、入口側および出口側に捕集補助気流を吹出すスリット型ノズルを設け、
前記吸込みユニットは、全面をエアーを吸込む吸込み部とし、
前記塵埃除去用ノズルの風速よりも前記スリット型ノズルの風速が大きくなるように制御することを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエアシャワー装置において、
前記吹出しユニットは、中央部の上方から下方まで複数の塵埃除去用ノズルを設け、入口側および出口側に設けたスリット型ノズルは、上方から下方まで捕集補助気流を吹出すスリットを備えることを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項3】
請求項1に記載のエアシャワー装置において、
前記吸込みユニットは、吸込みパンチング板と空気中の大きなごみを捕集する前処理フィルタとを備えることを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項4】
請求項1に記載のエアシャワー装置において、
前記塵埃除去用ノズルにエアーを供給する塵埃除去ノズル用ファンモータと、
前記スリット型ノズルにエアーを供給するスリット型ノズル用ファンモータと、
前記塵埃除去ノズル用ファンモータおよび前記スリット型ノズル用ファンモータを制御する制御装置と、を備えることを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項5】
請求項4に記載のエアシャワー装置において、
前記制御装置は、
入室後入口側ドアを閉めた後に、前記塵埃除去ノズル用ファンモータおよび前記スリット型ノズル用ファンモータを作動させ、
前記塵埃除去ノズル用ファンモータを停止した後、前記スリット型ノズル用ファンモータを停止させることを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項6】
請求項4に記載のエアシャワー装置において、
前記制御装置は、
入室後入口側ドアを開けると同時に、前記スリット型ノズル用ファンモータを作動させ、
出室後出口側ドアを閉めた後、前記スリット型ノズル用ファンモータを停止させるとを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項7】
請求項4に記載のエアシャワー装置において、
前記制御装置は、
入口側ドアを開けると、入口側の捕集補助気流を作動させ、
入室後入口側ドアを閉めると、出口側の捕集補助気流を作動させ、
エアジェット気流を停止した後に、入口側の捕集補助気流を停止し、
出室後出口側ドアを閉めた後に、出口側の捕集補助気流を停止させる
ことを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項8】
請求項4に記載のエアシャワー装置において、
前記制御装置は、
前記塵埃除去ノズル用ファンモータの作動と停止を複数回繰り返すように制御することを特徴とするエアシャワー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体、精密機械等の製造や、食品の加工などを行う作業空間の出入口に設置され、作業者に付着した塵埃や花粉などをエアシャワーで除去するエアシャワー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人への再付着の低減・浮遊塵埃の低減を図ることのできるエアシャワー装置が、特許文献1に記載されている。この特許文献1には、「エアジェットノズルから吹出されたエアジェットが人体や衣服に当たり、エアジェットの風向が変わった風の向かう先のエアシャワー室の側壁面に吸引部を設けることにより、浮遊した塵埃の低減を可能とした。また、人の頭部や肩の高さに吸引部を配置することにより、エアジェットにより取り除いた塵埃を、人や衣服に再付着させること無く、最適な高さの吸引口から塵埃を吸い込むことの出来る構造とすることにより、問題の抑止を可能とした。」(要約参照)と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1には、エアジェット気流により吹き飛ばした塵埃の、人への再付着の低減を図ることが出来るエアシャワー装置が記載されている。しかし、特許文献1記載の構造は、エアジェット気流にて吹き飛ばした塵埃が、エアシャワー側壁面付近に移動する挙動が前提であり、人の動きによっては、側壁面付近に到達する前に床面に落下し、吸引されずに堆積する恐れがある。また、エアジェット気流が入室者に吹き付けられた際は、乱れた気流となるため、浮遊塵埃が吸引部のみでは抑制出来ず、再付着、飛散する恐れもある。
【0005】
本発明の目的は、エアジェット気流により吹き飛ばした塵埃を迅速に捕集することにより、飛散を抑制、再付着を抑制し、清浄室側への塵埃の持ち込みを低減するエアシャワー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための、代表的な本発明の「エアシャワー装置」の一例を挙げるならば、
エアジェット気流を入室者に吹付けて付着した塵埃や花粉などを除去するエアシャワー装置であって、エアシャワー室の一方の側壁面に吹出しユニットを、他方の側壁面に吸込みユニットを備え、前記吹出しユニットは、中央部にエアジェット気流を吹出す塵埃除去用ノズルを設け、入口側および出口側に捕集補助気流を吹出すスリット型ノズルを設け、前記吸込みユニットは、全面をエアーを吸込む吸込み部とし、前記塵埃除去用ノズルの風速よりも前記スリット型ノズルの風速が大きくなるように制御するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、エアジェット気流により吹き飛ばした塵埃の再付着を抑制、また塵埃の飛散を抑制することができ、清浄室側への塵埃の持ち込みを低減するエアシャワー装置を提供することが出来る。
【0008】
上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例1のエアシャワー装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示すエアシャワー装置の正面図である。
【
図3】
図1に示すエアシャワー装置の吸込み部側面図である。
【
図4】
図1に示すエアシャワー装置の吹出し部側面図である。
【
図5】
図1に示すエアシャワー装置の平面図である。
【
図6】
図1に示すエアシャワー装置の電気系のブロック構成図である。
【
図7】本発明の実施例2のエアシャワー装置の、動作フローチャート図である。
【
図8】本発明の実施例3のエアシャワー装置の、動作フローチャート図である。
【
図9】本発明の実施例4のエアシャワー装置の、動作フローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。なお、実施例を説明するための各図において、同一の構成要素にはなるべく同一の名称、符号を付して、その繰り返しの説明を省略する
【実施例0011】
以下、本発明の実施例1のエアシャワー装置を、
図1~
図6に沿って説明する。
【0012】
図1は、実施例1のエアシャワー装置の斜視図である。エアシャワー装置は、エアシャワー室の一方の側壁面に設けた吹出しユニット1と、他方の側壁面に設けた吸込みユニット2により装置を形成している。
【0013】
図2は、
図1の斜視図の正面図である。吹出しユニット1において、11は空気中の塵埃を捕集して、空気をろ過するメインフィルタ、12はエアーを吹出すための複数の塵埃除去用ノズルである。吸込みユニット2において、24は吸込みパンチング板、23は空気中の大きなごみを捕集する前処理フィルタである。また、22は、エアシャワー室からエアーを吸込み塵埃除去用ノズル12へエアーを送る塵埃除去ノズル用ファンモータであり、21は、スリット型ノズル13へエアーを送るスリット型ノズル用ファンモータである。
【0014】
図3は、吸込みユニット2の側壁面を見た図(
図2のA-A断面図)である。吸込みユニット2の側壁面には全面に吸込みパンチング板24が設けてある。51a,51bはスリット型ノズル13へエアーを送る捕集補助気流用流路、52は塵埃除去用ノズル12へエアーを送るエアジェット気流用流路である。
【0015】
図4は、吹出しユニット1の側壁面を見た図(
図2のB-B断面図)である。吹出しユニット1の側壁面中央部には、頭上から足元まで塵埃除去用ノズル12を設けており、人体に付着した塵埃を吹き飛ばす役割を果たす。また、側壁面の両端部には、入口側および出口側にスリット型ノズル13a,13bが設けてあり、吹き飛ばした塵埃を吸込みユニット2の吸込みパンチング24へ送り込む役割を果たす。塵埃除去用ノズル12とスリット型ノズル13a,13bには風速差を付け、塵埃除去用ノズル12の風速よりもスリット型ノズル13a,13bの風速が大きくなるように制御する。
【0016】
図5は、エアシャワー装置の上方から見た平面図を示している。エアシャワー装置は、開閉する入口側ドア5および出口側ドア6を備えている。図右側の吹出しユニット1は、中央部に塵埃除去用ノズル12を備え、エアジェット気流41を入室者3に浴びせる。また、入口側および出口側にはスリット型ノズル13a,13bを備え、入室者3の側方において捕集補助気流42を吹出す。図左側の吸込みユニット2には、全面に吸込みパンチング板24および前処理フィルタ23が設けられており、吸込み気流43によりエアシャワー室内の塵埃を迅速に捕集する。
【0017】
図6に、エアシャワー装置の電気系のブロック構成図を示す。
制御装置60には、入口側ドア開閉センサ65および出口側ドア開閉センサ66より、入口側ドア5および出口側ドア6の開閉状態を示す信号が入力される。制御装置60は、内部にタイマ62を備えており、入口側ドア5および出口側ドア6の開閉状態や、タイマの経過時間に応じて、塵埃除去ノズル用ファンモータ22やスリット型ノズル用ファンモータ21の動作信号を出力する。
【0018】
図5および
図6に基づいて、実施例1のエアシャワー装置の動作を説明する。
入室者3が入口側ドア5を開け、エアシャワー装置内へ入室し入口側ドア5を閉鎖する。そして、入室者3はエアシャワー室の中央部において、
図5右側の吹出しユニット1を向いて立つ。入口側ドア開閉センサ65の検知信号が制御装置60に入力し、制御装置60が塵埃除去ノズル用ファンモータ22およびスリット側ノズル用ファンモータ21の動作信号を出力する。これにより、塵埃除去ノズル用ファンモータ22およびスリット型ノズル用ファンモータ21が動作し、塵埃除去用ノズル12から吹き出されたエアジェット気流41が入室者3の正面側に浴びせられ、入室者1の身体に付着している塵埃を吹き飛ばし除去する。塵埃除去用ノズル12と同時に、スリット型ノズル13a,13bから捕集補助気流42a,42bが吹出す。エアジェット気流41と捕集補助気流42a,42bには風速差があるため、入室者3より吹き飛ばされた塵埃は、風速が大きい捕集補助気流42a,42bに引っ張られ、吸込みユニット2の吸込み気流43により吸込みパンチング板24へ送り込まれる。そして、吸込みユニット2の側壁面全面に設けた、吸込みパンチング板24および前処理フィルタ23によりエアシャワー室内の塵埃を迅速に捕集する。これにより、エアジェット気流により吹き飛ばした塵埃の入室者3への再付着を抑制するとともに、塵埃の飛散を抑制することが出来る。そして、例えばタイマ62により所定時間ほど入室者3の正面側の塵埃の除去を行った後、入室者3は
図5左側の吸込みユニット2を向いて立って、同様に、入室者3の背面側の塵埃の除去を行う。
【0019】
本実施例によれば、エアジェット気流により吹き飛ばした塵埃などを捕集補助気流により吸込みユニットに送って迅速に捕集するので、塵埃の再付着を抑制し、また塵埃の飛散を抑制することが出来る。そして、清浄室側への塵埃の持ち込みを低減することが出来る。
入室者3が入口側ドア5を開けて(S101)エアシャワー室内に入室し、入口側ドア5を閉じる(S102)。その後、塵埃除去ノズル用ファンモータ22およびスリット型ノズル用ファンモータ21が動作し、エアジェット気流41および捕集補助気流42を発生する(S103,S107)。塵埃除去中、一定時間が経過した場合、エアジェット気流41を停止し(S104)、捕集補助気流42のみ発生させ、積極的に塵埃の捕集を行う。一時的にエアジェット気流41を停止することにより、エアジェット気流41を入室者3に吹き付けることによる乱流の発生を防ぎ、吹き飛ばした塵埃を捕集補助気流42により有効に捕集することが出来る。一定時間経過後再度、エアジェット気流41を発生させ(S105)、塵埃除去と塵埃捕集を行う。エアジェット気流41の発生と停止を繰り返し行うことにより、塵埃の再付着および飛散の抑制効果を高めることが出来る。エアジェット気流41の作動と停止の回数は、任意の回数とすれば良い。エアジェット気流41を停止した後(S106)、捕集補助気流42を停止する(S108)。そして、入室者3は出口側ドア6を開けて(S109)、出室後に出口側ドア6を閉める(S110)。
本実施例によれば、エアジェット気流により吹き飛ばした塵埃などを捕集補助気流により吸込みユニットに送って迅速に捕集するので、塵埃の再付着を抑制し、また塵埃の飛散を抑制することが出来る。また、エアジェット気流の発生と停止を繰り返し行うことにより、塵埃の再付着および飛散の抑制効果を高めることが出来る。