(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022007694
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】搬送ローラ用スリーブ
(51)【国際特許分類】
C03B 35/18 20060101AFI20220105BHJP
F16C 13/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
C03B35/18
F16C13/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020110799
(22)【出願日】2020-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】000232760
【氏名又は名称】日本無機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】金子 泰典
(72)【発明者】
【氏名】新山 太
(72)【発明者】
【氏名】新沼 仁
【テーマコード(参考)】
3J103
4G015
【Fターム(参考)】
3J103AA02
3J103AA13
3J103AA23
3J103AA32
3J103AA37
3J103AA69
3J103AA72
3J103AA85
3J103BA15
3J103CA03
3J103CA62
3J103CA78
3J103FA01
3J103FA12
3J103FA13
3J103FA14
3J103FA15
3J103GA02
3J103GA32
3J103HA04
3J103HA06
3J103HA14
3J103HA15
3J103HA19
3J103HA33
3J103HA51
4G015GA00
(57)【要約】
【課題】耐摩耗性に優れた搬送ローラ用スリーブを提供する。
【解決手段】搬送ローラ用スリーブは、500度以上に加熱されたガラスを搬送する搬送ローラのシャフトに装着され、加熱されたガラスを下方から支持するスリーブである。搬送ローラ用スリーブは、シリカを含有する複数の素線からなる複数のストランドを撚り合わせてなる複数のシリカヤーンからなり、前記シャフトの長さ方向の少なくとも一部の領域を被覆するよう構成されている。前記素線のシリカ含有率は93質量%以上である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
500度以上に加熱されたガラスを搬送する搬送ローラのシャフトに装着され、加熱されたガラスを下方から支持するスリーブであって、
シリカを含有する複数の素線からなる複数のストランドを撚り合わせてなる複数のシリカヤーンからなり、前記シャフトの長さ方向の少なくとも一部の領域を被覆するよう構成され、
前記素線のシリカ含有率は93質量%以上である、ことを特徴とする搬送ローラ用スリーブ。
【請求項2】
前記シリカヤーンの番手は700tex以上である、請求項1に記載の搬送ローラ用スリーブ。
【請求項3】
前記シリカヤーンの単位長さあたりの撚り数は2回/25mm以上である、請求項1または2に記載の搬送ローラ用スリーブ。
【請求項4】
前記シリカヤーンの単位長さあたりの撚り数は、5回/25mm以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の搬送ローラ用スリーブ。
【請求項5】
前記素線の直径は6μm以上である、請求項1から4のいずれか1項に記載の搬送ローラ用スリーブ。
【請求項6】
前記シリカヤーンのうちの少なくとも1本のシリカヤーンを経糸及び緯糸として丸打したものである、請求項1から5のいずれか1項に記載の搬送ローラ用スリーブ。
【請求項7】
前記スリーブの外周側を向く表面内で前記経糸及び前記緯糸が延びる方向に対し45度傾斜した方向の単位長さあたりの前記経糸又は前記緯糸の本数は、7本/25mm以下である、請求項6に記載の搬送ローラ用スリーブ。
【請求項8】
前記経糸及び前記緯糸はそれぞれ、前記シリカヤーンのうちの引き揃えられた複数のシリカヤーンであり、
当該複数のシリカヤーンの数は3本以上である、請求項6または7に記載の搬送ローラ用スリーブ。
【請求項9】
厚さが2.0mm以上である、請求項1から8のいずれか1項に記載の搬送ローラ用スリーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ローラのシャフトに装着されるスリーブに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や建物に用いられる強化ガラスは、一般に、板状の未強化のガラスを、加熱炉において歪点を超える温度で加熱処理した後、冷却炉で急速冷却を行うことで強化する熱強化法(風冷強化法)によって強度が高められている。熱強化法において、ガラスは、搬送方向に並べて配置された複数の搬送ローラにより支持されながら搬送され、搬送経路の途中に設置された加熱炉及び冷却炉を順に通過する。搬送ローラは、例えばセラミックやSUSを材質とするシャフトからなる。このような搬送ローラでガラスを搬送すると、表面に傷がつく等、製品不良を生じさせるおそれがある。
【0003】
従来、加熱炉及び冷却炉(以降、合わせて強化炉ともいう)内での高温に耐えられ、かつ、ガラスの傷等の発生を抑えることができるスリーブにより、搬送ローラのシャフトを被覆することが行われている。スリーブは、例えば、シリカを含有する繊維からなる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スリーブは、強化炉内で、ガラスとシャフトとの間に繰り返し挟まれ、ガラスと繰り返し接触することで、スリーブの繊維は摩耗し、やがて切れてしまう。この結果、スリーブのクッション性は損なわれ、スリーブを交換する必要が生じる。上記従来のスリーブでは、耐摩耗性が不十分であり、クッション性が低下しやすいことがわかった。
【0006】
本発明は、耐摩耗性に優れた搬送ローラ用スリーブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、搬送ローラ用スリーブである。
搬送ローラ用スリーブは、
500度以上に加熱されたガラスを搬送する搬送ローラのシャフトに装着され、加熱されたガラスを下方から支持するスリーブであって、
シリカを含有する複数の素線からなる複数のストランドを撚り合わせてなる複数のシリカヤーンからなり、前記シャフトの長さ方向の少なくとも一部の領域を被覆するよう構成され、
前記素線のシリカ含有率は93質量%以上である、ことを特徴とする。
【0008】
前記シリカヤーンの番手は700tex以上であることが好ましい。
【0009】
前記シリカヤーンの単位長さあたりの撚り数は2回/25mm以上であることが好ましい。
【0010】
前記シリカヤーンの単位長さあたりの撚り数は、5回/25mm以下であることが好ましい。
【0011】
前記素線の直径は6μm以上であることが好ましい。
【0012】
前記シリカヤーンのうちの少なくとも1本のシリカヤーンを経糸及び緯糸として丸打したものであることが好ましい。
【0013】
前記スリーブの外周側を向く表面内で前記経糸及び前記緯糸が延びる方向に対し45度傾斜した方向の単位長さあたりの前記経糸又は前記緯糸の本数は、7本/25mm以下であることが好ましい。
【0014】
前記経糸及び前記緯糸はそれぞれ、前記シリカヤーンのうちの引き揃えられた複数のシリカヤーンであり、
当該複数のシリカヤーンの数は3本以上であることが好ましい。
【0015】
前記スリーブの厚さは2.0mm以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
上述の態様の搬送ローラ用スリーブは、耐摩耗性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態の一例による搬送ローラ用スリーブを示す外観斜視図である。
【
図2】平面状に展開したスリーブの表面を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本実施形態の搬送ローラ用スリーブについて説明する。
図1は、本実施形態の一例による搬送ローラ用スリーブ(以降、単にスリーブという)1を示す外観斜視図である。
【0019】
搬送ローラ10は、板状のガラスの搬送方向に複数並べて配置される。ガラスは、搬送ローラ10に下方から支持されながら搬送され、搬送経路の途中に設置された加熱炉及び冷却炉を順に通過する。加熱炉内で、ガラスは、例えば、搬送経路を上下両側から挟むよう配置されたヒータにより、ガラスの歪点(例えば550度)を超える温度(例えば650~800度)に加熱される。冷却炉には、加熱炉を出て冷却炉内に運ばれたガラスに向けて空気を吹き付けるファンが設けられており、ガラスは、冷却炉内で、歪点近傍の温度にまで急冷される。このようにして、未強化のガラスを強化することができる。
【0020】
なお、ガラスの搬送経路に沿って配置される搬送ローラのうち、冷却炉の下流側に配置された搬送ローラも、本実施形態の搬送ローラ10と同様に構成されていてもよい。
【0021】
搬送ローラ10は、シャフト3と、スリーブ1と、を備える。
【0022】
シャフト3は、例えば、セラミック、SUSを材質とする。シャフト3は、図示されない駆動装置により回転駆動されるよう構成され、シャフト3の長さ方向の両端部はそれぞれ、軸受けにより支持される。
【0023】
搬送ローラ10は、上述したように、歪点を超える温度に加熱されたガラス板を搬送し、具体的に、500度以上の温度に加熱されたガラス板を搬送する。
【0024】
スリーブ1は、搬送ローラ10のシャフト3に装着され、加熱されたガラスを下方から支持する部材である。スリーブ1は、シャフト3の長さ方向の少なくとも一部の領域を被覆するよう構成され、好ましくは、シャフト3の両端部を除くすべての長さ方向の領域を被覆するが、シャフト3の両端部を除く領域のうちの一部の領域を被覆するよう、1つあるいは複数個配置されることも好ましい。なお、スリーブ1の両端はバンドでシャフトに拘束される。
【0025】
スリーブ1は、複数のシリカヤーン11からなり、具体的に、複数のシリカヤーン11を用いて組まれた組物である。シリカヤーン11は、複数のストランドを撚り合わせることで得られ、1本のストランドは、シリカを含有する複数の素線(単繊維)からなる。ストランドに含まれる素線の数は、数十~数千本(例えば数百本)である。
【0026】
素線のシリカ含有率は93質量%以上である。本発明者の検討によれば、スリーブ1を構成する素線のシリカ含有率が93質量%以上であると、素線あるいはストランドが切れ難く、スリーブ1の耐摩耗性が向上するという知見が得られた。このようなスリーブ1は、長期にわたりクッション性能が維持されるので、寿命が長く、ガラス強化のための設備にかかるコストを低減できる。シリカは、具体的には、非晶質のシリカである。素線のシリカ含有率は、アルカリ融解ICP発光分光分析法を用いて測定される。
【0027】
素線のシリカ含有率は、好ましくは96質量%以上、より好ましくは98質量%以上、である。素線には、シリカ以外に、例えば、アルミナ等のガラス質成分などが含まれる。
【0028】
素線の直径(呼び径)は、例えば、6μm以上であることが好ましい。このような大きさの直径を有する素線は、シリカヤーン11の番手(繊度)を大きくすることに有利である。一方で、素線の直径は、素線の強度が強くなりすぎないよう、10μm以下であることが好ましい。
【0029】
1本のシリカヤーン11に含まれるストランドの本数は、好ましくは8~26本であり、より好ましくは18~24本である。ストランドの本数をこのように制限することで、番手の大きなシリカヤーン11を容易に得ることができる。また、ストランドはそれぞれ、下撚りあるいは上撚りの撚りがかけられていることが好ましい。すなわち、シリカヤーン11は、複数のストランドの合撚糸であることが好ましい。シリカヤーン11は、右撚り(S撚り)あるいは左撚り(Z撚り)がかけられていることが好ましい。シリカヤーン11には、例えばポリエチレン等のバインダあるいは集束剤が塗布される。
【0030】
スリーブ1は、中空の円筒形状をなす組物(以降、本明細書において、組紐ともいう)である。スリーブ1は、例えば、丸打組紐(断面が丸くなるよう組んだ紐)を作製する要領で作製され、具体的に、マンドレルの表面に、経糸と緯糸となるシリカヤーンの束を左巻き及び右巻きに交互に交差させて組物を形成することにより作製される。このような組物であることにより、スリーブ1は、クッション性能を発揮することができ、ガラスを搬送する際にガラスと接触して表面に傷等を発生させることを抑制できる。経糸及び緯糸はそれぞれ、複数のシリカヤーン11の束であることが好ましい。シリカヤーン11の束において、複数のシリカヤーン11は引き揃えられていることが好ましい。
【0031】
シリカヤーン11の番手は700tex(700g/1000m)以上であることが好ましく、950tex以上であることがより好ましい。このようなシリカヤーン11は、断面積が大きいため、摩耗によって切れ難く、耐久性に優れる。このため、スリーブ1の耐摩耗性の向上に寄与する。
【0032】
一方、シリカヤーン11の番手は、スリーブ1を作製するために特殊な装置(打ち機)を用いる必要がないことから、1150tex以下であることが好ましい。
【0033】
シリカヤーン11の単位長さあたりの撚り数(以降、単に撚り数という)は、2回/25mm以上であることが好ましく、3回/25mm以上であることがより好ましい。このようなシリカヤーン11によれば、組紐の単位面積あたりの糸の量を確保でき、組紐の耐久性が向上する。
【0034】
一方で、シリカヤーン11の撚り数は、5回/25mm以下であることが好ましく、4回/25mm以下であることがより好ましい。撚り数がこのような範囲にあると、撚りによるシリカヤーン11の負荷が低減されるので、シリカヤーン11は折れ難く、耐久性の低下が抑制される。このような撚り数の範囲は、特にシリカヤーン11の番手が大きい場合に負荷を低減する上記効果が大きくなる点で有利である。
【0035】
シリカヤーン11の番手及び撚り数の好ましい組み合わせとして、700~1150tex、及び、2~5回/25mmが挙げられ、より好ましい組み合わせとして、950~1150tex、及び、3~4回/25mmが挙げられる。このような番手及び撚り数のシリカヤーン11を用いると、スリーブ1の耐摩耗性が大きく向上する。
【0036】
スリーブ1(組紐)の外周側を向く表面内で経糸及び緯糸が延びる方向に対し45度傾斜した方向の単位長さP(
図2参照)あたりの経糸又は緯糸の本数(あるいは経糸及び緯糸の交差の数。ピッチともいう)は、7本/25mm以下であることが好ましい。
図2に示す例において、ピッチは3本である。
【0037】
シリカヤーン11の束に含まれるシリカヤーン11の数(引き揃え数)は、スリーブ1の厚さを確保し、耐久性を高められる観点から、3本以上であることが好ましく、4本であることがより好ましい。
図2に、シリカヤーン11の束の幅Wを、引き揃えた4本のシリカヤーンの太さで表す。一方、シリカヤーン11の束に含まれるシリカヤーン11の数は、経糸と緯糸の交差の数を確保し、特殊な装置を使用する難易度の高い製法を用いずに済むよう、5本以下であることが好ましい。
【0038】
スリーブ1の厚さ(円筒の中心を挟んで対向するスリーブ1の両側の部分のうち片側の部分の厚さ)は、2.0mm以上であることが好ましく、2.7mm以上であることがより好ましい。このようなスリーブ1によれば、耐摩耗性が向上し、長期にわたりクッション性が維持される。一方で、スリーブ1の厚さは、例えば3.5mm以下である。スリーブ1の厚さは、加重の無い状態でダイヤルシックネスゲージを用いて測定される。
【0039】
スリーブ1の内径は、スリーブ1が装着されるシャフト3の直径に応じて定められ、例えば、19~25mm、32~95mmである。
【0040】
スリーブ1は、例えば、自動車や建物に用いられる強化ガラスを作製するための強化炉のほか、フロート法、フュージョン法等の方法により作製される帯状のガラスを徐冷する徐冷炉内に設けられる搬送ローラに好適に用いられる。
また、スリーブ1は、搬送ローラに用いられるほか、例えば、スリーブ1の内側に芯材を詰めることで、電気炉の扉や窯の蓋等に用いられるパッキン、クッション材としても用いることができる。
【0041】
(実施例、比較例)
本発明の効果を調べるために、以下の実施例及び比較例を比較検討した。
【0042】
実施例及び比較例の仕様は、表1に示したものを除き、下記の通りとした。
実施例及び比較例のいずれも、下撚り4本、上撚り6本の計10本のストランドを束ねてS撚りにし、ポリエチレン系バインダを塗布した合撚糸を、シリカヤーンとして用いた。シリカヤーンのストランドには、直径6μmの数百本の素線を用いて作製したものを用いた。素線のシリカ含有率を、表1に示す。
【0043】
実施例及び比較例のいずれのスリーブも丸打組紐を作製する要領で作製した。スリーブの内径は65mm、長さ20m以上とした。
【0044】
その他、表中に示した特性は、下記の要領で試験、測定したものを意味する。
(常温抗張力)
JIS R3420:2013の定速伸長形引張試験方法(CRE)に準拠した試験設備を使用し、未加熱のシリカヤーン11をつかみ、間隔100mm、試験速度30mm/分で測定したときの引張強さ(N/本)。
(加熱後抗張力)
JIS R3420:2013の定速伸長形引張試験方法(CRE)に準拠した試験設備を使用し、1100℃の雰囲気下で30分加熱後のシリカヤーン11をつかみ、間隔100mm、試験速度30mm/分で測定したときの引張強さ(N/本)。
(糸摩擦抱合力)
糸摩擦抱合力試験機を使用し、シリカヤーン同士をこすり合わせたときの摩擦により破断するまでの回数(回)。
(耐折れ性)
JIS R3420:2013のクロスの耐折強さに準拠した試験設備を使用し、シリカヤーン5本に折りたたみ曲げ動作を加えたときの全てのシリカヤーンが破断するまでの回数(回/5本)
(耐摩耗性)
スリーブを700℃で8時間加熱した後、JIS L1096のA-1法(平面法)に準拠して研磨紙でスリーブの一箇所を繰り返し摩擦したときのφ8mmの穴が貫通するまでの摩擦回数(回)。
(総合評価)
この結果、加熱後抗張力が15N/本以上であるもののうち、耐摩耗性が、550回以上である場合をA、300回以上550回未満である場合をB、50回以上300回未満である場合をC、50回未満あるいは測定不可である場合をD、と評価し、A~Cを合格とした。
【0045】
【0046】
比較例1と実施例の対比から、シリカヤーンのシリカ含有率が93質量%以上であることで、耐摩耗性に優れるスリーブが得られることがわかる。なお、比較例1は、加熱によりシリカヤーンが劣化し、加熱後抗張力及び耐摩耗性を測定できなかった。このことから、シリカヤーンのシリカ含有率が93質量%未満であると、強化炉の搬送ローラに用いるスリーブとして不適であることがわかる。
実施例1~4と実施例5の対比から、シリカヤーンの番手が700tex以上であることにより、スリーブの耐摩耗性が向上することがわかる。
実施例1~3と実施例4の対比から、シリカヤーンの番手が950tex以上であることにより、スリーブの耐摩耗性がより向上することがわかる。
実施例2と実施例1,3の対比から、シリカヤーンの番手が950tex以上、かつ、撚り数が3回/25mm以上であることで、スリーブの耐摩耗性が大きく向上することがわかる。
【0047】
実施例及び比較例のスリーブをシャフトに装着し、互いに平行に並べた複数の搬送ローラを用いて、650~700℃の雰囲気下で歪点550℃のガラス板を連続搬送し、1000枚搬送後の強化ガラスの表面に発生した傷の数及び大きさを、レーザ顕微鏡を用いて調べたところ、ガラス板10枚あたりの傷に関して、実施例ではいずれも、傷は5個未満であり、傷の最大長さは0.5μm以下であったのに対し、比較例1では、傷は10個以上であり、傷の最大長さが1.0μmを超えるものが含まれていた。これより、シリカヤーンのシリカ含有率が93質量%以上であることで、スリーブのクッション性が長期にわたり維持されることがわかる。このようなスリーブによれば、強化ガラスを生産する際の歩留まりが向上する。
【0048】
以上、本発明の搬送ローラ用スリーブについて詳細に説明したが、本発明の搬送ローラ用スリーブは上記実施形態及び上記実施例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0049】
1 スリーブ
3 シャフト
10 搬送ローラ
11 シリカヤーン