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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076957
(43)【公開日】2022-05-20
(54)【発明の名称】移動手摺の清掃装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 31/02 20060101AFI20220513BHJP
【FI】
B66B31/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020187629
(22)【出願日】2020-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】391044797
【氏名又は名称】株式会社コーワ
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 毅
(72)【発明者】
【氏名】町田 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】森 伸彦
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321HA23
(57)【要約】
【課題】 エスカレーターへの設置作業を容易にすると共に、エスカレーターに確実に固定され、移動手摺の形状の変形にも対応することができる移動手摺の清掃装置を提供する。
【解決手段】 移動手摺の清掃装置を構成する固定部材20は、略ロ字状の枠体15と、枠体15の対向する一方の2辺15a、15bに設置された押圧部材16、16とを有しており、押圧部材は16、16各々、案内レールの側面に当接する当接部17と、当接部17を付勢する付勢手段18とを備えている。また、付勢手段18は、当接部17の後方から当接部の当接面17aに対して略垂直な方向に付勢しており、これにより、固定部材20を案内レールに固定することができる。
【選択図】図4(a)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動手摺を案内する案内レールに固定される固定部材と、
移動手摺の清掃、洗浄又は除菌を行う清掃装置本体と、を有する移動手摺の清掃装置であって、
前記固定部材は、略ロ字状の枠体と、
前記枠体の対向する一方の2辺に設置された押圧部材と、を有し、
前記押圧部材は各々、案内レールの側面に当接する当接部と、該当接部を付勢する付勢手段とを備え、
前記付勢手段は、前記当接部の後方から当接部の当接面に対して略垂直な方向に付勢することによって、前記固定部材が案内レールに固定されることを特徴とする移動手摺の清掃装置
【請求項2】
枠体の対向する他方の2辺は各々、分離可能に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の移動手摺の清掃装置
【請求項3】
枠体の対向する他方の2辺は各々、スライド機構を備え、該スライド機構によって、前記他方の2辺は伸縮可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の移動手摺の清掃装置
【請求項4】
スライド機構による他方の2辺の伸縮方向と、付勢手段による当接部の当接面に対する付勢方向は、略平行であることを特徴とする請求項3に記載の移動手摺の清掃装置
【請求項5】
固定部材は、移動手摺に接触した場合に回転可能な滑車が設置されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の移動手摺の清掃装置
【請求項6】
押圧部材は、枠体の辺に沿って形成されていると共に、滑車は、押圧部材の長手方向の両側端部に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の移動手摺の清掃装置
【請求項7】
押圧部材は、枠体の辺に沿って形成されていると共に、滑車の外周面の一部は、押圧部材の長手方向の端面より外方であって、上面より上方に位置することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の移動手摺の清掃装置
【請求項8】
押圧部材は、枠体の辺に沿って形成されていると共に、前記押圧部材の上面及び長手方向の端面は、移動手摺の外表面と比較して摩擦抵抗が小であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の移動手摺の清掃装置
【請求項9】
清掃装置本体は、固定部材に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の移動手摺の清掃装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレーター等に設置されている移動手摺を清掃するための清掃装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、エスカレーター等に設置されている移動手摺の消毒や清掃を行う装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載のエスカレーターの安全ベルトの消毒清拭器は、エスカレーターのたちあがり部分のアールに嵌合するよう構成されたケース内に上段、中段、下段に回転自在に回転ロールを配設し、回転ロールはスポンジ状の物質を素材として形成すると共に、ロールの表面にはエスカレーターのベルトの表面と左右側面に嵌合する断面U状の溝を刻設し、溝の底部には吸水性の強いタオル地などを添着せしめ、下段のロールの直上位置には薬液滴下装置を設け、薬液滴下装置は、下端の滴下口が漏斗状に構成されたびん体で、上方には薬液注入口が形成され、かつ滴下口にはスポンジが差込まれているものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭48-37995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のエスカレーターの安全ベルトの消毒清拭器は、ケースを、エスカレーターのたちあがり部分のアールに嵌合して固定しているので、エスカレーターへの設置作業は容易ではなく、熟練した専門の作業員が行っていた。また、安全ベルトの外形は使用により多少の変形が生じてくるものであり、消毒清拭器内を通過する時に固定部やケース等に接触してズレが生じ、安全ベルトの清掃が適切に行われなくなる可能性があった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、エスカレーターへの設置作業を容易にすると共に、エスカレーターに確実に固定され、移動手摺の形状の変形にも対応することができる移動手摺の清掃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、請求項1の発明は、移動手摺を案内する案内レールに固定される固定部材と、移動手摺の清掃、洗浄又は除菌を行う清掃装置本体とを有する移動手摺の清掃装置であって、前記固定部材は、略ロ字状の枠体と、前記枠体の対向する一方の2辺に設置された押圧部材とを有し、前記押圧部材は各々、案内レールの側面に当接する当接部と、該当接部を付勢する付勢手段とを備え、前記付勢手段は、前記当接部の後方から当接部の当接面に対して略垂直な方向に付勢することによって、前記固定部材が案内レールに固定されることを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明は、固定部材のロ字状の枠体の対向する一方の2辺に設置された押圧部材が案内レールの両側面に垂直な方向から付勢して、固定部材が案内レールに固定されているので、移動手摺の清掃装置をエスカレーター等に確実に固定することができ、設置作業も容易に行うことができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、枠体の対向する他方の2辺は各々、分離可能に接続されていることを特徴としている。したがって、移動手摺の清掃装置の設置作業を一層容易に行うことができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、枠体の対向する他方の2辺は各々、スライド機構を備え、該スライド機構によって、前記他方の2辺は伸縮可能であることを特徴としている。したがって、移動手摺の清掃装置の設置作業を一層容易に行うことができる。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、スライド機構による他方の2辺の伸縮方向と、付勢手段による当接部の当接面に対する付勢方向は、略平行であることを特徴としている。したがって、押圧部材が案内レールの両側面を強固に押圧することができる。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1~4のいずれかの発明において、固定部材は、移動手摺に接触した場合に回転可能な滑車が設置されていることを特徴としている。したがって、固定部材と移動手摺との摩擦抵抗を減少させることができ、移動手摺の形状の変形に対応することができる。
【0013】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、押圧部材は、枠体の辺に沿って形成されていると共に、滑車は、押圧部材の長手方向の両側端部に設けられていることを特徴としている。したがって、移動手摺と滑車との接触により、押圧部材への影響を減少させることができ、押圧部材が案内レールの両側面を強固に押圧することができる。
【0014】
請求項7の発明は、請求項5又は6の発明において、押圧部材は、枠体の辺に沿って形成されていると共に、滑車の外周面の一部は、押圧部材の長手方向の端面より外方であって、上面より上方に位置することを特徴としている。したがって、移動手摺と滑車との接触により、押圧部材への影響を軽減させることができ、押圧部材が案内レールの両側面を強固に押圧することができる。
【0015】
請求項8の発明は、請求項1~7のいずれかの発明において、押圧部材は、枠体の辺に沿って形成されていると共に、前記押圧部材の上面及び長手方向の端面は、移動手摺の外表面と比較して摩擦抵抗が小であることを特徴としている。したがって、移動手摺が押圧部材の上面又は長手方向の端面と接触した場合に、摩擦抵抗を減少させることができ、移動手摺の形状の変形に対応することができる。
【0016】
請求項9の発明は、請求項1~8のいずれかの発明において、清掃装置本体は、固定部材に対して着脱可能であることを特徴としている。したがって、まず、固定部材のみを案内レールに固定した後、固定部材に清掃装置本体を装着すれば設置作業が完了するので、移動手摺の清掃装置のエスカレーター等への設置作業を一層容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1~3の発明は、移動手摺の清掃装置をエスカレーター等に確実に固定することができ、設置作業も容易に行うことができる。また、請求項4の発明は、押圧部材が案内レールの両側面を強固に押圧することができる。また、請求項5の発明は、移動手摺の形状の変形に対応することができる。
【0018】
請求項6及び7の発明は、移動手摺と滑車との接触による押圧部材への影響を減少させることができ、押圧部材が案内レールの両側面を強固に押圧することができる。また、請求項8の発明は、移動手摺が押圧部材の上面又は長手方向の端面と接触した場合に、摩擦抵抗を減少させることができ、移動手摺の形状の変形に対応することができる。また、請求項9の発明は、移動手摺の清掃装置のエスカレーター等への設置作業を一層容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)本発明に係る移動手摺の清掃装置の斜視図(b)本発明に係る移動手摺の清掃装置の内部構造を示す斜視図
図2(a)】本発明に係る移動手摺の清掃装置をエスカレーターに設置した状態を示す斜視図
図2(b)】本発明に係る移動手摺の清掃装置をエスカレーターに設置した状態を示す断面図
図3】本発明に係る移動手摺の清掃装置を示す分解斜視図
図4(a)】本発明に係る移動手摺の清掃装置を構成する固定部材の斜視図
図4(b)】本発明に係る移動手摺の清掃装置を構成する固定部材を2つに分離した状態を示す斜視図
図4(c)】本発明に係る移動手摺の清掃装置を構成する固定部材を移動手摺に設置した状態を示す斜視図
図5】(a)図4(a)のA-A断面図(b)図4(a)のB-B断面図(c)図4(a)のC-C断面図
図6】固定部材の一部を分解した状態を示す斜視図
図7】(a)固定部材の側面図(b)移動手摺に装着した状態の固定部材の側面図
図8】押圧部材と移動手摺との位置関係を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。図1(a)は、本発明に係る移動手摺の清掃装置の斜視図であり、図1(b)は、本発明に係る移動手摺の清掃装置の内部構造を示す斜視図である。また、図2(a)は、本発明に係る移動手摺の清掃装置をエスカレーターに設置した状態を示す斜視図であり、図2(b)は、本発明に係る移動手摺の清掃装置をエスカレーターに設置した状態を示す断面図である。また、図3は、本発明に係る移動手摺の清掃装置を示す分解斜視図である。これらの図を用いて、本発明に係る移動手摺の清掃装置の概要について以下に説明する。
【0021】
移動手摺の清掃装置30は、移動手摺31を案内する案内レール32に固定される固定部材20と、移動手摺31の清掃及び除菌を行う清掃装置本体10とを有している。そして、清掃装置本体10は、筐体1と、筐体1内に配置され、移動手摺31の表面に当接して液体を塗布する塗布手段2と、筐体1内に配置され、移動手摺31の表面に当接して液体をふき取るふき取り手段3と、筐体1内に配置され、塗布手段2に液体を供給する給液手段4とを有している。
【0022】
筐体1は、図3に示すように、カバー部材1aと、本体部材1bと、本体取り付け部材1cの3個の部材から構成されており、カバー部材1aの底部に形成されている回動軸13が本体取り付け部材1cの底部に形成されている軸受14に回動可能に軸支されることによって、カバー部材1aが開閉可能となっている。また、本体部材1bには、塗布手段2と、ふき取り手段3と、給液手段4とが着脱可能に取り付けられている。また本体部材1bは、本体取り付け部材1cに固定されており、本体取り付け部材1cは、固定部材20に着脱可能に取り付けられている。
【0023】
そして、塗布手段2及びふき取り手段3は、移動手摺31の近傍に配置され、給液手段4は、移動手摺31から離れた位置であって、塗布手段2及びふき取り手段3の後方に配置されている。ここで、塗布手段2及びふき取り手段3の後方とは、塗布手段2及びふき取り手段3の移動手摺31の表面に当接する側を前方とした場合の反対側を意味している。
【0024】
上述のように配置することによって、移動手摺の清掃装置30を小型化することができると共に、給液手段4に液体を補充する際に、塗布手段2又はふき取り手段3を清掃装置30から取り外す必要がないので、メンテナンス作業を容易に行うことができる。尚、給液手段4を塗布手段2又はふき取り手段3のどちらか一方の後方に配置してもよい。
【0025】
また、給液手段4の一部を、筐体1に対して着脱可能としている。これにより、給液手段4に液体を補充する際に、筐体1を移動手摺31側から取り外す必要がないので、エスカレーターを停止すること無く作業を行うことができ、メンテナンス作業を一層容易に行うことができる。尚、給液手段4の全部を、筐体1に対して着脱可能とする構成としてもよい。
【0026】
また、塗布手段2を、筐体1に対して着脱可能としている。これにより、塗布手段2が汚れて交換する際に、筐体1を移動手摺31側から取り外す必要がないので、エスカレーターを停止すること無く作業を行うことができ、メンテナンス作業を一層容易に行うことができる。
【0027】
また、ふき取り手段3を、筐体1に対して着脱可能としている。これにより、ふき取り手段3が汚れて交換する際に、筐体1を移動手摺31側から取り外す必要がないので、エスカレーターを停止すること無く作業を行うことができ、メンテナンス作業を一層容易に行うことができる。
【0028】
また、図2(a)及び(b)に示すように、塗布手段2は、移動手摺31の移動の上流側に配置され、ふき取り手段3は、塗布手段2よりも下流側に配置されている。これにより、移動手摺31の移動の上流側で塗布された液体を、移動の下流側でふき取ることができるので、筐体1をコンパクトな形状とすることができ、移動手摺の清掃装置30を小型化することができる。尚、図面上の黒矢印は移動手摺の移動方向を示している。
【0029】
また、筐体1は、固定部材20に対して着脱可能としている。これにより、筐体1内に設置されている各種部材や各種装置のメンテナンスを必要とする際に、固定部材20を移動手摺31側から取り外す必要がないので、エスカレーターを停止すること無く作業を行うことができ、メンテナンス作業を一層容易に行うことができる。
【0030】
図4(a)は、本発明に係る移動手摺の清掃装置を構成する固定部材の斜視図であり、図4(b)は、同固定部材を2つに分離した状態を示す斜視図であり、図4(c)は、同固定部材を移動手摺に設置した状態を示す斜視図である。また、図5(a)は、図4(a)のA-A断面図であり、図5(b)は、図4(a)のB-B断面図であり、図5(c)は、図4(a)のC-C断面図である。また、図6は、固定部材の一部を分解した状態を示す斜視図である。これらの図を用いて本発明に係る移動手摺の清掃装置を構成する固定部材について以下に説明する。
【0031】
固定部材20は、略ロ字状の枠体15と、枠体15の対向する一方の2辺15a、15bに設置された押圧部材16、16とを有しており、押圧部材16、16は、各々、案内レールの側面に当接する当接部17と、当接部17を付勢する付勢手段18とを備えている。また、付勢手段18は、当接部17の後方から当接部の当接面17aに対して略垂直な方向に付勢しており、これにより、固定部材20を案内レールに固定することができる。
【0032】
上述のように固定部材20を構成することによって、本発明に係る移動手摺の清掃装置をエスカレーター等に確実に固定することができ、設置作業も容易に行うことができる。
【0033】
また、枠体15の対向する他方の2辺は各々、分離可能に接続されている。具体的には、枠体15の対向する他方の2辺は各々、スライド機構19を備えている。スライド機構19は、収容部材19aと延長部材19bを備え、延長部材19bが収容部材19aに挿入される構成としている。このスライド機構19によって、他方の2辺は伸縮可能となっているので、移動手摺の清掃装置の設置作業を一層容易に行うことができる。
【0034】
また、スライド機構19による他方の2辺の伸縮方向と、付勢手段18による当接部17の当接面17aに対する付勢方向は、略平行としている。これにより、押圧部材16、16が案内レールの両側面を強固に押圧することができる。
【0035】
尚、図5(a)~(c)と図6に示すように、各々の押圧部材16には、付勢手段であるバネ18が4箇所に設置されている。また、各々の押圧部材16には、一方の2辺15a、15bの各々に設置されている軸27と、ボルト28、28とが挿入される挿入孔27a、28a、28aが形成されている。このボルト28、28は、バネ18のスパンを調整するためのものである。また、軸27は、押圧部材16の折れや傾きを防止している。
【0036】
また、固定部材20は、移動手摺に接触した場合に回転可能な滑車26が設置されている。これにより、固定部材20と移動手摺との摩擦抵抗を減少させることができ、移動手摺の形状の変形に対応することができる。
【0037】
また、押圧部材16は、枠体15の辺に沿って形成されていると共に、滑車26は、押圧部材16の長手方向の両側端部に設けられている。具体的には、滑車26の外周面の一部は、押圧部材16の長手方向の端面16aより外方であって、上面16bより上方に位置するように設置されている。これにより、移動手摺と滑車26との接触により、押圧部材16への影響を軽減させることができ、押圧部材16が案内レールの両側面を強固に押圧することができる。
【0038】
尚、押圧部材16を、枠体15の辺に沿って形成すると共に、押圧部材16の上面16b及び長手方向の端面16aが移動手摺の外表面と比較して摩擦抵抗が小となる構成とすることも可能であり、その場合には、前述した滑車26を設置しない構成とすることもできるが、滑車26と併用すれば移動手摺の形状の変形に一層対応することができる。
【0039】
また、図3において説明したように、清掃装置本体10は、固定部材20に対して着脱可能としている。これにより、先に固定部材20のみを案内レールに固定した後、固定部材に清掃装置本体を装着すれば設置作業が完了するので、移動手摺の清掃装置のエスカレーター等への設置作業を一層容易に行うことができる。
【0040】
図7(a)固定部材の側面図であり、図7(b)は、移動手摺に装着した状態の固定部材の側面図である。これらの図に示すように、スライド機構19は、垂直片19c、19dによって、一方の2辺15a、15bよりも上方に設置されており、これにより、移動手摺が通過する空間33が形成されている。図7(a)に示すように、案内レールに固定されていない状態では付勢手段18によって、押圧部材16、16の当接面17a、17a間の距離は、図7(b)に示す案内レール32に固定されている状態よりも短くなる。尚、押圧部材16の当接面17aには軟質部材が形成されており、案内レール32の表面の形状に柔軟に追従し強固に固定できる。
【0041】
図8は、押圧部材と移動手摺との位置関係を示す側面図である。この図に示すように、本発明に係る移動手摺の清掃装置は、エスカレーター等のたちあがり部分に設置することを想定しており、前述したように、移動手摺31に、うねり等の形状変形が発生している場合でも固定部材20が滑車26、26を有することによって、摩擦を軽減させ、押圧部材への影響を軽減させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明に係る移動手摺の清掃装置は、エスカレーター等に設置されて移動手摺を清掃するために利用される。
【符号の説明】
【0043】
1 筐体
2 塗布手段
3 ふき取り手段
4 給液手段
10 清掃装置本体
15 枠体
15a、15b 一方の2辺
16 押圧部材
16a 押圧部材の長手方向の端面
16b 押圧部材の上面
17 当接部
17a 当接面
18 付勢手段(バネ)
19 スライド機構
19a 収容部材
19b 延長部材
19c、19d 垂直片
20 固定部材
26 滑車
27 軸
27a、28a 挿入孔
28 ボルト
30 移動手摺の清掃装置
31 移動手摺
32 案内レール
33 空間
図1
図2(a)】
図2(b)】
図3
図4(a)】
図4(b)】
図4(c)】
図5
図6
図7
図8