(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076960
(43)【公開日】2022-05-20
(54)【発明の名称】紙製容器
(51)【国際特許分類】
B65D 5/36 20060101AFI20220513BHJP
【FI】
B65D5/36 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020187633
(22)【出願日】2020-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】520379695
【氏名又は名称】株式会社備前の夢
(71)【出願人】
【識別番号】505266570
【氏名又は名称】株式会社パック・ロード
(74)【代理人】
【識別番号】100105809
【弁理士】
【氏名又は名称】木森 有平
(72)【発明者】
【氏名】阿部 信行
(72)【発明者】
【氏名】中桐 英策
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB13
3E060AB15
3E060AB18
3E060BA03
3E060CG12
3E060DA01
3E060DA25
3E060EA06
3E060EA13
(57)【要約】
【課題】 所定形状に折り畳まれた状態から盛付けができる状態に組み立てられるとともに(四周壁を立ち上げる)、上記組み立て構造においても、液体が漏れ出ないための(料理を盛付ける)盛付け収容部の四隅の構成(連結部)を提供する。
【解決手段】 盛り付け収容部2を構成する四周壁に対して、基準となる左側壁3と右側壁4とが上辺壁5と下辺壁6に対して立ち上がり掛止することで、前記左側壁3と右側壁4と上辺壁5と下辺壁6が垂直姿勢に立設し、上記掛止を解除すると、四周壁(左側壁3と右側壁4と上辺壁5と下辺壁6)が垂直姿勢から内側に折り畳み可能な状態になる。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を盛り付ける盛り付け収容部と、前記盛り付け収容部に蓋をする蓋体が設けられた紙製容器において、前記盛り付け収容部は、その底部の周囲に上辺壁と下辺壁と左側壁と右側壁とを備えて四角形状に形成されるとともに、前記左側壁と右側壁とが上辺壁と下辺壁に対して立ち上がり掛止することで、前記左側壁と右側壁と上辺壁と前記下辺壁が垂直姿勢に立設し、前記掛止を解除すると、前記左側壁と右側壁と上辺壁と下辺壁が垂直姿勢から内側に折り畳み可能な状態になることを特徴とする紙製容器。
【請求項2】
食材を盛り付ける盛り付け収容部と、前記盛り付け収容部に蓋をする蓋体が設けられた紙製容器において、前記盛り付け収容部は、その底部の周囲に上辺壁と下辺壁と左側壁と右側壁とを備えて四角形状に形成され、前記蓋体は、前記盛り付け収容部の左側壁及び/又は右側壁と連結されているとともに、前記蓋体が連結される前記左側壁と前記右側壁とが前記上辺壁と前記下辺壁に対して立ち上がり掛止することで、前記左側壁と右側壁と上辺壁と下辺壁が垂直姿勢に立設し、前記掛止を解除すると、前記左側壁と右側壁と上辺壁と下辺壁が垂直姿勢から内側に折り畳み可能な状態になることを特徴とする紙製容器。
【請求項3】
前記四角形状の各コーナ角に設けられたコーナ連結部は、前記上辺壁と下辺壁と左側壁と右側壁を立ち上げ可能に設けられるとともに、前記コーナ連結部は、緩衝空間部を形成するように前記上辺壁と下辺壁と左側壁と右側壁を連結し、食材の液体が漏れるような隙間が生じないことを特徴とする請求項1又は2記載の紙製容器。
【請求項4】
前記蓋体が連結される左側壁及び/又は右側壁は、前記上辺壁及び下辺壁とコーナ連結部を介して連結され、かつ、前記上辺壁及び下辺壁とが折り畳まれないように支持可能であり、前記支持を解除すると、前記蓋体は前記左側壁及び/又は右側壁とともに折り畳まれる状態になることを特徴とする請求項1又は2記載の紙製容器。
【請求項5】
前記蓋体が連結される左側壁及び/又は右側壁は、前記上辺壁及び下辺壁とコーナ連結部を介して連結され、前記コーナ連結部を折り返してその裏側を隣接する前記上辺壁又は、前記下辺壁と連結して、前記コーナ連結部が可動することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の紙製容器。
【請求項6】
前記蓋体は、筒状に折り畳み可能な罫線が施されて、盛り付け収容部の左側壁又は右側部から折り曲げられて盛り付け収容部の底部に及ぶ大きさを有して、その先端部が前記盛り付け収容部の底部を支持可能であるか、又は、前記盛り付け収容部の左側壁又は右側部にその先端部が折り曲げられて配されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の紙製容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カレーライス、牛丼や中華丼などの高温の食材を盛り付けて使用する使い捨ての紙製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
紙製容器としては、お弁当やお寿司を入れるものから、宴会の持ち帰りに使用されるものなど多種多様なものがあるが、プラスチック製などの合成樹脂製の容器に比べて環境に優しいものと言われている。日本では、地震や台風などの自然災害が起きたときの炊き出しに使用されることもあり、その時には、カレーライスや牛丼などを簡易に持ち運んで、飲食に供される利点を有し、使った後はそのまま廃棄されても、プラスチック容器などと比べて環境への影響が生じることはない。
このような紙製容器に関するものとして、特許文献としては以下のものが開示されている。
【0003】
特許文献1は、その請求項1に、「耐熱紙により構成される方形鍋底部と側面部と蓋部からなるとともに、相対向する一組の側面部はその上辺が底辺より長い逆台形状となる形状を備え、折線に沿って折りたたみ自在とするとともに、組み立てると方形鍋底部の四方に側面部が拡開状に立設する紙鍋において、隣り合う側面部と側面部にそれぞれ糊代部を設け、ポリエチレンのごとき人体に安全な耐熱性シール材により接着してなることを特徴とする紙鍋。」が開示されている。
【0004】
また、特許文献2は、その要約の解決手段に、「ほぼ方形の輪郭の厚紙に予め折目線を刻設し、この折目に従って折半折り、または半折りして容器に形成するブランクにおいて、放射状折目線を内向きに、先開き状折目線を外向きにそれぞれ折込むことにより、底壁の各辺に沿って側壁を立上げるとともに、前記放射状折目線を挟んで先開き状折目線間を二つ折り閉鎖片として下つぼまりの方形の容器を形成した状態において、前記二等分折目線を対角線上折目線との交点を挟んでそれぞれ外向きに折込みつつ、前記対角線上折目線を内向きに折込むことにより、平たく折りたためるようにしたことを特徴とする折りたたみ可能な紙製容器。」が開示されている。
【0005】
そして、特許文献3は、その要約の課題において、「折り畳みが容易な紙製トレーを提供する。」と記載され、解決手段として、「紙製トレー1は、矩形の底板6と、当該底板6の対向する2辺から連接された外側面板5と、底板6の中央近傍に外側面板5と略平行に連接された間仕切板8と、底板6に間仕切板8と外側面板5とを介在させて連接された矩形の枠板2と、当該枠板2の1辺に連接され、上端から外側面板5の高さ方向の長さと略同一の長さ付近に折線を有する。当該折線により一部を折り曲げて底板6に重ねることで立ち上がり成形させる内側面板4とを備えて成り、枠板2には外側面板5と連接する2辺が、当該2辺に対向する底板6の2辺より短く、開口部と、当該開口部の内周に沿って中心方向に突出させた突起片3が設けられ、内側面板4は、2つの半楕円形の切込み7および両側に立ち上がり成形時に外側面板5に設けられた差込孔11に差し込むことで係止させる差込片3sが設けられる。」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-120806号公報
【特許文献2】特開2012-101844号公報
【特許文献3】実用新案登録第3210644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、災害などの炊き出し時において、スムーズな盛付けや、迅速な食事の提供が可能で、それを受け取った人は、複雑な手順を踏まず、容易に食事が摂れる容器であることが求められる。
また、食事に使用する前の備蓄の段階では、容器は嵩張らずコンパクトに保管でき、使用後の廃棄時にもゴミの量が増えないように再びコンパクトに変形することも必要となる。
そのためには、シンプルな構成で、組立てや折り畳みが容易でありながら、盛付ける料理の種類を問わず、スムーズな盛付けや食事が可能な食品容器の提供が課題となる。特に、盛付ける料理がカレーやスープ等の高温の液体であっても、漏れがなく、盛付ける人や食事する人の手に熱が伝わらずに使用できることが重要となる。
しかしながら、これらの要求を、簡易な構造の組立式の紙製容器で実現することは容易ではない。例えば、紙製容器に耐熱加工を施したり、耐熱シートを追加したりして、手に熱さが伝達しないようにする工夫が考えられる。しかし、これらの加工処理が行きすぎると、紙製としての利点が活かされず、環境に優しい容器とは言えなくなるばかりか、折り畳みに支障が生じる問題や、コストの増大、そして、容器構成が複雑になる。また、備蓄の状態で紙製容器以外にも必要な耐熱や断熱のためのシートが必要となり、省スペースを妨げることになってしまう。
【0008】
そこで本発明の目的は、所定形状に折り畳まれた状態から盛付けができる状態に組み立てられるとともに(四周壁を立ち上げるとともに)、上記組み立て構造においても、液体が漏れ出ないための(料理を盛付ける)盛付け収容部の四隅の構成(連結部)を提供するものである。そして、盛付けられる料理が高温であっても、持ち手に熱が伝達しないようにするとともに、これらの問題を簡単な容器構成で実現するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、食材を盛り付ける盛り付け収容部と、前記盛り付け収容部に蓋をする蓋体が設けられた紙製容器において、前記盛り付け収容部は、その底部の周囲に上辺壁と下辺壁と左側壁と右側壁とを備えて四角形状に形成されるとともに、前記左側壁と右側壁とが上辺壁と下辺壁に対して立ち上がり掛止することで、前記左側壁と右側壁と上辺壁と前記下辺壁が垂直姿勢に立設し、前記掛止を解除すると、前記左側壁と右側壁と上辺壁と下辺壁が垂直姿勢から内側に折り畳み可能な状態になることを特徴とする紙製容器である。
本発明によれば、カレーライス等の食材を盛り付けるときは、前記左側壁と右側壁が前記上辺壁と下辺壁に対して立ち上がり掛止するが、上記掛止を解除すると、前記左側壁と右側壁と上辺壁と下辺壁が垂直姿勢から折り畳み可能な状態になるので、コンパクトに廃棄できるとするとともに、盛り付け時まで紙製容器を積み重ねて保管しておくことができる。
【0010】
また、本発明は食材を盛り付ける盛り付け収容部と、前記盛り付け収容部に蓋をする蓋体が設けられた紙製容器において、前記盛り付け収容部は、その底部の周囲に上辺壁と下辺壁と左側壁と右側壁とを備えて四角形状に形成され、前記蓋体は、前記盛り付け収容部の左側壁及び/又は右側壁と連結されているとともに、前記蓋体が連結される前記左側壁と前記右側壁とが前記上辺壁と前記下辺壁に対して立ち上がり掛止することで、前記左側壁と右側壁と上辺壁と下辺壁が垂直姿勢に立設し、前記掛止を解除すると、前記左側壁と右側壁と上辺壁と下辺壁が垂直姿勢から内側に折り畳み可能な状態になることを特徴とする紙製容器である。
本発明によれば、前記蓋体を手で操作して円を描くように折り畳んで(裏返して)把持すると、カレーライス等の食材の熱が直接持ち手に伝わらないようにして把持することができる。また、本発明によれば、カレーライス等の食材を盛り付けるときは、前記左側壁と右側壁が前記上辺壁と下辺壁に対して立ち上がり掛止するが、上記掛止を解除すると、前記左側壁と右側壁と上辺壁と下辺壁が垂直姿勢から折り畳まれた状態になるので、コンパクトに廃棄できるとするとともに、盛り付け時まで紙製容器を積み重ねて保管しておくことができる。
【0011】
本発明としては、前記上辺壁と下辺壁と左側壁と右側壁は、前記四角形状の各コーナ角にコーナ連結部を設けて立ち上げ可能に設けられるとともに、前記コーナ連結部が下方側を頂点とする角錐、立錐、円錐などの先端錐状部として折り畳まれて、食材の液体が漏れるような隙間が生じないことを特徴とする。
ここで、上記緩衝空間部の形状としては、下方側を頂点とする三角錐、四角錐、円錐形状などの先端錐状で構成しているので、その所定空隙が容易に変形せずに、隙間が生じて液漏れがなく、かつ、四周壁(前記上辺壁と下辺壁と左側壁と右側壁)の互いを連結しながらの動作(四周壁の垂直姿勢の組み立てと、内側への折り畳み動作)がスムーズに行うことができる。
本発明によれば、紙製容器の四隅コーナ部において隙間なく折り畳まれて連結されていることから(先端錐状部で緩衝空間部を設けているので)、カレーや牛丼などの水分(加熱状態の水分)のあるもので、四隅コーナ部から水分(熱湯)が落ちたり漏れたりするようなことはない。すなわち、当該連結部が所定の大きさの緩衝空間部が折り畳まれて形成されているので、前記緩衝空間部を介して前記上辺壁と下辺壁と左側壁と右側壁とを立ち上がりの垂直姿勢から折り畳み可能に構成しているので、嵩張らないように積み重ねた状態にすることができ、使用するときには、速やかに上辺壁と下辺壁と左側壁と右側壁とを立ち上げて使用することができる。
なお、紙製容器の四隅にコーナ連結部が設けられるので(先端錐状部で緩衝空間部を設けているので)、手が直接接触しないようにすることができ、前記盛り付け収容部に盛り付けられた食材の熱が手に伝達する事態を防止する。
本発明によれば、前記各コーナ連結部は、その折り曲げ線を折り返すと前記所定の大きさの緩衝空間部が外側に出るように前記四周壁の組み立てや折り畳み動作(内側に倒れ込む)が蓋体と連動して行われ、また、連結箇所を外側にして(先端錐状部で緩衝空間部を外側配置)、接着剤等が内側にならないようにしている。そして、前記盛り付け収容部の大きさは四角形状に維持される収容部の上辺壁と下辺壁の斜め上方に向けて開く開放状態に蓋体を操作して容易に行われる。
【0012】
本発明としては、前記蓋体が連結される左側壁及び/又は右側壁は、前記上辺壁及び下辺壁とコーナ連結部を介して連結され、かつ、前記上辺壁及び下辺壁とが折り畳まれないように支持可能であり、前記支持を解除すると、前記蓋体は前記左側壁及び/又は右側壁とともに折り畳まれる状態になることが好ましい。
本発明によれば、蓋体の動きに連動して、前記上辺壁及び下辺壁が折り畳まれないように支持したり、その支持を解除すると、蓋体は前記左側壁及び/又は右側壁とともに折り畳まれる状態になる。
【0013】
本発明としては、前記蓋体は、盛り付け収容部の左側壁及び/又は右側壁から折り曲げられて盛り付け収容部の底部に及ぶ大きさの先端部を備え、前記先端部のみが盛り付け収容部の底部に接触するようにするための先端側折り曲げ部が設けられて、前記蓋体を手で操作して円を描くように裏返して、前記先端側折り曲げ部が盛り付け収容部の底部に接触するようにすることを特徴とする。
本発明によれば、前記蓋体を手で操作して円を描くように折り畳んで(裏返して)、前記先端側折り曲げ部が盛り付け収容部の底部に接触させると、カレーライス、牛丼や中華丼などの食材の熱が直接持ち手に伝わらないようにして安定支持することができる。
【0014】
本発明としては、前記コーナ連結部は、前記盛り付け収容部の左側壁と上辺壁又は右側壁と下辺壁とを連結する四角形状のコーナ連結部であり、前記四角形状のコーナ連結部が外側に出るように折り畳んでから前記上辺壁及び下辺壁が各コーナ連結部と連結されることを特徴とする。
ここで、前記蓋体が連結される左側壁と右側壁が基準になって、前記上辺壁と下辺壁とを垂直姿勢に立ち上げて支持するが、前記蓋体が連結される左側壁と右側壁とは、緩衝用空間部(先端錐状部)による連結構造により、垂直姿勢が維持されるようになっている。
【0015】
本発明としては、前記各コーナ連結部は、その四角形状の対角線を折り畳むことにより、その三角形状に折り畳まれた一側面が前記上辺壁と下辺壁と左側壁と右側壁との各々の下壁部とは連結せずに、前記コーナ連結部が外側から前記上辺壁と下辺壁と左側壁との各々の上壁と各々連結することが好ましい。すなわち、前記コーナ連結部は、前記盛り付け収容部の左側壁と上辺壁又は右側壁と下辺壁とを連結する四角形状の第1のコーナ連結部であるとともに、前記四角形状の第1のコーナ連結部に連結される第2のコーナ連結部を備え、前記四角形状の第1のコーナ連結部に三角形に折り畳む折り畳み線が設けられており、前記コーナ連結部を折り返してその裏面が上辺壁や下辺壁の外周に連結される。すなわち、折り畳み線を外側に出るように折り畳んでから前記第2のコーナ連結部の上方側のみと連結されるが、第1のコーナ連結部とは連結されていない連結構造である。
【0016】
本発明としては、前記コーナ連結部は、前記盛り付け収容部の左側壁と上辺壁又は右側壁と下辺壁とを連結する四角形状のコーナ連結部であり、前記四角形状のコーナ連結部が外側に出るように折り畳んでから前記上辺壁及び下辺壁が各コーナ連結部と融点の高い接着剤により連結されることを特徴とする。
本発明によれば、盛り付け収容部の外周コーナに緩衝空間部が設けられるので、各コーナ連結部を手に接触するようにすることで、手に直接熱が伝われないようにすることができる。すなわち、融点の高い接着剤を使用するが、容器の外側で接着剤で連結するので、盛り付け収納部の食材に対する接着剤への影響はない。
【0017】
本発明としては、前記盛り付け収容部の底部内側面、前記蓋体の外側裏面、及び/又は、前記緩衝空間部の内側面に防水性処理が施されているか、又は、防水性シートが貼着されていることが好ましい。そして、本発明としては、前記紙製容器は、平面形状の一枚の用紙を切り抜いたり折り畳んだりして、前記蓋体を備えた四角形状の紙製容器として組み立てられるものとすることができる。
【0018】
前記蓋体は、前記盛り付け収容部の左側壁及び/又は右側壁と連結されており、前記上辺壁及び下辺壁とコーナ連結部を介して連結され、かつ、前記上辺壁と下辺壁と左側壁と右側壁の各コーナ連結部を連結する連結部が設けられており、前記コーナ連結部を折り返してその裏側を隣接する各壁と連結して、前記コーナ連結部が可動することを特徴とする。ここで、先端錐状部としては、下方側を頂点とする三角錐、四角錐、円錐形状などの先端錐状で構成することが好ましい。
本発明によれば、前記緩衝空隙部(先端錐状部)を介して立ち上がりと折り畳みが行われるので、急激に折り畳まれてペチャンコになるようなことがなく、また、その状態で立ち上がるようすることで、複数枚の紙製容器を重ねた状態から速やかに垂直姿勢にすることが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、使用前の備蓄状態と使用後では、薄くコンパクトに折り畳まれ、省スペースや容易な廃棄を実現しつつ、盛り付け収容部の四隅の構成により、使用時に液体が漏れ出ない紙製容器を提供できるだけでなく、蓋体と盛り付け収納部の連結構造により、把持部を有する紙製容器となり、高温の料理を盛り付ける場合でも、盛付ける人や食事する人の手に熱が伝わらずに使用でき、耐熱や断熱のための部材を必要としない構成であり、これらの構成を、四周壁とコーナ連結部と蓋体のみの簡単な構成で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の実施の形態である紙製容器を示す斜視図である。
【
図2】上記第1の実施形態の紙製容器に食材を盛り付けした使用状態図である。
【
図3】上記第1の実施形態の紙製容器を組み立てた状態の斜視図である。
【
図4】上記第1の実施形態の紙製容器を示す展開図である。
【
図5】上記第1の実施形態の蓋体を把持部に変形させる経過を示す図である。
【
図6】上記実第1の施形態の把持部に変形した蓋体を示す図である。
【
図7】上記第1の実施形態の組立て経過を示すである。
【
図8】上記第1の実施形態の盛り付け収容部と各壁の連結部を示す拡大図である。
【
図9】上記第1の実施形態の壁の折り畳み状態を示す図である。
【
図10】上記第1の実施形態の盛り付け収容部を示す図である。
【
図11】上記第1の実施形態の盛り付け収容部を示す図である。
【
図12】上記第1の実施形態の盛り付け収容部を示す図である。
【
図13】上記第1の実施形態と比較される一般的な紙製容器を示す図である。
【
図14】上記第1の実施形態と比較される一般的な紙製容器を示す図である。
【
図15】上記第1の実施形態の緩衝空間部を示す拡大図である。
【
図16】上記第1の実施形態の使用状態(運搬形態)を示す図である。
【
図17】本発明の第2の実施の形態である紙製容器を示す斜視図である。
【
図18】上記第2の実施形態にカレー雷雨を盛り付けした使用状態図である。
【
図19】本発明の第3の実施の形態である紙製容器を示す斜視図である。
【
図20】上記第3の実施形態の紙製容器の組み立て状態を説明する斜視図である。
【
図21】上記第3の実施形態の紙製容器の組み立て状態を説明する斜視図である。
【
図22】上記第3の実施形態の紙製容器の組み立て状態を説明する斜視図である。
【
図23】上記第3の実施形態の紙製容器の組み立て状態を説明する斜視図である。
【
図24】上記第2の実施形態の紙製容器の組み立て状態を説明する斜視図である。
【
図25】上記第2の実施形態の紙製容器の組み立て状態を説明する斜視図である。
【
図26】上記第2の実施形態の紙製容器の組み立て状態を説明する斜視図である。
【
図27】上記第2の実施形態の紙製容器の組み立て状態を説明する斜視図である。
【
図28】上記第2の実施形態の紙製容器の組み立てた裏面側を示す斜視図である。
【
図29】上記第2の実施形態の紙製容器の蓋体の折り畳み状態を説明する斜視図である。
【
図30】上記第2の実施形態の紙製容器の蓋体の折り畳み状態を説明する斜視図である。
【
図31】上記第2の実施形態の紙製容器の蓋体の折り畳み状態を説明する斜視図である。
【
図32】上記第2の実施形態の紙製容器の蓋体の折り畳み状態を説明する斜視図である。
【
図33】上記第2の実施形態の紙製容器の蓋体の折り畳み状態を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
【0022】
(本発明の第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態における紙製容器1の基本形を示す斜視図であり、基本形とは収納(備蓄)用の折り畳まれた形態から、料理を盛り付けるために、盛り付け収容部2を形成するように変形させた形態である。
図2は、盛り付け収容部2にカレーライスを盛り付けた例を示す。
図3に示すように、紙製容器1を構成する盛り付け収容部2は、矩形の底部2dとその4辺から垂直姿勢に立ち上がり囲むように形成された4つの壁(四周壁)4により形成されている。また、4つの壁の一つから連なるように蓋体10が形成されている。
図3において示した上下左右の基準を基に、この蓋体10が連なるように形成される壁4を左側壁3とし、底部2を介してその左側壁3と対向する右辺壁を4b、前記左側壁3及び、前記右側壁4とは別の底部2dの2辺から垂直姿勢に立ち上がる壁4を、上辺壁5、下辺壁6とする。
【0023】
本実施の形態の紙製容器は、
図4に示す展開図のように一枚の紙製シートによって形成され、成形や組み立てが容易で、液体を充填、保管が可能なミルクカートン(牛乳パック)に使用されるような、表面にポリエチレンを塗布し、防水性を付加された厚紙の紙製シートが好適であるが、同様の効果を得られる素材であれば制限は設けない。
図4の展開図は、食品を盛り付ける面を表しており、この面を紙製容器の表面1aとし、裏面側を紙製容器の裏面1bとして表す。この
図4の展開図を正面に見て、左側が蓋体10を形成する部分であり、右側が盛り付け収容部2を形成する部分であり、図中に示された当該紙製シートの外周を示す線以外は折り曲げ線L3、L4を示している。
上述したように、盛り付け収容部2は、矩形の底部2d、前記底部2dの四辺に設けられた、4つの壁4(左側壁3、右側壁4、上辺壁5、下辺壁6)及び、前記底部2dの4つの角部にそれぞれ設けられて隣り合う壁4を繋ぐ連結部7~9により構成されている。
【0024】
本実施の形態の紙製容器1を構成する蓋体10は、
図1から4に示されたように、本実施の形態の紙製容器1は、盛り付け収容部2を構成する壁4のうちのひとつ(左側壁3)を延伸するように設けられた蓋体10を備えており、その平面上には、複数の折り曲げ線L10が形成されている。
蓋体10に設けられた折り曲げ線L10は、
図16示すように、設けられた折り曲げ線L(蓋体10に形成された折り曲げ線だけでなく、左側壁3を構成する折り曲げ線)に沿って折り曲げて、盛付けられた食品を覆い、運搬時に食品が冷めないように、こぼれないように、外部と遮断してゴミなどが付着しないようにする(蓋体本来の役割を有する)、一方で、
図5、
図6に示すように、蓋体10を設けられた折り曲げ線に沿って紙製容器の裏面側1bに向かって折り曲げると、盛り付け収容部2に隣接するように把持部Hを構成できる。
本実施の形態の把持部Hは、
図3に示される紙製容器1の基本形の上辺壁5側または下辺壁6側を正面にして見たときに、断面三角形状を形成しているが、形状が限定されるものではなく、所望される形状に応じて設けられる折り曲げ線Lの数や位置を適宜変更可能である。
また、本実施の形態の紙製容器1の底部2dは、左側壁3側と右側壁4側が長辺、上辺壁5側と下辺壁6側が短辺となった長方形を呈しており、蓋体10(把持部H)は、左側壁3が延伸するように形成されている。これは、長辺側の壁から延伸するように蓋体10を形成した方が、短辺側の壁から蓋体を形成するよりも、把持部Hに変形させて把持した際に、盛付けられた食品の重さで盛り付け収容部2が下方に押し下げられてしまうのを防止する効果がある。
さらに、蓋体10は一方側(本実施の形態の場合は左側壁3側)だけでなく、対向する他方側(本実施の形態の場合は右側壁4側)にも設けて二つの把持部Hを形成しても良い。
この蓋体10が把持部Hを構成することにより、盛付けを行う場面や、食事を摂る場面で、直接高温の食品に触れたり、高温となる盛付け収容部2に触れたりすることに起因する火傷や、衛生面の問題も解消するとともに、本実施の形態の紙製容器に断熱処理を行う必要や、別途断熱のために重ねる容器やシートを追加する必要がないので、安全と低コストと不使用時の省スペースを実現することができる。
【0025】
本実施の形態の紙製容器1を構成する盛り付け収容部2について詳細に説明する。
図4における本実施の形態の紙製容器1の展開図で示したシート状から、4つの壁4(左側壁3、右側壁4、上辺壁5、下辺壁6)を、底部2dを基準に紙製容器の表面1a側に垂直姿勢で立ち上げて、盛り付け収容部2を形成する(
図7(a)(b))。前記左側壁3と右側壁4と上辺壁5と下辺壁6は、垂直姿勢で立ち上がるとともに、緩衝空間部(先端錐状部)8による連結構造により、内側に折り畳むことができるが、外側には傾斜したり、折り畳まれることはないものである。
ここで、上述した、底部2dの4つの角にそれぞれ設けられて隣り合う壁4を繋ぐ連結部7は、左側壁3又は、右側壁4と一辺を共有する第一連結片7a、上辺壁5又は、下辺壁6と一辺を共有する第二連結片7b、前記連結片7bから延伸されるように形成された第三連結片7cから構成され、それぞれの連結片7は折り曲げ線7aによって区切られており、4つの壁(四周壁)を紙製容器1の表面1a側に立ち上げると同時に、第一連結片7aと第二連結片7b(の表面1a側)が接するように折り曲げ線に沿って折り曲げる(表面1a側に対して谷折りすると)と、
図7(b)に示すように盛り付け収容部2の四隅に上段連結部7x(第三連結片7c)と下段連結部7y(第一連結片7a+第二連結片7b)が形成される。
次に、
図8に示すように4つの連結部7(上段連結部7x+下段連結部7y)を隣接する上辺壁5側又は、下辺壁6側に糊付けして前記上辺壁5又は、前記下辺壁6に貼り付ける。具体的には、第二連結片7bと第三連結片7cの裏面1b側を隣接する上辺壁5や下辺壁6の裏面側に貼り付けることで、
図1または
図3に示すような本実施の形態の紙製容器1の基本形が完成する。
ここで、紙製容器の表面には、防水加工が施されているが、上記連結部7の位置では、接着剤を介して連結されている。この接着剤としては、融点が高く、弾力性を有する接着剤が好ましい。
【0026】
(紙製容器の折り畳み)
上述の構成により、基本形を形成した本実施の形態の紙製容器1は、使用時以外は折り畳まれて、平板状に変形し、コンパクトに保管、廃棄が可能となる。
図9は、本実施の形態の紙製容器1を平板状に変形させる過程を示す図であり、上辺壁5と下辺壁6を底部2dの表面1a側に向かって倒し込み(
図9(a)、連結部7を介して接続されている左側壁3と右側壁4も底部2dの表面1a側に向かって倒し込む。そうすると
図9(b)のように平板上に折り畳まれ、不使用時の保管、使用後の廃棄に際して省スペースを実現できる。
さらに、底面部3、各壁4、蓋体10の表面1a側が外気に触れないように内側に折り畳まれ、蓋体10の裏面1b側がゴミやほこりなどの侵入・付着を妨げ、衛生の観点からも有意義な効果が得られることとなる。
【0027】
上述のように、不使用時に折り畳まれて保管(備蓄)されている本実施の形態の紙製容器1は、使用時に折り畳みとは逆の手順で基本形に変形させる。
図10は折り畳まれた状態から基本形への変形途中の盛り付け収容部2の一部分を拡大したものであり、連結部7を構成する第一連結片7aと第二連結片7bの表面1a側に緩衝空間部8が形成されていることが分かる。この緩衝空間部8は、本実施の形態の紙製容器1を折り畳み可能とするため、第一連結片7aと第二連結片7bの表面1a側を接着(貼付け)させないことにより必然的に形成されるものであり、この緩衝空間部8が形成されることにより、立ち上げた上辺壁5及び、下辺壁6は、付勢される力が無いと、やや底部2dの表面1a側に傾斜した状態となる。すなわち、
図11に示すように付勢されていない状態の底部2dに対する下辺壁4の傾斜状態を示す線Tは、垂直に立ち上げられた状態を想定した線Vに対して角度θで表され、0度<θ<90度であり、上辺壁5も同様である。
また、右側壁4から延伸するように折り曲げ線L4を介して支持片4aが設けられており、
図12に示すように、この支持片4aを折り曲げ線L4で、底部2dの表面1a側に折り曲げ、上記のやや底部2dの表面1a側に傾斜した上辺壁5及び、下辺壁6を支持・係止するように配することで、盛り付け収容部2の形状維持が可能となる。
ここで、連結部7、壁4、支持片4aの構成により、盛り付け収容部2の形状を維持するためには、右側壁4よりも上辺壁5及び、下辺壁6が高く設定されていることが重要である。
図13は、本実施の形態の紙製容器1と比較するための折り畳み可能な紙製容器の一例で、折り畳まれた状態と、広げて容器となった状態を示す図であるが、本実施の形態における連結部と壁との係止関係がないため、容器の形状を維持できず、歪な形状を呈するので、スムーズな盛り付けや食事の妨げとなってしまう。
さらに、左側壁3においても、折り曲げ線L3を介して、支持片3sを形成し、対向する二つの支持片4a、3sで、上辺壁5及び、下辺壁6を支持する構成としても良く、本実施の形態の緩衝空間部8は、底部側を頂点とする三角錐形状となっているが、連結部7を構成する、第一連結片7a、第二連結片7b、第三連結片7cの大きさや形状を変更することにより、特に限定されるものでなく適宜選択可能である。
【0028】
本実施の形態の盛り付け収容部2の上述した連結部7の構成と、上辺壁5及び、下辺壁6との固有の接着方法には、盛り付ける食材がカレーやスープ等の液体であっても連結部7と壁4との接着箇所から漏れ出ないという効果も得られることになる。
これは別形態の一般的な折り畳み可能な紙製容器の連結部を例示する
図14と本実施の形態とを比較すると、
図14に示す紙製容器の底部2dの四隅(図中点線で表した円で囲まれた部分)において、連結部7の接着状態が適正でないと、構造上隣接する壁4との接合部分、特に底部に近い接合部分から液体が漏れ出てしまうおそれが生じるが、本実施の形態の底部2dの四隅から漏れ出ようとする液体は、上辺壁5及び下辺壁6と連結部7の接着に精度の高さを求めなくても、緩衝空間部8に留まる構造となっている(
図15)。これは、組立時の容易性に繋がり、接着状態が適切でない不良品の発生を防ぐことにもつながる。
【0029】
以上のように、本実施の形態の紙製容器1は、蓋体10の把持部Hへの変形、盛り付け収容部2における連結部7の構成、連結部7と壁4との係止関係により、本願発明の目的である、折り畳まれた状態の食品容器をスムーズに料理を盛付け、食事できる状態(基本形)に組み立てられるとともに、盛付けられる料理が高温であっても、食品容器以外に耐熱や断熱のための部材を必要としない構成の紙製容器を提供と、盛付けられた食材(液体)が漏れ出ないための、盛付け収容部2の四隅の構成の提供が実現できる。
【0030】
(本発明の第2の実施の形態)
図17(a)(b)(c)は、本実施の形態における食品容器の基本形を示す斜視図であり、
図18(a)(b)(c)は、食材としてカレーライスを盛り付けた例を示す。
紙製容器11は、食材を盛り付ける盛り付け収容部2を備え、前記盛り付け収容部2が上辺壁5と下辺壁6と左側壁3と右側壁4とを備えて四角形状に形成されている。また、前記盛り付け収容部2の左側壁3又は右側壁4に前記盛り付け収容部2に蓋をする蓋体10が連結している。
前記四角形状の各コーナ連結部7~9には、立体的な三角形状の緩衝空間部8が各々設けられている。この緩衝空間部8は、下方側を頂点とする三角錐形状、四角錐形状や円錐形状に折り畳まれて、液体が容器11の角部から落下しないように、下方に突出した先端錐状8に折り畳むためのものである。また、手に食材の熱が伝達し難くすることもできる。すなわち、この緩衝空間部8を介して手で保持すれば、紙製容器であってもカレーライス等の食材を詰め込んで、食事後は使い捨てることができる。なお、蓋体10になる持ち手Hは、右側壁4に取り付けることが可能であり、また、左側壁3と右側壁4の両方に取り付けることが可能である。
前記各コーナ連結部7~9には、底部側の下方側のコーナ連結部7と、その上方側のコーナ連結部9とが設けられて、下方側のコーナ連結部7は盛り付け部12と一体的に連結するが、上方側のコーナ連結部19は、折り曲げ線7aで折り曲げられてから、盛り付け部2の上辺壁5、下辺壁6、左側壁3、右側壁4の上方側に糊代を介して連結される。したがって、底部側2dが連結されているコーナ連結部7の方では、液体が漏れるようなことはなく、カレーなどの流動状のものでも漏れ落ちるようなことはない。
また、盛り付け部2の外周は、左側壁3、右側壁4、上辺壁5と下辺壁6は、各々二段構成とされている(罫線が形成されて折り畳み可能になっている)。
また、コーナ連結部7の上方側に位置するコーナ連結部9は、折り畳み部7に連続して、折り畳み線9aを介して設けられ、その先端側が前記隣接する上壁4a,5a等に連結されて、折り畳み部の一側面9bが糊代部として前記各下壁と連結している。したがって、コーナー連結部7,8,9の連結が容易になるとともに、蓋体10の動作に合わせて、或いは、上辺壁5と下辺壁6の動きに合わせて、左右の側壁3,4との連動させたり、左側壁3と右側壁4の動きに上辺壁5と下辺壁6とを連動させることができる。
【0031】
前記各コーナ連結部7~9は、その折り曲げ線7aを折り返すと前記所定の大きさの緩衝空間部8が外側に出るように折り畳まれる。また、前記コーナ連結部9が外側から上辺壁5と下辺壁6と左側壁3と右側壁4とに各々連結する。ここで、緩衝用空間部8には、前記各コーナ連結部7~9は、その折り曲げ線7aの本数や折り返し方を変えることで、緩衝用空間部8の形状を変えたり、コーナー連結部7~9の内側に折り曲げて配したり、外側と内側の二重構造にしたりすることにより、緩衝用空間部8の大きさや形状や位置などを変更可能である。
本実施の形態の紙製容器11は、紙製のシートを折り曲げて組み立てられるが、本実施の形態の食品容器に使用されるシートには、成形や組み立てが容易で、液体を充填、保管が可能なミルクカートン(牛乳パック)に使用されるような、表面にポリエチレンを塗布し、耐熱加工や防水加工処理された厚紙の紙製シートが好適であるが、同様の効果を得られる素材であれば制限は設けない。
ここで、本実施の形態において、
図1ないし
図2に示す黒色が耐熱加工や防水加工処理を施した部分である。紙製シートの両面に施すことも可能であるが、両面に加工処理を施すと、折り曲げ加工が難しくなることと、できるだけ加工処理を施す領域を少なくして、使い捨ての使用に適したものにしている。
【0032】
前記盛り付け収容部2は、食材を盛り付ける矩形の底面部2d、該底面部2dから蓋部20へと接続する左側壁13、底面部12dを介して背面部と対面する正面部、底面2dの左辺には左側面部、右辺には右側面部が構成されている。
コーナ連結部9は、正面部から折り曲げ線17aを介して正面延伸部が設けられ、左側面部、右側面部からも同様に折り曲げ線17aを介してそれぞれ左側面延伸部、右側面延伸部が形成されている。また、正面部と右側面部、右側面部と背面部、背面部と左側面部、左側面部と正面部を連結させるように略矩形の4つのコーナ連結部7~9が設けられ、各コーナ連結部7~9には底部2dと接する各頂点側と対向する頂点を結ぶ対角線となるように折り曲げ線7aが形成されている。左側面部と接するコーナ連結部7からは、左側面延伸部と同じ方向に延伸させた糊代9b、右側面部と接するコーナ連結部9からは、右側面延伸部と同じ方向に延伸させた糊代部9bが折り曲げ線を介して形成されている。
【0033】
展開した状態の上述のシートを
図3から
図5の順に折り曲げ線7aに従って組み立てていくが、正面部、背面部、左側面部、右側面部を底面部2dと接する折り曲げ線7aを谷折りしながら立ち上げるとともに、矩形状のコーナ連結部9が略三角形になるように折り曲げ線7aを(内側から見て)谷折りする。前記コーナ連結部9には、介在シートを介在させて厚みを持たせることも可能である。
ここで、折り曲げ線7aは、折り曲げ部7に対して一本であるが、複数本を配置して、緩やかなカーブの緩衝空間8を設けること可能であり、その本数を増やすことにより、三角錐、四角錐状などで構成することができる。さらに、底面部12dと直角となるように正面部、背面部、左側面部、右側面部を立ち上げることで、各コーナ連結部9は平板な略三角形となり、当該コーナ連結部9が各々隣接する左側面部または右側面部側に折り曲げ、左側面延伸部、右側面延伸部と糊代部9bとを接着剤により貼り合わせることで、食品容器11の基本形が完成する。
なお、糊代部9bだけに接着剤を用いて貼り付けても良いが、
図6に示すように、左側面部、右側面部の外側と接するコーナ連結部9にも接着剤を用いて貼り付けることで、より強固な食品容器11となる。
【0034】
上記構成の紙製容器1を使用して、震災による炊き出し時等において、カレーライスの盛り付けに使用するときは、
図17(c)の状態に紙製容器1を組み立てて置き、それを順番に取り出して、持ち手の部分を広げるようにすると、盛り付け収容部2の左側壁3が引っ張られるようになって、斜め上方に立ち上ろうとすると、コーナ連結部17、19を介して連結される上辺壁15と下辺壁16も、持ち手の動きに合わせて、斜め上方に立ち上ろうとする。上辺壁15と下辺壁16も、持ち手の動きに合わせて、斜め上方に立ち上ろうとすると、コーナ連結部7~9を介して連結される右側壁4も上辺壁5と下辺壁6も、持ち手の動きに合わせて、斜め上方に立ち上ろうとする。そして、左側壁3と右側壁4とにより、これらの間の上辺壁5と下辺壁6を垂直姿勢にするように引っ掛ける(掛止すると)、四周壁4~6が垂直に立ち上がり、カレーライス等の食材を盛り付け収容部2に盛り付けしやすくなる。他方、蓋体10の動きに連動させて、上記掛止を解除すると、前記左側壁と右側壁と上辺壁と下辺壁が垂直姿勢から折り畳んだ状態になる。なお、前記連結部7~9である緩衝空間部を介して即座には折り畳まれず、ゆっくりと折り畳まれて、また、ゆっくりと立ち上がる。
そして、手で持つときは(盛り付けをするとき)、4隅に配される緩衝空間部8の部分を手で持つようにすると、手に盛り付け部2の熱が伝達することが防止できるので、手にやけどを負うような事態を防止できる。ここで、持ち手(H)10を折り曲げて、持ち手の先端が盛り付け収容部2の底部2dの位置するようにして、盛り付けを行うこともできる。
盛り付けが終了した時には、これを食する人に手渡すときは、蓋10を閉じて、緩衝空間部を手で持ちやすい状態に向けて、手渡すこと望ましい。
したがって、盛り付け収容部2の上辺壁4と下辺壁5は完全な垂直姿勢にすることにより、各コーナ連結部7~9に対して、盛り付け収容部2に食材を充填するように詰め込むことができる。
なお、蓋体10としては、盛り付け収容部2の左側壁3から右側壁4に及ぶ大きさを備え、蓋体10を使用して前記盛り付け収容部2を開閉する場合、蓋体10を手で閉じると、盛り付け収容部2の上辺壁5及び下辺壁6と右側壁4を上方から底部2dに押し付けて閉じるようになり、蓋体10を手で広げると、前記盛り付け収容部2の上辺壁5及び下辺壁6とがその各コーナ連結部7を介して開き、次いでこれら上辺壁5及び下辺壁6と連動してそのコーナ連結部7~9を介して右側壁を斜め上方に開くようになる。
ここで、本実施の形態では、平面形状の一枚の用紙を切り抜いたり折り畳んだりして、前記蓋体を備えた四角形状の紙製容器として組み立てられるものであって、前記平面形状の一枚の用紙の一方の面にのみ熱加工処理が施されているか、又は、耐熱シートが貼着されている(図中の黒色の部分)。しかし、この片側のみの耐熱性の加工のみで、盛り付け収容部2の底部内側面2d、前記蓋体の外側裏面、及び/又は、前記緩衝空間部8の内側面という耐熱性加工に必要な個所はすべて加工できる。前記緩衝空間部8においては、その内側が耐熱加工されるので、食材の熱を封じ込めるようにしている(
図17、
図18)。なお、上記上記耐熱性加工は、紙製容器11に防水加工を施した上に、上記耐熱加工が施されている。
【0035】
(第3の実施の形態)
図19~
図33は、本発明の第3の実施形態の紙製容器11を示す斜視図である。
本発明の第3の実施形態の蓋体を備えた紙製容器11は、第2の実施形態の蓋体10を備えた紙製容器11の説明を省略する。なお、第3の実施の形態の紙製容器11には、耐熱加工処理や防水加工が施されていないものとして説明する。
本発明の第3の実施形態の蓋体10を備えた紙製容器11は、蓋体10が波形に折り曲げられるようになっている。したがって、盛り付け収容部2の上辺壁と下辺壁は完全な垂直姿勢にすることにより、各コーナ連結部7,8,9に対して、盛り付け収容部2に食材を充填するように詰め込むことができる。
前記コーナ連結部7,8,9は、前記盛り付け収容部2の左側壁3と上辺壁5又は右側壁4と下辺壁6とを連結する四角形状のコーナ連結部であるとともに、スリット(切り込み)C1を介して連結されるコーナ連結部7,8,9が設けられている。そして、前記四角形状の第1のコーナ連結部(底部側の連結部)7に三角形に折り畳む斜めの線7aが設けられており、前記コーナ連結部7,8,9の折り畳み線7aを外側に出るように折り畳んでから前記コーナ連結部7,8,9の上方側のみ4a,5aと連結されている。すなわち、前記コーナ連結部7~9は、前記斜めの折り返し線(折り曲げ線)7aを介して折り返されて(裏返されて)、前記左側壁は、上辺壁5や下辺壁6の外周と連結されている(上辺壁5の下壁6b,下辺壁6の下壁6bとは連結されていない)。
なお、前記各コーナ連結部7,8,9にスリット(切り込み)C1を介して連結されるが、前記先端錐状部(緩衝空間部)8に食材が入り込まないようにするために、補強シート(図示せず)を介在させるようにしても良い。また、本実施の形態では、前記スリット(切り込み)C1を介してコーナ連結部7~9が設けられているが、このスリット(切り込み)C1がなくても、上記構成のの可動する構成のようなコーナ連結部7~9とすることは可能である。
ここで、紙製容器11の表面には、防水加工が施されているが、上記連結部7の位置では、接着剤を介して連結されている。この接着剤としては、融点が高く、弾力性を有する接着剤が好ましく、高濃度天然ゴムラッテクス、改質天然ゴムラッテクスなどが好ましい。
【0036】
上記本実施の形態によれば、蓋体10を手で広げると前記盛り付け収容部の上辺壁及び下辺壁とがそのコーナ連結部9を介して開き、断面で三角形状が連続する折り畳みが可能であり、前記折り畳み線7aの折り畳みに連動してそのコーナ連結部7,8,9を介して上辺壁5と下辺壁6や、これらを介して右側壁4を上方に開くように動作させることができる。そして、本実施の形態では、これら上辺壁5と下辺壁6と左側壁4と右側壁4とを各々垂直姿勢になるまで開放することができる(ただし、垂直姿勢までで、外側には倒れない構造になっている。)。
また、前記蓋体10は、その先端部10aが盛り付け収容部2の左側壁(外側の左側壁)3cに折り畳まれて隣接させることできるので、手で安定した姿勢で紙製容器11を保持することができる(
図18~
図23)。
前記蓋体10は、前記蓋体10に折り曲げ線が形成されて、盛り付け収容部2の左側壁13又は右側壁14から折り曲げられて弧を描くようにしたり、又は、蓋体10に折り曲げ線が形成されて、三角形状に折り曲げられるるようにしたりすることができる。
【0037】
以上、本実施の形態のコーナ連結部7~9は、補強シート(図示せず)を介在させるようにして、緩衝用空間部8には、できるだけ食材の熱が入り込まないようにすることが可能である。また、前記蓋体が構成される左側壁及び/又は右側壁と、前記上辺壁と下辺壁との関係は、前記上辺壁及び/又は下辺壁に蓋体が連続するとすると、これらが前記左側壁と右側壁とを支持する側になり、実施例の説明とは逆の関係になるものである。
【符号の説明】
【0038】
1,11 本発明の紙製容器、
2,12 盛り付け収容部、2d 底部、
3,4,5,6 壁(垂直姿勢)、
7 連結部、7a 第一連結片、
7b 第二連結片、7c 第三連結片、
7x 上段連結部、7y 下段連結部、
8 緩衝空間部(先端錐状部)、
3 左側壁、3a 左側壁の上壁、3b 左側壁の下壁、
3c 外側の左側壁、
4 右側壁、4a 右側壁の上壁、4b 右側壁の下壁、
5 上辺壁、5a 上辺壁の上壁、5b 上辺壁の下壁、
6 下辺壁、6a 下辺壁の上壁、6b 下辺壁の下壁、
7,8,9 コーナ連結部(各角部)、
7 底部側のコーナ連結部、7a 折り曲げ線、7b 糊代、
9 上方側のコーナ連結部、9a 折り畳み線、9b 糊代、
10 蓋体(持ち手、把持部H)、10a 先端部、
10b 折り畳み線、10c 折り曲げ部、
C1 スリット(切れ込み)、
H 把持部、
L3 左辺壁に設けられた折り曲げ線、
L4 左辺壁に設けられた折り曲げ線、
L10 蓋体に受けられた折り曲げ線、
V 垂直線、
T 上辺壁及び下片壁の傾斜状態を示す線、
θ 上辺壁及び下片壁の傾斜角度、