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特開2022-76991表示装置のバックライトを制御する方法及び表示装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076991
(43)【公開日】2022-05-20
(54)【発明の名称】表示装置のバックライトを制御する方法及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20220513BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20220513BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20220513BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20220513BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20220513BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20220513BHJP
   H05B 45/10 20200101ALI20220513BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/34 J
G02F1/133 535
G02F1/13357
F21S2/00 424
H05B47/105
H05B45/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129689
(22)【出願日】2021-08-06
(31)【優先権主張番号】P 2020187346
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】518078142
【氏名又は名称】上海天馬微電子有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】特許業務法人藤央特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大賀 功一
【テーマコード(参考)】
2H193
2H391
3K244
3K273
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
2H193ZG03
2H193ZG04
2H193ZG14
2H193ZG43
2H193ZG48
2H193ZG50
2H193ZG51
2H193ZG56
2H193ZH23
2H193ZH57
2H391AA03
2H391AA15
2H391AB04
2H391CB13
3K244AA01
3K244BA08
3K244BA42
3K244CA02
3K244DA01
3K244EA02
3K244EA16
3K244HA01
3K273PA09
3K273QA05
3K273SA21
3K273SA35
3K273SA46
3K273TA03
3K273TA26
3K273TA29
3K273TA68
3K273TA77
5C006AA22
5C006BB29
5C006EA01
5C006FA22
5C080AA10
5C080BB06
5C080DD05
5C080JJ02
5C080JJ07
(57)【要約】
【課題】表示装置の映像品質を向上する。
【解決手段】表示装置は、バックライトブロックに対向する表示領域ブロック及び対向する表示領域ブロックの隣接表示領域ブロックを含む複数表示領域ブロック内の複数画素それぞれの位置と、バックライトブロックの位置と、の関係から決まる重み、及び、複数画素それぞれの輝度、に基づき、複数画素それぞれからバックライトブロックへの要求輝度値を決定する。表示装置は、バックライトブロックへの要求輝度値における最大値を、バックライトブロックの輝度値に決定する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネル及びバックライトを含む表示装置において、前記バックライトを制御する方法であって、
前記バックライトは、複数バックライトブロックを含み、
前記表示パネルは、前記複数バックライトブロックそれぞれに対向する表示領域ブロックを含み、
前記方法は、前記複数バックライトブロックのそれぞれについて、
前記バックライトブロックに対向する表示領域ブロック及び前記対向する表示領域ブロックの隣接表示領域ブロックを含む複数表示領域ブロック内の複数画素それぞれの位置と、前記バックライトブロックの位置と、の関係から決まる重み、及び、前記複数画素それぞれの輝度、に基づき、前記複数画素それぞれから前記バックライトブロックへの要求輝度値を決定し、
前記バックライトブロックへの要求輝度値における最大値を、前記バックライトブロックの輝度値に決定する、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記重みは、前記画素と前記バックライトブロックとの間の距離に対する減少関数で表すことが可能である、
方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記複数表示領域ブロックは、前記対向する表示領域ブロックと境界線を共有する全ての表示領域ブロックを含む、
方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記複数バックライトブロックはマトリックス状に配置されており、
前記複数表示領域ブロックは、前記対向する表示領域ブロックと行方向、列方向及び斜め方向において隣接する表示領域ブロックを含む、
方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記方法は、
前記対向する表示領域ブロック及び前記対向する表示領域ブロックの前記隣接表示領域ブロックを含む前記複数表示領域ブロック内の全ての画素の前記バックライトブロックへの要求輝度値における最大値を、前記バックライトブロックの輝度値と決定する、
方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記表示領域ブロックそれぞれについて、
前記表示領域ブロックが対向するバックライトブロック及び前記対向するバックライトブロックに隣接するバックライトブロックそれぞれに対する、前記表示領域ブロックからの要求輝度値を決定し、
前記表示領域ブロックから前記対向するバックライトブロックに対する要求輝度値は、前記表示領域ブロックにおける画素の最大輝度値から決定され、
前記対向するバックライトブロックと異なるバックライトブロックに対する要求輝度値は、前記表示領域ブロックにおける画素の位置に応じた重みと画素の輝度値から決まる最大要求輝度値であり、
前記バックライトブロックそれぞれの輝度値は、前記表示領域ブロックそれぞれからの要求輝度値における最大要求輝度値である、
方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記表示領域ブロックのそれぞれは、複数内部表示領域ブロックに分割されており、
前記複数画素は、異なる内部表示領域ブロックそれぞれにおける最大輝度値の画素である、
方法。
【請求項8】
表示装置であって、
表示パネルと、
前記表示パネルの背面側に配置されており、複数バックライトブロックを含むバックライトと、
前記複数バックライトブロックの輝度値及び前記バックライトからの光の前記表示パネルの透過光を制御する制御装置と、
を含み、
前記制御装置は、前記複数バックライトブロックのそれぞれについて、
前記バックライトブロックに対向する表示領域ブロック及び前記対向する表示領域ブロックの隣接表示領域ブロックを含む複数表示領域ブロック内の複数画素それぞれの位置と、前記バックライトブロックの位置と、の関係から決まる重み、及び、前記複数画素それぞれの輝度、に基づき、前記複数画素それぞれから前記バックライトブロックへの要求輝度値を決定し、
前記バックライトブロックへの要求輝度値における最大値を、前記バックライトブロックの輝度値に決定する、
表示装置。
【請求項9】
請求項8に記載の表示装置であって、
前記制御装置は、
前記表示パネルの第1表示領域及び前記第1表示領域に対向する第1バックライトブロック群を制御する第1処理回路と、
前記表示パネルの第2表示領域及び前記第2表示領域に対向する第2バックライトブロック群を制御する第2処理回路と、
を含み、
前記第1処理回路は、前記第2処理回路から、前記第2表示領域内の表示領域ブロックからの要求輝度値を取得し、前記取得した要求輝度値及び前記第1表示領域の表示領域ブロックからの要求輝度値に基づき、前記第1バックライトブロック群を制御し、
前記第2処理回路は、前記第1処理回路から、前記第1表示領域内の表示領域ブロックからの要求輝度値を取得し、前記取得した要求輝度値及び前記第2表示領域の表示領域ブロックからの要求輝度値に基づき、前記第2バックライトブロック群を制御する、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置のバックライトの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置のバックライトの消費電力の低減及びコントラスト比の向上を図るため、バックライトの発光面を複数ブロックに分割し、各ブロックの発光量を映像フレーム内の明暗に応じて個別に増減制御する、ローカルディミング技術が用いられている。
【0003】
ローカルディミング技術は、例えば、全黒背景に白のwindowを表示した場合に、白が表示される領域に対向するバックライトの領域(ブロック)の点灯量(輝度)を大きくし、背景(黒)の部分にあるバックライトの領域(ブロック)の発光量を小さくする。
【0004】
この制御により常にバックライトの全領域を100%点灯している状態よりも、バックライトの電力を削減でき、さらにバックライトの発光量が小さな部分と大きな部分の輝度差が大きくなるため、同一面内でのコントラスト比を大きくして、表示品位を向上することができる。ローカルディミング技術の例は、例えば、特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0139974号
【特許文献2】特開2013-156355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
面内でバックライト輝度分布を変えるため、特にバックライトブロック間の輝度差が目立ち、画質劣化が発生し得る。さらに、ブロックから周辺への光り漏れが大きなバックライトを用いた場合、一つのブロックの輝度に着目すると、その一つのブロックのみ点灯した場合の輝度は、全ブロックを点灯した場合の輝度よりも小さくなる。つまり、光の漏れが大きい場合、1ブロックのみ点灯した場合の輝度は大きく減少するため、そのブロックの光源(例えばLED)の輝度を大きく増加させなくてはならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、表示パネル及びバックライトを含む表示装置において、前記バックライトを制御する方法である。前記バックライトは、複数バックライトブロックを含む。前記表示パネルは、前記複数バックライトブロックそれぞれに対向する表示領域ブロックを含む。前記方法は、前記複数バックライトブロックのそれぞれについて、以下の処理を行う。当該処理は、前記バックライトブロックに対向する表示領域ブロック及び前記対向する表示領域ブロックの隣接表示領域ブロックを含む複数表示領域ブロック内の複数画素それぞれの位置と、前記バックライトブロックの位置と、の関係から決まる重み、及び、前記複数画素それぞれの輝度、に基づき、前記複数画素それぞれから前記バックライトブロックへの要求輝度値を決定する。さらに、前記バックライトブロックへの要求輝度値における最大値を、前記バックライトブロックの輝度値に決定する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、表示装置の映像品質を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本明細書の一実施形態に係る表示装置の構成例を示す。
図2】映像信号処理回路の機能構成例を模式的に示す。
図3】本明細書の一実施例にかかるバックライト輝度分布の決定方法の全体フローの例を示す。
図4A】一つの表示領域ブロックに関連付けられているバックライトブロックを示す。
図4B】対象表示領域ブロック内の白領域(輝度値1の画素からな高階調領域)と、バックライトブロックそれぞれに対する要求輝度値との関係の例を示す
図4C】対象表示領域ブロック内の白領域と、バックライトブロックそれぞれに対する要求輝度値との関係の他の例を示す。
図4D】対象表示領域ブロック内の白領域と、バックライトブロックそれぞれに対する要求輝度値との関係の他の例を示す。
図4E】対象表示領域ブロック内の白領域と、バックライトブロックそれぞれに対する要求輝度値との関係の他の例を示す。
図5A】表示領域ブロックの水平方向の画素数が7である場合の、水平方向の重みleft_X(m)、center_X(m)及びright_X(m)を示す。
図5B】最大値max_left_row(n)、max_center_row(n)、max_right_row(n)の計算方法の例を示す。
図5C】表示領域ブロックの垂直方向の画素数が7である場合の、垂直方向の重みup_Y(n)、center_Y(n)、down_Y(n)を示す。
図5D】表示領域ブロックからバックライトブロックへの要求輝度値分布の例を示す
図6】複数の表示領域ブロックから一つのバックライトブロックへの要求輝度値の例を示す。
図7】バックライトが、水平方向(図7における左右方向)の一列のバックライトブロックで構成されている例を示す。
図8】バックライトが、垂直方向(図8における上下方向)の一列のバックライトブロックで構成されている例を示す。
図9】一つの表示領域ブロックの画素輝度分布と、関連するバックライトブロックそれぞれへの要求輝度値、の例を示す。
図10】表示領域ブロックの他の輝度値分布の例を示す。
図11】表示領域ブロックの他の輝度値分布の例を示す。
図12】表示領域ブロックの他の輝度値分布の例を示す。
図13】表示領域ブロックの他の輝度値分布の例を示す。
図14】表示領域ブロックの他の輝度値分布の例を示す。
図15】表示領域ブロックの他の輝度値分布の例を示す。
図16】表示領域ブロックの他の輝度値分布の例を示す。
図17】表示領域ブロックの他の輝度値分布の例を示す。
図18】表示領域ブロックの他の輝度値分布の例を示す。
図19】表示領域ブロックの他の輝度値分布の例を示す。
図20】表示領域ブロックの他の輝度値分布の例を示す。
図21】表示領域における点灯画素位置の連続的な変化に対応するバックライトブロックの輝度値の変化を示す。
図22】実施形態2に係る、複数の表示領域ブロック及びそれらに対向するバックライトブロックを示す。
図23図22に示す内部バックライトブロックの輝度を平均して得られる、バックライトブロックそれぞれの値を示す。
図24】内部表示領域ブロックからの要求輝度値を計算する方法の例を示す。
図25】内部表示領域ブロックから、バックライトブロックそれぞれへの要求輝度値を決定する処理のフローチャートを示す。
図26】本明細書の一実施形態に係る表示装置の構成例を示す。
図27】バックライトの構成を模式的に示す。
図28】第1バックライト領域に対向する第1表示領域からの要求輝度分布を示す。
図29】第2バックライト領域に対向する第2表示領域からの要求輝度分布を示す。
図30】第1表示領域から第2バックライト領域に対する要求輝度値を示す。
図31】第2表示領域から第1バックライト領域に対する要求輝度値を示す。
図32】最終的なバックライトブロックの輝度分布を示す。
図33】映像信号処理回路間で通信されるデータの例を示す。
図34】クロック信号SCK、データ信号SDA及び制御信号CSの波形の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。本実施形態は本開示を実現するための一例に過ぎず、本開示の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。各図において共通の構成については同一の参照符号が付されている。説明をわかりやすくするため、図示した物の寸法、形状については、誇張して記載している場合もある。
【0011】
本明細書の一実施形態に係る表示装置は、透過光を制御することで映像を表示する表示パネルと、表示パネルの背面側に配置されたバックライトを含む。バックライトの発光領域は複数のバックライトブロックに分割されている。表示装置は、バックライトブロックに対向する表示領域ブロック及びその対向する表示領域ブロックの少なくとも一つの隣接表示領域ブロックを含む複数表示領域ブロック内の複数画素それぞれから、バックライトブロックへの、要求輝度値を決定する。要求輝度値は、画素の位置とバックライトブロックの位置との関係から決まる重み、及び、画素の輝度に基づく。表示装置は、バックライトブロックへの要求輝度値における最大値を、バックライトブロックの輝度値に決定する。この構成により、バックライトブロック毎に輝度を制御する表示装置において、表示装置の映像品質を向上できる。
【0012】
<実施形態1>
図1は、本明細書の一実施形態に係る表示装置の構成例を示す。表示装置は、バックライトからの光の透過量を制御することで画像を表示する。図1は、表示装置の例として、液晶表示装置1の構成例を示す。液晶表示装置1は、信号処理基板10、電源供給源13、映像信号供給源14、液晶表示パネル20、表示駆動ドライバ21、走査ドライバ22、バックライト30、バックライト駆動基板31及びバックライト用電源供給源32を含む。信号処理基板10は、電源生成回路11及び映像信号処理回路12を含む。例えば、信号処理基板10、表示駆動ドライバ21、走査ドライバ22、バックライト駆動基板31は、液晶表示装置1の制御装置に含まれる。
【0013】
液晶表示パネル20は、バックライト30の前側(視認側)に配置され、バックライト30からの光の透過量を制御することで、外部から順次入力された映像フレーム(画像)を表示する。電源生成回路11は、例えば、DC-DCコンバータを含み、他の回路が動作するための電源を生成し、それらに電源を供給する。映像信号処理回路12は、液晶表示パネル20に画像を表示するための信号及びバックライト30を制御する信号の生成といった、映像表示にかかる処理を行う。電源供給源13は、電源生成回路11に電源を供給する。映像信号供給源14は、映像信号処理回路12に映像信号を供給する。
【0014】
電源生成回路11は、映像信号処理回路12、表示駆動ドライバ21及び走査ドライバ22等のICを駆動するための電源を生成する。表示駆動ドライバ21及び走査ドライバ22は、電源生成回路11から供給される電源によって動作し、各々の処理を実行するように構成されている。
【0015】
表示駆動ドライバ21は、映像信号処理回路12から送信される映像信号からデータ信号を生成して液晶表示パネル20に供給する。走査ドライバ22は、映像信号処理回路12から送信されるタイミング信号に従って、液晶表示パネル20の走査線を順次選択する。映像信号処理回路12は、表示駆動ドライバ21に対してもタイミング信号を送信し、表示駆動ドライバ21は、タイミング信号に従って、受信した映像信号からデータ信号を生成して、液晶表示パネル20に供給する。
【0016】
映像信号処理回路12は、電源生成回路11から供給される電源を使用して、外部入力された映像信号を表示駆動ドライバ21に送信するためのデータ配列変換及びドライバ21、22が動作するためのタイミング信号の生成及び送信を行う。映像信号処理回路12は、さらに、バックライト30を駆動制御するための駆動制御信号を生成し、バックライト駆動基板31に送信する。
【0017】
ここで、映像信号処理回路12におけるバックライト30の駆動制御としては、例えば、PWM方式でduty値(時間方向でのパーセンテージ)を制御する方法や、光源にかかる電流値(最大電流値に対するパーセンテージ)で制御する方法がある。本実施形態では、PWM方式を用いLEDを光源とするバックライトを制御することとする。バックライトの駆動制御信号は、PWM信号と呼ばれることがある。
【0018】
バックライト30は、液晶表示パネル20の背面側に配置され、液晶表示パネル20が画像を表示するために必要な光を放射する面状光源装置である。バックライト駆動基板31はバックライト駆動回路を含み、映像信号処理回路12から送信された駆動制御信号に応じて、バックライト30の点灯(輝度)を制御する。バックライト駆動基板31は、バックライト用電源供給源32から電源により動作する。
【0019】
図1に示すように、液晶表示装置1はローカルディミング技術を採用し、バックライト30をX軸に沿ってXブロック(領域)に分割し、Y軸に沿ってYブロックに分割する。液晶表示装置1は、(X×Y)個のブロックの輝度(点灯量)を個別に制御することができる。液晶表示装置1は、消費電力の低減及びコントラスト比の向上のため、各ブロックの点灯量を映像フレーム内の明暗に応じて個別に増減制御する。
【0020】
映像信号処理回路12は、バックライト30のブロックそれぞれの輝度を制御するための駆動制御信号を生成し、バックライト駆動基板31に送信する。バックライト駆動基板31は、映像信号処理回路12からの駆動制御信号が示すブロックそれぞれの輝度値(点灯量)においてブロックが発光するように、バックライト30の光源(例えばLED)を駆動制御する。
【0021】
映像信号処理回路12は、入力された映像信号のタイミング信号に応じて、表示駆動ドライバ21及び走査ドライバ22へのタイミング信号を生成すると共に、映像信号内の映像フレームそれぞれの信号(フレーム信号)を、順次表示駆動ドライバ21に送信する。フレーム信号は、例えば、映像フレームにおける各画素の赤(R)、緑(G)及び青(B)の階調レベルを示す。
【0022】
映像信号処理回路12は、さらに、映像フレームを分析し、その分析結果に基づいて、液晶表示パネル20を背面から照らすバックライト30への駆動制御信号を生成して送信する。上述のように、液晶表示装置1はローカルディミング技術を採用する。映像信号処理回路12は、映像フレームの分析結果に基づき、バックライト30のブロックそれぞれの輝度値(点灯量)を決定する。
【0023】
以下において、映像信号処理回路12によるバックライト30の制御の詳細を説明する。図2は、映像信号処理回路12の機能構成例を模式的に示す。映像信号処理回路12は、表示制御駆動信号生成部231、バックライト輝度制御部200、及びバックライト駆動制御信号生成部221を含む。バックライト輝度制御部200は、階調-輝度変換部201、ブロック輝度値算出部202、及びブロック輝度値配列部203を含む。
【0024】
表示制御駆動信号生成部231は、映像信号供給源14から受信した映像信号から、表示駆動ドライバ21及び走査ドライバ22に送信する信号を生成する。表示制御駆動信号生成部231は、映像フレームが示す各画素のRGB階調レベルの信号をタイミング信号共に表示駆動ドライバ21に送信し、タイミング信号を走査ドライバ22に送信する。液晶表示パネル20の表示領域は、映像フレームに応じた画像を表示する。
【0025】
階調-輝度変換部201、ブロック輝度値算出部202及びブロック輝度値配列部203は、映像フレームに基づいてバックライト30のブロックそれぞれの輝度値(点灯量)を決定するための回路である。階調-輝度変換部201は、映像フレームが示す画素の階調レベルを輝度値(相対輝度値)に変換する。バックライトの輝度を決定するために参照される画素の輝度値は、その画素を構成する赤、青及び緑の要素(副画素とも呼ぶ)の最大輝度値である。
【0026】
ブロック輝度値算出部202は、映像フレームの画素の輝度値に基づいて、バックライト30のブロックそれぞれの輝度値を決定する。バックライト30のブロックは、それぞれ、液晶表示パネル20の表示領域の異なる部分と対向している。バックライト30のブロックと対向する表示領域の部分を表示領域ブロックと呼ぶ。表示領域ブロックは、複数の画素を含む。表示領域ブロックと区別するため、バックライトのブロックをバックライトブロックと呼ぶ。
【0027】
ブロック輝度値算出部202は、バックライトブロックと対向する表示領域ブロックにおける画素の輝度値に加え、対向する表示領域ブロックの周囲の表示領域ブロックの画素の輝度値に基づいて、当該バックライトブロックの輝度値を決定する。以下において、画素の輝度値及びバックライトブロックの輝度値は、それぞれ相対輝度値であり、0から1の範囲にあるものとする。ブロック輝度値算出部202によるバックライトブロックの輝度値の決定方法の詳細は後述する。
【0028】
ブロック輝度値配列部203は、ブロック輝度値算出部202が算出したバックライトブロックそれぞれの輝度値の配列を生成する。配列は、バックライトブロックとそれらの輝度値とを関連付ける。ブロック輝度値配列部203は、生成した輝度値の配列を、バックライト駆動制御信号生成部221に送信する。
【0029】
バックライト駆動制御信号生成部221、バックライト輝度制御部200からバックライトブロックそれぞれの決定された輝度値を取得し、輝度値それぞれに応じた駆動制御信号を生成する。バックライト駆動制御信号生成部221は、バックライトブロックそれぞれの駆動制御信号を、バックライト駆動基板31に送信する。
【0030】
以下において、バックライト輝度制御部200によるバックライトブロックそれぞれの輝度値の決定方法の例を説明する。バックライト輝度制御部200は、映像フレームが示す液晶表示パネル20の画素の輝度値に基づいて、バックライトブロックそれぞれの輝度値を決定する。具体的には、バックライト輝度制御部200は、各バックライトブロックの輝度値を、そのバックライトブロックが対向する表示領域ブロック及び当該対向する表示領域ブロックに隣接する表示領域ブロック内の画素の位置、並びにそれらの画素の輝度値に基づき、決定する。
【0031】
図3は、本明細書の一実施例にかかるバックライト輝度分布の決定方法の全体フローの例を示す。以下に説明する例において、バックライト輝度制御部200は、表示領域ブロックそれぞれから、関連付けられているバックライトブロックそれぞれへの要求輝度値(要求点灯量)を決定する(S11)。バックライト輝度制御部200は、表示領域ブロックの画素輝度分布(画素の輝度値及び位置)に基づき、関連付けられているバックライトブロックそれぞれへの要求輝度値を決定する。
【0032】
次に、バックライト輝度制御部200は、各バックライトブロックへの要求輝度値に基づき、各バックライトブロックの輝度値を決定する(S12)。以下に説明する例は、バックライトブロックへの全ての要求輝度値の内の最大値を、そのバックライトブロックの輝度値に決定する。
【0033】
表示領域ブロックの輝度分布に基づき、関連付けられているバックライトブロックへの要求輝度値を決定するステップS11の概要を、図4Aから4Eを参照して説明する。本例において、一つの表示領域ブロックに対して、それに対向するバックライトブロック及び対向バックライトブロックに隣接するバックライトブロックが関連付けられている。隣接するバックライトブロックは、水平方向(X軸方向又は行方向)及び垂直方向(Y軸方向又は列方向)において隣接するバックライトブロックに加え、斜め方向に隣接するバックライトブロックを含む。水平方向及び垂直方向に隣接するバックライトブロックは、対向バックライトブロックと境界線を共有するバックライトブロックの例である。
【0034】
他の例において、隣接する一部のバックライトブロックのみが、表示領域ブロックに関連づけられていてもよく、隣接するバックライトブロックより遠いバックライトブロックが表示領域ブロックに関連づけられていてもよい。以下に説明する例において、バックライトブロック及び表示領域ブロックの形状は矩形であり、それらはマトリックス状に配置されている。また、画素は矩形で表され、表示領域内でマトリックス状に配置されている。これらの形状及レイアウトは設計により決定され、以下の説明する例に限定されるものではない。
【0035】
図4Aは、一つの表示領域ブロックに関連付けられているバックライトブロック401を示す。図4Aにおいて、一つのバックライトブロックのみが、例として、符号401で指示されている。バックライトブロック401は矩形で示されており、矩形内の数字は、バックライトブロック401の相対値な位置の座標(x,y)を示す。座標(2,2)のバックライトブロック401は、対象の表示領域ブロックに対向するバックライトブロックである。本例において、周囲ブロックは、バックライトブロック(2,2)に隣接する八つのバックライトブロック401である。
【0036】
図4Bは、対象表示領域ブロック内の白領域(輝度値1の画素からなる高階調領域)411と、バックライトブロック401それぞれに対する要求輝度値との関係の例を示す。対象表示領域ブロックにおいて、白領域411以外の部分は黒(輝度値0)である。
【0037】
図4Bに示す例において、白領域411は、バックライトブロック(2,2)の中心に位置している。バックライトブロック(2,2)の輝度値は、白領域411と同一の1.0である。周囲バックライトブロック401の輝度値は、均等に近く決定される。
【0038】
上下左右の隣接バックライトブロック(1,2)、(2,1)、(2,3)及び(3,2)への要求輝度値は、共通であり、中央のバックライトブロック(2,2)への要求輝度値より小さい(例えば0.5)。斜めの隣接バックライトブロック(1,1)、(1,3)、(3,1)及び(3,3)への要求輝度値は、共通であり、上下左右の隣接バックライトブロックへの要求輝度値より小さい(例えば0.25)。
【0039】
図4Cは、対象表示領域ブロック内の白領域411と、バックライトブロック401それぞれに対する要求輝度値との関係の他の例を示す。白領域411は、バックライトブロック(2,2)と同形状及び面内で同一の表示領域ブロックにおいて、上側中央に位置している。図4Bの例と比較して、バックライトブロック(1,1)、(1,2)、(1,3)の輝度値が大きく、バックライトブロック(3,1)、(3,2)、(3,3)の輝度値が小さい。
【0040】
白領域411が、表示領域ブロックにおいて、下側中央に位置している場合、逆の制御がなされる。つまり、図4Bの例と比較して、バックライトブロック(1,1)、(1,2)、(1,3)の輝度値が小さく、バックライトブロック(3,1)、(3,2)、(3,3)の輝度値が大きい。
【0041】
図4Dは、対象表示領域ブロック内の白領域411と、バックライトブロック401それぞれに対する要求輝度値との関係の他の例を示す。白領域411は、表示領域ブロックにおいて、左側中央に位置している。図4Bの例と比較して、バックライトブロック(1,1)、(2,1)、(3,1)の輝度値が大きく、バックライトブロック(1,3)、(2,3)、(3,3)の輝度値が小さい。
【0042】
白領域411が、表示領域ブロックにおいて、右側中央に位置している場合、逆の制御がなされる。つまり、図4Bの例と比較して、バックライトブロック(1,1)、(2,1)、(3,1)の輝度値が小さく、バックライトブロック(1,3)、(2,3)、(3,3)の輝度値が大きい。
【0043】
図4Eは、対象表示領域ブロック内の白領域411と、バックライトブロック401それぞれに対する要求輝度値との関係の他の例を示す。白領域411は、表示領域ブロックにおいて、右上に位置している。図4Bの例と比較して、バックライトブロック(1,2)、(1,3)、(2,3)の輝度値が大きく、バックライトブロック(1,1)、(2,1)、(3,1)、(3,2)、(3,3)の輝度値が小さい。
【0044】
白領域411が、右下、左上又は左下に位置する場合、同様に、バックライト輝度制御部200は、白領域411に近いバックライトブロックの輝度を大きくし、遠いバックライトブロックの輝度を小さくする。
【0045】
以下において、表示領域ブロックの輝度分布からバックライトブロックへの要求輝度値を決定する方法(S11)の例を、具体的に説明する。以下に説明する方法は一例であって、バックライトブロックの輝度値の決定方法は他の方法であってよい。以下に説明する例は、上記例と同様に、対象の表示領域ブロックと対向するバックライトブロック及びその周囲の八つの隣接バックライトブロックに対して、対象の表示領域ブロックからの要求輝度値を決定する。
【0046】
まず、バックライト輝度制御部200は、表示領域ブロックの画素に割り当てる、水平方向の重み係数(単に重み呼ぶ)を算出する。算出する重みは、左側、中央及び右側のバックライトブロックへの要求輝度値のための重みである。
【0047】
左側重みleft_X(m)は、中央重みcenter_X(m)、右側重みright_X(m)は、それぞれ、次の式で計算できる。
left_X(m)
={(H_pixnumber-1)-X(m)}/(H_pixnumber-1)
center_X(m)=1.0
right_X(m)=X(m)/(H_pixnumber-1)
【0048】
X(m)は、表示領域ブロック内の画素のX座標(水平方向の座標)を表す。H_pixnumberは、表示領域ブロックにおける水平方向(X軸方向)の画素数を表す。
【0049】
図5Aは、表示領域ブロックの水平方向の画素数が7である場合の、水平方向の重みleft_X(m)、center_X(m)及びright_X(m)を示す。X座標mは、0から6の範囲内の整数である。
【0050】
left_X(m)は、図4Aにおける、バックライトブロック(1,1)、(2,1)、(3,1)のための重みである。left_X(m)は、左から右に向かって減少している。center_X(m)は、図4Aにおける、バックライトブロック(1,2)、(2,2)、(3,2)のための重みである。center_X(m)は、1.0で一定である。right_X(m)は、バックライトブロック(1,3)、(2,3)、(3,3)のための重みである。right_X(m)は、右から左に向かって減少している。このように、水平方向の重みは、画素とバックライトブロックとの間の距離に対する減少関数で表すことができる。
【0051】
次に、バックライト輝度制御部200は、表示領域ブロックの各画素輝度値と上記三つの重みとの積を算出する。さらに、バックライト輝度制御部200は、各画素行(X軸方向に配列された画素)において、画素輝度値と上記三つの重みそれぞれとの積における最大値を決定する。
【0052】
画素行nにおけるleft_X(m)と画素輝度値L(m)との積の最大値を、max_left_row(n)と表す。画素行nにおけるcenter_X(m)と画素輝度値L(m)との積の最大値を、max_center_row(n)と表す。画素行nにおけるright_X(m)と画素輝度値L(m)との積の最大値を、max_right_row(n)と表す。nは、0から表示領域ブロックの画素行数から1を引いた値までの整数である。
【0053】
max_left_row(n)、max_center_row(n)、max_right_row(n)は、それぞれ以下の式で算出することができる。
【0054】
max_left_row(n)=MAX{L(m)×left_X(m)}
max_row_line(n)
=MAX{L(m)×center_X(m)}
max_right_row(n)=MAX{L(m)×right_X(m)}
【0055】
図5Bは、最大値max_left_row(n)、max_center_row(n)、max_right_row(n)の計算方法の例を示す。表示領域ブロック451の画素輝度分布の例において、一つの画素(1,1)のみ輝度値1.0で発光し、他の画素の輝度値は0である。この表示領域ブロック451の画素輝度分布と図5Aに示す水平方向の重みから、max_left_row(n)、max_center_row(n)、max_right_row(n)が計算される。
【0056】
図5Bに示すように、画素行row(1)以外の画素行の最大値は0である。画素行row(1)の最大値max_left_row(n)、max_center_row(n)、max_right_row(n)は、それぞれ、X座標が1における重みに輝度値1を乗算した値である。
【0057】
次に、バックライト輝度制御部200は、表示領域ブロックの画素に割り当てる、垂直方向の重みを算出する。算出する重みは、上側、中央及び下側のバックライトブロックへの要求輝度値のための重みである。
【0058】
上側重みup_Y(n)、中央重みcenter_Y(n)、下側重みdown_Y(n)は、それぞれ、以下の式で計算できる。
up_Y(n)
={(V_pixnumber-1)-Y(n)}/(V_pixnumber-1)
center_Y(n)=1.0
down_Y(n)=Y(n)/(V_pixnumber-1)
【0059】
Y(n)は、表示領域ブロック内の画素のY座標(垂直方向の座標)を表す。V_pixnumberは、表示領域ブロックにおける垂直方向(Y軸方向)の画素数を表す。
【0060】
図5Cは、表示領域ブロックの垂直方向の画素数が7である場合の、垂直方向の重みup_Y(n)、center_Y(n)、down_Y(n)を示す。Y座標nは、0から6の範囲内の整数である。
【0061】
up_Y(n)は、図4Aにおける、バックライトブロック(1,1)、(1,2)、(1,3)のための重みである。up_Y(n)は、上から下に向かって減少している。center_Y(n)は、図4Aにおける、バックライトブロック(2,1)、(2,2)、(2,3)のための重みである。center_Y(n)は、1.0で一定である。down_Y(n)は、バックライトブロック(3,1)、(3,2)、(3,3)のための重みである。down_Y(n)は、下から上に向かって減少している。このように、垂直方向の重みは、画素とバックライトブロックとの間の距離に対する減少関数で表すことができる。
【0062】
次に、バックライト輝度制御部200は、画素行それぞれの最大値max_left_row(n)、max_center_row(n)、max_right_row(n)と垂直方向重みとの積を算出する。さらに、バックライト輝度制御部200は、水平方向及び垂直方向の異なる九つの組み合わせそれぞれの最大値を決定する。九つの方向の組み合わせは、図4Aに示すバックライトブロックの九つの位置に対応する。これら最大値は、表示領域ブロックから関連付けられているバックライトブロックへの要求輝度値分布を構成する。
【0063】
図5Dは、表示領域ブロックからバックライトブロックへの要求輝度値分布の例を示す。要求輝度値分布は、九つのセクションで構成されている。それらは、max_left_up、max_center_up、max_right_up、max_left_center、max_center_center、max_right_center、max_left_down、max_center_down、max_right_downである。これらは、図4Aに示すバックライトブロック(1,1)、(1,2)、(1,3)、(2,1)、(2,2)、(2,3)、(3,1)、(3,2)、(3,3)、に対応する。
【0064】
上記要求輝度値は、それぞれ以下の式に従って算出することができる。
max_left_up
=MAX{max_left_row(n)×up_Y(n)}
max_left_center
=MAX{max_left_row(n)×center_Y(n)}
max_left_down
=MAX{max_left_row(n)×down_Y(n)}
【0065】
max_center_up
=MAX{max_center_row(n)×up_Y(n)}
max_center_center
=MAX{max_center_row(n)×center_Y(n)}
max_center_down
=MAX{max_center_row(n)×down_Y(n)}
【0066】
max_right_up
=MAX{max_right_row(n)×up_Y(n)}
max_right_center
=MAX{max_right_row(n)×center_Y(n)}
max_right_down
=MAX{max_right_row(n)×down_Y(n)}
【0067】
図5Dは、さらに、図5Aから5Cを参照して説明した例の要求輝度分布を示す。数値は、以下のように計算されている。
【0068】
max_left_up
=MAX{0×1.0,0.83×0.83,0×0.67,0×0.50,
0×0.33,0×0.17,0×0.0}
=0.83×0.83=0.69
【0069】
max_left_center
=MAX{0×1.0,0.83×1.0,0×1.0,0×1.0,
0×1.0,0×1.0,0×1.0}
=0.83×1.0=0.83
【0070】
max_left_down
=MAX{0×0.0,0.83×0.17,0×0.33,0×0.50,
0×0.67,0×0.83,0×1.0}
=0.83×0.17=0.14
【0071】
max_center_up
=MAX{0×1.0,1×0.83,0×0.67,0×0.50,
0×0.33,0×0.17,0×0.0}
=1×0.83=0.83
【0072】
max_center_center
=MAX {0×1.0,1×1.0,0×1.0,0×1.0,
0×1.0,0×1.0,0×1.0}
=1×1.0=1.0
【0073】
max_center_down
=MAX{0×0.0,1×0.17,0×0.33,0×0.50,
0×0.67,0×0.83,0×1.0}
=1×0.17=0.17
【0074】
max_right_up
=MAX{0×1.0,0.17×0.83,0×0.67,0×0.50,
0×0.33,0×0.17,0×0.0}
=0.17×0.83=0.14
【0075】
max_right_center
=MAX{0×1.0,0.17×1.0,0×1.0,0×1.0,
0×1.0,0×1.0,0×1.0}
=0.17×1.0=0.17
【0076】
max_right_down
=MAX{0×0.0,0.17×0.17,0×0.33,0×0.50,
0×0.67,0×0.83,0×1.0}
=0.17×0.17=0.03
【0077】
以上のように、バックライト輝度制御部200は、表示領域ブロックから関連付けられているバックライトブロックそれぞれへの要求輝度値を算出する。表示領域ブロック内の各画素について、バックライトブロックそれぞれに対する重みは、画素の位置に応じた水平重みと垂直重みの積で表される。画素の輝度値とバックライトブロックに対する重みとの積の最大値が、当該バックライトブロックへの表示領域ブロックの要求輝度値である。例えば、対向するバックライトブロックに対する重みは1である。そのため、表示領域ブロックと対向するバックライトブロックへの要求輝度値は、表示領域ブロック内の最大輝度値と一致する。
【0078】
上記例は、各画素の重みを画素の位置に基づき算出し、それらの値と画素の輝度値とから、表示領域ブロックからバックライトブロックへの要求輝度値を決定する。関連バックライトブロックそれぞれに対する重みを予め保持する構成と比較して、必要なメモリ領域を大きく低減できる。
【0079】
なお、全ての画素のバックライトブロックそれぞれへ重みを、予め設定しておいてもよい。表示領域ブロックにおいて、バックライトブロックへの最大要求輝度値を算出する方法は、上記例に限定されない。例えば、垂直方向の画素列において最大値を決定した後に水平方向の重みと乗算してもよい。
【0080】
次に、複数の表示領域ブロックから一つのバックライトブロックへの要求輝度値に基づき、当該バックライトブロックの輝度値を決定する方法(S12)の例を説明する。バックライト輝度制御部200は、バックライトブロックへの全ての要求輝度値の内の最大値を、そのバックライトブロックの輝度値と決定する。
【0081】
図6は、複数の表示領域ブロックから一つのバックライトブロックへの要求輝度値の例を示す。表示領域ブロック(2,2)が、対象のバックライトブロックと対向する。なお、表示領域ブロック(x,y)は、相対座標(x,y)の表示領域ブロックを示す。
【0082】
表示領域ブロック(1,1)から対象バックライトブロックへの要求輝度値は、max_right_down=0.08である。表示領域ブロック(1,2)から対象バックライトブロックへの要求輝度値は、max_center_down=0.6である。表示領域ブロック(1,3)から対象バックライトブロックへの要求輝度値は、max_left_down=0.05である。
【0083】
表示領域ブロック(2,1)から対象バックライトブロックへの要求輝度値は、max_right_center=0.7である。表示領域ブロック(2,2)から対象バックライトブロックへの要求輝度値は、max_center_center=0.5である。表示領域ブロック(2,3)から対象バックライトブロックへの要求輝度値は、max_left_center=0.4である。
【0084】
表示領域ブロック(3,1)から対象バックライトブロックへの要求輝度値は、max_right_up=0.1である。表示領域ブロック(3,2)から対象バックライトブロックへの要求輝度値は、max_center_up=0.1である。表示領域ブロック(3,3)から対象バックライトブロックへの要求輝度値は、max_left_up=0.81である。
【0085】
バックライト輝度制御部200は、上記要求輝度値のうちの最大値が対象バックライトブロックの輝度値と決定する。本例における最大値は、max_left_up=0.81である。
【0086】
図6の構成例において、バックライトブロックは、マトリックス状の配置されている。また、バックライトブロックは、対向する表示領域ブロック並びに水平方向、垂直方向及び斜め方向に隣接する表示領域ブロックに関連づけられている。他の構成例において、バックライトブロックは、上記周辺表示領域ブロックの一部とのみ関連付けられていてもよい。
【0087】
図7は、バックライト30が、水平方向(図7における左右方向)の一列のバックライトブロックで構成されている例を示す。バックライトブロックは、対向する表示領域ブロック及び水平方向で隣接する表示領域ブロックと関連づけられている。図7において、表示領域ブロック(2,1)、(2,2)及び(2,3)のみが存在し、他の表示領域ブロックは存在していない。そのため、他の表示領域ブロックの全ての要求輝度値は0である。図5Aから図6を参照して説明した計算方法によって、図7の例における対象バックライトブロックの輝度値を決定することができる。
【0088】
図7の例において、表示領域ブロック(2,1)から対象バックライトブロックへの要求輝度値は、max_right_center=0.7である。表示領域ブロック(2,2)から対象バックライトブロックへの要求輝度値は、max_center_center=0.5である。表示領域ブロック(2,3)から対象バックライトブロックへの要求輝度値は、max_left_center=0.4である。これらの値の内の最大値はmax_right_center=0.7であり、対象バックライトブロックの輝度値は、0.7と決定される。
【0089】
図8は、バックライト30が、垂直方向(図8における上下方向)の一列のバックライトブロックで構成されている例を示す。バックライトブロックは、対向する表示領域ブロック及び垂直方向で隣接する表示領域ブロックと関連づけられている。図8において、表示領域ブロック(1,2)、(2,2)及び(3,2)のみが存在し、他の表示領域ブロックは存在していない。そのため、他の表示領域ブロックの全ての要求輝度値は0である。図5Aから図6を参照して説明した計算方法によって、図8の例における対象バックライトブロックの輝度値を決定することができる。
【0090】
図8の例において、表示領域ブロック(1,2)から対象バックライトブロックへの要求輝度値は、max_center_down=0.6である。表示領域ブロック(2,2)から対象バックライトブロックへの要求輝度値は、max_center_center=0.5である。表示領域ブロック(3,2)から対象バックライトブロックへの要求輝度値は、max_center_up=0.1である。これらの値の内の最大値はmax_center_down=0.6であり、対象バックライトブロックの輝度値は、0.6と決定される。
【0091】
以下において、一つの表示領域ブロックから関連するバックライトブロックへの要求輝度値の例を説明する。図9は、一つの表示領域ブロック451の画素輝度分布と、関連するバックライトブロック401それぞれへの要求輝度値、の例を示す。表示領域ブロック451は、中央の対向するバックライトブロック及びその周囲の八つのバックライトブロックと関連付けられている。
【0092】
図9の例において、表示領域ブロック451は中央のバックライトブロックと対向している。表示領域ブロック451において、左上角の画素の輝度値が1.0であり、その他の全ての画素の輝度値は0である。この輝度値分布に対応して、左上側バックライトブロックへの要求輝度値が大きく、右下側バックライトブロックへの要求輝度値が小さい。
【0093】
図10は、表示領域ブロック451の他の輝度値分布の例を示す。表示領域ブロック451において、左端中央の画素の輝度値が1.0であり、その他の全ての画素の輝度値は0である。この輝度値分布に対応して、左側のバックライトブロックへの要求輝度値が大きく、右側のバックライトブロックへの要求輝度値が小さい。
【0094】
図11は、表示領域ブロック451の他の輝度値分布の例を示す。表示領域ブロック451において、左下角の画素の輝度値が1.0であり、その他の全ての画素の輝度値は0である。この輝度値分布に対応して、左下側バックライトブロックへの要求輝度値が大きく、右上側バックライトブロックへの要求輝度値が小さい。
【0095】
図12は、表示領域ブロック451の他の輝度値分布の例を示す。表示領域ブロック451において、上端中央の画素の輝度値が1.0であり、その他の全ての画素の輝度値は0である。この輝度値分布に対応して、上側のバックライトブロックへの要求輝度値が大きく、下側のバックライトブロックへの要求輝度値が小さい。
【0096】
図13は、表示領域ブロック451の他の輝度値分布の例を示す。表示領域ブロック451において、中央の画素の輝度値が1.0であり、その他の全ての画素の輝度値は0である。この輝度値分布に対応して、中央のバックライトブロックへの要求輝度値が大きく、周囲のバックライトブロックへの要求輝度値が小さい。
【0097】
図14は、表示領域ブロック451の他の輝度値分布の例を示す。表示領域ブロック451において、下端中央の画素の輝度値が1.0であり、その他の全ての画素の輝度値は0である。この輝度値分布に対応して、下側のバックライトブロックへの要求輝度値が大きく、上側のバックライトブロックへの要求輝度値が小さい。
図15は、表示領域ブロック451の他の輝度値分布の例を示す。表示領域ブロック451において、右上角の画素の輝度値が1.0であり、その他の全ての画素の輝度値は0である。この輝度値分布に対応して、右上側バックライトブロックへの要求輝度値が大きく、左下側バックライトブロックへの要求輝度値が小さい。
【0098】
図16は、表示領域ブロック451の他の輝度値分布の例を示す。表示領域ブロック451において、右端中央の画素の輝度値が1.0であり、その他の全ての画素の輝度値は0である。この輝度値分布に対応して、右側のバックライトブロックへの要求輝度値が大きく、左側のバックライトブロックへの要求輝度値が小さい。
【0099】
図17は、表示領域ブロック451の他の輝度値分布の例を示す。表示領域ブロック451において、右下角の画素の輝度値が1.0であり、その他の全ての画素の輝度値は0である。この輝度値分布に対応して、右下側バックライトブロックへの要求輝度値が大きく、左上側バックライトブロックへの要求輝度値が小さい。
【0100】
図18は、表示領域ブロック451の他の輝度値分布の例を示す。左上角より水平方向及び垂直方向において1画素だけ内側の画素の輝度値が1.0であり、その他の全ての画素の輝度値は0である。図9に示す輝度分布の例と比較して、輝度値1.0の画素が1画素だけ、下側及び右側に位置している。輝度値1.0の画素のこの位置が、バックライトブロック401それぞれへの要求輝度値に反映されている。
【0101】
つまり、図9のバックライト輝度値分布と比較して、上側バックライトブロックへの要求輝度値が小さくなり、下側バックライトブロックへの要求輝度値が大きくなっている。また、左側バックライトブロックへの要求輝度値が小さくなり、右側バックライトブロックへの要求輝度値が大きくなっている。
【0102】
図19は、表示領域ブロック451の他の輝度値分布の例を示す。二つの画素の輝度値が1.0であり、他の画素の輝度値は0である。上述のように、画素位置及び輝度値に基づき決定される二つの画素それぞれからバックライトブロックそれぞれへの要求値において、最大値がバックライトブロックへの要求輝度値となる。
【0103】
図19の表示領域ブロックの輝度値分布は、図14の輝度値分布に対して右上側画素の輝度値1.0が追加されている。この画素から要求輝度値が、上段三つ及び右側中央のバックライトブロック401への要求輝度値に反映されている。
【0104】
図20は、表示領域ブロック451の他の輝度値分布の例を示す。右上角より水平方向及び垂直方向において1画素だけ内側の画素の輝度値が0.5であり、その他の全ての画素の輝度値は0である。図15に示す輝度分布の例と比較して、輝度値が半分の画素が1画素だけ、下側及び左側に位置している。画素のこの輝度値及び位置が、バックライトブロック401それぞれへの要求輝度値に反映されている。
【0105】
つまり、図15のバックライト輝度値分布と比較して、下側及び左側バックライトブロックへの要求輝度値が大きくなっている。また、中央から右及び上側のバックライトブロックへの要求輝度値が小さくなっている。
【0106】
図21は、表示領域における点灯画素位置の連続的な変化に対応するバックライトブロックの輝度値の変化を示す。図21は、一つの表示領域ブロック内で、1.0の輝度値の画素が、左から右に向かって移動する例を示す。各状態において、一つの画素のみ点灯し、他の画素の輝度値は0である。図21は、さらに、表示領域ブロック451の輝度分布それぞれに対応するバックライトブロック401の輝度分布を示す。
【0107】
上述のようにバックライトブロック401への要求輝度値を計算した結果、表示領域ブロック451内の高階調の位置が動くにつれて、高階調の位置に対向するバックライトブロック401の周辺のバックライトブロック401の点灯量(輝度)が、連続的に変化する。図21に示す例において、一つの表示領域ブロック451は7×7画素で構成されており、バックライトブロック401の点灯量は7段階の変化を示す。実際の実装においては、表示領域ブロック451は、より多数の画素で構成され得る。
【0108】
例えば、12.3インチWHDの解像度を想定し、バックライトを96×36=3456分割する構成を考える。一つの表示領域ブロックを構成する画素(バックライトブロックに対向する画素)は、20×20=400程である。そのため、点灯量の変化は20段階となり、充分細かな変化量となり、連続的な輝度変化が得られる。
【0109】
図21は、点灯画素の水平方向の移動に着目した連続的なバックライトブロックの点灯量の変化を説明しているが、他の方向、具体的には垂直方向又は斜め方向においても、連続的なバックライトブロックの点灯量の変化が現れる。
【0110】
図21に示すように、高輝度画素に近い隣接バックライトブロック401の点灯量が増加して、遠い隣接バックライトブロック401の点灯量が減少する。この動作は、バックライトブロック401の輝度の急激な変化を防ぐことができる。例えば、対向する表示領域ブロックの高輝度画素情報のみでバックライトブロックの輝度を決定する構成や、周辺のバックライトブロックの輝度を表示領域ブロック内の画素位置に依存することなく決定する構成においては、点灯画素がバックライトブロックの境界を跨ぐ際に、バックライトブロックの輝度が急激に変化し、画質劣化の要因となる。本明細書で開示の構成は、この画質劣化を防ぐことができる。
【0111】
バックライト30の構成について説明する。例えば、直下型バックライトは、液晶表示パネル20と対向するように、バックライト面内に配置される光源アレイと、光源アレイと液晶表示パネル20との間の拡散板を含むことができる。光源の典型的な例はLEDである。複数のLEDが、バックライトブロック401内に配置され得る。一つのバックライトブロック401内のLEDの数は任意である。LEDの輝度効率及び輝度分布に基づき、最適な数のLEDが最適な位置に配置される。
【0112】
バックライト30は、上述のような直下型ではなく、導光板と側面に配置された光源を含むエッジ型であってもよい。バックライト30は、例えば、マトリックス状に配置されたバックライトブロックで構成されてもよく、水平方向又は垂直方向の一列のバックライトブロックで構成されていてもよい。
【0113】
<実施形態2>
以下において、画素の輝度値及び位置に基づきバックライトブロックへの要求輝度値を決定する方法の他の例を説明する。以下に説明する方法は、一つのバックライトブロックを分割して、複数の内部バックライトブロックを定義する。各内部バックライトブロックに対向する表示領域の部分は、内部表示領域ブロックと定義される。一つの表示領域ブロックは、バックライトブロックに対向する表示領域の部分であって、複数の内部表示領域ブロックで構成される。
【0114】
バックライト輝度制御部200は、内部表示領域ブロック内の画素の輝度値から、当該内部表示領域ブロックの輝度値を決定する。バックライト輝度制御部200は、その内部表示領域ブロックの輝度値に基づき、関連付けられている内部バックライトブロックそれぞれへの要求輝度値を決定する。バックライト輝度制御部200は、バックライトブロックの輝度値を、その内部バックライトブロックへの要求輝度値に基づいて決定する。
【0115】
以下、具体例を説明する。図22は、複数の表示領域ブロック451及びそれらに対向するバックライトブロック401を示す。マトリックス状に配置された九つの表示領域ブロック451が示されており、そのうちの一つが例として符号454で指示されている。説明の容易化のため、隣接する表示領域ブロック451はスペースによって分離されているが、実際は、これらは接している。
【0116】
図22の例において、表示領域ブロック451は、四つの内部表示領域ブロック471に分割されている。一部の表示領域ブロック471が破線矩形で示されており、一つの内部表示領域ブロックが例として符号471で指示されている。
【0117】
図22は、さらに、複数の表示領域ブロック451それぞれと対向する九つのバックライトブロック401を示す。一つのバックライトブロックが例として符号401で指示されている。説明の容易化のため、隣接するバックライトブロック401はスペースによって分離されているが、実際は、これらは接している。バックライトブロック401は、四つの内部バックライトブロックに分割されている。一部の内部バックライトブロックが符号で指示されている。具体的には、内部バックライトブロックIB1からIB9は、それぞれ、破線で囲まれている内部表示領域ブロック471に対向する。
【0118】
図22の示す例において、一つ画素のみが輝度値1.0で点灯し、他の画素は非点灯(輝度値0)である。内部バックライトブロックIB5は、点灯している画素に対向する内部バックライトブロックである。内部バックライトブロックIB1からIB9の輝度値(要求輝度値)は、矩形内の数字で表されている。具体的には、内部バックライトブロックIB5の輝度値は1.0、左右上下で隣接する内部バックライトブロックIB2、IB4、IB6、IB8の輝度値は0.5、斜め隣接の内部バックライトブロックIB1、IB3、IB7、IB9の輝度値は0.25である。
【0119】
本例において、バックライト輝度制御部200は、内部表示領域ブロック471内の画素位置によらず、関連付けられている内部バックライトブロックへの要求輝度値を決定する。内部表示領域ブロックから内部バックライトブロックへの要求輝度値の重みは予め設定されている。図22に示す例において、対向する内部バックライトブロックの重みは1.0、上下左右に隣接する内部バックライトブロックの重みは0.5、斜め隣接の内部バックライトブロックの重みは0.25である。
【0120】
バックライト輝度制御部200は、内部表示領域ブロックにおける最大輝度値を選択し、その最大輝度値に所定の重みを乗算することによって、関連内部バックライトブロックそれぞれへの要求輝度値を決定する。そのため、内部バックライトブロックIB1からIB9それぞれへの要求輝度値は、図22に示す通りである。
【0121】
次に、バックライト輝度制御部200は、バックライトブロック401毎に、内部バックライトブロックの要求輝度値の平均値を算出する。図23は、図22に示す内部バックライトブロックの輝度を平均して得られる、バックライトブロックB1からB9それぞれの値481を示す。
【0122】
バックライトブロックB5は、内部バックライトブロックIB5、IB6、IB8及びIB9で構成されている。内部バックライトブロックIB1は、バックライトブロックB1に含まれる。内部バックライトブロックIB2及びIB3は、バックライトブロックB2に含まれる。内部バックライトブロックIB4及びIB7は、バックライトブロックB4に含まれる。例えば、バックライトブロックB5の値は、(1+0.5+0.5+0.25)/4=0.56である。
【0123】
次に、図24に示すように、バックライト輝度制御部200は、バックライトブロックそれぞれの値481を規格化する。具体的には、バックライト輝度制御部200は、内部表示領域ブロックの輝度値が対向するバックライトブロックの輝度値と一致する(図24において1となる)ように、バックライトブロックそれぞれの値を規格化する。バックライトブロックB1からB9の規格化された値482は、図24に示す通りである。
【0124】
図24に示すように、さらに、予め設定されている係数483と規格化された値482とを乗算して、内部表示領域ブロックから、バックライトブロックB1からB9それぞれへの、要求輝度値484を決定する。係数によって、周辺バックライトブロックのへの要求輝度値(重み)をより適切に算出できる。
【0125】
上記制御により、映像フレーム内の高階調画素の位置に近いバックライトブロックの輝度を大きく、遠いバックライトブロックの輝度を小さくすることができる。具体的には、図24に示すように、バックライトブロックB1、B2、B4の輝度が大きく、バックライトブロックB6、B8、B9の輝度が小さい。このように、本制御は、同一面内でのコントラストを上げることができる。また、画素単位で高階調の位置情報を取得する方法に比べ、回路規模を小さくすることができる。
【0126】
図25は、内部表示領域ブロックから、バックライトブロックそれぞれへの要求輝度値を決定する上記処理のフローチャートを示す。上述のように、バックライト輝度制御部200は、内部表示領域ブロックの輝度値に基づき、関連する内部バックライトブロックへの要求輝度値を決定する(S31)。上記例において、バックライト輝度制御部200は、内部表示領域ブロック内の最大輝度値と関連内部バックライトブロックそれぞれに対する予め設定された係数との積を、内部バックライトブロックへの要求輝度値と決定する。
【0127】
次に、バックライト輝度制御部200は、上記関連内部バックライトブロックを含むバックライトブロックそれぞれについて、内部バックライトブロックの要求輝度値の平均値を算出する(S32)。
【0128】
次に、バックライト輝度制御部200は、内部表示領域ブロックと対向するバックライトブロックの平均値が、内部表示領域ブロックの最大輝度値と一致するように、上記バックライトブロックそれぞれの値を規格化する(S33)。
【0129】
次に、バックライト輝度制御部200は、予め設定された係数によって上記規格化した値を補正して、内部表示領域ブロックからバックライトブロックそれぞれに対する要求輝度値と決定する(S34)。上記例において、バックライト輝度制御部200は、規格化された値と所定係数を乗算して、バックライトブロックそれぞれに対する要求輝度値を算出する。
【0130】
<実施形態3>
図26は、本明細書の一実施形態に係る表示装置の構成例を示す。以下において、図1に示す構成例との差異を主に説明する。液晶表示装置1は、映像信号供給源14A、14B、表示駆動ドライバ21A、21Bを含む。信号処理基板10は、映像信号処理回路12A及び12Bを含む。映像信号処理回路12Aは第1処理回路であり、映像信号処理回路12Bは第2処理回路である。この構成は、表示領域が高解像度であり、1つのICで駆動できる解像度を超えており、ICを複数個使い、表示領域を上下左右等に分割して駆動するような構成の場合に採用され得る。
【0131】
液晶表示パネル20は、隣り合った第1表示領域250A及び第2表示領域250Bを含む。映像信号処理回路12Aは、第1表示領域250Aに画像を表示するための信号及びバックライト30を制御する信号の生成といった、映像表示にかかる処理を行う。映像信号処理回路12Bは、第2表示領域250Bに画像を表示するための信号及びバックライト30を制御する信号の生成といった、映像表示にかかる処理を行う。映像信号供給源14Aは、映像信号処理回路12Aに映像信号を供給し、映像信号供給源14Bは、映像信号処理回路12Bに映像信号を供給する。
【0132】
表示駆動ドライバ21Aは、映像信号処理回路12Aから送信される映像信号からデータ信号を生成して第1表示領域250Aに供給する。表示駆動ドライバ21AB、映像信号処理回路12Bから送信される映像信号からデータ信号を生成して第2表示領域250Bに供給する。映像信号処理回路12Aは、表示駆動ドライバ21Aに対してもタイミング信号を送信し、表示駆動ドライバ21Aは、タイミング信号に従って、受信した映像信号からデータ信号を生成して、第1表示領域250Aに供給する。映像信号処理回路12AB、表示駆動ドライバ21Bに対してもタイミング信号を送信し、表示駆動ドライバ21Bは、タイミング信号に従って、受信した映像信号からデータ信号を生成して、第2表示領域250Bに供給する。
【0133】
映像信号処理回路12Aは、電源生成回路11から供給される電源を使用して、外部入力された映像信号を表示駆動ドライバ21Aに送信するためのデータ配列変換及びドライバ21A、22が動作するためのタイミング信号の生成及び送信を行う。映像信号処理回路12Aは、さらに、バックライト30を駆動制御するための駆動制御信号を生成し、バックライト駆動基板31に送信する。
【0134】
映像信号処理回路12Bは、電源生成回路11から供給される電源を使用して、外部入力された映像信号を表示駆動ドライバ21Bに送信するためのデータ配列変換及びドライバ21B、22が動作するためのタイミング信号の生成及び送信を行う。映像信号処理回路12Bは、さらに、バックライト30を駆動制御するための駆動制御信号を生成し、バックライト駆動基板31に送信する。
【0135】
バックライト駆動基板31はバックライト駆動回路を含み、映像信号処理回路12A、12Bから送信された駆動制御信号に応じて、バックライト30の点灯(輝度)を制御する。
【0136】
映像信号処理回路12A、12Bは、それぞれ、バックライト30のブロックそれぞれの輝度を制御するための駆動制御信号を生成し、バックライト駆動基板31に送信する。バックライト駆動基板31は、映像信号処理回路12A、12Bからの駆動制御信号が示すブロックそれぞれの輝度値においてブロックが発光するように、バックライト30の光源を駆動制御する。
【0137】
映像信号処理回路12Aは、入力された映像信号のタイミング信号に応じて、表示駆動ドライバ21A及び走査ドライバ22へのタイミング信号を生成すると共に、映像信号内の映像フレームそれぞれの信号(フレーム信号)を、順次表示駆動ドライバ21Aに送信する。映像信号処理回路12Bは、入力された映像信号のタイミング信号に応じて、表示駆動ドライバ21B及び走査ドライバ22へのタイミング信号を生成すると共に、映像信号内の映像フレームそれぞれの信号(フレーム信号)を、順次表示駆動ドライバ21Bに送信する。
【0138】
映像信号処理回路12Aは、映像フレームを分析し、その分析結果に基づいて、第1表示領域250Aを背面から照らすバックライト30への駆動制御信号を生成して送信する。映像信号処理回路12Bは、映像フレームを分析し、その分析結果に基づいて、第2表示領域250Bを背面から照らすバックライト30への駆動制御信号を生成して送信する。
【0139】
図27は、バックライト30の構成を模式的に示す。バックライト30は、左側の第1バックライト領域(BL領域)350Aと、右側の第2バックライト領域350Bで構成されている。第1バックライト領域350Aは、第1表示領域250Aの直下にある。第1バックライト領域350Aは、第1表示領域250Aの背面において第1表示領域250Aと対向し、第1表示領域250Aに光を照射する。第2バックライト領域350Bは、第2表示領域250Bの直下にある。第2バックライト領域350Bは、第2表示領域250Bの背面において第2表示領域250Bと対向し、第2表示領域250Bに光を照射する。
【0140】
第1バックライト領域350Aは、九つのバックライトブロック(第1バックライトブロック群)B1LからB9Lで構成されている。ここでは九つのバックライトブロックのケースにて説明するが、九つに限定するものではなく、N×M(N、Mは自然数)ブロックでも良い。第2バックライト領域350Bは、九つのバックライトブロック(第2バックライトブロック群)B1RからB9Rで構成されている。バックライトブロックB3L、B6L、B9Lは、第2バックライト領域350Bに隣接している。バックライトブロックB1R、B4R、B7Rは、第1バックライト領域350Aに隣接している。
【0141】
映像信号処理回路12Aは、第1表示領域250Aにおける表示領域ブロックから第2バックライト領域350Bのバックライトブロックへの要求輝度値の情報を、映像信号処理回路12Bに送信する。映像信号処理回路12Bは、第2表示領域250Bの表示ブロックからの要求輝度値及び映像信号処理回路12Aから受信した第1表示領域250Aの表示領域ブロックからの要求輝度値に基づいて、第2バックライト領域350Bの輝度を制御する。
【0142】
映像信号処理回路12Bは、第2表示領域250Bにおける表示領域ブロックから第1バックライト領域350Aのバックライトブロックへの要求輝度値の情報を、映像信号処理回路12Aに送信する。映像信号処理回路12Aは、第1表示領域250Aの表示ブロックからの要求輝度値及び映像信号処理回路12Bから受信した第2表示領域250Bの表示領域ブロックからの要求輝度値に基づいて、第1バックライト領域350Aの輝度を制御する。
【0143】
表示領域ブロックからバックライトブロックへの要求輝度値は、上記の他の実施形態において説明したように決定され得る。映像信号処理回路12A、12Bは、それぞれ、担当してない表示領域からの要求輝度値を、担当しているバックライト領域の輝度制御に反映することで、二つの表示領域250A、250Bの境界における不自然な輝度変化を抑制することができる。
【0144】
以下において、映像信号処理回路12A、12Bが間で表示ブロックからの要求輝度値の情報を通信し、一方の表示領域の要求輝度値を他方のバックライト領域の輝度制御に反映する例を説明する。上述のように、各バックライトブロックの輝度値は、そのバックライトブロック及び周囲の隣接する8つのバックライトブロックに対向する表示領域ブロックからの要求輝度値に基づき決定されるものとする。また、表示ブロックからの要求輝度値は、表示ブロック内の最大輝度の画素位置に応じて決まるものとする。
【0145】
図28は、第1バックライト領域350Aに対向する第1表示領域250Aからの要求輝度分布を示す。本例において、バックライトブロックB6Lに対向する表示領域ブロックD6Lのみが、発光する輝度を含む。表示領域ブロックD6Lにおいて、一つの画素のみが最大輝度値1を有し、他の画素の輝度値は0である。
【0146】
表示領域ブロックD6Lからの要求輝度分布355Aは、要求輝度値が与えられるバックライトブロック及び12bitの分解能(最大値が4095)で表された要求輝度値を示す。要求輝度値は、バックライトブロックB6L及びその周囲のバックライトブロックに与えられる。具体的には、それらは、バックライトブロックB2L、B3L、B1R、B5L、B6L、B4R、B8L、B9L、及びB7Rである。
【0147】
図29は、第2バックライト領域350Bに対向する第2表示領域250Bからの要求輝度分布を示す。本例において、バックライトブロックB1Rに対向する表示領域ブロックD1Rのみが、発光する輝度を含む。表示領域ブロックD1Rにおいて、一つの画素のみが最大輝度値1を有し、他の画素の輝度値は0である。
【0148】
表示領域ブロックD1Rからの要求輝度分布355Bは、要求輝度値が与えられるバックライトブロック及び12bitの分解能で表された要求輝度値を示す。要求輝度値は、バックライトブロックB1R及びその周囲のバックライトブロックに与えられる。具体的には、それらは、バックライトブロックB3L、B1R、B2R、B6L、B4R、及びB5Rである。
【0149】
図30は、第1表示領域250Aから第2バックライト領域350Bに対する要求輝度値を示す。第1表示領域250Aは、表示領域ブロックD1LからD9Lで構成されている。表示領域ブロックD1LからD9Lは、それぞれ、バックライトブロックB1LからB9Lに対応する。第2表示領域250Bに隣接する表示領域ブロックD3L、D6L、D9Lからの要求輝度値が、第2バックライト領域350Bに与えられる。
【0150】
図28を参照して説明したように、表示領域ブロックD6Lのみが、発光する画素を含む。従って、表示領域ブロックD3LからバックライトブロックB1R及びB4Rへの要求輝度値は0である。また、表示領域ブロックD9LからバックライトブロックB4R及びB7Rへの要求輝度値は0である。表示領域ブロックD6LからバックライトブロックB1R、B4R及びB7Rへの要求輝度値は、それぞれ、1147、3399及び2252である。
【0151】
図31は、第2表示領域250Bから第1バックライト領域350Aに対する要求輝度値を示す。第2表示領域250Bは、表示領域ブロックD1RからD9Rで構成されている。表示領域ブロックD1RからD9Rは、それぞれ、バックライトブロックB1RからB9Rに対応する。第1表示領域250Aに隣接する表示領域ブロックD3L、D6L、D9Lからの要求輝度値が、第2バックライト領域350Bに与えられる。
【0152】
図29を参照して説明したように、表示領域ブロックD1Rのみが、発光する画素を含む。従って、表示領域ブロックD4RからバックライトブロックB3L、B6L及びB9Lへの要求輝度値は0である。また、表示領域ブロックD7RからバックライトブロックB6L及びB9Lへの要求輝度値は0である。表示領域ブロックD1RからバックライトブロックB3L及びB6Lへの要求輝度値は、それぞれ、2048及び1351である。
【0153】
図32は、最終的なバックライトブロックの輝度分布を示す。映像信号処理回路12A12Bは、各バックライトブロックの輝度値を、最大要求輝度値に応じた値に決定する。第1バックライト領域350Aにおいて、バックライトブロックB3Lが、隣の第2表示領域250Bからの要求輝度値に応じた輝度値を有している。第2バックライト領域350Bにおいて、バックライトブロックB4R及びB7Rが、隣の第1表示領域250Aからの要求輝度値に応じた輝度値を有している。
【0154】
このように、映像信号処理回路は、他方の映像信号処理回路から表示ブロックの要求輝度値の情報を取得することで、制御対象のバックライトブロックの輝度値をより適切に制御して、二つの表示領域境界における輝度変化を抑制できる。
【0155】
図33は、映像信号処理回路12A、12B間で通信されるデータの例を示す。映像信号処理回路12Aは、クロック信号SCK1及び制御信号CS1を使用して、要求輝度値を示すデータ信号SDA1を映像信号処理回路12Bに送信する。映像信号処理回路12Bは、クロック信号SCK2及び制御信号CS2を使用して、要求輝度値を示すデータ信号SDA2を映像信号処理回路12Aに送信する。なお、一部の信号線を映像信号処理回路12A、12B間で共有して信号伝送線数を減らしてもよい。
【0156】
図34は、クロック信号SCK、データ信号SDA及び制御信号CSの波形の例を示す。データ信号SDAは、要求輝度値を与える元の表示ブロックバックライトブロックを示すアドレスと、要求輝度値とを示す。図34の例において、アドレスは6、要求輝度値は3399であり、16ビットで伝送されている。映像信号処理回路は、例えば、要求元表示領域ブロックのアドレスと、2又は3個の要求輝度値を順次送信してよい。
【0157】
なお、上記例において、表示領域及びバックライト領域が2分割され、分割された各領域を二つの映像信号処理回路が制御する。他の例において、表示領域及びバックライト領域の分割数及び映像信号処理回路の数は3以上であってもよい。隣接する表示領域及びバックライト領域を制御する映像信号処理回路の間で要求輝度値の情報が通信される。
【0158】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本開示の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0159】
1 液晶表示装置、12 映像信号処理回路、20 液晶表示パネル、30 バックライト、200 バックライト輝度制御部、250A、250B 表示領域、350A、350B バックライト領域、401 バックライトブロック、451、D1L-D9L、D1R-D9R 表示領域ブロック、471 内部表示領域ブロック、B1-B9、B1L-B9L、B1R-B9R バックライトブロック、IB1-IB9 内部バックライトブロック
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34