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特開2022-77012CO2-アルカリ系複合活性化による電気二重層キャパシタ用の活性炭及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077012
(43)【公開日】2022-05-20
(54)【発明の名称】CO2-アルカリ系複合活性化による電気二重層キャパシタ用の活性炭及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/336 20170101AFI20220513BHJP
   C01B 32/348 20170101ALI20220513BHJP
   H01G 11/34 20130101ALI20220513BHJP
   H01G 11/44 20130101ALI20220513BHJP
   H01G 11/86 20130101ALI20220513BHJP
【FI】
C01B32/336
C01B32/348
H01G11/34
H01G11/44
H01G11/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021181292
(22)【出願日】2021-11-05
(31)【優先権主張番号】10-2020-0149513
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】517323647
【氏名又は名称】パワー カーボン テクノロジー コー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム, ソン-ウク
(72)【発明者】
【氏名】パク, チャン-グン
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ジュン-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム, チョ-フィ
(72)【発明者】
【氏名】チャ, スン-ファン
【テーマコード(参考)】
4G146
5E078
【Fターム(参考)】
4G146AA06
4G146AB01
4G146AC04A
4G146AC04B
4G146AC05A
4G146AC06A
4G146AC09B
4G146AC19B
4G146AD11
4G146AD23
4G146AD24
4G146BA31
4G146BB03
4G146BB07
4G146BC03
4G146BC32B
4G146BC33B
4G146BC37B
4G146BD03
4G146BD10
4G146BD17
4G146BD18
4G146CA02
4G146CA16
4G146CB09
5E078AA14
5E078AB02
5E078BA13
5E078BA22
5E078BA65
5E078BA66
5E078BB06
5E078BB07
5E078BB14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、CO2-アルカリ系複合活性化による電気二重層キャパシタ用の活性炭及びその製造方法に関する。
【解決手段】本発明は、アルカリ系活性化剤と混合された炭素材料をCO2雰囲気下で700℃以上の温度で活性化させるCO2-アルカリ系複合活性化工程を含んでいる。本発明によると、アルカリ活性化(化学的活性化)とCO2活性化(物理的活性化)を同時に行うCO2-アルカリ複合活性化により、マイクロ細孔(micro pore)とメソ細孔(meso pore)が同時に発達して電気二重層キャパシタの電気的特性が向上する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ系活性化剤と混合された炭素材料がCO2雰囲気下で活性化され、マイクロ細孔(micro pore)とメソ細孔(meso pore)を含むことを特徴とする電気二重層キャパシタ用の活性炭。
【請求項2】
請求項1において、
前記活性炭の全細孔体積の中で、細孔の大きさが2nm以下のマイクロ細孔(micro pore)は、30体積%以上であり、細孔の大きさが2nmを超え、50nm以下のメソ細孔(meso pore)は、10体積%以上であることを特徴とする電気二重層キャパシタ用の活性炭。
【請求項3】
アルカリ系活性化剤と混合された炭素材料をCO2雰囲気下で700℃以上の温度で活性化させるCO2-アルカリ系複合活性化工程を含むことを特徴とする電気二重層キャパシタ用の活性炭の製造方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記活性化工程により得られた活性炭を600~900℃で10分~60分間熱処理する熱処理工程をさらに含むことを特徴とする電気二重層キャパシタ用の活性炭の製造方法。
【請求項5】
請求項3において、
前記アルカリ系活性化剤として、水酸化カリウム(KOH)と水酸化ナトリウム(NaOH)を2~8:8~2の重量比で混合して使用することを特徴とする電気二重層キャパシタ用の活性炭の製造方法。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CO2-アルカリ系複合活性化による電気二重層キャパシタ用の活性炭及びその製造方法に関し、より詳細には、アルカリ活性化(化学的活性化)とCO2活性化(物理的活性化)を同時に行うことにより、マイクロ細孔(micro pore)とメソ細孔(meso pore)が同時に発達して電気二重層キャパシタの電気的特性を向上させることができる、CO2-アルカリ系複合活性化による電気二重層キャパシタ用の活性炭及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気二重層キャパシタ(EDLC; Electric Double Layer Capacitor)は、一般的なバッテリーに比べてエネルギー密度が高く、単位体積当たりの容量が大きく、急激な充/放電が可能である。これにより、電気二重層キャパシタ(EDLC)は、PCなどのメモリーバックアップ小型電源としてはもちろん、電気自動車やハイブリッド車などの電源として使用され、多くの分野での需要が高い。
【0003】
一般的に、電気二重層キャパシタ(EDLC)は、電極活物質として活性炭(activated carbon)が用いられる。活性炭は、比表面積が高くて電気二重層キャパシタ(EDLC)の電極材料として有用である。電気二重層キャパシタ(EDLC)の容量は、電気二重層に蓄積されている電荷量に応じて定められ、その電荷量は、電極の比表面積が大きいほど増加している。すなわち、活性炭は多孔質構造により高い比表面積を持つので、電気二重層キャパシタ(EDLC)の容量とエネルギー密度を向上させる。
【0004】
活性炭は、植物系や石油系などの原料(炭素前駆体)を高温で炭化させた炭素材料を得た後、これを多孔質構造に活性化して製造されている。このとき、活性化は、主に炭素材料に水酸化ナトリウム(NaOH)などのアルカリ系活性化剤を混合した後、不活性ガス雰囲気中で加熱する方法(化学的活性化)により行われる。このような活性化の過程でアルカリ金属が炭素結晶層との間に侵入し、反応して活性炭の細孔構造を形成させる。例えば、日本公開特許2009-260177号及び日本公開特許2010-245482号等には、これと関連する技術が提示されている。
【0005】
活性炭の細孔構造、例えば、細孔の大きさおよび細孔の分布度(体積分率)などは、電気二重層キャパシタ(EDLC)の電気的特性に重要な因子として作用する。細孔の大きさや分布度などに応じて活性炭の比表面積や密度などが変わって、電気二重層キャパシタ(EDLC)の容量、抵抗、エネルギー密度および出力特性などの電気的特性が異なることがある。従来の活性化方法では、細孔の構造が限定されて良好な電気的特性を実現するのは難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】日本公開特許2009-260177号
【特許文献2】日本公開特許2010-245482号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、活性炭の細孔構造(細孔の大きさや分布度など)が改善されて電気二重層キャパシタ(EDLC)の電気的特性を向上させることができる電気二重層キャパシタ用の活性炭及びその製造方法を提供することである。
【0008】
具体的には、本発明の目的は、化学的方法と物理的方法の複合活性化を単一工程で同時に行うことにより、活性化工程が単純化され、マイクロ細孔(micro pore)とメソ細孔(meso pore)が同時に発達して電気二重層キャパシタ(EDLC)の電気的特性を向上させることができる電気二重層キャパシタ用の活性炭及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は、アルカリ系活性化剤と混合された炭素材料がCO2雰囲気下で活性化され、マイクロ細孔(micro pore)とメソ細孔(meso pore)を含む電気二重層キャパシタ用の活性炭を提供する。好ましい実施形態によれば、前記活性炭は、活性炭の全細孔体積の中で、細孔の大きさが2nm以下のマイクロ細孔は30体積%以上であり、細孔の大きさが2nmを超えて50nm以下のメソ細孔は10体積%以上である。
【0010】
また、本発明は、アルカリ系活性化剤と混合された炭素材料をCO2雰囲気下で700℃以上の温度で活性化して、アルカリ活性化とCO2の活性化を同時に行う活性化工程を含む電気二重層キャパシタ用の活性炭の製造方法を提供する。好ましい実施形態によれば、前記製造方法は、活性化工程を経て得られた活性炭を600~900℃で10分~60分間熱処理する熱処理工程をさらに含んでいる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、化学的活性化と物理的活性化が単一の工程で同時に行われるので、活性化工程が単純化され、マイクロ細孔(micro pore)とメソ細孔(meso pore)が同時に発達する効果を持つ。これにより、マイクロ細孔(micro pore)とメソ細孔(meso pore)の両方が高い分布率(体積%)を有して、高比表面積、低抵抗および適切な電極密度などにより電気二重層キャパシタ(EDLC)の電気的特性が改善される効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において用いられる用語「および/または」は、前後に記載した構成要素のうち少なくとも1つを含む意味として用いられる。本発明で用いられる用語「一以上」は、一つ又は二つ以上の複数を意味する。
【0013】
本発明は、アルカリ系活性化剤と混合された炭素材料がCO2雰囲気下で活性化された電気二重層キャパシタ用の活性炭を提供する。本発明に係る電気二重層キャパシタ用の活性炭は、アルカリ系活性化剤による化学的活性化とCO2による物理的活性化が同時に行われて、マイクロ細孔(micro pore)とメソ細孔(meso pore)が同時に発達した細孔構造を持つ。
【0014】
本発明においては、マイクロ細孔(micro pore)は、活性炭に存在する細孔の大きさ(直径)が2nm(ナノメートル)以下であるもの(つまり、直径≦2nm)を意味し、メソ細孔(meso pore)は、活性炭に存在する細孔の大きさ(直径)が2nmを超えて50nm以下であるもの(つまり、2nm<直径≦50nm)を意味する。また、マクロ細孔(macro pore)は、活性炭に存在する細孔の大きさ(直径)が50nmを超えたもの(つまり、直径>50nm)を意味する。
【0015】
本発明に係る電気二重層キャパシタ用の活性炭は、CO2-アルカリ系複合活性化によってマイクロ細孔とメソ細孔を同時に含み、適正の細孔分布度(細孔の体積分率)を有している。本発明に係る電気二重層キャパシタ用の活性炭は、活性炭の全細孔体積の中で、マイクロ細孔を30体積%以上有し、メソ細孔を10体積%以上有することができる。具体的な例として、マイクロ細孔を約30~80体積%有し、メソ細孔を約10~30体積%有することができる。そして、残りの細孔体積を、マクロ細孔(macro pore)で占めることができる。このように、マイクロ細孔とメソ細孔を適正範囲の体積分率で有する場合には、高い比表面積、低抵抗および適切な電極密度などにより電気二重層キャパシタ(EDLC)の電気的特性が向上することができる。
【0016】
また、本発明に係る電気二重層キャパシタ用の活性炭の製造方法は、アルカリ系活性化剤と混合された炭素材料をCO2雰囲気下で700℃以上の温度で活性化する活性化工程(CO2-アルカリ系複合活性化工程)を含んでいる。本発明に係る電気二重層キャパシタ用の活性炭の製造方法は、他の実施形態に応じて、前記CO2-アルカリ系複合活性化により得られた活性炭を熱処理する熱処理工程をさらに含むことができる。本発明に係る電気二重層キャパシタ用の活性炭の製造方法は、具体的な実施形態によれば、(1)炭素材料を準備する工程と、(2)前記炭素材料をCO2-アルカリ系複合活性化することにより活性炭を得る工程(活性化工程)と、(3)前記活性炭を洗浄し、乾燥させる洗浄/乾燥工程と、(4)前記洗浄/乾燥された活性炭を熱処理する熱処理工程と、を含んでいる。各工程別の例示的実施形態を説明すると、以下の通りである。
【0017】
(1) 炭素材料
まず、原料(炭素前駆体)を炭化させる。原料は特に制限されず、例えば、植物系(ヤシ殻など)、石油系および/または石炭系等から選択することができる。原料は、例えば、植物系としてヤシ殻から選択することができる。
【0018】
このような原料(ヤシチャコールなど)を、例えば、粒子状に切断してよく乾燥させた後、400℃~800℃の温度で炭化させる。より具体的には、500℃~700℃の温度で炭化させる。炭化時間は限定されない。炭化時間は炭化温度に応じて異なり、例えば、10分~24時間程度とすることができる。炭化は、具体的な例として、500℃~700℃の温度条件で30分~10時間行うことができる。このような炭化工程を通じて原料(ヤシ殻など)を炭化させながら原料中に存在する揮発成分などの不純物を除去する。
【0019】
また、前記炭化された炭素材料は、粉砕することができる。炭素材料を、例えば、50μm(マイクロメートル)以下の大きさに粉砕する。好ましくは、一定の大きさとして、0.1~20μm、より好ましくは、5~15μmの大きさに粉砕する。粉砕方法は、特に制限されず、例えば、ボールミル(ball mill)、回転ミル(rotary mill)、振動ミル(vibration mill)などを用いて、通常の方法で行うことができる。
【0020】
(2) 活性化工程
前記粉砕された炭素材料(例えば、炭化されたヤシ殻粉末)を多孔質構造に活性化させる。このとき、活性化は、本発明によってCO2-アルカリ系複合活性化により行われ、具体的にはアルカリ系活性化剤と炭素材料の混合物を二酸化炭素(CO2)の雰囲気下で、700℃以上の温度で熱処理して活性化する。
【0021】
より詳しくは、前記粉砕された炭素材料をアルカリ系活性化剤と混合し、前記アルカリ系活性化剤と混合された炭素材料を窒素(N2)とCO2とが存在する密閉容器(チャンバーなど)において高温でアルカリ活性化(化学的活性化)とCO2活性化(物理的活性化)を単一の工程で進行させる。ここで、単一の工程とは、アルカリ活性化(化学的活性化)とCO2活性化(物理的活性化)を別々に行わず、一つの容器(チャンバーなど)内で同時に行うことを意味する。このような活性化工程では、アルカリ活性化(化学的活性化)によって、マイクロ細孔がよく発達し、CO2活性化(物理的活性化)によってメソ細孔がよく発達する。
【0022】
前記CO2-アルカリ系複合活性化は、700℃以上の温度で行われる。このとき、温度が700℃未満で低すぎると、例えば、CO2による物理的な活性化が望ましくない場合がある。また、活性化温度が高すぎる場合には、細孔体積分率が低くなることがある。このような点を考慮すると、活性化は、700℃~1200℃の温度で行われることが良い。活性化は、上述したような温度範囲で30分~3時間、行うことができる。
【0023】
前記アルカリ系活性化剤は、例えば、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)および/または水酸化カルシウム(Ca(OH)2)などを使用することができる。炭素材料とアルカリ系活性化剤の混合割合は、特に限定されることはないが、例えば、1:0.1~10の重量比(すなわち、粉砕された炭素材料:アルカリ系活性化剤=1:0.1~10の重量比)で混合して活性化させることができる。より詳しくは、炭素材料とアルカリ系活性化剤を1:0.2~5の重量比で混合して活性化させることができる。また、前記アルカリ系活性化剤としては、水酸化カリウム(KOH)と水酸化ナトリウム(NaOH)とを混合し、前記水酸化カリウム(KOH)と水酸化ナトリウム(NaOH)を2~8:8~2の重量比で混合して使用するのが良い。
【0024】
このようなCO2-アルカリ複合活性化によって、マイクロ細孔とメソ細孔とを同時に発達させることができ、活性炭の全細孔体積の中で、マイクロ細孔を30体積%以上、メソ細孔を10体積%以上有することができる。このような体積分率は、活性化温度、活性化時間、アルカリ活性剤との混合比および/またはCO2の注入流量などを適切に制御して調節することができる。
【0025】
前記活性化工程において、CO2は、容器(チャンバーなど)内に連続的に注入して、2~16L/minの流量で注入することができる。CO2は、好ましくは、6~12L/minの流量で注入することがよい。CO2を6~12L/minの流量で注入する場合には、比表面積および静電容量などを改善できる。また、CO2は不活性ガス(N2など)と混合し注入することができる。
【0026】
(3) 洗浄/乾燥工程
前記CO2-アルカリ系複合活性化により得られた活性炭を洗浄して乾燥させる。
洗浄工程は、活性炭に存在する不純物を除去するために行う。洗浄工程は、例えば、アルカリ洗浄や酸洗浄などから選択された一つ、またはそれらを並行して行うことから選択できる。洗浄工程は、アルカリ洗浄と酸洗浄を並行して行うことが良い。また、洗浄工程は、前記活性化工程でアルカリ系活性化剤としてKOHなどの金属化合物を使用する場合は、原料に存在する不純物の除去とともに、前記アルカリ金属化合物(KOHなど)などが除去されるように、少なくとも酸洗浄を含むことが望ましい。この時、酸洗浄液としては、例えば、塩酸や硫酸などの酸水溶液を使用することができる。
【0027】
このように洗浄を行った後は、乾燥により活性炭に存在する水分を除去する。乾燥方法は、特に制限されず、例えば、熱風乾燥または自然乾燥を行うことができる。
【0028】
(4) 熱処理工程
次に、前記洗浄及び乾燥された活性炭を熱処理する。すなわち、前記洗浄及び乾燥された活性炭を特定の条件で熱処理する熱処理工程を行う。
【0029】
本発明の実施形態によると、活性炭を製造することにおいて、炭素材料について、上述したようにCO2-アルカリ系複合活性化を進めた後、熱処理を行った場合には、表面の酸素濃度が制御されることによって、副反応(ガスの発生など)を最小限に抑え、優れた電気伝導性を持たせることができる。具体的には、前記活性化された活性炭を洗浄して乾燥させた後、600~900℃で10分~60分間熱処理する。このような熱処理は、例えば、窒素(N2)やアルゴン(Ar)ガスの等の不活性ガス雰囲気中で進行することができる。このような熱処理により活性炭表面の酸素が除去されて電気導電性が改善できる。
【0030】
本発明によれば、上述したように、CO2-アルカリ系複合活性化とともに、特定の温度範囲で熱処理された場合には、高い比表面積とともに、特に優れた電気伝導性を有する活性炭を製造することができる。そして、上述したように製造された活性炭は、抵抗特性が優れ、電気二重層キャパシタ(EDLC)電極用活性炭組成物(スラリー)における製造時の導電材の含有量を下げることができ、その分活性炭の含有量を増加させることができ、さらに高い静電容量を持たせることができる。これにより、電気二重層キャパシタ(EDLC)電極に適用する場合には、高出力および/または長期信頼性などを付与できる。
【0031】
このように熱処理を行った後、本発明の例示的な形態に応じて分級工程をさらに進めることができる。分級工程は、前記熱処理された活性炭を分級して60μm以下のサイズの活性炭を選別するために行われ、これは熱処理された活性炭を、例えば、ふるい(sieve)に通過させて60μmを超える粒子を除去する方法により行うことができる。
【0032】
より詳しくは、0.1~60μmの活性炭を選別して得ることができる。このような分級工程を経て、好ましくは、20μm以下、より好ましくは、10μm以下の活性炭を最終製品として得ることができる。具体的な実施形態によれば、分級工程を経て0.5μm~10μmの一定の大きさの活性炭を最終製品として得ることができる。そして、このような活性炭は、電気二重層キャパシタ(EDLC)の電極材料(正極および負極活物質)として使用される。
【0033】
以下、本発明の実施例を例示する。下記の実施例は、本発明の理解を助けるようにするために提供されるものであり、これにより本発明の技術的範囲が限定されることではない。
【0034】
[実施例1~3]
まず、ヤシ殻を原料とし、炭化および粉砕されたヤシ殻炭素材料を準備した。前記炭素材料とアルカリ系活性化剤を1:1重量比で混合した。このとき、アルカリ系活性化剤としてKOHとNaOHを使用し、各実施例に応じてKOH:NaOHを10:0~0:10の重量比で混合して使用した。その後、前記の混合物をチャンバ内に投入し、CO2雰囲気下、800℃で化学的活性化と物理的活性化を同時に行った。CO2は、チャンバ内にN2とともに4L/minの流量で注入した。そして、活性化により得られた活性炭について、酸洗浄と水洗を行った後、乾燥させた。次に、前記乾燥された活性炭を840℃で熱処理して、各実施例に係る活性炭試片を製造した。

【表1】
【0035】
前記表1に示したように、炭素材料とアルカリ系活性化剤の重量比を1:1で固定し、KOH:NaOHの重量比をそれぞれ変化させたとき、KOH:NaOHの適切な混合比においてメソ細孔率および静電容量の向上を確認できた。特に、KOHは比表面積に大きな影響を与えることを確認することができ、NaOHはメソ細孔の確保に影響を与えることを確認できた。しかしながら、NaOHのみ投入した場合、メソ細孔率と静電容量に悪影響を与えることを確認できた。
【0036】
[実施例4~6]
前記実施例2と同様に実施したが、炭素材料とアルカリ系活性剤の重量比を1:1.2~1.8に増加させて混合した。その後、実施例2と同じ方法で、各実施例に係る活性炭試片を製造した。

【表2】
【0037】
表2に示したように、炭素材料とアルカリ系活性化剤の重量比を1:1.8まで増加させた場合には、比表面積および静電容量で優れた特性を示すことが確認できた。しかしながら、重量比が増加するにつれてメソ細孔率は減少していることが確認できた。
【0038】
[実施例7~11]
前記実施例6と同様に実施したが、CO2-アルカリ系複合活性化工程時のCO2の流量を2~16L/minまで変化させて活性化させた。その後、実施例6と同様の方法で、各実施例に係る活性炭試片を製造した。

【表3】
【0039】
表3に示すように、CO2-アルカリ系複合活性化工程でCO2の流量を増加させた結果、8L/minで、優れた比表面積、メソ細孔率および静電容量を持つことを確認できた。
【0040】
以上の実施例により分かるように、KOHとNaOHのアルカリ系活性化剤は、単一の材料を使用する場合よりも、一定の割合で混合して使用する場合に、優れた特性の活性炭を製造できることを確認できた。また、アルカリ系活性化剤の重量比が増加するほど比表面積が大きくなり、メソ細孔率は低くなるが、静電容量では優れた特性を持ち得ることを確認できた。さらに、CO2とアルカリ系活性化剤の複合活性化を行うことにおいて、CO2の流量に応じて電気的特性が異なり、約6~12L/minのCO2流量で良好な結果を示すことが確認できた。したがって、本発明によれば、各材料の混合比とCO2流量の調節により高い性能の活性炭を提供することができ、これは産業上の技術的価値が非常に大きい。