(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077017
(43)【公開日】2022-05-20
(54)【発明の名称】少なくとも1つの接触器を操作するための操作機構
(51)【国際特許分類】
H01H 33/40 20060101AFI20220513BHJP
【FI】
H01H33/40 D
H01H33/40 C
H01H33/40 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021182324
(22)【出願日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】2017721.8
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】518042280
【氏名又は名称】イートン インテリジェント パワー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Eaton Intelligent Power Limited
【住所又は居所原語表記】30 Pembroke Road, Dublin 4 D04 Y0C2, Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト ポストマス
【テーマコード(参考)】
5G028
【Fターム(参考)】
5G028AA17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】開放移動での接触器のいかなる跳ね返りも打ち消される操作機構を提供する。
【解決手段】操作機構は、操作ロッドと、操作ロッドを開放位置に付勢する接触ばねと、2つのリンクのロッド機構と、中間ヒンジに配置されたカムフォロアと、カムシャフト上に配置されたカムと、カムフォロアが閉鎖区域の端部でカムに当接する回転位置で、シャフトをロックするためのカムシャフトロックと、カムフォロアが閉鎖区域を開放区域に向かって走行するときに弛緩する閉鎖ばねであって、閉鎖ばねはカムシャフトがロック位置にあるときにプリテンションを有し、開放区域のプロファイルは、操作ロッドが閉鎖位置から開放位置に向かって移動するときに、カムフォロアが開放区域のプロファイルに従うように設計され、開放部のプロファイルは、操作ロッドが閉鎖位置から開放位置に向かって移動するときに、カムフォロアが開放部のプロファイルに従うように設計されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空遮断器などの少なくとも1つの接触器を操作するための操作機構(1)であって、前記操作機構(1)は、
-ベースフレーム(2)と、
-少なくとも1つの接触器との接続のために、前記ベースフレーム(2)内で直線的にガイドされる操作ロッド(3)であって、閉鎖位置および開放位置を有する、操作ロッド(3)と、
-前記操作ロッド(3)を前記開放位置に付勢するための接触ばね(4)と、
-2つのリンク(5、6)のロッド機構であって、各々は、第1の端部および第2の端部を有し、前記第1の端部は、中間ヒンジで互いにヒンジで固定されており、一方のリンク(6)の前記第2の端部は、前記ベースフレーム(2)にヒンジで固定されており、他方のリンクの前記第2の端部は、前記操作ロッド(3)にヒンジで固定されている、2つのリンク(5、6)のロッド機構と、
-前記ロッド機構(5、6)の前記中間ヒンジに配置されたカムフォロア(7)と、
-カムシャフト(8)上に配置されたカム(9)であって、前記カム(9)は、前記カムフォロア(7)に当接し、前記カム(9)は、回転方向に、閉鎖区域(12)、開放区域(13)、およびアイドル区域(14)を備えるプロファイルを有する、カム(9)と、
-前記カムフォロア(7)が前記閉鎖区域(12)の端部で前記カム(9)に当接する回転位置で、前記シャフト(8)をロックするためのカムシャフトロックと、
-前記カムシャフト(8)に配置されたクランク(10)と、前記ベースフレーム(2)との間に配置された閉鎖ばね(11)であって、前記閉鎖ばね(11)は、前記カムフォロア(7)が前記閉鎖区域(12)を前記開放区域(13)に向かって走行するときに、弛緩し、前記閉鎖ばね(11)は、前記カムシャフト(8)がロック位置にあるときに、プリテンションを有する、閉鎖ばね(11)と、を含み、
前記開放区域(13)のプロファイルは、前記操作ロッド(3)が前記閉鎖位置から前記開放位置に向かって移動するときに、前記カムフォロア(7)が前記開放区域(13)の前記プロファイルに従うように設計されていることを特徴とする、操作機構(1)。
【請求項2】
前記閉鎖ばね(11)は、少なくとも、前記操作ロッド(3)が前記閉鎖位置から前記開放位置に移動するときに、前記カム(9)を前記カムフォロア(7)と接触させるように付勢するようにプレテンションがかけられている、請求項1に記載の操作機構(1)。
【請求項3】
前記カムフォロア(7)の経路は、前記カムフォロア(7)が、前記閉鎖区域(12)から前記開放区域(13)への移行部で前記カム(9)に接触するときに、前記開放区域(13)と一致するか、または部分的に交差する、請求項1または2に記載の操作機構(1)。
【請求項4】
前記カムフォロア(7)は、前記操作ロッド(3)が、前記閉鎖位置から前記開放位置に移動するときに、前記カム(9)を逆回転方向に付勢する、先行請求項のいずれか一項に記載の操作機構(1)。
【請求項5】
前記開放区域(13)の前記プロファイルは、上に凹状である、先行請求項のいずれか一項に記載の操作機構(1)。
【請求項6】
前記閉鎖区域(12)および前記アイドル区域(14)の前記プロファイルは、下に凹状である、請求項5に記載の操作機構(1)。
【請求項7】
真空遮断器などの少なくとも1つの接触器を操作するための方法であって、
-先行請求項のいずれか一項に記載の操作機構(1)を提供することと、
-カムシャフト(8)を回転させることであって、カム(9)の閉鎖区域(12)は、カムフォロア(7)に接触し、前記カムフォロア(7)を前記カムシャフト(8)から離れるように押し出し、その結果、操作ロッド(3)は、閉鎖位置に移動し、閉鎖ばね(11)の張力は、第1のプリセット張力まで解放されるようになる、カムシャフト(8)を回転させることと、
-前記カムシャフト(8)をカムシャフトロックでロックすることと、
-前記カムシャフト(8)を解放し、前記閉鎖ばね(11)の前記第1のプリセット張力で前記カムシャフト(11)をさらに回転させることであって、前記カムフォロア(7)は、前記カム(9)の開放区域に到達する、前記カムシャフト(8)を解放することと、
-前記カムフォロア(7)と前記カム(9)との間の接触を維持しながら、接触ばね(4)が前記操作ロッド(3)を開放位置に向かって移動させることを可能にすることと、
-前記操作ロッド(3)が前記開放位置にあるときに、前記カムシャフト(8)をさらに回転させて、前記閉鎖ばね(11)にプレテンションをかけ、アイドル区域(14)から前記閉鎖区域(10)への移行部が前記カムフォロア(7)と接触するように、前記カム(9)を位置付けることと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空遮断器などの少なくとも1つの接触器を操作するための操作機構であって、
-ベースフレームと、
-少なくとも1つの接触器との接続のために、ベースフレーム内で直線的にガイドされる操作ロッドであって、閉鎖位置および開放位置を有する、操作ロッドと、
-操作ロッドを開放位置に付勢するための接触ばねと、
-2つのリンクのロッド機構であって、各々は、第1の端部および第2の端部を有し、第1の端部は、中間ヒンジで互いにヒンジで固定されており、一方のリンクの第2の端部は、ベースフレームにヒンジで固定されており、他方のリンクの第2の端部は、操作ロッドにヒンジで固定されている、2つのリンクのロッド機構と、
-ロッド機構の中間ヒンジに配置されたカムフォロアと、
-カムシャフト上に配置されたカムであって、カムは、カムフォロアに当接し、カムは、回転方向に、閉鎖区域、開放区域、およびアイドル区域を備えるプロファイルを有する、カムと、
-カムフォロアが閉鎖区域の端部でカムに隣接する回転位置で、シャフトをロックするためのカムシャフトロックと、
-カムシャフトに配置されたクランクとベースフレームとの間に配置された閉鎖ばねであって、閉鎖ばねは、カムフォロアが閉鎖区域を開放区域に向かって走行するときに、弛緩し、閉鎖ばねは、カムシャフトがロック位置にあるときに、プリテンションを有する、閉鎖ばねと、を含む、操作機構に関する。
【0002】
このような操作機構により、接触器を素早く閉鎖および開放することができる。閉鎖ばねは、接触ばねに対して反力を提供するのを助け、その結果、カムシャフトを迅速に回転させることができ、接触器を十分に短い時間内に閉鎖することができる。
【0003】
接触器を開放するために、接触ばねが接触器を押し開き、操作ロッドを開放位置に引き寄せるように、カムシャフトが解放される。接触器を十分に素早く開放するために、接触ばねの強度を高めることができる。しかしながら、これは、閉鎖位置から開放位置に移動するとき、操作ロッドのかなりの加速度、およびしたがって速度をもたらす。
【0004】
操作ロッドが高速で開放位置に到達すると、操作ロッドが跳ね返り、接触器が再び互いに向かって移動するため、望ましくないスパークが発生する可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、上述の不利な点を低減するか、または除去さえすることである。
【0006】
この目的は、開放区域のプロファイルが、操作ロッドが閉鎖位置から開放位置に向かって移動するときに、カムフォロアが開放区域のプロファイルに従うように設計されることを特徴とする、プリアンブルによる操作機構によって達成される。
【0007】
本発明による操作機構により、操作ロッドの開放移動、およびしたがってカムフォロアの移動が制御される。これにより、いかなる望ましくない移動も直接打ち消すことができる。この目的のために、閉鎖ばねが設けられる。操作ロッドの跳ね返りによって、カムフォロアが反対方向に移動する場合、カムもまた、逆回転するように付勢される。この逆回転により、閉鎖ばねに張力がかかり、これにより、操作ロッドの跳ね返り効果が減衰する。
【0008】
本発明による操作機構の一実施形態では、閉鎖ばねは、少なくとも、操作ロッドが閉鎖位置から開放位置に向かって移動するときに、カムをカムフォロアと接触させるようにプレテンションがかけられている。
【0009】
閉鎖ばねのプリテンションは、クランク、およびしたがってカムシャフトを付勢して、回転させ、操作ロッドの開放移動中に、開放プロファイルを備えるカムをカムフォロアと接触させる。
【0010】
本発明による操作機構の好ましい実施形態では、カムフォロアの経路は、カムフォロアが、閉鎖区域および開放区域からの移行部でカムに接触するとき、開放区域と一致するか、または部分的に交差する。
【0011】
これは、操作ロッドが閉鎖位置から開放位置に向かって移動し始めた時点で、カムフォロアが、開放区域に沿って自由に移動することができるか、または、経路が開放区域と部分的に交差する場合は、カムを、閉鎖ばねの張力に逆らって逆回転にわずかに押す必要があることを確実にする。これにより、開放移動中にカムフォロアとカムとの間の確実な接触が保証され、接触器のいかなる跳ね返りも打ち消される。
【0012】
本発明による操作機構の別の実施形態では、カムフォロアは、操作ロッドが閉鎖位置から開放位置に移動するときに、カムを逆回転方向に付勢する。
【0013】
閉鎖ばねが、クランクに、およびしたがってカムシャフトを介してカムに作用するため、操作ロッドの開放移動に対向する力が存在し、これにより、いかなる望ましくない移動も減衰される。
【0014】
本発明による操作機構の好ましい実施形態では、開放区域のプロファイルは、上に凹状である。好ましくは、閉鎖区域およびアイドル区域のプロファイルは、下に凹状である。
【0015】
関数のグラフがある区域の各点で接線より上にある場合、プロファイルは、その区域で上に凹状であると言われる。関数のグラフがある区域の各点で接線より下にある場合、プロファイルは、その区域で下に凹状であると言われる。
【0016】
カムフォロアの移動は、円形の経路に沿っているため、カムフォロアが閉鎖区域から開放区域への移行部に到達すると、カムフォロアは、自由に動くことができる。上に凹状である開放区域は、カムシャフトのいかなる実質的な回転を伴わずに、カムフォロアが、多かれ少なかれ自由に移動することを可能にする。これにより、制御された開放移動が可能になる。
【0017】
本発明はまた、真空遮断器などの少なくとも1つの接触器を操作するための方法であって、
-本発明による操作機構を提供するステップと、
-カムシャフトを回転させるステップであって、カムの閉鎖区域は、カムフォロアに接触し、カムフォロアをカムシャフトから離れるように押し出し、その結果、操作ロッドは、閉鎖位置に移動し、閉鎖ばねの張力は、第1のプリセット張力まで解放されるようになる、カムシャフトを回転させるステップと、
-カムシャフトをカムシャフトロックでロックするステップと、
-カムシャフトを解放し、閉鎖ばねの第1のプリセット張力でカムシャフトをさらに回転させるステップであって、カムフォロアは、カムの開放区域に到達する、カムシャフトを解放するステップと、
-カムフォロアとカムとの間の接触を維持しながら、接触ばねが操作ロッドを開放位置に向かって移動させることを可能にするステップと、
-操作ロッドが開放位置にあるときに、カムシャフトをさらに回転させて、閉鎖ばねにプレテンションをかけ、アイドル区域から閉鎖区域への移行部がカムフォロアと接触するように、カムを位置付けるステップと、を含む、方法に関する。
【0018】
本発明のこれらおよび他の特徴を、添付の図面と併せて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明による操作機構の一実施形態の斜視図を示す。
【
図2】閉鎖位置での
図1の実施形態の概略図を示す。
【
図4】異なる位置での
図1の実施形態の概略図を示す。
【
図5】異なる位置での
図1の実施形態の概略図を示す。
【
図6】異なる位置での
図1の実施形態の概略図を示す。
【0020】
図1は、本発明による操作機構1の実施形態の斜視図を示す。操作機構1は、3つの接触器を同時に操作するための操作ロッドまたはブリッジ3を備えたベースフレーム2を有し、3つの接触器は、各々が接触ばね4を備える。
【0021】
2つのリンク5、6からなるロッド機構は、ベースフレーム2とブリッジ3との間に配置されて設けられている。カムフォロア7は、相互ヒンジで、2つのリンク5、6の間に設けられている。
【0022】
カムシャフト8は、ベースフレーム2内に回転可能に配置されている。カム9は、カムシャフト8上に配置されており、カム9は、カムフォロア7と接触している。カムシャフト8は、一端に、クランク10を有し、クランクには、閉鎖ばね11が配置されている。
【0023】
図2は、
図1の操作機構1の概略図を示す。カムシャフト8を回転させることにより、カム9は、カムフォロア7を押し、その結果、リンク5、6が「伸張し」、ブリッジ3が下に移動して、1つ以上の接触器を閉鎖するようになる。
【0024】
図3は、カム9を詳細に示す。カム9の外側プロファイルは、3つの区域、すなわち、閉鎖区域12、開放区域13、およびアイドル区域14を有する。
【0025】
図4は、閉鎖位置にある操作機構1を示しており、カムフォロア7は、閉鎖プロファイル10の端部でカム9に接触する。この位置で、カムシャフト8は、カムシャフトロックによってロックされる。
【0026】
短絡などの結果として接触器を開放する必要がある場合、カムシャフトロックは、解放され、閉鎖ばね11は、ある程度の残留張力がかかっており、クランク10が閉鎖ばね11とまだ位置合わせされていないため(
図7に示されるように)、カムシャフト8は、
図5に示されるように、カムフォロア7が閉鎖区域12および開放区域13の移行部を通過する位置に、回転される。
【0027】
この時点で、カムフォロア7は、
図6に示されるように、その経路に沿って、およびプロファイルの、上に凹状の開放区域に沿って自由に移動することができる。
【0028】
ブリッジ3が跳ね返るとき、カムフォロア7は、カム9の、上に凹状の開放区域13によって保留される。閉鎖ばねに張力をかける、カムシャフト8の反対方向への回転によってのみ、カムフォロア7およびブリッジ3の後方への移動が可能になるが、これは、望ましくない移動を減衰させる。
【0029】
開放移動が完了した後、カムシャフト8をさらに回転させることができ、カムフォロア7は、アイドル区域14上を転がり、カムフォロア7の変位を与えないが、閉鎖ばね11に最大限に張力をかけ、その結果、カムシャフトが
図2に示される位置に回転されるときに、閉鎖ばね11は、閉鎖移動を引き起こすことができる。
【外国語明細書】