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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077044
(43)【公開日】2022-05-23
(54)【発明の名称】隔膜電極ケース及び隔膜電極構造体
(51)【国際特許分類】
   C25D 17/00 20060101AFI20220516BHJP
   C25D 13/00 20060101ALI20220516BHJP
   C25D 21/00 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
C25D17/00 H
C25D13/00 305Z
C25D21/00 J
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020187654
(22)【出願日】2020-11-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】518335388
【氏名又は名称】有限会社サンコーテクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100119297
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 正男
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 平和
(72)【発明者】
【氏名】進藤 睦雄
(57)【要約】      (修正有)
【課題】単一の隔膜電極構造体でメッキ槽中の2つのワークに対応できる隔膜電極構造体を提供する。
【解決手段】電極を収容するフランジ部を有する筐体の表裏のパネルに開口部を備え、前記電極を挟んで鉛直方向に表裏が対称形状に構成されているケース本体110と、前記筐体の表裏のパネルに重合される隔膜130と、前記開口部を塞ぐことなく前記隔膜を押圧する押え枠140と、前記開口部を塞ぐことなく前記パネルと前記隔膜との間に介装される弾性パッキング材120と、前記ケース本体と、前記隔膜と、前記押え枠と、前記弾性パッキング材とを連通し圧着させる締付具141とを備えた隔膜電極ケース100を提供する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極を収容するフランジ部を有する筐体の表裏のパネルに開口部を備え、前記電極を挟んで鉛直方向に表裏が対称形状に構成されているケース本体と、
前記筐体の表裏のパネルに重合される隔膜と、
前記開口部を塞ぐことなく前記隔膜を押圧する押え枠と、
前記開口部を塞ぐことなく前記パネルと前記隔膜、及び/又は前記押え枠と前記隔膜との間に介装される弾性パッキング材と、
前記ケース本体と、前記隔膜と、前記押え枠と、前記弾性パッキング材とを連通し圧着させる締付具とを備えたことを特徴とする隔膜電極ケース。
【請求項2】
前記開口部が表裏両側のパネルに複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の隔膜電極ケース。
【請求項3】
外部から前記筐体の内部に貫通し、鉛直方向に複数設けた前記隔膜の前記筐体内部の端部を前記筐体に固定する固定具の周囲から、前記筐体の内部を流れる極液の漏出を防ぐ極液漏出防止具を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の隔膜電極ケース。
【請求項4】
メッキ対象物間に配置される隔膜電極構造体であって、給電バーに接続する電極と、
フランジ部を有し、前記電極を収容する筐体の表裏のパネルに開口部を備え、前記電極を挟んで鉛直方向に表裏が対称形状に構成されているケース本体と、
前記筐体の表裏のパネルに重合される隔膜と、
前記開口部を塞ぐことなく前記隔膜を押圧する押え枠と、
前記開口部を塞ぐことなく前記パネルと前記隔膜、及び/又は前記押え枠と前記隔膜との間に介装される弾性パッキング材と、
前記ケース本体と、前記押え枠と、前記弾性パッキング材とを連通し圧着させる締付具とを備えたことを特徴とする隔膜電極構造体。
【請求項5】
前記開口部が表裏両側のパネルに複数設けられていることを特徴とする請求項4に記載の隔膜電極構造体。
【請求項6】
外部から前記筐体の内部に貫通し、鉛直方向に複数設けた前記隔膜の前記筐体内部の端部を前記筐体に固定する固定具の周囲から、前記筐体の内部を流れる極液の漏出を防ぐ極液漏出防止具を備えることを特徴とする請求項4又は5に記載の隔膜電極構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッキ液、あるいは電着用の塗装液中に浸漬し、電極と隔膜(イオン交換膜)とにより、ワーク(メッキ対象物等)にメッキ、あるいは電着塗装を行う際に用いられる隔膜電極ケース及び隔膜電極構造体に関し、特に、一つの電極で2つのワークに対応できる隔膜電極ケース及び隔膜電極構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
電極と隔膜(イオン交換膜)を用いてメッキ液、あるいは電着塗装用の液中に浸漬し、メッキや電着塗装を行うための隔膜電極ケースとしては、下記特許文献1に記載の技術がある。
【0003】
下記特許文献1に記載の隔膜は、図9に示すように、開口縁より外方に延設されたフランジ22を備えた電極を挿入する電極ケース本体21と、フランジ22に重合される隔膜24及び押え枠26とからなり、電極ケース本体21のフランジ11と隔膜24との間、及び隔膜24と押え枠26との間には、それぞれ弾性パッキング材23、隔膜保護部材25とが介装され構成されている。
【0004】
従来技術においては、電極ケース本体21のフランジ11、隔膜24の押え枠26等にボルト孔を形成し、それらの各ボルト孔にボルトを挿通させ、締付ナットにより締め付けて圧着させ、これらを一体的な構造としている。
【0005】
これに対して、特許文献1に記載の技術は、かかる圧着構造に代えて、略U字状のクリッパーにより圧着させることで、ボルトの挿通、座金、スプリングワッシャー、締付ナット等の作業にかかる手間が省ける構造としている。特許文献1に記載の技術は、ボルト、ナット等による圧着構造をクリップによる圧着構造とすることで、作業性の改善と、コストの低減を図る、というものである。
【0006】
しかし、特許文献1に記載の技術は、電極ケースの片面にのみ形成された開口縁より外方に延設されたフランジが設けられ、開口部に重合するように隔膜、弾性パッキング材、押え枠等が設けられている。このためメッキ等の対象物(ワーク)は、電極ケースの開口部側(表側)に対向する位置に設置され、電極ケースの裏面に対向する位置にワークを設けることができない。
【0007】
従って、例えば、メッキ槽の中央部においては、2つの隔膜電極構造体を背中合わせで配置する必要があり、その結果、設置する隔膜電極構造体の台数の増加や、メッキ槽が大型になるという問題がある。
【0008】
また、図9に見られるように隔膜電極ケースは、縦方向に左右非対称(表裏非対称)である。このため、隔膜電極構造体を給電バー(給電線)から吊下げると、メッキ液中において、隔膜電極構造体が傾き電極とワークとの間隔が異なり、メッキ膜厚が均一にならないという問題がある。
【0009】
かかる問題を解消するため、給電バー(給電線)に隔膜電極構造体を強固に固定する必要がある。しかし、隔膜電極構造体と給電バーとを強固に固定すると、隔膜電極構造体の取替作業等において、取外し作業に時間を要し、作業性が悪くなるという問題がある。また、深いメッキ槽の場合には、かかる問題がより大きくなる、という問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】公開実用新案 平1-141765号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように、特許文献1に記載の技術では、ワークに対向するように隔膜電極構造体を背中合わせで設置する必要があり、多数の隔膜電極構造体が必要となる。このため、メッキ槽の小型化を図ることが難しい。また、メッキ液中で隔膜電極構造体が傾かないように、給電バー(給電線)に強固に固定する必要があり、メンテナンス性が悪いとう問題がある。さらに、深いメッキ槽には対応が難しい、という問題がある。
【0012】
そこで本発明の課題は、単一の隔膜電極構造体でメッキ槽中の2つのワークに対応できる隔膜電極構造体を提供することを課題とする。 また、本発明の他の課題は、給電バー(給電線)に吊下げる方式の隔膜電極構造体であっても、メッキ液中で隔膜電極構造体が傾かない隔膜電極構造体を提供することを課題とする。
【0013】
本発明の課題は、これらによりメッキ槽に設置する隔膜電極数を削減し、またメッキ槽の小型化を図るものである。さらに、隔膜電極構造体の給電バー(給電線)への強固な固定を不要とすることで、隔膜電極構造体の取替作業に要する時間を削減し、メンテナンス性の向上と、より深いメッキ槽に対応できる隔膜電極構造体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため第一の発明は、電極を収容するフランジ部を有する筐体の表裏のパネルに開口部を備え、前記電極を挟んで鉛直方向に表裏が対称形状に構成されているケース本体と、前記筐体の表裏のパネルに重合される隔膜と、前記開口部を塞ぐことなく前記隔膜を押圧する押え枠と、前記開口部を塞ぐことなく前記パネルと前記隔膜、及び/又は前記押え枠と前記隔膜との間に介装される弾性パッキング材と、前記ケース本体と、前記隔膜と、前記押え枠と、前記弾性パッキング材とを連通し圧着させる締付具とを備えたことを特徴とする隔膜電極ケース、である。
【0015】
ケース本体は、電極を収容する細長形状のフランジ部を有する筐体の表側と裏側のパネルに開口部が設けられ、筐体の空間部に電極が挿入された状態において、鉛直方向に対称形状で構成されている。かかるケース本体の開口部を有する表裏のパネルに、隔膜と、パネルの開口を塞がないように隔膜を押圧する押え材と、パネルと隔膜との間、及び/又は前記押え枠と前記隔膜との間にパネルの開口を塞がないように介装される弾性パッキン材とを圧着させる。かかる構成の隔膜電極ケースによれば、隔膜電極ケースの両側にメッキ(電着)対象物(ワーク)を設置することができる。また、本発明の隔膜電極ケースは、メッキ槽あるいは電着塗装液槽に浸漬しても、隔膜電極ケースの鉛直方向の対称性により、電極ケースをフックで吊下げも液槽中で傾かず、均一な膜厚がワークに形成される。
【0016】
前記開口部は前記表裏のパネルに複数設けられていることが好ましい。これにより水圧による隔膜の膨らみを抑えることができる。また、深いメッキ(電着)液槽を使用する場合、複数枚の隔膜を用いなければならないことがある。かかる場合には、外部から筐体の内部に貫通し隔膜を筐体に固定する固定具に、筐体の内部を流れる極液が固定具からメッキ液中に漏出する可能性がある。かかる極液の漏出防止として、本発明では筐体の内部から極液の漏出を防止する極液漏出防止具を備える。
【0017】
上記課題を解決するため第二の発明は、メッキ対象物間に配置される隔膜電極構造体であって、給電バーに接続する電極と、フランジ部を有し、前記電極を収容する筐体の表裏のパネルに開口部を備え、前記電極を挟んで鉛直方向に表裏が対称形状に構成されているケース本体と、前記筐体の表裏のパネルに重合される隔膜と、前記開口部を塞ぐことなく前記隔膜を押圧する押え枠と、前記開口部を塞ぐことなく前記パネルと前記隔膜、及び/又は前記押え枠と前記隔膜との間に介装される弾性パッキング材と、前記ケース本体と、前記押え枠と、前記弾性パッキング材とを連通し圧着させる締付具とを備えたことを特徴とする隔膜電極構造体、である。
【0018】
前記開口部が表裏両側に複数設けられていることは好適である。さらに、鉛直方向に隔膜が複数枚設けられた場合には、隔膜の端部を外部から前記筐体の内部に貫通させる固定具により隔膜を筐体に固定することになる。かかる場合には、筐体の内部を流れる極液が、固定具の貫通箇所から漏出する可能性がある。このため、かかる極液の漏出を防ぐ極液漏出防止具を備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、実施例の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施の形態である隔膜電極構造体10を使用したメッキ装置1の斜視図である。メッキ槽500にはメッキ液が充填され、各給電バー200間にはメッキ対象物(ワーク)が浸漬される。メッキ槽500には電極に通電する給電バー(給電線)200が6列設置されている。メッキ槽500の両サイドの給電バー200には、従来の電極構造体10a(図2参照)がそれぞれ4個、固着されている。メッキ槽の両サイドの給電バー200より内側の4つの給電バー200には、本発明の電極構造体10(図2参照)がそれそれ4個吊下げられている。
【0020】
図2は本発明の一実施形態である隔膜電極構造体10と、従来の隔膜電極構造体10aの斜視図である。図2(a)に示す、本発明の一実施の形態である隔膜電極構造体10は、隔膜電極ケース100と電極20とから構成され、電極20は隔膜電極ケース100の筐体の空間部に挿入される。隔膜電極構造体10は、電極20に対し表裏が対称形状であることから、例えば給電バー200に取付金具(フック)210で吊下げてもメッキ液中で傾くことがない。このため、隔膜電極構造体10を電極20と同様にフック構造で給電バーから吊下げても、メッキ液中で電極20と隔膜電極ケース100は、ともに傾くことはない。これにより、ワークに均一なメッキ膜を形成することができる。また、かかる構造により隔膜電極構造体10の取り外し作業を容易に行うことができ、メンテナンス性等の作業性が向上する。
【0021】
図2(b)は従来の隔膜電極体10aの構造を示す斜視図である。隔膜電極体10aは、電極20に対し表裏が非対称の形状となっている。このため、隔膜電極ケース100aがメッキ液中で傾かないように給電バー200に固着する必要がある。また、隔膜電極構造体10aの裏側では金属イオンが流れず、ワークを設置することができない。また、隔膜電極構造体10aをメッキ液中で傾かないように給電バー100に、例えば、図2(b)の電極20の取付金具210aのようなボルト211により、給電バー200に固着する必要がある。従来の隔膜電極構造体10aでは、隔膜電極構造体の設置数の増加、隔膜電極構造体10aの取り外し作業の手間、メンテンナンス等の作業性の悪化、メッキ槽が大きくなる、といった問題がある。
【0022】
図3は、本発明の一実施の形態である隔膜電極ケース100の構成を示した斜視図である。隔膜電極ケース100は、本体ケース110と、本体ケース110に重合される弾性パッキング材120、隔膜130、押えパネル140、そしてこれらを圧着士一体化させる締付具141とを備えて構成される。図3においては、ケース本体110と隔膜130との間に弾性パッキング材120が介装されているが、これを省いた構造であっても良い。また、押えパネル140と隔膜130の間の弾性パッキング材120を省いた構造としても良い。押えパネル140は、いずれかに設置することであっても良い。
【0023】
隔膜電極ケース100を構成する弾性パッキング材120、押えパネル140には、ケース本体(図4参照)に形成されている開口部1300と同一の形状・配置で開口部が設けられている。
【0024】
図4は本発明の一実施形態であるケース本体110の詳細な斜視図(図4(a))と平面図(図4(b))である。隔膜電極ケース100は、電極20を挿入する筐体1100、筐体1100の周縁から延設されるフランジ部1400、表側パネル1200、裏側パネル1200-1、そして表裏のパネルに設けられた開口部1300とを備える。本体ケース110は、表裏対称の形状で構成されている。
【0025】
図5は隔膜電極構造体を給電バー200に取り付けた状態の詳細斜視図であり、図5(a)は本発明の一実施の形態である隔膜電極構造体10、図5(b)は従来の隔膜電極構造体10aを取り付けた図である。隔膜電極構造体10は給電バー200に取付金具230(フック)によりで吊下げられている。取付金具230と隔膜電極構造体10とは、締付具により固着されている。図5(a)に示す隔膜電極構造体10は、押え材140、その内側に、隔膜130、弾性パッキング材120、そしてケース本体110となっている。これらはフランジ部1400を貫通するボルトにより固着されている。電極20も取付金具210により給電バー200に吊下げらえている。
【0026】
一方、図5(b)に示す従来の隔膜電極構造体10aを用いた場合、上述したように電極構造体の非対称性のため、隔膜電極ケース100a、電極20aを給電バー200に固着する必要がある。図5(b)においては、隔膜電極ケース100aは取付金具230aによりボルトを用いて固定されている。また、電極20aも同様に接続部210aによりボルトを用いて固定されている。
【0027】
図6は隔膜電極構造体10を給電バー200に取り付けた状態の平面図と断面図である。図6(a)に隔膜電極構造体10の平面図、図6(b)に断面図を示す。隔膜電極ケース100は給電バー200に取付金具230(フック)によりで吊下げられている。取付金具230と隔膜電極ケース10とは、図示の通り締付具141により固着されている。隔膜電極ケース100は押え材140、その内側には弾性パッキング材120、隔膜130、そしてケース本体本体110で構成され、これらはフランジ部1400を貫通する締付具により固着されている。電極20も取付金具210(フック)により給電バー200に吊下げらえている。
【0028】
図7はメッキ装置1に隔膜電極構造体を配置したときの平面図である。図7(a)は本発明の一実施例である隔膜電極構造体10を用いたメッキ装置1であり、図7(b)は従来の隔膜電極構造体10aを用いたメッキ装置1aの平面図である。上述したように本発明の隔膜電極構造体10は、その表裏の両側にワークを配置することができる。これに対し、図7(b)に示す従来の隔膜電極構造体10aでは、片面にしかワークを配置することができないため、隔膜電極構造体を両サイド以外の場所については、背中合わせに2個、配置しなければならない。
【0029】
この結果、図7(a)に示すメッキ装置1では、隔膜電極構造体10が16個、隔膜電極構造体10aが8個、計24個であるのに対し、図7(b)に示すメッキ装置1aでは、隔膜電極構造体10aが40個必要となる。隔膜電極構造体の増加はに伴い、給電バーの増加(メッキ装置1は6本、メッキ装置1aは10本)し、メッキ槽が大型(約12%増)になる。
【0030】
図8はメッキ槽500に隔膜電極構造体を給電バー200に吊下げて、浸漬させたときのメッキ液中での挙動を示した図である。図8(a)に示すように隔膜電極構造体10は、表裏対称形状であることから、給電バー200に吊下げる構造であっても、傾くことなく鉛直に浸漬する。この結果、ワーク30と隔膜電極構造体との間隔が均一に保持され、ワークに均一な厚みのメッキ膜形成される。これに対して、図8(b)に示すように隔膜電極構造体10aは、表裏非対称形状であることから、給電バーに吊下げる構造にすると、メッキ液中で傾き鉛直方向に浸漬しない。この結果、ワーク30と隔膜電極構造体との間隔が深さ方向で異なり、均一な厚みのメッキ膜がワークに形成されない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施の形態である隔膜電極構造体10を使用したメッキ装置1の斜視図である
図2】本発明の隔膜電極構造体10、従来の隔膜電極構造体10aの斜視図である。
図3】本発明の一実施の形態である隔膜電極ケースの構成を示した斜視図である。
図4】本発明の一実施形態であるケース本体110の詳細な斜視図と平面図である。
図5】隔膜電極構造体10を給電バー200に取り付けた状態の詳細斜視図である。
図6】隔膜電極構造体10を給電バー200に取り付けた状態の平面図と断面図である。
図7】メッキ装置に隔膜電極構造体を配置したときの平面図である。
図8】メッキ槽500に隔膜電極構造体を給電バーに吊下げて、浸漬させたときのメッキ液中での挙動を示した図である。。
【符号の説明】
【0032】
1 本発明の一実施形態の電極構造を用いたメッキ装置
10 本発明の一実施形態である隔膜電極構造体
10a 従来の隔膜電極構造体
20 電極
100 隔膜電極ケース(本発明の一実施形態)
100a 隔膜電極ケース(従来型)
110 ケース本体
102 開口部
103 103a 電極収容空間
120 弾性パッキング材
130 隔膜
140 押えパネル(枠)
141 締付具
200 給電バー
210 取付金具
210a 接続部
211 ボルト
220 電極本体
230 取付金具
10a 従来の電極構造体
1100 筐体
1200 表パネル
1200-1 裏パネル
1300 開口部
01 パネル(枠)
500 メッキ槽

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2020-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
図1】本発明の一実施の形態である隔膜電極構造体10を使用したメッキ装置1の斜視図である
図2】本発明の隔膜電極構造体10、従来の隔膜電極構造体10aの斜視図である。
図3】本発明の一実施の形態である隔膜電極ケースの構成を示した斜視図である。
図4】本発明の一実施形態であるケース本体110の詳細な斜視図と平面図である。
図5】隔膜電極構造体10を給電バー200に取り付けた状態の詳細斜視図である。
図6】隔膜電極構造体10を給電バー200に取り付けた状態の平面図と断面図である。
図7】メッキ装置に隔膜電極構造体を配置したときの平面図である。
図8】メッキ槽500に隔膜電極構造体を給電バーに吊下げて、浸漬させたときのメッキ液中での挙動を示した図である。
図9】従来技術である隔膜電極ケースの斜視図
【手続補正書】
【提出日】2021-02-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏のパネルに開口部を備え収容する電極を挟んで鉛直方向に表裏が対称形状に構成されている筐体形状をなすケース本体と、前記表裏のパネルに重合される隔膜と、前記開口部を塞ぐことなく前記隔膜を押圧する押え枠と、前記開口部を塞ぐことなく前記パネルと前記隔膜、及び/又は前記押え枠と前記隔膜との間に介装される弾性パッキング材と、前記ケース本体と、前記隔膜と、前記押え枠と、前記弾性パッキング材とを連通し圧着させる締付具とを備えた隔膜電極ケースにおいて、
前記表裏のパネルの外周縁からそれぞれ延設されたフランジ部と、
前記フランジ部と前記フランジ部との間に設けられ、前記電極に給電する給電線に吊下げるフックを有するフック構造の取付金具と、
前記給電線の近傍において前記フランジ部と前記取付金具とを連通し固着するボルトとを備えたことを特徴とする隔膜電極ケース
【請求項2】
外部から前記筐体の内部に貫通し、鉛直方向に複数設けた前記隔膜の前記筐体内部の端部を前記筐体に固定する固定具の周囲から、前記筐体の内部を流れる極液の漏出を防ぐ極液漏出防止具を備えることを特徴とする請求項1に記載の隔膜電極ケース
【請求項3】
メッキ対象物間に配置される隔膜電極構造体であって、給電線に接続する電極と、表裏のパネルに開口部を備え、収容する前記電極を挟んで鉛直方向に表裏が対称形状に構成されている筐体形状をなすケース本体と、前記表裏のパネルに重合される隔膜と、前記開口部を塞ぐことなく前記隔膜を押圧する押え枠と、前記開口部を塞ぐことなく前記パネルと前記隔膜、及び/又は前記押え枠と前記隔膜との間に介装される弾性パッキング材と、前記ケース本体と、前記押え枠と、前記弾性パッキング材とを連通し圧着させる締付具とを備えた隔膜電極構造体において、
前記表裏のパネルの外周縁からそれぞれ延設されたフランジ部と、
前記フランジ部と前記フランジ部との間に設けられ、前記電極に給電する給電線に吊下げるフックを有するフック構造の取付金具と、
前記給電線の近傍において前記フランジ部と前記取付金具とを固着するボルトとを備えたことを特徴とする隔膜電極構造体
【請求項4】
前記電極は前記給電線に吊下げるフック構造の取付金具と固着していることを特徴とする請求項3に記載の隔膜電極構造体。
【請求項5】
外部から前記筐体の内部に貫通し、鉛直方向に複数設けた前記隔膜の前記筐体内部の端部を前記筐体に固定する固定具の周囲から、前記筐体の内部を流れる極液の漏出を防ぐ極液漏出防止具を備えることを特徴とする請求項3又は4に記載の隔膜電極構造体
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
上記課題を解決するため第一の発明は、表裏のパネルに開口部を備え収容する電極を挟んで鉛直方向に表裏が対称形状に構成されている筐体形状をなすケース本体と、前記表裏のパネルに重合される隔膜と、前記開口部を塞ぐことなく前記隔膜を押圧する押え枠と、前記開口部を塞ぐことなく前記パネルと前記隔膜、及び/又は前記押え枠と前記隔膜との間に介装される弾性パッキング材と、前記ケース本体と、前記隔膜と、前記押え枠と、前記弾性パッキング材とを連通し圧着させる締付具とを備えた隔膜電極ケースにおいて、前記表裏のパネルの外周縁からそれぞれ延設されたフランジ部と、前記フランジ部と前記フランジ部との間に設けられ、前記電極に給電する給電線に吊下げるフックを有するフック構造の取付金具と、前記給電線の近傍において前記フランジ部と前記取付金具とを連通し固着するボルトとを備えたことを特徴とする隔膜電極ケース、である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本願発明の隔膜電極ケースは、表裏が対称形状に構成されている本体ケースの両面にフランジ部形成され、表裏のフランジ部の間に給電線から吊下げるフック構造の取付金具が設けられ、これらを貫通するボルトによりケース本体と取付金具とが一体化され、吊下げ構造の隔膜電極ケースとなっている。このため、本願発明の隔膜電極ケースによれば、フック構造により給電線に吊下げることが可能であり、かつフック構造で吊下げても隔膜電極ケースはメッキ液中で傾かず、ワークに均一な厚みのメッキ膜を形成することができる。そしてフック構造による吊下げは、従来のボルト締めに比較し、極めて容易にその取り外しを可能ならしめ、清掃及び取替等のメンテナンス性能を著しく向上させる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
上記課題を解決するため第二の発明は、メッキ対象物間に配置される隔膜電極構造体であって、給電線に接続する電極と、表裏のパネルに開口部を備え、収容する前記電極を挟んで鉛直方向に表裏が対称形状に構成されている筐体形状をなすケース本体と、前記表裏のパネルに重合される隔膜と、前記開口部を塞ぐことなく前記隔膜を押圧する押え枠と、前記開口部を塞ぐことなく前記パネルと前記隔膜、及び/又は前記押え枠と前記隔膜との間に介装される弾性パッキング材と、前記ケース本体と、前記押え枠と、前記弾性パッキング材とを連通し圧着させる締付具とを備えた隔膜電極構造体において、前記表裏のパネルの外周縁からそれぞれ延設されたフランジ部と、前記フランジ部と前記フランジ部との間に設けられ、前記電極に給電する給電線に吊下げるフックを有するフック構造の取付金具と、前記給電線の近傍において前記フランジ部と前記取付金具とを固着するボルトとを備えたことを特徴とする隔膜電極構造体、である