特開 2022-77052 乗員拘束装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2022077052

(43)【公開日】2022-05-23

(54)【発明の名称】乗員拘束装置

(51)【国際特許分類】

   B60R 21/18 20060101AFI20220516BHJP

【ＦＩ】

B60R21/18

【審査請求】未請求

【請求項の数】11

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2020187673

(22)【出願日】2020-11-11

(71)【出願人】

【識別番号】318002149

【氏名又は名称】Ｊｏｙｓｏｎ Ｓａｆｅｔｙ Ｓｙｓｔｅｍｓ Ｊａｐａｎ株式会社

(71)【出願人】

【識別番号】000005326

【氏名又は名称】本田技研工業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100086911

【弁理士】

【氏名又は名称】重野 剛

(74)【代理人】

【識別番号】100144967

【弁理士】

【氏名又は名称】重野 隆之

(72)【発明者】

【氏名】小ケ口 晃

(72)【発明者】

【氏名】陶山 洋士

(72)【発明者】

【氏名】吉仲 久和

(72)【発明者】

【氏名】佐宗 高

(72)【発明者】

【氏名】清水 貴之

(72)【発明者】

【氏名】浅井 達也

(72)【発明者】

【氏名】伊藤 浩之

【テーマコード（参考）】

3D054

【Ｆターム（参考）】

3D054AA02

3D054AA03

3D054AA07

3D054AA25

3D054CC04

3D054FF16

(57)【要約】

【課題】シートベルトと乗員との間にエアバッグを安定的に展開する。
【解決手段】乗員拘束装置は、乗員Ｐの身体に沿って引き回されるウェビングＷと、ウェビングＷのうち、乗員Ｐの肩から腰にかけての領域に設けられ、ガス供給により膨張展開するエアバッグ１０と、を備える。エアバッグ１０は、膨張展開時の長手方向がウェビングＷの延在方向と交差し、ウェビングＷと乗員Ｐとの間で横方向に膨張展開する横方向展開部１１を有する。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

乗員の身体に沿って引き回されるウェビングと、
前記ウェビングのうち、前記乗員の肩から腰にかけての領域に設けられ、ガス供給により膨張展開するエアバッグと、
を備え、
前記エアバッグは、膨張展開時の長手方向が前記ウェビングの延在方向と交差し、該ウェビングと前記乗員との間で横方向に膨張展開する横方向展開部を有する、乗員拘束装置。

【請求項2】

前記横方向展開部は、前記ウェビングよりも車幅方向内側の領域の容量と、前記ウェビングよりも車幅方向外側の領域の容量とが略同等であることを特徴とする請求項１に記載の乗員拘束装置。

【請求項3】

膨張展開した前記エアバッグが、運転席用エアバッグ又は助手席用エアバッグと接触することを特徴とする請求項１又は２に記載の乗員拘束装置。

【請求項4】

前記エアバッグは、前記横方向展開部の両端部のうち少なくともいずれか一方から下方に延出する縦チャンバをさらに有することを特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載の乗員拘束装置。

【請求項5】

前記横方向展開部の一端部から第１縦チャンバが下方に延出し、他端部から第２縦チャンバが下方に延出することを特徴とする請求項４に記載の乗員拘束装置。

【請求項6】

膨張展開した前記縦チャンバが、運転席用エアバッグ又は助手席用エアバッグと接触することを特徴とする請求項４又は５に記載の乗員拘束装置。

【請求項7】

前記エアバッグの膨張完了状態において、前記横方向展開部の車幅方向内側の領域の膨張厚みが、車幅方向外側の領域の膨張厚みよりも大きいことを特徴とする請求項１に記載の乗員拘束装置。

【請求項8】

膨張完了状態の前記横方向展開部の車幅方向内側の領域が、運転席用エアバッグ又は助手席用エアバッグと接触することを特徴とする請求項７に記載の乗員拘束装置。

【請求項9】

前記エアバッグは、前記ウェビングに沿って延在し、前記横方向展開部の下部に連なり、該横方向展開部にガスを供給するガス通過部をさらに備えることを特徴とする請求項１又は２又は７に記載の乗員拘束装置。

【請求項10】

前記ガス通過部の上部は、第１分岐ガス通過部及び第２分岐ガス通過部に分岐しており、
前記第１分岐ガス通過部と前記第２分岐ガス通過部との間に、前記ウェビングが引き通されたスリットが設けられていることを特徴とする請求項９に記載の乗員拘束装置。

【請求項11】

前記エアバッグは、前記ウェビングに沿って延在し、前記第１縦チャンバの下端に連なり、該第１縦チャンバ、前記横方向展開部及び前記第２縦チャンバにガスを供給するガス通過部をさらに備えることを特徴とする請求項５に記載の乗員拘束装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、自動車の乗員を拘束する乗員拘束装置に関する。

【背景技術】

【0002】

自動車の衝突、横転等の緊急時にシートベルトを引き締めて車両乗員を拘束するシートベルト装置として、シートベルトに沿ってエアバッグを設け、車両緊急時にエアバッグをガスで膨張させるようにしたシートベルト装置がある。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１７－１７８１４４号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

本発明は、シートベルトと乗員との間にエアバッグを安定的に展開する乗員拘束装置を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0005】

本発明の乗員拘束装置は、乗員の身体に沿って引き回されるウェビングと、前記ウェビングのうち、前記乗員の肩から腰にかけての領域に設けられ、ガス供給により膨張展開するエアバッグと、を備え、前記エアバッグは、膨張展開時の長手方向が前記ウェビングの延在方向と交差し、該ウェビングと前記乗員との間で横方向に膨張展開する横方向展開部を有するものである。

【0006】

本発明の一態様では、前記横方向展開部は、前記ウェビングよりも車幅方向内側の領域の容量と、前記ウェビングよりも車幅方向外側の領域の容量とが略同等である。

【0007】

本発明の一態様では、膨張展開した前記エアバッグが、運転席用エアバッグ又は助手席用エアバッグと接触する。

【0008】

本発明の一態様では、前記エアバッグは、前記横方向展開部の両端部のうち少なくともいずれか一方から下方に延出する縦チャンバをさらに有する。

【0009】

本発明の一態様では、前記横方向展開部の一端部から第１縦チャンバが下方に延出し、他端部から第２縦チャンバが下方に延出する。

【0010】

本発明の一態様では、膨張展開した前記縦チャンバが、運転席用エアバッグ又は助手席用エアバッグと接触する。

【0011】

本発明の一態様では、前記エアバッグの膨張完了状態において、前記横方向展開部の車幅方向内側の領域の膨張厚みが、車幅方向外側の領域の膨張厚みよりも大きい。

【0012】

本発明の一態様では、膨張完了状態の前記横方向展開部の車幅方向内側の領域が、運転席用エアバッグ又は助手席用エアバッグと接触する。

【0013】

本発明の一態様では、前記エアバッグは、前記ウェビングに沿って延在し、前記横方向展開部の下部に連なり、該横方向展開部にガスを供給するガス通過部をさらに備える。

【0014】

本発明の一態様では、前記ガス通過部の上部は、第１分岐ガス通過部及び第２分岐ガス通過部に分岐しており、前記第１分岐ガス通過部と前記第２分岐ガス通過部との間に、前記ウェビングが引き通されたスリットが設けられている。

【0015】

本発明の一態様では、前記エアバッグは、前記ウェビングに沿って延在し、前記第１縦チャンバの下端に連なり、該第１縦チャンバ、前記横方向展開部及び前記第２縦チャンバにガスを供給するガス通過部をさらに備える。

【発明の効果】

【0016】

本発明の乗員拘束装置では、シートベルトと乗員との間にエアバッグを安定的に展開し、乗員をバランス良く拘束できる。

【図面の簡単な説明】

【0017】

【図1】図１Ａは、実施形態に係る乗員拘束装置の使用状態を模式的に示した正面図であり、図１Ｂはエアバッグが展開された状態を示す正面図である。

【図2】エアバッグの平面図である。

【図3】エアバッグの平面図である。

【図4】エアバッグの平面図である。

【図5】エアバッグの膨張展開を模式的に示した上面図である。

【図6】別の実施形態に係るエアバッグの平面図である。

【図7】膨張展開したエアバッグの断面図である。

【図8】図８Ａ、図８Ｂはエアバッグの膨張展開を模式的に示した上面図である。

【図9】別の実施形態に係るエアバッグの平面図である。

【図10】エアバッグの平面図である。

【図11】エアバッグが展開された状態を示す正面図である。

【図12】エアバッグの平面図である。

【発明を実施するための形態】

【0018】

図１～５を参照して実施の形態に係るエアバッグ及び乗員拘束装置を説明する。図１Ａは、車両用シート１に適用された乗員拘束装置の使用状態（装着状態）を模式的に示した正面図であり、図１Ｂはエアバッグ１０が展開された状態を示す正面図である。

【0019】

リトラクタ２から引き出されたウェビングＷは、ショルダアンカ７を通って引き回され、トング４で折り返され、その端部がアンカープレート６に定着されている。アンカープレート６は、図示しない車体の固定部に固定される。

【0020】

リトラクタ２は、例えばＢピラーに設置されるが、これに限定されず、Ｃピラーやシートバック内等に設置されてもよい。乗員拘束装置の使用状態において、ウェビングＷは、乗員Ｐの車幅方向外側の肩部から、車幅方向内側の腰部にかけて斜めに、かつ前方から乗員Ｐの上体に装着される。

【0021】

ウェビングＷのトング４よりもショルダアンカ７側には、エアバッグ１０が装着されている。図１Ｂに示すように、膨張展開したエアバッグ１０は、乗員ＰとウェビングＷとの間で横方向に展開する横方向展開部１１と、ウェビングＷに沿って延在し、下方側の一端がインフレータ（図示略）からのガスを導入するガス導入口１２ａとなっており、上方側が横方向展開部１１の下部に連なったガス通過部１２とを備える。ガス通過部１２は、ウェビングＷの反乗員側に位置する。

【0022】

インフレータは、トング４が着脱されるバックル９側で車体の固定部に固定されていてもよいし、アンカープレート６側でフロアに固定されていてもよい。インフレータをバックル９側に設ける場合、バックル９にインフレータのガス噴出口が連通されたガス供給パイプ連結穴を設け、トング４にガス供給パイプを設け、トング４をバックル９に装着すると、ガス供給パイプがガス供給パイプ連結穴に挿入されるようにする。インフレータから噴出したガスは、ガス供給パイプを介してガス導入口１２ａに導かれ、エアバッグ１０が膨張する。

【0023】

インフレータをアンカープレート６側に設ける場合、インフレータから発生したガスをガス導入口１２に導くフレキシブルホース（チューブ）がウェビングＷに沿って設けられる。

【0024】

図２に示すように、エアバッグ１０は、２枚の基布１０ａ、１０ｂを重ね合わせ、それらの周縁部を縫合糸２１によって縫合することにより袋状に製作される。基布１０ａ、１０ｂは、横方向展開部１１に対応する横長の略々矩形状の主部と、主部の下端側から斜め方向に延出した、ガス通過部１２に対応する延出部とを有する。

【0025】

エアバッグ１０の横方向展開部１１とガス通過部１２とが連結される領域には、ウェビングＷを基布１０ａ側から基布１０ｂ側に引き通すためのスリット１７が設けられている。このスリット１７を取り巻くように、縫合糸２２によって基布１０ａ、１０ｂが縫合される。縫合糸２２で囲まれた領域は、非膨張領域となる。

【0026】

ガス通過部１２の上端側は、スリット１７を取り巻く縫合糸２２により、第１分岐ガス通過部１３及び第２分岐ガス通過部１４に分岐している。第１分岐ガス通過部１３は、横方向展開部１１の下部かつ車幅方向内側の端部に連なる。第２分岐ガス通過部１４は、横方向展開部１１の下部かつ車幅方向中央部に連なる。

【0027】

横方向展開部１１の上端側（ショルダアンカ７側）に突片部１５が設けられ、この突片部１５にウェビングＷを引き通すためのスリット１６が設けられている。スリット１６、１７は、細長いガス通過部１２の延長線上に位置する。

【0028】

図３に示すように、スリット１６とスリット１７との間でウェビングＷが基布１０ａ側に位置するように、スリット１６、１７にウェビングＷを通す。スリット１７よりも下方側では、ウェビングＷはガス通過部１２に沿って延在する。

【0029】

スリット１６、１７を結ぶ方向、すなわちウェビングＷの延在方向と、横方向展開部１１の長手方向Ｌとの交差角度θは４５°以上６５°以下であることが好ましい。この長手方向Ｌは、膨張状態の横方向展開部１１のうち、ウェビングＷの拘束力を受ける部分を円筒とみなした場合の円筒中心軸方向ということができる。

【0030】

図４に示すように、基布１０ａ上に矩形の基布１８を配置し、縫合糸２３で基布１０ａと基布１８の一対の辺縁部とを縫合し、基布１０ａと基布１８との間にウェビングＷを通すようにしてもよい。

【0031】

エアバッグ１０のスリット１６，１７にウェビングＷを通し、ガス導入口１２ａにガス供給パイプ又はフレキシブルホースを連結し、エアバッグ１０を折り畳んだ折り畳み体をバッグカバー（図示略）で包囲することで、図１Ａに示すような乗員拘束装置となる。

【0032】

車両の衝突検知時等の緊急時に、インフレータからガスが噴出し、ガス通過部１２を介してエアバッグ１０の横方向展開部１１にガスが供給され、横方向展開部１１がウェビングＷと乗員Ｐとの間で膨張展開する。横方向展開部１１は、ウェビングＷと交差し、その長手方向が横方向、例えば水平方向となるように展開し、乗員Ｐの肩部及び胸部を拘束する。

【0033】

ガス通過部１２からのガスは、ウェビングＷの両側に位置する第１分岐ガス通過部１３及び第２分岐ガス通過部１４の２本の流路を介して横方向展開部１１に供給される。そのため、ウェビングＷがリトラクタ２に内蔵されたプリテンショナにより巻き取られ、ウェビングＷに張力が入って乗員Ｐを拘束した状態でも、図５に示すように、２本の流路を介してウェビングＷの両側から横方向展開部１１にガスを供給でき、ウェビングＷと乗員Ｐとの間でエアバッグ１０を安定的に展開し、乗員Ｐをバランス良く拘束できる。

【0034】

上記実施形態では、横方向展開部１１の下方からガス通過部１２によりガスを供給する例について説明したが、インフレータをＢピラー内などに配置し、横方向展開部１１の上方からガスを供給してもよい。

【0035】

横方向展開部１１は、ウェビングＷよりも車幅方向内側の領域の第１容量と、ウェビングＷよりも車幅方向外側の領域の第２容量とが略同等であることが好ましい。ここで、第１容量と第２容量とが略同等とは、第１容量が、第２容量の９５～１０５％程度であることをいう。

【0036】

図６、図７に示すエアバッグ１０Ａのように、横方向展開部１１の車幅方向外側の領域において、反乗員側の基布１０ａと乗員側の基布１０ｂとをテザー３１，３２（インナーテザー）で連結し、膨張時の厚みを規制するようにしてもよい。例えば、テザー３１，３２は、スリット１６とスリット１７との間に配置される。図７は、エアバッグ１０Ａを膨張展開した時のVII-VII線断面図である。

【0037】

例えば、矩形のテザー３１の中央部を縫合糸２４で基布１０ａに縫合する。また、矩形のテザー３２の中央部を縫合糸２５で基布１０ｂに縫合する。テザー３１，３２の長手方向が横方向展開部１１の長手方向と平行となるように、横方向展開部１１の上下方向の中央部にテザー３１，３２を縫着する。図６に示す例では、縫合糸２４による縫合部が角丸長方形となっているが、縫合部の形状は限定されない。そして、テザー３１の一対の長辺と、テザー３２の一対の長辺とを縫合糸２６で縫合する。

【0038】

このエアバッグ１０Ａが膨張展開すると、図８Ａに示すように、ウェビングＷと乗員Ｐとの間に位置する領域（車幅方向外側の領域）の厚みがテザー３１，３２により規制されているため、車幅方向内側の領域が車幅方向外側の領域よりも厚みが大きくなる。例えば、エアバッグ１０Ａの膨張展開時の車幅方向内側の領域の最大厚みは、テザー３１，３２が設けられた車幅方向外側の領域の最大厚みの１．２倍以上１．５倍以下程度となる。

【0039】

エアバッグ１０Ａの車幅方向外側の領域は、ウェビングＷにより、高い拘束力で乗員Ｐを拘束する。一方、エアバッグ１０Ａの車幅方向内側の領域は、厚みが大きく、図８Ｂに示すように、ステアリングホイールＳに設けられた運転席用エアバッグＤと干渉して、高い拘束力を発揮し、乗員Ｐを拘束する。これにより、乗員Ｐの左右の肩部をバランス良く拘束できる。

【0040】

エアバッグ１０Ａは、運転席用エアバッグＤでなく、助手席とインストルメントパネルとの間で膨張展開する助手席用エアバッグと接触するようにしてもよい。

【0041】

横方向展開部１１の車幅方向内側の領域の膨張厚みを、車幅方向外側の領域の膨張厚みよりも大きくするための手法は、テザー３１，３２を用いるものに限定されず、基布形状を変えるなどであってもよい。

【0042】

図９に示す別の実施形態に係るエアバッグ１０Ｂは、横方向展開部１１の車幅方向の両端部から、縦チャンバ４１，４２が下方に延出している。車幅方向内側に位置する縦チャンバ４１の下端にガス通過部１２が連なる。

【0043】

縦チャンバ４１，４２を区画形成するため、縫合糸２１による周縁縫合部は、基布１０ａ，１０ｂの主部の下端において、車幅方向中央側ほど基布１０ａ，１０ｂの下端から離隔する。基布１０ａ，１０ｂの車幅方向中央部の縫合糸２１よりも下側の非膨張領域にスリット１７が形成される。

【0044】

そして、図１０に示すように、縦チャンバ４１，４２の間隔を狭めるように、この非膨張領域に、テザー５０を縫合糸２７で縫合して取り付ける。テザー５０を取り付けることで、スリット１６、１７が、ガス通過部１２の延長線上に位置し、スリット１６、１７を通したウェビングＷがガス通過部１２に沿って延在するようになる。

【0045】

図１１に示すように、車両の衝突検知時等の緊急時に、インフレータからガスが噴出し、ガス通過部１２を介してエアバッグ１０Ｂの縦チャンバ４１、横方向展開部１１、縦チャンバ４２に順次ガスが供給され、膨張展開する。横方向展開部１１は、乗員Ｐの肩部及び胸部を拘束する。縦チャンバ４１，４２は、乗員Ｐの肋骨部を拘束する。

【0046】

エアバッグ１０Ｂの縦チャンバ４１，４２が、運転席用エアバッグや助手席用エアバッグと干渉して、さらなる拘束力を発揮するようにしてもよい。縦チャンバ４１，４２が運転席用エアバッグ又は助手席用エアバッグと接触することで、縦チャンバ４１と縦チャンバ４２との間の領域では、運転席用エアバッグ又は助手席用エアバッグからの乗員Ｐへの入力が軽減される。

【0047】

図１２に示すように、スリット１７を取り囲むように縫合糸２８で基布１０ａ、１０ｂを縫合し、縫合糸２１による周縁縫合部との間に、基布１０ａ、１０ｂの主部の下端に沿ったガス流路４４を形成してもよい。ガス流路４４は、縦チャンバ４２の下端部とガス通過部１２とを連通する。このような構成にすることで、インフレータからのガスが、ガス通過部１２及びガス流路４４を介して縦チャンバ４２に供給され、縦チャンバ４２を速やかに膨張展開させることができる。

【0048】

上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の態様とされてもよい。例えば、図１Ｂに示す膨張展開したエアバッグ１０の横方向展開部１１が、運転席用エアバッグ又は助手席用エアバッグと接触するようにしてもよい。これにより、乗員Ｐの拘束力の向上、及び拘束タイミングの早期化が可能となる。また、図９～図１１に示すエアバッグ１０Ｂの縦チャンバ４１，４２の一方を省略してもよい。

【符号の説明】

【0049】

１ 車両用シート
２ リトラクタ
４ トング
６ アンカープレート
７ ショルダアンカ
９ バックル
１０ エアバッグ
１１ 横方向展開部
１２ ガス通過部

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】