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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077062
(43)【公開日】2022-05-23
(54)【発明の名称】排水栓装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/22 20060101AFI20220516BHJP
   E03C 1/23 20060101ALI20220516BHJP
   A47K 1/14 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
E03C1/22 B
E03C1/22 C
E03C1/23 Z
A47K1/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020187693
(22)【出願日】2020-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】501362906
【氏名又は名称】積水ホームテクノ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】392028767
【氏名又は名称】株式会社日本アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】上田 恭平
(72)【発明者】
【氏名】山田 卓実
(72)【発明者】
【氏名】谷 匠平
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA01
2D061DB03
2D061DE10
2D061DE11
2D061DE13
(57)【要約】
【課題】装置を全体的にコンパクトにまとめること等が可能な排水栓装置を提供する。
【解決手段】排水栓装置1は、本体部21及び鍔部22を有するとともに排水流路24を構成する筒状の排水口部材2と、往復移動可能な支持軸52と、支持軸52に取付けられた排水流路24を開閉するための栓蓋7とを備える。浴槽100には、鍔部22が直接又は間接的に係止される止水平面104aが設けられ、本体部21の延びる方向及び支持軸52の往復移動方向は、それぞれ止水平面104aに対し非直角とされる。これにより、本体部21の延びる方向や支持軸52の往復移動方向が止水平面104aに対し直角となる構成と比べて、止水平面104aと直交する方向に沿った支持軸52の往復移動量や本体部21の長さをより小さくすることができ、装置を全体的によりコンパクトにまとめることが可能となる。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の本体部、及び、当該本体部の一端側外周に突出形成された鍔部を有するとともに、前記本体部が槽体に貫通形成された取付孔に挿通され、かつ、前記本体部の内側空間が前記槽体に貯留された水の排出時に排水の流れ込む排水流路を構成する筒状の排水口部材と、
少なくとも一部が前記排水口部材の内側空間に配置された往復移動可能な支持軸と、
前記支持軸の一端部に取付けられた前記排水流路を開閉するための栓蓋とを備え、
前記支持軸の往復移動に伴い前記栓蓋が往復移動することで、前記排水流路の開閉状態が切換わるように構成された排水栓装置であって、
前記槽体には、前記鍔部が直接又は間接的に係止される止水平面が設けられ、
前記本体部の延びる方向及び前記支持軸の往復移動方向は、それぞれ前記止水平面に対し非直角となるように構成されていることを特徴とする排水栓装置。
【請求項2】
前記槽体は、
前記取付孔が貫通形成されるとともに、前記止水平面を有する被係止壁部と、
前記鍔部の外側に配置される外側壁部と、
前記被係止壁部及び前記外側壁部を連接する連接壁部とを備え、
前記外側壁部は、前記被係止壁部側に近づくにつれて前記本体部の中心軸から徐々に離れる形状を有することを特徴とする請求項1に記載の排水栓装置。
【請求項3】
前記鍔部及び前記止水平面に挟み込まれた状態で設置される環状のパッキン部を有し、
前記被係止壁部及び前記外側壁部は、前記連接壁部側に向けて徐々に下がる形状をなすとともに、前記槽体における前記被係止壁部から前記外側壁部にかけての部位には凹みが形成されており、
前記パッキン部は、前記凹みの少なくとも一部を埋めた状態で設けられることを特徴とする請求項2に記載の排水栓装置。
【請求項4】
前記取付孔は、前記槽体の底壁部から当該槽体の側壁部にかけての部位に、鉛直方向に対し斜めに貫通形成されるとともに、
前記本体部は、その延びる方向が鉛直方向に対し斜めになった状態で前記取付孔に挿通され、
前記支持軸の往復移動方向は、鉛直方向に対し斜めとなるように設定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の排水栓装置。
【請求項5】
前記鍔部は、前記栓蓋よりも上方位置に配置される鍔部上側部を有し、
前記支持軸の往復移動方向を高さ方向としたときにおいて、前記排水流路が開状態であるときに、前記栓蓋の外縁部上部と前記鍔部上側部の表面とがほぼ同じ高さとなるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の排水栓装置。
【請求項6】
前記支持軸が往復移動可能な状態で内側に配置される筒状の保持部を有するとともに、前記排水流路に設置されるアタッチメント部材を備え、
前記アタッチメント部材は、前記保持部の外周部から突出するリブ部を有し、
前記栓蓋は、
前記支持軸の先端部が取付けられる板状の蓋部と、
前記蓋部の裏面から突出して前記保持部の外周に配置される筒状のガイド部とを有し、
少なくとも前記排水流路が開状態であるときにおいて前記栓蓋に鉛直下向きの負荷が加わった場合に、前記ガイド部が前記リブ部と接触するとともに当該ガイド部から当該リブ部へと負荷が伝達されるように構成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の排水栓装置。
【請求項7】
前記支持軸、及び、当該支持軸が内周に配置される筒状のケース部を有してなる支持軸機構と、
端部が前記ケース部に直接又は間接的に取付けられた筒状のチューブ部材、及び、当該チューブ部材の内周に往復移動可能な状態で配置された伝達部材を有し、当該伝達部材の往復移動に伴い前記支持軸が往復移動するように構成されたレリースワイヤと、
外向きに突出する外向突部を一端部に具備するとともに、前記排水口部材が内周に挿通されつつ前記鍔部及び前記外向突部により前記槽体を挟み込んだ状態で設置される筒状の取付用部材とを備え、
前記レリースワイヤは、前記支持軸機構から斜め下方に向けて突出した状態で設置されており、
前記外向突部には、前記レリースワイヤを引っ掛けた状態で保持する引掛保持部が設けられ、
前記支持軸機構における前記レリースワイヤが突出する部位の正面に設けられ、当該レリースワイヤと接触することで、当該レリースワイヤを湾曲させて前記引掛保持部側へと案内可能な案内部を備えることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の排水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽体の底側に設けられた排水流路を開閉するための排水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、栓蓋を遠隔操作することによって、槽体(例えば、浴槽や洗面ボウルなど)の底側に設けられた排水流路の開閉状態を切換可能な排水栓装置が知られている。
【0003】
排水栓装置としては、一端部に前記栓蓋の取付けられた往復移動可能な支持軸、変位可能な操作部(例えば操作ボタン)、当該操作部の変位による駆動力を支持軸ひいては栓蓋側へと伝達するための伝達部材(例えばワイヤ等)、及び、排水口部材などを備えたものが知られている。排水口部材は、槽体の取付孔に挿通される筒状の本体部を有しており、当該本体部の内側空間によって排水流路を構成する。このような排水栓装置では、操作部への操作に伴い伝達部材が往動して、支持軸及び栓蓋が上動することで、排水流路が開状態とされる。一方、操作部への操作に伴い伝達部材が復動して、支持軸及び栓蓋が下動し、栓蓋が例えば槽体や排水口部材などと接触することで、排水流路が閉状態とされる。
【0004】
加えて、排水口部材は、前記本体部の一端側外周に突出形成された鍔部を槽体に直接又はパッキン部などを介して間接的に係止した状態で設けられることが多い(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-194366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来、前記本体部の延びる方向や支持軸の往復移動方向は、槽体のうち鍔部が直接又は間接的に係止される面である止水平面(止水平面を含む仮想面)に対し直角となるように構成されている。しかしながら、このような構成では、止水平面を基準とした支持軸の往復移動量や本体部の長さが比較的大きなものとなって、装置が全体的に大型化(止水平面と直交する方向に長大化)するおそれがある。また、止水平面が水平ではなく、水平面に対する止水平面のなす角度が比較的大きい場合には、本体部の延びる方向が水平方向に近い方向となり、排水性能の低下を招くおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置を全体的によりコンパクトにまとめることができるとともに、良好な排水性能をより確実に得ることができる排水栓装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0009】
手段1.筒状の本体部、及び、当該本体部の一端側外周に突出形成された鍔部を有するとともに、前記本体部が槽体に貫通形成された取付孔に挿通され、かつ、前記本体部の内側空間が前記槽体に貯留された水の排出時に排水の流れ込む排水流路を構成する筒状の排水口部材と、
少なくとも一部が前記排水口部材の内側空間に配置された往復移動可能な支持軸と、
前記支持軸の一端部に取付けられた前記排水流路を開閉するための栓蓋とを備え、
前記支持軸の往復移動に伴い前記栓蓋が往復移動することで、前記排水流路の開閉状態が切換わるように構成された排水栓装置であって、
前記槽体には、前記鍔部が直接又は間接的に係止される止水平面が設けられ、
前記本体部の延びる方向及び前記支持軸の往復移動方向は、それぞれ前記止水平面に対し非直角となるように構成されていることを特徴とする排水栓装置。
【0010】
上記手段1によれば、本体部の延びる方向(本体部の中心軸方向)及び支持軸の往復移動方向は、それぞれ止水平面(止水平面を含む仮想面)に対し非直角となるように構成されている。従って、本体部の延びる方向や支持軸の往復移動方向を止水平面に対し斜めにすることができ、これら方向が止水平面に対し直角となる構成と比べて、止水平面を基準とした(止水平面と直交する方向に沿った)支持軸の往復移動量や本体部の長さをより小さなものとすることができる。これにより、装置を全体的によりコンパクトにまとめることが可能となる。その結果、外部から装置に対しダメージが加わることをより生じにくくしたり、装置の設置自由度を高めたりすることができる。
【0011】
また、上記手段1によれば、止水平面が水平ではなく、水平面に対する止水平面のなす角度が比較的大きい(例えば、45°以上の)場合であっても、本体部の延びる方向を鉛直方向に近い方向、すなわち排水性能の点でより好ましい方向に容易に設定することができる。従って、良好な排水性能をより確実に得ることが可能となる。
【0012】
尚、上記手段1の排水栓装置は、所定の平面(例えば防水パン)に載置され、介護者等が前記平面に立って介助などを行うことがあるタイプの浴槽(槽体)に好適に用いられる。このような浴槽に上記排水栓装置を適用することで、前記平面に対する浴槽底壁部の設置高さを抑えることができ、浴槽への出入り等に係る利便性や安全性を高めることが可能となる。
【0013】
手段2.前記槽体は、
前記取付孔が貫通形成されるとともに、前記止水平面を有する被係止壁部と、
前記鍔部の外側に配置される外側壁部と、
前記被係止壁部及び前記外側壁部を連接する連接壁部とを備え、
前記外側壁部は、前記被係止壁部側に近づくにつれて前記本体部の中心軸から徐々に離れる形状を有することを特徴とする手段1に記載の排水栓装置。
【0014】
上記手段2によれば、外側壁部は、被係止壁部側に近づくにつれて本体部の中心軸から徐々に離れる形状を有している。従って、結果的に連接壁部を本体部からより離れた位置に形成することができ、ひいては鍔部が係止される止水平面の面積をより大きく確保することができる。これにより、止水平面に対する鍔部の掛かり代を十分に確保することが可能となり、排水口部材の取付状態をより安定的なものとすることができる。
【0015】
手段3.前記鍔部及び前記止水平面に挟み込まれた状態で設置される環状のパッキン部を有し、
前記被係止壁部及び前記外側壁部は、前記連接壁部側に向けて徐々に下がる形状をなすとともに、前記槽体における前記被係止壁部から前記外側壁部にかけての部位には凹みが形成されており、
前記パッキン部は、前記凹みの少なくとも一部を埋めた状態で設けられることを特徴とする手段2に記載の排水栓装置。
【0016】
上記手段3によれば、パッキン部によって、槽体における被係止壁部から外側壁部にかけての部位に形成された凹みに水が溜まることを抑制できる。従って、当該凹みに水が溜まることによる水垢や汚れの付着を抑えることができ、清掃性や衛生性を向上させることができる。
【0017】
手段4.前記取付孔は、前記槽体の底壁部から当該槽体の側壁部にかけての部位に、鉛直方向に対し斜めに貫通形成されるとともに、
前記本体部は、その延びる方向が鉛直方向に対し斜めになった状態で前記取付孔に挿通され、
前記支持軸の往復移動方向は、鉛直方向に対し斜めとなるように設定されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の排水栓装置。
【0018】
上記手段4によれば、槽体の底壁部に対する本体部などの下方に向けた突出量を抑えることができる。これにより、外部から装置に対しダメージが加わることをより一層生じにくくしたり、装置の設置自由度をより高めたりすることができる。また、槽体が浴槽である場合には、浴槽の底壁部の設置高さを抑えることができ、その結果、浴槽への出入り等に係る利便性や安全性を高めることが可能となる。
【0019】
手段5.前記鍔部は、前記栓蓋よりも上方位置に配置される鍔部上側部を有し、
前記支持軸の往復移動方向を高さ方向としたときにおいて、前記排水流路が開状態であるときに、前記栓蓋の外縁部上部と前記鍔部上側部の表面とがほぼ同じ高さとなるように構成されていることを特徴とする手段4に記載の排水栓装置。
【0020】
尚、「ほぼ同じ高さ」とあるのは、栓蓋の外縁部上部と鍔部上側部の表面とが厳密に同一の高さ位置に設定される場合のみならず、鍔部上側部の表面に対し栓蓋の外縁部上部が若干(例えば3mm以下)の高さ又は深さだけ出没した状態となる場合も含むという趣旨である。
【0021】
栓蓋が踏み付けられたり重量物が載置されたりした場合など、栓蓋に対し鉛直下向きの大きな負荷が加わった場合、栓蓋や支持軸などの破損や変形が生じるおそれがある。ここで、支持軸が鉛直方向に沿って往復移動する構成では、例えばアブソーバスプリングなどの緩衝用の部品を支持軸などに設けることで、栓蓋へと鉛直下向きの大きな負荷が加わった場合における栓蓋や支持軸等の破損や変形を防ぐことができる。しかしながら、支持軸の往復移動方向が鉛直方向に対し斜めである場合、緩衝用部品を設けたとしても、栓蓋に対し鉛直下向きの大きな負荷が加わったときにその負荷をほとんど緩衝することができないおそれがある。
【0022】
この点、上記手段5によれば、支持軸の往復移動方向が鉛直方向に対し斜めとなっており、栓蓋へと鉛直下向きの大きな負荷が加わった場合における栓蓋等の破損や変形が懸念されるところ、支持軸の往復移動方向を高さ方向としたときにおいて、排水流路が開状態であるときに、栓蓋の外縁部上部と鍔部上側部の表面(槽体の貯水空間側に位置する面)とがほぼ同じ高さとなるように設定されている。従って、栓蓋(特に栓蓋の外縁部上部)に対する踏み付けや重量物の載置などをより生じにくくすることができ、栓蓋に対し鉛直下向きの大きな負荷が加わることをより確実に防止できる。その結果、栓蓋や支持軸などにおける破損や変形を効果的に防ぐことができる。
【0023】
また、上記手段5によれば、栓蓋(特に栓蓋の外縁部上部)に対する踏み付けや、栓蓋及び排水口部材間の隙間に対する体の一部(例えば手の指や足の指など)の入り込みをより確実に防ぐことができ、安全性の更なる向上を図ることができる。
【0024】
手段6.前記支持軸が往復移動可能な状態で内側に配置される筒状の保持部を有するとともに、前記排水流路に設置されるアタッチメント部材を備え、
前記アタッチメント部材は、前記保持部の外周部から突出するリブ部を有し、
前記栓蓋は、
前記支持軸の先端部が取付けられる板状の蓋部と、
前記蓋部の裏面から突出して前記保持部の外周に配置される筒状のガイド部とを有し、
少なくとも前記排水流路が開状態であるときにおいて前記栓蓋に鉛直下向きの負荷が加わった場合に、前記ガイド部が前記リブ部と接触するとともに当該ガイド部から当該リブ部へと負荷が伝達されるように構成されていることを特徴とする手段4又は5に記載の排水栓装置。
【0025】
上記手段6によれば、排水流路が開状態であるときにおいて栓蓋に鉛直下向きの負荷が加わった場合、ガイド部がリブ部と接触するとともに、ガイド部からリブ部に負荷が伝達されるようになっている。従って、栓蓋に鉛直下向きの負荷が加わったときに、負荷の分散を図ることができ、栓蓋(蓋部)及び支持軸の取付箇所や支持軸等に負荷が集中的に加わることをより確実に防止できる。その結果、栓蓋や支持軸などにおける破損や変形を効果的に防ぐことができる。
【0026】
手段7.前記支持軸、及び、当該支持軸が内周に配置される筒状のケース部を有してなる支持軸機構と、
端部が前記ケース部に直接又は間接的に取付けられた筒状のチューブ部材、及び、当該チューブ部材の内周に往復移動可能な状態で配置された伝達部材を有し、当該伝達部材の往復移動に伴い前記支持軸が往復移動するように構成されたレリースワイヤと、
外向きに突出する外向突部を一端部に具備するとともに、前記排水口部材が内周に挿通されつつ前記鍔部及び前記外向突部により前記槽体を挟み込んだ状態で設置される筒状の取付用部材とを備え、
前記レリースワイヤは、前記支持軸機構から斜め下方に向けて突出した状態で設置されており、
前記外向突部には、前記レリースワイヤを引っ掛けた状態で保持する引掛保持部が設けられ、
前記支持軸機構における前記レリースワイヤが突出する部位の正面に設けられ、当該レリースワイヤと接触することで、当該レリースワイヤを湾曲させて前記引掛保持部側へと案内可能な案内部を備えることを特徴とする手段4乃至6のいずれかに記載の排水栓装置。
【0027】
レリースワイヤが支持軸機構から斜め下方に向けて突出した状態で設置される場合において、レリースワイヤを特段保持しない構成とすると、レリースワイヤの収まりが悪いものとなり、美観やレリースワイヤの保護(破損防止)といった点で不具合が生じるおそれがある。
【0028】
この点、上記手段7によれば、案内部によってレリースワイヤを引掛保持部側へと案内し、引掛保持部によってレリースワイヤを引っ掛けた状態で保持することができる。従って、レリースワイヤの収まりが良くなり、美観の向上やレリースワイヤのより確実な保護(破損防止)を図ることができる。特に上記手段7によれば、引掛保持部は、鍔部との間で槽体を挟み込む外向突部に設けられているため、槽体の近傍位置にてレリースワイヤを保持することができ、美観の向上やレリースワイヤの保護を非常に効果的に図ることができる。
【0029】
また、レリースワイヤを引っ掛けた状態で保持する構成であるため、引掛保持部に対するレリースワイヤの保持及び取外を容易に行うことができ、装置の設置やメンテナンス等に係る利便性をより高めることができる。
【0030】
さらに、案内部によって、レリースワイヤにおける支持軸機構から突出した部位の保護を効果的に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】正面から見たときにおける排水栓装置などを示す図である。
図2】浴槽などの概略構成を示す斜視模式図である。
図3図1のJ-J線断面図である。
図4】正面から見たときにおける排水口部材などを示す図である。
図5】アタッチメント部材の斜視図である。
図6】排水流路を開状態としたときにおける図3のK-K線断面図である。
図7】正面から見たときにおけるアタッチメント部材などを示す図である。
図8】栓蓋の斜視図である。
図9】排水流路を開状態としたときにおける排水栓装置の断面図である。
図10】栓蓋及びアタッチメント部材の位置関係を示す斜視図である。
図11】浴槽の裏側から見たときにおける排水栓装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。排水栓装置1は、槽体としての浴槽100において、貯水可能な状態と排水可能な状態とを切換えるための装置であり、図1及び図2に示すように、浴槽100における底壁部101から側壁部102にかけた部位に設けられている。尚、底壁部101は、浴槽100の底面を構成する部位であり、その上面が排水栓装置1側に向けて僅かに下がる傾斜面状をなすように構成されている。側壁部102は、底壁部101の周縁に立設された部位であり、本実施形態では、底壁部101に連続する部位が湾曲面状をなすように構成されている。排水栓装置1の説明に先立って、まず、浴槽100及びその周囲の構成についてより詳しく説明する。
【0033】
浴槽100は、図3に示すように、底壁部101から側壁部102にかけての部位に貫通形成された取付孔103を備えており、当該取付孔103に対応して排水栓装置1が設置されている。取付孔103は、鉛直方向に対し斜めに貫通形成されている。
【0034】
また、取付孔103は、正面(浴槽100の貯水空間側)から見たとき、横方向が縦方向(横方向と直交する方向)よりも長い横長形状とされている。本実施形態において、正面から見たときにおける取付孔103の形状は、横方向に延びる平行な2本の長辺部と、これら二本の長辺部の端部同士を結ぶ2本の湾曲状の短辺部とからなる長円と同一の形状とされている。尚、本実施形態において、横方向とは、取付孔103の形成された側壁部102の幅方向(すなわち平面視したときにおける側壁部102の延びる方向)であり、図1にて太線矢印で示す方向をいう。
【0035】
加えて、浴槽100は、取付孔103が貫通形成されてなる、取付孔103の周囲に位置する被係止壁部104を備えている。被係止壁部104は、正面視、取付孔103よりも一回り大きな長円形状をなしている。また、被係止壁部104は、後述する鍔部22が直接又は間接的に(本実施形態では後述するパッキン部9を介して間接的に)係止される止水平面104aを備えている。止水平面104a(止水平面104aを含む仮想面VS)は、非水平とされており、水平面に対する止水平面104a(前記仮想面VS)のなす角のうち鋭角の角度αは比較的大きなもの(例えば45°以上であり、本実施形態では60°以上)とされている。
【0036】
また、浴槽100(底壁部101)には、後述する鍔部22(特に後述する鍔部下側部22b)の外側に配置される外側壁部105と、被係止壁部104及び外側壁部105を連接する湾曲状の連接壁部106とが設けられている。そして、外側壁部105は、被係止壁部104側に近づくにつれて後述する本体部21の中心軸CLから徐々に離れる形状を有している。また、被係止壁部104(特に連接壁部106に続く部位)及び外側壁部105は、それぞれ連接壁部106側に向けて徐々に下がる形状をなしており、その結果、浴槽100における被係止壁部104から外側壁部105にかけての部位には凹み107が形成されている。
【0037】
図2に戻り、本実施形態における浴槽100は、例えば介護施設などで利用されるものであり、ほぼ平坦面状をなす設置面111上に設置されている。設置面111は、浴室床面において若干だけ窪んだ部分により構成されており、当該窪み部分は防水パンとしても機能するようになっている。
【0038】
また、設置面111には、2本のガイド用レール111aが平行に設けられており、各ガイド用レール111aに対し、浴槽100の底壁部101に設けられたガイド車輪(図示せず)が載置された状態となっている。そして、浴槽100は、次述する洗い場112側から見て左右方向(ガイド用レール111aの延びる方向であり、図2にて黒塗り矢印で示す方向)にスライド移動可能となっている。尚、設置面111には図示しない排水溝が設けられており、当該排水溝に対し、排水栓装置1を経て浴槽100から排出された水が流れ込むようになっている。
【0039】
加えて、浴室床面のうち浴槽100と隣接する位置には、洗い場112が設置されている。本実施形態において、設置面111に対する洗い場112(の上面)の高さは、比較的小さなもの(例えば20mm以下)とされており、従来の高さ(例えば30mm以上)よりも十分に小さなものとされている。つまり、本実施形態では、従来のような洗い場112に対し設置面111が比較的大きく落ち込んだ構成ではなく、設置面111が洗い場112(の上面)とほぼ同じ高さに設けられている。
【0040】
次いで、排水栓装置1について説明する。排水栓装置1は、図3に示すように、排水口部材2、取付用部材3、アタッチメント部材4、支持軸機構5、レリースワイヤ6、栓蓋7及び案内部8を備えている。
【0041】
まず、排水口部材2について説明する。排水口部材2は、取付孔103に挿通された状態で設置される筒状部品である。排水口部材2は、図3,4に示すように、本体部21、鍔部22及びアタッチメント支持部23を備えている。尚、図4は、アタッチメント部材4や支持軸機構5等を取外した状態において、正面(浴槽100の貯水空間側)から見たときにおける排水口部材2等を示す図である。
【0042】
本体部21は、取付孔103の形状に対応する横長の長円筒状部分と、当該長円筒状部分の一端部から浴槽100の貯水空間側に向けて徐々に広がる形状をなす拡幅部分とを備えている。前記長円筒状部分は、横方向に延び相対向する平行な2つの平板状部分と、当該平板状部分の端部同士に連なる2つの湾曲板状部分とを備えた形状となっている。また、本実施形態において、前記平板状部分の内側面には、後述する係止取付部47を係止するための段部21aが形成されている。
【0043】
また、本体部21の内側空間は、浴槽100に貯留された水の排出時に排水の流れ込む排水流路24を構成している。排水流路24は、正面(浴槽100の貯水空間側)から見たとき、横方向が縦方向よりも長い横長形状(本実施形態では、長円形状)とされている。
【0044】
加えて、本体部21は、その延びる方向が鉛直方向に対し斜めになった状態で取付孔103に挿通されている。そして、本体部21の延びる方向(本体部21の中心軸CL方向)は、止水平面104a(止水平面104aを含む仮想面VS)に対し非直角となっている。本実施形態において、止水平面104a(仮想面VS)に対する本体部21の中心軸CLのなす角のうち鋭角の角度は、所定値(例えば、80°)以下とされている。
【0045】
鍔部22は、本体部21における一端側外周に突出形成されており、主として浴槽100に対する排水口部材2の取付に利用される。鍔部22は、全体として、取付孔103よりも1回り大きな長円形状であって、止水平面104aに対応する形状をなしている。
【0046】
また、鍔部22は、栓蓋7(特に後述する蓋部711)よりも上方に配置される鍔部上側部22aと、栓蓋7(蓋部711)よりも下方に配置される鍔部下側部22bとを備えている。鍔部上側部22a及び鍔部下側部22bは、正面(浴槽100の貯水空間側)から見たとき、それぞれ横方向に延びており、平行となっている。
【0047】
鍔部上側部22aは、中心軸CLと直交する方向に沿った本体部21に対する突出量が比較的大きなものとされる一方、前記中心軸CL方向に沿った厚さが比較的小さなものとされている。これに対し、鍔部下側部22bは、前記中心軸CLと直交する方向に沿った本体部21に対する突出量が鍔部上側部22aの前記突出量よりも小さなものとされる一方、前記中心軸CL方向に沿った厚さが鍔部上側部22aの前記厚さよりも大きなものとされている。本実施形態では、上記のように鍔部上側部22a及び鍔部下側部22bの各厚さが設定されることで、本体部21の延びる方向が止水平面104aに対し非直角となっている。
【0048】
加えて、本実施形態では、鍔部下側部22bの大部分が前記凹み107に収まること等により、底壁部101の表面から本体部21の内側面にかけての部位は段差のほとんどない連続面状となっている。これにより、排水流路24に対する排水の流入が円滑に行われるようになっている。尚、外観品質や清掃性などの向上を図るべく、鍔部上側部22aの表面(前記貯水空間側の面)から側壁部102の表面にかけての部位が連続面状をなすように構成してもよい。
【0049】
アタッチメント支持部23は、排水流路24にてアタッチメント部材4を支持する役割を有する。アタッチメント支持部23は、縦方向に延びており、本体部21における前記2つの平板状部分の内側面同士に連結されている。また、アタッチメント支持部23は、後述する保持部41を間に置く位置に一対設けられている。尚、アタッチメント支持部23は、必ずしも本体部21の内側面同士を連結するものに限定されない。例えば、本体部21の内側面における相対向する部位から突出する2つの突起によって、アタッチメント支持部23を構成してもよい。
【0050】
また、本実施形態において、各アタッチメント支持部23の縦方向(長手方向)中心部、及び、本体部21の他端部における横方向両端部には、雌ねじ部25(図6参照)がそれぞれ設けられている。
【0051】
次に、取付用部材3について説明する。取付用部材3は、排水口部材2との間で浴槽100を挟み込んだ状態で設置されることにより、浴槽100に対し排水口部材2を取付ける機能などを有する。取付用部材3は、図3,6に示すように、筒状基部31、外向突部32及び補強支持部33を有している。
【0052】
筒状基部31は、本体部21における前記長円筒状部分よりも1回り大きな長円筒状部分を備えている。そして、筒状基部31における当該長円筒状部分の内周に、本体部21の前記長円筒状部分が挿通されている。
【0053】
外向突部32は、筒状基部31の一端部に突出形成されており、正面(前記貯水空間側)から見て長円形状をなしている。また、外向突部32における横方向両端部のそれぞれには、先端部が鉤状をなす引掛保持部32aが設けられている。引掛保持部32aは、レリースワイヤ6を引っ掛けた状態で保持するためのものである。尚、引掛保持部32aを1つのみ設けてもよい。また、所定のクリップを用いて、レリースワイヤ6のうち引掛保持部32aよりも先(支持軸機構5とは反対側)に配置される部位を浴槽100(例えば浴槽100の図示しない脚部など)に固定してもよい。
【0054】
補強支持部33は、アタッチメント支持部23を裏側から支持する役割を有する。補強支持部33は、縦方向に延びており、その両端部は筒状基部31の内側面に連結されている。
【0055】
本実施形態において、横方向に沿った補強支持部33の幅は、横方向に沿ったアタッチメント支持部23の幅以下とされており、補強支持部33の全域がアタッチメント支持部23と重なるように構成されている。これにより、補強支持部33に対する異物などの付着防止をより確実に図りつつ、補強支持部33の存在による排水能力の低下を防ぐことが可能となっている。
【0056】
加えて、補強支持部33の縦方向(長手方向)中心部や筒状基部31の他端部における横方向両端部であって前記雌ねじ部25に対応する位置には、後述する雄ねじ10が挿通される孔部34が貫通形成されている。
【0057】
上記のように構成された取付用部材3により、排水口部材2は次のようにして浴槽100に設置される。すなわち、排水口部材2の本体部21を取付孔103に挿通しつつ、当該本体部21を取付用部材3の筒状基部31に挿通した状態で、所定の雄ねじ10を前記孔部34を通して雌ねじ部25に螺合する。これにより、鍔部22及び外向突部32によって浴槽100(被係止壁部104)が挟み込まれた状態となり、排水口部材2が浴槽100に設置される。
【0058】
また、排水口部材2を設置した状態において、鍔部22と止水平面104aとの間には、弾性変形可能な材料(例えば樹脂やゴム等)からなる環状のパッキン部9が配置される。パッキン部9は、鍔部22及び止水平面104aに挟み込まれた状態で設置されており、取付孔103を通った漏水を防止する。また、パッキン部9は、前記凹み107の少なくとも一部を埋めた状態で設けられている。
【0059】
次に、アタッチメント部材4について説明する。アタッチメント部材4は、支持軸機構5を保持するための部品である。アタッチメント部材4は、排水流路24に配置されており、栓蓋7を正面(浴槽100の貯水空間側)から見たときにおいて当該栓蓋7の裏側に位置している。
【0060】
アタッチメント部材4は、図5に示すように、保持部41、縦方向リブ部42、横方向リブ部43、板状部44、外側垂下部45、内側垂下部46及び係止取付部47を備えている。本実施形態では、横方向リブ部43が「リブ部」に相当する。
【0061】
保持部41は、支持軸機構5を保持するためのものである。保持部41は、円筒状をなしており、排水流路24における横方向及び縦方向のそれぞれ中心部に位置している(図7参照)。尚、図7は、支持軸機構5や栓蓋7等を取外した状態において、正面(前記貯水空間側)から見たときのアタッチメント部材4等を示す図である。
【0062】
縦方向リブ部42及び横方向リブ部43は、保持部41を支持するとともに、後述するガイド部713と協働することによって栓蓋7の回転や傾きを抑制する等の機能を有する。
【0063】
縦方向リブ部42は、保持部41の外周部から縦方向に突出する部位であって、保持部41の中心軸を間に置く位置に一対設けられている。一方、横方向リブ部43は、保持部41の外周部のうち、保持部41の周方向に沿った両縦方向リブ部42間の中央部から横方向に突出しており、保持部41の中心軸を間に置く位置に一対設けられている。従って、本実施形態において、縦方向リブ部42及び横方向リブ部43は、保持部41の周方向に沿って等間隔かつ交互に設けられている。
【0064】
また、縦方向リブ部42及び横方向リブ部43における保持部41とは反対側の端部は、それぞれ板状部44に連結されている。特に本実施形態では、縦方向リブ部42及び横方向リブ部43は、その表面(浴槽100の貯水空間側の面)が板状部44の表面に面一となった状態で板状部44に連結されている。従って、縦方向リブ部42及び横方向リブ部43から板状部44にかけての部位は、段差のない平坦な形状となっている。
【0065】
また、縦方向リブ部42は、その表面の幅方向両端縁から垂下する2つの側面を備えており、これら2つの側面は平行となっている。また同様に、横方向リブ部43は、その表面の幅方向両端縁から垂下する2つの側面を備えており、これら2つの側面は平行となっている。
【0066】
板状部44は、アタッチメント支持部23などの目隠しとして機能するとともに、排水栓装置1における排水流路24に位置する部分(特に浴槽100の貯水空間側に位置する部分)の形状を簡素化させて清掃性などの向上を図る等の機能を有する。板状部44は、中央部に孔の形成された矩形板状をなしており、板状部44の表面(前記貯水空間側の面)は、凹凸のない平坦面状とされている。
【0067】
また、板状部44は、前記一対のアタッチメント支持部23に架け渡された状態でこれらアタッチメント支持部23に載置されており、板状部44でアタッチメント支持部23の表面(前記貯水空間側の面)全域が覆われている。その結果、アタッチメント支持部23は、外部(例えば貯水空間側)から視認不能又は視認困難となっている(図7参照)。
【0068】
加えて、板状部44は、保持部41の外周部との間で、後述するガイド部713(脚部713a)が配置される隙間を形成する内縁部44aを具備している。内縁部44aは、正面(浴槽100の貯水空間側)から見て円弧状をなしている。さらに、内縁部44aの全域は、正面視したとき、一対のアタッチメント支持部23よりも保持部41側に位置している。すなわち、内縁部44aは、一対のアタッチメント支持部23の間に位置しており、結果的に、横方向リブ部43は、アタッチメント支持部23に至らない程度の比較的短いものとなっている。尚、本実施形態において、横方向リブ部43の長さ(保持部41からの突出量)は、縦方向リブ部42の長さと同一とされている。
【0069】
外側垂下部45及び内側垂下部46は、排水流路24におけるアタッチメント部材4の移動をより確実に規制する等の役割を有する。外側垂下部45は、板状部44におけるその長手方向(横方向)の両端縁から垂下する部位であって、一対設けられている。各外側垂下部45は、アタッチメント支持部23における保持部41とは反対側に位置する側面に隣接配置されている。また、本実施形態において、各外側垂下部45における保持部41とは反対側に位置する側面のうち幅方向中央側に位置する面は、平坦面状をなしている。
【0070】
さらに、本実施形態では、アタッチメント部材4の外側垂下部45の側面と排水口部材2の内側面との間に、リブなどの構造物の存在しない通水部が二箇所形成される。主として排水は、排水流路24のうち当該通水部を通ることになる。
【0071】
内側垂下部46は、板状部44における内縁部44aと外側垂下部45との間の部位から垂下する部位であり、外側垂下部45と平行でかつ相対向するようにして一対設けられている。内側垂下部46は、アタッチメント支持部23における保持部41側に位置する側面に隣接配置されている。
【0072】
また、外側垂下部45及び内側垂下部46は、それぞれアタッチメント支持部23の側面から補強支持部33の側面にかけて設けられている。従って、外側垂下部45及び内側垂下部46でアタッチメント支持部23及び補強支持部33の接触境界が覆われた状態となっている。これにより、アタッチメント支持部23及び補強支持部33間に対する汚れの付着や異物の侵入をより確実に防止することが可能となっている。
【0073】
係止取付部47は、アタッチメント部材4を排水口部材2へと取付けるために利用される。係止取付部47は、板状部44におけるその短手方向(縦方向)の端縁であって、縦方向リブ部42と内側垂下部46との間に位置する部位から垂下している。係止取付部47の先端部には突起が設けられており、当該突起が前記段部21aに係止されることで、排水口部材2に対しアタッチメント部材4が取付けられている。
【0074】
次に、支持軸機構5について説明する。支持軸機構5は、栓蓋7を往復移動させて排水流路24の開閉状態を切換えるための機構である。支持軸機構5は、図3,6に示すように、ケース部51及び支持軸52を備えている。
【0075】
ケース部51は、円筒状をなしており、保持部41の内周においてこれにより保持されている。その結果、支持軸機構5は、排水流路24における横方向及び縦方向の各中心に設置された状態となっている。また、本実施形態において、ケース部51には、レリースワイヤ6の後述するチューブ部材61が図示しない所定部品を介して間接的に取付けられている。尚、ケース部51に対しチューブ部材61が直接取付けられる構成であってもよい。
【0076】
支持軸52は、先端部が閉塞した円筒状をなしており、少なくとも一部が排水口部材2の内側空間に配置されている。支持軸52は、本体部21の中心軸CL方向(すなわち鉛直方向に対し斜め方向)に沿って往復移動可能な状態で、保持部41の内側(本実施形態ではケース部51の内周)に配置されている。従って、支持軸52の往復移動方向は、止水平面104a(止水平面104aを含む仮想面VS)に対し非直角となっている。
【0077】
また、支持軸52の一端部(先端部)は、ケース部51の一端側開口から当該ケース部51外に出ており、栓蓋7(後述する蓋部711)の裏面中央部分に設けられた後述する軸被取付部712に嵌合されている。これにより、支持軸52の一端部に栓蓋7が取付けられ、支持軸52によって栓蓋7が支持された状態となっている。
【0078】
尚、支持軸52の内部には、支持軸52の往復移動方向に沿って弾性変形可能なアブソーバスプリング(不図示)が設けられている。支持軸52の往復移動方向に沿った負荷が栓蓋7に加わったときには、前記アブソーバスプリングが圧縮変形することによってその負荷が吸収され、その結果、支持軸52やアタッチメント部材4等における破損や変形をより効果的に防止可能となっている。
【0079】
また、ケース部51内には、戻しばね(不図示)が圧縮状態で配置されている。当該戻しばねは、栓蓋7をその復動方向(斜め下方向)に引き込むためのものであり、当該戻しばねから支持軸52に対し復動方向(斜め下方向)に沿った力が付与されている。
【0080】
次いで、レリースワイヤ6について説明する。レリースワイヤ6は、図示しない操作部(例えば、往復移動可能な操作ボタンや回動可能な操作ハンドルなど)を変位させることで生じた駆動力を栓蓋7側へと伝達するためのものである。本実施形態において、レリースワイヤ6は、支持軸機構5から斜め下方に突出した状態で設けられている。レリースワイヤ6は、筒状のチューブ部材61と、当該チューブ部材61内にて往復移動可能な状態で配置された伝達部材62(例えば、ワイヤ等)とを備えている。
【0081】
チューブ部材61は、その一端部がケース部51に接続される一方、その他端部が前記操作部を有する操作装置(不図示)に接続されており、伝達部材62を操作装置側から栓蓋7側へと案内する。尚、前記操作装置には、伝達部材62を往動(前記操作装置側から栓蓋7側に移動)した状態でロック可能なロック機構(不図示)が設けられている。そして、前記操作部に対し所定の操作を行う度に、前記ロック機構による伝達部材62のロック及びロック解除が交互に行われるようになっている。尚、前記ロック機構を支持軸機構5に設けてもよい。
【0082】
伝達部材62は、前記操作部の変位に伴いチューブ部材61内にて往復移動する。伝達部材62の一端部は支持軸52と接触可能とされており、伝達部材62の往復移動に伴い支持軸52が往復移動するようになっている。
【0083】
次いで、栓蓋7について説明する。栓蓋7は、排水流路24を開閉するための栓であり、支持軸52の往復移動に伴い鉛直方向に対し斜めに往復移動する。栓蓋7は、図8に示すように、栓蓋本体部71と、当該栓蓋本体部71に取付けられた、弾性変形可能な材料からなる閉鎖用パッキン部72とを有している。
【0084】
栓蓋本体部71は、蓋部711、軸被取付部712(図3,6参照)、ガイド部713及びサイド側突出部714を備えている。本実施形態において、栓蓋本体部71は、2つの部品を組み合わせることで構成されている。尚、栓蓋本体部71を1つの部品によって構成してもよい。
【0085】
蓋部711は、外部(浴槽100の貯水空間側)から排水流路24を視認困難として外観品質を向上させるとともに、閉鎖用パッキン部72とともに排水流路24の開閉機能を担う部位である。蓋部711は、扁平板状をなしており、正面から見たとき、排水流路24の形状に対応する横長形状(本実施形態では長円形状)となっている。
【0086】
軸被取付部712は、栓蓋7(蓋部711)を支持軸52へと取付けるための部位である。軸被取付部712は、短筒状をなしており、前記蓋部711の裏面中央部分に形成されている。
【0087】
ガイド部713は、栓蓋7が往復移動するときにおける当該栓蓋7のガイドや、支持軸52に対する栓蓋7の取付位置を中心とした栓蓋7の回転及び傾きの規制などを担う部位である。ガイド部713は、軸被取付部712の外側において蓋部711の裏面に突出形成された円筒状部位であり、保持部41の外周に配置されている(図3,6参照)。また、ガイド部713には、次述するセンター側スリット713b及びサイド側スリット713cによって当該ガイド部713の周方向に沿って分離された複数(本実施形態では4本)の脚部713aが設けられている。
【0088】
さらに、ガイド部713は、それぞれ支持軸52の往復移動方向に延びるとともに、蓋部711とは反対側にて開口するセンター側スリット713b及びサイド側スリット713cを備えている。センター側スリット713b及びサイド側スリット713cは、ガイド部713の周方向に沿って等間隔かつ交互に設けられている。
【0089】
センター側スリット713bは、縦方向リブ部42が配置されるスリットである。そして、ガイド部713(脚部713a)のうちセンター側スリット713bを形成する部位の少なくとも一部には、支持軸52の往復移動方向に沿って平行に延びるセンター側平行部713dが設けられている。センター側平行部713dは、ガイド部713(脚部713a)における相対向する2つの平行面によって構成されている。
【0090】
サイド側スリット713cは、横方向リブ部43が配置されるスリットである。そして、ガイド部713(脚部713a)のうちサイド側スリット713cを形成する部位の少なくとも一部には、支持軸52の往復移動方向に沿って平行に延びるサイド側平行部713eが設けられている。サイド側平行部713eは、ガイド部713(脚部713a)における相対向する2つの平行面によって構成されている。
【0091】
サイド側突出部714は、支持軸52に対する栓蓋7の取付位置を中心とした栓蓋7の回転及び傾きをより確実に規制するためのものである。サイド側突出部714は、蓋部711の裏面から突出するとともに、ガイド部713を間に置く位置に一対設けられている。本実施形態において、各サイド側突出部714は、それぞれ縦方向に離間した2本の突起によって構成されている。また、各サイド側突出部714におけるガイド部713側の側面(前記2本の突起におけるガイド部713側の側面)には、支持軸52の往復移動方向に沿って延びる直線部714aが設けられている。
【0092】
閉鎖用パッキン部72は、長円板状をなしており、栓蓋本体部71を構成する前記2つの部品によって挟み込まれることで、栓蓋本体部71に取付けられている(図6参照)。閉鎖用パッキン部72の外縁形状は、蓋部711の外縁形状とほぼ同一である。従って、正面(浴槽100の貯水空間側)から見た状態において、蓋部711によって閉鎖用パッキン部72が隠れ、より良好な美観が得られるようになっている。
【0093】
次に、案内部8について説明する。案内部8は、支持軸機構5におけるレリースワイヤ6が突出する部位の正面に設けられており、レリースワイヤ6の保護を図りつつ、レリースワイヤ6を引掛保持部32a側へと案内するためのものである。案内部8は、図3に示すように、U字状に湾曲した板状部位であり、取付用部材3の他端側に設けられている。図示はしていないが、案内部8は、レリースワイヤ6と接触することで、当該レリースワイヤ6を湾曲させて引掛保持部32a側へと案内する。
【0094】
また、正面(浴槽100の貯水空間側)から見たときに、案内部8は、外側垂下部45の側面よりも外側(横方向)に突出しないように構成されている。従って、主として排水は、排水流路24のうち前記通水部を通るところ、当該通水部を通った排水の流れが案内部8によって阻害されないようになっている。尚、本実施形態において、案内部8は、取付用部材3と一体的に形成されているが、両者を別体で設けてもよい。
【0095】
上記のように構成された排水栓装置1においては、次のようにして排水流路24の開閉状態が切換えられる。すなわち、前記操作部に対する操作に伴い伝達部材62を往動させることで、支持軸52及び栓蓋7が往動(斜め上方に移動)する。そして、前記ロック機構によって伝達部材62がロックされることで、閉鎖用パッキン部72が排水口部材2の内側面から離間した状態で維持される。その結果、排水流路24が開状態とされる(図6,9参照)。
【0096】
一方、排水流路24が開状態であるときに、前記操作部に対する操作に伴い、伝達部材62を若干往動させることで、前記ロック機構による伝達部材62のロックが解除される。ロック解除に伴い、前記戻りばねにより支持軸52及び栓蓋7が復動(斜め下方に移動)し、閉鎖用パッキン部72の外周部分全域が排水口部材2の内側面と接触する。その結果、排水流路24が閉状態とされる(図3参照)。
【0097】
また、本実施形態では、少なくとも排水流路24が開状態であるとき、図10に示すように、センター側平行部713dは、縦方向リブ部42を挟みつつ当該縦方向リブ部42の両側面に近接した状態で配置される。尚、「近接した状態」とあるのは、若干(例えば1mm以下であり、好ましくは0.5mm以下)の隙間を介して配置されている状態のみならず、接触している状態も含む(以下、同様)。従って、少なくとも排水流路24が開状態であるとき、センター側平行部713dは、縦方向リブ部42における一方の側面に対し若干の隙間を介して隣接配置された又は接触した状態となり、かつ、縦方向リブ部42における他方の側面に対し若干の隙間を介して隣接配置された又は接触した状態となっている。
【0098】
さらに、少なくとも排水流路24が開状態であるとき、サイド側平行部713eは、横方向リブ部43を挟みつつ当該横方向リブ部43の両側面に近接した状態で配置される。すなわち、少なくとも排水流路24が開状態であるとき、サイド側平行部713eは、横方向リブ部43における一方の側面に対し若干の隙間を介して隣接配置された又は接触した状態となり、かつ、横方向リブ部43における他方の側面に対し若干の隙間を介して隣接配置された又は接触した状態となっている。
【0099】
加えて、図10,11に示すように、少なくとも排水流路24が開状態であるときにおいて、一対のサイド側突出部714における各直線部714aは、外側垂下部45の側面(保持部41とは反対側の側面における平坦面状部位)に対し平行かつ近接した状態で配置される。すなわち、少なくとも排水流路24が開状態であるとき、一方のサイド側突出部714の直線部714aは、一方の外側垂下部45の側面に対し若干の隙間を介して隣接配置された又は接触した状態となり、かつ、他方のサイド側突出部714の直線部714aは、他方の外側垂下部45の側面に対し若干の隙間を介して隣接配置された又は接触した状態となっている。
【0100】
併せて、排水流路24が開状態であるときにおいては、支持軸52の往復移動方向(中心軸CL方向)を高さ方向としたときに、栓蓋7(蓋部711)の外縁部上部と鍔部上側部22aの表面(浴槽100の貯水空間側を向く面)とがほぼ同じ高さとなるように、栓蓋7及び鍔部上側部22aの位置関係が設定されている(図3参照)。尚、鍔部上側部22aの表面の高さが各部で異なる場合には、鍔部上側部22aの表面におけるいずれかの部位が、栓蓋7の外縁部上部とほぼ同じ高さとなっていればよい。また、「ほぼ同じ高さ」とあるのは、栓蓋7(蓋部711)の外縁部上部と鍔部上側部22aの表面とが厳密に同一の高さ位置に設定される場合のみならず、鍔部上側部22aの表面に対し栓蓋7(蓋部711)の外縁部上部が若干(例えば3mm以下)の高さ又は深さだけ出没した状態も含む。
【0101】
加えて、上記のように、サイド側平行部713eが横方向リブ部43を挟みつつ当該横方向リブ部43の両側面に近接した状態で配置されることで、少なくとも排水流路24が開状態であるときにおいて栓蓋7(蓋部711)に鉛直下向きの負荷が加わった場合には、ガイド部713が横方向リブ部43と接触するとともに、ガイド部713から横方向リブ部43へと負荷が伝達されるようになっている。つまり、少なくとも排水流路24が開状態であるときにおいて栓蓋7(蓋部711)に鉛直下向きの負荷が加わった場合に、少なくとも横方向リブ部43へと負荷が分散して伝わるようになっている。
【0102】
以上詳述したように、本実施形態によれば、本体部21の延びる方向(本体部21の中心軸CL方向)及び支持軸52の往復移動方向は、それぞれ止水平面104a(仮想面VS)に対し非直角とされている。従って、本体部21の延びる方向や支持軸52の往復移動方向を止水平面104aに対し斜めにすることができ、これら方向が止水平面104aに対し直角となる構成と比べて、止水平面104aを基準とした(止水平面104aと直交する方向に沿った)支持軸52の往復移動量や本体部21の長さをより小さなものとすることができる。これにより、排水栓装置1を全体的によりコンパクトにまとめることが可能となる。その結果、外部から排水栓装置1に対しダメージが加わることをより生じにくくしたり、排水栓装置1の設置自由度を高めたりすることができる。
【0103】
また、本実施形態のように、止水平面が水平ではなく、水平面に対する止水平面104aのなす角度αが比較的大きい(例えば、45°以上の)場合であっても、本体部21の延びる方向を鉛直方向に近い方向、すなわち排水性能の点でより好ましい方向に容易に設定することができる。従って、良好な排水性能をより確実に得ることが可能となる。
【0104】
さらに、取付孔103は、底壁部101から側壁部102にかけての部位に鉛直方向に対し斜めに貫通形成されるとともに、本体部21の延びる方向及び支持軸52の往復移動方向は、鉛直方向に対し斜めとされている。そのため、底壁部101に対する本体部21などの下方に向けた突出量を抑えることができる。これにより、外部から排水栓装置1に対しダメージが加わることをより一層生じにくくしたり、排水栓装置1の設置自由度をより高めたりすることができる。また、本実施形態のような、浴室床面に載置され、介護者等が前記床面に立って介助などを行うことがあるタイプの浴槽100に対し上記排水栓装置1を適用することで、前記床面に対する浴槽100の底壁部101の設置高さを抑えることができ、浴槽100への出入り等に係る利便性や安全性を高めることが可能となる。
【0105】
加えて、外側壁部105は、被係止壁部104側に近づくにつれて本体部21の中心軸CLから徐々に離れる形状を有している。従って、結果的に連接壁部106を本体部21からより離れた位置に形成することができ、ひいては鍔部22(特に鍔部下側部22b)が係止される止水平面104aの面積をより大きく確保することができる。これにより、止水平面104aに対する鍔部22の掛かり代を十分に確保することが可能となり、排水口部材2の取付状態をより安定的なものとすることができる。
【0106】
さらに、パッキン部9は、凹み107の少なくとも一部を埋めた状態で設けられる。従って、パッキン部9によって凹み107に水が溜まることを抑制できる。これにより、凹み107に水が溜まることによる水垢や汚れの付着を抑えることができ、清掃性や衛生性を向上させることができる。
【0107】
併せて、支持軸52の往復移動方向を高さ方向としたときにおいて、排水流路24が開状態であるときに、栓蓋7(蓋部711)の外縁部上部と鍔部上側部22aの表面(浴槽100の貯水空間側に位置する面)とがほぼ同じ高さとなるように設定されている。従って、本実施形態のような、支持軸52の往復移動方向が鉛直方向に対し斜めとなっており、栓蓋7へと鉛直下向きの大きな負荷が加わった場合における栓蓋7等の破損や変形が懸念される構成において、栓蓋7(特に栓蓋7の外縁部上部)に対する踏み付けや重量物の載置などをより生じにくくすることができ、栓蓋7に対し鉛直下向きの大きな負荷が加わることをより確実に防止できる。その結果、栓蓋7や支持軸52などにおける破損や変形を効果的に防ぐことができる。また、栓蓋7(特に栓蓋7の外縁部上部)に対する踏み付けや、栓蓋7及び排水口部材2(本体部21)間の隙間に対する体の一部(例えば手の指や足の指など)の入り込みをより確実に防ぐことができ、安全性の更なる向上を図ることも可能となる。
【0108】
また、本実施形態では、排水流路24が開状態であるときにおいて栓蓋7に鉛直下向きの負荷が加わった場合であっても、ガイド部713が横方向リブ部43と接触するとともに、ガイド部713から横方向リブ部43に負荷が伝達されるようになっている。従って、栓蓋7に鉛直下向きの負荷が加わったときに、負荷の分散を図ることができ、栓蓋7(蓋部711)及び支持軸52の取付箇所(軸被取付部712)や支持軸52等に負荷が集中的に加わることをより確実に防止できる。その結果、栓蓋7や支持軸52などにおける破損や変形をより効果的に防ぐことができる。
【0109】
さらに、本実施形態では、案内部8によってレリースワイヤ6を引掛保持部32a側へと案内し、引掛保持部32aによってレリースワイヤ6を引っ掛けた状態で保持することができる。従って、レリースワイヤ6の収まりが良くなり、美観の向上やレリースワイヤ6のより確実な保護(破損防止)を図ることができる。特に本実施形態では、引掛保持部32aは外向突部32に設けられているため、浴槽100の近傍位置(浴槽100の裏面により近い位置)にてレリースワイヤ6を保持することができ、美観の向上やレリースワイヤ6の保護を非常に効果的に図ることができる。
【0110】
また、レリースワイヤ6を引っ掛けた状態で保持する構成であるため、引掛保持部32aに対するレリースワイヤ6の保持及び取外を容易に行うことができ、装置の設置やメンテナンス等に係る利便性をより高めることができる。さらに、案内部8によって、レリースワイヤ6における支持軸機構5から突出した部位の保護を効果的に図ることができる。
【0111】
加えて、少なくとも排水流路24が開状態であるときに、センター側平行部713dは、縦方向リブ部42を挟みつつ当該縦方向リブ部42の両側面に近接した状態で配置され、サイド側平行部713eは、横方向リブ部43を挟みつつ当該横方向リブ部43の両側面に近接した状態で配置されている。従って、栓蓋7に対し回転や傾きを生じさせるような力が加わったとしても、各平行部713d,713eが各リブ部42,43に対しほとんど傾いたり栓蓋7の回転方向(支持軸52に対する栓蓋7の取付部分を中心として栓蓋が回転すると仮定した場合における、栓蓋7の回転方向)に移動したりすることがなくなる。そのため、栓蓋7の回転や傾きの発生を極めて効果的に抑えることができる。また、本実施形態では、一対のサイド側突出部714における直線部714aのそれぞれが、外側垂下部45の側面に対し平行かつ近接した状態で配置されているため、栓蓋7の回転や傾きをより効果的に抑えることができる。
【0112】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0113】
(a)上記実施形態において、止水平面104aは非水平とされている。これに対し、例えば、底壁部101に取付孔103を貫通形成する場合などにおいては、止水平面104aを水平としてもよい。
【0114】
また、上記実施形態では、パッキン部9を介して鍔部22が止水平面104aに間接的に係止されているが、鍔部22が止水平面104aに対し直接係止されるように構成してもよい。
【0115】
(b)上記実施形態において、排水流路24は正面視長円形状とされているが、排水流路の形状はこれに限定されるものではなく、排水流路を、例えば正面視円形状や正面視矩形状、正面視楕円形状、正面視多角形状などとしてもよい。勿論、排水流路の形状に対応して、栓蓋7等の形状を適宜変更してもよい。
【0116】
(c)上記実施形態において、アタッチメント部材4は、排水口部材2に取付けられているが、アタッチメント部材4の取付対象は排水口部材2に限定されるものではない。従って、例えば、取付用部材3に対しアタッチメント部材4を取付けるように構成してもよい。
【0117】
また、上記実施形態におけるアタッチメント部材4の構成は一例であって、その構成を適宜変更してもよい。従って、例えば、保持部41と、当該保持部41から外側に突出するリブ部と、当該リブ部の先端部が内周面に連結される環状部とを備え、当該環状部が排水口部材2の内周面に取付可能に構成されたアタッチメント部材を用いてもよい。
【0118】
(d)上記実施形態においては、リブ部として横方向リブ部43が計2本設けられているが、リブ部の数や形状については適宜変更可能である。従って、例えば、リブ部を横方向に対し斜めに延びるものとし、排水流路24が開状態であるときにおいて栓蓋7に鉛直下向きの負荷が加わった場合に、ガイド部713が当該リブ部と接触するとともにガイド部713から当該リブ部へと負荷が伝達されるように構成してもよい。この場合、リブ部を3本以上(例えば4本)設けてもよい。
【0119】
(e)上記実施形態において、サイド側突出部714は2本の突起によって構成されているが、サイド側突出部の構成はこれに限定されるものではない。従って、例えば、外側垂下部45側を向く側面が平坦面状をなす1の突起(例えば板状の突起)によってサイド側突出部を構成してもよい。勿論、3つ以上の突起によってサイド側突出部を構成してもよい。尚、サイド側突出部を設けない構成であってもよい。
【0120】
(f)上記実施形態では、閉鎖用パッキン部72が排水口部材2の内側面と接触することで、排水流路24が閉状態となるように構成されているが、閉鎖用パッキン部72が排水口部材2以外の部位(例えば浴槽100)と接触することで、排水流路24が閉状態となるように構成してもよい。
【0121】
(g)上記実施形態において、浴槽100は、スライド移動可能な状態で設置されているが、移動不能な状態で設置されるものであってもよい。また、設置面111が洗い場112と同じ高さとなるように構成してもよい。さらに、浴槽100の側壁部102を外側から隠すようなエプロンを設けることとしてもよい。
【0122】
(h)上記実施形態では、槽体として浴槽100を挙げているが、本発明の技術思想を浴槽以外の槽体(例えば、洗面ボウルやキッチンの流し台など)に適用してもよい。
【符号の説明】
【0123】
1…排水栓装置、2…排水口部材、3…取付用部材、4…アタッチメント部材、5…支持軸機構、6…レリースワイヤ、7…栓蓋、8…案内部、9…パッキン部、21…本体部、22…鍔部、22a…鍔部上側部、24…排水流路、32…外向突部、32a…引掛保持部、41…保持部、43…横方向リブ部(リブ部)、51…ケース部、52…支持軸、61…チューブ部材、62…伝達部材、100…浴槽(槽体)、101…底壁部、102…側壁部、103…取付孔、104…被係止壁部、104a…止水平面、105…外側壁部、106…連接壁部、107…凹み、711…蓋部、713…ガイド部。
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