特開 2022-77063 排水栓装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2022077063

(43)【公開日】2022-05-23

(54)【発明の名称】排水栓装置

(51)【国際特許分類】

   E03C 1/22 20060101AFI20220516BHJP

   E03C 1/23 20060101ALI20220516BHJP

   A47K 1/14 20060101ALI20220516BHJP

【ＦＩ】

E03C1/22 B

E03C1/22 C

E03C1/23 Z

A47K1/14 B

【審査請求】未請求

【請求項の数】7

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2020187694

(22)【出願日】2020-11-11

(71)【出願人】

【識別番号】501362906

【氏名又は名称】積水ホームテクノ株式会社

(71)【出願人】

【識別番号】392028767

【氏名又は名称】株式会社日本アルファ

(74)【代理人】

【識別番号】100111095

【弁理士】

【氏名又は名称】川口 光男

(72)【発明者】

【氏名】上田 恭平

(72)【発明者】

【氏名】山田 卓実

(72)【発明者】

【氏名】谷 匠平

【テーマコード（参考）】

2D061

【Ｆターム（参考）】

2D061DA01

2D061DB03

2D061DE10

2D061DE11

2D061DE13

(57)【要約】

【課題】栓蓋の回転や傾きを効果的に抑制することができる排水栓装置を提供する。
【解決手段】排水栓装置１は、縦方向よりも横方向が長い横長形状をなす排水流路２４と、保持部４１、縦方向リブ部４２及び横方向リブ部４３を有するアタッチメント部材４と、保持部４１の外周に配置されるガイド部７１３を有する栓蓋７とを備える。ガイド部７１３のうちセンター側スリット７１３ｂを形成する部位にはセンター側平行部７１３ｄが設けられ、ガイド部７１３のうちサイド側スリット７１３ｃを形成する部位にはサイド側平行部７１３ｅが設けられる。排水流路２４が開状態であるときに、センター側平行部７１３ｄは、縦方向リブ部４２を挟みつつ縦方向リブ部４２の両側面に近接した状態で配置され、サイド側平行部７１３ｅは、横方向リブ部４３を挟みつつ横方向リブ部４３の両側面に近接した状態で配置される。
【選択図】 図１０

【特許請求の範囲】

【請求項1】

槽体の底側に設けられ、前記槽体に貯留された水の排出時に当該水の流れ込む排水流路を構成する流路構成部と、
往復移動可能に構成された支持軸を有してなる支持軸機構と、
内周にて前記支持軸機構を保持する筒状の保持部を有するとともに、前記排水流路に設置されるアタッチメント部材と、
前記支持軸に取付けられるとともに、前記排水流路を開閉するための栓蓋とを備え、
前記支持軸の往動に伴い前記栓蓋が所定の接触対象部から離間することで前記排水流路が開状態となる一方、前記支持軸の復動に伴い前記栓蓋が所定の接触対象部と接触することで前記排水流路が閉状態となるように構成された排水栓装置であって、
前記排水流路は、これを正面から見たときに、縦方向よりも横方向が長い横長形状をなすとともに、
前記栓蓋は、前記排水流路の形状に対応する横長形状とされ、
前記保持部は、前記排水流路における前記横方向の中心部に位置しており、
前記アタッチメント部材は、前記保持部の外周部から前記縦方向に突出する縦方向リブ部を有し、
前記栓蓋は、
板状の蓋部と、
前記蓋部の裏面から突出して前記保持部の外周に配置される筒状のガイド部とを有し、
前記ガイド部は、前記支持軸の往復移動方向に延びるとともに前記蓋部とは反対側にて開口し、かつ、前記縦方向リブ部が配置されるセンター側スリットを具備し、
前記ガイド部のうち前記センター側スリットを形成する部位の少なくとも一部には、前記支持軸の往復移動方向に沿って平行に延びるセンター側平行部が設けられ、
少なくとも前記排水流路が開状態であるときにおいて、前記センター側平行部は、前記縦方向リブ部を挟みつつ当該縦方向リブ部の両側面に近接した状態で配置されることを特徴とする排水栓装置。

【請求項2】

前記アタッチメント部材は、前記保持部の外周部から前記横方向に突出する横方向リブ部を有し、
前記ガイド部は、前記支持軸の往復移動方向に延びるとともに前記蓋部とは反対側にて開口し、かつ、前記横方向リブ部が配置されるサイド側スリットを具備し、
前記ガイド部のうち前記サイド側スリットを形成する部位の少なくとも一部には、前記支持軸の往復移動方向に沿って平行に延びるサイド側平行部が設けられ、
少なくとも前記排水流路が開状態であるときにおいて、前記サイド側平行部は、前記横方向リブ部を挟みつつ当該横方向リブ部の両側面に近接した状態で配置されることを特徴とする請求項１に記載の排水栓装置。

【請求項3】

前記流路構成部として、前記槽体に形成された取付孔に挿通設置される筒状の排水口部材を備え、
前記排水口部材は、前記保持部を間に置く位置に設けられた一対のアタッチメント支持部を有し、
前記アタッチメント部材は、前記一対のアタッチメント支持部に架け渡された状態でこれらアタッチメント支持部に載置され、かつ、前記縦方向リブ部及び前記横方向リブ部における前記保持部とは反対側に位置するそれぞれの端部と連結される板状部を備え、
前記板状部は、前記保持部の外周部との間で、前記ガイド部が配置される隙間を形成する内縁部を具備し、
前記内縁部の全域は、前記一対のアタッチメント支持部よりも前記保持部側に形成されていることを特徴とする請求項２に記載の排水栓装置。

【請求項4】

前記板状部の表面は、平坦面状をなすとともに、
前記縦方向リブ部及び前記横方向リブ部は、それぞれ前記板状部の表面に面一となった状態で前記板状部に連結されていることを特徴とする請求項３に記載の排水栓装置。

【請求項5】

前記板状部で前記アタッチメント支持部が覆われた状態とされることを特徴とする請求項３又は４に記載の排水栓装置。

【請求項6】

前記栓蓋は、前記蓋部の裏面から突出するとともに、前記ガイド部を間に置く位置に設けられ、かつ、前記支持軸の往復移動方向に沿って延びる直線部を具備してなる一対のサイド側突出部を有し、
前記アタッチメント部材は、前記一対のアタッチメント支持部における前記保持部とは反対側の側面に隣接配置される一対の外側垂下部を備え、
少なくとも前記排水流路が開状態であるときにおいて、前記一対のサイド側突出部における前記直線部のそれぞれは、前記外側垂下部の側面に対し平行かつ近接した状態で配置されることを特徴とする請求項３乃至５のいずれか１項に記載の排水栓装置。

【請求項7】

前記排水口部材の端部に突出形成された鍔部との間で前記槽体を挟み込んだ状態で設置される取付用部材を備え、
前記取付用部材は、前記アタッチメント支持部をその裏側から支持する補強支持部を備えることを特徴とする請求項３乃至６のいずれか１項に記載の排水栓装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、槽体の底側に設けられた排水流路を開閉するための排水栓装置に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、栓蓋を遠隔操作することによって、槽体（例えば、浴槽や洗面ボウルなど）の底側に設けられ、槽体に貯留された水の排出時に当該水の流れ込む排水流路を開閉可能な排水栓装置が知られている。

【0003】

排水栓装置としては、一端部に前記栓蓋の取付けられた往復移動可能な支持軸を具備してなる支持軸機構、当該支持軸機構を保持するための筒状の保持部を具備してなるアタッチメント部材、変位可能な操作部（例えば操作ボタン）、及び、当該操作部の変位による駆動力を支持軸ひいては栓蓋側へと伝達するための伝達部材（例えばワイヤ等）などを備えたものが知られている（例えば、特許文献１等参照）。このような排水栓装置では、操作部への操作に伴い伝達部材が往動して支持軸及び栓蓋が往動（上動）することで、排水流路が開状態とされる。一方、操作部への操作に伴い伝達部材が復動して支持軸及び栓蓋が復動（下動）し、栓蓋が所定の接触対象部（例えば槽体に取付けられた部品や槽体自体など）と接触することで、排水流路が閉状態とされる。

【0004】

また、従来、排水流路及び栓蓋は、それぞれ平面視円形状をなしており、さらに、栓蓋の裏面中心部に支持軸の先端部が取付けられるように構成されることが多い。このように構成することで、仮に支持軸に対する栓蓋の取付部分を中心として栓蓋が意図せず回転したとしても、排水流路を閉状態とすることに支障が生じたり美観の低下が生じたりすることを防止できる。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0005】

【特許文献1】特開２０１４－３４７８２号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

ところで、排水能力や利便性などを考慮して、排水流路を、これを正面から見たときに縦方向よりも横方向が長い横長形状とするとともに、栓蓋を、排水流路の形状に対応する横長形状とすることが考えられる。

【0007】

しかしながら、栓蓋が横長形状をなす場合には、栓蓋が円形状をなす場合と異なり、排水流路が開状態であるときに栓蓋の回転が若干生じただけで、接触対象部へと栓蓋を適切に接触させることができなくなって、排水流路を閉状態としたときにおける止水性が不十分となるおそれがある。

【0008】

また、排水流路が開状態であるときに栓蓋の傾きが生じたときには、支持軸やアタッチメント部材等に負荷が加わって、支持軸等における破損や変形が生じるおそれがある。特に栓蓋が横長形状をなす場合において栓蓋の長手方向傾き（前記縦方向に沿って栓蓋を側面視したときに、栓蓋の長手方向が傾斜するようにして栓蓋が傾くこと）が生じたときには、支持軸やアタッチメント部材等に加わる負荷がより大きなものとなりやすく、支持軸等における破損や変形の発生がより懸念される。

【0009】

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、栓蓋の回転や傾きを効果的に抑制することができる排水栓装置を提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0010】

以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。

【0011】

手段１．槽体の底側に設けられ、前記槽体に貯留された水の排出時に当該水の流れ込む排水流路を構成する流路構成部と、
往復移動可能に構成された支持軸を有してなる支持軸機構と、
内周にて前記支持軸機構を保持する筒状の保持部を有するとともに、前記排水流路に設置されるアタッチメント部材と、
前記支持軸に取付けられるとともに、前記排水流路を開閉するための栓蓋とを備え、
前記支持軸の往動に伴い前記栓蓋が所定の接触対象部から離間することで前記排水流路が開状態となる一方、前記支持軸の復動に伴い前記栓蓋が所定の接触対象部と接触することで前記排水流路が閉状態となるように構成された排水栓装置であって、
前記排水流路は、これを正面から見たときに、縦方向よりも横方向が長い横長形状をなすとともに、
前記栓蓋は、前記排水流路の形状に対応する横長形状とされ、
前記保持部は、前記排水流路における前記横方向の中心部に位置しており、
前記アタッチメント部材は、前記保持部の外周部から前記縦方向に突出する縦方向リブ部を有し、
前記栓蓋は、
板状の蓋部と、
前記蓋部の裏面から突出して前記保持部の外周に配置される筒状のガイド部とを有し、
前記ガイド部は、前記支持軸の往復移動方向に延びるとともに前記蓋部とは反対側にて開口し、かつ、前記縦方向リブ部が配置されるセンター側スリットを具備し、
前記ガイド部のうち前記センター側スリットを形成する部位の少なくとも一部には、前記支持軸の往復移動方向に沿って平行に延びるセンター側平行部が設けられ、
少なくとも前記排水流路が開状態であるときにおいて、前記センター側平行部は、前記縦方向リブ部を挟みつつ当該縦方向リブ部の両側面に近接した状態で配置されることを特徴とする排水栓装置。

【0012】

尚、「近接した状態」とあるのは、若干（例えば１ｍｍ以下であり、好ましくは０．５ｍｍ以下）の隙間を介して配置されている状態のみならず、接触している状態も含む（後述する手段２，６においても同様）。

【0013】

上記手段１によれば、排水流路は横長形状（例えば、矩形状や楕円形状、長円形状など）をなしており、同様に、栓蓋についても横長形状をなしている。従って、排水流路の通水面積を大きなものとして排水能力の増大を図りつつ、排水流路や栓蓋を円形状とした場合と比較して、排水流路や栓蓋をスリムな見た目とすることができ、美観の向上を図ることができる。また、排水流路を横長形状とすることによって、排水流路を円形状とした場合と比較して、排水流路に対する“もの”（例えば容器や固形石鹸など）の流入を生じにくくすることができ、利便性の向上を図ることができる。

【0014】

一方、栓蓋が横長形状をなす場合には、栓蓋の若干の回転によって排水流路を閉状態としたときにおける止水性が不十分となったり、栓蓋の長手方向傾きに伴う栓蓋や支持軸、アタッチメント部材等における破損や変形が生じやすくなったりするおそれがある。

【0015】

この点、上記手段１によれば、保持部の外周に配置されるガイド部には、支持軸の往復移動方向に沿って平行に延びるセンター側平行部が設けられている。そして、少なくとも排水流路が開状態であるときにおいて、センター側平行部は、保持部の外周部から縦方向に突出する縦方向リブ部を挟みつつ当該縦方向リブ部の両側面に近接した状態で配置される。従って、栓蓋に対し回転や傾きを生じさせるような力が加わったとしても、センター側平行部が縦方向リブ部に対し傾いたり栓蓋の回転方向（支持軸に対する栓蓋の取付部分を中心として栓蓋が回転すると仮定した場合における、栓蓋の回転方向）に移動したりすることがほとんどなくなる。そのため、栓蓋の回転や傾きの発生を極めて効果的に抑えることができる。その結果、排水流路を閉状態としたときにおいて良好な止水性をより確実に得ることができるとともに、支持軸やアタッチメント部材等の破損や変形をより確実に防止することができる。

【0016】

特に上記手段１によれば、センター側平行部及び縦方向リブ部によって、支持軸等の破損や変形に繋がりやすい“栓蓋の長手方向傾き”をより確実に抑制することができ、支持軸等における破損や変形の防止機能を効果的に高めることができる。

【0017】

手段２．前記アタッチメント部材は、前記保持部の外周部から前記横方向に突出する横方向リブ部を有し、
前記ガイド部は、前記支持軸の往復移動方向に延びるとともに前記蓋部とは反対側にて開口し、かつ、前記横方向リブ部が配置されるサイド側スリットを具備し、
前記ガイド部のうち前記サイド側スリットを形成する部位の少なくとも一部には、前記支持軸の往復移動方向に沿って平行に延びるサイド側平行部が設けられ、
少なくとも前記排水流路が開状態であるときにおいて、前記サイド側平行部は、前記横方向リブ部を挟みつつ当該横方向リブ部の両側面に近接した状態で配置されることを特徴とする手段１に記載の排水栓装置。

【0018】

上記手段２によれば、ガイド部には、支持軸の往復移動方向に沿って平行に延びるサイド側平行部が設けられている。そして、少なくとも排水流路が開状態であるときにおいて、サイド側平行部は、保持部の外周部から横方向に突出する横方向リブ部を挟みつつ当該横方向リブ部の両側面に近接した状態で配置される。従って、栓蓋に対し回転や傾きを生じさせるような力が加わったとしても、サイド側平行部が横方向リブ部に対し傾いたり栓蓋の回転方向に移動したりすることがほとんどなくなる。これにより、センター側平行部及び縦方向リブ部を設けることと相俟って、栓蓋の回転や傾きの発生をより一層効果的に抑えることができる。その結果、排水流路を閉状態としたときにおける良好な止水性の確保や、支持軸やアタッチメント部材等の破損・変形の防止を非常に効果的に図ることができる。

【0019】

手段３．前記流路構成部として、前記槽体に形成された取付孔に挿通設置される筒状の排水口部材を備え、
前記排水口部材は、前記保持部を間に置く位置に設けられた一対のアタッチメント支持部を有し、
前記アタッチメント部材は、前記一対のアタッチメント支持部に架け渡された状態でこれらアタッチメント支持部に載置され、かつ、前記縦方向リブ部及び前記横方向リブ部における前記保持部とは反対側に位置するそれぞれの端部と連結される板状部を備え、
前記板状部は、前記保持部の外周部との間で、前記ガイド部が配置される隙間を形成する内縁部を具備し、
前記内縁部の全域は、前記一対のアタッチメント支持部よりも前記保持部側に形成されていることを特徴とする手段２に記載の排水栓装置。

【0020】

上記手段３によれば、縦方向リブ部における保持部とは反対側の端部は、板状部に連結されている。従って、排水流路を正面から見たときにおいて、縦方向リブ部をより短いものとすることができる。また、横方向リブ部における保持部とは反対側の端部が板状部に連結されるとともに、板状部の内縁部の全域は、一対のアタッチメント支持部よりも保持部側に形成されている。すなわち、排水流路を正面から見たときにおいて、一対のアタッチメント支持部に至らないように横方向リブ部の長さが設定されている。従って、排水流路を正面から見たときにおいて、横方向リブ部をより短いものとすることができる。このように各リブ部をより短いものとすることができるため、アタッチメント部材（特にリブ部）に対する異物の付着をより確実に防止することができる。その結果、衛生性や清掃性の向上を図ることができる。

【0021】

手段４．前記板状部の表面は、平坦面状をなすとともに、
前記縦方向リブ部及び前記横方向リブ部は、それぞれ前記板状部の表面に面一となった状態で前記板状部に連結されていることを特徴とする手段３に記載の排水栓装置。

【0022】

上記手段４によれば、板状部の表面（槽体の貯水空間側に位置する面）は平坦面状をなしており、また、各リブ部は、この平坦面状の表面に対し面一となった状態で板状部に連結されている。従って、アタッチメント部材に対する異物の付着防止をより効果的に図ることができるとともに、清掃時において引っ掛かり等の抵抗をより生じにくくすることができる。これにより、衛生性や清掃性をより高めることができる。

【0023】

手段５．前記板状部で前記アタッチメント支持部が覆われた状態とされることを特徴とする手段３又は４に記載の排水栓装置。

【0024】

上記手段５によれば、板状部でアタッチメント支持部が覆われた状態とされる。従って、アタッチメント支持部を外部（槽体の貯水空間側）から視認不能又は視認困難とすることができ、アタッチメント支持部が外部から視認可能となることに伴う外観品質の低下を防ぐことができる。

【0025】

また、上記手段５によれば、板状部でアタッチメント支持部を覆うため、アタッチメント支持部の形状に関わらず、アタッチメント支持部に対する汚れや異物の付着防止を図ることができる。従って、アタッチメント支持部の形状設計に関し、汚れや異物の付着防止の観点からの制限を減らすことができ、アタッチメント支持部の形状設計に係る自由度をより高めることができる。

【0026】

手段６．前記栓蓋は、前記蓋部の裏面から突出するとともに、前記ガイド部を間に置く位置に設けられ、かつ、前記支持軸の往復移動方向に沿って延びる直線部を具備してなる一対のサイド側突出部を有し、
前記アタッチメント部材は、前記一対のアタッチメント支持部における前記保持部とは反対側の側面に隣接配置される一対の外側垂下部を備え、
少なくとも前記排水流路が開状態であるときにおいて、前記一対のサイド側突出部における前記直線部のそれぞれは、前記外側垂下部の側面に対し平行かつ近接した状態で配置されることを特徴とする手段３乃至５のいずれかに記載の排水栓装置。

【0027】

上記手段６によれば、一対のサイド側突出部における直線部のそれぞれは、少なくとも排水流路が開状態であるときに、外側垂下部の側面に対し平行かつ近接した状態で配置される。従って、栓蓋に対し回転や傾きを生じさせるような力が加わったときに、支持軸の先端部（栓蓋の回転中心や傾き中心となり得る部位）からより離れた箇所に位置する外側垂下部によって、サイド側突出部が傾いたり栓蓋の回転方向に沿って移動したりすることを規制できる。これにより、栓蓋の回転や長手方向傾きを非常に効果的に抑えることができる。その結果、支持軸やアタッチメント部材等における破損や変形を一層確実に防止することができる。

【0028】

手段７．前記排水口部材の端部に突出形成された鍔部との間で前記槽体を挟み込んだ状態で設置される取付用部材を備え、
前記取付用部材は、前記アタッチメント支持部をその裏側から支持する補強支持部を備えることを特徴とする手段３乃至６のいずれかに記載の排水栓装置。

【0029】

上記手段７によれば、取付用部材は、アタッチメント支持部をその裏側（貯水空間とは反対側）から支持する補強支持部を備えている。従って、アタッチメント支持部の耐久性を高めることができ、アタッチメント支持部の破損や変形を一層確実に防止することができる。また、アタッチメント部材をより安定した状態で設置することができる。

【0030】

尚、「前記横方向に沿った前記補強支持部の幅を、前記横方向沿った前記アタッチメント支持部の幅以下とし、前記補強支持部の全域が前記アタッチメント支持部と重なるように構成すること」が好ましい。このように構成した場合には、補強支持部に対する異物などの付着防止をより確実に図ることができるとともに、補強支持部の存在による排水能力の低下を防ぐことができる。

【図面の簡単な説明】

【0031】

【図1】正面から見たときにおける排水栓装置などを示す図である。

【図2】浴槽などの概略構成を示す斜視模式図である。

【図3】図１のＪ－Ｊ線断面図である。

【図4】正面から見たときにおける排水口部材などを示す図である。

【図5】アタッチメント部材の斜視図である。

【図6】排水流路を開状態としたときにおける図３のＫ－Ｋ線断面図である。

【図7】正面から見たときにおけるアタッチメント部材などを示す図である。

【図8】栓蓋の斜視図である。

【図9】排水流路を開状態としたときにおける排水栓装置の断面図である。

【図10】栓蓋及びアタッチメント部材の位置関係を示す斜視図である。

【図11】浴槽の裏側から見たときにおける排水栓装置を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0032】

以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。排水栓装置１は、槽体としての浴槽１００において、貯水可能な状態と排水可能な状態とを切換えるための装置であり、図１及び図２に示すように、浴槽１００における底壁部１０１から側壁部１０２にかけた部位に設けられている。尚、底壁部１０１は、浴槽１００の底面を構成する部位であり、その上面が排水栓装置１側に向けて僅かに下がる傾斜面状をなすように構成されている。側壁部１０２は、底壁部１０１の周縁に立設された部位であり、本実施形態では、底壁部１０１に連続する部位が湾曲面状をなすように構成されている。排水栓装置１の説明に先立って、まず、浴槽１００及びその周囲の構成についてより詳しく説明する。

【0033】

浴槽１００は、図３に示すように、底壁部１０１から側壁部１０２にかけての部位に貫通形成された取付孔１０３を備えており、当該取付孔１０３に対応して排水栓装置１が設置されている。取付孔１０３は、鉛直方向に対し斜めに貫通形成されている。

【0034】

また、取付孔１０３は、正面（浴槽１００の貯水空間側）から見たとき、横方向が縦方向（横方向と直交する方向）よりも長い横長形状とされている。本実施形態において、正面から見たときにおける取付孔１０３の形状は、横方向に延びる平行な２本の長辺部と、これら二本の長辺部の端部同士を結ぶ２本の湾曲状の短辺部とからなる長円と同一の形状とされている。尚、本実施形態において、横方向とは、取付孔１０３の形成された側壁部１０２の幅方向（すなわち平面視したときにおける側壁部１０２の延びる方向）であり、図１にて太線矢印で示す方向をいう。

【0035】

図２に戻り、本実施形態における浴槽１００は、例えば介護施設などで利用されるものであり、ほぼ平坦面状をなす設置面１１１上に設置されている。設置面１１１は、浴室床面において若干だけ窪んだ部分により構成されており、当該窪み部分は防水パンとしても機能するようになっている。

【0036】

また、設置面１１１には、２本のガイド用レール１１１ａが平行に設けられており、各ガイド用レール１１１ａに対し、浴槽１００の底壁部１０１に設けられたガイド車輪（図示せず）が載置された状態となっている。そして、浴槽１００は、次述する洗い場１１２側から見て左右方向（ガイド用レール１１１ａの延びる方向であり、図２にて黒塗り矢印で示す方向）にスライド移動可能となっている。尚、設置面１１１には図示しない排水溝が設けられており、当該排水溝に対し、排水栓装置１を経て浴槽１００から排出された水が流れ込むようになっている。

【0037】

加えて、浴室床面のうち浴槽１００と隣接する位置には、洗い場１１２が設置されている。本実施形態において、設置面１１１に対する洗い場１１２（の上面）の高さは、比較的小さなもの（例えば２０ｍｍ以下）とされており、従来の高さ（例えば３０ｍｍ以上）よりも十分に小さなものとされている。つまり、本実施形態では、従来のような洗い場１１２に対し設置面１１１が比較的大きく落ち込んだ構成ではなく、設置面１１１が洗い場１１２（の上面）とほぼ同じ高さに設けられている。

【0038】

次いで、排水栓装置１について説明する。排水栓装置１は、図３に示すように、排水口部材２、取付用部材３、アタッチメント部材４、支持軸機構５、レリースワイヤ６、栓蓋７及び案内部８を備えている。

【0039】

まず、排水口部材２について説明する。排水口部材２は、取付孔１０３に挿通された状態で設置される筒状部品である。排水口部材２は、図３，４に示すように、本体部２１、鍔部２２及びアタッチメント支持部２３を備えている。尚、図４は、アタッチメント部材４や支持軸機構５等を取外した状態において、正面（浴槽１００の貯水空間側）から見たときにおける排水口部材２等を示す図である。

【0040】

本体部２１は、取付孔１０３の形状に対応する横長の長円筒状部分と、当該長円筒状部分の一端部から浴槽１００の貯水空間側に向けて徐々に広がる形状をなす拡幅部分とを備えている。前記長円筒状部分は、横方向に延び相対向する平行な２つの平板状部分と、当該平板状部分の端部同士に連なる２つの湾曲板状部分とを備えた形状となっている。また、本実施形態において、前記平板状部分の内側面には、後述する係止取付部４７を係止するための段部２１ａが形成されている。

【0041】

また、本体部２１の内側空間は、浴槽１００に貯留された水の排出時に排水の流れ込む排水流路２４を構成している。排水流路２４は、正面（浴槽１００の貯水空間側）から見たとき、横方向が縦方向よりも長い横長形状（本実施形態では、長円形状）とされている。本実施形態では、排水口部材２が「流路構成部」に相当する。

【0042】

本体部２１は、その延びる方向（本体部２１の中心軸ＣＬ方向）が鉛直方向に対し斜めになった状態で取付孔１０３に挿通されている。また、本実施形態において、底壁部１０１の表面から本体部２１の内側面にかけての部位は段差のほとんどない連続面状となっている。これにより、排水流路２４に対する排水の流入が円滑に行われるようになっている。

【0043】

鍔部２２は、本体部２１における一端側外周に突出形成されており、主として浴槽１００に対する排水口部材２の取付に利用される。鍔部２２は、全体として、取付孔１０３よりも１回り大きな長円形状をなしている。

【0044】

アタッチメント支持部２３は、排水流路２４にてアタッチメント部材４を支持する役割を有する。アタッチメント支持部２３は、縦方向に延びており、本体部２１における前記２つの平板状部分の内側面同士に連結されている。また、アタッチメント支持部２３は、後述する保持部４１を間に置く位置に一対設けられている。尚、アタッチメント支持部２３は、必ずしも本体部２１の内側面同士を連結するものに限定されない。例えば、本体部２１の内側面における相対向する部位から突出する２つの突起によって、アタッチメント支持部２３を構成してもよい。

【0045】

また、本実施形態において、各アタッチメント支持部２３の縦方向（長手方向）中心部、及び、本体部２１の他端部における横方向両端部には、雌ねじ部２５（図６参照）がそれぞれ設けられている。

【0046】

次に、取付用部材３について説明する。取付用部材３は、排水口部材２との間で浴槽１００を挟み込んだ状態で設置されることにより、浴槽１００に対し排水口部材２を取付ける機能などを有する。取付用部材３は、図３，６に示すように、筒状基部３１、外向突部３２及び補強支持部３３を有している。

【0047】

筒状基部３１は、本体部２１における前記長円筒状部分よりも１回り大きな長円筒状部分を備えている。そして、筒状基部３１における当該長円筒状部分の内周に、本体部２１の前記長円筒状部分が挿通されている。

【0048】

外向突部３２は、筒状基部３１の一端部に突出形成されており、正面（前記貯水空間側）から見て長円形状をなしている。また、外向突部３２における横方向両端部のそれぞれには、先端部が鉤状をなす引掛保持部３２ａが設けられている。引掛保持部３２ａは、レリースワイヤ６を引っ掛けた状態で保持するためのものである。尚、引掛保持部３２ａを１つのみ設けてもよい。また、所定のクリップを用いて、レリースワイヤ６のうち引掛保持部３２ａよりも先（支持軸機構５とは反対側）に配置される部位を浴槽１００（例えば浴槽１００の図示しない脚部など）に固定してもよい。

【0049】

補強支持部３３は、アタッチメント支持部２３の裏面と接触し、当該アタッチメント支持部２３を裏側から支持する役割を有する。補強支持部３３は、縦方向に延びており、その両端部は筒状基部３１の内側面に連結されている。

【0050】

本実施形態において、横方向に沿った補強支持部３３の幅は、横方向に沿ったアタッチメント支持部２３の幅以下とされており、補強支持部３３の全域がアタッチメント支持部２３と重なるように構成されている。これにより、補強支持部３３に対する異物などの付着防止をより確実に図りつつ、補強支持部３３の存在による排水能力の低下を防ぐことが可能となっている。

【0051】

加えて、補強支持部３３の縦方向（長手方向）中心部や筒状基部３１の他端部における横方向両端部であって前記雌ねじ部２５に対応する位置には、後述する雄ねじ１０が挿通される孔部３４が貫通形成されている。

【0052】

上記のように構成された取付用部材３により、排水口部材２は次のようにして浴槽１００に設置される。すなわち、排水口部材２の本体部２１を取付孔１０３に挿通しつつ、当該本体部２１を取付用部材３の筒状基部３１に挿通した状態で、所定の雄ねじ１０を前記孔部３４を通して雌ねじ部２５に螺合する。これにより、鍔部２２及び外向突部３２によって浴槽１００が挟み込まれた状態となり、排水口部材２が浴槽１００に設置される。

【0053】

また、排水口部材２を設置した状態において、鍔部２２と浴槽１００との間には、弾性変形可能な材料（例えば樹脂やゴム等）からなる環状のパッキン部９が配置される。パッキン部９は、鍔部２２及び浴槽１００に挟み込まれた状態で設置されており、取付孔１０３を通った漏水を防止する。

【0054】

次に、アタッチメント部材４について説明する。アタッチメント部材４は、支持軸機構５を保持するための部品である。アタッチメント部材４は、排水流路２４に配置されており、栓蓋７を正面（浴槽１００の貯水空間側）から見たときにおいて当該栓蓋７の裏側に位置している。

【0055】

アタッチメント部材４は、図５に示すように、保持部４１、縦方向リブ部４２、横方向リブ部４３、板状部４４、外側垂下部４５、内側垂下部４６及び係止取付部４７を備えている。

【0056】

保持部４１は、支持軸機構５を保持するためのものである。保持部４１は、円筒状をなしており、排水流路２４における横方向及び縦方向のそれぞれ中心部に位置している（図７参照）。尚、図７は、支持軸機構５や栓蓋７等を取外した状態において、正面（前記貯水空間側）から見たときのアタッチメント部材４等を示す図である。

【0057】

縦方向リブ部４２及び横方向リブ部４３は、保持部４１を支持するとともに、後述するガイド部７１３と協働することによって栓蓋７の回転や傾きを抑制する等の機能を有する。

【0058】

縦方向リブ部４２は、保持部４１の外周部から縦方向に突出する部位であって、保持部４１の中心軸を間に置く位置に一対設けられている。一方、横方向リブ部４３は、保持部４１の外周部のうち、保持部４１の周方向に沿った両縦方向リブ部４２間の中央部から横方向に突出しており、保持部４１の中心軸を間に置く位置に一対設けられている。従って、本実施形態において、縦方向リブ部４２及び横方向リブ部４３は、保持部４１の周方向に沿って等間隔かつ交互に設けられている。

【0059】

また、縦方向リブ部４２及び横方向リブ部４３における保持部４１とは反対側の端部は、それぞれ板状部４４に連結されている。特に本実施形態では、縦方向リブ部４２及び横方向リブ部４３は、その表面（浴槽１００の貯水空間側の面）が板状部４４の表面に面一となった状態で板状部４４に連結されている。従って、縦方向リブ部４２及び横方向リブ部４３の表面から板状部４４の表面にかけての部位は、段差のない平坦な形状となっている。

【0060】

また、縦方向リブ部４２は、その表面の幅方向両端縁から垂下する２つの側面を備えており、これら２つの側面は平行となっている。また同様に、横方向リブ部４３は、その表面の幅方向両端縁から垂下する２つの側面を備えており、これら２つの側面は平行となっている。

【0061】

板状部４４は、アタッチメント支持部２３などの目隠しとして機能するとともに、排水栓装置１における排水流路２４に位置する部分（特に浴槽１００の貯水空間側に位置する部分）の形状を簡素化させて清掃性などの向上を図る等の機能を有する。板状部４４は、中央部に孔の形成された矩形板状をなしており、板状部４４の表面（前記貯水空間側の面）は、凹凸のない平坦面状とされている。

【0062】

また、板状部４４は、前記一対のアタッチメント支持部２３に架け渡された状態でこれらアタッチメント支持部２３に載置されており、板状部４４でアタッチメント支持部２３の表面（前記貯水空間側の面）全域が覆われている。その結果、アタッチメント支持部２３は、外部（例えば貯水空間側）から視認不能又は視認困難となっている（図７参照）。

【0063】

加えて、板状部４４は、保持部４１の外周部との間で、後述するガイド部７１３（脚部７１３ａ）が配置される隙間を形成する内縁部４４ａを具備している。内縁部４４ａは、正面（浴槽１００の貯水空間側）から見て円弧状をなしている。さらに、内縁部４４ａの全域は、正面視したとき、一対のアタッチメント支持部２３よりも保持部４１側に位置している。すなわち、内縁部４４ａは、一対のアタッチメント支持部２３の間に位置しており、結果的に、横方向リブ部４３は、アタッチメント支持部２３に至らない程度の比較的短いものとなっている。尚、本実施形態において、横方向リブ部４３の長さ（保持部４１からの突出量）は、縦方向リブ部４２の長さと同一とされている。

【0064】

外側垂下部４５及び内側垂下部４６は、排水流路２４におけるアタッチメント部材４の移動をより確実に規制する等の役割を有する。外側垂下部４５は、板状部４４におけるその長手方向（横方向）の両端縁から垂下する部位であって、一対設けられている。各外側垂下部４５は、アタッチメント支持部２３における保持部４１とは反対側に位置する側面に隣接配置されている。また、本実施形態において、各外側垂下部４５における保持部４１とは反対側に位置する側面のうち幅方向中央側に位置する面は、平坦面状をなしている。

【0065】

さらに、本実施形態では、アタッチメント部材４の外側垂下部４５の側面と排水口部材２の内側面との間に、リブなどの構造物の存在しない通水部が二箇所形成される。主として排水は、排水流路２４のうち当該通水部を通ることになる。

【0066】

内側垂下部４６は、板状部４４における内縁部４４ａと外側垂下部４５との間の部位から垂下する部位であり、外側垂下部４５と平行でかつ相対向するようにして一対設けられている。内側垂下部４６は、アタッチメント支持部２３における保持部４１側に位置する側面に隣接配置されている。

【0067】

また、外側垂下部４５及び内側垂下部４６は、それぞれアタッチメント支持部２３の側面から補強支持部３３の側面にかけて設けられている。従って、外側垂下部４５及び内側垂下部４６でアタッチメント支持部２３及び補強支持部３３の接触境界が覆われた状態となっている。これにより、アタッチメント支持部２３及び補強支持部３３間に対する汚れの付着や異物の侵入をより確実に防止することが可能となっている。

【0068】

係止取付部４７は、アタッチメント部材４を排水口部材２へと取付けるために利用される。係止取付部４７は、板状部４４におけるその短手方向（縦方向）の端縁であって、縦方向リブ部４２と内側垂下部４６との間に位置する部位から垂下している。係止取付部４７の先端部には突起が設けられており、当該突起が前記段部２１ａに係止されることで、排水口部材２に対しアタッチメント部材４が取付けられている。

【0069】

次に、支持軸機構５について説明する。支持軸機構５は、栓蓋７を往復移動させて排水流路２４の開閉状態を切換えるための機構である。支持軸機構５は、図３，６に示すように、ケース部５１及び支持軸５２を備えている。

【0070】

ケース部５１は、円筒状をなしており、保持部４１の内周においてこれにより保持されている。その結果、支持軸機構５は、排水流路２４における横方向及び縦方向の各中心に設置された状態となっている。また、本実施形態において、ケース部５１には、レリースワイヤ６の後述するチューブ部材６１が図示しない所定部品を介して間接的に取付けられている。尚、ケース部５１に対しチューブ部材６１が直接取付けられる構成であってもよい。

【0071】

支持軸５２は、先端部が閉塞した円筒状をなしており、少なくとも一部が排水口部材２の内側空間に配置されている。支持軸５２は、本体部２１の中心軸ＣＬ方向（すなわち鉛直方向に対し斜め方向）に沿って往復移動可能な状態で、保持部４１の内側（本実施形態ではケース部５１の内周）に配置されている。

【0072】

また、支持軸５２の一端部（先端部）は、ケース部５１の一端側開口から当該ケース部５１外に出ており、栓蓋７（後述する蓋部７１１）の裏面中央部分に設けられた後述する軸被取付部７１２に嵌合されている。これにより、支持軸５２の一端部に栓蓋７が取付けられ、支持軸５２によって栓蓋７が支持された状態となっている。

【0073】

尚、支持軸５２の内部には、支持軸５２の往復移動方向に沿って弾性変形可能なアブソーバスプリング（不図示）が設けられている。支持軸５２の往復移動方向に沿った負荷が栓蓋７に加わったときには、前記アブソーバスプリングが圧縮変形することによってその負荷が吸収され、その結果、支持軸５２やアタッチメント部材４等における破損や変形をより効果的に防止可能となっている。

【0074】

また、ケース部５１内には、戻しばね（不図示）が圧縮状態で配置されている。当該戻しばねは、栓蓋７をその復動方向（斜め下方向）に引き込むためのものであり、当該戻しばねから支持軸５２に対し復動方向（斜め下方向）に沿った力が付与されている。

【0075】

次いで、レリースワイヤ６について説明する。レリースワイヤ６は、図示しない操作部（例えば、往復移動可能な操作ボタンや回動可能な操作ハンドルなど）を変位させることで生じた駆動力を栓蓋７側へと伝達するためのものである。本実施形態において、レリースワイヤ６は、支持軸機構５から斜め下方に突出した状態で設けられている。レリースワイヤ６は、筒状のチューブ部材６１と、当該チューブ部材６１内にて往復移動可能な状態で配置された伝達部材６２（例えば、ワイヤ等）とを備えている。

【0076】

チューブ部材６１は、その一端部がケース部５１に接続される一方、その他端部が前記操作部を有する操作装置（不図示）に接続されており、伝達部材６２を操作装置側から栓蓋７側へと案内する。尚、前記操作装置には、伝達部材６２を往動（前記操作装置側から栓蓋７側に移動）した状態でロック可能なロック機構（不図示）が設けられている。そして、前記操作部に対し所定の操作を行う度に、前記ロック機構による伝達部材６２のロック及びロック解除が交互に行われるようになっている。尚、前記ロック機構を支持軸機構５に設けてもよい。

【0077】

伝達部材６２は、前記操作部の変位に伴いチューブ部材６１内にて往復移動する。伝達部材６２の一端部は支持軸５２と接触可能とされており、伝達部材６２の往復移動に伴い支持軸５２が往復移動するようになっている。

【0078】

次いで、栓蓋７について説明する。栓蓋７は、排水流路２４を開閉するための栓であり、支持軸５２の往復移動に伴い鉛直方向に対し斜めに往復移動する。栓蓋７は、図８に示すように、栓蓋本体部７１と、当該栓蓋本体部７１に取付けられた、弾性変形可能な材料からなる閉鎖用パッキン部７２とを有している。

【0079】

栓蓋本体部７１は、蓋部７１１、軸被取付部７１２（図３，６参照）、ガイド部７１３及びサイド側突出部７１４を備えている。本実施形態において、栓蓋本体部７１は、２つの部品を組み合わせることで構成されている。尚、栓蓋本体部７１を１つの部品によって構成してもよい。

【0080】

蓋部７１１は、外部（浴槽１００の貯水空間側）から排水流路２４を視認困難として外観品質を向上させるとともに、閉鎖用パッキン部７２とともに排水流路２４の開閉機能を担う部位である。蓋部７１１は、扁平板状をなしており、正面から見たとき、排水流路２４の形状に対応する横長形状（本実施形態では長円形状）となっている。

【0081】

軸被取付部７１２は、栓蓋７（蓋部７１１）を支持軸５２へと取付けるための部位である。軸被取付部７１２は、短筒状をなしており、前記蓋部７１１の裏面中央部分に形成されている。

【0082】

ガイド部７１３は、栓蓋７が往復移動するときにおける当該栓蓋７のガイドや、支持軸５２に対する栓蓋７の取付位置を中心とした栓蓋７の回転及び傾きの規制などを担う部位である。ガイド部７１３は、軸被取付部７１２の外側において蓋部７１１の裏面に突出形成された円筒状部位であり、保持部４１の外周に配置されている（図３，６参照）。また、ガイド部７１３には、次述するセンター側スリット７１３ｂ及びサイド側スリット７１３ｃによって当該ガイド部７１３の周方向に沿って分離された複数（本実施形態では４本）の脚部７１３ａが設けられている。

【0083】

さらに、ガイド部７１３は、それぞれ支持軸５２の往復移動方向に延びるとともに、蓋部７１１とは反対側にて開口するセンター側スリット７１３ｂ及びサイド側スリット７１３ｃを備えている。センター側スリット７１３ｂ及びサイド側スリット７１３ｃは、ガイド部７１３の周方向に沿って等間隔かつ交互に設けられている。

【0084】

センター側スリット７１３ｂは、縦方向リブ部４２が配置されるスリットである。そして、ガイド部７１３（脚部７１３ａ）のうちセンター側スリット７１３ｂを形成する部位の少なくとも一部には、支持軸５２の往復移動方向に沿って平行に延びるセンター側平行部７１３ｄが設けられている。センター側平行部７１３ｄは、ガイド部７１３（脚部７１３ａ）における相対向する２つの平行面によって構成されている。

【0085】

サイド側スリット７１３ｃは、横方向リブ部４３が配置されるスリットである。そして、ガイド部７１３（脚部７１３ａ）のうちサイド側スリット７１３ｃを形成する部位の少なくとも一部には、支持軸５２の往復移動方向に沿って平行に延びるサイド側平行部７１３ｅが設けられている。サイド側平行部７１３ｅは、ガイド部７１３（脚部７１３ａ）における相対向する２つの平行面によって構成されている。

【0086】

サイド側突出部７１４は、支持軸５２に対する栓蓋７の取付位置を中心とした栓蓋７の回転及び傾きをより確実に規制するためのものである。サイド側突出部７１４は、蓋部７１１の裏面から突出するとともに、ガイド部７１３を間に置く位置に一対設けられている。本実施形態において、各サイド側突出部７１４は、それぞれ縦方向に離間した２本の突起によって構成されている。また、各サイド側突出部７１４におけるガイド部７１３側の側面（前記２本の突起におけるガイド部７１３側の側面）には、支持軸５２の往復移動方向に沿って延びる直線部７１４ａが設けられている。

【0087】

閉鎖用パッキン部７２は、長円板状をなしており、栓蓋本体部７１を構成する前記２つの部品によって挟み込まれることで、栓蓋本体部７１に取付けられている（図６参照）。閉鎖用パッキン部７２の外縁形状は、蓋部７１１の外縁形状とほぼ同一である。従って、正面（浴槽１００の貯水空間側）から見た状態において、蓋部７１１によって閉鎖用パッキン部７２が隠れ、より良好な美観が得られるようになっている。

【0088】

次に、案内部８について説明する。案内部８は、支持軸機構５におけるレリースワイヤ６が突出する部位の正面に設けられており、レリースワイヤ６の保護を図りつつ、レリースワイヤ６を引掛保持部３２ａ側へと案内するためのものである。案内部８は、図３に示すように、Ｕ字状に湾曲した板状部位であり、取付用部材３の他端側に設けられている。図示はしていないが、案内部８は、レリースワイヤ６と接触することで、当該レリースワイヤ６を湾曲させて引掛保持部３２ａ側へと案内する。

【0089】

また、正面（浴槽１００の貯水空間側）から見たときに、案内部８は、外側垂下部４５の側面よりも外側（横方向）に突出しないように構成されている。従って、主として排水は、排水流路２４のうち前記通水部を通るところ、当該通水部を通った排水の流れが案内部８によって阻害されないようになっている。尚、本実施形態において、案内部８は、取付用部材３と一体的に形成されているが、両者を別体で設けてもよい。

【0090】

上記のように構成された排水栓装置１においては、次のようにして排水流路２４の開閉状態が切換えられる。すなわち、前記操作部に対する操作に伴い伝達部材６２を往動させることで、支持軸５２及び栓蓋７が往動（斜め上方に移動）する。そして、前記ロック機構によって伝達部材６２がロックされることで、閉鎖用パッキン部７２が排水口部材２の内側面から離間した状態で維持される。その結果、排水流路２４が開状態とされる（図６，９参照）。

【0091】

一方、排水流路２４が開状態であるときに、前記操作部に対する操作に伴い、伝達部材６２を若干往動させることで、前記ロック機構による伝達部材６２のロックが解除される。ロック解除に伴い、前記戻りばねにより支持軸５２及び栓蓋７が復動（斜め下方に移動）し、閉鎖用パッキン部７２の外周部分全域が排水口部材２の内側面と接触する。その結果、排水流路２４が閉状態とされる（図３参照）。本実施形態では、排水口部材２が「接触対象部」に相当する。

【0092】

また、本実施形態では、少なくとも排水流路２４が開状態であるとき、図１０に示すように、センター側平行部７１３ｄは、縦方向リブ部４２を挟みつつ当該縦方向リブ部４２の両側面に近接した状態で配置される。尚、「近接した状態」とあるのは、若干（例えば１ｍｍ以下であり、好ましくは０．５ｍｍ以下）の隙間を介して配置されている状態のみならず、接触している状態も含む（以下、同様）。従って、少なくとも排水流路２４が開状態であるとき、センター側平行部７１３ｄは、縦方向リブ部４２における一方の側面に対し若干の隙間を介して隣接配置された又は接触した状態となり、かつ、縦方向リブ部４２における他方の側面に対し若干の隙間を介して隣接配置された又は接触した状態となっている。

【0093】

さらに、少なくとも排水流路２４が開状態であるとき、サイド側平行部７１３ｅは、横方向リブ部４３を挟みつつ当該横方向リブ部４３の両側面に近接した状態で配置される。すなわち、少なくとも排水流路２４が開状態であるとき、サイド側平行部７１３ｅは、横方向リブ部４３における一方の側面に対し若干の隙間を介して隣接配置された又は接触した状態となり、かつ、横方向リブ部４３における他方の側面に対し若干の隙間を介して隣接配置された又は接触した状態となっている。

【0094】

加えて、図１０，１１に示すように、少なくとも排水流路２４が開状態であるときにおいて、一対のサイド側突出部７１４における各直線部７１４ａは、外側垂下部４５の側面（保持部４１とは反対側の側面における平坦面状部位）に対し平行かつ近接した状態で配置される。すなわち、少なくとも排水流路２４が開状態であるとき、一方のサイド側突出部７１４の直線部７１４ａは、一方の外側垂下部４５の側面に対し若干の隙間を介して隣接配置された又は接触した状態となり、かつ、他方のサイド側突出部７１４の直線部７１４ａは、他方の外側垂下部４５の側面に対し若干の隙間を介して隣接配置された又は接触した状態となっている。

【0095】

尚、上記のように、サイド側平行部７１３ｅが横方向リブ部４３を挟みつつ当該横方向リブ部４３の両側面に近接した状態で配置されることで、少なくとも排水流路２４が開状態であるときにおいて栓蓋７（蓋部７１１）に鉛直下向きの負荷が加わった場合には、ガイド部７１３が横方向リブ部４３と接触するとともに、ガイド部７１３から横方向リブ部４３へと負荷が伝達されるようになっている。つまり、少なくとも排水流路２４が開状態であるときにおいて栓蓋７（蓋部７１１）に鉛直下向きの負荷が加わった場合に、少なくとも横方向リブ部４３へと負荷が分散して伝わるようになっている。

【0096】

以上詳述したように、本実施形態によれば、排水流路２４は横長形状をなしており、同様に、栓蓋７（蓋部７１１）についても横長形状をなしている。従って、排水流路２４の通水面積を大きなものとして排水能力の増大を図りつつ、排水流路２４や栓蓋７を円形状とした場合と比較して、排水流路２４や栓蓋７をスリムな見た目とすることができ、美観の向上を図ることができる。また、排水流路２４を横長形状とすることによって、排水流路２４を円形状とした場合と比較して、排水流路２４に対する“もの”（例えば容器や固形石鹸など）の流入を生じにくくすることができ、利便性の向上を図ることができる。

【0097】

一方、栓蓋７が横長形状をなす場合には、栓蓋７の若干の回転によって、排水流路２４を閉状態としたときにおける排水口部材２に対する栓蓋７（閉鎖用パッキン部７２）の接触状態が不良となって止水性が不十分となったり、栓蓋７の長手方向傾き（図６において栓蓋７の横方向端部が上下するような栓蓋７の傾き）に伴う栓蓋７や支持軸５２、アタッチメント部材４等における破損や変形が生じやすくなったりするおそれがある。

【0098】

この点、本実施形態では、少なくとも排水流路２４が開状態であるときにおいて、センター側平行部７１３ｄは縦方向リブ部４２を挟みつつ当該縦方向リブ部４２の両側面に近接した状態で配置されている。従って、栓蓋７に対し回転や傾きを生じさせるような力が加わったとしても、センター側平行部７１３ｄが縦方向リブ部４２に対し傾いたり栓蓋７の回転方向（軸被取付部７１２を中心として栓蓋７が回転すると仮定した場合における、栓蓋７の回転方向）に移動したりすることがほとんどなくなる。そのため、栓蓋７の回転や傾きの発生を極めて効果的に抑えることができる。その結果、排水流路２４を閉状態としたときにおいて良好な止水性をより確実に得ることができるとともに、支持軸５２やアタッチメント部材４等の破損や変形をより確実に防止することができる。

【0099】

特に本実施形態によれば、センター側平行部７１３ｄ及び縦方向リブ部４２によって、支持軸５２等の破損や変形に繋がりやすい“栓蓋７の長手方向傾き”をより確実に抑制することができ、支持軸５２等における破損や変形の防止機能を効果的に高めることができる。

【0100】

加えて、少なくとも排水流路２４が開状態であるときにおいて、サイド側平行部７１３ｅは横方向リブ部４３を挟みつつ当該横方向リブ部４３の両側面に近接した状態で配置されている。従って、栓蓋７に対し回転や傾きを生じさせるような力が加わったとしても、サイド側平行部７１３ｅが横方向リブ部４３に対し傾いたり栓蓋の回転方向に移動したりすることがほとんどなくなる。これにより、センター側平行部７１３ｄ及び縦方向リブ部４２を設けることと相俟って、栓蓋７の回転や傾きの発生をより一層効果的に抑えることができる。その結果、排水流路２４を閉状態としたときにおける良好な止水性の確保や、支持軸５２やアタッチメント部材４等の破損・変形の防止を非常に効果的に図ることができる。

【0101】

さらに、本実施形態において、縦方向リブ部４２における保持部４１とは反対側の端部は、板状部４４に連結されており、また、排水流路２４を正面から見たときにおいて、一対のアタッチメント支持部２３に至らないように横方向リブ部４３の長さが設定されている。従って、排水流路２４を正面から見たときにおいて、縦方向リブ部４２及び横方向リブ部４３をより短いものとすることができる。これにより、アタッチメント部材４（特にリブ部４２，４３）に対する異物の付着をより確実に防止することができ、衛生性や清掃性の向上を図ることができる。

【0102】

加えて、板状部４４の表面は平坦面状をなしており、また、各リブ部４２，４３は、この平坦面状の表面に対し面一となった状態で板状部４４に連結されている。従って、アタッチメント部材４に対する異物の付着防止をより効果的に図ることができるとともに、清掃時において引っ掛かり等の抵抗をより生じにくくすることができる。これにより、衛生性や清掃性をより高めることができる。

【0103】

併せて、板状部４４でアタッチメント支持部２３が覆われた状態とされるため、アタッチメント支持部２３を外部（浴槽１００の貯水空間側）から視認不能又は視認困難とすることができる。これにより、アタッチメント支持部２３が外部から視認可能となることに伴う外観品質の低下を防ぐことができる。尚、この作用効果は、アタッチメント支持部２３が、表面（浴槽１００の貯水空間側に位置する面）に凹凸を有していたり、（板状部４４がない場合に）前記貯水空間側から視認可能となる部品（例えば雌ねじ部品など）を備えていたりする場合において特に効果的に奏される。

【0104】

また、板状部４４でアタッチメント支持部２３を覆うため、アタッチメント支持部２３の形状に関わらず、アタッチメント支持部２３に対する汚れや異物の付着防止を図ることができる。従って、アタッチメント支持部２３の形状設計に関し、汚れや異物の付着防止の観点からの制限を減らすことができ、アタッチメント支持部２３の形状設計に係る自由度をより高めることができる。

【0105】

さらに、少なくとも排水流路２４が開状態であるときに、一対のサイド側突出部７１４における直線部７１４ａのそれぞれは、外側垂下部４５の側面に対し平行かつ近接した状態で配置される。従って、栓蓋７に対し回転や傾きを生じさせるような力が加わったときに、支持軸５２の先端部（栓蓋７の回転中心や傾き中心となり得る部位）からより離れた箇所に位置する外側垂下部４５によって、サイド側突出部７１４が傾いたり栓蓋７の回転方向に沿って移動したりすることを規制できる。これにより、栓蓋７の回転や長手方向傾きを非常に効果的に抑えることができる。その結果、支持軸５２やアタッチメント部材４等における破損や変形を一層確実に防止することができる。

【0106】

加えて、取付用部材３は、アタッチメント支持部２３をその裏側（貯水空間とは反対側）から支持する補強支持部３３を備えている。従って、アタッチメント支持部２３の耐久性を高めることができ、アタッチメント支持部２３の破損や変形を一層確実に防止することができる。また、アタッチメント部材４をより安定した状態で設置することができる。

【0107】

さらに、取付孔１０３は、底壁部１０１から側壁部１０２にかけての部位に鉛直方向に対し斜めに貫通形成されるとともに、本体部２１の延びる方向及び支持軸５２の往復移動方向は、鉛直方向に対し斜めとされている。そのため、底壁部１０１に対する本体部２１などの下方に向けた突出量を抑えることができる。これにより、外部から排水栓装置１に対しダメージが加わることをより一層生じにくくしたり、排水栓装置１の設置自由度をより高めたりすることができる。また、本実施形態のような、浴室床面に載置され、介護者等が前記床面に立って介助などを行うことがあるタイプの浴槽１００に対し上記排水栓装置１を適用することで、前記床面に対する浴槽１００の底壁部１０１の設置高さを抑えることができ、浴槽１００への出入り等に係る利便性や安全性を高めることが可能となる。

【0108】

加えて、排水流路２４が開状態であるときにおいて栓蓋７（蓋部７１１）に鉛直下向きの負荷が加わった場合、ガイド部７１３が横方向リブ部４３と接触するとともに、ガイド部７１３から横方向リブ部４３に負荷が伝達されるようになっている。従って、栓蓋７（蓋部７１１）に鉛直下向きの負荷が加わったときに、負荷の分散を図ることができ、栓蓋７（蓋部７１１）及び支持軸５２の取付箇所（軸被取付部７１２）や支持軸５２等に負荷が集中的に加わることをより確実に防止できる。その結果、栓蓋７や支持軸５２などにおける破損や変形を効果的に防ぐことができる。

【0109】

尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。

【0110】

（ａ）上記実施形態において、排水流路２４は、排水口部材２の内側空間により形成されているが、例えば排水口部材２を設けない場合には、浴槽１００に貫通形成された孔（例えば取付孔１０３のような孔）や所定の配管の内側空間などにより排水流路を構成してもよい。

【0111】

（ｂ）上記実施形態において、取付孔１０３は、鉛直方向に対し斜めに貫通形成されているが、鉛直方向に貫通形成されていてもよい。また、本体部２１の延びる方向、並びに、支持軸５２及び栓蓋７の往復移動方向をそれぞれ鉛直方向としてもよい。

【0112】

（ｃ）上記実施形態において、排水流路２４は正面視長円形状とされているが、排水流路の形状はこれに限定されるものではなく、排水流路を、例えば正面視矩形状や正面視楕円形状、正面視多角形状などとしてもよい。勿論、排水流路の形状に対応して、栓蓋７等の形状を適宜変更してもよい。

【0113】

（ｄ）上記実施形態において、アタッチメント部材４は、排水口部材２に取付けられているが、アタッチメント部材４の取付対象は排水口部材２に限定されるものではない。従って、例えば、取付用部材３に対しアタッチメント部材４を取付けるように構成してもよい。

【0114】

また、上記実施形態におけるアタッチメント部材４の構成は一例であって、その構成を適宜変更してもよい。従って、例えば、保持部４１と、当該保持部４１から外側に突出する縦方向リブ部４２及び横方向リブ部４３と、これらリブ部４２，４３の先端部が内周面に連結される環状部とを備え、当該環状部が排水口部材２の内周面に取付可能に構成されたアタッチメント部材を用いてもよい。尚、この場合には、アタッチメント支持部２３や補強支持部３３を設けなくてもよい。

【0115】

（ｅ）上記実施形態における縦方向リブ部４２及び横方向リブ部４３の構成は一例であって、各リブ部４２，４３の構成を適宜変更してもよい。例えば、各リブ部４２，４３の長さや幅（太さ）を異なるものとしてもよい。

【0116】

また、上記実施形態では、横方向リブ部４３が設けられているが、横方向リブ部４３を設けない構成としてもよい。

【0117】

（ｆ）上記実施形態において、サイド側突出部７１４は２本の突起によって構成されているが、サイド側突出部の構成はこれに限定されるものではない。従って、例えば、外側垂下部４５側を向く側面が平坦面状をなす１の突起（例えば板状の突起）によってサイド側突出部を構成してもよい。勿論、３つ以上の突起によってサイド側突出部を構成してもよい。

【0118】

（ｇ）上記実施形態では、閉鎖用パッキン部７２が排水口部材２の内側面と接触することで、排水流路２４が閉状態となるように構成されているが、閉鎖用パッキン部７２が排水口部材２以外の部位（例えば浴槽１００）と接触することで、排水流路２４が閉状態となるように構成してもよい。この場合には、閉鎖用パッキン部７２と接触する部位が「接触対象部」に相当する。

【0119】

（ｈ）上記実施形態において、浴槽１００は、スライド移動可能な状態で設置されているが、移動不能な状態で設置されるものであってもよい。また、設置面１１１が洗い場１１２と同じ高さとなるように構成してもよい。さらに、浴槽１００の側壁部１０２を外側から隠すようなエプロンを設けることとしてもよい。

【0120】

（ｉ）上記実施形態では、槽体として浴槽１００を挙げているが、本発明の技術思想を浴槽以外の槽体（例えば、洗面ボウルやキッチンの流し台など）に適用してもよい。

【符号の説明】

【0121】

１…排水栓装置、２…排水口部材（流路構成部、接触対象部）、３…取付用部材、４…アタッチメント部材、５…支持軸機構、７…栓蓋、２２…鍔部、２３…アタッチメント支持部、２４…排水流路、３３…補強支持部、４１…保持部、４２…縦方向リブ部、４３…横方向リブ部、４４…板状部、４４ａ…内縁部、４５…外側垂下部、５２…支持軸、１００…浴槽（槽体）、１０３…取付孔、７１１…蓋部、７１３…ガイド部、７１３ｂ…センター側スリット、７１３ｃ…サイド側スリット、７１３ｄ…センター側平行部、７１３ｅ…サイド側平行部、７１４…サイド側突出部、７１４ａ…直線部。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】