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特開2022-77069表示付きカバー部材、電子機器、および表示付きカバー部材の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077069
(43)【公開日】2022-05-23
(54)【発明の名称】表示付きカバー部材、電子機器、および表示付きカバー部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/12 20060101AFI20220516BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
H05K7/12 V
G06F1/16 312F
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020187702
(22)【出願日】2020-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】中垣 佳士
(72)【発明者】
【氏名】中田 和夫
(72)【発明者】
【氏名】篠原 英治
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 英明
【テーマコード(参考)】
4E353
【Fターム(参考)】
4E353AA07
4E353BB02
4E353BB03
4E353CC02
4E353CC20
4E353DD01
4E353DR19
4E353DR46
4E353GG19
(57)【要約】
【課題】表示を精度よく形成することができる表示付きカバー部材を提供する。
【解決手段】表示付きカバー部材10は、主面20aを有する内板部20と、表示用孔31が形成され、少なくとも主面20aを覆う板状のカバー30と、表示ユニット40と、を備える。表示ユニット40は、カバー30と内板部20との間に設けられたベース部41と、表示用孔31に位置する表示部42と、を備える。ベース部41の、カバー30に対向する対向面41bに、第1接着層44が形成されている。表示部42は、第1接着層44を介して対向面41bに接着されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する内板部と、
表示用孔が形成され、少なくとも前記主面を覆う板状のカバーと、
表示ユニットと、
を備え、
前記表示ユニットは、
前記カバーと前記内板部との間に設けられたベース部と、
前記表示用孔に位置する表示部と、
を備え、
前記ベース部の、前記カバーに対向する対向面に、第1接着層が形成され、
前記表示部は、前記第1接着層を介して前記対向面に接着されている、表示付きカバー部材。
【請求項2】
前記対向面は、前記カバーの内面に、前記第1接着層を介して接着されている、請求項1記載の表示付きカバー部材。
【請求項3】
前記表示部は、前記カバーの外面に対して外方に突出している、請求項1または2に記載の表示付きカバー部材。
【請求項4】
前記表示部は、透明とされ、
前記ベース部は、着色部を有し、
前記着色部は、前記表示部を通して視認可能である、請求項1~3のうちいずれか1項に記載の表示付きカバー部材。
【請求項5】
前記主面に、収容凹部が形成され、
前記ベース部の少なくとも一部は、前記収容凹部に収容されている、請求項1~4のうちいずれか1項に記載の表示付きカバー部材。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか1項に記載の表示付きカバー部材を備えた、電子機器。
【請求項7】
ベース部の対向面に、第1接着層によって表示部を接着して表示ユニットを得る第1工程と、
表示用孔が形成された板状のカバーの内面に、前記第1接着層によって前記対向面を接着する第2工程と、
を有し、
前記第2工程において、前記カバーを、少なくとも内板部の主面を覆うように配置し、前記表示部を前記表示用孔に位置させるとともに、前記ベース部を前記カバーと前記内板部との間に配置する、表示付きカバー部材の製造方法。
【請求項8】
前記第2工程において前記カバーの内面に前記対向面を接着する際の加熱温度は、前記第1工程において前記対向面に前記表示部を接着する際の加熱温度に比べて高い、請求項7記載の表示付きカバー部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示付きカバー部材、電子機器、および表示付きカバー部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器には、金属製のカバーを備えたカバー部材が用いられることがある。カバー部材には、製品名などの情報が表示される場合がある(例えば、特許文献1を参照)。表示は、例えば、カバーの外面に形成された凹部内に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-220330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記カバー部材は、カバーの材質等によっては、表示を精度よく形成するのが難しい場合があった。
【0005】
本発明の一態様は、表示を精度よく形成することができる表示付きカバー部材、電子機器、および表示付きカバー部材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、主面を有する内板部と、表示用孔が形成され、少なくとも前記主面を覆う板状のカバーと、表示ユニットと、を備え、前記表示ユニットは、前記カバーと前記内板部との間に設けられたベース部と、前記表示用孔に位置する表示部と、を備え、前記ベース部の、前記カバーに対向する対向面に、第1接着層が形成され、前記表示部は、前記第1接着層を介して前記対向面に接着されている、表示付きカバー部材を提供する。
【0007】
前記対向面は、前記カバーの内面に、前記第1接着層を介して接着されていることが好ましい。
【0008】
前記表示部は、前記カバーの外面に対して外方に突出していることが好ましい。
【0009】
前記表示部は、透明とされ、前記ベース部は、着色部を有し、前記着色部は、前記表示部を通して視認可能であることが好ましい。
【0010】
前記表示付きカバー部材は、前記主面に、収容凹部が形成され、前記ベース部の少なくとも一部は、前記収容凹部に収容されていることが好ましい。
【0011】
本発明の他の態様は、前記表示付きカバー部材を備えた、電子機器を提供する。
【0012】
本発明のさらに他の態様は、ベース部の対向面に、第1接着層によって表示部を接着して表示ユニットを得る第1工程と、表示用孔が形成された板状のカバーの内面に、前記第1接着層によって前記対向面を接着する第2工程と、を有し、前記第2工程において、前記カバーを、少なくとも内板部の主面を覆うように配置し、前記表示部を前記表示用孔に位置させるとともに、前記ベース部を前記カバーと前記内板部との間に配置する、表示付きカバー部材の製造方法を提供する。
【0013】
前記第2工程において前記カバーの内面に前記対向面を接着する際の加熱温度は、前記第1工程において前記対向面に前記表示部を接着する際の加熱温度に比べて高いことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様は、表示を精度よく形成することができる表示付きカバー部材、電子機器、および表示付きカバー部材の製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係る表示付きカバー部材を備えた電子機器の斜視図である。
図2】第1実施形態に係る表示付きカバー部材の斜視図である。
図3】第1実施形態に係る表示付きカバー部材の分解斜視図である。
図4】第1実施形態に係る表示付きカバー部材の模式的な断面図である。
図5】(A)第1実施形態に係る表示付きカバー部材の平面図である。(B)第1実施形態に係る表示付きカバー部材の断面図である。
図6】第1実施形態に係る表示付きカバー部材を備えた電子機器の斜視図である。
図7】第1実施形態に係る表示付きカバー部材の製造工程を示す工程図である。
図8】前図に続く工程図である。
図9】前図に続く工程図である。
図10】前図に続く工程図である。
図11】前図に続く工程図である。
図12】第2実施形態に係る表示付きカバー部材の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[カバー部材](第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る表示付きカバー部材10を備えた電子機器100の斜視図である。表示付きカバー部材は、単に「カバー部材」ということがある。図2は、カバー部材10の斜視図である。図3は、カバー部材10の分解斜視図である。図4は、カバー部材10の模式的な断面図である。図5(A)は、カバー部材10の平面図である。図5(B)は、カバー部材10の断面図である。図5(B)は、図5(A)のI-I断面を示す。図6は、電子機器100の斜視図である。図1は、第1筐体101と第2筐体102とが閉じた状態にある電子機器100を示す。図6は、第1筐体101と第2筐体102とが開いた状態にある電子機器100を示す。
【0017】
図6に示すように、電子機器100は、第1筐体101と、第2筐体102と、を備える。電子機器100は、例えば、ノートPC(PC:パーソナルコンピュータ)である。
【0018】
第1筐体101と第2筐体102とは、端部どうしがヒンジ機構110を介して連結されている。第1筐体101は、第2筐体102に対して、ヒンジ機構110がなす回転軸の周りに相対的に回動可能である。
第1筐体101の第1基端部101bは、ヒンジ機構110が設けられた端部である。第1開放端部101aは、第1基端部101bとは反対側の端部である。第2筐体102の第2基端部102bは、ヒンジ機構110が設けられた端部である。第2開放端部102aは、第2基端部102bとは反対側の端部である。
【0019】
第2筐体102は、矩形板状とされている。第2筐体102は、キーボード107およびタッチパッド108を搭載する。キーボード107およびタッチパッド108は、入力デバイスの例である。第2筐体102は、システム筐体とも呼ばれる。
【0020】
第1筐体101は、枠体104と、カバー部材10(図1参照)とを備えている。第1筐体101は、全体として矩形板状とされている。枠体104は、矩形状とされている。枠体104は、ディスプレイ103の周縁部を保持する。ディスプレイ103は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(EL:Electro-Luminescence)ディスプレイなどである。第1筐体101は、ディスプレイ筐体とも呼ばれる。
【0021】
図1に示すように、カバー部材10は、枠体104の背面側に設けられている。背面側とは、第1筐体101を第2筐体102に対して閉じた状態としたときに、第2筐体102と対向する面とは反対の面の側である。カバー部材10は、第1筐体101の背面全体にわたる矩形板状とされている。
【0022】
図3および図4に示すように、カバー部材10は、内板部20と、カバー30と、表示ユニット40とを備える。
以下の説明では、カバー部材10の姿勢を、図4に即して仮に規定する。図4では、カバー部材10は、カバー30を上に向けた姿勢をとっている。カバー30は内板部20の上に位置する。なお、ここで定めた位置関係は、カバー部材10の使用時の姿勢を限定しない。内板部20の主面20a、またはカバー30の外面30bと垂直な方向から見ることを平面視という。主面20aと垂直な方向は、主面方向(主面20aの法線方向)ともいえる。
【0023】
内板部20は、平坦な矩形板状とされている。内板部20の少なくとも一部は、例えば、炭素繊維強化プラスチック(以下、CFRPという)で構成されている。CFRPは、炭素繊維に、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させた繊維強化プラスチックである。内板部20にCFRPを使用することによって、カバー30を補強してカバー部材10の機械的強度を高め、カバー部材10の形状を安定させることができる。
なお、内板部20の構成材料は特に限定されない。内板部20の構成材料は、樹脂材料、例えば、ガラス繊維などの強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させた繊維強化プラスチックなどであってもよい。
【0024】
内板部20の主面20a(図4において上面)は、平坦に形成されている。主面20aには、収容凹部21が形成されている。収容凹部21は、平面視において矩形状とされている(図3参照)。収容凹部21は、切削加工などにより形成することができる。
【0025】
図1および図2に示すように、カバー30は、平坦な矩形板状とされている。カバー30は、少なくとも内板部20の主面20aを覆う(図4参照)。カバー30は、主面20aと対向して配置されている。カバー30は、例えば、金属、樹脂などで形成される。カバー30を構成する金属としては、例えば、チタン、チタン合金、アルミニウム合金、マグネシウム合金、ステンレス鋼などが挙げられる。
【0026】
図3に示すように、カバー30には、カバー30を厚さ方向に貫通する表示用孔31が形成されている。本実施形態では、表示用孔31は、表示ユニット40の表示部42に沿う形状とされている。詳しくは、表示用孔31は、第1孔部31aと、第2孔部31bと、第3孔部31cとを有する。
【0027】
第1孔部31aは、表示部42の第1表示42aに沿う「X」の形状を有する。第1孔部31aは、平面視において第1表示42aを囲む(図5(A)参照)。第2孔部31bは、表示部42の第2表示42bに沿う「Y」の形状を有する。第2孔部31bは、平面視において第2表示42bを囲む(図5(A)参照)。第3孔部31cは、表示部42の第3表示42cに沿う「Z」の形状を有する。第3孔部31cは、平面視において第3表示42cを囲む(図5(A)参照)。
【0028】
表示用孔31は、例えば、打ち抜き加工によってカバー30に形成することができる。表示用孔31の位置は、特に限定されないが、例えば、矩形状のカバー30の角部に近い位置であってよい(図1参照)。
なお、表示用孔の形状は、平面視において表示部を囲む形状であれば、特に限定されない。例えば、表示用孔は、平面視において表示部の第1~第3表示を一括して囲む形状であってもよい。
【0029】
図4に示すように、カバー30の内面30aは、第2接着層32を介して内板部20の主面20aに接着されている。第2接着層32は、例えば、両面接着性シートで形成されている。両面接着性シートは、基材シートと、その両面に設けられた接着剤層とを備える。接着剤層は、熱溶着可能な材料で構成されていることが好ましい。接着剤層の構成材料は、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂などである。第2接着層32は、前記接着剤のみで形成されていてもよい。
【0030】
表示ユニット40は、ベース部41と、表示部42とを備える。
ベース部41は、例えば、矩形状の板体である(図3参照)。ベース部41は、例えば、透明に形成されている。ベース部41は、無色であることが好ましい。
【0031】
「透明」とは、例えば、測定波長380nm~780nmの範囲内で測定したときの、全波長域における厚さ方向の透過率の平均値として算出される可視光透過率が50%以上(好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上)であることを意味する。光透過率は、JIS K 7375:2008に規定される「プラスチック-全光線透過率及び全光線反射率の求め方」に準拠して測定することができる。
ベース部41は、例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂などのプラスチックで形成されている。
図4に示すように、ベース部41は、内板部20とカバー30との間に配置される。
【0032】
図4および図5(B)に示すように、ベース部41の下面41aには、必要に応じて、着色層(着色部)43が形成されている。着色層43は、表示部42が表示する対象(例えば、商品名、機種名、製造元など)に応じた色を呈する。着色層43は、表示部42に応じた形状とすることができる。例えば、着色層43は、平面視において表示部42と同じ形状とすることができる。着色層43は、少なくとも、平面視において表示部42と重なる位置に形成されている。
【0033】
図5(A)に示すように、本実施形態では、着色層43は、表示部42に沿う「XYZ」という文字の形状を有する。図5(B)に示すように、詳しくは、着色層43は、第1着色部43aと、第2着色部43bと、第3着色部43cとを有する。第1着色部43aは、第1表示42aに沿う「X」の形状を有する。第2着色部43bは、第2表示42bに沿う「Y」の形状を有する。第3着色部43cは、第3表示42cに沿う「Z」の形状を有する。着色層43は、例えば、インク、塗料などで形成されている。着色層43は、印刷などにより形成することができる。
【0034】
第1着色部43a、第2着色部43bおよび第3着色部43cのうち2以上は、色が互いに異なっていてもよい。本実施形態では、第1着色部43a、第2着色部43bおよび第3着色部43cの色は、互いに異なる。
【0035】
第1着色部43aは、複数の部分領域の色が互いに異なっていてもよい。例えば、第1着色部43aの左半分の領域の色と右半分の領域の色とが異なる場合、第1表示42aが示す「X」の左半分の領域と右半分の領域とに異なる色を与えることができる。第2着色部43bおよび第3着色部43cについても、複数の部分領域の色が互いに異なっていてもよい。
着色層43に複数の色が用いられている場合には、表示部42が表示する対象の視覚効果を高めることができる。
【0036】
図4および図5(B)に示すように、ベース部41の上面は、対向面41bである。対向面41bは、カバー30の内面30aに対向する面である。
対向面41bには、第1接着層44が形成されている。第1接着層44は、例えば、例えば、両面接着性シートで形成されている。両面接着性シートは、基材シートと、その両面に設けられた接着剤層とを備える。接着剤層は、例えば、熱溶着可能な樹脂で構成されている。接着剤層の構成材料は、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂などである。第1接着層44は、前記接着剤のみで形成されていてもよい。
【0037】
本実施形態では、第1接着層44は、対向面41bの全域にわたって形成されている。
第1接着層44は、例えば、透明に形成されている。第1接着層44は、無色であることが好ましい。
【0038】
ベース部41は、平面視において表示用孔31を包含し、かつ表示用孔31より広い範囲にわたるように形成されている。ベース部41の面積は、平面視における表示用孔31の面積より大きい。そのため、対向面41bの一部は、カバー30の内面30aに対面する。ベース部41は、第1接着層44によって、カバー30の内面30aに接着されている。そのため、ベース部41は、カバー30の内面30aに沿う姿勢となる。したがって、内板部20を構成する繊維強化プラスチックに含まれる強化繊維によって、収容凹部21の底面に凹凸が形成された場合でも、ベース部41の形状および姿勢に影響が及びにくい。
【0039】
ベース部41の少なくとも一部は、内板部20の収容凹部21に収容されている。ベース部41の厚さは、ベース部41が収容凹部21の底面に達しないように定められる。ベース部41を、収容凹部21の底面に達しない厚さとすると、収容凹部21の底面に凹凸がある場合でも、ベース部41の形状および姿勢に影響が及びにくい。
【0040】
表示部42は、ベース部41の対向面41bに、第1接着層44によって接着されている。表示部42は、対向面41bに対して上方に突出している。
表示部42は、カバー30の外面30bに対する色の違い、外面30bとの高低差、外面30bとの表面形状の違い、外面30bとの質感(例えば、光沢)の違い、などによって、視覚により表示として認識できるように形成されている。
【0041】
本実施形態では、表示部42は、「XYZ」という文字の形状を有する。詳しくは、表示部42は、第1表示42aと、第2表示42bと、第3表示42cとを備える。第1表示42aは、平面視において「X」の形状を有する。第2表示42bは、平面視において「Y」の形状を有する。第3表示42cは、平面視において「Z」の形状を有する。平面視における表示部42の面積は、対向面41bの面積より小さい。
【0042】
本実施形態では、表示部42の形状として文字「XYZ」を例示したが、表示部の形状は特に限定されない。表示部42が形成する表示は、例えば、文字、図形、および記号のうち1以上で構成される。表示部42が形成する表示は、文字、図形、および記号のうち1以上と、色彩との結合として識別できることが好ましい。表示部42が表示する情報としては、例えば、商品名、機種名、製造元などが挙げられる。
【0043】
表示部42は、例えば、透明に形成されている。表示部42は、無色であることが好ましい。
表示部42、第1接着層44およびベース部41が透明であると、表示部42、第1接着層44およびベース部41を通して着色層43を視認できる。そのため、表示部42は、着色層43の色を呈する。表示部42、第1接着層44およびベース部41が透明であると、表示部42が形成する表示に、奥行きのある視覚効果を与えることができる。
【0044】
第1着色部43a、第2着色部43bおよび第3着色部43cの色が互いに異なる場合、第1表示42aと、第2表示42bと、第3表示42cとは、互いに異なる色を呈する。そのため、文字ごとに色が異なる「XYZ」という表示を形成することができる。
表示部42は、例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂などのプラスチックで形成されている。なかでも、ポリカーボネートは、耐熱性、耐擦傷性、表面の質感(光沢など)などに優れるため好ましい。
【0045】
表示部42は、表示用孔31に位置する。表示部42は、表示用孔31に位置することによって、外部から視認できる。表示部42は、少なくとも一部が外部から視認可能となっていればよい。表示部42は、平面視において(すなわち、主面20aおよび外面30bと垂直な方向から見て)、表示用孔31内に位置することが好ましい。表示部42は、カバー30の表示用孔31に挿入されることが好ましい。
【0046】
表示部42の一部は、カバー30の外面30bに対して外方(図4および図5(B)において上方)に突出することが好ましい。外面30bに対する表示部42の突出高さH1(図4参照)は、例えば、0.1mm~0.5mmであってよい。表示部42の一部を、カバー30の外面30bに対して外方に突出させるには、表示部42の厚さ(高さ寸法)をカバー30の厚さより大きくすればよい。
なお、表示部42の先端面(図4および図5(B)において上面)は、外面30bと同じ高さにあってもよい。表示部42の先端面を外面30bとほぼ同じ高さとするには、表示部42の厚さ(高さ寸法)をカバー30の厚さと同じとすればよい。
【0047】
[カバー部材の製造方法](第1実施形態)
図7図11を参照して、図4に示すカバー部材10を製造する方法の一例を説明する。
【0048】
(第1工程:表示ユニットの作製)
図7に示すように、ベース部41の対向面41bに、第1接着層44を形成する。ベース部41の下面41aに、印刷などにより着色層43を形成する。
次いで、図8に示すように、表示部42を、第1接着層44を介してベース部41の対向面41bに接着(または溶着)する。これにより、表示ユニット40を得る。
表示部42は、加熱・加圧条件下で、ベース部41の対向面41bに接着(または溶着)することが好ましい。表示部42をベース部41に接着する際の加熱温度T1は、例えば、100℃未満(好ましくは、70℃以上、100℃未満)である。表示部42は小型で軽量であるため、加熱温度T1が比較的低くても、ベース部41からの表示部42の脱落等の問題は生じない。
【0049】
(第2工程:カバーの組み付け)
図9に示すように、カバー30には、予め、打ち抜き加工などにより表示用孔31を形成しておく。
カバー30の内面30aに、第1接着層44を介してベース部41の対向面41bを接着(または溶着)する。この際、表示部42を、カバー30の表示用孔31に挿入する。これにより、表示部42は、表示用孔31に位置する。ベース部41をカバー30に接着することにより、表示ユニット40はカバー30に取り付けられる。
【0050】
ベース部41は、加熱・加圧条件下でカバー30に接着(または溶着)することが好ましい。ベース部41をカバー30に接着する際の加熱温度T2は、表示部42をベース部41に接着する際の加熱温度T1より高いことが好ましい。加熱温度T2は、例えば、120℃以上(好ましくは、120℃以上、150℃以下)である。加熱温度T2を比較的高く設定することにより、ベース部41とカバー30とを確実に接着固定できる。
【0051】
図10に示すように、内板部20の主面20aには、予め第2接着層32を形成しておく。表示部42を取り付けたカバー30を、内板部20の主面20aを覆うように配置する。図11に示すように、ベース部41の少なくとも一部を、収容凹部21に収容する。カバー30を、第2接着層32を介して内板部20の主面20aに接着(または溶着)する。カバー30と内板部20とは、加熱・加圧条件下で、接着(または溶着)することが好ましい。
【0052】
カバー30と内板部20とを接着する際には、ベース部41と表示部42との接着箇所にも熱が加えられるため、ベース部41に対する表示部42の接着強度も高められる。
以上の過程を経て、カバー部材10を得る。
【0053】
[第1実施形態のカバー部材が奏する効果]
カバー部材10は、カバー30の表示用孔31に位置する表示部42によって表示を形成する。そのため、カバー30の加工に関して製造上の制約が少ない。よって、複雑な形状の表示であっても、精度よく形成することができる。
これに対し、カバー外面の凹部内に表示部が取り付けられたカバー部材では、表示の形状が複雑である場合、カバーの材質によっては、当該形状の凹部形成が難しくなることがある。そのため、精度よく表示を形成するのが容易でない場合がある。
【0054】
カバー部材10では、ベース部41に固定された表示部42によって表示を形成する。ベース部41がカバー30と内板部20との間に配置されているため、表示ユニット40の脱落、損傷、剥離、位置ずれなどは起こりにくい。よって、表示の耐久性を高めることができる。
これに対し、印刷によって表示を形成したカバー部材では、外力により表示の損傷、剥離などが起きる可能性がある。
【0055】
カバー部材10は、着色層43によって表示に色を与えるため、レーザー加工によって表示を形成したカバー部材に比べ、表示の色に制約が少ない。そのため、表示の色に関して選択の自由度が高い。カバー部材10は、歩留まりが高いという利点もある。
【0056】
カバー部材10では、ベース部41がカバー30の内面30aに接着されている。そのため、ベース部41には外力が作用しにくい。したがって、表示ユニット40の脱落、位置ずれなどは起こりにくい。よって、表示の耐久性を高めることができる。
【0057】
カバー部材10では、表示部42の一部がカバー30の外面30bに対して外方に突出している。そのため、ユーザの手指が表示用孔31の周縁に触れにくくなる。よって、安全性を高めることができる。表示部42の一部がカバー30の外面30bに対して外方に突出していると、表示部42を視認しやすくなるという利点もある。
【0058】
カバー部材10では、表示部42が透明とされ、表示部42を通して着色層43を視認できる。前述のように、表示部42は、脱落、損傷、剥離、位置ずれなどが起こりにくいため、耐久性に優れた色付き表示を実現できる。
カバー部材10は、透明な表示部42を通して着色層43を視認できるため、表示に、奥行きのある視覚効果を与えることができる。よって、外観上、高級感を演出することができる。
【0059】
カバー部材10では、内板部20の主面20aに、ベース部41の少なくとも一部が収容される収容凹部21が形成されている。内板部20とカバー30との間に、ベース部41を配置する空間を確保することによって、カバー部材10の厚さを抑制できる。また、第2接着層32によってカバー30に接着される主面20aの領域を広く確保することができる。
【0060】
[第1実施形態のカバー部材の製造方法が奏する効果]
前述の製造方法では、第1工程において表示部42をベース部41に接着する際の接着条件と、第2工程においてベース部41をカバー30に接着する際の接着条件とを任意に選択できる。例えば、第2工程における加熱温度T2を、第1工程における加熱温度T1より高くすることができる。その場合、第1工程において容易に表示ユニット40を作製するとともに、第2工程においてベース部41を確実にカバー30に接着固定できる。
【0061】
[カバー部材](第2実施形態)
図12は、第2実施形態に係るカバー部材210の模式的な断面図である。
カバー部材210の表示ユニット240は、ベース部41の対向面41bのうち、カバー30の内面30aに対面する領域には第1接着層44が形成されていない。そのため、ベース部41はカバー30に接着されていない。表示ユニット240は、この点で、図4に示す表示ユニット40と異なる。
【0062】
収容凹部21内には、表示ユニット240を支持する支持体222が設けられている。支持体222は、充てん材などで構成される。支持体222は、ベース部41がカバー30に当接または近接する位置に表示ユニット240を支持する。
【0063】
カバー部材210は、ベース部41がカバー30に接着されないため、カバー30に対する表示ユニット240の組み付けが容易である。よって、カバー部材210は、組み立てが容易である。
【0064】
この発明の具体的な構成は上述の実施形態に限られず、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。上述の実施形態において説明した各構成は、任意に組み合わせることができる。
例えば、図4に示す表示ユニット40は、ベース部41の下面41aに着色層43が形成されているが、着色層は、表示部を通して視認可能であれば、形成位置は限定されない。着色層は、ベース部41の対向面41bに設けてもよい。着色層は、表示部42の下面に設けてもよい。着色層は、ベース部41の内部に設けてもよい。
【0065】
図4に示す表示ユニット40は、ベース部41の下面41aに着色層43が形成されているが、着色層はなくてもよい。実施形態の表示ユニットは、自身が所定の色を呈するベース部41または表示部42を使用してもよい。ベース部41または表示部42を着色するには、例えば、顔料、染料などの着色料を含有した樹脂材料を用いてベース部41または表示部42を作製すればよい。
【0066】
前述の製造方法では、第2工程における加熱温度T2を、第1工程における加熱温度T1に対して高く設定したが、例えば、第2工程においてベース部41とカバー30に加える圧力P2を、第1工程においてベース部41と表示部42に加える圧力P1に対して高く設定してもよい。
【符号の説明】
【0067】
10…カバー部材(表示付きカバー部材)、20…内板部、20a…主面、21…収容凹部、31…表示用孔、30…カバー、30a…内面、30b…外面、40,240…表示ユニット、41…ベース部、41b…対向面、42…表示部、43…着色層(着色部)、44…第1接着層、100…電子機器。
図1
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図12