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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077115
(43)【公開日】2022-05-23
(54)【発明の名称】遠心圧縮機および過給機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/44 20060101AFI20220516BHJP
【FI】
F04D29/44 P
F04D29/44 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020187784
(22)【出願日】2020-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】時枝 克典
(72)【発明者】
【氏名】沼倉 龍介
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB27
3H130AB42
3H130AC14
3H130BA03A
3H130BA08A
3H130BA14A
3H130CA02
3H130CA05
3H130DA02Z
3H130DD06Z
3H130EB04A
(57)【要約】
【課題】コンプレッサインペラに生じる振動応力を低減する。
【解決手段】遠心圧縮機C1は、コンプレッサハウジング7(ハウジング)に形成され、コンプレッサインペラ19(インペラ)が配される主流路23と、主流路23よりインペラの径方向外側に形成される副流路110と、主流路23と副流路110とを連通させる上流連通路120および下流連通路130と、インペラの径方向において主流路23と副流路110との間に位置し、インペラの回転軸方向において上流連通路120と下流連通路130との間に位置する区画壁140と、副流路110に配され、ハウジングと区画壁140とを接続し、径方向外側の端部151の少なくとも一部がインペラの周方向の全域に亘って副流路110の外周面110aと離隔しているリブ150(支持部)と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングに形成され、インペラが配される主流路と、
前記主流路より前記インペラの径方向外側に形成される副流路と、
前記主流路と前記副流路とを連通させる上流連通路と、
前記上流連通路よりも前記インペラに近接し、前記インペラと径方向に対向して配され、前記主流路と前記副流路とを連通させる下流連通路と、
前記インペラの径方向において前記主流路と前記副流路との間に位置し、前記インペラの回転軸方向において前記上流連通路と前記下流連通路との間に位置する区画壁と、
前記副流路に配され、前記ハウジングと前記区画壁とを接続し、前記径方向外側の端部の少なくとも一部が前記インペラの周方向の全域に亘って前記副流路の外周面と離隔している支持部と、
を備える、
遠心圧縮機。
【請求項2】
前記支持部の前記径方向外側の端部のうちの前記上流連通路側と逆側の部分は、前記副流路の外周面と接続されている、
請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項3】
前記支持部の前記上流連通路側と逆側の端部の少なくとも一部は、前記副流路の前記上流連通路側と逆側の端面と離隔している、
請求項1または2に記載の遠心圧縮機。
【請求項4】
前記支持部の前記径方向外側の端部のうちの前記インペラの周方向の端側の部分は、湾曲形状を有する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の遠心圧縮機。
【請求項5】
前記支持部の前記径方向外側の端部には、前記インペラの回転方向に進むにつれて前記インペラの径方向外側に傾斜する傾斜面が設けられる、
請求項1から4のいずれか一項に記載の遠心圧縮機。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の遠心圧縮機を備える過給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遠心圧縮機および過給機に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心圧縮機には、例えば、特許文献1に開示されているように、主流路と連通する副流路が形成される場合がある。主流路には、コンプレッサインペラが配される。副流路は、主流路よりコンプレッサインペラの径方向外側に形成される。主流路と副流路は、上流連通路および下流連通路によって連通する。コンプレッサインペラに流入する流体(空気)の流量が小さくなる領域では、コンプレッサインペラで圧縮された高圧の流体は、下流連通路および副流路を逆流して上流連通路から主流路に還流する。こうして、コンプレッサインペラに流入する見かけ上の流量が増加するため、小流量側の作動領域が拡大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-180198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
副流路は、主流路が形成されるコンプレッサハウジングと、主流路と副流路との間を区画する区画壁との間に形成される。副流路には、区画壁を支持するための支持部として、例えば、リブが配される。コンプレッサハウジングと区画壁は、リブによって接続される。下流連通路から副流路に流入した空気の流れは、旋回方向の速度成分を有する。このような空気の流れがリブにより遮られて渦が発生することによって、コンプレッサインペラの振動応答が強くなり、コンプレッサインペラに大きな振動応力が生じる場合がある。
【0005】
本開示の目的は、コンプレッサインペラに生じる振動応力を低減することが可能な遠心圧縮機および過給機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の遠心圧縮機は、ハウジングに形成され、インペラが配される主流路と、主流路よりインペラの径方向外側に形成される副流路と、主流路と副流路とを連通させる上流連通路と、上流連通路よりもインペラに近接し、インペラと径方向に対向して配され、主流路と副流路とを連通させる下流連通路と、インペラの径方向において主流路と副流路との間に位置し、インペラの回転軸方向において上流連通路と下流連通路との間に位置する区画壁と、副流路に配され、ハウジングと区画壁とを接続し、径方向外側の端部の少なくとも一部がインペラの周方向の全域に亘って副流路の外周面と離隔している支持部と、を備える。
【0007】
支持部の径方向外側の端部のうちの上流連通路側と逆側の部分は、副流路の外周面と接続されていてもよい。
【0008】
支持部の上流連通路側と逆側の端部の少なくとも一部は、副流路の上流連通路側と逆側の端面と離隔していてもよい。
【0009】
支持部の径方向外側の端部のうちのインペラの周方向の端側の部分は、湾曲形状を有してもよい。
【0010】
支持部の径方向外側の端部には、インペラの回転方向に進むにつれてインペラの径方向外側に傾斜する傾斜面が設けられてもよい。
【0011】
上記課題を解決するために、本開示の過給機は、上記の遠心圧縮機を備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、コンプレッサインペラに生じる振動応力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本開示の第1の実施形態に係る過給機の概略断面図である。
図2図2は、図1の一点鎖線部分の抽出図である。
図3図3は、図2のA-A断面における断面図である。
図4図4は、本開示の第2の実施形態に係る遠心圧縮機のリブを示す断面図である。
図5図5は、本開示の第3の実施形態に係る遠心圧縮機のリブを示す断面図である。
図6図6は、本開示の第4の実施形態に係る遠心圧縮機のリブを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の各実施形態について説明する。実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0015】
図1は、本開示の第1の実施形態に係る過給機TCの概略断面図である。図1に示す矢印L方向を過給機TCの左側として説明する。図1に示す矢印R方向を過給機TCの右側として説明する。図1に示すように、過給機TCは、過給機本体1を備える。
【0016】
過給機本体1は、ベアリングハウジング3と、タービンハウジング5と、コンプレッサハウジング7とを備える。ベアリングハウジング3の左側には、締結ボルト9によってタービンハウジング5が連結される。ベアリングハウジング3の右側には、締結ボルト11によってコンプレッサハウジング7が連結される。
【0017】
本実施形態の過給機TCは、タービンTと、遠心圧縮機C1とを備える。タービンTは、ベアリングハウジング3およびタービンハウジング5を含む。遠心圧縮機C1は、ベアリングハウジング3およびコンプレッサハウジング7を含む。コンプレッサハウジング7は、本開示のハウジングの一例に相当する。以下では、遠心圧縮機C1および後述する遠心圧縮機C2、C3、C4が過給機TCに設けられる例について説明する。ただし、遠心圧縮機C1および後述する遠心圧縮機C2、C3、C4は、過給機TC以外の装置に組み込まれてもよいし、単体であってもよい。
【0018】
ベアリングハウジング3には、軸受孔3aが形成されている。軸受孔3aは、過給機TCの左右方向に貫通する。軸受孔3aには、軸受13が設けられる。図1では、軸受13の一例としてフルフローティング軸受を示す。ただし、軸受13は、セミフローティング軸受や転がり軸受など、他のラジアル軸受であってもよい。軸受13によって、シャフト15が回転自在に軸支されている。シャフト15の左端部には、タービン翼車17が設けられる。タービン翼車17は、タービンハウジング5内に回転自在に収容される。シャフト15の右端部には、コンプレッサインペラ19が設けられる。コンプレッサインペラ19は、コンプレッサハウジング7内に回転自在に収容される。コンプレッサインペラ19は、本開示のインペラの一例に相当する。
【0019】
コンプレッサハウジング7には、ハウジング穴7aが形成される。ハウジング穴7aは、過給機TCの右側に開口する。ハウジング穴7aには、取付部材21が接続される。コンプレッサハウジング7および取付部材21によって主流路23が形成される。主流路23は、過給機TCの右側に開口する。主流路23は、コンプレッサインペラ19の回転軸方向(以下、単に回転軸方向とも呼ぶ)に延在する。主流路23は、不図示のエアクリーナに接続される。コンプレッサインペラ19は、主流路23に配される。
【0020】
ベアリングハウジング3とコンプレッサハウジング7の間には、ディフューザ流路25が形成される。ディフューザ流路25は、ベアリングハウジング3とコンプレッサハウジング7の回転軸方向における対向面によって形成される。ディフューザ流路25は、空気を昇圧する。ディフューザ流路25は、シャフト15の径方向内側から外側に向けて環状に形成されている。ディフューザ流路25は、シャフト15の径方向内側において主流路23に連通している。
【0021】
コンプレッサハウジング7には、コンプレッサスクロール流路27が設けられている。コンプレッサスクロール流路27は、環状に形成される。コンプレッサスクロール流路27は、例えばディフューザ流路25よりもシャフト15の径方向外側に位置する。コンプレッサスクロール流路27は、不図示のエンジンの吸気口およびディフューザ流路25と連通している。コンプレッサインペラ19が回転すると、主流路23からコンプレッサハウジング7内に流体(例えば、空気)が吸気される。吸気された流体は、コンプレッサインペラ19の翼間を流通する過程において、加圧加速される。加圧加速された流体は、ディフューザ流路25およびコンプレッサスクロール流路27で昇圧される。昇圧された流体は、エンジンの吸気口に導かれる。
【0022】
タービンハウジング5には、吐出口29が形成されている。吐出口29は、過給機TCの左側に開口する。吐出口29は、不図示の排気ガス浄化装置に接続される。また、タービンハウジング5には、連通路31と、タービンスクロール流路33とが設けられている。連通路31は、タービン翼車17よりも径方向外側に位置する。連通路31は、タービン翼車17を介してタービンスクロール流路33と吐出口29とを連通させる。
【0023】
タービンスクロール流路33は、環状に形成される。タービンスクロール流路33は、例えば連通路31よりもタービン翼車17の径方向外側に位置する。タービンスクロール流路33は、不図示のガス流入口と連通する。ガス流入口には、不図示のエンジンの排気マニホールドから排出される排気ガスが導かれる。ガス流入口からタービンスクロール流路33に導かれた排気ガスは、連通路31およびタービン翼車17の翼間を介して吐出口29に導かれる。吐出口29に導かれた排気ガスは、その流通過程においてタービン翼車17を回転させる。
【0024】
タービン翼車17の回転力は、シャフト15を介してコンプレッサインペラ19に伝達される。上記のとおりに、空気は、コンプレッサインペラ19の回転力によって昇圧されて、エンジンの吸気口に導かれる。
【0025】
図2は、図1の一点鎖線部分の抽出図である。図3は、図2のA-A断面における断面図である。図2に示すように、コンプレッサハウジング7には、循環流路100が形成される。循環流路100は、副流路110と、上流連通路120と、下流連通路130とを含む。以下、図2に示す矢印R方向を主流路23の吸気の上流側として説明する。図2に示す矢印L方向を主流路23の吸気の下流側として説明する。
【0026】
副流路110は、主流路23よりコンプレッサインペラ19の径方向外側に形成される。副流路110は、コンプレッサインペラ19の径方向(以下、単に径方向とも呼ぶ)において、主流路23から離隔して形成される。副流路110は、コンプレッサインペラ19の周方向(以下、単に周方向とも呼ぶ)に延在し、大凡円環形状に形成される。
【0027】
上流連通路120および下流連通路130は、主流路23と副流路110との間に形成される。上流連通路120および下流連通路130は、主流路23と副流路110とを連通させる。上流連通路120は、コンプレッサインペラ19の前縁端であるリーディングエッジLEよりも主流路23の吸気の上流側(図2中、右側)に位置する。上流連通路120は、大凡円環形状に形成される。
【0028】
下流連通路130は、上流連通路120よりもコンプレッサインペラ19に近接する側に位置する。下流連通路130は、コンプレッサインペラ19のリーディングエッジLEよりも吸気の下流側(図2中、左側)に位置する。下流連通路130は、コンプレッサインペラ19と径方向に対向して配される。下流連通路130は、大凡円環形状に形成される。
【0029】
主流路23、副流路110、上流連通路120、および、下流連通路130の間には、区画壁140が形成される。区画壁140は、径方向において、主流路23と副流路110との間に位置する。区画壁140は、主流路23と副流路110とを区画する。区画壁140は、回転軸方向において、上流連通路120と下流連通路130との間に位置する。区画壁140は、上流連通路120と下流連通路130とを区画する。
【0030】
副流路110には、リブ150が配される。リブ150は、本開示の支持部の一例に相当する。リブ150は、例えば板状に形成される。リブ150は、回転軸方向に延在する。本実施形態では、副流路110に複数のリブ150が設けられる。複数のリブ150は、周方向に間隔を空けて設けられる。図3に示す例では、6個のリブ150が、周方向に等間隔に設けられている。ただし、リブ150の数は、6個以外であってもよい。複数のリブ150は、周方向に不等間隔に設けられてもよい。リブ150は、副流路110のうちの下流側に設けられる。
【0031】
リブ150は、コンプレッサハウジング7と区画壁140とを接続する。リブ150は、下流連通路130を跨いで、コンプレッサハウジング7と区画壁140との間に掛け渡される。リブ150は、コンプレッサハウジング7から脱落しないように、区画壁140を支持する。コンプレッサハウジング7、区画壁140およびリブ150は、一体として形成される。ただし、コンプレッサハウジング7、区画壁140およびリブ150は、別体として形成されてもよい。その場合、例えば、リブ150は、コンプレッサハウジング7および区画壁140とそれぞれ溶接等によって接合され得る。
【0032】
コンプレッサインペラ19に流入する流体(空気)の流量が小さくなる領域では、コンプレッサインペラ19により圧縮された高圧の流体が、下流連通路130を介して副流路110に流入し、上流連通路120から主流路23に還流する。こうして、コンプレッサインペラ19に流入する見かけ上の流量が増加するため、遠心圧縮機C1の小流量側の作動領域が拡大する。
【0033】
ここで、下流連通路130から副流路110に流入した空気の流れは、旋回方向(具体的には、コンプレッサインペラ19の回転方向RD)の速度成分を有する。このような空気の流れがリブ150により遮られて渦が発生することによって、コンプレッサインペラ19の振動応答が強くなり、コンプレッサインペラ19に大きな振動応力が生じる場合がある。
【0034】
そこで、本実施形態の遠心圧縮機C1では、図2および図3に示すように、リブ150の径方向外側の端部151が周方向の全域に亘って副流路110の外周面110aと離隔している(つまり、副流路110は、リブ150による絞りを含む、円環状の空隙を備える)。それにより、下流連通路130から副流路110に流入した空気は、図3中で破線矢印により示すように、リブ150の径方向外側の端部151と副流路110の外周面110aとの間の空間S1(絞り)を通過して回転方向RDに流れる。ゆえに、下流連通路130から副流路110に流入した空気は、リブ150を円滑に乗り越えることができる。よって、副流路110内で回転方向RDに流れる空気がリブ150に遮られることに起因する渦の発生が抑制される。したがって、コンプレッサインペラ19の振動応答が強くなることが抑制され、コンプレッサインペラ19に生じる振動応力が低減される。
【0035】
リブ150の径方向外側の端部151のいずれの部分も副流路110の外周面110aと離隔している。ただし、リブ150の径方向外側の端部151の少なくとも一部が、周方向の全域に亘って副流路110の外周面110aと離隔していればよい。例えば、後述するリブ350(図5を参照)のように、リブ150の径方向外側の端部151の一部は、副流路110の外周面110aと接続されていてもよい。図2および図3の例では、端部151は、回転軸方向および周方向(つまり、法線方向)に平行な平面形状を有する。ただし、端部151は、曲面形状を有していてもよい。リブ150の上流連通路120側と逆側(つまり、下流側)の端部152は、副流路110の上流連通路120側と逆側(つまり、下流側)の端面110bと接続されている。
【0036】
副流路110の径方向の長さに対するリブ150の径方向の長さの割合が小さいほど、リブ150の周囲での空気の流れが効果的に円滑化され、渦の発生が効果的に抑制される。一方、上記の割合が小さいほど、コンプレッサハウジング7と区画壁140との接続強度が低下する。ゆえに、上記の割合は、例えば、渦の発生を抑制する効果と接続強度とのバランスを考慮して設定される。
【0037】
図3に示すように、リブ150の径方向外側の端部151のうちの周方向の端側の部分である周方向端部151aは、湾曲形状を有する。図3の例では、周方向端部151aは、回転軸方向に延在する円弧面形状を有する。つまり、周方向端部151aは、回転軸方向に直交する断面において円弧形状を有する。ただし、周方向端部151aの形状は、円弧面形状以外の湾曲形状であってもよい。
【0038】
本実施形態では、周方向端部151aが湾曲形状を有することによって、下流連通路130から副流路110に流入した後にリブ150に到達した空気は、リブ150の径方向外側の端部151と副流路110の外周面110aとの間の空間S1に円滑に導かれる。ゆえに、下流連通路130から副流路110に流入した空気は、リブ150をより円滑に乗り越えることができる。よって、渦の発生が効果的に抑制され、コンプレッサインペラ19に生じる振動応力が効果的に低減される。
【0039】
図3の例では、回転方向RD側の周方向端部151aと回転方向RD側と逆側の周方向端部151aの双方が湾曲形状を有する。ただし、回転方向RD側の周方向端部151aと回転方向RD側と逆側の周方向端部151aの一方のみが湾曲形状を有してもよい。ただし、副流路110内におけるリブ150の周囲での空気の流れを円滑化する観点では、回転方向RD側の周方向端部151aと回転方向RD側と逆側の周方向端部151aの双方が湾曲形状を有することが好ましい。リブ150に到達した空気を空間S1に円滑に導く観点では、特に、回転方向RD側と逆側の周方向端部151aが湾曲形状を有することが好ましい。副流路110内におけるリブ150の周囲での空気の流れを円滑化する観点では、リブ150における周方向端部151a以外の部分(例えば、端部151のうちの回転軸方向の端側の部分等)が湾曲形状を有していてもよい。
【0040】
図4は、本開示の第2の実施形態に係る遠心圧縮機C2のリブ250を示す断面図である。図4は、遠心圧縮機C2のうち図3で示す断面と対応する断面を示す断面図である。第2の実施形態に係る遠心圧縮機C2では、上述した第1の実施形態に係る遠心圧縮機C1と比較して、リブ250の径方向外側の端部251の形状が異なる。
【0041】
図4に示すように、リブ250の径方向外側の端部251は、上述したリブ150と同様に、周方向の全域に亘って副流路110の外周面110aと離隔している。下流連通路130から副流路110に流入した空気は、リブ250の径方向外側の端部251と副流路110の外周面110aとの間の空間S2を通過して回転方向RDに流れる。それにより、リブ250の周囲での空気の流れが円滑化され、渦の発生が抑制される。ゆえに、コンプレッサインペラ19に生じる振動応力が効果的に低減される。
【0042】
ここで、リブ250の径方向外側の端部251には、回転方向RDに進むにつれて径方向外側に傾斜する傾斜面F1が設けられる。図4の例では、傾斜面F1は、端部251の全域に設けられている。ただし、傾斜面F1は、端部251の一部のみに設けられていてもよい。
【0043】
本実施形態では、端部251に傾斜面F1が設けられることによって、下流連通路130から副流路110に流入した後にリブ250に到達した空気は、リブ250の径方向外側の端部251と副流路110の外周面110aとの間の空間S2に円滑に導かれる。ゆえに、下流連通路130から副流路110に流入した空気は、リブ250をより円滑に乗り越えることができる。よって、渦の発生が効果的に抑制され、コンプレッサインペラ19に生じる振動応力が効果的に低減される。
【0044】
リブ250の径方向外側の端部251のうちの周方向の端側の部分は、上述したリブ150と同様に、湾曲形状を有してもよい。
【0045】
図5は、本開示の第3の実施形態に係る遠心圧縮機C3のリブ350を示す断面図である。図5は、遠心圧縮機C3のうち図2で示す部分と対応する部分を示す断面図である。第3の実施形態に係る遠心圧縮機C3では、上述した第1の実施形態に係る遠心圧縮機C1と比較して、リブ350と副流路110の内面との接続態様が異なる。
【0046】
図5に示すように、リブ350の径方向外側の端部351は、上述したリブ150と同様に、周方向の全域に亘って副流路110の外周面110aと離隔している。ここで、端部351のうちの上流連通路120側(つまり、上流側)の部分である上流部351aが、副流路110の外周面110aと離隔している。一方、端部351のうちの上流連通路120側と逆側(つまり、下流側)の部分である下流部351bは、副流路110の外周面110aと接続されている。リブ350の上流連通路120側と逆側(つまり、下流側)の端部352は、副流路110の上流連通路120側と逆側(つまり、下流側)の端面110bと接続されている。下流部351bは、下流連通路130よりも下流側(図5中の左側)に位置する。
【0047】
下流連通路130から副流路110に流入した空気は、リブ350の径方向外側の端部351のうちの上流側の上流部351aと副流路110の外周面110aとの間の空間S3を通過して回転方向RDに流れる。それにより、リブ350の周囲での空気の流れが円滑化され、渦の発生が抑制される。ゆえに、コンプレッサインペラ19に生じる振動応力が低減される。
【0048】
本実施形態では、リブ350の径方向外側の端部351のうちの下流側の下流部351bが副流路110の外周面110aと接続されていることによって、コンプレッサハウジング7と区画壁140との接続強度が増大する。ただし、リブ350の周囲での空気の流れをより円滑化して渦の発生を効果的に抑制する観点では、リブ150のように、リブ350の径方向外側の端部351のいずれの部分も副流路110の外周面110aと離隔していることが好ましい。
【0049】
図6は、本開示の第4の実施形態に係る遠心圧縮機C4のリブ450を示す断面図である。図6は、遠心圧縮機C4のうち図2で示す部分と対応する部分を示す断面図である。第4の実施形態に係る遠心圧縮機C4では、上述した第1の実施形態に係る遠心圧縮機C1と比較して、リブ450と副流路110の内面との接続態様が異なる。
【0050】
図6に示すように、リブ450の径方向外側の端部451は、上述したリブ150と同様に、周方向の全域に亘って副流路110の外周面110aと離隔している。下流連通路130から副流路110に流入した空気は、リブ450の径方向外側の端部451と副流路110の外周面110aとの間の空間S4を通過して回転方向RDに流れる。それにより、リブ450の周囲での空気の流れが円滑化され、渦の発生が抑制される。ゆえに、コンプレッサインペラ19に生じる振動応力が低減される。
【0051】
ここで、リブ450の上流連通路120側と逆側(つまり、下流側)の端部452は、副流路110の上流連通路120側と逆側(つまり、下流側)の端面110bと離隔している。それにより、下流連通路130から副流路110に流入した空気の一部は、リブ450の下流側の端部452と副流路110の下流側の端面110bとの間の空間S5を通過して回転方向RDに流れる。ゆえに、リブ450の周囲での空気の流れがより円滑化され、渦の発生が効果的に抑制される。ゆえに、コンプレッサインペラ19に生じる振動応力が効果的に低減される。
【0052】
リブ450の下流側の端部452のいずれの部分も副流路110の下流側の端面110bと離隔している。ただし、リブ450の下流側の端部452の少なくとも一部が副流路110の下流側の端面110bと離隔していても、上記の効果が奏される。つまり、リブ450の下流側の端部452の一部が、副流路110の下流側の端面110bと接続されていてもよい。ただし、コンプレッサハウジング7と区画壁140との接続強度を増大させる観点では、リブ150のように、リブ450の下流側の端部452のいずれの部分も副流路110の下流側の端面110bと接続されていることが好ましい。
【0053】
上述したリブ350と同様に、リブ450の径方向外側の端部451の一部が副流路110の外周面110aと接続されていてもよい。
【0054】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態について説明したが、本開示はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0055】
7 コンプレッサハウジング(ハウジング)
19 コンプレッサインペラ(インペラ)
23 主流路
110 副流路
120 上流連通路
130 下流連通路
140 区画壁
150 リブ(支持部)
250 リブ(支持部)
350 リブ(支持部)
450 リブ(支持部)
C1 遠心圧縮機
C2 遠心圧縮機
C3 遠心圧縮機
C4 遠心圧縮機
F1 傾斜面
RD 回転方向
TC 過給機
図1
図2
図3
図4
図5
図6