(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077196
(43)【公開日】2022-05-23
(54)【発明の名称】状態可視化装置、状態可視化方法および状態可視化プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20220516BHJP
G06Q 10/10 20120101ALI20220516BHJP
【FI】
G06Q10/06
G06Q10/10
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020187932
(22)【出願日】2020-11-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】520442151
【氏名又は名称】株式会社HTSライズ
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】綱分 理
(72)【発明者】
【氏名】原田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】米良 隆二
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
5L049AA12
(57)【要約】
【課題】チーム内のそれぞれのメンバー間の交流状態を正確に測ることができる状態可視化装置の提供。
【解決手段】情報可視化装置1は、端末Tからのメッセージを登録するテーブル10と、端末Tから呼びかけメッセージを受信すると、当該端末Tを所持するメンバーが属するチーム内のメンバーに当該呼びかけメッセージを送信するメッセージ制御手段12と、呼びかけメッセージである場合は当該呼びかけメッセージをテーブル10へ登録し、応答メッセージである場合は当該応答メッセージをテーブル10の当該応答メッセージに対応する呼びかけメッセージと紐づけて登録するテーブル制御手段13と、応答メッセージ数に基づいて応答を返したメンバーと当該応答を返されたメンバーとの交流状態の度合を算出する状態算出手段14と、それぞれのメンバー間の交流状態の度合を示した相関図を端末Tへ出力する可視化手段16とを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チームに属する複数のメンバーがそれぞれ所持する端末と相互に通信する状態可視化装置であり、
端末からのメッセージを登録するテーブルと、
端末から他のメンバーに対する呼びかけメッセージを受信すると、当該端末を所持するメンバーが属するチーム内の他の全てのメンバーに当該呼びかけメッセージを送信するメッセージ制御手段と、
端末から受信したメッセージが呼びかけメッセージである場合は当該呼びかけメッセージをテーブルへ登録し、端末から受信したメッセージが呼びかけメッセージに対する応答メッセージである場合は当該応答メッセージを前記テーブルの当該応答メッセージに対応する呼びかけメッセージと紐づけて登録するテーブル制御手段と、
前記テーブルに登録された応答メッセージの数に基づいて、応答を返したメンバーと当該応答を返されたメンバーとの交流状態の度合を算出する状態算出手段と、
前記状態算出手段により算出されたチーム内のそれぞれのメンバー間の交流状態の度合を示した相関図を端末へ出力する可視化手段と
を含む状態可視化装置。
【請求項2】
前記テーブル制御手段は、端末から受信したメッセージが他のメンバーに対する感謝メッセージである場合は当該感謝メッセージをテーブルへ登録し、
前記状態算出手段は、前記テーブルに登録された感謝メッセージの数に基づいて、感謝を送ったメンバーと当該メンバーから感謝を送られたメンバーとの感謝状態の度合を算出し、
前記可視化手段は、前記状態算出手段により算出されたチーム内のそれぞれのメンバー間の感謝状態の度合を示した相関図を端末へ出力する、
請求項1に記載の状態可視化装置。
【請求項3】
前記状態算出手段は、チームに属する全てのメンバーの応答メッセージの合計数または感謝メッセージの合計数と、それぞれのメンバー間の応答メッセージの数または感謝メッセージの数のうち最大の数とに基づいて、前記交流状態の度合または前記感謝状態の度合を算出する請求項2に記載の状態可視化装置。
【請求項4】
端末を所持するメンバーの気分状態に関する情報を当該端末から受け付け、当該気分状態に関する情報に基づいて、当該メンバーの一定期間における気分状態の平均値を算出する気分状態制御手段を含み、
前記可視化手段は、前記気分状態制御手段により算出されたメンバーの一定期間における気分状態の平均値を示したアイコンを端末へ出力する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の状態可視化装置。
【請求項5】
前記気分状態に関する情報は、精神的な安定状態および/または肉体的な健康状態の良し悪しを示す段階値である請求項4に記載の状態可視化装置。
【請求項6】
チームに属する複数のメンバーがそれぞれ所持して状態可視化装置と相互に通信する端末から、他のメンバーに対する呼びかけメッセージを受信すると、当該端末を所持するメンバーが属するチーム内の他の全てのメンバーに当該呼びかけメッセージを送信すること、
端末から受信したメッセージが呼びかけメッセージである場合は当該呼びかけメッセージをテーブルへ登録し、端末から受信したメッセージが呼びかけメッセージに対する応答メッセージである場合は当該応答メッセージを前記テーブルの当該応答メッセージに対応する呼びかけメッセージと紐づけて登録すること、
前記テーブルに登録された応答メッセージの数に基づいて、応答を返したメンバーと当該応答を返されたメンバーとの交流状態の度合を算出すること、
算出されたチーム内のそれぞれのメンバー間の交流状態の度合を示した相関図を端末へ出力すること
を含む状態可視化方法。
【請求項7】
チームに属する複数のメンバーがそれぞれ所持する端末から他のメンバーに対する呼びかけメッセージを受信すると、当該端末を所持するメンバーが属するチーム内の他の全てのメンバーに当該呼びかけメッセージを送信するメッセージ制御手段と、
端末から受信したメッセージが呼びかけメッセージである場合は当該呼びかけメッセージをテーブルへ登録し、端末から受信したメッセージが呼びかけメッセージに対する応答メッセージである場合は当該応答メッセージを前記テーブルの当該応答メッセージに対応する呼びかけメッセージと紐づけて登録するテーブル制御手段と、
前記テーブルに登録された応答メッセージの数に基づいて、応答を返したメンバーと当該応答を返されたメンバーとの交流状態の度合を算出する状態算出手段と、
前記状態算出手段により算出されたチーム内のそれぞれのメンバー間の交流状態の度合を示した相関図を端末へ出力する可視化手段と
してコンピュータを機能させる状態可視化プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会社の部署や課など複数のメンバーが属するチーム内の状態を可視化する状態可視化装置、状態可視化方法および状態可視化プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、会社などの組織は体系化されて複数の部署や課などに分かれている。そして、それぞれの部署や班などのチームには複数のメンバーが所属しており、チーム単位で仕事を進めていく。チーム単位で仕事を進めていくため、チームに属するメンバー間の良好な交流(コミュニケーション)は非常に重要であり、このような交流状態を客観的に把握することが求められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、社内LANを介して携帯端末相互の通話やメールなどのコミュニケーション頻度を視覚化するコミュニケーション密度可視化システムが記載されている。当該コミュニケーション密度可視化システムは、携帯端末の相互間でやりとりされるデータの送受信履歴情報を記録する通信履歴記録機能と、これらのデータの送受信履歴情報から携帯端末相互の通信頻度に応じて、携帯端末を所有する各社員を表す識別表示の相互間を結ぶ関係線の太さ又は色の濃淡を変化させた相関図を出力することにより、社員の親密度合を可視化する解析表示機能とを実行する制御手段を備える管理サーバを具備している。
【0004】
また、特許文献2には、組織内のコミュニケーションのログを記録するコミュニケーションログ記憶手段と、所定の基準期間における上記組織内のコミュニケーションのログを上記コミュニケーションログ記憶手段から取り出してコミュニケーションのパターンを集計する基準期間パターン集計手段と、所定の検査期間における上記組織内のコミュニケーションのログを上記コミュニケーションログ記憶手段から取り出してコミュニケーションのパターンを集計する検査期間パターン集計手段と、上記基準期間パターン集計手段の集計と上記検査期間パターン集計手段の集計の分類確率の適合度を判別する適合度判別手段とを有し、上記適合度に基づいて上記組織の硬直化を判定することを特徴とする組織コミュニケーション分析装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-170167号公報
【特許文献2】特開2007-18201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1,2に記載のシステムや装置では、そもそもコミュニケーションを取るきっかけや機会が少ないため、親密度合が低いと判定されてしまったり、組織が硬直化していると判定されてしまったりと、正確な交流状態を測れない可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は、チームに属する全てのメンバーに送信する呼びかけメッセージやそれに対する応答メッセージに基づいて、チーム内のそれぞれのメンバー間の交流状態をより正確に測ることができる状態可視化装置、状態可視化方法および状態可視化プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の状態可視化装置は、チームに属する複数のメンバーがそれぞれ所持する端末と相互に通信する状態可視化装置であり、端末からのメッセージを登録するテーブルと、端末から他のメンバーに対する呼びかけメッセージを受信すると、当該端末を所持するメンバーが属するチーム内の他の全てのメンバーに当該呼びかけメッセージを送信するメッセージ制御手段と、端末から受信したメッセージが呼びかけメッセージである場合は当該呼びかけメッセージをテーブルへ登録し、端末から受信したメッセージが呼びかけメッセージに対する応答メッセージである場合は当該応答メッセージを前記テーブルの当該応答メッセージに対応する呼びかけメッセージと紐づけて登録するテーブル制御手段と、前記テーブルに登録された応答メッセージの数に基づいて、応答を返したメンバーと当該応答を返されたメンバーとの交流状態の度合を算出する状態算出手段と、前記状態算出手段により算出されたチーム内のそれぞれのメンバー間の交流状態の度合を示した相関図を端末へ出力する可視化手段とを含む。
【0009】
本発明の状態可視化方法は、チームに属する複数のメンバーがそれぞれ所持して状態可視化装置と相互に通信する端末から、他のメンバーに対する呼びかけメッセージを受信すると、当該端末を所持するメンバーが属するチーム内の他の全てのメンバーに当該呼びかけメッセージを送信すること、端末から受信したメッセージが他のメンバーに対する呼びかけメッセージである場合は当該呼びかけメッセージをテーブルへ登録し、端末から受信したメッセージが呼びかけメッセージに対する応答メッセージである場合は当該応答メッセージを前記テーブルの当該応答メッセージに対応する呼びかけメッセージと紐づけて登録すること、前記テーブルに登録された応答メッセージの数に基づいて、応答を返したメンバーと当該応答を返されたメンバーとの交流状態の度合を算出すること、算出されたチーム内のそれぞれのメンバー間の交流状態の度合を示した相関図を端末へ出力することを含む。
【0010】
これらの発明によれば、端末からチームに属する全てのメンバーに対して均等に呼びかけメッセージが送信され、かつ、テーブルに登録される。そして、テーブルに登録された応答メッセージの数に基づいて、応答を返したメンバーと当該応答を返されたメンバーとの交流状態の度合が算出され、当該度合が可視化された相関図が端末へ出力される。
【0011】
また、前記テーブル制御手段は、端末から受信したメッセージが他のメンバーに対する感謝メッセージである場合は当該感謝メッセージをテーブルへ登録し、前記状態算出手段は、前記テーブルに登録された感謝メッセージの数に基づいて、感謝を送ったメンバーと当該メンバーから感謝を送られたメンバーとの感謝状態の度合を算出し、前記可視化手段は、前記状態算出手段により算出されたチーム内のそれぞれのメンバー間の感謝状態の度合を示した相関図を端末へ出力することが望ましい。これにより、チーム内のそれぞれのメンバー間の交流状態に感謝状態も加えて、チーム内の状態を示した相関図を出力することができる。
【0012】
また、状態可視化装置は、端末を所持するメンバーの気分状態に関する情報を当該端末から受け付け、当該気分状態に関する情報に基づいて、当該メンバーの一定期間における気分状態の平均値を算出する気分状態制御手段を含み、前記可視化手段は、前前記気分状態制御手段により算出されたメンバーの一定期間における気分状態の平均値を示したアイコンを端末へ出力することが望ましい。これにより、チーム内のそれぞれのメンバー間の交流状態や感謝状態に加えて、各メンバー個人の気分状態も相関図の一部として出力することができる。
【発明の効果】
【0013】
(1)本発明によれば、端末からチームに属する全てのメンバーに対して均等に呼びかけメッセージが送信され、かつ、テーブルに登録され、当該登録された応答メッセージの数に基づいて、応答を返したメンバーと当該応答を返されたメンバーとの交流状態の度合が示された相関図が端末へ出力される構成により、呼びかけメッセージというコミュニケーションを取るきっかけがチームに属する全てのメンバーに対して与えられ、それに対する応答メッセージの回数に基づく、より正確なチーム内のそれぞれのメンバー間の交流状態を測ることができる。そして、当該交流状態に基づき、そのメンバーが属するチームのリーダーの行動指針を明確に定めることができる。
【0014】
(2)また、前記テーブル制御手段が、端末から送信された感謝メッセージがテーブルに登録され、当該登録された感謝メッセージの数に基づいて、感謝を送ったメンバーと当該メンバーから感謝を送られたメンバーとの感謝状態の度合が示された相関図が端末へ出力される構成により、チーム内のそれぞれのメンバー間の交流状態に感謝状態も加えて、チーム内の状態を示した相関図を参照することができ、より正確にチーム内のそれぞれのメンバー間の交流状態を測ることができる。
【0015】
(3)また、状態可視化装置が、端末を所持するメンバーの気分状態に関する情報を当該端末から受け付け、当該気分状態に関する情報に基づいて、当該メンバーの一定期間における気分状態の平均値を算出する気分状態制御手段を含み、前記可視化手段は、前前記気分状態制御手段により算出されたメンバーの一定期間における気分状態の平均値を示したアイコンを端末へ出力する構成により、チーム内のそれぞれのメンバー間の交流状態や感謝状態に加えて、各メンバー個人の気分状態も相関図の一部として出力することができ、チーム内で孤立しているメンバーや何らかのトラブルを抱えているメンバーの把握など、より正確にチーム内の交流状態を測ることができる。そして、潜在する人間関係のトラブルを早期発見することができ、早期解決に繋げることができるため、円満なチームや職場を築くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態に係る状態可視化装置を示す概略構成図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る状態可視化装置の概略ブロック図である。
【
図3】端末へ表示されるメッセージ入力画面を示す説明図であり、(A)は呼びかけメッセージ入力画面、(B)は呼びかけメッセージに対する応答メッセージ入力画面、(C)は応答メッセージに対してさらに応答する場合の応答メッセージ入力画面である。
【
図4】端末へ表示されるメッセージ入力画面を示す説明図であり、(A)は感謝メッセージの送信先選択画面、(B)は感謝メッセージに対する応答メッセージ入力画面である。
【
図5】メッセージの流れを示す説明図であり、(A)は呼びかけメッセージの流れを示す説明図、(B)は呼びかけメッセージに対する応答メッセージの流れを示す説明図である。
【
図6】メッセージの流れを示す説明図であり、(A)は感謝メッセージの流れを示す説明図、(B)は感謝メッセージに対する応答メッセージの流れを示す説明図である。
【
図7】端末から入力する自身の気分状態に関する情報の一例を示す説明図である。
【
図8】端末に表示される相関図を示す説明図であり、(A)は交流状態の相関図、(B)は感謝状態の相関図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。
【0018】
[状態可視化装置]
図1は、発明の実施の形態に係る状態可視化装置を示す概略構成図である。
図1に示すように、状態可視化装置1は、ISP(Internet Service Provider)が提供するネットワーク通信網Nを介して、端末Tと有線または無線で相互に通信可能である。
【0019】
端末Tは、会社の部署や課などのチームに属するメンバーが各々所有するものであり、例えば、スマートフォンやパソコンなどである。端末Tは、Google Chrome(登録商標)やFireFox(登録商標)など、Webブラウザ機能を備える。
【0020】
図2は、本発明の実施の形態に係る状態可視化装置の概略ブロック図である。
図2に示すように、状態可視化装置1は、テーブル10、通信手段11、メッセージ制御手段12、テーブル制御手段13、状態算出手段14、気分状態制御手段15、可視化手段16を含む。
【0021】
テーブル10は、メンバーやチームに関する情報や端末Tから受信したメッセージなどのデータを登録する機能を有し、MariaDBやPostgreSQLなどで構成される。メンバーに関する情報とは、メンバーの氏名や所属するチーム、役職などである。チームに関する情報とは、チーム名や所属するメンバーの一覧などである。なお、テーブル10は、呼びかけテーブルや応答テーブルなど複数のテーブルを有する。
【0022】
通信手段11は、端末Tと有線または無線で相互に通信する。メッセージ制御手段12は、端末TのWebアクセスに対してメッセージ入力画面(
図3参照)などを出力する機能を有し、Apache(登録商標)などで構成される。また、端末Tから受信したメッセージの送受信や転送など、メッセージを制御する機能を有する。
【0023】
テーブル制御手段13は、テーブル10に対するデータの登録や更新、削除など、テーブルを制御する。状態算出手段14は、テーブル10に登録されているデータを参照して、メンバー間の交流状態や感謝状態の度合を算出する。気分状態制御手段15は、端末Tからのメンバーの気分状態に関する情報を受け付け、当該気分状態に関する情報に基づいて、当該メンバーの一定期間における気分状態の平均値を算出する。
【0024】
可視化手段16は、状態算出手段14で算出されたメンバー間の交流状態や感謝状態の度合や、気分状態制御手段15で算出されたメンバーの一定期間における気分状態の平均値を、相関図やアイコンとして可視化し端末Tへ出力する。
【0025】
[状態可視化方法]
各図面を参照して、本発明の状態可視化方法の実施の形態を、本発明の状態可視化装置の実施の形態と合わせて説明する。
【0026】
[メッセージ制御]
図3は端末へ表示されるメッセージ入力画面を示す説明図であり、(A)は呼びかけメッセージ入力画面、(B)は呼びかけメッセージに対する応答メッセージ入力画面、(C)は応答メッセージに対してさらに応答する場合の応答メッセージ入力画面である。メンバーは、端末TのWebブラウザ機能を利用し、状態可視化装置1へWebアクセスする。状態可視化装置1のメッセージ制御手段12は、
図3に示すメッセージ入力画面などを端末Tに出力する。そして、メンバーは、当該メッセージ入力画面に呼びかけメッセージや応答メッセージを入力して送信する。
【0027】
例えば、呼びかけメッセージを送りたいメンバーは、コメント欄に呼びかけメッセージの内容を入力し、送信ボタンをクリックして送信する(
図3(A)参照)。そして、メッセージ制御手段12は端末Tから呼びかけメッセージを受信した場合、テーブル10に登録されているメンバーやチームに関する情報を参照して、当該端末Tを所持するメンバーが属するチーム内の他の全てのメンバーに当該呼びかけメッセージを送信する。送信された呼びかけメッセージは、当該他のメンバーの端末Tで閲覧することができる(
図3(B)参照)。
【0028】
呼びかけメッセージを受信したメンバーは、当該呼びかけメッセージに対し、コメント欄に応答内容を入力して送信することで、応答メッセージを返すことができる(
図3(B)参照)。当該応答メッセージは、当該応答メッセージを返されたメンバーの端末Tで確認することができる(
図3(C)参照)。
【0029】
一方、
図4は端末へ表示されるメッセージ入力画面を示す説明図であり、(A)は感謝メッセージの送信先選択画面、(B)は感謝メッセージに対する応答メッセージ入力画面である。例えば、感謝メッセージを送りたいメンバーは、感謝メッセージの送信先(宛先)を選択する(
図4(A)参照)。そして、メッセージ制御手段12は端末Tから感謝メッセージを受信した場合、テーブル10に登録されているメンバーに関する情報を参照して、宛先のメンバーに当該感謝メッセージを送信する。送信された感謝メッセージは、当該宛先のメンバーの端末Tで閲覧することができる(
図4(B)参照)。
【0030】
本実施の形態において感謝メッセージは定型文としているため、感謝メッセージを送る場合は宛先のメンバーを指定するだけでよいが、呼びかけメッセージと同様に、感謝メッセージの内容を自由に入力できるようにしてもよい。また、メッセージと一緒に、スタンプを送れるようにしてもよい。
【0031】
[テーブル制御]
このような端末Tを介してメンバー間でやり取りされるメッセージは、テーブル制御手段13によりテーブル10に登録される。上述したように、呼びかけメッセージや応答メッセージは入力画面が異なる。メッセージには、当該入力画面に基づいて、メッセージの種類を示す識別子が付与される。テーブル制御手段13は当該識別子に基づいて、メッセージの種類を判定する。
【0032】
テーブル制御手段13は、メッセージが呼びかけメッセージである場合は、呼びかけテーブルに当該メッセージを登録する。呼びかけメッセージが呼びかけテーブルに登録される際、ユニークなIDが付与される。また、呼びかけメッセージの内容と共に、メンバー名(誰からの呼びかけメッセージなのか)や呼びかけ先のチームも登録される(
図5(A)参照)。
【0033】
一方、テーブル制御手段13は、メッセージが呼びかけメッセージに対する応答メッセージである場合は、応答テーブルに当該メッセージを登録する。応答メッセージが応答テーブルに登録される際、こちらもユニークなIDが付与され、応答メッセージの内容やメンバー名(誰からの応答メッセージであるか)も登録される。さらに、親ID(応答メッセージを返した呼びかけメッセージのID)も登録される(
図5(B)参照)。
【0034】
また、テーブル制御手段13は、メッセージが他のメンバーに対する感謝メッセージである場合は当該感謝メッセージを感謝テーブルへ登録する。感謝メッセージが感謝テーブルに登録される際、ユニークなIDが付与され、感謝メッセージの内容(定型文)やメンバー名(誰からの感謝メッセージであるか)や宛先メンバーも登録される(
図6(A)参照)。
【0035】
なお、テーブル制御手段13は、感謝メッセージに対する応答メッセージを応答テーブルに登録する。感謝メッセージに対する応答メッセージが応答テーブルに登録される際、ユニークなIDが付与され、応答メッセージの内容やメンバー名(誰からの応答メッセージであるか)、親ID(応答メッセージを返した感謝メッセージのID)も登録される(
図6(B)参照)。
【0036】
なお、上述した呼びかけテーブルや応答テーブルなどのテーブルは、データを適切管理することができれば、一つにまとめてもよく、より細分化してもよい。
【0037】
[状態算出]
状態算出手段14は、このようなテーブル10に登録されているメッセージに関するデータを参照して、メンバー間の交流状態や感謝状態の度合を算出する。交流状態とは、呼びかけメッセージに対する応答メッセージの数に基づいて算出されるものであり、メンバー間のコミュニケーションの密度や頻度を示すものである。また、感謝状態とは、感謝メッセージの数に基づいて算出されるものであり、よく感謝されている者、つまりチーム内の貢献者やキーマンとなる指標を示すものである。
【0038】
状態算出手段14は、算出式を用いてメンバー間の交流状態を算出する。例えば、2020年9月の開発チームに所属するメンバーAさんとメンバーBさん間の交流状態を算出する場合、以下の式(1)を用いる。
(AさんとBさん間の応答メッセージ数)÷(2020年9月の開発チームに所属するメンバー間の中で、最も多い応答メッセージ数) ・・・(1)
ここで、「AさんとBさん間の応答メッセージ数」は、Aさんの呼びかけメッセージに対してBさんが返した応答メッセージの数と、Bさんの呼びかけメッセージに対してAさんが返した応答メッセージの数の合計である。
【0039】
また、状態算出手段14は、メンバー間の感謝状態を算出する場合、別の算出式を用いる。例えば、2020年9月の開発チームに所属するメンバーAさんとメンバーBさん間の感謝状態を算出する場合、以下の式(2)を用いる。
(AさんとBさん間の感謝メッセージ数)÷(2020年9月の開発チームに所属するメンバー間の中で、最も多い感謝メッセージ数) ・・・(2)
ここで、「AさんとBさん間の感謝メッセージ数」は、AさんがBさんに対して送信した感謝メッセージの数と、BさんがAさんに対して送信した感謝メッセージの数の合計である。
【0040】
[気分状態制御]
図7は、端末Tから入力する自身の気分状態に関する情報の一例を示す説明図である。メンバーは、端末TのWebブラウザ機能を利用し、状態可視化装置1へWebアクセスする。状態可視化装置1の気分状態制御手段15は、端末Tに気分状態入力画面などを出力する。
図7に示すように、気分状態に関する情報は、精神的な安定状態や肉体的な健康状態の良し悪しを示す段階値(
図7では、悪い(1)~良い(5)の5段階のアイコン)である。そして、気分状態制御手段15は、端末Tから入力された当該段階値に基づいて、当該メンバーの一定期間における気分状態の平均値を算出する。
【0041】
例えば、一定期間が1ヶ月であり、メンバーAさんの2020年9月の気分状態の入力が1~10日:やや悪い(2)、11~20日:やや良い(4)、21~30日:普通(3)の場合、1ヶ月の平均値は普通(3)となる。
【0042】
また、気分状態制御手段15は、気分状態に関する情報として、プライベートで嫌なことがあって落ち込んでいたり、職場の人間関係に疲れている段階の状態を示すアイコンを端末Tに出力してもよい。さらに、開発中のロジックが難解で頭が疲れていたり、作業が輻輳しているためオーバーフロー状態であることを示すアイコンを端末Tに出力してもよい。これにより、落ち込んでいたり、人間関係に疲れているメンバーは、端末Tを介して、SOSサインともいえる自身の気分状態の入力を行うことができる。
【0043】
[可視化]
図8は、端末Tに表示される相関図を示す説明図である。可視化手段16は、状態算出手段14により算出されたチーム内のそれぞれのメンバー間の交流状態や感謝状態の度合を示した相関図を端末Tに出力する(
図8(A)参照)。また、可視化手段16は、気分状態制御手段15により算出された各メンバーの気分状態の平均値を示したアイコンを相関図に組み合わせて端末Tに出力する(
図8(B)参照)。
【0044】
図8(A),(B)に示すように、交流状態や感謝状態の度合が高いほど、メンバー間を結ぶ関係線は太く表示される。また、端末Tから、線幅調整スライダーにより関係線の太さの表示を調整することができる。具体的には、線幅調整スライダーにより指定された線の太さの倍率値(例えば、0.5倍、1.5倍、2倍など)を受信し、状態算出手段14や可視化手段16で、当該倍率値を式(1),(2)で算出された値に乗算する。
【0045】
図8(A),(B)に示す相関図は、1ヶ月間(2020年10月)の交流状態や感謝状態を示しているが、当該期間は1週間や3ヶ月、半年など適宜変更可能である。また、関係線が1本も存在しないメンバー間は、全くコミュニケーションが取られていないことを示している(例えば、
図8(A)に示す熊本芥子―鹿児島紅間)。各メンバーの気分状態の平均値を示したアイコンも、一定期間に一度も気分状態の入力を行っていないメンバーについては表示されない。
【0046】
このように、交流状態や感謝状態を可視化させることで、太い関係線が何本も出ているメンバー、つまりキーマンを把握することができる。例えば、多くのメンバーからたくさん感謝されているメンバーは、他のメンバーの仕事を手伝ったり、有益なアドバイスを与えた者、つまりキーマンであると判断することができる。また、逆に、関係線が細く、あまり出ていないメンバー、つまり孤立者を把握することもできる。そして、このようにメンバー間の状態を可視化することで、そのメンバーが属するチームのリーダーの行動指針を明確に定めることができる。
【0047】
また、
図8に示すように相関図とアイコンを組み合わせて表示させることで、メンバー間の交流状態がより分かる。例えば、アイコンが「悪」でかつ他メンバーとの交流が少ない場合、そのメンバーは何らかのトラブルにより本当に孤立している可能性が高いと分かる。一方、アイコンは「良」であるが他メンバーとの交流が少ない場合、チームリーダーはまずそのメンバーの性格や作業を確認する。そして、そのメンバーが一人で黙々とやるタイプだったり、CD工程など単独で進める作業期間中であれば、懸念する必要性は低いと分かる。さらに、特定のメンバーとの交流だけが少なく、かつアイコンが「悪」である場合、当該交流の少ない特定のメンバーからパワハラやセクハラなどを受けている可能性もある。
このように、交流状態を参照することで、潜在する人間関係のトラブルを早期発見することができ、早期解決に繋げることができる。そして、円満なチームや職場を築くことができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、会社の部署など複数のメンバーが属するチーム内の状態を可視化する状態可視化装置として有用であり、特に、チーム内のメンバー間の交流を可視化し、チームのキーマンや孤立者を把握することができるため、産業上有用である。
【符号の説明】
【0049】
1 状態可視化装置
10 テーブル
11 通信手段
12 メッセージ制御手段
13 テーブル制御手段
14 状態算出手段
15 気分状態制御手段
16 可視化手段
T 端末
N ネットワーク通信網