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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077200
(43)【公開日】2022-05-23
(54)【発明の名称】発電装置、発電システム、および船舶
(51)【国際特許分類】
   F22B 37/00 20060101AFI20220516BHJP
   B63J 3/02 20060101ALI20220516BHJP
   B63H 21/32 20060101ALI20220516BHJP
   B63H 21/38 20060101ALI20220516BHJP
   F01K 23/10 20060101ALI20220516BHJP
   F22B 1/18 20060101ALI20220516BHJP
   F22B 37/04 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
F22B37/00 B
B63J3/02 D
B63H21/32 Z
B63H21/38 A
F01K23/10 P
F22B1/18 Z
F22B1/18 K
F22B37/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020187939
(22)【出願日】2020-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】足立 成人
【テーマコード(参考)】
3G081
【Fターム(参考)】
3G081BA02
3G081BC01
3G081BD10
(57)【要約】
【課題】ディーゼル機関からの排ガスからより多くの熱を回収して大きな発電量を得ることができるとともに、排ガスから硫黄成分を分離・除去することができる発電装置、発電システム、および船舶を提供する。
【解決手段】船舶1には、発電装置3が搭載されている。発電装置3は、ディーゼル機関2の排ガスから熱を回収し、回収した熱で電力を生成する装置である。発電装置3は、熱交換部31と、発電機33とを備える。熱交換部31では、ディーゼル機関2からの排ガスを冷却することで排ガスから硫黄成分が凝縮液として分離される。また、熱交換部31では、発電用の作動媒体が加熱される。発電機33は、膨張機32に接続されており、熱交換部31で加熱された作動媒体で駆動される。熱交換部31は筐体部を備えている。そして、筐体部には排出部が設けられている。排ガスから分離された凝縮液は、排出部から筐体部の外へ排出される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶内に搭載され、ディーゼル機関の排ガスから熱を回収し、回収した熱で電力を生成する発電装置であって、
前記排ガスを冷却することで当該排ガスから硫黄成分を凝縮液として分離するとともに、発電用の作動媒体を加熱する熱交換部と、
前記熱交換部で加熱された前記作動媒体で駆動される発電機と、
前記凝縮液を前記熱交換部から排出する排出部と、
を備える、
発電装置。
【請求項2】
前記熱交換部は、前記排ガスが内部空間を流通するとともに、前記内部空間において前記作動媒体が流通する媒体流通路の一部を構成する伝熱管が収容された筐体部を有し、
前記筐体部の内面および前記伝熱管の外面は、ガラス材、セラミックス、またはフッ素樹脂のいずれかで形成されている、
請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記筐体部は、前記排出部が設けられた部分が重力方向下側となるように傾斜姿勢で配設されている、
請求項2に記載の発電装置。
【請求項4】
前記筐体部は、前記凝縮液を前記排出部に案内する案内機構を有する、
請求項2に記載の発電装置。
【請求項5】
前記筐体部の内面および前記伝熱管の外面のそれぞれを構成する材料は、前記ガラス材または前記セラミックスであって、
前記筐体部を前記船舶の構造物に固定する固定部と、
前記筐体部に取付けられ、外部からの衝撃力を緩和するクッション部と、
をさらに備える、
請求項2ないし4のいずれかに記載の発電装置。
【請求項6】
前記筐体部の排ガス流入口に接続されるフレキシブル配管と、
前記筐体部の排ガス流出口に接続されるフレキシブル配管と、
をさらに備える、
請求項5に記載の発電装置。
【請求項7】
排ガスを排出する煙突の出口部分に請求項1ないし6のいずれかに記載の発電装置における前記熱交換部が配置されている、
船舶。
【請求項8】
発電システムであって、
請求項1ないし6のいずれかに記載の発電装置と、
前記船舶内の排ガス流路において、前記発電装置における前記熱交換部から排出された排ガスを加熱するヒータ部と、
を備え、
前記ヒータ部により前記排ガスが酸露点よりも高い温度となるように加熱される、
発電システム。
【請求項9】
前記熱交換部に流入する前の排ガスの一部または全量を前記ヒータ部の熱源として前記ヒータ部に導く、
請求項8に記載の発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置、発電システム、および船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶では、航行のための推進力を得るためにディーゼル機関が搭載されている。ディーゼル機関は、駆動時に硫黄成分を含む排ガスを排出する。このような硫黄成分を含む排ガスをそのまま大気中に排出した場合には、環境負荷の観点から問題を生じる。このため、船舶においては、ディーゼル機関から排出された排ガスから硫黄成分を分離・除去するスクラバが設けられる。
【0003】
下記の特許文献1には、所謂、湿式のスクラバを備える船舶が開示されている。特許文献1に開示の船舶では、ディーゼル機関から排出された排ガスの経路において、ディーゼル機関と煙突との間にスクラバが設けられている。特許文献1に開示の船舶では、スクラバに導入された排ガスに対して海水を噴霧することで硫黄成分を分離・除去している。
【0004】
また、特許文献1に開示の船舶では、排ガスの流路におけるスクラバよりも上流部分に熱交換部が設けられている。熱交換部では、スクラバで排ガスが冷却される前に、排ガスの熱が作動媒体に伝熱され、熱回収がなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-190280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示の船舶では、熱交換部において熱回収がなされた後の排ガスに海水を噴霧するため、スクラバにおいて排ガスの熱エネルギが廃棄されている。このため、上記特許文献1に開示の船舶では、熱拐取の観点から改善の余地が残されている。
【0007】
本発明は、上記のような課題に鑑みなされたものであって、ディーゼル機関からの排ガスからより多くの熱を回収して大きな発電量を得ることができるとともに、排ガスから硫黄成分を分離・除去することができる発電装置、発電システム、および船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る発電装置は、船舶内に搭載され、ディーゼル機関の排ガスから熱を回収し、回収した熱で電力を生成する。本態様に係る発電装置は、熱交換部と発電機と排出部とを備える。前記熱交換部は、前記排ガスを冷却することで当該排ガスから硫黄成分を凝縮液として分離するとともに、発電用の作動媒体を加熱する。前記発電機は、前記熱交換部で加熱された前記作動媒体で駆動される。前記排出部は、前記凝縮液を前記熱交換部から排出する。
【0009】
上記態様に係る発電装置では、熱交換部で熱回収機能と、硫黄成分の分離機能との両機能を有する。よって、上記態様に係る発電装置では、排ガスに含まれる水分が凝縮する程度に排ガスから熱を回収することができるので、上記特許文献1に開示の発電装置よりもより大きな発電量を得ることができる。
【0010】
上記態様に係る発電装置において、前記熱交換部は、前記排ガスが内部空間を流通するとともに、前記内部空間において前記作動媒体が流通する媒体流通路の一部を構成する伝熱管が収容された筐体部を有してもよい。また、前記筐体部の内面および前記伝熱管の外面は、ガラス材、セラミックス、またはフッ素樹脂のいずれかで形成されてもよい。
【0011】
上記態様に係る発電装置では、筐体部の内面および伝熱管の外面がガラス材、セラミックス、またはフッ素樹脂のいずれかで形成されている。よって、上記態様に係る発電装置では、硫黄成分を含む凝縮液による筐体部および伝熱管の腐食が抑制される。
【0012】
上記態様に係る発電装置において、前記筐体部は、前記排出部が設けられた部分が重力方向下側となるように傾斜姿勢で配設されてもよい。
【0013】
上記態様に係る発電装置では、筐体部が傾斜して排出部が設けられた部分が重力方向下側となるように構成されているので、凝縮液が筐体部に滞留し難くなり、スムーズに凝縮液を排出部へ排出させることができる。
【0014】
上記態様に係る発電装置において、前記筐体部は、前記凝縮液を前記排出部に案内する案内機構を有してもよい。
【0015】
上記態様に係る発電装置では、筐体部が案内機構を有する。よって、上記態様に係る発電装置では、凝縮液が筐体部に滞留し難くなり、スムーズに凝縮液を排出部へ排出させることができる。
【0016】
上記態様に係る発電装置において、前記筐体部の内面および前記伝熱管の外面のそれぞれを構成する材料は、前記ガラス材または前記セラミックスであってもよい。また、本態様に係る発電装置は、前記筐体部を前記船舶の構造物に固定する固定部と、前記筐体部に取付けられ、外部からの衝撃力を緩和するクッション部と、をさらに備えてもよい。
【0017】
上記態様に係る発電装置では、クッション部が筐体部に取付けられているので、外部からの衝撃力が筐体部に加わり難く、筐体部の内面および伝熱管の外面が破損するのを抑制することができる。
【0018】
上記態様に係る発電装置において、前記筐体部の排ガス流入口に接続されるフレキシブル配管と、前記筐体部の排ガス流出口に接続されるフレキシブル配管と、をさらに備えてもよい。
【0019】
上記態様に係る発電装置では、筐体部の排ガス流入口および排ガス流出口のそれぞれにフレキシブル配管が接続されているので、ガス配管を介して外部から衝撃力が筐体部に加わるのを抑制することができる。よって、上記態様に係る発電装置では、筐体部の内面および媒体流通路における上記一部の外面が損傷するのをさらに確実に抑制することができる。
【0020】
本発明の一態様に係る船舶は、排ガスを排出する煙突の出口部分に上記のいずれかの態様に係る発電装置における前記熱交換部が配置されている。
【0021】
上記態様に係る船舶では、上記態様のいずれかに係る発電装置の熱交換部を煙突の出口部分に配置しているので、硫黄成分を含む凝縮液が硫酸になる前に船外に排出することが可能となる。よって、上記態様に係る船舶では、船内の腐食を抑制することができる。
【0022】
本発明の一態様に係る発電システムは、上記のいずれかの態様に係る発電装置と、前記船舶内の排ガス流路において、前記発電装置における前記熱交換部から排出された排ガスを加熱するヒータ部と、を備える。本態様に係る発電システムでは、前記ヒータ部により前記排ガスが酸露点よりも高い温度となるように加熱される。
【0023】
上記態様に係る発電システムでは、ヒータ部により排ガスが酸露点よりも高い温度となるまで加熱される。よって、上記態様に係る発電システムでは、船体における排ガス流路の腐食が抑制される。
【0024】
上記態様に係る発電システムにおいて、前記熱交換部に流入する前の排ガスの一部または全量を前記ヒータ部の熱源として前記ヒータ部に導いてもよい。
【0025】
上記態様に係る発電システムでは、熱交換部に流入する前の排ガスの一部または全量をヒータ部の熱源としている。よって、上記態様に係る発電システムでは、ヒータ部の熱源を別途設ける場合に比べて設備コストを低く抑えることができるとともに、高いエネルギ効率を実現することができる。
【発明の効果】
【0026】
上記の各態様では、ディーゼル機関からの排ガスからより多くの熱を回収して大きな発電量を得ることができるとともに、排ガスから硫黄成分を分離・除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態に係る船舶の構成を示すブロック図である。
図2】発電装置における熱交換部の構造を示す断面図である。
図3】熱交換部の周辺構造を示す側面図である。
図4図3のIV-IV線断面を示す断面図である。
図5】伝熱管の構造を示す断面図である。
図6】第2実施形態に係る発電装置の内、熱交換部の構成を示す断面図である。
図7】第3実施形態に係る発電装置の内、熱交換部の構成を示す断面図である。
図8】第4実施形態に係る発電装置の内、熱交換部の構成の一部を示す断面図である。
図9】第5実施形態に係る発電装置の内、熱交換部の構成の一部を示す断面図である。
図10】第6実施形態に係る発電システムの構成の一部を示すブロック図である。
図11】第7実施形態に係る発電システムの構成の一部を示すブロック図である。
図12】第8実施形態に係る発電装置の構成の一部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の例であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0029】
[第1実施形態]
1.発電装置3の構成
第1実施形態に係る発電装置3の構成について、図1を用いて説明する。
【0030】
図1に示すように、本実施形態に係る発電装置3は、船舶1に搭載されている。船舶1は、発電装置3の他に、ディーゼル機関2および煙突4を備える。ディーゼル機関2から排出された排ガスは、排ガス流路LN1を通り煙突4に送られる。そして、煙突4の出口部分4aから船外に排出される。
【0031】
本実施形態に係る発電装置3は、ランキンサイクルを利用した発電システムであって、図1に示すように、熱交換部31と、膨張機32と、発電機33と、凝縮器34と、ポンプ35,36と、媒体流通路LN2とを備えている。熱交換部31、膨張機32、凝縮器34、およびポンプ35は、この順に媒体流通路LN2に設けられている。そして、媒体流通路LN2中の作動媒体は、ポンプ35による加圧力により、熱交換部31、膨張機32、凝縮器34の順に循環する。
【0032】
膨張機32を通過した作動媒体は、凝縮器34において、冷却液により凝縮される。冷却液は、ポンプ36の加圧力により冷却液流路LN4を通り凝縮器34に供給される。
【0033】
熱交換部31では、ディーゼル機関2から排出された排ガスが作動媒体との熱交換により冷却される。これにより、熱交換部31では、排ガスから硫黄成分が凝縮液として分離される。そして、凝縮液は、熱交換部31から液排出路LN3へと排出される。一方、硫黄成分が分離された排ガスは、煙突4へと送られ、出口部分4aから船外へと排出される。
【0034】
熱交換部31は、発電装置3において蒸発器として機能する部位である。熱交換部31では、排ガスとの熱交換により作動媒体が加熱される。作動媒体は、熱交換部31での加熱により気相となり、膨張機32へと送られる。
【0035】
膨張機32は、導入された作動媒体により回転駆動する。膨張機32の回転駆動力は、発電機33に伝えられる。発電機33は、膨張機32より入力された回転駆動力により発電を行い、図示を省略する接部へと電力を送電する。
【0036】
膨張機32から排出された作動媒体は、凝縮器34に送られ、凝縮器34で凝縮され液相となる。そして、液相の作動媒体は、ポンプ35の加圧力により再び熱交換部31へと送られる。
【0037】
なお、本実施形態では、海水を冷却液の一例として採用する。冷却液として採用する海水は、ポンプ36の駆動により船外から取り込まれる。凝縮器34で作動媒体と熱交換した海水は、冷却液流路LN4を通り船外に排出される。
【0038】
2.熱交換部31の構造
発電装置3における熱交換部31の構造について、図2を用いて説明する。本実施形態に係る熱交換部31は、一例としてシェルアンドチューブタイプの熱交換部であるが、図2では、熱交換部31の構造を模式的に図示している。
【0039】
熱交換部31は、中空容器である筐体部311と、筐体部311の内部空間311aに収容された伝熱管319とを有する。筐体部311は、一方の側壁に排ガス流入口312を有し、他方の側壁に排ガス流出口313を有する。なお、筐体部311の側壁外面には、排ガス流入口312の周囲にフランジ部312aが設けられ、排ガス流出口313の周囲にフランジ部313aが設けられている。これらフランジ部312a,313aは、筐体部311に排ガス配管を接続するための部位である。
【0040】
筐体部311の底壁311bには、排出部39が設けられている。排出部39は、底壁311bを厚み方向に貫通する孔を含む。そして、排出部39は、硫黄成分を含む凝縮液を筐体部311の外部へと排出するための部位である。なお、筐体部311における底壁311bの外面には、排出部39の周囲にフランジ部39aが設けられている。フランジ部39aは、筐体部311に廃液配管を接続するための部位である。
【0041】
筐体部311の内部空間311aには、排ガス流入口312から排ガスが導入される。導入された排ガスは、排ガス流出口313に向けて内部空間311aを流通し、排ガス流出口313から導出される。
【0042】
筐体部311の内部空間311aに収容された伝熱管319は、作動媒体が流通する媒体流通路LN2の一部を構成する管体である。伝熱管319内では、排ガスの流れとは反対向き(対向流)で作動媒体が流通する。ただし、筐体部311の内部空間311aにおける排ガスの流れと、伝熱管319内における作動媒体の流れとは、同じ向きであってもよい。
【0043】
3.熱交換部31の周辺構造
熱交換部31の周辺構造について、図3を用いて説明する。
【0044】
本実施形態に係る発電装置3は、フレキシブル配管37,38をさらに備える。フレキシブル配管37は、一端がフランジ部312aで排ガス流入口312に接合されており、他端がディーゼル機関2に繋がる排ガス配管40に接合されている。フレキシブル配管38は、一端がフランジ部313aで排ガス流出口313に接合され、他端が煙突4に繋がる排ガス配管41に接合されている。即ち、本実施形態に係る船舶1では、排ガス配管40,41およびフレキシブル配管37,38により排ガス流路LN1が構成されている。
【0045】
筐体部311の上部には、媒体配管45,46が接合されている。媒体配管45は、筐体部311の内部空間311aに収容された伝熱管319(図2を参照。)の一端に接続されている。媒体配管46は、伝熱管319(図2を参照、)の他端に接続されている。媒体配管45,46と伝熱管319とは、媒体流通路LN2の一部を構成している。
【0046】
発電装置3は、筐体部311を船舶1のフロア(構造物)11に固定する固定部314,315も備える。固定部314,315のそれぞれは、例えば、アングル材を用いて形成されている。固定部314,315のそれぞれは、フロア11の上面11aに接合された固定プレート12,13上に固定されている。また、固定部314は、筐体部311の一方の側壁に対してクッション部316を介して固定され、固定部315は、筐体部311の他方の側壁に対してクッション部317を介して固定されている。固定部314,315と筐体部311および固定プレート12,13との固定は、例えば、ボルト318によりなされている。
【0047】
ここで、本実施形態においては、クッション部316,317として、例えば、ゴムなどの弾性部材を採用することができる。ただし、船体から筐体部311への振動の伝達を抑制できるものであれば、ゴムに限定されるものではなく、バネなどでも構わない。
【0048】
4.筐体部311および伝熱管319の構造
筐体部311および伝熱管319の構造について、図4および図5を用いて説明する。
【0049】
図4に示すように、筐体部311は、筐体本体部3111と被覆部3112との積層構造を有する。筐体本体部3111は、筐体部311の外周部分を構成し、図4に示す断面(図2の排ガス流入口312と排ガス流出口313とを結ぶ方向に対して直交する断面)において、略円環形状を有する。そして、筐体本体部3111は、金属材料(例えば、銅やステンレス鋼)から形成されている。なお、筐体本体部3111の横断面形状については、円環形状に限定されるものではない。
【0050】
被覆部3112は、筐体本体部3111の内面3111aを被覆する層である。被覆部3112は、図4に示す断面において、筐体本体部3111よりも小径の略円環形状を有する。被覆部3112は、ガラス材、セラミックス、またはフッ素樹脂で形成されている。なお、本実施形態では、ガラス材またはセラミックスで形成されている。なお、被覆部3112としては、熱伝導性がよいセラミックスが特に好適である。そして、被覆部3112は、筐体本体部3111の内面3111aに対して溶射することで形成が可能である。
【0051】
ここで、被覆部3112については、必ずしも単一の材料で全体が形成されている必要はない。例えば、被覆部3112は、ガラス材を用いて筐体本体部3111の内面3111aの一部を被覆し、セラミックスを用いて筐体本体部3111の内面3111aの残りの部分を被覆してなる構成とすることもできる。また、被覆部3112の横断面形状については、円環形状に限定を受けるものではない。
【0052】
上述のように、本実施形態に係る筐体部311は、筐体本体部3111と被覆部3112との積層構造を有する。そして、被覆部3112の内面3112aは、筐体部311の内面に該当する。なお、筐体部311における側壁(排ガス流入口312および排ガス流出口313が設けられた側壁)についても、筐体本体部3111と被覆部3112との積層構造により構成されている。
【0053】
次に、図5に示すように、筐体部311の内部空間311aに収容された伝熱管319は、略円環状の断面形状を有する。伝熱管319は、管本体部3191と、被覆部3192との積層構造を有する。菅本体部3191は、伝熱管319の内周部分を構成する。そして、管本体部3191は、金属材料(例えば、銅やステンレス鋼)から形成されている。
【0054】
被覆部3192は、管本体部3191の外面3191aを被覆する層である。被覆部3192は、ガラス材、セラミックス、またはフッ素樹脂で形成されている。なお、本実施形態では、ガラス材またはセラミックスで形成されている。被覆部3192についても、熱伝導性がよいセラミックスが特に好適である。そして、被覆部3192も、被覆部3112と同様に、菅本体部3191の外面3191aに対して溶射することで形成が可能である。
【0055】
ここで、被覆部3192についても、必ずしも単一の材料で全体が形成されている必要はない。例えば、被覆部3192は、ガラス材を用いて管本体部3191の外面3191aの一部を被覆し、セラミックスを用いて管本体部3191の外面3191aの残りの部分を被覆してなる構成とすることもできる。
【0056】
上述のように、伝熱管319、菅本体部3191と被覆部3192との積層構造を有する。そして、被覆部3192の外面3192aは、伝熱管319の外面に該当する。
【0057】
5.効果
本実施形態に係る発電装置3では、熱交換部31で硫黄成分を凝縮液として分離するとともに、発電用の作動媒体を加熱している。即ち、発電装置3では、熱交換部31が熱回収機能と、硫黄成分の分離機能との両機能を有する。よって、本実施形態に係る船舶1の発電装置3では、排ガスに含まれる水分が凝縮する程度に排ガスから熱を回収することができるので、上記特許文献1に開示の発電装置よりもより大きな発電量を得ることができる。
【0058】
また、本実施形態に係る船舶1では、上記特許文献1に開示の船舶よりも高いスペース効率を実現することができる。即ち、上記特許文献1に開示の船舶では、発電用の熱回収を行う熱交換部とは別に排ガスからの硫黄成分の除去を行うスクラバを設けている。これに対して、本実施形態に係る船舶1では、排ガスからの熱の回収と、排ガスからの硫黄成分の除去とを、1つの熱交換部31で行うことができるようにしているので、上記特許文献1に開示の船舶よりも高いスペース効率を実現することができる。
【0059】
また、発電装置3の熱交換部31では、排ガスが冷却されることで硫黄成分が凝縮液として分離されるが、熱交換部31の筐体部311には排出部39が設けられているので、凝縮液をスムーズに排出することができる。
【0060】
また、本実施形態に係る発電装置3では、筐体部311の内面(被覆部3112の内面3112a)および伝熱管319の外面(被覆部3192の外面3192a)がガラス材またはセラミックスで形成されている。よって、発電装置3では、硫黄成分を含む凝縮液による筐体部311および伝熱管319の腐食が抑制される。
【0061】
なお、本実施形態では、筐体部311における被覆部3112および伝熱管319における被覆部3192をガラス材またはセラミックスで形成することとしたが、フッ素樹脂で形成する場合にも、同様に筐体部311および伝熱管319の腐食が抑制される。
【0062】
本実施形態に係る発電装置3では、クッション部316,317が筐体部311の側壁と固定部314,315との間に挿設されているので、船舶1のフロア11からの衝撃力が筐体部311に加わり難く、筐体部311の被覆部3112や伝熱管319の被覆部3192などのガラス材またはセラミックスで構成された層が破損するのを抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態に係る発電装置3では、筐体部311の排ガス流入口312および排ガス流出口313のそれぞれにフレキシブル配管37,38が接続されているので、排ガス配管40,41を介して外部から衝撃力が筐体部311に加わるのを抑制することができる。よって、発電装置3では、筐体部311における被覆部3112(ガラス材またはセラミックスで構成された層)や伝熱管319における被覆部3192(ガラス材またはセラミックスで構成された層)が損傷するのをさらに確実に抑制することができる。
【0064】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る発電装置3について、図6を用いて説明する。なお、本実施形態に係る発電装置3は、上記第1実施形態に係る発電装置3に対して熱交換部31の筐体部311の構成に差異を有し、他の部分については、発電装置3と同じ構成を備える。よって、以下では、差異点である熱交換部31における筐体部311の構成に絞って説明する。
【0065】
図6に示すように、本実施形態に係る熱交換部31の筐体部311には、鉛直方向下部に排ガス流入口312が設けられ、鉛直方向上部に排ガス流出口313が設けられている。排出部39は、筐体部311の鉛直方向下部において、排ガス流入口312と並んで設けられている。
【0066】
伝熱管319は、筐体部311の側周壁内面の一部に沿って鉛直上下方向に延びるように配されている。ただし、伝熱管319は、蛇行して延びるように配されていてもよい。
【0067】
本実施形態に係る熱交換部31においては、矢印A1で示すように排ガスが下部の排ガス流入口312から筐体部311の内部空間311aに流入する。そして、排ガスは、筐体部311の内部空間311aを下方から上方に向けて流れ、矢印A2で示すように上部の排ガス流出口313から流出する。
【0068】
排ガスから分離された硫黄成分は凝縮液として筐体部311の内底面311cに落下し、矢印A3,A4で示すように排出部39から筐体部311の外部へと排出される。
【0069】
本実施形態に係る発電装置3は、熱交換部31における筐体部311の配置姿勢を除き、上記第1実施形態に係る発電装置3と同じ構成を備えるので、上記同様の効果を奏することができる。
【0070】
また、本実施形態に係る熱交換部31では、熱を帯びた排ガスの流れを考慮し、筐体部311の下部に排ガス流入口312を設け、上部に排ガス流出口313を設けることで、筐体部311の内部空間311aにおいて排ガスの流れをよりスムーズにすることができる。
【0071】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る発電装置について、図7を用いて説明する。なお、本実施形態に係る発電装置3は、上記第1実施形態に係る発電装置3に対して熱交換部31における筐体部311の配設姿勢に差異を有する。よって、以下では、差異点である筐体部311の配設姿勢に絞って説明する。
【0072】
図7に示すように、筐体部311は、内底面311cが基準となる面(図3に示したフロア11の上面11a)LHに対して角度θ(例えば、10°~60°)だけ傾斜する姿勢で配設されている。そして、筐体部311に設けられた排出部39は、図7に示す姿勢で筐体部311が配設されることにより、内底面311cにおける重力方向下側に位置するようになっている。
【0073】
本実施形態に係る筐体部311においても、排ガスから分離された硫黄成分は凝縮液として筐体部311の内底面311cに落下する。内底面311cに落下した凝縮液は、筐体部311の姿勢に伴って傾斜した内底面311cを伝って排出部39の開口縁へと流れる。そして、凝縮液は、排出部39から筐体部311の外部へと排出される。
【0074】
本実施形態に係る発電装置3は、熱交換部31における筐体部311の配設姿勢を除き、上記第1実施形態に係る発電装置3と同じ構造を備えるので、上記同様の効果を奏することができる。
【0075】
また、本実施形態に係る発電装置3では、筐体部311の配設姿勢に伴って内底面311cも傾斜しているので、凝縮液が筐体部311の内底面311c上に滞留し難くいようにすることができ、スムーズに凝縮液を排出部39へ排出させることができる。
【0076】
[第4実施形態]
第4実施形態に係る発電装置3について、図8を用いて説明する。なお、本実施形態に係る発電装置3は、上記第1実施形態に係る発電装置3に対して熱交換部における筐体部311の構造、特に筐体部311の底部の形状に差異を有し、他の部分については、上記第1実施形態に係る発電装置3と同じ構成を備える。よって、以下では、差異点である筐体部311の底部の形状に絞って説明する。
【0077】
図8に示すように、筐体部311の内底面311cは、底壁を厚み方向に貫通するように設けられた排出部39の周囲から、排出部39の開口縁に向けて鉛直方向に漸次低くなるように傾斜面で形成されている。
【0078】
本実施形態に係る筐体部311においても、排ガスから分離された硫黄成分は凝縮液として筐体部311の内底面311cに落下する。内底面311cに落下した凝縮液は、傾斜した内底面311cを伝って排出部39の開口縁へと流れる(矢印B1,B2,B4,B5)。そして、凝縮液は、矢印B3,B6で示すように、排出部39から筐体部311の外部へと排出される。
【0079】
ここで、本実施形態では、筐体部511の内底面511aを傾斜面とすることで、落下した凝縮液が内底面311c上に滞留するのを防ぎ、凝縮液を排出部39へと案内することができる。即ち、本実施形態に係る筐体部311の内底面311cは、凝縮液を排出部39に案内するための案内機構に該当する。
【0080】
本実施形態に係る発電装置3は、熱交換部31における筐体部311の内底面311cを傾斜面とすることを除き、上記第1実施形態に係る発電装置3と同じ構成を備えるので、上記同様の効果を奏することができる。
【0081】
また、本実施形態に係る発電装置3では、筐体部311の内底面311cが傾斜面で構成されているので、凝縮液が筐体部311の内底面311c上に滞留し難くいようにすることができ、スムーズに凝縮液を排出部39へ排出させることができる。
【0082】
[第5実施形態]
第5実施形態に係る発電装置3について、図9を用いて説明する。なお、本実施形態に係る発電装置3は、上記第1実施形態に係る発電装置3に対して熱交換部31における筐体部311の構成、特に筐体部311の底部の構成に差異を有し、他の部分については、上記第1実施形態に係る発電装置3と同じ構成を備える。よって、以下では、差異点である筐体部311の底部の構成に絞って説明する。
【0083】
図9に示すように、本実施形態に係る筐体部311は、上記第1実施形態と同様に、内底面311cが水平方向に広がるように形成されている。そして、筐体部311の内底面311c上には、案内部材320が積層されている。
【0084】
案内部材320は、筐体部311の底壁に設けられた排出部39に合致する部分が開口されている。そして、案内部材320の鉛直方向上面320aは、排出部39が設けられた部分の周囲から排出部39の開口縁に向けて鉛直方向に漸次低くなるように傾斜面で形成されている。
【0085】
本実施形態に係る筐体部311においても、排ガスから分離された硫黄成分は凝縮液として、案内部材320の上面320aに向けて落下する。そして、案内部材320の上面320aに落下した凝縮液は、傾斜した案内部材320の上面320aを伝って排出部39の開口縁へと流れる(矢印C1,C2,C4,C5)。排出部39の開口縁まで流れてきた凝縮液は、矢印C3,C6で示すように、排出部39から筐体部311の外部へと排出される。
【0086】
ここで、本実施形態では、筐体部311の内底面311c上に案内部材320を設置し、当該案内部材320の上面320aを傾斜面とすることで、落下した凝縮液をスムーズに排出部39へと案内することができる。即ち、本実施形態に係る筐体部311の内底面311c上に設置した案内部材320は、凝縮液を排出部39へと案内するための案内機構に該当する。
【0087】
本実施形態に係る発電装置3は、熱交換部31における筐体部311の底部の構成を除き、上記第1実施形態に係る発電装置3と同じ構成を備えるので、上記同様の効果を奏することができる。
【0088】
また、本実施形態に係る発電装置3では、上面320aが傾斜面で構成された案内部材320を筐体部311の底部に設置しているので、凝縮液が筐体部311内に滞留し難くいようにすることができ、スムーズに凝縮液を排出部39へと排出させることができる。
【0089】
[第6実施形態]
第6実施形態に係る発電システム6について、図10を用いて説明する。なお、本実施形態に係る発電システム6は、上記第1実施形態に係る発電装置3に加え、ヒータ部61を備える。図10では、発電システム6の構成の内、発電装置3における熱交換部31とヒータ部61だけを抜き出して図示している。
【0090】
図10に示すように、排ガス流路LN1は、ヒータ部61、熱交換部31、およびヒータ部61を順に繋ぐように配設されている。即ち、本実施形態に係る発電システム6では、ディーゼル機関2から排出された排ガスが、ヒータ部61に対して2回導入されるように排ガス流路LN1が構成されている。
【0091】
ヒータ部61は、熱交換部31に導入される前の排ガスにより、熱交換部31を通過した後にヒータ部61に導入された排ガスを加熱する熱交換器によって構成されている。
【0092】
上記のような構成を有する発電システム6では、ディーゼル機関2から排出された排ガスの全量がヒータ部61に送られる。ヒータ部61に送られた排ガスは、ヒータ部61の熱源として活用される。そして、ヒータ部61から排出された排ガスは、熱交換部31に送られる。
【0093】
熱交換部31に送られた排ガスは、上記第1実施形態と同様に、硫黄成分が凝縮液として分離される。そして、熱交換部31では、排ガスの熱により伝熱管319(図2を参照。)内の作動媒体が加熱される。
【0094】
上述のように、熱交換部31から排出された排ガスは、再びヒータ部61に導入される。そして導入された排ガスは、ヒータ部61で酸露点よりも高い温度となるまで加熱される。そして、ヒータ部61で酸露点よりも高い温度となるまで加熱された排ガスは、煙突4から船外へと排出される。
【0095】
本実施形態に係る発電システム6は、上記第1実施形態に係る発電装置3と同じ構成の発電装置を備えるので、上記同様の効果を奏することができる。
【0096】
また、本実施形態に係る発電システム6では、熱交換部31から排出された排ガスをヒータ部61で酸露点よりも高い温度となるまで加熱してから船外に排出する。これにより、本実施形態に係る発電システム6では、船体におけるヒータ部61よりも排ガスの流れ方向の下流での各部の腐食が抑制される。
【0097】
さらに、本実施形態に係る発電システム6では、ディーゼル機関2から排出された排ガスの全量をヒータ部61の熱源にしている。このため、本実施形態に係る発電システム6では、ヒータ部61の熱源を別途確保しなくてもよい。
【0098】
[第7実施形態]
第7実施形態に係る発電システム6について、図11を用いて説明する。なお、本実施形態に係る発電システム6も、上記第5実施形態と同様に、発電装置3に加えてヒータ部61を備える。図11では、発電システム6の構成の内、発電装置3における熱交換部31とヒータ部61だけを抜き出して図示している。
【0099】
図11に示すように、排ガス流路LN1には、箇所(分流箇所)P1で排ガス流路LN5が接続されている。排ガス流路LN5は、ヒータ部61を通り、箇所(合流箇所)P2で排ガス流路LN1に合流するように設けられている。ヒータ部61は、熱交換部31を迂回した排ガスと、熱交換部31を通過した排ガスとの間で熱交換させる熱交換器によって構成されている。
【0100】
本実施形態に係る発電システム6では、分流箇所P1で分流された排ガスの一部が排ガス流路LN5を通りヒータ部61に導入される。ヒータ部61に導入された一部の排ガスは、ヒータ部61の熱源として活用される。そして、ヒータ部61から排出された排ガスは、排ガス流路LN1に合流され、煙突4から船外へと排出される。
【0101】
一方、排ガス流路LN1を通り熱交換部31に導入された排ガスは、上記第1実施形態と同様に、硫黄成分が凝縮液として分離される。そして、熱交換部31では、排ガスの熱により伝熱管319(図2を参照。)内の作動媒体が加熱される。
【0102】
排ガス流路LN1を通りヒータ部61に導入された排ガスは、ヒータ部61において、排ガスが酸露点よりも高い温度となるまで加熱される。そして、ヒータ部61で酸露点よりも高い温度となるまで加熱された排ガスは、煙突4から船外へと排出される。
【0103】
本実施形態に係る発電システム6は、上記第1実施形態に係る発電装置3と同じ構成の発電装置を備えるので、上記同様の効果を奏することができる。
【0104】
また、本実施形態に係る発電システム6では、熱交換部31から排出された排ガスをヒータ部61で酸露点よりも高い温度となるまで加熱してから船外に排出する。よって、本実施形態に係る発電システム6でも、上記第5実施形態と同様に、船体におけるヒータ部61よりも排ガスの流れ方向の下流での各部の腐食が抑制される。
【0105】
なお、本実施形態に係る発電システム6では、ディーゼル機関2から排出された排ガスの全量をヒータ部61の熱源として用いるのではなく、排ガスの一部を分流してヒータ部61の熱源として活用する点で上記第6実施形態に係る発電システム6と異なる。
【0106】
[第8実施形態]
第8実施形態に係る発電装置3の構成について、図12を用いて説明する。なお、本実施形態に係る発電装置3は、上記第1実施形態に係る発電装置3に対して、熱交換部31の構成に差異を有する。よって、図12では、本実施形態に係る発電装置3の構成の内、熱交換部31を抜き出して図示している。
【0107】
図12に示すように、本実施形態に係る発電装置3の熱交換部31は、第1熱交換部43と第2熱交換部44とを備える。第1熱交換部43は、例えば、シェルアンドチューブタイプの熱交換部である。第1熱交換部43と第2熱交換部44とは、中間媒体が流通する媒体流通路LN6により接続されている。中間媒体は、第1熱交換部43と第2熱交換部44との間を循環する。なお、本実施形態では、中間媒体の一例としてプロパンが用いられている。ただし、中間媒体としては、プロパンに限定されず、作動媒体よりも沸点が低い物質であれば採用可能である。
【0108】
第1熱交換部43では、ディーゼル機関2から排出された排ガスと、媒体流通路LN6中の中間媒体との間で熱交換がなされる。そして、第2熱交換部44では、第1熱交換部43での熱交換により加熱された中間媒体と、作動媒体との間で熱交換がなされる。また、第1熱交換部43では、中間媒体との間での熱交換により、排ガスから硫黄成分が凝縮液として分離される。
【0109】
第2熱交換部44での熱交換により加熱された作動媒体は、媒体流通路LN2を通り膨張機32に送られる(図1を参照)。
【0110】
本実施形態に係る発電装置3では、第1熱交換部43と第2熱交換部44とを備える熱交換部31が、排ガスの熱で作動媒体を加温する「熱交換部」に該当する。
【0111】
本実施形態に係る発電装置3でも、実質的に上記第1実施形態に係る発電装置3と同様の構成を備えるので、上記同様の効果を奏することができる。
【0112】
また、本実施形態に係る発電装置3では、排ガスにより直接に作動媒体を加温するのではなく、中間媒体を介して作動媒体を加温する。よって、本実施形態に係る発電装置1では、仮に排ガスの温度が高い場合であっても作動媒体が高温になり過ぎ熱分解などが生じるのを抑制することができる。
【0113】
[変形例]
上記第1実施形態から上記第8実施形態では、作動媒体の一例として水を用いることとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、作動媒体として有機熱媒体を用いることも可能である。
【0114】
また、上記第1実施形態などでは、蒸発器として機能するよう構成された熱交換部31を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、本発明では、蒸発器に流入する前の作動媒体を加熱する予熱器を熱交換部として採用することもできる。あるいは、本発明では、蒸発器から流出した作動媒体をさらに加熱する過熱器を熱交換部として採用することもできる。
【0115】
また、上記第1実施形態では、筐体部311と固定部314,315との間にクッション部316,317を介挿することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、筐体部を船内における天井から吊り下げ、筐体部とフロアとの間にクッション部を介挿させてもよい。
【0116】
また、本発明では、クッション部を省略することもできる。例えば、筐体部や伝熱管の被覆部をフッ素樹脂からなる形成する場合には、衝撃が加わったとしても被覆部が損傷を受けることはない。この場合には、クッション部を省略することが可能となる。
【0117】
また、上記第1実施形態などでは、間にフレキシブル配管37,38を介在させて筐体部311と排ガス配管40,41とを接続することとしたが(図3を参照。)、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、上記同様に筐体部や伝熱管の被覆部をフッ素樹脂からなる形成する場合には、フレキシブル配管を介在させず、筐体部と排ガス配管とを直に接続することも可能である。
【0118】
また、本発明に係る船舶1では、熱交換部31の筐体部311が煙突4の出口部分4aに固定されてもよい。
【0119】
また、本発明は、図2に示す熱交換部31の構造を採用する場合においても、排出部39が筐体部311の内底面311cの中心以外の位置に設けられている場合には、排出部39が設けられた部分が重力方向下側となるように筐体部311を傾斜姿勢で配設してもよい。これより、本発明では、筐体部から効率的に凝縮液を排出させることができる。
【0120】
また、本発明では、上記第1実施形態から上記第8実施形態の各形態を相互に組み合わせることなども可能である。
【符号の説明】
【0121】
1 船舶
2 ディーゼル機関
3 発電装置
4 煙突
6 発電システム
11 フロア
31 熱交換部
33 発電機
37,38 フレキシブル配管
39 排出部
61 ヒータ部
311 筐体部
314,315 固定部
316,317 クッション部
319 伝熱管
320 案内部材
3112,3192 被覆部
3112a 内面
3192a 外面
5311 案内部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12