(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077217
(43)【公開日】2022-05-23
(54)【発明の名称】吐出具
(51)【国際特許分類】
B65D 83/14 20060101AFI20220516BHJP
【FI】
B65D83/14 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020187967
(22)【出願日】2020-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鍔 孝太郎
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014PD01
3E014PE15
3E014PF09
3E014PF10
(57)【要約】
【課題】容器本体の形状が限定されることがなく、使用しない時にはノズルの先端がカバーキャップによって保護されており、使用する時には簡単な操作で吐出が可能となるカバーキャップ一体型の吐出具を提案する。
【解決手段】基部10と可動ノズル20とカバーキャップ30とから構成され、基部は円筒状の胴部12を有し、胴部にはカバーキャップの内面に設けられたカバーキャップ突起31が係合する水平溝13と、垂直溝14とが設けられており、可動ノズルは、基部の胴部に嵌合して上下方向に可動であり、内容物を吐出する吐出口21を有し、カバーキャップを回転して、カバーキャップ突起が水平溝の終点に達した位置において、吐出口が出現する吐出窓32を有し、カバーキャップの吐出窓と可動ノズルの吐出口の位置が一致した状態で、カバーキャップを下方に押すことにより、吐出口21から内容物が吐出されることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器から内容物を吐出させるための吐出具であって、基部と可動ノズルとカバーキャップとから構成されており、
基部は吐出具を容器に取り付けるための取り付け部と円筒状の胴部とを有し、該胴部には前記カバーキャップの内面に設けられたカバーキャップ突起が係合する水平な水平溝と、該水平溝の終点から下方に至る垂直な垂直溝とが設けられており、水平溝の始点にはカバーキャップ突起の逆回転を防止する水平溝ストッパーが設けられており、
可動ノズルは、前記基部の胴部に嵌合して上下方向に可動であり、内容物を吐出する吐出口を有し、
カバーキャップは、基部の胴部に回転可能に取り付けられており、カバーキャップを回転して、前記カバーキャップ突起が前記水平溝の終点に達した位置において、前記吐出口が出現する吐出窓を有し、
カバーキャップの吐出窓と可動ノズルの吐出口の位置が一致した状態で、カバーキャップを下方に押すことにより、カバーキャップと可動ノズルとが一体として下方に移動し、吐出口から内容物が吐出されることを特徴とする吐出具。
【請求項2】
カバーキャップの内面に、2以上のカバーキャップ突起が、円周を等分するように設けられており、基部の胴部には、それぞれのカバーキャップ突起に対応する水平溝と垂直溝と水平溝ストッパーが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の吐出具。
【請求項3】
水平溝の上部に、カバーキャップ突起を水平溝に挿入するための案内溝が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の吐出具。
【請求項4】
前記胴部と可動ノズルがポンプを構成しており、可動ノズルが下方に押されることにより、ポンプ内の内容物が吐出され、可動ノズルがバネによって元の位置に戻ることによりポンプ内への内容物の吸引が行われることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の吐出具。
【請求項5】
容器が圧縮ガスによって加圧されており、可動ノズルが下方に押されることにより、弁が開いて内容物が吐出されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の吐出具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤や芳香剤等を容器から吐出させて使用するための吐出具に関し、特にエアゾール式あるいはスプレー式の収納容器に取り付けて使用する、カバーキャップ一体型の吐出具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種内容物を収納した加圧容器から、内容物を噴霧して取り出すエアゾール式の製品や、加圧しない容器に収納した内容物をポンプによって噴霧するスプレー式の製品が知られている。
【0003】
多くの製品においては、吐出ヘッドを指で押すことによって噴霧が行われるが、吐出ヘッドを保護するカバーキャップを事前に取り外さなければならないため、このカバーキャップを紛失する恐れがあった。
【0004】
特許文献1に記載されたカバーキャップ回動式の内容物放出機構は、カバーキャップを取外さなくても、水平に90°回転させることによって、吐出ヘッドとカバーキャップとを一体として上下動可能としたものである。カバーキャップが本来の位置にあると、カバーキャップの下部にある凸部とボトルの肩部が接触することによって上下動が規制されている。
【0005】
しかし、この構造によると、ボトルが扁平であることに限定され、またカバーキャップが必要以上に大きくなってしまうという問題があった。
【0006】
特許文献2に記載されたエアゾール容器用吐出具は、カバー体を固定盤から取り外すことなくノズルの内部を容易に洗浄することが可能であるとともに蓋体が不意に開くことを防止することが可能なエアゾール容器用吐出具である。
【0007】
特許文献2に記載されたエアゾール容器用吐出具は、染毛剤を収納する容器等、使用後にノズルの洗浄が必要な用途に用いるためになされたものであるが、ノズルは常にカバー体から突出しているため、洗浄後もノズルが再汚染される懸念がある他、構造も複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012-224347号公報
【特許文献2】特開2020-1799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は、容器本体の形状が限定されることがなく、使用しない時にはノズルの先端がカバーキャップによって保護されており、使用する時には簡単な操作で吐出が可能となるカバーキャップ一体型の吐出具を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、容器から内容物を吐出させるための吐出具であって、基部と可動ノズルとカバーキャップとから構成されており、基部は吐出具を容器に取り付けるための取り付け部と円筒状の胴部とを有し、該胴
部には前記カバーキャップの内面に設けられたカバーキャップ突起が係合する水平な水平溝と、該水平溝の終点から下方に至る垂直な垂直溝とが設けられており、水平溝の始点にはカバーキャップ突起の逆回転を防止する水平溝ストッパーが設けられており、可動ノズルは、前記基部の胴部に嵌合して上下方向に可動であり、内容物を吐出する吐出口を有し、カバーキャップは、基部の胴部に回転可能に取り付けられており、カバーキャップを回転して、前記カバーキャップ突起が前記水平溝の終点に達した位置において、前記吐出口が出現する吐出窓を有し、カバーキャップの吐出窓と可動ノズルの吐出口の位置が一致した状態で、カバーキャップを下方に押すことにより、カバーキャップと可動ノズルとが一体として下方に移動し、吐出口から内容物が吐出されることを特徴とする吐出具である。
【0011】
本発明に係る吐出具は、吐出口を保護するカバーキャップが胴部に回転可能に取り付けられているため衛生的であり、また吐出時に取り外す必要がないため、カバーキャップを紛失する恐れがない。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、カバーキャップの内面に、2以上のカバーキャップ突起が、円周を等分するように設けられており、基部の胴部には、それぞれのカバーキャップ突起に対応する水平溝と垂直溝と水平溝ストッパーが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の吐出具である。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、水平溝の上部に、カバーキャップ突起を水平溝に挿入するための案内溝が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の吐出具である。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、前記胴部と可動ノズルがポンプを構成しており、可動ノズルが下方に押されることにより、ポンプ内の内容物が吐出され、可動ノズルがバネによって元の位置に戻ることによりポンプ内への内容物の吸引が行われることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の吐出具である。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、容器が圧縮ガスによって加圧されており、可動ノズルが下方に押されることにより、弁が開いて内容物が吐出されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の吐出具である。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る吐出具は、吐出口を保護するカバーキャップが胴部に回転可能に取り付けられているため使用しない時に吐出口が露出しておらず衛生的である。また吐出時にカバーキャップを取り外す必要がないため、カバーキャップを紛失する恐れがない。
【0017】
カバーキャップに設けられた吐出窓と、吐出口とが一致した位置でのみ吐出が可能となる構造であるため、カバーキャップをしたまま不用意に内容物を噴出させるようなことがない。
【0018】
取付け部が円筒形状であるため、開口部が円形でさえあれば、どのような形状の容器にも使用することができる。また、ポンプ式の容器にも、エアゾール式の容器にも応用することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明のように、カバーキャップの内面に、2以上のカバーキャップ突起が、円周を等分するように設けられており、基部の胴部には、それぞれのカバーキャップ突起に対応する水平溝と垂直溝と水平溝ストッパーが設けられている場合には、カバーキャップ突起が一つだけの場合に比較して動作が安定する。
【0020】
請求項3に記載の発明のように、水平溝の上部に、カバーキャップ突起を水平溝に挿入するための案内溝が設けられている場合には、胴部へのカバーキャップの取り付けが容易となる。またカバーキャップを取り外して洗浄するような場合にも、着脱が容易となる。
【0021】
本発明に係る吐出具の構成によれば、容器が圧縮ガスによって加圧されたエアゾール式の容器にも、容器が加圧されていないポンプ式の容器にも応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明に係る吐出具の一実施態様を示した斜視透視図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る吐出具の基部と可動ノズルを示した斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る吐出具のカバーキャップの斜視透視図である。
【
図4】
図4は、
図1の状態からカバーキャップを回転して吐出窓を吐出口に合わせ、カバーキャップと可動ノズルを一体として下方に押し下げて吐出する状態を示した斜視透視図である。
【
図5】
図5は、カバーキャップ突起が水平溝に嵌合している状態を示した断面説明図である。
【
図6】
図6は、カバーキャップ突起が垂直溝に嵌合している状態を示した断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照しながら、本発明に係る吐出具について詳細に説明する。
図1は本発明に係る吐出具の一実施態様を示した斜視透視図である。
図2は、本発明に係る吐出具の基部と可動ノズルを示した斜視図である。
図3は、本発明に係る吐出具のカバーキャップの斜視透視図である。
図4は、
図1の状態からカバーキャップを回転して吐出窓を吐出口に合わせ、カバーキャップと可動ノズルを一体として下方に押し下げて吐出する状態を示した斜視透視図である。
図5は、カバーキャップ突起が水平溝に嵌合している状態を示した断面説明図である。
図6は、カバーキャップ突起が垂直溝に嵌合している状態を示した断面説明図である。
【0024】
本発明に係る吐出具1は、容器(図示せず)から内容物を吐出させるための吐出具であって、基部10と可動ノズル20とカバーキャップ30とから構成されている。
【0025】
基部10は吐出具1を容器に取り付けるための取り付け部11と円筒状の胴部12とを有する。胴部12にはカバーキャップ30の内面に設けられたカバーキャップ突起31が係合する水平な水平溝13と、水平溝13の終点から下方に至る垂直な垂直溝14とが設けられている。水平溝13の始点にはカバーキャップ突起31の逆回転を防止する水平溝ストッパー15が設けられている。
【0026】
可動ノズル20は、基部の胴部12に嵌合して上下方向に可動であり、内容物を吐出する吐出口21を有する。
【0027】
カバーキャップ30は、基部の胴部12に回転可能に取り付けられており、カバーキャップ30を回転して、カバーキャップ突起31が胴部12の水平溝13の終点に達した位置において、吐出口21が出現する吐出窓32を有する。
【0028】
カバーキャップ30の吐出窓32と可動ノズル20の吐出口21の位置が一致した状態
で、カバーキャップ30を下方に押すことにより、カバーキャップ30と可動ノズル20とが一体として下方に移動し、吐出口21から内容物が吐出される。
【0029】
カバーキャップ30は、内周に設けられたカバーキャップ突起31が、胴部12に設けられた水平溝13に係合しているため、カバーキャップ突起31が水平溝13の始点と終点の間にある範囲に限って胴部12を中心として水平に回転することができる。
【0030】
水平溝13の終点には、垂直溝14が設けられているため、カバーキャップ突起31が水平溝13の終点に到達した時点で、カバーキャップ30は垂直方向に移動が可能となる。この位置において、カバーキャップ30に設けられた吐出窓32と、可動ノズル20に設けられた吐出口21の位置が一致する。
【0031】
この位置においてカバーキャップ30を下方に押し下げると、可動ノズル20も連動して押し下げられ、内容物が吐出口21から吐出される。可動ノズル20の可動ノズル天面22と、カバーキャップ30のカバーキャップ天面33の内面との間にはわずかな隙間しかないので、カバーキャップ30を下方に押し下げることにより、可動ノズル20も連動するような形で、下方に押し下げられるのである。
【0032】
このように、吐出口21と吐出窓32の位置が一致した状態でのみ吐出が可能となるので、逆に使用しない時には吐出口21はカバーキャップ30によって保護されており、吐出口21が露出していないため衛生的である。またその状態で誤って内容物が吐出されることもないため、安全である。
【0033】
図2に示したように、この例では水平溝13の上部に、カバーキャップ突起31を水平溝13に挿入するための案内溝16が設けられている。この例では案内溝16は、円周を3等分する位置に3箇所設けられている。
図3に示したようにカバーキャップ30の内周にも、カバーキャップ突起31が同様に円周を3等分する位置に3箇所設けられている。
図2では明らかではないが、胴部12に設けられた水平溝13、垂直溝14、水平溝ストッパー15も同様に円周を3等分する位置に3箇所づつ設けられている。
【0034】
このように、カバーキャップ30の内面に、2以上のカバーキャップ突起31が、円周を等分するように設けられており、基部10の胴部12には、それぞれのカバーキャップ突起31に対応する水平溝13と垂直溝14と水平溝ストッパー15が設けられている場合においては、それぞれが一つの場合に比較して動作が安定し、カバーキャップ30の回転角も適当に小さくなるので、使い勝手が向上する。
【0035】
案内溝16は、必ずしも必須ではないがカバーキャップ30の剛性が高い場合には、案内溝16を設けておくことにより、カバーキャップ30の胴部12への取り付けが円滑になる。また、カバーキャップ30を取り外して洗浄するような場合に着脱が容易になる。
【0036】
本発明に係る吐出具1を取り付ける容器については、エアゾール式であれば、金属製の容器が用いられる。ポンプ式であれば、プラスチック容器が一般的である。容器に応じて基部10の取り付け部11の構造は異なる。プラスチック容器の材質については、特に制約されない。
【0037】
本発明に係る吐出具1を構成する各部の材質についても特に制約されるものではない。基部10、可動ノズル20とも、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリアミド樹脂(Ny)等の汎用樹脂を用いることができる。
【0038】
カバーキャップ30にも上記樹脂が用いられるが、高い透明性が求められる場合には、PET、ポリスチレン樹脂(PS)、アクリロニトリルスチレン樹脂(SAN)等が用いられる。
【符号の説明】
【0039】
1・・・吐出具
10・・・基部
11・・・取り付け部
12・・・胴部
13・・・水平溝
14・・・垂直溝
15・・・水平溝ストッパー
16・・・案内溝
20・・・可動ノズル
21・・・吐出口
22・・・可動ノズル天面
30・・・カバーキャップ
31・・・カバーキャップ突起
32・・・吐出窓
33・・・カバーキャップ天面