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特開2022-77260火炎検出装置、ボイラ、火炎検出方法および燃焼制御方法
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  • 特開-火炎検出装置、ボイラ、火炎検出方法および燃焼制御方法 図1
  • 特開-火炎検出装置、ボイラ、火炎検出方法および燃焼制御方法 図2
  • 特開-火炎検出装置、ボイラ、火炎検出方法および燃焼制御方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077260
(43)【公開日】2022-05-23
(54)【発明の名称】火炎検出装置、ボイラ、火炎検出方法および燃焼制御方法
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/08 20060101AFI20220516BHJP
【FI】
F23N5/08 J
F23N5/08 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020188031
(22)【出願日】2020-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須古 敏行
【テーマコード(参考)】
3K005
【Fターム(参考)】
3K005QA01
3K005QB03
3K005QC03
(57)【要約】
【課題】火炎の状態を詳細に検出する。
【解決手段】火炎検出装置5は、火炎の光を少なくとも第1波長成分と第2波長成分とに分光する分光部521と、第1波長成分と第2波長成分との強度比と、温度に応じて変化する基準強度比との比較結果に基づいて、火炎の温度を検出する検出部527と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火炎の光を少なくとも第1波長成分と第2波長成分とに分光する分光部と、
前記第1波長成分と前記第2波長成分との強度比と、温度に応じて変化する基準強度比との比較結果に基づいて、前記火炎の温度を検出する検出部と、
を備える、
火炎検出装置。
【請求項2】
前記第1波長成分および前記第2波長成分は、可視光の波長成分である、
請求項1に記載の火炎検出装置。
【請求項3】
前記火炎は、ボイラの火炉に設けられるバーナにより形成される、
請求項1または2に記載の火炎検出装置。
【請求項4】
火炉と、
前記火炉に設けられるバーナと、
前記バーナにより形成される火炎の光を少なくとも第1波長成分と第2波長成分とに分光する分光部と、前記第1波長成分と前記第2波長成分との強度比と、温度に応じて変化する基準強度比との比較結果に基づいて、前記火炎の温度を検出する検出部と、を有する火炎検出装置と、
前記検出部により検出された前記火炎の温度に基づいて、前記バーナの燃焼を制御する制御装置と、
を備える、
ボイラ。
【請求項5】
火炎の光を少なくとも第1波長成分と第2波長成分とに分光するステップと、
前記第1波長成分と前記第2波長成分との強度比と、温度に応じて変化する基準強度比との比較結果に基づいて、前記火炎の温度を検出するステップと、
を含む、
火炎検出方法。
【請求項6】
前記第1波長成分および前記第2波長成分は、可視光の波長成分である、
請求項5に記載の火炎検出方法。
【請求項7】
前記火炎は、ボイラの火炉に設けられるバーナにより形成される、
請求項5または6に記載の火炎検出方法。
【請求項8】
ボイラの火炉に設けられるバーナにより形成される火炎の光を少なくとも第1波長成分と第2波長成分とに分光するステップと、
前記第1波長成分と前記第2波長成分との強度比と、温度に応じて変化する基準強度比との比較結果に基づいて、前記火炎の温度を検出するステップと、
検出された前記火炎の温度に基づいて、前記バーナの燃焼を制御するステップと、
を含む、
燃焼制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、火炎検出装置、ボイラ、火炎検出方法および燃焼制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ボイラ等の設備では、燃料を燃焼させることによって火炎が生成される。このような設備には、火炎の状態を検出する火炎検出装置が設けられている。例えば、特許文献1には、ボイラの火炉に設けられるバーナにより形成される火炎の状態を検出する火炎検出装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-016839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の火炎検出装置によれば、火炎の有無を検出することができる。しかしながら、ボイラ等の設備における燃焼をより適切に制御するためには、火炎の有無以外の情報を得ることによって、火炎の状態をより詳細に検出することが望ましい。
【0005】
本開示の目的は、火炎の状態を詳細に検出することが可能な火炎検出装置、ボイラ、火炎検出方法および燃焼制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の火炎検出装置は、火炎の光を少なくとも第1波長成分と第2波長成分とに分光する分光部と、第1波長成分と第2波長成分との強度比と、温度に応じて変化する基準強度比との比較結果に基づいて、火炎の温度を検出する検出部と、を備える。
【0007】
第1波長成分および第2波長成分は、可視光の波長成分であってもよい。
【0008】
火炎は、ボイラの火炉に設けられるバーナにより形成されてもよい。
【0009】
上記課題を解決するために、本開示のボイラは、火炉と、火炉に設けられるバーナと、バーナにより形成される火炎の光を少なくとも第1波長成分と第2波長成分とに分光する分光部と、第1波長成分と第2波長成分との強度比と、温度に応じて変化する基準強度比との比較結果に基づいて、火炎の温度を検出する検出部と、を有する火炎検出装置と、検出部により検出された火炎の温度に基づいて、バーナの燃焼を制御する制御装置と、を備える。
【0010】
上記課題を解決するために、本開示の火炎検出方法は、火炎の光を少なくとも第1波長成分と第2波長成分とに分光するステップと、第1波長成分と第2波長成分との強度比と、温度に応じて変化する基準強度比との比較結果に基づいて、火炎の温度を検出するステップと、を含む。
【0011】
第1波長成分および第2波長成分は、可視光の波長成分であってもよい。
【0012】
火炎は、ボイラの火炉に設けられるバーナにより形成されてもよい。
【0013】
上記課題を解決するために、本開示の燃焼制御方法は、ボイラの火炉に設けられるバーナにより形成される火炎の光を少なくとも第1波長成分と第2波長成分とに分光するステップと、第1波長成分と第2波長成分との強度比と、温度に応じて変化する基準強度比との比較結果に基づいて、火炎の温度を検出するステップと、検出された前記火炎の温度に基づいて、バーナの燃焼を制御するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、火炎の状態を詳細に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施形態に係るボイラを示す模式図である。
図2図2は、本実施形態に係る火炎検出装置を示す模式図である。
図3図3は、2色温度計の原理について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の一実施形態について説明する。実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0017】
図1は、本実施形態に係るボイラ1を示す模式図である。図1に示すように、ボイラ1は、火炉2と、煙道3と、バーナ4と、火炎検出装置5と、制御装置6とを備える。
【0018】
火炉2は、アンモニアまたは微粉炭等の燃料を燃焼させて燃焼熱を発生させる炉である。火炉2は、鉛直方向に延在する筒形状(例えば、矩形筒形状)を有する。火炉2では、燃料が燃焼することによって、高温の燃焼ガスが発生する。火炉2の底部には、燃料の燃焼によって発生する灰分を外部に排出する排出口2aが設けられている。
【0019】
煙道3は、火炉2で発生した燃焼ガスを排ガスとして外部に案内する通路である。煙道3は、火炉2の上部と接続される。煙道3は、水平煙道3aと、後部煙道3bとを有する。水平煙道3aは、火炉2の上部から水平方向に延在する。後部煙道3bは、水平煙道3aの端部から下方に延在する。
【0020】
ボイラ1は、火炉2の上部等に設置される図示しない過熱器を備えている。過熱器では、火炉2で発生した燃焼熱と水との間での熱交換が行われる。それにより、水蒸気が生成される。また、ボイラ1は、図1で図示されていない各種機器(例えば、再熱器、節炭器または空気予熱器等)を備え得る。
【0021】
バーナ4は、火炉2の下部の壁部に設けられている。火炉2には、複数のバーナ4が、火炉2の周方向に間隔を空けて設けられている。なお、図1では図示を省略しているが、複数のバーナ4は、火炉2の延在方向(上下方向)にも間隔を空けて設けられている。バーナ4は、アンモニアまたは微粉炭等の燃料を噴射して燃焼させる。例えば、バーナ4としては、アンモニアおよび微粉炭を燃料として火炉2内に噴射可能な複合バーナが用いられ得る。
【0022】
バーナ4は、筒状である。バーナ4の先端は、火炉2内に配置されている。バーナ4に供給された燃料は、バーナ4の先端から火炉2内に噴射されて燃焼する。それにより、火炉2内で火炎Fが形成される。ボイラ1には、バーナ4に空気を供給する図示しない空気供給機構が設けられている。火炉2には、バーナ4から噴射された燃料を着火させる図示しない着火装置が設けられている。各バーナ4から火炉2内に空気と共に噴射された燃料は、着火装置によって着火して燃焼する。
【0023】
火炎検出装置5は、火炎Fの状態を検出する。火炎検出装置5は、複数のバーナ4のうちの一部のバーナ4に対して設けられていてもよく、各バーナ4に対して設けられていてもよい。火炎検出装置5は、集光部51と、解析装置52とを有する。集光部51は、バーナ4により形成される火炎Fの光を集光する。集光部51は、火炉2の壁部のうちバーナ4の近傍に設けられている。集光部51は、筒状である。集光部51の先端は、火炎Fを向く姿勢で、火炉2内に配置されている。集光部51には、火炎Fの光を集光する図示しない集光レンズが設けられている。解析装置52は、集光部51により集光された火炎Fの光を解析する。それにより、火炎Fの状態が検出される。なお、火炎検出装置5の詳細な構成については、後述する。
【0024】
制御装置6は、バーナ4の燃焼を制御する。具体的には、制御装置6は、ボイラ1の各種装置の動作を制御することによって、バーナ4の燃焼を制御する。特に、ボイラ1では、火炎検出装置5による検出結果が制御装置6に出力され、制御装置6は、火炎検出装置5による検出結果に基づいて、バーナ4の燃焼を制御する。それにより、ボイラ1における燃焼を適切に制御することが実現される。なお、制御装置6によるバーナ4の燃焼の制御の詳細については、後述する。
【0025】
図2は、本実施形態に係る火炎検出装置5を示す模式図である。図2に示すように、火炎検出装置5では、集光部51と解析装置52とが、光ファイバケーブル53を介して接続されている。集光部51により集光された火炎Fの光は、光ファイバケーブル53を介して解析装置52に伝送される。
【0026】
解析装置52は、分光部521(具体的には、第1分光部521aおよび第2分光部521b)と、光電センサ522a、522b、522cと、ログアンプ523a、523b、523cと、可変ゲイン交流アンプ524と、バンドパスフィルタ525と、RMS-DCコンバータ526と、検出部527とを備える。
【0027】
以下では、光電センサ522a、522b、522cを特に区別しない場合、単に光電センサ522とも呼ぶ。ログアンプ523a、523b、523cを特に区別しない場合、単にログアンプ523とも呼ぶ。
【0028】
分光部521は、火炎Fの光を特定の波長成分に分光する。分光部521は、第1分光部521aと、第2分光部521bとを含む。第1分光部521aは、入射される光のうち第1波長(例えば、537.5nm)以上の光を通過させ、第2分光部521bに送る。一方、第1分光部521aは、入射される光のうち第1波長未満の光を反射させ、光電センサ522aに送る。第2分光部521bは、入射される光(つまり、第1波長以上の光)のうち第2波長(例えば、650.0nm)以上の光を通過させ、光電センサ522cに送る。一方、第2分光部521bは、入射される光のうち第2波長未満の光を反射させ、光電センサ522bに送る。第2波長は、第1波長よりも長い。第1波長および第2波長は、可視光波長(可視光の波長域内の波長)である。ただし、第1波長および第2波長は、上記の例に限定されない。例えば、第1波長および第2波長は、上記の例と異なる可視光波長であってもよい。
【0029】
上記のように、分光部521は、火炎Fの光を、第1波長未満(例えば、537.5nm未満)の波長成分と、第1波長以上かつ第2波長未満(例えば、537.5nm以上かつ650.0nm未満)の波長成分と、第2波長以上(例えば、650.0nm以上)の波長成分とに分光する。
【0030】
ここで、第1波長未満(例えば、537.5nm未満)の波長成分を、第1波長成分と呼ぶ。第1波長以上かつ第2波長未満(例えば、537.5nm以上かつ650.0nm未満)の波長成分を、第2波長成分と呼ぶ。第2波長以上(例えば、650.0nm以上)の波長成分を、第3波長成分と呼ぶ。この場合、分光部521は、火炎Fの光を第1波長成分と第2波長成分と第3波長成分とに分光する。ただし、分光部521は、火炎Fの光を少なくとも第1波長成分と第2波長成分とに分光すればよい。例えば、分光部521は、火炎Fの光を4つ以上の波長成分に分光してもよい。
【0031】
光電センサ522は、送られた光を光電変換し、電気信号を出力する。光電センサ522は、例えば、ピンフォトダイオード等を含む。上述したように、光電センサ522aには、火炎Fの光のうち第1波長成分(例えば、537.5nm未満の光)が送られる。光電センサ522aは、送られた光を光電変換し、電気信号をログアンプ523aに出力する。上述したように、光電センサ522bには、火炎Fの光のうち第2波長成分(例えば、537.5nm以上かつ650.0nm未満の光)が送られる。光電センサ522bは、送られた光を光電変換し、電気信号をログアンプ523bに出力する。上述したように、光電センサ522cには、火炎Fの光のうち第3波長成分(例えば、650.0nm以上の光)が送られる。光電センサ522cは、送られた光を光電変換し、電気信号をログアンプ523cおよび可変ゲイン交流アンプ524に出力する。
【0032】
ログアンプ523は、光電センサ522から送られた電気信号を対数圧縮して出力する。ログアンプ523aは、光電センサ522aから送られた電気信号を対数圧縮して、検出部527に出力する。ログアンプ523bは、光電センサ522bから送られた電気信号を対数圧縮して、検出部527に出力する。ログアンプ523cは、光電センサ522cから送られた電気信号を対数圧縮して、検出部527に出力する。
【0033】
可変ゲイン交流アンプ524は、光電センサ522cから送られた電気信号に所定のゲインを乗算して、バンドパスフィルタ525に出力する。バンドパスフィルタ525は、可変ゲイン交流アンプ524から送られた電気信号から所定の周波数成分を取り出し、RMS-DCコンバータ526に出力する。RMS-DCコンバータ526は、バンドパスフィルタ525から送られた電気信号のRMS値(瞬時値の二乗平均値の平方根)を求めて、検出部527に出力する。
【0034】
検出部527は、入力される電気信号を用いて、火炎Fの状態を検出する。本実施形態では、検出部527は、火炎Fの有無の検出、および、火炎Fの温度の検出を行う。
【0035】
検出部527は、火炎Fの光のうちの第3波長成分(つまり、第2分光部521bを通過し、光電センサ522cに送られる光)に関する電気信号を用いて、火炎Fの有無を検出する。検出部527は、ログアンプ523cから出力される電気信号を、第3波長成分の光の強度を示す指標(つまり、明るさを示す指標)として用いる。検出部527は、RMS-DCコンバータ526から出力される電気信号を、第3波長成分の光のちらつきの程度を示す指標として用いる。例えば、検出部527は、第3波長成分の光の強度と、第3波長成分の光のちらつきの程度との双方が基準値を超える場合、火炎Fが存在すると判定する。
【0036】
検出部527は、火炎Fの光のうちの第1波長成分(つまり、第1分光部521aに反射され、光電センサ522aに送られる光)および第2波長成分(つまり、第2分光部521bに反射され、光電センサ522bに送られる光)に関する電気信号を用いて、火炎Fの温度を検出する。検出部527は、ログアンプ523aから出力される電気信号を、第1波長成分の光の強度を示す指標として用いる。検出部527は、ログアンプ523bから出力される電気信号を、第2波長成分の光の強度を示す指標として用いる。ここで、検出部527は、2色温度計の原理を利用して、火炎Fの温度を検出する。
【0037】
図3は、2色温度計の原理について説明するための説明図である。図3では、横軸を波長とし縦軸を光の強度として、物体から発せられる光の強度の波長に対する特性(以下、強度特性とも呼ぶ。)を示す特性線L1、L2、L3、L4、L5、L6が示されている。各特性線の間では、物体の温度が互いに異なっている。特性線L1、L2、L3、L4、L5、L6の順に、各特性線と対応する温度が高くなっている。
【0038】
図3に示すように、一般に、物体の温度が高くなるにつれて、物体から発せられる光の強度は大きくなる。ここで、特定の2つの波長λ1、λ2に着目すると、波長λ1の強度と波長λ2の強度との比は、各特性線の間で互いに異なる。つまり、波長λ1と波長λ2との強度比は、各温度で固有の数値をとる。ゆえに、波長λ1と波長λ2との強度比から物体の温度を特定することができる。上記の温度特定の原理が、2色温度計の原理と呼ばれる。
【0039】
そこで、検出部527は、2色温度計の原理を利用して、第1波長成分と第2波長成分との強度比と、温度に応じて変化する基準強度比との比較結果に基づいて、火炎Fの温度を検出する。上記のように、第1波長成分と第2波長成分との強度比は、火炎Fの温度に応じて変化する。基準強度比は、第1波長成分と第2波長成分との強度比として実験的にまたは理論上で想定される火炎Fの温度に応じた強度比である。基準強度比は、予め解析装置52の記憶素子等に記憶されている。例えば、解析装置52には、複数の温度と対応する基準強度比が記憶されている。
【0040】
検出部527は、例えば、記憶されている基準強度比のうち、第1波長成分と第2波長成分との強度比と最も近い基準強度比と対応する温度を、火炎Fの温度として検出する。なお、検出部527は、ログアンプ523aから出力される電気信号から得られる第1波長成分の強度、および、ログアンプ523bから出力される電気信号から得られる第2波長成分の強度の少なくとも一方に補正係数(例えば、ボイラ1の仕様に応じた係数)を乗算した後に、強度比を算出してもよい。検出部527は、ログアンプ523aから出力される電気信号から得られる第1波長成分の強度と、ログアンプ523bから出力される電気信号から得られる第2波長成分の強度との比に補正係数(例えば、ボイラ1の仕様に応じた係数)を乗算して得られる値を強度比として用いて、基準強度比との比較を行ってもよい。
【0041】
上記のように、本実施形態では、検出部527は、第1波長成分と第2波長成分との強度比と、温度に応じて変化する基準強度比との比較結果に基づいて、火炎Fの温度を検出する。つまり、検出部527は、2色温度計の原理を利用して、第1波長成分と第2波長成分との強度比に基づいて、火炎Fの温度を検出する。それにより、火炎Fの有無以外の情報として、火炎Fの温度を得ることができる。ゆえに、火炎Fの状態をより詳細に検出することができる。特に、ボイラ1の火炉2に設けられるバーナ4により形成される火炎Fの状態をより詳細に検出することによって、後述するように、ボイラ1における燃焼を適正化できる。
【0042】
なお、上記で説明したように、火炎検出装置5による火炎検出方法は、火炎Fの光を少なくとも第1波長成分と第2波長成分とに分光する分光部521によるステップと、第1波長成分と第2波長成分との強度比と、温度に応じて変化する基準強度比との比較結果に基づいて、火炎Fの温度を検出する検出部527によるステップとを含む。
【0043】
特に、火炎Fの温度の検知に用いられる第1波長成分および第2波長成分は、可視光の波長成分であることが好ましい。なお、この場合において、厳密には、第1波長成分に、紫外光等の短波長の成分が僅かに含まれ得る。上記の例のように、第1波長成分が537.5nm未満の光等の可視光であり、第2波長成分が537.5nm以上かつ650.0nm未満の光等の可視光である場合、2色温度計の原理を利用して火炎Fの温度を精度良く検出することができる。例えば、第1波長成分および第2波長成分の少なくとも一方が、赤外光の波長成分である場合、第1波長成分または第2波長成分を示す電気信号に過度に多くのノイズが含まれてしまい、2色温度計の原理を利用した温度検出の精度が低下してしまう。例えば、第1波長成分および第2波長成分の少なくとも一方が、紫外光の波長成分である場合、第1波長成分または第2波長成分を示す電気信号の大きさが過度に小さくなってしまい、2色温度計の原理を利用した温度検出の精度が低下してしまう。
【0044】
ここで、上述したように、制御装置6は、検出部527により検出された火炎Fの温度に基づいて、ボイラ1のバーナ4の燃焼を制御する。例えば、制御装置6は、バーナ4に空気を供給する空気供給機構の動作を、火炎Fの温度に基づいて制御する。それにより、バーナ4への空気の供給量が火炎Fの温度に基づいて制御され得る。例えば、バーナ4の燃料噴射口の近傍でバーナ4の中心軸まわりの空気の旋回流を形成する旋回流形成装置がボイラ1に設けられる場合、制御装置6は、旋回流形成装置の動作を火炎Fの温度に基づいて制御する。それにより、バーナ4の燃料噴射口の近傍での空気の旋回流の強さが火炎Fの温度に基づいて制御され得る。
【0045】
上記のように、検出部527により検出された火炎Fの温度に基づいて、ボイラ1のバーナ4の燃焼が制御されることによって、ボイラ1における燃焼をより適切に制御することができる。
【0046】
なお、上記で説明したように、制御装置6による燃焼制御方法は、火炎検出装置5による火炎検出方法の各ステップに加えて、検出部527により検出された火炎Fの温度に基づいて、ボイラ1のバーナ4の燃焼を制御する制御装置6によるステップをさらに含む。
【0047】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態について説明したが、本開示はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0048】
上記では、ボイラ1の火炉2に設けられるバーナ4により形成される火炎Fの状態が火炎検出装置5によって検出される例を説明した。ただし、火炎検出装置5の検出対象は、ボイラ1以外の設備で生成される火炎であってもよい。つまり、火炎検出装置5は、ボイラ1以外の設備に設けられてもよい。
【0049】
上記では、第1波長成分が537.5nm未満の光等の可視光であり、第2波長成分が537.5nm以上かつ650.0nm未満の光等の可視光である例を主として説明した。ただし、上述したように、第1波長および第2波長は、上記の例に限定されない。つまり、第1波長成分および第2波長成分の波長域は、上記の例と異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 ボイラ
2 火炉
4 バーナ
5 火炎検出装置
6 制御装置
521 分光部
521a 第1分光部
521b 第2分光部
527 検出部
F 火炎
図1
図2
図3