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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077342
(43)【公開日】2022-05-23
(54)【発明の名称】ホース連結金具
(51)【国際特許分類】
   F16L 33/23 20060101AFI20220516BHJP
   A62C 33/00 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
F16L33/23
A62C33/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020188155
(22)【出願日】2020-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000215822
【氏名又は名称】帝国繊維株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000240673
【氏名又は名称】ヨネ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】桝谷 徹
(72)【発明者】
【氏名】米田 哲三
【テーマコード(参考)】
2E189
3H017
【Fターム(参考)】
2E189LA02
3H017JA01
(57)【要約】
【課題】連続した連結または解除操作が容易でホースを引き廻すとき損傷し難く、かつ従来のホース連結金具に対しセグメントを交換利用可能なホース連結金具を提供する。
【解決手段】互いに連結および解除が可能な一対の継手本体2と、それに着脱可能に取り付けられる複数のセグメント3とを有し、継手本体2は、ホースを取付け可能なホース取付部4と、対の継手本体2に連結可能な連結部5を、軸方向に隣接するように一体に形成してなり、複数3のセグメントは、ホース取付部4の外周にホースを固定するように構成し、そのセグメント3の外周面にハンドル収容凹部12を有し、そこに周方向に沿って延びる2つのハンドル部13が取り付けられ、互いに近接する周方向端部を中心として回動することにより径方向外側に起立した1つのハンドル対を構成し、一対の継手本体2の連結部5を互いに当接し周方向に回動させることにより連結されるように構成されてなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに連結および解除が可能な一対の継手本体と、該継手本体のそれぞれに着脱可能に取り付けられる複数のセグメントとを有するホース連結金具であって、
前記継手本体は、内部を流体が流通可能な略円筒状であり、一方の軸方向端部にホースを取付け可能なホース取付部を有し、他方の軸方向端部に対の継手本体に連結可能な連結部を有し、前記ホース取付部および連結部は、軸方向に隣接するように一体に形成されてなり、
前記複数のセグメントは、前記ホース取付部の外周方向に連結することにより、前記ホースを前記ホース取付部の外周に固定するように構成され、それぞれのセグメントの外周面にハンドル収容凹部を有し、該ハンドル収容凹部内に、周方向に沿って延びる2つのハンドル部が周方向に間隔をあけて取り付けられ、該2つのハンドル部は、互いに近接する周方向端部を中心として回動可能であり、その回動により径方向外側に起立状態となり、互いに当接して1つのハンドル対を構成し、
前記一対の継手本体の連結部を互いに当接し、前記ハンドル対を把持して周方向に回転させることにより、前記一対の継手本体が連結されるように構成されてなる、ホース連結金具。
【請求項2】
前記ハンドル収容凹部の軸方向の壁面に、突出可能な係合部を有し、前記ハンドル部には、前記係合部に対応する位置に凹部を有し、前記係合部が前記凹部に係合することにより、前記ハンドル部が前記ハンドル収容凹部内に保持されるように構成されてなる、請求項1に記載のホース連結金具。
【請求項3】
前記セグメントが、軸方向に50~105mmの幅を有する、請求項1または2に記載のホース連結金具。
【請求項4】
前記セグメントが、径方向に35~55mmの高さを有する、請求項1~3のいずれかに記載のホース連結金具。
【請求項5】
前記複数のセグメントを周方向に連結して形成された円環の内径が、280~410mmである、請求項1~4のいずれかに記載のホース連結金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大口径のホースを、連結、解除するホース連結金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、消防用ホースを連結、解除するとき、雄雌の区別がなく、同一の継手構造を有する一対のホース連結金具が用いられている。このホース連結金具のそれぞれを、2本の消防用ホースの端部に取り付け、周方向に回動させることでホース連結金具の連結、解除が可能となるように構成される。ここで、直径150mmを超えるような消防用ホースに取り付けられるホース連結金具を連結、解除する場合には、スパナ等の締結用工具を用いて行うのが一般的であり、締結用工具を常備しておく必要がある。したがって、締結用工具を準備するのに手間取ると、消防用ホースの連結、解除を完了させるまでに時間がかかってしまうことがある。
【0003】
上述した課題を解決するため、特許文献1は、ホース取付部および連結部からなる継手本体と、ホース取付部に外嵌したホースを固定する複数のセグメントからなるホース継手が、少なくとも1つのセグメントの軸方向端面に、周方向に延びる2つのハンドル部が周方向に間隔を空けて取り付けられ、互いに近接する周方向端部を中心として回動することにより、径方向外側に延びる起立状態の1つのハンドル対を形成し、これを締結用工具として使用することを開示する。
【0004】
しかし、特許文献1に記載されたホース継手では、各セグメントの軸方向端面にハンドル部を取り付けるため、セグメントおよびハンドル部の軸方向の幅が大きく、重くなるので、連続して連結または解除操作を行うのに支障を生じるおそれがある。また、ハンドル部がセグメントの軸方向端面に突出するため、連結した消防用ホースをホース展張/回収車により展張、回収すると、現場の障害物と衝突しハンドル部が損傷し、連結、解除が困難になるおそれがあった。さらに、継手本体とセグメントとからなる従来のホース連結金具に対し、上述したセグメントおよびハンドル部の幅が、従来のホース取付部の幅より大きいため、従来のホース連結金具において、セグメントだけを交換して利用することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-168092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上述した点に鑑み、連続した連結または解除操作が容易で、連結したホースを引き廻すとき損傷し難く、かつ従来のホース連結金具に対しセグメントを交換利用可能なホース連結金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的を達成するホース連結金具は、互いに連結および解除が可能な一対の継手本体と、該継手本体のそれぞれに着脱可能に取り付けられる複数のセグメントとを有し、前記継手本体は、内部を流体が流通可能な略円筒状であり、一方の軸方向端部にホースを取付け可能なホース取付部を有し、他方の軸方向端部に対の継手本体に連結可能な連結部を有し、前記ホース取付部および連結部は、軸方向に隣接するように一体に形成されてなり、前記複数のセグメントは、前記ホース取付部の外周方向に連結することにより、前記ホースを前記ホース取付部の外周に固定するように構成され、それぞれのセグメントの外周面にハンドル収容凹部を有し、該ハンドル収容凹部内に、周方向に沿って延びる2つのハンドル部が周方向に間隔をあけて取り付けられ、該2つのハンドル部は、互いに近接する周方向端部を中心として回動可能であり、その回動により径方向外側に起立状態となり、互いに当接して1つのハンドル対を構成し、前記一対の継手本体の連結部を互いに当接し、前記ハンドル対を把持して周方向に回動させることにより、前記一対の継手本体が連結されるように構成されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のホース連結金具によれば、セグメントのハンドル収容凹部内にハンドル対を有するため、軽量で、連結または解除操作を連続して効率的かつ容易に行うことができ、また連結したホースを引き廻すときの損傷を抑制し、しかも従来のホース連結金具における、締結用工具が必要であったセグメントを交換して使用することができる。
【0009】
前記ホース連結金具は、前記ハンドル収容凹部の軸方向の壁面に、突出可能な係合部を有し、前記ハンドル部には、前記係合部に対応する位置に凹部を有し、前記係合部が前記凹部に係合することにより、前記ハンドル部が前記ハンドル収容凹部内に保持されるように構成されるとよく、ハンドル収容凹部に収容したハンドル部が、意図せずに、ハンドル収容凹部からはみ出すのを抑制することができる。
【0010】
前記セグメントが、軸方向に50~105mmの幅を有し、および/または、径方向に35~55mmの高さを有するとよい。また、前記複数のセグメントを周方向に連結して形成された円環の内径が、280~410mmであるとよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のホース連結金具の1つの実施形態を例示する模式図である。
図2】本発明のホース連結金具を構成する1つの継手本体および連結したセグメントの実施形態を例示する正面図であり、図2(1)は連結したセグメント、図2(2)は継手本体である。
図3】本発明のホース連結金具の実施形態のうち、連結したセグメントの断面図であり、図3(1)は正面の部分断面図、図3(2)はハンドル部を収容したときの側面の断面図、図3(3)はハンドル部を起立したときの側面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、更に詳しく本発明のホース連結金具について、図面(図1図3)を参照して説明する。ホース連結金具1は、消防用ホースなど、大口径のホースを連結させる金具であり、ホース端部に接続する、一対の継手本体2と、継手本体2のそれぞれに着脱可能な複数のセグメント3からなる。なお、図1図3では、簡潔に説明するため、1つの継手本体2、および複数のセグメント3を連結した円環として記載する。
【0013】
継手本体2は、互いに連結および解除が可能な同一構造の一対の継手本体2により構成される。継手本体2は、内部を流体が流通可能な略円筒状であり、一方の軸方向端部にホースを取付け可能なホース取付部4を有し、他方の軸方向端部に対の継手本体に連結、解除可能な連結部5を有し、ホース取付部4および連結部5は、軸方向に隣接するように一体に形成される。
【0014】
連結部5は、ホース取付部4と一体的に形成されており、継手本体2の軸方向端部に設けられている。この実施形態における連結部5は、12個の爪部7と、各爪部7に対応する12個の溝部8と、爪部7に周方向に隣接する突出部9とを有している。さらに、連結部5は係止機構を備えている。
【0015】
12個の爪部7は、図1に示すように、周方向に略等間隔に、すなわち30度毎に配置されており、それぞれの爪部7は、継手本体2の軸方向端部から軸方向および径方向外側に突出している。この例では、爪部7の根本は、継手本体2の端面よりも軸方向内側にややシフトした位置に配置されている。すなわち、爪部7の径方向内側の一部は、連結部5の外周面に重なっている。継手本体2の端面は、対となる継手本体2が連結されるときに、対となる継手本体2に当接する面である。
【0016】
また、爪部7の軸方向先端面は、軸方向に直交する平面である。また、爪部7は、軸方向先端面の端から、爪部7の径方向外側の平面に向かう径方向外側に傾斜する先端側の傾斜面と、爪部7の径方向外側の平面から爪部7の根本に向かう径方向内側に傾斜する根本側の傾斜面とを有している。さらに、爪部7は、根本側の傾斜面から継手本体2の外周面に向かって延びる根本側の平面を有している。
【0017】
溝部8は、各爪部7の径方向内側に設けられ、爪部7の一方の周方向端面から周方向に凹んでいる。すなわち、溝部8は、各爪部7の反時計回り方向の端面から時計回りに向かって凹んでいる。また、溝部8の径方向内側は開口している。この例では、溝部8の内部において軸方向に対向する先端側面と根本側面との間の軸方向距離は、周方向の奥側(図1における時計回りの周方向)に向かうに従って小さくなる。
【0018】
また、溝部8は、対となる継手本体2の突出部(図示せず)が挿入可能に構成される。対となる継手本体2の突出部は、溝部8に挿入され、さらに、溝部8の内部における周方向端部に向かって周方向に回転すると、溝部8の先端側面と根本側面との間に挟まれて、溝部8に嵌合する。
【0019】
連結部5の突出部9は、各爪部7に一方の周方向(例えば反時計回り方向)に隣接している。本実施形態では、突出部9は、溝部8に対して爪部7における軸方向根本側に配置され、爪部7の一方の周方向端面(図1における反時計回り方向の端面)から反時計回り方向に突出している。
【0020】
突出部9における径方向幅は、爪部7の径方向幅よりも小さい。また、突出部9の径方向幅は、溝部8の径方向幅に対して同等または小さい。この例では、突出部9の径方向外側の面は、溝部8の径方向外側の面よりやや径方向内側に配置されている。
【0021】
突出部9の軸方向に突出する量(軸方向幅)は、対となる継手本体2の溝部の入口付近の軸方向幅よりもやや小さく設定され、対となる継手本体2の溝部の奥側の軸方向幅よりもやや大きく設定されている。ここで溝部8の軸方向幅は、上記した軸方向に対向する先端側面と根本側面との間の軸方向距離である。上記したように、突出部9は、対となる継手本体2の溝部の入口付近では、該溝部に挿入可能であり、対となる継手本体2の溝部の内部における周方向端部では、対向する先端側面と根本側面とによって挟まれる。これにより、突出部9は、対となる継手本体2の溝部に嵌合する。また、この例では、突出部9の周方向長さは、継手本体2の溝部8および対となる継手本体2の溝部の周方向長さよりも短い。
【0022】
また、突出部9と、反対方向の周方向(図1における時計回り方向)に隣り合う爪部7との間には間隙Sを設けている。当該間隙Sの周方向長さは、爪部7の周方向長さに対して、ほぼ同等になるように設定されている。
【0023】
係止機構は、一つの爪部7に設けられており、ストッパーと、ねじりコイルばねを有している。ストッパーは、爪部7の周方向側面に配置され、ねじりコイルばねは、爪部7の根本付近にボルト(図示せず)により取り付けられているとともに、ストッパーに接続されている。ストッパーは、ねじりコイルばねを爪部7に取り付けているボルトを中心に回動可能で、径方向外側に延びる突出状態と、軸方向に延びる係止状態を有する。
【0024】
係止状態のストッパーは、対となる継手本体2が、連結部5に連結されるとき、ストッパーが設けられている継手本体2の爪部7と、当該ストッパーに隣接する対となる継手本体2の爪部との間に配置され、これら爪部が互いに周方向に移動することを防ぐことができる。
【0025】
ホース取付部4は、軸方向端部が軸方向中間部に比べて径大となることができ、さらに、ホースが滑り動くことを抑制するための凸部6を有している。凸部6は、ホース取付部4の径方向外側に突出し、周方向に沿って延びている。ホースは、ホース取付部4に径方向外側から被さった状態で取り付けられる。すなわち、ホースの内部に、ホース取付部4が挿入される。ホースは、複数のセグメント3によって、ホース取付部4に固定される。図1~3の例では、3つのセグメント3a,3b,3cを周方向に連結することにより、一つの円環を構成する。
【0026】
3つのセグメント3a,3b,3cは、それぞれ中心角が120度の円弧形状で、金属材料により形成される剛性の高い部材である。セグメント3a,3b,3cの軸方向の幅は、特に限定されるものではないが好ましくは50~105mm、より好ましくは55~100mmであるとよい。セグメント3a,3b,3cの径方向の高さは、特に限定されるものではないが好ましくは35~55mm、より好ましくは40~50mmであるとよい。また、各セグメント3a,3b,3cを繋いでボルト10により締結するための締結部11が設けられている。締結部11は、セグメント3a,3b,3cの外周面における周方向端部に配置され、外周面から径方向内側に凹む凹形状であり、該凹形状の内側には、周方向に貫通する貫通穴が形成されている。なお、セグメント3a,3b,3cの軸方向の幅が広いとき、一つの締結部11が2以上の貫通孔を有し、2組以上のボルトナットで締結してもよい。
【0027】
例えば、セグメント3aの一方の周方向端部の締結部11と、セグメント3bの一方の周方向端部の締結部11とが締結される。詳細には、各締結部11の貫通穴にボルト10を貫通させナットで締め付けることにより、セグメント3aの締結部11とセグメント3bの締結部11が、締結される。同様に、セグメント3aとセグメント3cが締結され、セグメント3bとセグメント3cが締結される。各締結部11が締結されることにより、円環状のホース固定部材が構成される。このように複数のセグメントを周方向に連結して形成された円環の内径は、特に限定されるものではないが好ましくは280~410mm、より好ましくは290~400mmであるとよい。
【0028】
ホース固定部材は、複数のセグメント3a,3b,3cを、ホース取付部4の外周方向に連結することにより、ホース取付部4の外周とホース固定部材の内周の間に、ホースを固定するように構成される。このとき、複数のセグメント3a,3b,3cは、ホース取付部4の凸部6よりも連結部5に近い方に配置される。その後、各セグメント3a,3b,3cを繋ぐ締結部11のボルト10およびナットを締め付け、これにより、ホース固定部材の直径が小さくなる。その結果、ホース固定部材の内周が、ホース取付部4に取り付けられたホースを押圧することにより、ホースが、ホース取付部4に固定される。
【0029】
本実施形態において、セグメント3a,3b,3cは、それぞれの外周面にハンドル収容凹部12を有し、各ハンドル収容凹部12の内部に、2つハンドル部13が対として、起立可能に収容されている。ハンドル収容凹部12は、各セグメント3a,3b,3cの外周面に配置される。ハンドル収容凹部12の大きさは、各ハンドル部13を収容するとき、ハンドル収容凹部12の径方向外側にはみ出ない深さであればよく、またハンドル部13を起立させる操作および収容する操作が可能な幅(軸方向長さ)であればよい。
【0030】
各ハンドル収容凹部12の内部には、セグメント3の周方向に沿って延びる2つのハンドル部13が周方向に間隔をあけて取り付けられる。2つのハンドル部13のそれぞれは、互いに近接する周方向端部を中心として回動可能であり、その回動により径方向外側に起立状態となり、互いに当接して1つのハンドル対を構成する。ハンドル部13は、セグメントの周方向に沿って延びている金属製の部材であり、その周方向端部の軸部材14を中心に、回動可能に構成される。すなわち、ハンドル部13は、セグメント3の周方向に沿って延び、ハンドル収容凹部12の内部に収容される収容状態(図2(2))と、セグメント3に対して径方向に突出する起立状態(図2(3))との、2つの状態になることができる。軸部材14は、ハンドル収容凹部12の内部に取り付けられている。例えば、ベアリングを介して軸部材14が取り付けられる。
【0031】
図2(2)に示すように、収容状態のハンドル部13は、セグメント3の外周面よりも径方向の内側に配置されおり、外周面よりも径方向外側に突出しない状態が保持される。またハンドル収容凹部12の内部には、その壁面から軸方向に突出可能な係合部15(図3(1))が設けられている。また、ハンドル部13の係合部15に対向する側面には、貫通孔または凹部(図示せず)が設けられている。ハンドル部13がハンドル収容凹部12の内部に収容されるとき、係合部15が貫通孔または凹部に挿入され、ハンドル部13の収容状態が保持される。
【0032】
この例の係合部15は、軸方向に往復移動可能で、ハンドル収容凹部12の内壁面から突出する状態と、内壁面からから突出しない状態を有する。係合部15には、例えば、ボールプランジャー等が適用されてもよい。この場合、ハンドル部13の側面がボールプランジャーのボール(図示せず)に重なっているときは、ボールプランジャーのボールはハンドル収容凹部12の内壁面から突出していない状態となる。そのボールが貫通孔または凹部の開口に重なるとき、ボールはハンドル収容凹部12の内壁面から突出し、貫通孔または凹部に挿入され、その結果、ハンドル部13の収容状態が保持される。
【0033】
ハンドル部13は、軸部材14を中心に回動可能に構成されており、収容状態から、ハンドル部13の先端が径方向の外側に移動するように回動することができる。このとき、ハンドル部13の貫通孔または凹部は、ハンドル収容凹部12の内壁面に設けられた係合部15から外れる。すなわち、ハンドル部13を作業者が把持して回動させることにより、貫通孔または凹部と係合部15の係合が解除され、ハンドル部13は起立状態になることができる。1つのセグメント内で隣接するハンドル部13が起立状態のとき、それぞれの外面が互いに当接する。当接する外面は、ハンドル部13が収容状態のとき、径方向外側を臨む面であり、当接する部分には、滑り止めの凹凸を形成することができる。
【0034】
1つのセグメント内で隣接するハンドル部13が回動すると、それぞれのハンドル部13の先端が径方向外側に向かう方向に回動し、2つのハンドル部13の先端が互いに近づき、外面が互いに当接する。起立状態のハンドル部13が対をなしてハンドル対を構成する。ハンドル対は、作業者が把持して締め付け力(回転力)を作用させることが可能にする。ハンドル対が、セグメント3の外周面から起立(突出)する長さは、好ましくは100~125mm、より好ましくは105~120mmであるとよい。このようなハンドル対の長さを確保することにより、良好な操作性を確保することができる。
【0035】
対となる継手本体2の連結作業について説明する。継手本体2のホース取付部4には、複数のセグメント3によってホースが取り付けられており、対となる継手本体2のホース取付部にも、複数のセグメント3によって別のホースが取り付けられている。それぞれの継手本体2の各セグメント3a,3b,3cのハンドル部13は、全て収容状態である。先ず、それぞれの継手本体2のセグメント3a,3bのハンドル部13を起立状態にして、2つのハンドル対を構成する。このとき、継手本体2のセグメント3aのハンドル対とセグメント3bのハンドル対は、互いに120度又はそれに近い角度をなす周方向位置で、径方向に突出している。また、このとき、対となる継手本体2のそれぞれの係止機構のストッパーは、係止状態である。
【0036】
一方の作業者は、継手本体2の2方向に突出する2つのハンドル対を把持する。他方の作業者は、他方の継手本体2の2つのハンドル対を把持する。次に、継手本体2の連結部5と、他方の継手本体2の連結部5を対向配置させる。このとき、継手本体2の係止機構と、他方の継手本体2の係止機構が対応するように配置する。その後、他方の継手本体2の連結部5における爪部7を、継手本体2の隣接する爪部7の間の間隙Sに軸方向に挿入する。このとき、継手本体2の突出部9の軸方向先端面と、他方の継手本体2の軸方向先端面が当接し、継手本体2の突出部9は、他方の継手本体2の溝部8の入口付近に配置され、同様に、他方の継手本体2の突出部9は、継手本体2の溝部8の入口付近に配置される。
【0037】
また、他方の継手本体2の連結部5における爪部7を、継手本体2の隣接する爪部7の間の間隙Sに軸方向に挿入すると、継手本体2のストッパーの軸方向先端面は、爪部7に軸方向に押圧され、起立状態になる。同様に、他方の継手本体2のストッパーの軸方向先端面は、継手本体2の爪部7に軸方向に押圧され、起立状態になる。
【0038】
この状態から、継手本体2および他方の継手本体2を互いに反対方向に回転させる。なお、一方の、継手本体2を固定しておいて、他方の継手本体2を回転させてもよい。回転方向は、継手本体2の突出部9が、他方の継手本体2の溝部8に入り込む方向である。このように回転させることにより、他方の継手本体2の突出部9も、継手本体2の溝部8に入り込む方向に移動する。
【0039】
継手本体2のハンドル対および対となる継手本体2のハンドル対が作業者によって把持され回転させることにより、周方向に締め付けられる。例えば、他方の継手本体2の溝部の内部に挿入される継手本体2の突出部9は、他方の継手本体2の溝部8の内部おいて対向する先端側面と根本側面との距離が小さくなる位置で、嵌合状態となる。同様に、継手本体2の溝部8の内部に挿入される他方の継手本体2の突出部9は、継手本体2の溝部8の内部おいて対向する先端側面と根本側面との距離が小さくなる位置で、嵌合状態となる。
【0040】
嵌合状態になると、ストッパーは、ねじりコイルばねの弾性力により回動され、継手本体2の爪部7とこれに隣接する他方の継手本体2の爪部7との間に入り込み、再び係止状態になる。ストッパーが係止状態になることにより、爪部7の相対位置が固定される。
【0041】
このように、溝部と、対応する突出部が嵌合することにより、対となる継手本体2が互いに連結され、1つのホースと他のホースが、流体が流通可能な状態で連結される。
【0042】
本実施形態のホース連結金具によれば、2本のホースを連結するときに、別途準備されているスパナ等の締結用工具を用いることなく、効率よく、より短時間で連結作業を行うことが可能となる。また、連結されたホース連結金具を解除するとき、上述した手順と逆の操作により行うことができる。
【0043】
ホース連結金具は、一般的には、それぞれのホースに、常時取り付けられている。ハンドル13は、起立状態でないとき、すなわち、ハンドル収容凹部12内の収容状態では、周方向に延びた状態で固定されている。そのため、ホースの連結作業を行わないときに、ハンドル13が他の作業時に邪魔になることはない。また、ハンドル13が他の部材に干渉することもないので、ホースをより安全な状態で使用することが可能となる。また、ハンドル部13を、セグメントのハンドル収容凹部12内に設けているので、ホース連結金具の重さを低減することができる。
【0044】
上記実施形態の説明は、本発明を説明するための例示であって、本発明を限定するものではない。また、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、本発明の作用を損なわない範囲で種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では、セグメントが120度毎に等間隔に配置されているが、これに限らない。例えば90度ごとに4つのセグメントを配置してもよい。また、セグメントの配置角度を異ならせてもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、継手本体2の2つのハンドル対を一方の作業者が把持し、他方の継手本体2の2つのハンドル対を他方の作業者が把持しているが、これに限らない。外径の小さいホースを連結する場合には、1人の作業者で、連結作業を行うこともできる。例えば、継手本体2において、セグメント3aの2つのハンドル部13を起立状態にして1つのハンドル対を構成し、他方の継手本体2も1つのハンドル対を構成し、1人の作業者が各ハンドル対を把持して締め付け作業を行えばよい。
【符号の説明】
【0046】
1 ホース連結金具
2 継手本体
3(3a,3b,3c) セグメント
4 ホース取付部
5 連結部
6 凸部
7 爪部
8 溝部
9 突出部
10 ボルト
11 締結部
12 ハンドル収容凹部
13 ハンドル部
14 軸部材
15 係合部
図1
図2
図3