(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077409
(43)【公開日】2022-05-23
(54)【発明の名称】ウイルス用の粉末漂白剤組成物及びウイルス用の粉末漂白剤製品
(51)【国際特許分類】
C11D 3/395 20060101AFI20220516BHJP
C11D 1/24 20060101ALI20220516BHJP
C11D 1/04 20060101ALI20220516BHJP
C11D 17/06 20060101ALI20220516BHJP
C11D 17/04 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
C11D3/395
C11D1/24
C11D1/04
C11D17/06
C11D17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020188262
(22)【出願日】2020-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】秦 雄亮
(72)【発明者】
【氏名】菊地 由希子
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB03
4H003AB18
4H003AC08
4H003BA09
4H003BA21
4H003CA20
4H003DA01
4H003DB01
4H003EA16
4H003EE05
4H003FA04
4H003FA26
4H003FA34
(57)【要約】
【課題】ウイルスの除去により優れるウイルス用の粉末漂白剤組成物及びウイルス用の粉末漂白剤製品。
【解決手段】(A)成分:水に溶解して過酸化水素を発生する過酸化物と、(B)成分:下記式(I)で表される化合物及び下記式(II)で表される化合物からなる群より選ばれる1以上の化合物と、(C)成分:無機アルカリ剤と、を、含有し、前記(B)成分の含有量が、総質量に対して3~20質量%である、ウイルス用の粉末漂白剤組成物。
[化1]
[式(I)中、R
10は、炭素数7~13のアルキル基又はアルケニル基であり、M
1は、水素原子又は塩形成カチオンである。式(II)中、R
20は、炭素数7~13のアルキル基又はアルケニル基であり、M
2は、水素原子又は塩形成カチオンである。]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:水に溶解して過酸化水素を発生する過酸化物と、
(B)成分:下記式(I)で表される化合物及び下記式(II)で表される化合物からなる群より選ばれる1以上の化合物と、
(C)成分:無機アルカリ剤と、
を、含有し、
前記(B)成分の含有量が、総質量に対して3~20質量%である、ウイルス用の粉末漂白剤組成物。
【化1】
[式(I)中、R
10は、炭素数7~13のアルキル基又はアルケニル基であり、M
1は、水素原子又は塩形成カチオンである。式(II)中、R
20は、炭素数7~13のアルキル基又はアルケニル基であり、M
2は、水素原子又は塩形成カチオンである。]
【請求項2】
インフルエンザウイルス用又はネコカリシウイルス用である、請求項1に記載のウイルス用の粉末漂白剤組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の粉末漂白剤組成物が、プラスチック容器に収容されてなる、ウイルス用の粉末漂白剤製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルス用の粉末漂白剤組成物及びウイルス用の粉末漂白剤製品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、一年を通してウイルスの感染が問題となっている。ウイルスを除去したつもりでも、完全に除去しきれなかったウイルスが空気中に漂い、活性が残っているウイルスに感染する場合がある。
例えば、ノロウイルス等では、吐瀉物からの二次感染によって感染性胃腸炎を発症することがある。
【0003】
家庭においては、ノロウイルスの感染を防止するため、手洗いに加えて、繊維製品におけるウイルス除去やウイルス不活化を図ることも有効である。
例えば、特許文献1には、水に溶解して過酸化水素を発生する化合物と、特定の構造を有する漂白活性化剤と、無機アルカリ剤とを含有する処理液を、繊維製品に接触させて、繊維に付着したウイルスを除去するウイルス除去方法が提案されている。特許文献1の発明によれば、塩素系漂白剤を用いることなく、吐瀉物で汚染した繊維製品に付着したウイルスの不活化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年のウイルス感染症においては、ノロウイルス等のノンエンベロープ型ウイルスの他、インフルエンザウイルス等のエンベロープ型のウイルスにも効果を奏する粉末漂白剤組成物が求められている。
【0006】
そこで、本発明は、ウイルスの除去により優れるウイルス用の粉末漂白剤組成物及びウイルス用の粉末漂白剤製品を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の態様を有する。
[1](A)成分:水に溶解して過酸化水素を発生する過酸化物と、
(B)成分:下記式(I)で表される化合物及び下記式(II)で表される化合物からなる群より選ばれる1以上の化合物と、
(C)成分:無機アルカリ剤と、
を、含有し、
前記(B)成分の含有量が、総質量に対して3~20質量%である、ウイルス用の粉末漂白剤組成物。
【化1】
[式(I)中、R
10は、炭素数7~13のアルキル基又はアルケニル基であり、M
1は、水素原子又は塩形成カチオンである。式(II)中、R
20は、炭素数7~13のアルキル基又はアルケニル基であり、M
2は、水素原子又は塩形成カチオンである。]
[2]前記(A)成分が、被覆過炭酸ナトリウムであり、前記被覆過炭酸ナトリウムの平均粒子径が200~1000μmである、[1]に記載のウイルス用の粉末漂白剤組成物。
[3]前記(B)成分が、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、デカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム及びデカノイルオキシ安息香酸からなる群より選ばれる1種以上である、[1]又は[2]に記載のウイルス用の粉末漂白剤組成物。
[4]前記(C)成分が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、結晶性層状ケイ酸ナトリウム及び非結晶性ケイ酸ナトリウムからなる群より選ばれる1種以上である、[1]~[3]のいずれかに記載のウイルス用の粉末漂白剤組成物。
[5][前記(A)成分/前記(B)成分]で表される質量比が、1/1~80/3である、[1]~[4]のいずれかに記載のウイルス用の粉末漂白剤組成物。
[6][前記(A)成分/前記(C)成分]で表される質量比が、1/4~4/1である、[1]~[5]のいずれかに記載のウイルス用の粉末漂白剤組成物。
[7]インフルエンザウイルス用又はネコカリシウイルス用である、[1]~[6]のいずれかに記載のウイルス用の粉末漂白剤組成物。
[8][1]~[7]のいずれかに記載のウイルス用の粉末漂白剤組成物を水に溶解して洗液とし、前記洗液に繊維製品を浸漬する、ウイルス用の粉末漂白剤組成物の使用方法。
[9][1]~[7]のいずれかに記載のウイルス用の粉末漂白剤組成物が、プラスチック容器に収容されてなる、ウイルス用の粉末漂白剤製品。
【発明の効果】
【0008】
本発明のウイルス用の粉末漂白剤組成物によれば、ウイルスの除去により優れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るプラスチック容器の斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るプラスチック容器の斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るプラスチック容器の斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る計量具収納体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
≪粉末漂白剤組成物≫
本発明のウイルス用の粉末漂白剤組成物(以下、単に「粉末漂白剤組成物」ともいう。)は、(A)成分と(B)成分と(C)成分とを含有する粒状(粉末)の組成物である。
【0011】
<(A)成分>
(A)成分は、水に溶解して過酸化水素を発生する過酸化物である。本実施形態の粉末漂白剤組成物は、(A)成分を含有することで、充分なウイルス除去の効果が得られる。
(A)成分としては、例えば、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム・3水和物等の過酸化物が挙げられる。(A)成分としては、水に対する溶解性の点から、過炭酸ナトリウムが好ましい。
(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0012】
(A)成分の含有量は、粉末漂白剤組成物の総質量に対して、20~80質量%が好ましく、30~70質量%がより好ましく、40~60質量%がさらに好ましい。(A)成分の含有量が上記下限値以上であると、ウイルス除去の効果をより高められる。(A)成分の含有量が上記上限値以下であると、繊維製品をより痛めにくい。
【0013】
(A)成分として過炭酸ナトリウムを用いる場合、経時安定性を改善するため、ホウ酸水溶液とケイ酸アルカリ金属塩水溶液を噴霧して用いることが好ましい(特許第2918991号公報参照)。あるいは、非危険物化のために種々の無機物と造粒した被覆過炭酸ナトリウムを用いることが好ましい。
被覆過炭酸ナトリウムの平均粒子径は、200~1000μmが好ましく、300~800μmがより好ましい。溶解性及び安定性の両方を満たすため、粒子径149μm以下の粒子と、1190μm以上の粒子と、の合計が粒子全体の10質量%以下であることが好ましい。ここでの平均粒子径は、以下の分級操作を用いた測定方法により求められる、質量基準のメジアン径である。
【0014】
[平均粒子径の測定方法]
まず、測定対象物(サンプル)について、目開き1680μm、1410μm、1190μm、1000μm、710μm、500μm、350μm、250μm、149μmの9段の篩と受け皿とを用いて分級操作を行う。分級操作は、受け皿の上方に該9段の篩を、上に向かって目開きが次第に大きくなるように積み重ね、最上部の目開き1680μmの篩の上に100g/回のサンプルを入れる。
次いで、蓋をしてロータップ型篩い振盪機(株式会社飯田製作所製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、10分間振動させた後、それぞれの篩及び受け皿上に残留したサンプルをそれぞれ回収し、サンプルの質量を測定する。
そして、受け皿と各篩との質量頻度(%)を算出する。積算の質量頻度が50%以上となる最初の篩の目開きを「a(μm)」とし、a(μm)よりも一段大きい篩の目開きを「b(μm)」とし、受け皿からa(μm)の篩までの質量頻度の積算値を「c(%)」、また、a(μm)の篩上の質量頻度を「d(%)」とし、下記(1)式により平均粒子径(50質量%粒径)を求め、これをサンプルの平均粒子径とする。
【0015】
【0016】
<(B)成分>
(B)成分は、下記式(I)で表される化合物及び下記式(II)で表される化合物からなる群より選ばれる1以上の化合物である。(B)成分は、漂白活性化剤であって、過酸化水素と反応して有機過酸を発生する有機過酸前駆体である。本実施形態の粉末漂白剤組成物は、(B)成分を含有することで、(A)成分との相乗効果により、ウイルス除去の効果をより高められる。
【0017】
【0018】
式(I)中、R10は、炭素数7~13のアルキル基又はアルケニル基であり、M1は、水素原子又は塩形成カチオンである。式(II)中、R20は、炭素数7~13のアルキル基又はアルケニル基であり、M2は、水素原子又は塩形成カチオンである。
【0019】
式(I)、(II)中、R10及びR20の炭素数は、それぞれ、7~13であり、7~11が好ましく、9~11がより好ましい。
R10及びR20におけるアルキル基、アルケニル基は、それぞれ、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
M1及びM2における塩形成カチオンは、-SO3
-及び-COO-を電気的に中和する陽イオンである。塩形成カチオンとしては、例えば、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アミン類(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等)のカチオン等が挙げられる。
【0020】
式(I)で表される化合物としては、例えば、オクタノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、デカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ウンデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中でも、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、デカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
【0021】
式(II)で表される化合物としては、例えば、オクタノイルオキシ安息香酸、ノナノイルオキシ安息香酸、デカノイルオキシ安息香酸、ウンデカノイルオキシ安息香酸、ドデカノイルオキシ安息香酸等が挙げられる。これらの中でも、デカノイルオキシ安息香酸が好ましい。
【0022】
(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(B)成分としては、式(I)で表される化合物を用いることが好ましい。中でも、(B)成分としては、4-ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、4-ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、4-デカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム及び4-デカノイルオキシ安息香酸からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、4-ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムが特に好ましい。
【0023】
(B)成分の含有量は、粉末漂白剤組成物の総質量に対して、3~20質量%であり、5~18質量%が好ましく、6~15質量%がより好ましい。(B)成分の含有量が上記下限値以上であると、ウイルス除去の効果をより高められる。(B)成分の含有量が上記上限値以下であると、必要以上の(B)成分の添加を抑制でき、コスト面で優れる。
【0024】
(A)成分と(B)成分との合計量((A)成分の含有量と(B)成分の含有量との合計)は、粉末漂白剤組成物の総質量に対して、25~80質量%が好ましく、35~70質量%がより好ましく、45~65質量%がさらに好ましい。(A)成分と(B)成分との合計量が上記下限値以上であると、ウイルス除去の効果をより高められる。(A)成分と(B)成分との合計量が上記上限値以下であると、粉末漂白剤組成物の分散液(洗液)のpHをより高められる。
【0025】
(A)成分/(B)成分で表される質量比(以下、「(A)/(B)比」ともいう。)は、1/1~80/3が好ましく、5/3~14/1がより好ましく、8/3~10/1がさらに好ましい。(A)/(B)比が上記数値範囲内であると、ウイルス除去の効果がより向上する。
本明細書において、「ウイルス除去」とは、対象物に付着している感染可能なウイルスの数(感染価)を低下させることをいう。
【0026】
<(C)成分>
(C)成分は、無機アルカリ剤である。無機アルカリ剤は、水に溶けてアルカリ性を示す無機化合物である。本実施形態の粉末漂白剤組成物は、(C)成分を含有することで、粉末漂白剤組成物を水に溶解した洗液のpHを高められる。このため、酸性の吐瀉物で繊維製品が汚染した場合の、繊維に付着したウイルスに対する除去の効果をより高められる。
【0027】
(C)成分としては、公知のものを用いることができ、炭酸塩、重炭酸塩(炭酸水素塩)、ケイ酸塩等が挙げられる。
(C)成分の塩としては、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン等が挙げられ、アルカリ金属イオンが好ましい。
炭酸塩の具体例としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カリウムナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム等が挙げられる。
重炭酸塩の具体例としては、例えば、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。
ケイ酸塩の具体例としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、結晶性層状ケイ酸ナトリウム、非結晶性ケイ酸ナトリウム等が挙げられる。
(C)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
(C)成分としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、結晶性層状ケイ酸ナトリウム及び非結晶性ケイ酸ナトリウムからなる群より選ばれる1種以上が好ましく、炭酸ナトリウムが特に好ましい。
(C)成分の含有量は、粉末漂白剤組成物の総質量に対して、20~80質量%が好ましく、25~70質量%がより好ましく、30~60質量%がさらに好ましい。(C)成分の含有量が上記下限値以上であると、ウイルス除去の効果をより高められる。(C)成分の含有量が上記上限値以下であると、洗液のpHが高くなり過ぎることを抑制できる。
(C)成分は、高分子化合物(アクリル酸-無水マレイン酸共重合体又はその塩等)や、脂肪酸(ラウリン酸等)等で被覆されたものを用いてもよい。
【0029】
(A)成分/(C)成分で表される質量比(以下、「(A)/(C)比」ともいう。)は、1/4~4/1が好ましく、3/7~14/5がより好ましく、2/3~2/1がさらに好ましい。(A)/(C)比が上記数値範囲内であると、ウイルス除去の効果がより向上する。
【0030】
本実施形態の粉末漂白剤組成物(「漂白剤」ともいう。)の平均粒子径は、180~1500μmが好ましく、200~1200μmがより好ましく、300~1000μmがさらに好ましい。粉末漂白剤組成物の平均粒子径が上記下限値以上であると、ケーキングの発生を抑制しやすい。粉末漂白剤組成物の平均粒子径が上記上限値以下であると、溶解性をより良好にできる。
なお、「ケーキング」とは、漂白剤の粒子(粉末)が凝集して塊状になることをいう。ケーキングは、漂白剤の粒子に大気中の水分が付着することで起こる。ケーキングが起こると、粉末漂白剤組成物の使用性が低下するだけではなく、見栄えも低下し、製品として出荷できなくなる場合がある。このため、粉末漂白剤組成物は、ケーキングの発生を抑制することが好ましい。
粉末漂白剤組成物の平均粒子径は、前述の分級操作を用いた測定方法により求められる、質量基準のメジアン径である。
【0031】
<任意成分>
本実施形態の粉末漂白剤組成物は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分以外のその他の成分(任意成分)を含有してもよい。
任意成分としては、従来公知の衣料用洗剤に使用可能な成分、例えば、界面活性剤、洗浄性ビルダー、蛍光増白剤、酵素、酵素安定剤、ポリマー類、ケーキング防止剤、消泡剤、還元剤、金属イオン捕捉剤、pH調整剤、香料、色素等が挙げられる。
【0032】
(界面活性剤)
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
粉末漂白剤組成物が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量は、粉末漂白剤組成物の総質量に対して、0.1~20質量%が好ましく、0.3~10質量%がより好ましい。
【0033】
アニオン界面活性剤としては、例えば、以下に示すものが挙げられる。
(1)α-スルホ脂肪酸のメチルエステル、エチルエステルもしくはプロピルエステル(α-SF又はMES)塩。α-スルホ脂肪酸アルキルエステル塩としては、その種類は特に制限されず、一般の粒状洗剤に使用されるα-スルホ脂肪酸アルキルエステル塩のいずれも好適に使用することができる。α-スルホ脂肪酸アルキルエステル塩として好適なものを以下に例示する。
【0034】
【化3】
[(III)式中、R
01は、炭素数8~20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基である。R
02は、炭素数1~6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基である。Mは、塩形成カチオンである。]
【0035】
(III)式中、R01は、炭素数8~20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は、炭素数8~20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基である。R01の炭素数は、8~20であり、10~18が好ましく、14~16がより好ましい。
(III)式中、R02は、炭素数1~6の直鎖状のアルキル基、又は、炭素数1~6の分岐鎖状のアルキル基である。R02の炭素数は、1~6であり、1~3が好ましい。R02としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられ、洗浄力がより向上することから、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
(III)式中、Mは、塩形成カチオンであり、-SO3
-を電気的に中和する陽イオンである。Mとしては、例えば、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)イオン、アンモニウムイオン、アミン類(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)のカチオン等が挙げられ、アルカリ金属イオンが好ましい。
【0036】
アニオン界面活性剤としては、他に、以下に示すものが挙げられる。
(2)脂肪酸の平均炭素数が10~20の高級脂肪酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩。
(3)炭素数8~18のアルキル基を有する直鎖状又は分岐鎖状のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS又はABS)塩。
(4)炭素数10~20のアルカンスルホン酸塩。
(5)炭素数10~20のα-オレフィンスルホン酸塩(AOS)。
(6)炭素数10~20のアルキル硫酸塩又はアルケニル硫酸塩(AS)。
(7)炭素数2~4のアルキレンオキシドのいずれか、又はエチレンオキシド(EO)とプロピレンオキシド(PO)(モル比EO/PO=0.1/9.9~9.9/0.1)を、平均0.5~10モル付加した炭素数10~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸塩(AES)。
(8)炭素数2~4のアルキレンオキシドのいずれか、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシド(モル比EO/PO=0.1/9.9~9.9/0.1)を、平均3~30モル付加した炭素数10~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル硫酸塩。
(9)炭素数2~4のアルキレンオキシドのいずれか、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシド(モル比EO/PO=0.1/9.9~9.9/0.1)を、平均0.5~10モル付加した炭素数10~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)エーテルカルボン酸塩。
(10)炭素数10~20のアルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩等のアルキル多価アルコールエーテル硫酸塩。
(11)長鎖モノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキルリン酸塩。
(12)ポリオキシエチレンモノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキルリン酸塩。
(13)内部オレフィンスルホン酸又はその塩(IOS)。
(14)ヒドロキシアルカンスルホン酸又はその塩(HAS)。
上記の例示の中でも、好ましいアニオン界面活性剤としては、α-スルホ脂肪酸アルキルエステル塩(MES)、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩又はカリウム塩)、AOS、AESのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩又はカリウム塩)、高級脂肪酸のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩又はカリウム塩)が挙げられる。これらの中でも、炭素数14~16のアルキル基を有するMES、炭素数10~14のアルキル基を有するLAS塩、炭素数10~20の高級脂肪酸塩が特に好ましい。
これらのアニオン界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】
ノニオン界面活性剤としては、例えば、以下に示すものが挙げられる。
(1)下記式(d-1)で表されるポリオキシエチレン(又はアルケニル)アルキルエーテル。
R1-X-[(EO)s/(PO)t]-(EO)u-R2 ・・・(d-1)
式(d-1)において、R1は、炭素数6~22の炭化水素基、-X-は、-O-、EOは、オキシエチレン基、POは、オキシプロピレン基、R2は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基を表す。sは、EOの平均繰り返し数を示す3~30の数、tは、POの平均繰り返し数を示す0~6の数、uは、EOの平均繰り返し数を示す0~20の数であり、s+uは3~30の数である。
EOとPOを有する場合の分布(配列順)に特に限定はなく、ブロック状に配列していてもよく、ランダム状に配列していてもよい。
この中でも、ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテルが好適である。ここで使用される脂肪族アルコールとしては、第1級アルコール、第2級アルコールが挙げられる。また、そのアルキル基は、分岐鎖を有していてもよい。脂肪族アルコールとしては、第1級アルコールが好ましい。s+uは、5~15の数が好ましい。
(2)ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル。
(3)長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキシドが付加した、例えば、下記式(IV)で表される脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート。
R03CO(OR05)nOR04 ・・・(IV)
[(IV)式中、R03COは、炭素数5~21、好ましくは7~17の脂肪酸残基を示す。OR05は、オキシエチレン基、オキシプロピレン基等の炭素数2~4、好ましくは2又は3のオキシアルキレン基を示す。nは、オキシアルキレン基の平均繰返し数を示し、3~30、好ましくは5~20の数である。R04は、炭素数1~3の置換基を有してもよいアルキル基を示す。]
(4)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル。
(5)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル。
(6)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル。
(7)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油。
(8)グリセリン脂肪酸エステル。
【0038】
上記の例示の中でも、ノニオン界面活性剤としては、(1)のノニオン界面活性剤が好ましい。その中でも、炭素数12~16の脂肪族アルコールに、炭素数2~4のアルキレンオキシドを平均5~20モル付加したポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテルが好ましい。融点が50℃以下で、HLBが9~16のポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキシドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシレート、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキシドとプロピレンオキシドとが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシプロポキシレート等が特に好ましい。
これらのノニオン界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、ノニオン界面活性剤のHLBとは、Griffinの方法により求められた値である(吉田、進藤、大垣、山中共編、「新版界面活性剤ハンドブック」、工業図書株式会社、1991年、第234頁参照)。融点とは、JIS K0064-1992「化学製品の融点及び溶融範囲測定方法」に記載の融点測定法によって測定された値を示す。
【0039】
カチオン界面活性剤としては、例えば、以下に示すものが挙げられる。
(1)ジ長鎖アルキルジ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
(2)モノ長鎖アルキルトリ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
(3)トリ長鎖アルキルモノ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
ただし、上記の「長鎖アルキル」は、炭素数12~26、好ましくは14~18のアルキル基を示す。
「短鎖アルキル」は、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基等の置換基を包含し、炭素間にエーテル結合を有していてもよいアルキル基を示す。中でも、炭素数1~4、好ましくは1~2のアルキル基;ベンジル基;炭素数2~4、好ましくは2~3のヒドロキシアルキル基;炭素数2~4、好ましくは2~3のポリオキシアルキレン基等が好適なものとして挙げられる。
【0040】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系の両性界面活性、アミドベタイン系の両性界面活性剤等を挙げられる。具体的には、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタインが好適なものとして挙げられる。
【0041】
(洗浄性ビルダー)
洗浄性ビルダーとしては、無機ビルダー(ただし、(C)成分を除く)、有機ビルダーが挙げられる。
無機ビルダーとしては、例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等のアルカリ金属硫酸塩;塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩化物;結晶性アルミノ珪酸塩、無定形アルミノ珪酸塩等が挙げられる。
これらの中で好ましいものとしては、[1]20℃における水分含量が10~30質量%、[2]SiO2/Al2O3=1~2、及び[3]1次粒子径が3.0μm以下の合成アルミノ珪酸塩であり、特に、平均一次粒子径0.5~3μmの合成ゼオライトが性能や製造性の面から好適である。
ゼオライトは、粉末、ゼオライトスラリー、スラリーを乾燥して得られるゼオライト凝集乾燥粒子として用いてもよい。具体的には、「シルトンB」(水澤化学工業株式会社製)、「トヨビルダー」(東ソー株式会社製)等が挙げられる。また、合成アルミノ珪酸塩のJIS K 5101法による吸油能の値は、40~50mL/100gであることが好ましい。
【0042】
有機ビルダーとしては、例えば、ニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩、β-アラニンジ酢酸塩、アスパラギン酸ジ酢酸塩、メチルグリシンジ酢酸塩、イミノジコハク酸塩等のアミノカルボン酸塩;セリンジ酢酸塩、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩、ジヒドロキシエチルグリシン塩等のヒドロキシアミノカルボン酸塩;ヒドロキシ酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩等のヒドロキシカルボン酸塩;ピロメリット酸塩、ベンゾポリカルボン酸塩、シクロペンタンテトラカルボン酸塩等のシクロカルボン酸塩;カルボキシメチルタルトロネート、カルボキシメチルオキシサクシネート、オキシジサクシネート、酒石酸モノ又はジサクシネート等のエーテルカルボン酸塩;ポリアクリル酸塩、アクリル酸-アリルアルコール共重合体の塩、アクリル酸-マレイン酸共重合体の塩、ポリグリオキシル酸等のポリアセタールカルボン酸の塩;ヒドロキシアクリル酸重合体、多糖類-アクリル酸共重合体等のアクリル酸重合体又は共重合体の塩;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、テトラメチレン1,2-ジカルボン酸、コハク酸、アスパラギン酸等の重合体又は共重合体の塩;デンプン、セルロース、アミロース、ペクチン等の多糖類酸化物等の多糖類誘導体等が挙げられる。
有機ビルダーとしては、上記の中でも、クエン酸塩、アミノカルボン酸塩、ヒドロキシアミノカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、アクリル酸-マレイン酸共重合体の塩、ポリアセタールカルボン酸の塩が好ましい。特に、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、重量平均分子量が1000~80000のアクリル酸-マレイン酸共重合体の塩、ポリアクリル酸塩、重量平均分子量が800~1000000(好ましくは5000~200000)のポリグリオキシル酸等のポリアセタールカルボン酸塩(例えば、特開昭54-52196号公報に記載のもの)が好適である。
洗浄性ビルダーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
洗浄力、洗濯液中での汚れ分散性を改善する目的から、ポリアクリル酸塩、アクリル酸-マレイン酸共重合体塩等の有機ビルダーと、ゼオライト等の無機ビルダーと、を併用することが好ましい。
【0043】
(蛍光増白剤)
蛍光増白剤としては、例えば、4,4’-ビス-(2-スルホスチリル)-ビフェニル塩、4,4’-ビス-(4-クロロ-3-スルホスチリル)-ビフェニル塩、2-(スチリルフェニル)ナフトチアゾール誘導体、4,4’-ビス(トリアゾール-2-イル)スチルベン誘導体、ビス-(トリアジニルアミノスチルベン)ジスルホン酸誘導体等が挙げられる。
市販の蛍光増白剤としては、例えば、ホワイテックスSA、ホワイテックスSKC(以上、商品名;住友化学株式会社製)、チノパールAMS-GX、チノパールDBS-X、チノパールCBS-X(以上、商品名;チバスペシャルティ・ケミカルズ社製)、Lemonite CBUS-3B(商品名;Khyati Chemicals社製)等が挙げられる。これらの中ではチノパールCBS-X、チノパールAMS-GXが好ましい。
蛍光増白剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
(酵素)
酵素としては、酵素の反応性から分類すると、ハイドロラーゼ類、オキシドレダクターゼ類、リアーゼ類、トランスフェラーゼ類、イソメラーゼ類が挙げられる。中でも、プロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、ヌクレアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、ペクチナーゼ等が好ましい。
【0045】
プロテアーゼとしては、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、コラーゲナーゼ、ケラチナーゼ、エラスターゼ、スプチリシン、パパイン、プロメリン、カルボキシペプチターゼA又はB、アミノペプチターゼ、アスパーギロペプチターゼA又はB等が挙げられる。プロテアーゼの市販品としては、サビナーゼ、アルカラーゼ、カンナーゼ、エバラーゼ、デオザイム、Medley(登録商標)Core210L(プロテアーゼとアミラーゼとの混合酵素)(以上、商品名;ノボザイムズ社製);API21(商品名;昭和電工株式会社製);マクサカル、マクサペム(以上、商品名;ジェネンコア社製);プロテアーゼK-14又はK-16(特開平5-25492号公報に記載のプロテアーゼ)等を挙げることができる。
エステラーゼとしては、ガストリックリパーゼ、バンクレアチックリパーゼ、植物リパーゼ類、ホスホリパーゼ類、コリンエステラーゼ類、ホスホターゼ類等が挙げられる。
リパーゼとしては、リポラーゼ、ライペックス(以上、商品名;ノボザイムズ社製)、リポサム(商品名;昭和電工株式会社製)等が挙げられる。
セルラーゼとしては、セルザイム(商品名;ノボザイムズ社製);アルカリセルラーゼK、アルカリセルラーゼK-344、アルカリセルラーゼK-534、アルカリセルラーゼK-539、アルカリセルラーゼK-577、アルカリセルラーゼK-425、アルカリセルラーゼK-521、アルカリセルラーゼK-580、アルカリセルラーゼK-588、アルカリセルラーゼK-597、アルカリセルラーゼK-522、CMCアーゼI、CMCアーゼII、アルカリセルラーゼE-II、アルカリセルラーゼE-III(以上、特開昭63-264699号公報に記載のセルラーゼ)等が挙げられる。
アミラーゼとしては、市販のステインザイム、ターマミル、デュラミル、Medley(登録商標)Core210L(プロテアーゼとアミラーゼとの混合酵素)(以上、商品名;ノボザイムズ社製)等を挙げることができる。
酵素は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、酵素は、別途安定な粒子として造粒したものを、洗剤生地(粒子)にドライブレンドした状態で使用することが好ましい。
【0046】
(酵素安定剤)
酵素安定剤としては、例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩、ポリオール、蟻酸、ホウ素化合物等が挙げられる。中でも、四ホウ酸ナトリウム、塩化カルシウム等が好ましい。
酵素安定剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0047】
(ポリマー類)
ポリマー類としては、平均分子量が200~200000のポリエチレングリコール、アクリル酸及びマレイン酸の重合体又は共重合体(重量平均分子量1000~100000)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。これらのポリマー類は、界面活性剤含有粒子を高密度化する場合におけるバインダーや粉末物性剤として、さらには疎水性微粒子に対する再汚染防止効果を付与する成分として、粉末漂白剤組成物に配合することができる。
また、汚れ放出剤として、テレフタル酸とエチレングリコール及びプロピレングリコール単位から選ばれる1種以上とのコポリマー又はターポリマー等を配合することができる。
また、色移り防止効果を付与するため、ポリビニルピロリドン等を配合することができる。
上記の中では、平均分子量1500~7000のポリエチレングリコールが好ましい。
これらのポリマー類は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0048】
(ケーキング防止剤)
ケーキング防止剤としては、例えば、パラトルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、酢酸塩、スルホコハク酸塩、タルク、微粉末シリカ、粘土、酸化マグネシウム等が挙げられる。
ケーキング防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0049】
(消泡剤)
消泡剤としては、従来から知られている、例えば、シリコーン系又はシリカ系のものが挙げられる。
消泡剤は、特開平3-186307号公報の第4頁左下欄に記載の方法を用いて製造した消泡剤造粒物としてもよい。具体的には、まず、日澱化学株式会社製マルトデキストリン(酵素変性デキストリン)100gに、消泡成分としてダウコーニング社製のシリコーン(コンパウンド型、PSアンチフォーム)20gを添加して混合し、均質混合物を得る。次に、得られた均質混合物50質量%、ポリエチレングリコール(PEG-6000,融点58℃)25質量%及び中性無水芒硝25質量%を70~80℃で混合した後、不二パウダル株式会社製の押出し造粒機(型式EXKS-1)により造粒し、造粒物を得る。
消泡剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0050】
(還元剤)
還元剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等が挙げられる。
【0051】
(金属イオン捕捉剤)
金属イオン捕捉剤は、水道水中の微量金属イオン等を捕捉し、金属イオンの繊維(被洗浄物)への吸着を抑制する効果を有する。
金属イオン捕捉剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、グリコールエチレンジアミン6酢酸等のアミノポリ酢酸類;1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、エタン-1,1-ジホスホン酸、エタン-1,1,2-トリホスホン酸、ヒドロキシエタン-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1,2-ジカルボキシ-1,2-ジホスホン酸、ヒドロキシメタンホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ニトリロトリ(メチレンホスホン酸)、2-ヒドロキシエチルイミノジ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等の有機ホスホン酸誘導体又はその塩;ジグリコール酸、酒石酸、シュウ酸、グルコン酸等の有機酸類、又はこれらの塩等が挙げられる。
金属イオン捕捉剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0052】
(香料)
香料とは、香料成分、溶剤、香料安定化剤等を含む混合物(香料組成物)である。
香料としては、例えば、「香料の化学(日本化学会編、赤星亮一著、昭和58年9月16日発行)」、「合成香料 化学と商品知識 化学工業日報社 1996年発行」等に記載されているものが挙げられる。香料として具体的には、特開2002-146399号公報に記載のもの、特開2003-89800号公報に記載のもの、特開2007-321270号公報における表5に記載の香料A~C、特開2009-155739号公報における表13に記載の香料組成物A、B等を用いることができる。また、カプセル香料を配合してもよい。
【0053】
(色素)
色素としては、染料、顔料のいずれも使用できる。保存安定性の点から、顔料が好ましく、酸化物等、耐酸化性を有する化合物が特に好ましい。かかる化合物としては、酸化チタン、酸化鉄、銅フタロシアニン、コバルトフタロシアニン、群青、紺青、シアニンブルー、シアニングリーン等が挙げられる。
色素は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0054】
(pH調整剤)
粉末漂白剤組成物を水に溶解した洗液のpHは無機アルカリ剤((C)成分)によって調整できる。しかし、本実施形態の粉末漂白剤組成物は、(C)成分の他、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等をpH調整剤として用いることができる。
また、洗液のpHが高くなりすぎることを防止するため、酸を用いることもできる。かかる酸としては、前記金属イオン捕捉剤、リン酸2水素カリウム等のアルカリ金属リン酸2水素塩、乳酸、コハク酸、リンゴ酸、グルコン酸、又はそれらのポリカルボン酸;炭酸水素ナトリウム、硫酸、塩酸等が挙げられる。
pH調整剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0055】
≪粉末漂白剤組成物の製造方法≫
本発明の粉末漂白剤組成物は、(A)成分と、(B)成分と、(C)成分と、必要に応じて任意成分とを、任意の割合で、任意の時間混合することにより得られる。粉末漂白剤組成物の製造方法は、(A)成分と、(B)成分と、(C)成分と、界面活性剤とを含む界面活性剤含有粒子として製造する方法でもよい。
【0056】
界面活性剤含有粒子は、例えば、以下のようにして製造できる。
まず、(C)成分をリボンミキサー等の粉体混合装置に投入し、50~80rpmで混合する。次に、予め加温しておいた界面活性剤を上記(C)成分に噴霧する。噴霧終了後、50~80rpmで3~10分間混合して、界面活性剤含侵無機粒子を得る。
加温する際の界面活性剤の温度は、50~80℃が好ましく、60~70℃がより好ましい。加温する際の界面活性剤の温度が上記数値範囲内であると、界面活性剤を均一に噴霧できる。
噴霧する際の界面活性剤の濃度は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%が最も好ましい。界面活性剤の濃度が上記下限値以上であると、界面活性剤が充分に付着した界面活性剤含侵無機粒子が得られる。
ここで、界面活性剤の濃度は、下記式(V)で求められる。
界面活性剤の濃度(質量%)=(界面活性剤の質量(g))/(界面活性剤の質量(g)+水の質量(g))×100 ・・・(V)
界面活性剤の濃度が100質量%であるとは、噴霧する際の界面活性剤が水分を含まないことを意味する。
【0057】
次に、界面活性剤含侵無機粒子を混合しながら、(A)成分を上記の粉体混合装置に投入し、50~80rpmで3~10分間混合する。
次に、得られた粒子を混合しながら、(B)成分を上記の粉体混合装置に投入し、50~80rpmで5~20分間混合して、界面活性剤含有粒子を得る。
【0058】
得られた界面活性剤含有粒子を50~80rpmで攪拌しながら、香料を噴霧する。香料の噴霧終了後、50~80rpmで5~20分間混合して、粉末漂白剤組成物を得る。
【0059】
本実施形態では、界面活性剤含侵無機粒子に、(A)成分を先に添加する場合について説明したが、(B)成分を先に添加してもよく、(A)成分と(B)成分とを同じタイミングで添加してもよい。
【0060】
≪粉末漂白剤組成物の使用方法≫
本実施形態の粉末漂白剤組成物の使用方法は、従来公知の漂白方法に従って行われる。漂白方法としては、例えば、粉末漂白剤組成物を水に溶解して洗液とし、この洗液に繊維製品を浸漬(つけ置き)したり、洗液を繊維製品に塗布したりして、任意の時間放置した後、水ですすぐ方法が挙げられる。あるいは、洗液を用いて、洗濯機で洗浄する方法が挙げられる。
【0061】
浸漬時間は、30分以上24時間以内が好ましい。
浸漬する際の浸漬液の温度は、10~50℃が好ましい。
本実施形態の粉末漂白剤組成物の使用方法は、他の洗浄剤と併用する使用方法でもよい。
例えば、上述した粉末漂白剤組成物(α)を、洗濯機で同時に水又は新たな洗浄剤(β)を含む洗浄液と接触させて洗浄処理を行う使用方法でもよい。
洗浄剤(β)は、液体でもよいし、粉末でもよい。洗浄剤(β)としては特に制限されず、公知の繊維製品用の洗浄剤を用いることができる。洗浄剤(β)としてはポリオキシエチレン脂肪酸メチルエステル(MEE)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE)を含む洗浄剤が好ましい。
洗浄剤(β)の市販品としては、例えば、ライオン社製の「トップ NANOX」、「トップクリアリキッド」;花王社製の「アタックZERO」、「アタック3X」;プロクター・アンド・ギャンブル社製の「アリエールイオンパワージェル」、「アリエールパワージェルボール」等が挙げられる。
【0062】
本明細書において、「繊維製品」としては、例えば、Yシャツ、Tシャツ、ポロシャツ、ブラウス、チノパン、スーツ、スラックス、スカート、テーブルクロス、ランチョンマット、カーテン、枕カバー、ソファー、シーツ、トイレマット等が挙げられる。
また、該繊維製品の素材については、特に限定されず、例えば、綿、ウール、麻等の天然繊維;ポリエステル、ナイロン、アクリル等の合成繊維;アセテート等の半合成繊維;レーヨン、テンセル、ポリノジック等の再生繊維、又はこれらの各種繊維の混紡品、混織品もしくは混編品等が挙げられる。
【0063】
<洗液>
本実施形態の洗液は、本実施形態の粉末漂白剤組成物を溶媒に溶解又は分散させることにより得られる。
【0064】
溶媒としては、調製しやすさ、使用する際の水への溶解性等の観点から、水を用いることが好ましい。
使用する水は、洗液の経時安定性の点から、水中に溶解している重金属等の金属イオンを除いたイオン交換水又は蒸留水を用いることが好ましい。
洗液中、水の含有割合は、洗液の総質量に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。水の含有割合が上記下限値以上であると、経時に伴う洗液の液安定性がより良好となる。
【0065】
溶媒としては、水以外に、水溶性溶剤を用いてもよい。ここでいう「水溶性溶剤」とは、任意の比率で水と混合して透明に混ざる有機溶媒をいう。
水溶性溶剤としては、例えば、エタノール、2-イソプロパノール等の炭素数2~3の1級アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の炭素数2~6のグリコール;グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等の炭素数3~8の多価アルコール等が挙げられる。これらの中でも、エタノール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましく、エタノールが特に好ましい。エタノールとこれ以外の水溶性溶剤との混合溶剤を用いることも好ましい。
エタノールとしては、10%安息香酸デナトリウム・アルコール溶液、又は、八アセチル化しょ糖もしくはブルシン等の「変性アルコールのアルコール事業法下での表記」(アルコール使用の手引き(第10版)[分割版2]アルコール使用許可申請マニュアル 平成24年8月 経済産業省)に記載されている変性剤を微量含んだエタノールを用いることが好ましい。
水溶性溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0066】
水溶性溶剤を用いる場合、洗液中の水溶性溶剤の含有割合は、洗液の総質量に対して、3~30質量%が好ましく、5~20質量%がより好ましく、7~15質量%がさらに好ましい。水溶性溶剤の含有割合が上記数値範囲内であると、溶解性、液安定性がより向上する。
水溶性溶剤は、水と併用することが好ましい。
【0067】
洗液の濃度は、0.02~5質量%(200~50000ppm)が好ましく、0.03~1質量%(300~10000ppm)がより好ましく、0.1~0.5質量%(1000~5000ppm)がさらに好ましい。洗液の濃度が上記下限値以上であると、充分なウイルス除去の効果が得られる。洗液の濃度が上記上限値以下であると、繊維製品の損傷を抑制できる。
ここで、「洗液の濃度」とは、洗液の総質量に対する粉末漂白剤組成物の質量を意味する。
【0068】
洗液のpHは、7~12が好ましく、8~11がより好ましい。洗液のpHが上記下限値以上であると、酸性の吐瀉物で繊維製品が汚染した場合の、繊維に付着したウイルスに対する除去の効果がより高まる。洗液のpHが上記上限値以下であると、手洗いをした場合の手荒れを抑制できる。
本明細書において、洗液のpHは、pH測定器(pHメーター:型番MH-41X、東亜ディーケーケー株式会社製)を用い、25℃で測定した場合の値を示す。
【0069】
洗液の粘度は、10mPa・s以下であることが好ましい。洗液の粘度が上記上限値以下であると、洗液を繊維製品の全体に接触させやすい。
本明細書において、洗液の粘度は、B型粘度計(トキメック社製)を用い、25℃で測定した場合の値を示す。
【0070】
洗液中の(A)成分の濃度は、質量基準で50ppm以上が好ましく、100~5000ppmがより好ましく、1000~4000ppmがさらに好ましく、1500~3000ppmが特に好ましい。洗液中の(A)成分の濃度が上記下限値以上であると、充分なウイルス除去の効果が得られる。
洗液中の(B)成分の濃度は、質量基準で5ppm以上が好ましく、10~600ppmがより好ましく、100~600ppmがさらに好ましく、200~500ppmが特に好ましい。洗液中の(B)成分の濃度が上記下限値以上であると、充分なウイルス除去の効果が得られる。
洗液中の(C)成分の濃度は、質量基準で50ppm以上が好ましく、100~5000ppmがより好ましく、500~4000ppmがさらに好ましく、1000~3000ppmが特に好ましい。洗液中の(C)成分の濃度が上記下限値以上であると、充分なウイルス除去の効果が得られる。
【0071】
本実施形態の粉末漂白剤組成物の対象となるウイルスとしては、エンベロープ型のウイルス、ノンエンベロープ型のウイルスが挙げられる。
エンベロープ型のウイルスとしては、インフルエンザウイルス、新型コロナウイルス(COVID-19)、風疹ウイルス等が挙げられる。
ノンエンベロープ型のウイルスとしては、ノロウイルス、ネコカリシウイルス、ポリオウイルス等が挙げられる。
充分なウイルス除去の効果が得られることから、本実施形態の粉末漂白剤組成物の対象となるウイルスとしては、インフルエンザウイルス、ネコカリシウイルスが好ましい。
【0072】
≪ウイルス用の粉末漂白剤製品≫
本発明のウイルス用の粉末漂白剤製品(以下、単に「粉末漂白剤製品」ともいう。)は、本発明のウイルス用の粉末漂白剤組成物が、プラスチック容器に収容されたものである。
【0073】
プラスチック容器としては、例えば、プラスチックフィルムからなる包装袋、プラスチックボトル等が挙げられる。プラスチック容器としては、ケーキングの発生をより抑制しやすい観点から、特開2003-105387号公報に記載のピラード容器、特開2012-82000号公報の
図1に記載の粉粒物用容器が好ましい。
本明細書において、「プラスチック容器」の材料には、プラスチックと金属との複合材料、プラスチックと紙との複合材料も含まれるものとする。
【0074】
ピラード容器は、プラスチック製の枠体と、枠体にはめ込まれた容器本体と、蓋体とを有する複合容器である。枠体、容器本体及び蓋体は、それぞれがプラスチック製であってもよいし、プラスチックと金属との複合材料、プラスチックと紙との複合材料であってもよい。
ピラード容器の枠体は、ポリプロピレン(PP)で形成されていることが好ましい。容器本体は、PPフィルムを紙で挟んで形成されていることが好ましい。蓋体は、ポリエチレン(PE)で形成されていることが好ましい。
プラスチック容器がピラード容器であると、容器本体が水分の侵入を防ぐことができ、ケーキングの発生を抑制できるため、好ましい。
【0075】
本実施形態の粉末漂白剤製品に用いられるプラスチック容器として、好ましい容器(粉粒物用容器)について、以下に、図面を参照して説明する。
【0076】
図1は、容器本体と、計量具収納体とを分離した状態を示し、
図2~3は、容器本体に計量具収納体を取り付けた状態を示すものである。
図4は、計量具収納体の底面側から見た斜視図である。
図5は、
図2のV-V断面図であり、
図6は、
図2のVI-VI断面図である。なお、
図5~6は、蓋体の図示が省略されている。
図2~3に示すように、粉粒物用容器1は、容器本体3と、容器本体3の第一の上端開口部31を塞ぐ蓋体2と、容器本体3内に着脱可能に取り付けられる計量具収納体4とを備えるものであり、蓋体2は、ヒンジ5により開閉可能に容器本体3と蝶着されている。
【0077】
図1、5、6に示すように容器本体3は、平面視略長方形の第一の底壁部32と、第一の底壁部32の周縁に立設された略四角筒状の第一の側壁部34とからなり、内部が粉粒物を内容物として収納する内容物収納室30とされたものである。容器本体3は、第一の側壁部34の上端35を周縁とする第一の上端開口部31が形成され、第一の上端開口部31の輪郭形状は、第一の底壁部32の形状に対応する略長方形とされている。即ち、容器本体3は、有底略四角筒状のものである。
対向する第一の側壁部34同士は、第一の底壁部32から第一の上端開口部31に向かい漸次離れるものとされ、第一の底壁部32には、内容物収納室30内に突出する突起部36が設けられている。
【0078】
本実施形態において突起部36は、平面視略十字状とされ(
図1)、第一の底壁部32から第一の上端開口部31に向かい漸次先細りする形状とされている。先細りするとは、突起部36の平面形状に外接する円の直径が徐々に、又は段階的に小さくなることをいう。
本実施形態の突起部36の縦断面の輪郭形状は、対向する側辺が第一の底壁部32から略垂直に立ち上がった後、漸次互いに近づくものとされ、略垂直に立ち上がる側辺36aの長さは、筒部60の長さと略一致するものとされている(
図5~6)。
図1、5に示すように、第一の側壁部34には、第一の上端開口部31の近傍に、計量具収納体4を係合する第一の係合片38が設けられている。
【0079】
図4は、計量具収納体4の底面側の斜視図である。
図4~6に示すように、計量具収納体4は、容器本体3に取り付けた状態において、第一の底壁部32から第一の上端開口部31に向かう略四角筒状の第二の側壁部44と、第二の側壁部44の下端に連接された平面視略長方形の第二の底壁部42とを備え、内部が計量具10を収納する計量具収納室40とされたものである。計量具収納体4は、第二の側壁部44の上端45を周縁とする第二の上端開口部41が形成され、第二の上端開口部41の輪郭形状は、略長方形とされている。対向する第二の側壁部44同士は、第二の底壁部42から第二の上端開口部41に向かい漸次離れるものとされている。
第二の側壁部44には、第二の上端開口部41の外方に、第一の係合片38に係合する第二の係合片48が設けられている。第二の側壁部44には、第二の係合片48から第二の底壁部42へと延びる凸条49が2本設けられている。凸条49は、第二の側壁部44から突出している。
第二の底壁部42の略中央には、計量具収納室40内外を連通する平面視略真円形の連通口50が形成されると共に、連通口50の周縁から下方に向かい連接された筒部60が設けられている。第二の底壁部42は、第二の側壁部44の下端から連通口50に向かい漸次下方に傾斜するものとされている。なお、本実施形態において、連通口50の大きさは、計量具10が通過できない大きさとされている。連通口50をこのような大きさとすることで、計量具収納体4を容器本体3から取り外した際、計量具収納体4から計量具10が落下するのを防止できる。
【0080】
図5に示すように、第二の側壁部44には、第二の上端開口部41の下方近傍で、かつ計量具収納室40に計量具10を収納した際、後述する計量具10の上部先端16(本実施形態では把持部12の先端)よりも低い位置に、計量具収納室40の外方かつ内容物収納室30の内方に延びる段差壁部46が形成されている。即ち、第二の側壁部44の第二の上端開口部41の下方には、第二の上端開口部41の輪郭形状を構成する一辺が計量具収納室40の外方に迫り出すように、段差壁部46が形成されている。この段差壁部46が形成されていることで、第二の上端開口部41の開口面積は、段差壁部46の下方の開口面積よりも大きなものとされている。
【0081】
図5~6に示すように、計量具収納体4は、連通口50に突起部36が嵌合することで、容器本体3に取り付けられている。加えて、計量具収納体4は、凸条49が第一の側壁部34の内面に当接して、容器本体3に取り付けられている。以降、計量具収納体4が容器本体3に取り付けられた状態を常態という。本実施形態において、突起部36が平面視略十字状とされているため、常態の粉粒物用容器1には、連通口50の周縁と突起部36との間に、内容物が通流できる空隙が形成されている。
【0082】
蓋体2は、略長方形の主壁部20と、主壁部20の周縁に設けられたフランジ22とを備え、蓋体2を閉じた際に、主壁部20が、第一の側壁部34の上端35及び第二の側壁部44の上端45に当接するものとされている。本実施形態において、主壁部20の内面は、略面一とされている。
【0083】
本実施形態において、計量具収納体4に収納される計量具10は、平面視略八角形の器状の計量部14と、計量部14から延設された長尺状の把持部12とを備えるものである(
図3、5、6)。
図5~6に示すように、計量具10は、把持部12の先端を上方、即ち上部先端16とし、計量具収納体4内に収納される。
【0084】
容器本体3の大きさは特に限定されず、収納する内容物の種類、用途等を勘案して決定でき、粉粒物用容器1を本実施形態の粉末漂白剤組成物の容器として用いる場合、容器本体3の大きさは、例えば、400~800cm
3容量とされる。
例えば、容器本体3を400~800cm
3容量とする場合、容器本体3における第一の上端開口部31の長手方向の長さL(
図6)は、10~15cmとされる。また、容器本体3における第一の上端開口部31の短手方向の長さW(
図5)は、7~12cmとされ、容器本体3の高さH(
図5)は、10~13cmとされる。
【0085】
突起部36における第一の底壁部32の内面からその突端までの長さ、即ち突起部36の高さh1は、粉粒物用容器1の流通中、あるいは取り扱い中に、計量具収納体4が容器本体3から容易に脱離しないものとされる。加えて、突起部36の高さh1は、計量具収納体4における連通口50から第二の上端開口部41までの距離や、計量具10の大きさ等を勘案して決定でき、容器本体3の容量を400~800cm3とした場合、例えば、5~10mmとされる。
【0086】
凸条49の長さは、例えば、2~5cmとされる。
【0087】
本実施形態の容器本体3の材質は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックが挙げられる。
計量具収納体4の材質は、容器本体3の材質と同様である。蓋体2の材質は、容器本体3の材質と同様である。
【0088】
本実施形態の粉粒物用容器1は、容器本体3の材質がプラスチックであるため、容器本体3が水分の侵入を防ぐことができ、ケーキングの発生を抑制できるため、好ましい。
加えて、本実施形態の粉粒物用容器1は、蓋体2と、容器本体3とが、第一の上端開口部31を塞ぐように嵌合するため、水分の侵入を防ぐことができ、ケーキングの発生を抑制できるため、好ましい。
【0089】
上述の通り、本発明の粉末漂白剤組成物は、(A)成分~(C)成分を含有し、(B)成分の含有量が、総質量に対して3~20質量%であるため、ウイルス除去の効果により優れる。
加えて、本発明の粉末漂白剤製品は、本発明の粉末漂白剤組成物がプラスチック製の容器に収容されてなるため、大気中の水分の付着を抑制でき、ケーキングの発生を抑制できる。
【実施例0090】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
本実施例において使用した原料は、下記の通りである。
【0091】
[使用原料]
<(A)成分>
a-1:過炭酸ナトリウム(商品名「Sodium percarbonate」、JINKE株式会社製)。
【0092】
<(B)成分>
b-1:4-ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(OBS12、(I)式において、R10=炭素数11のアルキル基、M1=ナトリウム、下記合成方法で得られたもの)。
【0093】
[b-1(OBS12)造粒物の合成方法]
予め脱水処理した4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(関東化学株式会社製、試薬)3000g(15.3mol)をN,N-ジメチルホルムアミド(関東化学株式会社製、試薬)9000g中に分散し、スターラーで攪拌しながら、ラウリン酸クロライド(東京化成工業株式会社製、試薬)3347g(15.3mol)を、50℃で30分かけて滴下した。滴下終了から3時間後、N,N-ジメチルホルムアミドを減圧下(0.5~1mmHg(66.7~133.3Pa))、100℃で留去した。アセトン(関東化学株式会社製、試薬)で洗浄した後、水/アセトン(=1/1mol)溶媒中にて再結晶を行って精製し、4-ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムの結晶を得た。収率は90%であった。
得られた4-ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム70質量部、PEG(ポリエチレングリコール#6000M(商品名)、ライオン株式会社製)20質量部、炭素数14のα-オレフィンスルホン酸ナトリウム粉末品(リポランPJ-400(商品名)、ライオン株式会社製)5質量部の割合で合計5000gを、エクストルード・オーミックスEM-6型(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)に投入し、混練押出して、径が0.8mmφのヌードル状の押出品を得た。この押出品(60℃)と、A型ゼオライト粉末5質量部と、をフィッツミルDKA-3型(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)に供給し粉砕して、平均粒子径が700μmの漂白活性化剤OBS12の造粒物を得た。
【0094】
<(C)成分>
c-1:炭酸ナトリウム(商品名「ソーダ灰デンス」、株式会社トクヤマ製)。
【0095】
<任意成分>
(界面活性剤)
d-1:ノニオン界面活性剤、ポリオキシエチレン(EO9)アルキルエーテル(下記式(d-1)において、R
1が炭素数12のアルキル基(C12)及び炭素数14のアルキル基(C14)(質量比でC12:C14=70:30)、R
2が水素原子、-X-が-O-、Xが結合するR
1の炭素原子が第一級炭素原子、sが9、tが0、uが0である化合物。商品名「ブラウノンEL-1509」、青木油脂工業株式会社製)。
R
1-X-[(EO)
s/(PO)
t]-(EO)
u-R
2 ・・・(d-1)
(香料)
香料:特開2002-146399号公報の表11から表18に記載の香料組成物A。
(容器)
プラスチック容器:
図1~6に記載の粉粒物用容器。
【0096】
[粉末漂白剤組成物の調製]
表1に記載の組成となるように、(c-1)を粉体混合装置に投入し、65rpmで混合しながら、予め60℃~70℃に加温しておいた(d-1)を(c-1)に噴霧した。噴霧終了後、65rpmで5分間混合して、ノニオン含侵無機粒子を得た。この際、(d-1)は、水分を含まない濃度100質量%のノニオン界面活性剤を用いた。次いで、得られたノニオン含侵無機粒子を混合しながら(a-1)を添加し、添加終了後、65rpmで5分間混合した。次いで、混合しながら(b-1)を添加し、添加終了後、65rpmで10分間混合して、ノニオン含有粒子を得た。得られたノニオン含有粒子を65rpmで攪拌しながら、香料を噴霧し、噴霧終了後、65rpmで10分間混合し、各例の粉末漂白剤組成物を得た。
なお、表1の組成の各成分の単位は「質量%」であり、純分換算量を示す。表中「残」は、合計が100質量%となるように、その成分を配合したことを示す。
【0097】
<抗ウイルス性試験の評価方法>
JIS L1922:2016「繊維製品の抗ウイルス性試験方法」に記載の方法に準拠して、抗ウイルス性試験を行った。
ウイルスは、下記の2種を用いた。
・インフルエンザウイルス:Influenza A virus(A/PR/8/34(H1N1))、ATCC株VR-1469。
・ネコカリシウイルス:Feline calisivirus F9株、ATCC株VR-782。
【0098】
<通常洗浄条件(洗浄条件:攪拌)、実施例1~5、比較例1~3>
各例で得られた粉末漂白剤組成物をスプーンに1杯(8g)量り取り、水30Lに希釈して、洗液濃度267ppm(質量基準)の試験試料とした。試験試料のpHは、10.5であった。
【0099】
5cm角の綿布3枚に試験ウイルス液(>108PFU/mL)を各0.1mLずつ接種した。試験ウイルス液は、>109PFU/mLのストックを精製水で10倍に希釈したものを用いた。各試験試料を100mL入れたビーカーに、試験ウイルス液を接種した綿布を入れ、60rpm、25℃で10分間攪拌した。攪拌後、綿布を取り出し、SCDLP培地10mLでよく攪拌し、綿布に残存したウイルス量を測定し、JIS L1922:2016附属書Bに従って、ブランク(0.05(w/v)%ポリソルベート80水溶液で処理した綿布)のウイルスの感染価と、各試験試料を用いた場合のウイルスの感染価とを求めた。ブランクのウイルスの感染価と、各試験試料を用いた場合のウイルスの感染価との差を、ウイルスの感染価の減少値として算出した。
【0100】
ウイルスの感染価の減少値から、下記評価基準に基づいて、抗ウイルス性を評価した。結果を表1に示す。表中、「-」は、抗ウイルス性試験を行わなかったことを示す。ウイルスの感染価の減少値が1.0(評価「○」)以上を合格とした。
《評価基準》
◎◎◎:ウイルスの感染価の減少値が4.0以上。
◎◎:ウイルスの感染価の減少値が3.0以上4.0未満。
◎:ウイルスの感染価の減少値が2.0以上3.0未満。
○:ウイルスの感染価の減少値が1.0以上2.0未満。
×:ウイルスの感染価の減少値が1.0未満。
【0101】
<つけ置き洗浄条件(洗浄条件:浸漬)、実施例6、7>
実施例3、5で得られた粉末漂白剤組成物をスプーンに1杯(8g)量り取り、それぞれを水2Lに希釈して、洗液濃度4000ppm(質量基準)の試験試料とした。試験試料のpHは、10.7であった。各試験試料を100mL入れたビーカーに試験ウイルス液を接種した綿布を入れ、25℃で30分間静置した以外は、実施例1と同様にウイルスの感染価の減少値を求め、上記評価基準に基づいて、抗ウイルス性を評価した。結果を表1に示す。
【0102】
【0103】
表1に示すように、本発明を適用した実施例1~7は、抗ウイルス性の評価が「○」以上で、良好な評価結果が得られた。特に、インフルエンザウイルスに対して、ウイルス除去の効果が高かった。
これに対して、(A)成分を含有しない比較例1、(B)成分を含有しない比較例2、(C)成分を含有しない比較例3は、いずれも抗ウイルス性の評価が「×」だった。
【0104】
これらの結果から、本発明によれば、ウイルスの除去により優れることが分かった。
1…粉粒物用容器、2…蓋体、3…容器本体、4…計量具収納体、5…ヒンジ、10…計量具、12…把持部、14…計量部、16…上部先端、20…主壁部、22…フランジ、30…内容物収納室、31…第一の上端開口部、32…第一の底壁部、34…第一の側壁部、35…第一の側壁部の上端、36…突起部、38…第一の係合片、40…計量具収納室、41…第二の上端開口部、42…第二の底壁部、44…第二の側壁部、45…第二の側壁部の上端、46…段差壁部、48…第二の係合片、49…凸条、50…連通口、60…筒部