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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077431
(43)【公開日】2022-05-23
(54)【発明の名称】水位検出装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 15/00 20060101AFI20220516BHJP
   F04B 49/02 20060101ALI20220516BHJP
   F04B 51/00 20060101ALI20220516BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20220516BHJP
【FI】
F04D15/00 H
F04B49/02 311
F04B51/00
G16Y40/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020188294
(22)【出願日】2020-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 哲則
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 章太
【テーマコード(参考)】
3H020
3H145
【Fターム(参考)】
3H020AA01
3H020AA07
3H020BA21
3H020CA07
3H020DA01
3H020EA04
3H020EA07
3H020EA16
3H145AA12
3H145AA23
3H145AA31
3H145AA42
3H145BA41
3H145CA14
3H145DA01
3H145EA15
3H145EA34
3H145EA41
3H145EA48
3H145FA23
3H145FA24
(57)【要約】
【課題】 水位検出装置の異常発生を考慮した給水装置の一例を開示する。
【解決手段】 制御装置10は、電極回路9Aが正常作動可能か否かを判断する故障判断機能を有するこれにより、本実施形態に係る水位検出装置9では、誤った水位を出力してしまう可能性が低い。このため、当該水位検出装置9が組み込まれた給水装置1は、水位検出に起因した誤作動の発生が抑制され得る。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水装置の受水槽に適用され、当該受水槽内の水位を検出する水位検出装置において、
前記受水槽内に配置される複数の電極間に電圧を印加する電極回路と、
前記複数の電極間の通電状態を利用して水位を判断する水位判断機能を有するとともに、前記電極回路の作動を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記電極回路が正常作動可能か否かを判断する故障判断機能を実行可能である水位検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記故障判断機能により正常作動可能と判断された場合に、前記水位判断機能を実行可能とする請求項1に記載の水位検出装置。
【請求項3】
前記故障判断機能の実行時において、前記制御部は、前記電極回路に対して予め決められた出力を伴う作動を実行させるとともに、当該出力がされたか否かを利用して判断をする請求項1又は2に記載の水位検出装置。
【請求項4】
前記電極回路には、故障判定用通電回路が設けられており、
前記故障判断機能の実行時において、前記制御部は、前記故障判定用通電回路に電圧を印加させる旨の指令を前記電極回路に対してするとともに、通電があった場合には正常作動可能と判断し、通電が無い場合には正常作動できないと判断する請求項3に記載の水位検出装置。
【請求項5】
前記複数の電極は、
当該複数の電極のうち最も低い位置に設置されたコモン電極、及び
前記コモン電極より高い位置に配置された電極(以下、水位電極という。)であって、前記受水槽内において前記コモン電極から離間した位置に設置された複数の水位電極を有して構成されており、
前記故障判定用通電回路は、前記コモン電極又は当該コモン電極に接続された回路に接続されている請求項4に記載の水位検出装置。
【請求項6】
前記受水槽内に配置される複数の電極間に電圧を印加する第2の電極回路を備え、
前記電極回路が正常作動できないと判断された場合に、前記制御部は、前記第2の電極回路を利用して前記水位判断機能を実行することが可能である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の水位検出装置。
【請求項7】
外部と通信するための通信部を備え、
前記電極回路が正常作動できないと判断された場合に、前記制御部は、その旨の警報を発するとともに、前記電極回路が正常作動できないと判断された日付を前記通信部を介して外部に送信する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の水位検出装置。
【請求項8】
給水用の水が貯留される受水槽と、
前記受水槽に貯留された水を吸引して給水する電動ポンプと、
前記電動ポンプの停止及び稼働を制御するポンプ制御部と、
前記受水槽内の水位を検出する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の水位検出装置とを備え、
前記ポンプ制御部は、前記電極回路が正常作動できないと判断された時以降において、前記電動ポンプを稼働させた場合には、稼働時間が予め決められたルールに従って決められた時間を越えたときに当該電動ポンプを停止させる制御が実行可能である給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、受水槽内の水位を検出する水位検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な、水位検出装置は、例えば、特許文献1に示されるように、受水槽内に配置された複数の電極棒間の通電状態を利用して水位を判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-111983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の水位検出装置は、完全正常作動することを前提としている。したがって、仮に、水位検出装置に異常が発生した場合には、当該水位検出装置は、誤った判断結果を出力してしまう。
【0005】
このため、当該水位検出装置が組み込まれた給水装置は、誤作動してしまう。本開示は、当該点に鑑みた給水装置の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
給水装置の受水槽(7)に適用され、当該受水槽(7)内の水位を検出する水位検出装置は、例えば、受水槽(7)内に配置される複数の電極(Er1~Er5)間に電圧を印加する電極回路(9A)と、複数の電極(Er1~Er5)間の通電状態を利用して水位を判断する水位判断機能を有するとともに、電極回路(9A)の作動を制御する制御部(10)とを備え、制御部(10)は、電極回路(9A)が正常作動可能か否かを判断する故障判断機能を有することが望ましい。
【0007】
これにより、当該水位検出装置では、誤った水位を出力してしまう可能性が低い。このため、当該水位検出装置が組み込まれた給水装置にあっては、水位検出に起因した誤作動の発生が抑制され得る。
【0008】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る給水装置を示す図である。
図2】故障判断機能の一例を示すフローチャートである。
図3】警報下制御の一例を示すフローチャートである。
図4】第2実施形態に係る給水装置を示す図である。
図5】切替制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0011】
少なくとも符号が付されて説明された機器や部材等の構成要素は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該構成要素は2以上設けられていてもよい。本開示に示された給水装置は、少なくとも符号が付されて説明された構成要素等を備える。
【0012】
(第1実施形態)
<1.給水装置の構成>
本実施形態は、例えば、マンションや商業ビル等の建物に適用される給水装置に本開示に係る給水装置の一例が適用されたものである。図1に示されるように、本実施形態に係る給水装置1は、電動ポンプ3、蓄圧装置5、受水槽7、水位検出装置9及び制御装置10等を少なくとも備える。
【0013】
電動ポンプ3は、ポンプ部3A及びモータ部3Bを有する電動式のポンプである。電動ポンプ3の吐出し側は、建物の配水管側に接続されている。当該電動ポンプ3の吸入側は、受水槽7内に開口する吸入口7Aに連通している。受水槽7は、給水用の水が貯留されるタンクである。
【0014】
電動ポンプ3の停止及び稼働は制御装置10のポンプ制御部11により制御される。なお、制御装置10は、例えば、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピュータ等にて構成されている。そして、本実施形態に係るポンプ制御部11は、制御装置10(CPU)にてソフトウェアが実行されることにより実現される。
【0015】
本実施形態に係るポンプ制御部11は、駆動部(本実施形態では、インバータ方式の駆動回路)3Cを介して電動ポンプ3の作動を制御する。駆動部3Cは、ポンプ制御部11から出力される指令周波数に応じた周波数を有する駆動電流をモータ部3Bに供給する。
【0016】
蓄圧装置5は、電動ポンプ3の吐出し側に接続されて当該電動ポンプ3が停止しているときに給水圧を保持する。蓄圧装置5は、不活性ガスが充填されたガス室5Aの内圧により、電動ポンプ3が停止しているときの給水圧を保持する。
【0017】
水位検出装置9は、受水槽7内の水位を検出する。当該水位検出装置9には、流入弁8が設けられている。流入弁8は、受水槽7に水道水を供給するときに開かれるバルブである。流入弁8の開閉は、流入弁制御部12によって制御される。
【0018】
流入弁制御部12は、水位検出装置9の検出水位が予め決められた水位(以下、供給開始水位という。)以下となったときに流入弁8を開き、当該検出水位が供給開始水位より高い予め決められた水位(以下、満水水位という。)に到達したときに流入弁8を閉じる。以下、当該流入弁8の開閉制御を流入弁制御という。
【0019】
なお、本実施形態に係る流入弁制御部12は、制御装置10(CPU)にてソフトウェアが実行されることにより実現される。なお、流入弁制御部12及びポンプ制御部11を実現するためのソフトウェアは、ROM等の不揮発性記憶部に予め記憶されている。
【0020】
制御装置10には、流量センサFs1の検出値及び圧力センサPd1の検出値が入力されている。流量センサFs1は、電動ポンプ3の吐出し流量を検出する。圧力センサPd1は、電動ポンプ3の吐出し圧力を検出する。
【0021】
そして、ポンプ制御部11は、電動ポンプ3の吐出し流量が予め決められた流量(以下、停止流量Qs)以下となったときに電動ポンプ3を停止させる。以下、当該電動ポンプ3の制御を小水量停止制御という。
【0022】
ポンプ制御部11は、電動ポンプ3が停止している状態において、電動ポンプ3の吐出し圧力が予め決められた圧力(以下、起動圧力Psu)以下となったときに電動ポンプ3を稼働させる。以下、当該電動ポンプ3の制御を起動制御という。
【0023】
ポンプ制御部11は、電動ポンプ3が稼働しているときには、吐出し圧力が目標とする圧力(以下、目標圧力Ptという。)になるように指令周波数を調節する。以下、当該電動ポンプ3の制御を目標圧力制御という。
【0024】
なお、目標圧力Ptは、予め決められた固定値、又は流量の関数値として決定される変数値である。さらに、ポンプ制御部11は、水位検出装置9と協働して、後述する警報下制御が実行可能である。
【0025】
制御装置10内又は制御装置10外(本実施形態では、制御装置10内)には、通信部13が設けられている。通信部13は、外部と有線又は無線にて通信可能である。給水装置1は警報装置15を有する。警報装置15は、制御装置10からの指令を受信すると、音声や光等の作業者が認識可能な警報を発信する。
【0026】
<2.水位検出装置の詳細>
<2.1 水位検出装置の構成>
水位検出装置9は、複数の電極Er1~Er5、電極回路9A、故障判定用通電回路9B及び水位検出制御部14等を有して構成されている。複数の電極Er1~Er5それぞれは、受水槽7内において長手方向が上下方向と一致するように設置された複数の棒状部材それぞれの下端に配置されている。
【0027】
以下、複数の電極Er1~Er5のうち、最も低い位置に設置された電極Er1をコモン電極Er1という。複数の電極Er1~Er5のうちコモン電極Er1以外の電極を水位電極という。
【0028】
水位電極Er2~Er5それぞれは、受水槽7内においてコモン電極Er1から離隔した位置において、互いに上下方向の位置が異なる位置に配置されている。電極回路9Aは、複数の電極Er1~Er5間に電圧を印加するとともに、電極間の通電状態を検知可能である。
【0029】
具体的には、電極回路9Aは、水位検出制御部14からの指令を受けたときに、コモン電極Er1と水位電極Er2~Er5との間に電圧を印加する。そして、水位検出制御部14は、複数の電極Er1~Er5間の通電状態を利用して水位を判断する。
【0030】
例えば、水位が水位電極Er3より低い場合、コモン電極Er1と水位電極Er3とは絶縁状態となる。また、水位が水位電極Er3より高い場合、コモン電極Er1と水位電極Er3とは水を介して導通可能な状態となる。
【0031】
水位検出制御部14は、上記の通電状態を水位電極Er2~Er5毎に判断することにより、受水槽7内の水位を判断する。そして、水位検出制御部14は、複数の電極Er1~Er5への電圧印加、つまり電極回路9Aの作動を制御する。
【0032】
なお、本実施形態に係る水位検出制御部14は、制御装置10(CPU)にてソフトウェアが実行されることにより実現される。なお、水位検出制御部14を実現するためのソフトウェアは、ROM等の不揮発性記憶部に予め記憶されている。
【0033】
そこで、以下の説明では、流入弁制御部12、ポンプ制御部11及び水位検出制御部のいずれかを示す場合も含めて制御装置10という。つまり、本実施形態では、流入弁8、電動ポンプ3及び電極回路9A等の作動は、制御装置10により制御される。
【0034】
故障判定用通電回路9Bは、電極回路9Aに設けられた短絡回路である。当該故障判定用通電回路9Bは、コモン電極Er1又は当該コモン電極Er1に接続された回路に接続されている。
【0035】
故障判定用通電回路9Bは、コモン電極Er1と水位電極Er2~Er5との間で発生する電気抵抗と略同等以上の抵抗が発生するように構成されている。なお、故障判定用通電回路9Bへの通電も制御装置10(水位検出制御部14)により制御される。
【0036】
<2.2 水位電極について>
水位電極Er4は、供給開始水位を検出するための電極である。水位電極Er4(以下、供給開始電極Er4ともいう。)より低い位置にある水位電極Er2、Er3は、警報水位を検出するための電極である。
【0037】
警報水位は、吸入口7Aより高い位置の水位であって、吸入口7Aとの高さの差が予め決められた水量(以下、余裕水量という。)に相当する差となるように設定された水位である。なお、余裕水量は、建物にて必要される給水量等に基づいて適宜決定される量である。
【0038】
なお、本実施形態に係る警報水位は、第1警戒水位、及び第2警戒水位が設定されている。第1警戒水位(以下、渇水水位ともいう。)は、水位検出装置9にて検出可能な水位のうち最も低い水位である。
【0039】
第2警戒水位(以下、減水水位ともいう。)は、渇水水位より高い水位であって、供給開始水位より以下の水位である。水位電極Er2(以下、渇水電極Er2ともいう。)は、渇水水位を検出するための電極である。
【0040】
水位電極Er3(以下、減水電極Er3ともいう。)は、減水水位を検出するための電極である。水位電極Er5(以下、満水電極Er5ともいう。)は、満水水位を検出するための電極である。
【0041】
<2.2 水位検出装置の作動(制御)>
水位検出装置9は、水位検出機能及び故障判断機能を単独で実施することができるとともに、ポンプ制御部11と協働して警報下制御を実行することができる。
【0042】
<水位検出機能>
水位検出機能は、複数の電極Er1~Er5間の通電状態を利用して水位を判断する機能である。制御装置10は、予め決められたタイミングで定期的に水位検出機能を実行する。なお、制御装置10は、故障判断機能により正常作動不可と判断された場合には、当該タイミングであっても水位検出機能を実行しない。
【0043】
<故障判断機能>
故障判断機能は、電極回路9Aが正常作動可能か否かを判断する故障判断機能を有する機能である。制御装置10は、予め決められたタイミングで定期的に故障判断機能を実行する。なお、本実施形態係る制御装置10は、水位検出機能を実行する直前に故障判断機能を実行する。
【0044】
故障判断機能の実行時においては、制御装置10は、電極回路9Aに対して予め決められた出力を伴う作動を実行させるとともに、当該出力がされたか否かを利用して、電極回路9Aが正常作動可能か否かの判断をする。
【0045】
具体的には、制御装置10は、故障判定用通電回路9Bに電圧を印加させる旨の指令を電極回路9Aに対してするとともに、通電があった場合には正常作動可能と判断し、通電が無い場合には正常作動不可と判断する。
【0046】
さらに、制御装置10は、正常作動不可と判断された場合には、その旨の警報を警報装置15を介して発するとともに、電極回路9Aが正常作動できないと判断された日付、時刻、及び判断時における水位等の情報を通信部13を介して外部に送信する。なお、外部とは、例えば、給水装置1の管理会社(遠隔管理装置)、及び管理者の通信機器等をいう。
【0047】
そして、制御装置10は、故障判断機能により正常作動可能と判断された場合に、水位判断機能を実行可能とし、故障判断機能により正常作動不可と判断された場合には、水位判断機能の実行を禁止する。
【0048】
なお、図2は、故障判断機能を実行するための制御フローの一例である。
【0049】
故障判断機能が起動されると、制御装置10は、故障判定用通電回路9Bへの通電指令を電極回路9Aにする(S1)。
【0050】
制御装置10は、故障判定用通電回路9Bの通電を検知し(S2)、当該通電を検知できなかった場合には(S2:NO)、当該検知できない状態が予め決められた時間(例えば、3秒以上)継続したか否か判断する(S3)。
【0051】
検知できない状態が3秒以上継続したと判断された場合には(S3:YES)、制御装置10は、電極回路9Aは正常作動不可状態になっているとみなして、その旨の警報及び正常作動不可となった時の運転情報を発信するとともに(S4)、水位検出機能を停止状態とする(S5)。なお、運転情報とは、判断された日付、時刻、及び判断時における水位等の給水装置1の情報をいう。
【0052】
また、故障判定用通電回路9Bの通電が検知された場合には(S2:NO)、制御装置10は、水位検出機能の実行を許可する(S6)。そして、制御装置10は、次回の起動タイミングが到来した時に、再び、S1を実行する。
【0053】
<警報下制御>
警報下制御は、水位検出装置9により水位が警報水位未満となったと判断された場合に実行される電動ポンプ3の稼働制御であって、当該判断がされた時以降の電動ポンプ3の総給水量が余裕水量以下となっている間に限り、当該電動ポンプ3の稼働を許可する制御である。
【0054】
なお。「電動ポンプ3の稼働を許可」とは、小水量停止制御、起動制御及び目標圧力制御等の制御が実行可能になるという意味である。つまり、下記の給水可能時間内においては、給水装置1は断水しないで通常運転する。
【0055】
本実施形態に係る制御装置10は、故障判断機能により正常作動不可と判断された場合も警報下制御を実行する。なお、本実施形態に係る制御装置10は、第1警戒水位(渇水水位)を警報水位とし、渇水水位と吸入口7Aとの高さの差に対応する水量を余裕水量としている。
【0056】
なお、制御装置10は、「電動ポンプ3の総給水量が余裕水量以下となっている間」であるか否かの判断を時間(以下、給水可能時間という。)を利用して判断している。すなわち、給水可能時間は、余裕水量と吐出し流量との関数値である。
【0057】
そこで、本実施形態に係る制御装置10は、平均的な吐出し流量を利用して決定された給水可能時間と当該判断がされた時から経過時間とを比較して、「電動ポンプ3の総給水量が余裕水量以下となっている間」であるか否かの判断をする。
【0058】
また、「電動ポンプ3の総給水量が余裕水量以下となっている間」とは、「電動ポンプ3の総給水量が余裕水量未満の状態で警報下制御が停止する場合も含む意味である。したがって、制御装置10は、上記経過が給水可能時間に到達する前に警報下制御を停止させる場合もある。
【0059】
制御装置10は、警報下制御を実行するか否かを判断を、予め決められたタイミングで定期的に実行している。具体的には、制御装置10は、水位検出機能の実行後、又は故障判断機能の実行後に、警報下制御を実行するか否かを判断(以下、実行判断という。)する。
【0060】
なお、制御装置10は、故障判断機能により正常作動可能と判断された場合には、水位検出機能の実行後に実行判断を実行し、故障判断機能により正常作動不可と判断された場合には、水位検出機能を実行することなく、実行判断を実行する。
【0061】
図3は、警報下制御及び実行判断等を実行するための制御フローの一例である。なお、制御装置10により実行される各制御(電動ポンプの制御、水位検出機能、故障判断機能及び警報下制御等)は、それぞれ独立並列的に実行される。
【0062】
そして、図3に示された制御が起動されると、制御装置10は、水位検出装置9により水位が警報水位未満となったか否か、又は故障判断機能により正常作動不可と判断されたか否かを判断する(S10)。
【0063】
水位が警報水位未満となったと判断された場合、又は正常作動不可と判断された場合には(S10:YES)、制御装置10は、当該判断が、予め決められた時間(例えば、3秒以上)継続したか否かを判断する(S11)。
【0064】
当該判断が3秒以上継続したと判断された場合には(S11:YES)、制御装置10は、その旨の警報及び当該判断がされた時の運転情報等を発信するとともに(S12、S13)、警報下制御を開始する(S14)。
【0065】
また、S10にて、水位が警報水位以上、かつ、正常作動可能と判断された場合には(S10:NO)、制御装置10は、水位が減水水位未満であるか否かを判断する(S15)。水位が減水水位未満であると判断された場合には(S15:YES)、制御装置10は、減水水位未満である状態が予め決められた時間(例えば、3秒以上)継続したか否かを判断する(S16)。
【0066】
当該状態が3秒以上継続したと判断された場合には(S16:YES)、制御装置10は、当該判断がされた時の運転情報等を発信するとともに(S17)、流入弁8が正常作動していない可能性ある旨及び貯水量が低下している旨の警報を発信する(S18)。
【0067】
S15にて、水位が減水水位以上であると判断された場合には(S15:NO)、制御装置10は、水位が満水水位以上であるか否かを判断する(S19)。水位が満水水位以上であると判断された場合には(S19:YES)、制御装置10は、満水水位以上である状態が予め決められた時間(例えば、3秒以上)継続したか否かを判断する(S20)。
【0068】
当該状態が3秒以上継続したと判断された場合には(S20:YES)、制御装置10は、当該判断がされた時の運転情報等を発信するとともに(S21)、流入弁8が正常作動していない可能性ある旨及び受水槽7が溢れる可能性がある旨の警報を発信する(S22)。
【0069】
なお、水位が満水水位未満であると判断された場合には(S19:NO)、制御装置10は、本制御を終了さるとともに、所定のタイミングで本制御を起動させる。
【0070】
<3.本実施形態に係る水位検出装置及び給水装置の特徴>
本実施形態に係る制御装置10は、電極回路9Aが正常作動可能か否かを判断する故障判断機能を有する。これにより、本実施形態に係る水位検出装置9では、誤った水位を出力してしまう可能性が低い。このため、当該水位検出装置9が組み込まれた給水装置1は、水位検出に起因した誤作動の発生が抑制され得る。
【0071】
制御装置10は、故障判断機能により正常作動可能と判断された場合に、水位判断機能を実行可能とする。これにより、誤った水位検出に起因した誤作動の発生が確実に抑制され得る。
【0072】
制御装置10は、電極回路9Aが正常作動できないと判断された場合に、その旨の警報を発するとともに、電極回路9Aが正常作動できないと判断された日付等を通信部13を介して外部に送信する。
【0073】
これにより、給水装置1を管理する作業者が早急に対応することが可能となり得るので、電極回路9Aが故障した場合であっても、早急に修理・交換等の対応が可能となり得る。
【0074】
制御装置10は、水位検出装置9により水位が警報水位以下となったと判断された場合、又は電極回路9Aが正常作動できないと判断された場合には、警報下制御を実行する。
【0075】
これにより、水位が警報水位以下となった場合であっても、電動ポンプ3の総給水量が余裕水量以下となっている間に限り、電動ポンプ3が稼働でき得る。したがって、当該給水装置1では、いきなり断水してしまうことが抑制され得る。
【0076】
(第2実施形態)
本実施形態に係る水位検出装置9は、図4に示されるように、複数の電極Er1~Er5間に電圧を印加する第2の電極回路9C(以下、第2電極回路9Cという。)を備える。なお、以下、電極回路9Aは第1電極回路9Aという。
【0077】
そして、故障判断機能により第1電極回路9Aが正常作動できないと判断された場合には、制御装置10は、第2電極回路9Cを利用した水位判断機能を実行可能とする。なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0078】
これにより、本実施形態では、第1電極回路9Aの異常に起因した給水装置1の停止、つまり断水の発生を抑制することが可能となり得る。
【0079】
なお、図4においては、第2電極回路9Cには故障判定用通電回路9Bが設けられていない。しかし、第2電極回路9Cにも故障判定用通電回路9Bが設けられた構成であってもよい。そして、制御装置10は、第2電極回路9Cに対しても故障判断機能を実施してもよい。
【0080】
(第3実施形態)
本実施形態は、流入弁制御に関するものある。流入弁制御は、検出水位が供給開始水位以下となったときに流入弁8を開き、当該検出水位が満水水位に到達したときに流入弁8を閉じる制御であって、制御装置10により自動的実行される自動制御である。
【0081】
本実施形態に係る流入弁制御部12、つまり制御装置10は、流入弁8の手動制御機能を実行可能である。手動制御とは、作業者の入力指示に従って流入弁8の開閉を制御する制御である。
【0082】
すなわち、制御装置10は、作業者により操作される切替部(図示せず。)、及び開閉操作部(図示せず。)が設けられている。切替部は、自動制御と手動制御とを切り替えるための操作部である。開閉操作部は、手動制御が選択されているときに、作業者が流入弁8の開閉を指示するための操作部である。
【0083】
そして、制御装置10は、水位が警報水位未満となったと判断されたときに、又は満水水位以上であると判断されたときに、手動制御を自動制御に切り替える。具体的には、制御装置10は、例えば、図5に示される制御(以下、切替制御という。)を実行する。
【0084】
切替制御は、給水装置1の電源スイッチ(図示せず。)が投入されると実行される。当該電源スイッチが遮断されると、切替制御は停止する。切替制御が起動されると、制御装置10は、水位が警報水位未満となったか否か、つまり、水位が渇水水位未満、又は減水水位未満となったか否かを判断する(S30、S31)。
【0085】
水位が渇水水位未満、又は減水水位未満となったと判断された場合には(S30:YES、又はS31:YES)、制御装置10は、手動制御が選択されているか否かを判断する(S32)。手動制御が選択されていると判断された場合には(S32:YES)、制御装置10は、自動制御に切り替える(S33)。
【0086】
水位が減水水位以上であると判断された場合には(S31:NO)、制御装置10は、水位が満水水位以上であるか否かを判断する(S34)。水位が満水水位以上であると判断された場合には(S34:YES)、制御装置10は、S32を実行する。
【0087】
なお、S32にて手動制御が選択されていないと判断された場合(S32:NO)、又はS34にて水位が減水水位未満であると判断された場合には(S34:NO)、制御装置10は、再び、S30を実行する。
【0088】
なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0089】
以上により、本実施形態では、作業者がメンテナンス作業の終了時に手動制御を自動制御に選択し忘れた場合であっても、当該選択し忘れに起因する不具合の発生を未然に抑制でき得る。
【0090】
なお、選択し忘れに起因する不具合とは、例えば、流入弁8が閉じたままとなって受水槽7への給水が停止し、給水装置1が断水状態してしまう不具合、若しくは電動ポンプ3が空気を吸引してしまう不具合、又は流入弁8が開いたままとなって受水槽7の水が溢れる不具合等である。
【0091】
(第4実施形態)
本実施形態に係る制御装置10は遠隔制御が実行可能である。遠隔制御とは、通信部13を介した遠隔操作に従って流入弁8の開閉を遠隔制御可能とする制御である。
【0092】
そして、制御装置10は、水位が警報水位未満となったと判断されたときに、又は満水水位以上であると判断されたときに、流入弁8の開閉制御を遠隔制御に切り替えるとともに、遠隔制御に切り替えた旨を給水装置1の管理会社(遠隔管理装置)、又は管理者の通信機器等に送信する。
【0093】
これにより、本実施形態では、作業者がメンテナンス作業の終了時に手動制御を自動制御に選択し忘れた場合又は自動制御に不具合が発生した場合であっても、遠隔制御により流入弁8の開閉を制御でき得る。
【0094】
なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0095】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、電極回路9Aが正常作動できないと判断された場合に、警報下制御が実行された。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、当該判断がされた時以降の電動ポンプ3の稼働時間が予め決められたルールに従って決められた時間を越えたときに当該電動ポンプ3を停止させる制御、又はその他制御が実行される構成であってもよい。
【0096】
上述の実施形態では、渇水水位(第1警報水位)を基準として警報下制御等を実行する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、減水水位(第2警報水位)を基準として警報下制御等を実行する構成であってもよい。
【0097】
上述の実施形態に係る水位検出装置9では、水位電極Er2~Er5として4つの電極が設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、水位電極が少なくとも1つ設けられた構成であれば十分である。
【0098】
上述の実施形態では、「電動ポンプ3の総給水量が余裕水量以下となっている間」であるか否かの判断を時間を利用して判断した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、流量センサFs1にて連続的に流量を検出し、その検出流量の積算値を利用して当該判断をする構成であってもよい。
【0099】
上述の実施形態では、電極回路9Aに異常が発生したとみなすことが可能な場合や流入弁8の作動に不具合が発生したみなすことが可能な場合に、通信部13を介して外部にその旨及び運転情報を送信した。しかし、本開示はこれに限定されない。
【0100】
上述の実施形態に係る給水装置1は、1台の電動ポンプ3を備える構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、複数台の電動ポンプ3を備え、要求給水量の増減に応じて稼働させる電動ポンプ3の台数を変更制御可能な給水装置にも適用可能である。
【0101】
なお、上記に構成においては、駆動部3Cからモータ部3Bに供給される電流の駆動周波数が上限周波数に到達したときに、停止している電動ポンプ3を稼働させる増台制御を実施することが望ましい。
【0102】
そして、稼働中の電動ポンプ3に供給している電流の駆動周波数が上限周波数に到達した場合において、吐出し流量が停止流量Qs以下となり、かつ、吐出し圧力が起動圧力Psu以下となっているとき、つまり電動ポンプ3が空気を吸入している可能性、又は電動ポンプ3の吸入側でキャビテーションが発生している可能性がある場合には、増台制御を停止するとともに、現在稼働中の電動ポンプ3を停止させることが望ましい。
【0103】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0104】
1… 給水装置 3… 電動ポンプ 5… 蓄圧装置 7… 受水槽
8… 流入弁 9… 水位検出装置 10… 制御装置
11… ポンプ制御部 12… 流入弁制御部 13… 通信部
14… 水位検出制御部 15… 警報装置 Fs1… 流量センサ
Pd1… 圧力センサ
図1
図2
図3
図4
図5