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特開2022-77440単層領域及び二層領域を有する固形化粧料、並びにその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077440
(43)【公開日】2022-05-23
(54)【発明の名称】単層領域及び二層領域を有する固形化粧料、並びにその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20220516BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20220516BHJP
   A61Q 1/08 20060101ALI20220516BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20220516BHJP
   A45D 40/00 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
A61K8/02
A61Q1/02
A61Q1/08
A61Q1/10
A45D40/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020188306
(22)【出願日】2020-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】500470840
【氏名又は名称】アサヌマ コーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100090251
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】秦 萌
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 大
(72)【発明者】
【氏名】遠田 浩明
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB152
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB432
4C083AC022
4C083AC372
4C083AC442
4C083AC862
4C083AD092
4C083BB51
4C083CC11
4C083CC12
4C083CC14
4C083DD04
4C083DD05
4C083DD17
4C083DD21
4C083DD47
4C083EE03
4C083EE05
4C083FF01
4C083FF06
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、複雑な形状及び模様を表現できる多層固形化粧料を提供することである。
【解決手段】前記課題は、本発明の少なくとも二層領域を有する固形化粧料であって、化粧料容器の枠に接していない少なくとも1つの二層領域を有する、固形化粧料によって解決することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二層領域を有する固形化粧料であって、化粧料容器の枠に接していない少なくとも1つの二層領域を有する、固形化粧料。
【請求項2】
単層領域及び二層領域を有しており、前記化粧料容器の枠に接していない二層領域に隣接して単層領域を有する、請求項1に記載の固形化粧料。
【請求項3】
前記化粧料容器の枠に接していない二層領域が、
(1)上層部及び下層部からなり、前記下層部は隣接する単層領域と連続している二層領域、及び/又は
(2)上層部及び下層部からなり、前記上層部は隣接する単層領域と連続している二層領域である、請求項2に記載の固形化粧料。
【請求項4】
(1)第1成形ユニットに固形化粧料原料を充填し、圧迫成形により、第1成形物を作製する工程、
(2)前記第1成形物を化粧料容器に挿入する工程、
(3)第2成形ユニットに固形化粧料原料を充填し、圧迫成形により、第2成形物を作製する工程、
(4)前記第2成形物を、前記第1成形物の上部から、化粧料容器に挿入する工程、
(5)前記第1成形物及び第2成形物が挿入された化粧料容器に、固形化粧料原料を充填する工程、及び
(6)前記化粧料容器の固形化粧料原料を圧迫成形する工程、
を含む、単層領域及び二層領域を有する固形化粧料の製造方法。
【請求項5】
前記工程(1)において、第1成形物として、単層領域、二層領域の下層部、又は単層領域及び二層領域の下層部を作製し、前記工程(3)において、第2成形物として、単層領域、又は二層領域の上層部及び/又は下層部を作製し、そして工程(5)において、単層領域、二層領域の上層部、又は単層領域及び二層領域の上層部を成形するための固形化粧料原料を充填する、請求項4に記載の固形化粧料の製造方法。
【請求項6】
前記工程(1)において、第1成形物として、単層領域及び二層領域の下層部を作製し、前記工程(3)において、第2成形物として、二層領域の上層部及び/又は下層部を作製し、そして工程(5)において、単層領域及び二層領域の上層部を成形するための固形化粧料原料を充填する、請求項4又は5に記載の固形化粧料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単層領域及び二層領域を有する固形化粧料、並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
色を組み合わせた複数色の化粧料が知られており、色の異なる化粧料を縦方向に積層する化粧料も開発されている(特許文献1~3)。例えば、特許文献1には、固形化粧料の表面に薄膜層の模様を有する化粧製品が開示されている。また、特許文献2には、透明容器に複数色の化粧料を積層したグラデーションの多色化粧料が開示されている。更に、引用文献3には、化粧皿の縦方向に積層された打型化粧料によって構成された下打型層と、その上に積層された上打型層を有する多色化粧料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-82578号公報
【特許文献2】特開2007-261949号公報
【特許文献3】特開2011-57573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の多色化粧料は、複雑な形状又は模様を表現できるものではなかった。
従って、本発明の目的は、複雑な形状及び模様を表現できる多層固形化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、複雑な形状又は模様を表現できる多層固形化粧料について、鋭意研究した結果、驚くべきことに、化粧料容器の枠に接していない二層領域を作成することにより、複雑な形状及び模様を作製できることを見出した。本発明者らの知る限りにおいて、「化粧料容器の枠に接していない二層領域」を有する固形化粧料は開発されていなかった。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
[1]少なくとも二層領域を有する固形化粧料であって、化粧料容器の枠に接していない少なくとも1つの二層領域を有する、固形化粧料、
[2]単層領域及び二層領域を有しており、前記化粧料容器の枠に接していない二層領域に隣接して単層領域を有する、[1]に記載の固形化粧料、
[3]前記化粧料容器の枠に接していない二層領域が、(1)上層部及び下層部からなり、前記下層部は隣接する単層領域と連続している二層領域、及び/又は(2)上層部及び下層部からなり、前記上層部は隣接する単層領域と連続している二層領域である、[2]に記載の固形化粧料、
[4](1)第1成形ユニットに固形化粧料原料を充填し、圧迫成形により、第1成形物を作製する工程、(2)前記第1成形物を化粧料容器に挿入する工程、(3)第2成形ユニットに固形化粧料原料を充填し、圧迫成形により、第2成形物を作製する工程、(4)前記第2成形物を、前記第1成形物の上部から、化粧料容器に挿入する工程、(5)前記第1成形物及び第2成形物が挿入された化粧料容器に、固形化粧料原料を充填する工程、及び(6)前記化粧料容器の固形化粧料原料を圧迫成形する工程、を含む、単層領域及び二層領域を有する固形化粧料の製造方法、
[5]前記工程(1)において、第1成形物として、単層領域、二層領域の下層部、又は単層領域及び二層領域の下層部を作製し、前記工程(3)において、第2成形物として、単層領域、又は二層領域の上層部及び/又は下層部を作製し、そして工程(5)において、単層領域、二層領域の上層部、又は単層領域及び二層領域の上層部を成形するための固形化粧料原料を充填する、[4]に記載の固形化粧料の製造方法、及び
[6]前記工程(1)において、第1成形物として、単層領域及び二層領域の下層部を作製し、前記工程(3)において、第2成形物として、二層領域の上層部及び/又は下層部を作製し、そして工程(5)において、単層領域及び二層領域の上層部を成形するための固形化粧料原料を充填する、[4]又は[5]に記載の固形化粧料の製造方法、
に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の固形化粧料、又は固形化粧料の製造方法によれば、多層固形化粧料において、複雑な形状又は模様を表現できる。また、本発明の固形化粧料は、使用に伴って二層領域の下層部の形状又は模様を浮き出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本願発明の固形化粧料の1つの実施態様を示した写真である。
図2】本願発明の製造方法の工程を示した写真である。
図3】本願発明の製造方法における工程(1)~(4)を模式的に示した斜視図である。
図4】本願発明の製造方法における工程(5)及び(6)を模式的に示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[1]固形化粧料
本発明の固形化粧料は、少なくとも二層領域を有する固形化粧料であって、化粧料容器の枠に接していない少なくとも1つの二層領域を有する。
前記の通り、本発明者らの知る限りにおいて、「化粧料容器の枠に接していない二層領域」を有する固形化粧料は開発されていなかった。限定されるものではないが、後述の固形化粧料の製造方法によって、「化粧料容器の枠に接していない二層領域」を作製することができる。
本発明の固形化粧料は、二層領域のみからなるものでもよいが、化粧料容器の枠に接していない少なくとも1つの二層領域を有する。
【0009】
本発明の固形化粧料は、好ましくは単層領域及び二層領域を有しており、前記化粧料容器の枠に接していない二層領域に隣接して単層領域を有する。前記化粧料容器の枠に接していない二層領域は、更に好ましくは、その周囲に単層領域を有する。なお、本発明の固形化粧料においては、単層領域の周囲に二層領域を有する形態が含まれてもよい。
【0010】
本発明の固形化粧料の二層領域は、上層部及び下層部からなる。本発明の1つの態様としては、(1)前記下層部が隣接する単層領域と連続している。また、本発明の1つの態様としては、(2)前記上層部が隣接する単層領域と連続している。本発明の固形化粧料は、前記態様(1)又は態様(2)を単独で含んでもよく、前記態様(1)又は態様(2)を一緒に含んでもよい。
【0011】
図1の本発明の固形化粧料を用いて、具体的に説明する。図2の固形化粧料は、「月」の形状の二層領域(1)、大小2つの「星」の形状の二層領域(2)及び(3)、2つの破線で示した「鳥」の形状の二層領域(4)及び(5)を有する。なお、「鳥」の形状の二層領域(4)及び(5)は、図2に示すように、鳥の形状の下層部の上に、固形化粧料の原材料を流し込み、上層部を成形することによって、二層領域としたものである。
前記二層領域(1)~(5)は、いずれも化粧料容器の枠に接していない。また、それぞれの二層領域(1)~(5)は、単層領域に隣接しており、周囲を単層領域に囲まれている。前記二層領域(1)~(3)における下層部は、隣接する単層領域と連続しており、二層領域から連続して単層領域を成形している。一方、前記二層領域(4)及び(5)における上層部は、隣接する単層領域と連続しており、二層領域から連続して単層領域を成形している。
本発明の固形化粧料が二層領域のみからなる場合、例えば図1の単層領域を、上層及び下層が同じ形状の二層領域とすることによって、作製することができる。
【0012】
前記単層領域及び二層領域の表面は平面でもよいが、凹凸を有していてもよい。凹凸を有する場合、凹凸は単層領域、又は二層領域の形状に沿ったものでもよく、単層領域の中に形状を成形する凹凸でもよく、二層領域の中に形状を成形する凹凸でもよい。凹凸は、例えば圧縮成形によって、成形することができる。
【0013】
本発明の固形化粧料は、単層領域及び二層領域を有する限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えばチーク、ファイスパウダー、ハイライター、アイブロウ、ファンデーション、ブロンザー、又はアイシャドウが挙げられる。本発明の固形化粧料の上方からの形状は、特に限定されるものではないが、長方形、正方形、円形、楕円形、十角形、九角形、八角形、七角形、六角形、五角形、四角形、星形、ハート型、涙型又は三角形が挙げられる。
【0014】
本発明の固形化粧料の色調は、化粧料の種類によって適宜選択することができる。単層領域、及び二層領域に沿って異なる色調を選択してもよい。単層領域又は二層領域の中で異なる色調を選択してもよい。更に、単層領域と二層領域とで同じ色調を選択することもできる。
【0015】
[2]固形化粧料の製造方法
本発明の固形化粧料の製造方法は、(1)第1成形ユニットに固形化粧料原料を充填し、圧迫成形により、第1成形物を作製する工程(以下、工程1と称することがある)、(2)前記第1成形物を化粧料容器に挿入する工程(以下、工程2と称することがある)、(3)第2成形ユニットに固形化粧料原料を充填し、圧迫成形により、第2成形物を作製する工程(以下、工程3と称することがある)、(4)前記第2成形物を、前記第1成形物の上部から、化粧料容器に挿入する工程(以下、工程4と称することがある)、(5)前記第1成形物及び第2成形物が挿入された化粧料容器に、固形化粧料原料を充填する工程(以下、工程5と称することがある)、及び(6)前記化粧料容器の固形化粧料原料を圧迫成形する工程(以下、工程6と称することがある)、を含む。
【0016】
《工程1》
前記工程1においては、第1成形ユニットに固形化粧料原料を充填し、圧迫成形により、第1成形物を作製する。
固形化粧料原料は、限定されるものではないが、後述の粉体及び油分を主成分とする。粉体及び油分を混合し、スラリー状の分散液を調製する。
分散液における粉体の含有量は、特に限定されるものではないが、下限は、例えば60重量%以上であり、好ましくは70重量%であり、更に好ましくは80重量%である。上限は、例えば95重量%であり、好ましくは90重量%であり、更に好ましくは85重量%である。前記下限と上限とは、適宜組み合わせることができる。
分散液における油分の含有量は、特に限定されるものではないが、下限は、例えば5重量%以上であり、好ましくは15重量%であり、更に好ましくは20重量%である。上限は、例えば40重量%であり、好ましくは35重量%であり、更に好ましくは25重量%である。前記下限と上限とは、適宜組み合わせることができる。
【0017】
前記分散液は、前記粉体及び油分に、更に溶媒を含む。溶媒を含むことによって、粉体及び油分の混合を容易にし、第一成形物の作製に適した混合物を得ることができる。
溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、エタノール、水、アセトン、シクロペンタシロキサン、イソプロパノール、水添ポリイソブテン、又はイソドデカンが挙げられる。溶媒の含有量は、分散液100重量%として、例えば溶媒30~60重量%追加し、好ましくは溶媒40~50重量%を追加する。なお、溶媒は、圧迫成形によって、ほとんど揮発するため、第一成形物の主要な含有物は、前記粉体及び油分となる。
【0018】
前記分散液を第1成形ユニットに充填する。第1成形ユニットは、限定されるものではないが、複数の単層領域及び/又は複数の二層領域を成形するために、好ましくは領域ごとに仕切りを有する。前記分散液は、限定されるものでないが、好ましくは第1成形ユニットの仕切られた領域の下部又は上部から、第1成形ユニットに充填される。しかしながら、化粧料容器の枠に接触している第1成形物は、側面から充填することができる。
第1成形ユニットに充填された分散液は、圧迫成形され、第1成形物が作製される。圧迫成形の方法は、特に限定されるものではない。
【0019】
工程(1)における第1成形物として、単層領域、二層領域の下層部、又は単層領域及び二層領域の下層部を作製することができるが、好ましくは単層領域及び二層領域の下層部である。二層領域の下層部の場合、図2の「工程1、2」に示されているように、圧迫成形によって窪んだ形状の下層部とすることができる。窪んだ形状とすることによって、この上部に、二層領域の上層部を成形することが容易になる。また、得られる固形化粧料が二層領域のみからなる場合、工程(1)における第1成形物は、二層領域の下層部を作製することが好ましい。
【0020】
《工程2》
前記工程2においては、前記第1成形物を化粧料容器に挿入する。化粧料容器への挿入は、特に限定されるものではないが、例えば第1成形ユニットの上部から、成形された第1成形物を落とし込むことにより、化粧料容器に挿入することができる(図2の「工程1、2」)。
化粧料容器は、成形物を収容できる限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えば、金皿、樹脂皿、又は紙皿が挙げられる。
【0021】
《工程3》
前記工程3においては、第2成形ユニットに固形化粧料原料を充填し、圧迫成形により、第2成形物を作製する。固形化粧料原料を用いて、前記工程1と同様にスラリー状の分散液を調製することができる。
前記分散液を、第2成形ユニットに充填する。第2成形ユニットは、限定されるものではないが、複数の単層領域及び/又は複数の二層領域を成形するために、好ましくは領域ごとに仕切りを有する。前記分散液は、限定されるものでないが、好ましくは第2成形ユニットの仕切られた領域の下部又は上部から、第2成形ユニットに充填される。
第2成形ユニットに充填された分散液は、圧迫成形され、第2成形物が作製される。圧迫成形の方法は、特に限定されるものではない。
【0022】
工程(3)における第2成形物として、単層領域、又は二層領域の上層部及び/又は二層領域の下層部を作製することができる。なお、得られる固形化粧料が二層領域のみからなる場合は、工程(3)における第2成形物として、二層領域の上層部及び/又は二層領域の下層部を作製する。
【0023】
《工程4》
前記工程4においては、前記第2成形物を化粧料容器に挿入する。化粧料容器への挿入は、特に限定されるものではないが、例えば第2成形ユニットの上部から、成形された第2成形物を落とし込むことにより、化粧料容器に挿入することができる(図2の「工程3、4」)。
また、前記第2成形物が二層領域の上層部の場合、図2の「工程3、4」に示されている「月」又は大小の「星」のように、圧迫成形によって窪んだ形状の二層領域の下層部の上部に挿入することができる。また、前記第2成形物が二層領域の下層部の場合、図2の「工程3、4」に示されている2つの「鳥」のように、化粧料容器に直接挿入することができる。
【0024】
《工程5》
前記工程5においては、前記第1成形物及び第2成形物が挿入された化粧料容器に、固形化粧料原料を充填する。
固形化粧料原料は、限定されるものではないが、後述の粉体及び油分を主成分とする。粉体及び油分を混合し、スラリー状の分散液を調製する。
分散液における粉体の含有量は、特に限定されるものではないが、下限は、例えば60重量%以上であり、好ましくは70重量%であり、更に好ましくは80重量%である。上限は、例えば95重量%であり、好ましくは95重量%であり、更に好ましくは85重量%である。前記下限と上限とは、適宜組み合わせることができる。
分散液における油分の含有量は、特に限定されるものではないが、下限は、例えば5重量%以上であり、好ましくは15重量%であり、更に好ましくは20重量%である。上限は、例えば40重量%であり、好ましくは35重量%であり、更に好ましくは25重量%である。前記下限と上限とは、適宜組み合わせることができる。
前記分散液は、前記粉体及び油分に、更に溶媒を含む。溶媒を含むことによって、粉体及び油分の混合を容易にし、第一成形物の作製に適した混合物を得ることができる。
溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、エタノール、水、アセトン、シクロペンタシロキサン、イソプロパノール、水添ポリイソブテン、又はイソドデカンが挙げられる。溶媒の含有量は、分散液を100重量%として、例えば溶媒を30~60重量%追加し、好ましくは40~50重量%追加する。なお、溶媒は、圧迫成形によって、ほとんど揮発するため、第一成形物の主要な含有物は、前記粉体及び油分となる。
【0025】
充填される固形化粧料原料は、単層領域、二層領域の上層部、又は単層領域及び二層領域の上層部を成形するための固形化粧料原料であるが、好ましくは単層領域及び二層領域の上層部である。単層領域の場合、図2の「工程3、4」に示されている、化粧料容器の第1成形物及び第2成形物が挿入されていない領域に、分散液を充填する。また、二層領域の上層部の場合、第2成形物として挿入された二層領域の下層部の上部に分散液を充填する(図2の「工程3、4」及び「工程5」)。また、得られる固形化粧料が二層領域のみからなる場合、工程(5)における固形化粧料原料は、二層領域の上層部を作製することが好ましい。
【0026】
《工程6》
前記工程6においては、前記化粧料容器の固形化粧料原料を圧迫成形する。圧迫成形の方法は、特に限定されるものではない。圧迫成形によって前記工程5で充填された固形化粧料原料(分散液)に模様を施すこともできる(図2の「工程6」)。また、それ以外の工程4までに挿入された第1成形物及び第2成形物の単層領域、及び二層領域の形状を整えることができる。圧迫成形には、湿式成形が含まれる。湿式成形法は、スラリー状の固形化粧料原料をプレスした後に溶媒を乾燥蒸発させて成形する方法である。
【0027】
《固形化粧料原料》
前記固形化粧料原料は、本分野で使用されているものを限定することなく使用することができるが主成分は粉体及び油分である。
粉体としては、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、無機粉体(例えば、無機顔料、又は無機体質顔料)、有機粉体(例えば、有機顔料、有機体質粉体)、光輝性粉体(パール剤又はラメ剤)、金属粉体、又はそれらを組み合わせた複合粉体が挙げられる。
【0028】
無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、タルク、マイカ、又はコンジョウを挙げることができるが、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、無機体質顔料としては、限定されるものではないが、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、アルミナ、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、合成金雲母、酸化セリウム、窒化ホウ素、硫酸Ba、硫酸Ca、金属セッケンとしてステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、又はウンデシレン酸亜鉛が挙げられる。
【0029】
有機顔料としては、例えば赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色305号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号及び青色404号や、更に赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号又は青色1号を挙げることができるが、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの有機顔料のジルコニウムレーキ、バリウムレーキ、又はアルミニウムレーキを用いることもできる。
有機体質粉体としては、限定されるものではないが、セルロース末、デンプン、ナイロン末、シリコーン、ポリアクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリスチレン、又はポリ乳酸が挙げられる。
【0030】
前記パール剤としては、限定されるものではないが、雲母チタン、ベンガラ被覆雲母、ベンガラ被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン、紺青被覆雲母チタン、酸化チタン被覆合成金雲母、ベンガラ・酸化チタン被覆合成金雲母、酸化チタン被覆ガラスフレーク、酸化チタン被覆アルミナフレーク、酸化チタン被覆シリカフレーク、シリカ被覆アルミニウム、酸化鉄・シリカ被覆アルミニウム、シリカ被覆鉄を挙げることができる。
ラメ剤としては、限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、エポキシ樹脂被覆アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート、アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート、ウレタン樹脂被覆アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂被覆アルミニウム末を挙げることができる。
【0031】
前記金属粉体としては、限定されるものではないが、アルミニウム末、白金、金、銀、又は銅が挙げられる。
【0032】
粉体は、表面処理を施されたものでもよい。具体的には、前記粉体がフッ素化合物、シリコーン化合物、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、金属石鹸、界面活性剤、又は水溶性高分子等で表面処理されたものを用いることができる。
【0033】
前記油分は、粉体と混合して造粒物を製造できる限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えばエステル油、炭化水素油、エーテル油、脂肪族アルコール、高級脂肪酸、動植物油、シリコーン、又はテルペン油を挙げることができる。
【0034】
エステル油としては、例えばミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸エチル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、カプリル酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、リシノール酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-ヘキシルデシル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸2-オクチルドデシル、リシノール酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジ2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、テトラミリスチン酸ペンタエリスリトール、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル(1)、ネオペンタン酸2-オクチルドデシル、2-エチルヘキサン酸2-ヘキシルデシル、2-エチルヘキサン酸イソステアリル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、ジメチルオクタン酸2-ヘキシルデシル、ジメチルオクタン酸2-オクチルドデシル、イソパルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸2-オクチルドデシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸2-オクチルドデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリ2-エチルヘキシル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリ2-オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ2-エチルヘキシル、セバシン酸ジブチルオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、又は12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリル、酢酸ポリオキシエチレン(3)モノオキシプロピレンセチルエーテル、又は酢酸ポリオキシエチレン(3)モノオキシプロピレンイソセチルエーテル等を挙げることができる。
【0035】
炭化水素油としては、オゾケライト、α-オレフィンオリゴマー、流動パラフィン、流動イソパラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、イソドデカン、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワラン、セレシン、パラフィン、ポリエチレン末、ポリブテン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、スクワレン、プリスタン、ワセリン、又はマイクロクリスタリンワックスを挙げることができる。
【0036】
前記脂肪族アルコールとしては、直鎖状の飽和アルコール(例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、又はベヘニルアルコール)、分岐状の飽和アルコール(例えば、イソステアリルアルコール、又はオクチルドデカノール)、又は不飽和アルコール(例えば、オレイルアルコール)などの炭素数が12~22のアルコール(いわゆる高級アルコール)を挙げることができる。
【0037】
前記高級脂肪酸としては、直鎖状の飽和脂肪酸(例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、12-ヒドロキシステアリン酸)、分岐状の飽和脂肪酸(例えば、イソステアリン酸)、不飽和脂肪酸(例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、ウンデシレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸)、トール酸、ラノリン酸などを挙げることができる。
【0038】
前記動植物油としては、例えばアボガド油、トウモロコシ油、月見草油、パーシック油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、シナモン油、アーモンド油、大豆油、大豆胚芽油、菜種油、高オレイン酸菜種油、コーン油、ゴマ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、高オレイン酸紅花油、ひまわり油、ミッドオレイックひまわり油、高オレイン酸ひまわり油、綿実油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、オリーブ油、米糠油、小麦胚芽油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂、卵黄油、ミンク油、牛脂、豚脂、ラード、鶏脂、乳脂、魚油、アザラシ油、及び藻類油、並びにそれらの分別油、硬化油、及びエステル交換油を挙げることができる。
【0039】
前記エーテル油としては、アルキル-1,3-ジメチルブチルエーテル、ノニルフェニルエーテルを挙げることができる。
【0040】
前記シリコーンとしては、限定されるものではないが、ジメチコン、メチルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、フェニルトリメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、(ステアロキシメチコン/ジメチコン)コポリマー、シクロペンタシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、メチコン、ハイドロゲンジメチコン等を挙げることができる。
【0041】
前記固形化粧料原料は、その他の成分を含むこともできる。その他の成分としては、水(例えば、イオン交換水)、保湿剤(例えば、ジプロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコール、ポリオキシプロピレン(9)グリセリルエーテル、ジヒドロキシプロピルアルギニン溶液、トリメチルグリシン、濃グリセリン、ソルビット、キシリトール、ヒアルロン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、セラミド類、又は加水分解ケラチン)、着色剤(例えば、顔料、又は色素)、粘度調整剤(例えば、メチルセルロース、ポリエチレングリコール)、乳化剤(例えば、モノステアリン酸グリセリン)、パール光沢付与剤(例えば、ジステアリン酸グリコール、又はジステアリン酸エチレングリコール)、塩類(例えば、塩化ナトリウム)、植物エキス類(例えば、カミツレエキス)、防腐剤(例えば、安息香酸ナトリウム)、防腐助剤(例えば、ファノキシエタノール、ペンチレングリコール、カプリル酸グリセリル、又は1,2-ヘキサンジオール)、ビタミン剤、香料、紫外線吸収剤、抗酸化剤、湿潤剤、キレート剤(EDTA-2Na)、pH調整剤(例えば、クエン酸、又は酒石酸)が挙げられる。その他の成分の含有量は、特に限定されるものではないが、例えば0~20重量%であり、好ましくは0~10重量%である。
【実施例0042】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0043】
《実施例1》
本実施例では、図3及び図4に記載の工程で固形化粧料を作製した。
第1成形物として、「青色の空(1)」、「金色の星(2)」、「ピンクの星の尾(4)」、「青の星の尾(3)」を作製するために、スラリー状分散液を表1~4の組成で調整した。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
得られたそれぞれのスラリー状分散剤を、充填ポンプから第1成形ユニットに充填し、圧迫成形により、それぞれの第1成形物を得た。得られた第1成形物を、金皿(10)に落とし込んだ。
【0049】
次に、第2成形物として、「金色の月(5)」、「金色の星(大)(6)」、「金色の星(小)(7)」、「青色の鳥(8)」、「ピンクの鳥(9)」を作製するために、スラリー状分散液を表2の組成で調整した。「金色の月」等の組成は、前記「金色の星」と同じであり、「青色の鳥」の組成は、前記「青色の空」と同じであり、「ピンクの鳥」の組成は、前記「ピンクの星の尾」と同じである。
得られたそれぞれのスラリー状分散剤を、充填ポンプから第2成形ユニットに充填し、圧迫成形により、それぞれの第2成形物を得た。得られた第2成形物を、金皿(10)に落とし込んだ。
【0050】
次に、第1成形物及び第2成形物が挿入された金皿に、第3成形物として「白い雲(11、12)」を作製するために、スラリー状の分散液を表3の組成で調整した。「白い雲」の組成は、前記「金色の星」と同じである。
得られた分散液を、前記第2成形物の「青色の鳥」、「ピンクの鳥」の上部に充填した。湿式成形により、固形化粧料を得た。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の固形化粧料は、チーク、ファイスパウダー、ハイライター、アイブロウ、ファンデーション、ブロンザー、又はアイシャドウとして使用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1・・・第1成形物(青色の空);
2・・・第1成形物(金色の星);
3・・・第1成形物(青の星の尾);
4・・・第1成形物(ピンクの星の尾);
5・・・第2成形物(金色の月);
6・・・第2成形物(金色の星(大));
7・・・第2成形物(金色の星(小));
8・・・第2成形物(青色の鳥);
9・・・第2成形物(ピンクの鳥);
10・・・金皿(化粧料容器);
11・・・第3成形物(白い雲);
12・・・第3成形物(白い雲);
図1
図2
図3
図4