(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077450
(43)【公開日】2022-05-23
(54)【発明の名称】演算装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20220516BHJP
E01C 23/01 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
G08G1/00 J
E01C23/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020188320
(22)【出願日】2020-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼松 伸一
(72)【発明者】
【氏名】首藤 悠
【テーマコード(参考)】
2D053
5H181
【Fターム(参考)】
2D053AA32
5H181AA01
5H181AA15
5H181BB04
5H181BB20
5H181CC04
5H181EE11
5H181FF05
5H181MC02
5H181MC12
5H181MC19
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】路面状態を適切に確認する。
【解決手段】演算装置14は、所定の時間ごとに検出された、路面を走行する車両の挙動を示す車両挙動情報、及び車両挙動情報が検出された際の車両の位置情報を取得する車両挙動情報取得部40と、所定の距離ごとに検出された、路面の状態を示す路面状態情報、及び路面状態情報が検出された路面の位置情報を取得する路面状態情報取得部42と、車両の位置情報、路面の位置情報、及び路面状態情報に基づき、車両挙動情報が検出された位置の路面の状態を示す補正路面状態情報を生成する補正路面情報生成部44と、補正路面状態情報と車両挙動情報とを関連付けた関連情報を生成する関連情報生成部46と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の時間ごとに検出された、路面を走行する車両の挙動を示す車両挙動情報、及び前記車両挙動情報が検出された際の前記車両の位置情報を取得する車両挙動情報取得部と、
所定の距離ごとに検出された、路面の状態を示す路面状態情報、及び前記路面状態情報が検出された路面の位置情報を取得する路面状態情報取得部と、
前記車両の位置情報、前記路面の位置情報、及び前記路面状態情報に基づき、前記車両挙動情報が検出された位置の路面の状態を示す補正路面状態情報を生成する補正路面情報生成部と、
前記補正路面状態情報と前記車両挙動情報とを関連付けた関連情報を生成する関連情報生成部と、
を含む、演算装置。
【請求項2】
前記関連情報を教師データとして、路面を走行する車両の挙動と路面の状態との対応関係を機械学習させる学習部をさらに含む、請求項1に記載の演算装置。
【請求項3】
前記補正路面情報生成部は、前記車両の位置情報が示す位置から所定距離範囲内の位置で検出された前記路面状態情報に基づいて、前記車両の位置情報が示す位置での前記補正路面状態情報を生成する、請求項1又は請求項2に記載の演算装置。
【請求項4】
前記補正路面情報生成部は、前記車両挙動情報を検出した第1タイミングにおける前記車両の位置情報と、前記第1タイミングの直前で前記車両挙動情報を検出した第2タイミングにおける前記車両の位置情報とに基づいて、前記第1タイミング又は前記第2タイミングで前記車両挙動情報が検出された位置での補正路面状態情報を算出する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の演算装置。
【請求項5】
前記補正路面情報生成部は、
前記第1タイミングにおける前記車両の位置と前記第2タイミングにおける前記車両の位置とを含む領域である車両存在領域を設定し、
前記路面の位置情報に基づき、前記車両存在領域内の前記路面状態情報を抽出し、
抽出した前記路面状態情報に基づいて、前記第1タイミング又は前記第2タイミングで前記車両挙動情報が検出された位置での補正路面状態情報を算出する、請求項4に記載の演算装置。
【請求項6】
前記補正路面情報生成部は、
緯度及び経度による座標系を複数の単位領域に区分し、
前記第1タイミングにおける前記車両の位置と前記第2タイミングにおける前記車両の位置とを結ぶ線分に重なる前記単位領域を抽出し、
前記線分に重なる単位領域における前記路面状態情報を抽出し、抽出した前記路面状態情報に基づいて、前記第1タイミング又は前記第2タイミングで前記車両挙動情報が検出された位置での補正路面状態情報を算出する、請求項4に記載の演算装置。
【請求項7】
前記補正路面情報生成部は、
前記路面状態情報取得部によって取得された前記路面の位置情報のうち、前記第1タイミングで検出された前記車両の位置情報が示す位置に最も近い第1路面位置と、前記第2タイミングで検出された前記車両の位置情報が示す位置に最も近い第2路面位置とを抽出し、
路面の延在方向において前記第1路面位置から前記第2路面位置までの間で検出された前記路面状態情報を抽出し、抽出した前記路面状態情報に基づいて、前記第1タイミング又は前記第2タイミングで前記車両挙動情報が検出された位置での補正路面状態情報を算出する、請求項4に記載の演算装置。
【請求項8】
前記補正路面情報生成部は、抽出した前記路面状態情報の平均値を、前記補正路面状態情報として算出する、請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の演算装置。
【請求項9】
所定の時間ごとに検出された、路面を走行する車両の挙動を示す車両挙動情報、及び前記車両挙動情報が検出された際の前記車両の位置情報を取得する車両挙動情報取得ステップと、
所定の距離ごとに検出された、路面の状態を示す路面状態情報、及び前記路面状態情報が検出された路面の位置情報を取得する路面状態情報取得ステップと、
前記車両の位置情報、前記路面の位置情報、及び前記路面状態情報に基づき、前記車両挙動情報が検出された位置の路面の状態を示す補正路面状態情報を生成する補正路面情報生成ステップと、
前記補正路面状態情報と前記車両挙動情報とを関連付けた関連情報を生成する関連情報生成ステップと、
を含む、演算方法を、コンピュータに実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演算装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地方自治体などの道路を管理する団体では、通常、作業員が乗車した車両で道路を巡回しつつ、作業員が目視で路面の状態を確認している。そして、路面損傷を発見した場合などには、路面状態を直接測定する専用の測定車を用いて、詳細な路面状態を測定している。路面状態を示す指標としては、例えば特許文献1に示すように、IRI(International Roughness Index;国際ラフネス指数)が用いられる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来においては、作業員が道路を巡回して路面状態を目視確認するため、作業者の負担が大きくなってしまう。また、専用の測定車は費用が高額であるため、費用の観点からも作業負担が大きくなっている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、路面状態を確認するための、作業者の負担及び費用を低減可能な演算装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る演算装置は、所定の時間ごとに検出された、路面を走行する車両の挙動を示す車両挙動情報、及び前記車両挙動情報が検出された際の前記車両の位置情報を取得する車両挙動情報取得部と、所定の距離ごとに検出された、路面の状態を示す路面状態情報、及び前記路面状態情報が検出された路面の位置情報を取得する路面状態情報取得部と、前記車両の位置情報、前記路面の位置情報、及び前記路面状態情報に基づき、前記車両挙動情報が検出された位置の路面の状態を示す補正路面状態情報を生成する補正路面情報生成部と、前記補正路面状態情報と前記車両挙動情報とを関連付けた関連情報を生成する関連情報生成部と、を含む。
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係るプログラムは、所定の時間ごとに検出された、路面を走行する車両の挙動を示す車両挙動情報、及び前記車両挙動情報が検出された際の前記車両の位置情報を取得する車両挙動情報取得ステップと、所定の距離ごとに検出された、路面の状態を示す路面状態情報、及び前記路面状態情報が検出された路面の位置情報を取得する路面状態情報取得ステップと、前記車両の位置情報、前記路面の位置情報、及び前記路面状態情報に基づき、前記車両挙動情報が検出された位置の路面の状態を示す補正路面状態情報を生成する補正路面情報生成ステップと、前記補正路面状態情報と前記車両挙動情報とを関連付けた関連情報を生成する関連情報生成ステップと、を含む、演算方法を、コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、路面状態を確認するための、作業者の負担及び費用を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る検出システムの模式的なブロック図である。
【
図3】
図3は、演算装置の模式的なブロック図である。
【
図4】
図4は、車両挙動情報と路面状態情報とが検出される位置を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、車両挙動情報と路面状態情報とが検出される位置を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、補正路面状態情報の生成方法の一例を説明する模式図である。
【
図7】
図7は、補正路面状態情報の生成方法の他の一例を説明する模式図である。
【
図8】
図8は、補正路面状態情報の生成方法の他の一例を説明する模式図である。
【
図9】
図9は、補正路面状態情報の生成方法の他の一例を説明する模式図である。
【
図11】
図11は、本実施形態に係る学習モデルの学習方法の処理フローを説明するフローチャートである。
【
図13】
図13は、本実施形態に係る路面状態の判定フローを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
(検出システム)
図1は、本実施形態に係る検出システムの模式的なブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る検出システム1は、車両10と、測定データ取得装置12と、演算装置14とを含む。検出システム1は、道路を走行する車両10の車両挙動情報に基づき、その道路の路面Rの状態を判定するシステムである。車両挙動情報とは、道路を走行中の車両10の挙動を示す情報であり、詳しくは後述する。検出システム1は、演算装置14によって、車両挙動情報に基づいて路面Rの状態を示す路面状態情報を算出することで、路面Rの状態を判定する。路面状態情報は、本実施形態では路面Rの凹凸度合いを示す指標である。より詳しくは、本実施形態においては、路面状態情報とは、IRI(International Roughness Index;国際ラフネス指数)である。ただし、路面状態情報は、IRIに限られず、路面Rの凹凸度合いを示す任意の指標であってよい。例えば、路面状態情報は、IRI、路面Rの平たん性、ひび割れ、わだち掘れ、及びMCI(Meintenance Control Index)の少なくとも1つであってもよい。また例えば、路面状態情報は、例えば、路面R上の、マンホールの有無や橋の継ぎ目の有無など、路面Rの凹凸度合いに影響を及ぼす物体の有無を示す情報であってよいし、路面Rの凹凸度合いに影響を及ぼす物体の有無を示す情報と、上記の情報(IRIなど)とを含むものであってもよい。また、路面状態情報は、路面Rの状態を示す指標であれば、路面Rの凹凸度合いを示す指標に限定されない。
【0012】
検出システム1においては、車両10が、道路を走行しながら車両挙動情報を検出し、検出した車両挙動情報を測定データ取得装置12に送信する。測定データ取得装置12は、例えば道路を管理する主体に管理される装置(コンピュータ)である。測定データ取得装置12は、車両10から送信された車両挙動情報を、演算装置14に送信する。演算装置14は、測定データ取得装置12から送信された車両挙動情報に基づき、車両10が走行した道路の路面Rの状態を判定する。そして、演算装置14は、路面Rの状態の判定結果を、測定データ取得装置12に送信する。このように、演算装置14は、測定データ取得装置12を介して車両挙動情報を取得するが、それに限られない。例えば、検出システム1は、測定データ取得装置12が設けられておらず、演算装置14が、車両10から直接車両挙動情報を取得してもよい。
【0013】
(車両)
図2は、車両の模式図である。
図2に示すように、車両10は、位置センサ10Aと、挙動センサ10Bと、測定装置10Cとを備える。位置センサ10Aは、車両10の位置情報を取得するセンサである。車両10の位置情報とは、車両10の地球座標を示す情報である。位置センサ10Aは、本実施形態ではGNSS(Global Navivation Satelite System)用のモジュールである。なお、
図2におけるZ方向は、鉛直方向の上方を指し、
図2は鉛直方向上方から車両10を見た場合の模式図といえる。
【0014】
挙動センサ10Bは、車両10の挙動を示す車両挙動情報を検出するセンサである。車両挙動情報は、道路を走行中の車両10の挙動を示す情報であれば任意であってよいが、本実施形態では、少なくとも車両10の加速度の情報を含むことが好ましい。この場合、挙動センサ10Bは、加速度を検出する加速度センサであり、より好ましくは3軸での加速度を検出する加速度センサである。また、車両挙動情報は、加速度であることに限られず、例えば、加速度、車両10の周囲を撮像した画像データ、車両10の速度、車両10の角速度、車両10のステアリング角度、車両10のブレーキ量、車両10のワイパの動作、及び車両10のサスペンションの作動量の少なくとも1つであってよい。なお、車両10の周囲の画像データは、車両10の動きによって変化するため、車両10の挙動を示す情報であるといえる。車両10の周囲の撮像画像を検出する挙動センサ10Bは例えばカメラであり、車両10の速度を検出する挙動センサ10Bは例えば速度センサであり、車両10の角速度を検出する挙動センサ10Bは例えば3軸ジャイロセンサであり、車両10のステアリング角度を検出する挙動センサ10Bは例えばステアリングセンサであり、車両10のブレーキ量を検出する挙動センサ10Bは例えばブレーキセンサであり、車両10のワイパの動作を検出する挙動センサ10Bは例えばワイパセンサが挙げられ、車両10のサスペンションの作動量を検出する挙動センサ10Bは例えばサスペンションセンサが挙げられる。挙動センサ10Bの数及び種類は任意であり、検出する車両挙動情報に応じて搭載される。
【0015】
測定装置10Cは、位置センサ10A及び挙動センサ10Bを制御して車両10の位置情報と車両挙動情報を検出させて、検出させた位置情報と車両挙動情報とを記録する装置である。すなわち、測定装置10Cは、車両10の位置情報と車両挙動情報とを記録するデータロガーとして機能する。測定装置10Cは、コンピュータであるとも言え、制御部10C1と、記憶部10C2と、通信部10C3とを含む。制御部10C1は、演算装置、すなわちCPU(Central Processing Unit)である。記憶部10C2は、制御部10C1の演算内容やプログラム、車両10の位置情報及び車両挙動情報などの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性の記憶装置のうち、少なくとも1つ含む。なお、記憶部10C2が保存する制御部10C1用のプログラムは、測定装置10Cが読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。通信部10C3は、外部の装置と通信を行う通信モジュールであり、例えばアンテナなどである。
【0016】
制御部10C1は、記憶部10C2に記憶されたプログラムを読み出して、位置センサ10A及び挙動センサ10Bの制御を実行する。制御部10C1は、車両10が道路を走行中に、所定時間ごとに、挙動センサ10Bに車両10の車両挙動情報を検出させる。また、制御部10C1は、位置センサ10Aに、挙動センサ10Bが車両挙動情報を検出したタイミングにおける車両10の位置情報を検出させる。すなわち、制御部10C1は、車両10が所定時間走行するたびに、挙動センサ10Bに車両10の車両挙動情報を検出させ、位置センサ10Aに車両10の位置情報を検出させる。ここでの所定時間とは、例えば1分など、一定の時間であることが好ましいが、所定時間は一定の時間であることに限られず、任意の長さであってよい。すなわち、所定時間は都度変化してもよく、例えば前回検出を行ってから1分経過したタイミングで今回の検出を行い、今回の検出から3分経過したタイミングで次回の検出を行ってもよい。
【0017】
以下、挙動センサ10Bが車両挙動情報を検出したタイミングにおける車両10の位置情報を、適宜、車両位置情報と記載する。車両位置情報は、車両挙動情報が検出された位置の情報(座標)ともいえる。
【0018】
制御部10C1は、所定時間ごとに検出させた車両10の車両挙動情報と、車両位置情報とを取得し、取得した車両挙動情報と車両位置情報とを関連付けて、記憶部10C2に記憶させる。すなわち、同じタイミングで検出された車両挙動情報と車両位置情報とが、関連付けられる。そのため、記憶部10C2には、関連付けられた車両挙動情報と車両位置情報とが、検出されたタイミング毎に記憶される。なお、ここで関連付けられる車両位置情報と車両挙動情報とは、同じタイミングで検出されたものであるが、厳密に同じタイミングであることに限られず、異なるタイミングで検出されたものであってよい。この場合、例えば、検出タイミングの差が所定値以下となる車両位置情報と車両挙動情報とが、同じタイミングで検出されたものとして扱われて、関連付けられる。
【0019】
なお、本実施形態では、異なる種類の車両挙動情報を検出することが好ましく、この場合、異なる種類の車両挙動情報と、車両位置情報とが、関連付けられる。すなわち例えば、車両挙動情報として車両10の加速度と角速度とが検出されて、加速度と角速度と車両位置情報とが、関連付けられる。
【0020】
制御部10C1は、関連付けられた車両挙動情報と車両位置情報とを、通信部10C3を介して、測定データ取得装置12に送信する。測定データ取得装置12は、車両10から受信した車両挙動情報と車両位置情報とを、演算装置14に送信する。なお、測定データ取得装置12を設けない場合は、制御部10C1は、関連付けられた車両挙動情報と車両位置情報とを、演算装置14に直接送信してもよい。
【0021】
以上説明したように、車両挙動情報は、道路を走行する車両10によって検出されるが、それに限られず、例えば道路の上空を飛行するドローンなどの飛行体によって検出されてもよい。すなわち、飛行体が、車両10が道路を走行したと仮定した場合に示す挙動を、車両挙動情報として検出してもよい。言い換えれば、車両挙動情報を検出する主体は、道路を走行する車両に限られず、道路の上空を飛行する飛行体など、任意の移動体であってよい。飛行体によって車両挙動情報を検出する場合には、車両挙動情報は、例えば飛行体の周囲の画像データであってよい。
【0022】
(演算装置)
演算装置14は、関連付けられた車両挙動情報と車両位置情報とを取得する。演算装置14は、車両挙動情報及び車両位置情報と、路面Rの状態を示す既知の路面状態情報とを用いて、路面Rの状態を判定するための学習モデルに機械学習させる。そして、演算装置14は、機械学習させた学習モデルNを用いて、路面状態の検出が必要な路面Rを走行した車両10の車両挙動情報に基づいて、その路面Rの状態を判定する。学習モデルNは、AI(Artificial Interigence)における学習モデルを指す。学習モデルNは、車両挙動情報が入力されることで、路面状態情報を出力して、路面Rの状態を判定する。
【0023】
図3は、演算装置の模式的なブロック図である。
図3に示すように、演算装置14は、例えばコンピュータであり、通信部20と、記憶部22と、制御部24とを含む。通信部20は、外部の装置と通信を行う通信モジュールであり、例えばアンテナなどである。記憶部22は、制御部24の演算内容やプログラム、学習モデルNなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、フラッシュメモリやHDDなどの不揮発性の記憶装置のうち、少なくとも1つ含む。なお、記憶部22が保存する制御部24用のプログラムや学習モデルNは、演算装置14が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0024】
制御部24は、演算装置、すなわちCPUである。制御部24は、学習モデルNを学習させる学習モデル生成部30と、学習済みの学習モデルNによって路面Rの状態判定を行う結果取得部32とを含む。学習モデル生成部30は、車両挙動情報取得部40と、路面状態情報取得部42と、補正路面情報生成部44と、関連情報生成部46と、学習部48とを含む。制御部24は、記憶部22からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、車両挙動情報取得部40と路面状態情報取得部42と補正路面情報生成部44と関連情報生成部46と学習部48と結果取得部32とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部24は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、車両挙動情報取得部40と路面状態情報取得部42と補正路面情報生成部44と関連情報生成部46と学習部48と結果取得部32との少なくとも一部を、ハードウェアで実現してもよい。
【0025】
以降においては、演算装置14による学習モデルの学習方法を説明し、その後に、学習済みの学習モデルNを用いた路面Rの状態の判定方法を説明する。
【0026】
(学習モデルの学習処理)
(車両挙動情報取得部)
車両挙動情報取得部40は、関連付けられた車両挙動情報と車両位置情報とを取得する。すなわち、車両挙動情報取得部40は、車両10の測定装置10Cによって検出された、道路(路面R)を走行した車両10の挙動を示す車両挙動情報と、その車両挙動情報が検出された位置の位置情報とを、取得する。上述のように、車両挙動情報は、所定時間毎に検出されるデータである。従って、車両挙動情報取得部40は、所定時間毎に検出された、道路を走行する車両10の車両挙動情報と、道路を走行中の車両10の位置情報とを取得するといえる。
【0027】
なお、車両挙動情報取得部40は、通信部20を介して、測定データ取得装置12から、所定時間毎に検出された車両挙動情報と車両位置情報とを取得するが、車両10から直接取得してもよい。
【0028】
(路面状態情報取得部)
路面状態情報取得部42は、路面状態情報と、その路面状態情報が検出された路面Rの位置情報とを、取得する。路面状態情報取得部42は、教師データ用の車両挙動情報を検出する際に車両10が走行する道路の路面状態情報を、取得する。また、路面状態情報が検出された路面Rの位置情報とは、路面状態情報を検出した位置を示す位置情報であるともいえる。以下、路面状態情報が検出された路面Rの位置情報を、適宜、路面位置情報と記載する。
【0029】
路面状態情報取得部42は、道路に沿って所定距離ごとに検出された路面状態情報と、路面位置情報とを取得する。すなわち、路面状態情報取得部42は、所定距離ごとの路面Rの状態の情報を、路面状態情報として取得し、その路面状態情報が検出された位置の位置情報を、路面位置情報として取得する。ここでの所定距離とは、例えば1mなど、一定の距離であることが好ましいが、所定距離は一定の距離であることに限られず、任意の距離であってよい。すなわち、所定距離は都度変化してもよく、例えば、路面状態情報が検出されたある位置と、その位置から最も近くで路面状態情報が検出された位置との間の距離が1mであり、路面状態情報が検出された他の位置と、その位置から最も近くで路面状態情報が検出された位置との間の距離が3mであってもよい。
【0030】
路面状態情報取得部42は、任意の方法で路面状態情報と路面位置情報とを取得してよい。例えば、路面状態情報取得部42は、通信部20を介して、外部の機器から路面状態情報と路面位置情報とを取得してもよいし、記憶部22に予め記憶されていた路面状態情報と路面位置情報とを読み出してもよい。また、路面状態情報取得部42が取得する路面状態情報及び路面位置情報は、予め検出(測定)された情報であってもよいし、学習モデルNの教師データとして用いるために、検出されてもよい。
【0031】
(車両挙動情報と路面状態情報とが検出される位置)
図4は、車両挙動情報と路面状態情報とが検出される位置を模式的に示す図である。以上説明したように、車両挙動情報が所定時間毎に検出されたデータであるのに対し、路面状態情報は、所定距離毎に検出されたデータである。そのため、車両挙動情報を検出した位置である車両位置情報と路面状態情報を検出した位置である路面位置情報とが、一致しない場合がある。
図4は、同じ道路における、車両挙動情報を検出した位置と路面状態情報を検出した位置との例を示している。より詳しくは、
図4の位置P1-P4は、車両挙動情報が検出された位置を示している。すなわち、位置P1で車両挙動情報が検出され、その所定時間後に位置P2で車両挙動情報が検出され、その所定時間後に位置P3で車両挙動情報が検出され、その所定時間後に位置P4で車両挙動情報が検出されることを示している。
図4に示すように、車両挙動情報が検出される位置P1-P4は、車両10の速度が変化するなどの理由により、所定の間隔(距離毎)で並んでいない場合がある。また、
図4の位置P5-P11は、路面状態情報が検出された位置を示している。すなわち、位置P5-P11のそれぞれの位置における路面状態情報が検出されることを示している。
図4に示すように、路面状態情報が検出される位置P5-P11は、所定の間隔(所定の距離)で並んでいる。そのため、位置P1-P4と位置P5-P11とは、位置(座標)がずれている。
【0032】
ここで、学習モデルNは、車両挙動情報を入力値として路面状態情報を出力するように設定されるため、車両挙動情報と、その車両挙動情報が検出された位置における路面状態情報とを、1つのデータセットとして、教師データを準備する必要がある。しかし、上述のように、車両挙動情報を検出した位置と路面状態情報を検出した位置とが一致しない場合がある。そのため、車両挙動情報取得部40が取得した車両挙動情報と、路面状態情報取得部42が取得した路面状態情報とを、そのまま教師データのデータセットとして用いると、学習モデルに適切に学習させられない可能性がある。それに対し、本実施形態に係る演算装置14は、補正路面情報生成部44によって、路面状態情報取得部42が取得した路面状態情報を、車両挙動情報を検出した位置における路面状態情報に補正して、すなわち後述の補正路面状態情報を生成して、教師データとする。以下、具体的に説明する。
【0033】
(補正路面情報生成部)
補正路面情報生成部44は、車両挙動情報取得部40が取得した車両位置情報(車両挙動情報が検出された位置)と、路面状態情報取得部42が取得した路面位置情報(路面状態情報が検出された位置)と、路面状態情報取得部42が取得した路面状態情報とに基づき、補正路面状態情報を生成する。補正路面情報は、車両挙動情報が検出された位置における路面状態情報であり、車両挙動情報を検出したタイミングで車両10が走行していた位置における路面状態情報であるともいえる。
図5は、車両挙動情報と路面状態情報とが検出される位置を模式的に示す図である。
図5の例では、位置P1-P4(車両挙動情報が検出された位置)と、位置P5-P10(路面状態情報が検出された位置)と、位置P5-P10における路面状態情報とに基づき、位置P1’-位置P4’における路面状態情報である補正路面状態情報が生成されることを示している。位置P1’-位置P4’は、それぞれ位置P1-P4と同じ位置(座標)である。
【0034】
以下、位置PA1での車両挙動情報が取得され、位置PA1での補正路面状態情報を生成することを例にして、補正路面情報の生成方法についてより具体的に説明する。すなわち、以下の例では、車両挙動情報取得部40が、位置PA1での車両挙動情報と、位置PA1を示す車両位置情報とを取得し、補正路面情報生成部44が、位置PA1における補正路面状態情報を生成する方法を説明する。ただし、補正路面状態情報の生成方法は、以下の例に限られず、補正路面情報生成部44は、車両位置情報と路面位置情報と路面状態情報とを用いた任意の方法で、補正路面情報を生成してよい。
【0035】
補正路面情報生成部44は、位置PA1から所定距離範囲内の位置で検出された路面状態情報に基づいて、位置PA1(車両位置情報が示す位置)での補正路面状態情報を生成する。補正路面情報生成部44は、車両挙動情報が検出された位置PA1と、路面状態情報が検出された位置とに基づいて、位置PA1から所定距離範囲内で検出された路面状態情報を抽出する。そして、補正路面情報生成部44は、抽出した路面状態情報に基づき、位置PA1での補正路面状態情報を生成する。このように位置PA1から所定距離範囲内で検出された路面状態情報を用いることで、位置PA1における補正路面状態情報を、高精度で算出できる。
【0036】
位置PA1から所定距離範囲内で検出された路面状態情報を用いて、位置PA1での補正路面状態情報を生成する処理の一例について、説明する。例えば、補正路面情報生成部44は、補正路面状態情報を算出したい位置PA1と、路面状態情報が検出された位置との間の距離L0を、路面状態情報毎に算出する。そして、補正路面情報生成部44は、それぞれの路面状態情報のうち、距離L0が所定の閾値以下となった路面状態情報を抽出する。補正路面情報生成部44は、抽出した路面状態情報に基づき、位置PA1での補正路面状態情報を生成する。この場合例えば、補正路面情報生成部44は、抽出した路面状態情報の平均値を算出して、その平均値を、位置PA1での補正路面状態情報とする。なお、位置PA1から所定距離範囲内で検出された路面状態情報を用いる処理は、これに限られない。例えば、以降の
図6~
図9で説明する方法でも、位置PA1から所定距離範囲内の位置で検出された路面状態情報に基づいて、位置PA1での補正路面状態情報を生成しているといえる。
【0037】
また、位置PA1の車両挙動情報が、所定の第1タイミングで検出され、第1タイミングの直前で車両挙動情報が検出されたタイミングを、第2タイミングとし、第2タイミングにおいて、位置PA2の車両挙動情報が検出されたとする。この場合、補正路面情報生成部44は、位置PA1(第1タイミングにおける車両10の位置情報)と、位置PA2(第2タイミングにおける車両10の位置)とに基づいて、位置PA1での補正路面情報(第1タイミングで車両挙動情報が検出された位置での補正路面情報)を、生成する。このように位置PA1と、直前で車両挙動情報を検出した位置PA2とを用いることで、位置PA1における補正路面状態情報を、高精度で算出できる。なお、ここでは、位置PA1(第1タイミングにおける車両10の位置情報が示す位置)と、位置PA2(第2タイミングにおける車両10の位置情報が示す位置)とに基づいて、位置PA1での補正路面情報を算出するが、それに限られず、位置PA1と位置PA2とに基づいて、位置PA2での補正路面情報を算出してもよい。すなわち、補正路面情報生成部44は、位置PA1と位置PA2とに基づいて、位置PA1又は位置PA2での補正路面情報を算出してよい。以降の説明でも、位置PA1での補正路面情報を算出する例を説明しているが、同様に、位置PA2での補正路面情報を算出してもよい。
【0038】
以下、補正路面状態情報の生成方法のより詳細な具体例を説明する。
図6は、補正路面状態情報の生成方法の一例を説明する模式図である。
図6の例において、補正路面情報生成部44は、緯度及び経度による座標系を、複数の単位領域ARに区分する。補正路面情報生成部44は、道路(路面R)が存在する場所を含む領域を、所定の緯度及び経度毎に区切ることで、複数の単位領域ARに区分する。すなわち、それぞれの単位領域ARは、所定の緯度範囲と経度範囲とを占める領域であり、緯度範囲と経度範囲とが単位領域AR毎に異なる。なお、
図6の例では、単位領域ARは、緯度範囲と経度範囲とが等しい正方形の領域となっているが、それに限られず、緯度範囲と経度範囲とを任意に設定してよく、形状も正方形に限られず任意になっていてよい。
【0039】
補正路面情報生成部44は、単位領域ARの位置情報(緯度範囲と経度範囲)と、路面状態情報取得部42が取得した路面位置情報(路面状態情報が検出された位置)とに基づき、単位領域ARに路面位置情報を割り当てる。より詳しくは、補正路面情報生成部44は、路面状態情報が検出された位置を範囲に含む単位領域ARに、その路面状態情報を割り当てる。
図6の例では、路面状態情報が検出された位置として、位置PB1-PB6が示されている。そして、位置PB1を範囲に含む単位領域AR1には、位置PB1における路面状態情報が割り当てられ、位置PB2を範囲に含む単位領域AR2には、位置PB2における路面状態情報が割り当てられ、位置PB3を範囲に含む単位領域AR3には、位置PB3における路面状態情報が割り当てられる。また、
図6の例では、位置PB4は、単位領域AR4と単位領域AR5の境界位置にあるため、単位領域AR4、AR5には、位置PB4における路面状態情報が割り当てられる。また、位置PB5を範囲に含む単位領域AR6には、位置PB5における路面状態情報が割り当てられ、位置PB6を範囲に含む単位領域AR7には、位置PB6における路面状態情報が割り当てられる。このように、
図6の例では、路面状態情報が検出された位置を範囲に含む単位領域ARに、その路面状態情報を割り当てるが、それに限られない。例えば路面状態情報が検出された位置を範囲に含まない場合でも、その路面状態情報が検出された位置に対して所定距離範囲内にある単位領域ARに、その路面状態情報を割り当ててもよい。
【0040】
そして、
図6の例では、補正路面情報生成部44は、位置PA1と位置PA2とを結ぶ線分Lに重なる単位領域ARを抽出し、線分Lに重なる単位領域ARに割り当てられた路面状態情報に基づいて、位置PA1での補正路面状態情報を算出する。線分Lに重なる単位領域ARとは、線分Lの位置毎の座標のうちの少なくとも1つを範囲に含む単位領域ARを指す。
図6の例では、単位領域AR1-AR7が、線分Lに重なるため、補正路面情報生成部44は、単位領域AR1-AR7に割り当てられた路面状態情報に基づいて、位置PA1での補正路面状態情報を算出する。例えば、補正路面情報生成部44は、単位領域AR1-AR7に割り当てられたそれぞれの路面状態情報の平均値を算出して、その平均値を、位置PA1での補正路面状態情報としてもよい。なお、線分Lは、Z方向から見て、位置PA1と位置PA2とを結ぶ直線であるが、それに限られず、例えば、位置PA1と位置PA2とを結ぶ任意の曲線であってもよいし、位置PA1と位置PA2とを結ぶ車両10が走行した道路に沿った線分であってもよい。
【0041】
図6での処理は、緯度及び経度毎に区分した単位領域ARを用いるため、例えば、単位領域ARで区分した地図画像に、車両10が通過した軌跡に相当する線分Lを重ねて表示した場合に、作業者は、線分Lに重なる単位領域ARを容易に認識できる。すなわち、
図6のように単位領域ARを用いて処理することにより、車両10が通った位置の視認性を良好とすることができる。
【0042】
図7は、補正路面状態情報の生成方法の他の一例を説明する模式図である。
図7の例では、補正路面情報生成部44は、路面状態情報取得部42が取得した路面位置情報(路面状態情報が検出された位置)に基づき、道路の延在方向Dに沿って、道路を区分する。より詳しくは、補正路面情報生成部44は、道路の延在方向Dに交差する方向に延在し、かつ、路面状態情報が検出された位置を通る線分を、境界線Bとして設定する。境界線Bは、道路をはみ出さない長さに、すなわち道路の領域内に収まるように、設定される。補正路面情報生成部44は、このような境界線Bの各位置の座標を算出するともいえる。なお、本実施形態では、境界線Bは、道路の延在方向Dに直交する方向に延在することが好ましい。
図7の例では、道路の延在方向Dに交差して位置PB1を通る境界線B1と、道路の延在方向Dに交差して位置PB2を通る境界線B2と、道路の延在方向Dに交差して位置PB3を通る境界線B3と、道路の延在方向Dに交差して位置PB4を通る境界線B4と、道路の延在方向Dに交差して位置PB5を通る境界線B5と、道路の延在方向Dに交差して位置PB6を通る境界線B6とが例示されている。
【0043】
そして、
図7の例では、補正路面情報生成部44は、位置PA1と位置PA2とを結ぶ線分Lと交わる境界線Bを抽出し、抽出した境界線Bに対応する位置の路面位置情報に基づき、位置PA1での補正路面状態情報を算出する。例えば、
図7の例では、線分Lと交わる境界線Bは、境界線B2-B5であるため、補正路面情報生成部44は、境界線B2-B5に対応する位置PB2-PB5の路面位置情報に基づき、位置PA1での補正路面状態情報を算出する。例えば、補正路面情報生成部44は、位置PB2-PB5のそれぞれの路面状態情報の平均値を算出して、その平均値を、位置PA1での補正路面状態情報としてもよい。
【0044】
なお、
図7の例において、補正路面情報生成部44は、線分Lと交わる境界線Bに対応する位置の路面位置情報に加えて、位置PA1から所定距離範囲内であって位置PA1に最も近い境界線Bに対応する位置の路面位置情報と、位置PA2から所定距離範囲内であって位置PA2に最も近い境界線Bに対応する位置の路面位置情報とにも基づき、位置PA1での補正路面状態情報を算出してよい。この場合、
図7の例では、位置PA1から所定距離範囲内であって位置PA1に最も近い境界線B1に対応する位置が位置PB6であり、位置PA2から所定距離範囲内であって位置PA1に最も近い境界線B1に対応する位置が位置PB1である。そのため、補正路面情報生成部44は、位置PB1-PB6の路面位置情報に基づき、位置PA1での補正路面状態情報を算出する。例えば、補正路面情報生成部44は、位置PB1-PB6のそれぞれの路面状態情報の平均値を算出して、その平均値を、位置PA1での補正路面状態情報としてもよい。
【0045】
図7のように境界線Bを設定して補正路面状態情報を算出することで、補正路面状態情報の算出精度の低下を抑制できる。
【0046】
また、以上の
図7の例では、補正路面情報生成部44は、路面位置情報が検出された位置を通り道路に交差する境界線Bを設定していたが、境界線Bの設定は必須ではない。この場合例えば、補正路面情報生成部44は、路面状態情報取得部42によって取得された路面位置情報のうち、位置PA1から所定距離範囲内であって位置PA1に最も近い第1路面位置(
図7の例では位置PB6)と、位置PA2から所定距離範囲内であって位置PA2に最も近い第2路面位置(
図7の例では位置PB1)とを抽出する。そして、補正路面情報生成部44は、道路の延在方向Dに沿って、第1路面位置から第2路面位置までの間の路面状態情報(
図7の例では、位置PB1-PB6までの路面状態情報)に基づき、位置PA1での補正路面状態情報を算出する。例えば、補正路面情報生成部44は、位置PB1-PB6のそれぞれの路面状態情報の平均値を算出して、その平均値を、位置PA1での補正路面状態情報としてもよい。
【0047】
図8は、補正路面状態情報の生成方法の他の一例を説明する模式図である。
図8の例では、補正路面情報生成部44は、位置PA1と位置PA2とを範囲に含む領域である車両存在領域ARaを設定する。
図8の例では、補正路面情報生成部44は、位置PA1を囲う領域AR01と位置PA2を囲う領域AR02とを設定し、領域AR01の外周上の点P01aと領域AR02の外周上の点P02aとを第1接線Laで結び、領域AR01の外周上の点P01bと領域AR02の外周上の点P02bとを第2接線Lbで結ぶ。そして、補正路面情報生成部44は、領域AR01の外周上の点P01bから、領域AR01の外周に沿って時計回りに点P01aまで到達する区間(点P01bから点P01aまでの、点P01bから点P02bへの方向とは反対側に突出する半円弧状の区間)と、第1接線Laと、領域AR02の外周上の点P02aから、領域AR02の外周に沿って時計回りに点P02bまで到達する区間(点P02aから点P02bまでの、点P02aから点P01aへの方向とは反対側に突出する半円弧状の区間)と、第2接線Lbとで囲われる領域を、車両存在領域ARaとして設定する。
図8の例では、領域AR01、AR02が円形であるため、第1接線La、第2接線Lbは、領域AR01、AR02の外周の包絡線であるともいえる。ただし、領域AR01、AR02は円形であることに限られず、例えば多角形などであってもよい。また、領域AR01、AR02の面積も任意であってよい。また、第1接線La、第2接線Lbは、直線であるが、直線に限られず曲線であってもよい。
【0048】
そして、
図8の例では、補正路面情報生成部44は、路面状態情報取得部42が取得した路面位置情報(路面状態情報が検出された位置)に基づき、車両存在領域ARa内で検出された路面状態情報を抽出する。すなわち、補正路面情報生成部44は、路面状態情報取得部42が取得した路面位置情報のうち、路面位置情報が検出された位置が車両存在領域ARaの範囲に含まれる路面位置情報を、抽出する。そして、補正路面情報生成部44は、抽出した路面状態情報に基づいて、位置PA1での補正路面状態情報を算出する。
図8の例では、路面位置情報が検出された位置PB1-PB4が、車両存在領域ARaの範囲に含まれるため、補正路面情報生成部44は、位置PB1-PB4で検出された路面状態情報に基づいて、位置PA1での補正路面状態情報を算出する。例えば、補正路面情報生成部44は、位置PB1-PB4の路面状態情報の平均値を算出して、その平均値を、位置PA1での補正路面状態情報としてもよい。
【0049】
図8のように車両存在領域ARaを設定して補正路面状態情報を算出することで、座標系を定義する処理を不要としつつ、補正路面状態情報の算出精度の低下を抑制できる。
【0050】
図9は、補正路面状態情報の生成方法の他の一例を説明する模式図である。
図9の例でも、補正路面情報生成部44は、位置PA1と位置PA2とを範囲に含む領域である車両存在領域ARbを設定する。より詳しくは、
図9の例では、補正路面情報生成部44は、位置PA1と位置PA2とを範囲に含み、かつ、対向する2つの辺が緯度方向に沿い、かつ、対向する他の2辺が経度方向に沿うような、矩形の車両存在領域ARbを設定する。補正路面情報生成部44は、車両存在領域ARbの外周が、位置PA1、PA2を囲うように、すなわち、外周が位置PA1と位置PA2から所定距離以上離れるように、車両存在領域ARbを設定することが好ましい。
【0051】
そして、
図9の例では、補正路面情報生成部44は、路面状態情報取得部42が取得した路面位置情報(路面状態情報が検出された位置)に基づき、車両存在領域ARb内で検出された路面状態情報を抽出する。すなわち、補正路面情報生成部44は、路面状態情報取得部42が取得した路面位置情報のうち、路面位置情報が検出された位置が車両存在領域ARbの範囲に含まれる路面位置情報を、抽出する。そして、補正路面情報生成部44は、抽出した路面状態情報に基づいて、位置PA1での補正路面状態情報を算出する。
図9の例では、路面位置情報が検出された位置PB1-PB4が、車両存在領域ARbの範囲に含まれるため、補正路面情報生成部44は、位置PB1-PB4で検出された路面状態情報に基づいて、位置PA1での補正路面状態情報を算出する。例えば、補正路面情報生成部44は、位置PB1-PB4の路面状態情報の平均値を算出して、その平均値を、位置PA1での補正路面状態情報としてもよい。
【0052】
図9のように緯度方向及び経度方向に沿って車両存在領域ARbを設定して、補正路面状態情報を算出することで、
図6の処理と同様に車両10が通った位置の視認性を良好としつつ、補正路面状態情報の算出処理を簡単にすることができる。
【0053】
なお、
図8及び
図9で、車両存在領域の設定方法を例示したが、車両存在領域の設定方法はそれらに限られない。補正路面情報生成部44は、位置PA1と位置PA2とを範囲に含む車両存在領域を任意の方法で設定し、その車両存在領域内で検出された路面状態情報に基づいて、位置PA1の補正路面状態情報を算出してよい。
【0054】
補正路面情報生成部44は、以上のようにして、車両挙動情報を検出した位置における補正路面状態情報を算出する。補正路面情報生成部44は、車両挙動情報毎に、補正路面状態情報を算出する。
【0055】
(関連情報生成部)
図3に示す関連情報生成部46は、車両挙動情報取得部40が取得した車両挙動情報と、補正路面情報生成部44が生成した、その車両挙動情報を検出した位置における補正路面状態情報とを関連付けて、関連情報を生成する。すなわち、関連情報とは、車両挙動情報とその車両挙動情報を検出した位置における補正路面状態情報とのデータセットといえる。関連情報生成部46は、車両挙動情報毎に、車両挙動情報と補正路面状態情報とのデータセットを、すなわち関連情報を、複数生成する。関連情報生成部46は、生成した関連情報を、記憶部22に記憶させる。関連情報生成部46が生成した関連情報は、学習モデルの教師データとして用いられる。
【0056】
(学習部)
図3に示す学習部48は、関連情報生成部46が生成した関連情報を教師データとして、路面を走行する車両10の挙動と路面Rの状態との対応関係を、より詳しくは車両挙動情報と路面状態情報との対応関係を、学習モデルに機械学習させる。
図10は、学習モデルの概念的な模式図である。学習部48は、未学習の学習モデルを学習させて、機械学習済みの学習モデルNを生成して、生成した学習モデルNを記憶部22に記憶させる。学習モデルNは、ディープラーニングによって学習された学習モデルであり、ディープラーニングによって学習された分類器を構成するニューラルネットワークを定義するモデル(ニューラルネットワークの構成情報)と、変数とで構成される。学習モデルNは、入力されたデータに基づき、そのデータのラベルを判定できるものである。ディープラーニングは、機械学習のうちの1つの手法であり、狭義には例えば4層以上のニューラルネットワークから構成される。本実施形態の例では、学習モデルNは、CNN(Conventional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)モデルであり、
図10に示すように、複数の畳み込み層及び複数のプーリング層を含む中間層MNと、全結合層を含む最終層FNと、を備える。学習モデルNは、入力データINが入力された場合に、中間層MNと最終層FNとで演算を行って、出力データONを出力する。ただし、学習モデルNは、CNNモデルに限られず、任意の方式の学習モデルであってもよい。
【0057】
学習部48は、教師データを用いて学習モデルにおける重み係数及びバイアス値を設定することで、機械学習済みの学習モデルNを生成する。すなわち、学習モデルNは、学習部48によって重み係数及びバイアス値が学習された学習モデルであるといえる。
【0058】
本実施形態における学習モデルNは、車両挙動情報と路面状態情報との対応関係を機械学習させた学習モデルであり、車両挙動情報から路面状態情報を推定することで、路面状態を判定するものである。学習部48は、関連情報における車両挙動情報を入力値とし、関連情報における補正路面状態情報を出力値(ラベル)としたデータセットを、教師データとして、学習モデルに入力する。学習部48は、関連情報として生成された複数のデータセットを、未学習の学習モデルに入力する。これにより、学習部48は、学習モデルにおける重み係数及びバイアス値を設定して、すなわち学習モデルを学習させて、機械学習済みの学習モデルNを生成する。
【0059】
次に、以上説明した学習モデルに学習させる方法のフローを、フローチャートに基づいて説明する。
図11は、本実施形態に係る学習モデルの学習方法の処理フローを説明するフローチャートである。
図11に示すように、演算装置14は、車両挙動情報取得部40により、所定時間毎に検出された車両挙動情報と車両位置情報とを取得し(ステップS10)、路面状態情報取得部42により、所定距離毎に検出された路面状態情報と路面位置情報とを取得する(ステップS12)。ステップS10、S12の処理順序は、この順に限られず任意であってよい。演算装置14は、補正路面情報生成部44により、車両位置情報と路面位置情報と路面状態情報とに基づき、車両挙動情報が検出された位置における補正路面状態情報を生成する(ステップS14)。そして、演算装置14は、関連情報生成部46により、車両挙動情報と補正路面状態情報とを関連付けて、関連情報を生成し(ステップS16)、学習部48により、関連情報を教師データとして、学習モデルに学習させる(ステップS18)。学習部48は、関連情報における車両挙動情報と補正路面状態情報とを1セットの教師データとし、複数セットの教師データを学習モデルに入力することで、学習モデルに学習させて、学習済みの学習モデルNを生成する。
【0060】
(学習モデルを用いた路面状態の判定)
(結果取得部)
図3に示す結果取得部32は、学習済みの学習モデルNを用いて、路面状態の判定が必要な路面Rについての、路面状態を判定する。具体的には、結果取得部32は、路面状態の判定が必要な道路(路面R)を走行した車両10の挙動を示す車両挙動情報を取得する。結果取得部32は、通信部20を介して、測定データ取得装置12から車両挙動情報を取得するが、車両10から直接取得してもよい。ここでの車両挙動情報も、車両10の測定装置10Cによって検出されるが、路面状態の判定が必要な道路を走行した際の車両挙動情報を検出する車両10と、教師データに用いる車両挙動情報を検出する車両10とは、同じ車両であってもよいし、別の車両であってもよい。また、上述のように、道路を走行する車両に限られず、飛行体など任意の移動体によって、車両挙動情報が検出されてもよい。
【0061】
結果取得部32は、学習部48によって生成された学習済みの学習モデルNを記憶部22から読み出す。結果取得部32は、路面状態の判定が必要な道路(路面R)を走行した際の車両挙動情報を、学習モデルNに入力する。学習モデルNにおいては、車両挙動情報が入力データINとして入力されて車両挙動情報の特徴量が抽出され、演算が実行される。その結果、学習モデルNからは、車両挙動情報が検出された位置における路面状態情報が、出力データONとして、すなわちラベルとして、出力される。すなわち、学習モデルNは、車両挙動情報が入力されると路面状態情報が出力される学習済みのプログラムであるともいえる。結果取得部32は、出力データONとして出力された路面状態情報を、車両挙動情報が検出された位置における路面の状態の判定結果として取得する。結果取得部32は、車両挙動情報が取得される毎に学習モデルNに入力して、車両挙動情報が検出された位置毎に、すなわち道路の位置毎に、路面状態情報を取得する。
【0062】
図12は、判定結果の一例を示す模式図である。本実施形態では、学習モデルNは、車両挙動情報及び補正路面状態情報を用いた学習により、路面状態情報の種類(ここでは値)を、ラベルとして割り当て可能となる。本実施形態においては、学習モデルNは、候補となる路面状態情報に対する一致度合いを、確率として算出する。すなわち、学習モデルNは、車両挙動情報が検出された位置における路面Rが、ラベルとして割り当てられた路面状態情報となる確率を算出するといえる。学習モデルNは、一致度合いが最も高い路面状態情報を、車両挙動情報が検出された位置における路面状態情報として出力する。
図12の例では、路面状態情報LA1、LA2、LA3・・・のうち、路面状態情報LA2となる確率が最も高いため、路面状態情報LA2が、車両挙動情報が検出された位置における路面状態情報として出力される。ただし、路面状態情報は、
図12に示すような確率で算出されることに限られない。
【0063】
次に、以上説明した路面状態の判定方法のフローを、フローチャートに基づいて説明する。
図13は、本実施形態に係る路面状態の判定フローを説明するフローチャートである。
図13に示すように、演算装置14は、結果取得部32により、路面状態の判定が必要な道路(路面R)を走行した際の車両挙動情報を取得し(ステップS20)、取得した車両挙動情報を、学習済みの学習モデルNに入力する(ステップS22)。学習モデルNにおいては、車両挙動情報が入力値として入力されて、車両挙動情報が検出された位置における路面状態情報を、出力する。結果取得部32は、学習モデルNから出力された路面状態情報を、路面の状態の判定結果として取得する(ステップS24)。なお、ここで学習モデルNに入力された車両挙動情報と、学習モデルNから出力された路面状態情報とを、追加の教師データとして、学習モデルNを再学習させてもよい。
【0064】
なお、本実施形態では、演算装置14は、補正路面状態情報と車両挙動情報とを関連付けた関連情報を、学習モデルN用の教師データとして用いるが、関連情報の用途は、学習モデルN用の教師データに限られず、任意の用途に用いてもよい。
【0065】
(効果)
以上説明したように、本実施形態に係る演算装置14は、車両挙動情報取得部40と、路面状態情報取得部42と、補正路面情報生成部44と、関連情報生成部46とを含む。車両挙動情報取得部40は、所定の時間ごとに検出された車両挙動情報及び車両挙動情報が検出された際の車両10の位置情報(車両位置情報)を取得する。車両挙動情報は、路面Rを走行する車両10の挙動を示す情報である。路面状態情報取得部42は、所定の距離ごとに検出された路面状態情報及び路面状態情報が検出された路面Rの位置情報(路面位置情報)を取得する。路面状態情報は、路面Rの状態を示す情報である。補正路面情報生成部44は、車両位置情報、路面位置情報、及び路面状態情報に基づき、車両挙動情報が検出された位置の路面の状態を示す補正路面状態情報を生成する。関連情報生成部46は、補正路面状態情報と車両挙動情報とを関連付けた関連情報を生成する。
【0066】
従来において、路面Rの状態を確認する場合、作業員が道路を巡回して路面状態を目視確認したり、路面状態を直接測定する専用の測定車を用いたりしていた。しかし、作業員による目視確認は、作業者の負担を大きくし、専用の測定車は、費用が高額であるため、補遺用の観点からも負担が大きくなるおそれがある。それに対し、本実施形態に係る演算装置14は、路面を走行した際の車両挙動情報と、車両挙動情報を検出した位置における路面の状態を示す補正路面状態情報とを、関連付けて、車両挙動情報と路面状態情報との関係を適切に設定することが可能となる。そのため、路面状態を直接測定することなく、例えば、車両挙動情報を検出し、関連情報に基づき、車両挙動情報から路面状態を判定することが可能となる。車両挙動情報は、路面を走行した際の車両の挙動であるため、検出が容易であり、検出費用も抑えられる。従って、本実施形態に係る演算装置14によると、路面状態を確認するための、作業者の負担及び費用を低減することが可能となる。
【0067】
また、車両挙動情報は、所定時間毎に検出され、路面状態情報は、所定距離毎に検出される。このような場合、車両挙動情報が検出された位置と路面状態情報が検出された位置とが異なるため、車両挙動情報と路面状態情報とを適切に関連付けられないおそれがある。それに対し、本実施形態に係る演算装置14は、車両位置情報、路面位置情報、及び路面状態情報に基づき、車両挙動情報が検出された位置の補正路面状態情報を算出し、車両挙動情報と補正路面状態情報とを関連付ける。そのため、演算装置14によると、車両挙動情報と路面状態情報とを適切に関連付けて、路面状態を確認するための作業者の負担及び費用を低減することが可能となる。
【0068】
また、演算装置14は、関連情報を教師データとして、路面を走行する車両の挙動と路面の状態との対応関係を、学習モデルに機械学習させる学習部48をさらに含む。上述のように、車両挙動情報と路面状態情報とは、検出された位置が異なるため、これらを教師データとした場合、学習モデルを適切に学習させられず、算出精度が低下するおそれがある。それに対し、本実施形態に係る演算装置14は、車両挙動情報が検出された位置の補正路面状態情報を算出し、車両挙動情報と補正路面状態情報とを関連付けた関連情報を教師データとする。そのため、本実施形態に係る演算装置14によると、検出した位置が対応する教師データを用いて、機械学習させることが可能となり、学習モデルの算出精度の低下を抑制できる。
【0069】
また、演算装置14は、学習済みの学習モデルNに、路面を走行する車両の車両挙動情報を入力して、その路面の状態を示す路面状態情報を取得する結果取得部32をさらに含む。この演算装置14によると、車両挙動情報と補正路面状態情報とを教師データとして学習した学習モデルNを用いるため、算出精度の高い路面状態情報を取得することができる。
【0070】
また、補正路面情報生成部44は、車両位置情報が示す位置(車両挙動情報が検出された位置)から所定距離範囲内の位置で検出された路面状態情報に基づいて、車両位置情報が示す位置(車両挙動情報が検出された位置)での補正路面状態情報を生成する。この演算装置14によると、車両挙動情報が検出された位置と近い位置で検出された路面状態情報を用いて、補正路面状態情報を生成するため、補正路面状態情報を適切に算出して、路面状態を確認するための作業者の負担及び費用を低減することが可能となる。
【0071】
また、補正路面情報生成部44は、車両挙動情報を検出した第1タイミングにおける車両10の位置情報(位置PA1)と、第1タイミングの直前で車両挙動情報を検出した第2タイミングにおける車両の位置情報(位置PA2)とに基づいて、第1タイミング又は第2タイミングで車両挙動情報が検出された位置PA1での補正路面状態情報を算出する。この演算装置14によると、位置PA1と位置PA2に基づいて、位置PA1での補正路面状態情報を算出するため、補正路面状態情報を適切に算出して、路面状態を確認するための作業者の負担及び費用を低減することが可能となる。
【0072】
また、補正路面情報生成部44は、第1タイミングにおける車両10の位置PA1と第2タイミングにおける車両の位置PA2とを含む領域である車両存在領域を設定し、路面位置情報に基づき、車両存在領域内の路面状態情報を抽出する。そして、補正路面情報生成部44は、抽出した路面状態情報に基づいて、第1タイミング又は第2タイミングで車両挙動情報が検出された位置PA1での補正路面状態情報を算出する。この演算装置14によると、車両存在領域内の路面状態情報に基づいて、位置PA1での補正路面状態情報を算出するため、補正路面状態情報を適切に算出して、路面状態を確認するための作業者の負担及び費用を低減することが可能となる。
【0073】
また、補正路面情報生成部44は、緯度及び経度による座標系を複数の単位領域ARに区分し、第1タイミングにおける車両10の位置PA1と第2タイミングにおける車両10の位置PA2とを結ぶ線分Lに重なる単位領域ARを抽出する。補正路面情報生成部44は、線分Lに重なる単位領域ARにおける路面状態情報を抽出し、抽出した路面状態情報に基づいて、第1タイミング又は第2タイミングで車両挙動情報が検出された位置PA1での補正路面状態情報を算出する。この演算装置14によると、線分Lに重なる単位領域ARに割り当てられた路面状態情報に基づいて、位置PA1での補正路面状態情報を算出するため、補正路面状態情報を適切に算出して、路面状態を確認するための作業者の負担及び費用を低減することが可能となる。
【0074】
また、補正路面情報生成部44は、路面状態情報取得部42によって取得された路面位置情報のうち、第1タイミングで検出された車両位置情報が示す位置PA1に最も近い第1路面位置と、第2タイミングで検出された車両位置情報が示す位置PA2に最も近い第2路面位置とを抽出する。補正路面情報生成部44は、道路(路面R)の延在方向Dにおいて第1路面位置から第2路面位置までの間で検出された路面状態情報を抽出し、抽出した路面状態情報に基づいて、第1タイミングで車両挙動情報が検出された位置PA1での補正路面状態情報を算出する。この演算装置14によると、第1路面位置から第2路面位置までの間で検出された路面状態情報に基づいて、位置PA1での補正路面状態情報を算出するため、補正路面状態情報を適切に算出して、路面状態を確認するための作業者の負担及び費用を低減することが可能となる。
【0075】
また、補正路面情報生成部44は、抽出した路面状態情報の平均値を、補正路面状態情報として算出する。この演算装置14によると、抽出した路面状態情報の平均値を正路面状態情報とすることで、補正路面状態情報を適切に算出して、路面状態を確認するための作業者の負担及び費用を低減することが可能となる。
【0076】
また、車両挙動情報取得部40は、車両挙動情報として、少なくとも車両10の加速度の情報を取得する。車両挙動情報として加速度を用いることで、車両挙動情報と路面状態情報とを適切に関連付けて、路面状態を確認するための作業者の負担及び費用を低減することが可能となる。
【0077】
また、路面状態情報とは、路面Rの凹凸度合いを示す指標である。路面状態情報として路面Rの凹凸度合いを示す指標を用いることで、路面状態を確認するための作業者の負担及び費用を低減することが可能となる。
【0078】
以上、本発明の実施形態及び実施例を説明したが、これら実施形態等の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態等の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0079】
1 検出システム
10 車両
12 測定データ取得装置
14 演算装置
32 結果取得部
40 車両挙動情報取得部
42 路面状態情報取得部
44 補正路面情報生成部
46 関連情報生成部
48 学習部
R 路面