(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077460
(43)【公開日】2022-05-23
(54)【発明の名称】パンタイルガン
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20220516BHJP
E04F 21/165 20060101ALI20220516BHJP
B05C 17/01 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
B05C5/00 A
E04F21/165 M
E04F21/165 C
E04F21/165 F
B05C17/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020188344
(22)【出願日】2020-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】713009035
【氏名又は名称】田島 公夫
(72)【発明者】
【氏名】田島 公夫
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AA08
4F041AB01
4F041BA02
4F041BA34
4F042AA16
4F042AB00
4F042FA22
4F042FA36
(57)【要約】
【課題】チューブに入ったタイル用ボンド等を押し出すと同時に壁等に塗りつけられる事を目的とする。
【解決手段】本体後方回転ハンドルを回すと内部のパンタグラフが伸び、それにつながる押し出しプレートでチューブに入ったボンド等内容物を押す構造。ノズル出口はボンド等を凹凸の縞模様のようにできる形状で、この工具を使用する事で作業中の工具を使用する角度の確認をしながら、櫛目鏝塗りと同様の作業ができる工具。またノズルは分割式になっており、作業後内部残ったボンド等取り出すことが出来る構造で、繰り返し使用する事ができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブに入ったボンド等押し出す工具に、ロッドを動かし内容物を押し出す構造ではなく、連なるパンタグラフが伸縮する動きでそれに結合する押し出しプレートが動き内容物を押し出す構造を使い、動き幅はパンタグラフの連結数で自由に調整出来、本体内部排出部分の起伏に合う形の押し出しプレートは、本体内部レール状の突起を通る事で押し出す際のズレを防止できる構造で、本体内部排出口付近の突起により絞り出したチューブは排出口から出ず内部に残る構造。
【請求項2】
請求項1のパンタグラフを動かす方法にはテコを利用するのではなく、パンタグラフに直接干渉する事の無い、大きいつまみのある回転ハンドルが付くボルトを回す事で動く構造。
【請求項3】
チューブに入ったボンド等装填する部分の蓋の端には凹凸があり、蓋を閉め凹凸を合わせる事で全体の伸び方向強度を上げ、ボンド等押し出す際によじれないようにできる構造。
【請求項4】
ノズル構成は、ボンド等が線の並ぶ縞模様で出てくるような出口形状や、長方形の出口形状等の用途別に作り、ノズル前後の結合具には壁等の隙間が確保できると共に壁と工具の当たる角度の基準に出来る壁当たりプレートや、角度を寝かせ過ぎる事が出来ない構造の櫛目塗り平塗り(下塗り)等擦り塗りできるプレート等を設ける事で、壁等に内容物を押し出すと同時に鏝や櫛鏝で塗りつけたと同様の作業ができるノズル構造で、本体とノズルの結合部分に付けるロックナットを締める事で作業中の緩み止めもできる。
【請求項5】
請求項4のノズルは、前後の合わせ目にはパッキンも付く分割式で、作業後ノズル内部に残るボンド等が取出せて工具を掃除再利用できる構造になっており、本体とノズル結合部分の本体内側排出口付近には、ボンド等で接着する事が出来ない素材の極めて薄いカバーを付ける事で、使用上必ずボンド等が付着する部分も容易に清掃できる構造。
【請求項6】
請求項4のノズルの櫛目の高さや壁との隙間は調整式になっており、任意の厚みで塗る事ができるノズル構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タイルを張り付ける作業等でチューブに入ったタイル用ボンド等を使う作業では、ボンド等を絞り出すと共に塗り付けられる工具の販売が無かった為、従来のコーキングガンに特開2001-232272のようなカートリッジを使い使用する事や、専用のソーセージガンを使用する事もあったが、後方に長く突き出したロッドがある工具では狭い所での作業が困難なのと、鏝や櫛鏝で塗ったと同様の作業を同時にする事が出来なかった改善策の、現状の工具より全長が短く容易にボンド等押し出す事が出来て、更にボンド等押し出すと同時に鏝や櫛鏝等を使用しなくてもそれと同様に塗る事もできる工具である。
【背景技術】
【0002】
実全昭52-094027の文献ではコーキング材だが、チューブに入ったタイル用ボンド等も似た形状になっており、この形状の材料を使用したタイル張り付け施工等で、下地のくぼみにタイル裏面の凹凸を引っかけて張り付ける工法をする時に、特開2007-237027の文献にある工具を使用する要領で1本線状にボンド等塗り付ける場合や、ボンド等を団子状にタイル裏側に付け張り付ける点付け張り等では、コーキングガンにカートリッジを合わせての代用や、専用のソーセージガン等を使用していたが、狭い場所で作業する場合、後方に突き出たロッドが邪魔になり作業が困難だった。
【0003】
全体的に塗りつける所では、チューブからボンド等を手で搾り出した後に櫛鏝等で塗りつけていた為、手間がかかっていた。
また、鏝塗り作業では職人の鏝の立て方(鏝の使い方)加減で、鏝と壁の角度を寝かせてしまった部分では塗りつけが薄く(櫛目山が低く)なり、塗り厚(ボンド量)が足りずタイル接着不良で剥離の原因になる事があった。櫛目塗りとは、塗りつけた物が凹凸の縞模様のようになる状態を言う。
【0004】
この改善策として、チューブに入ったタイル用ボンド等が容易に押し出せると同時に壁等に塗る事も出来て、薄くなった(櫛目山が低くなった)部分があれば塗り付け作業中に気が付きやすく、施工不良を減らす事を目的とした工具であり、部品を変えれば色々な塗り方ができる工具を考えた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-237027(P2007-237028A)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
チューブに入ったボンド等を使う作業で、チューブからボンド等を押し出しながら壁等に鏝で塗りつけるのと同様の作業ができる工具にする。
【0007】
鏝を使用した作業では鏝の使い方次第で櫛目山の高さが変わり、鏝を寝かせてしまった所では塗り厚不足が起こり、施工不良の原因の一つになっていた為、薄くなった(櫛目山が低くなった)部分に気が付きやすくする。
【0008】
ボンド等を鏝で塗りつける作業で特に櫛目塗りでは、ボンドを山に盛り上げ並べた凹凸の縞模様のように塗る必要がありボンド量が必要で、従来からあるコーキングガン等を代用した場合に比べて、ハンドル(引き金)を一度握った時の作用する動き幅と同じだけ作用する部分を動かした場合に、コーキングガン等と比べて多く動くような構造にする。
【0009】
内容物を押し出すが、チューブは本体内部に残るようにする。
【0010】
タイル張りには、タイルの種類によりメーカー推奨櫛目寸法が異なるため、ノズル先端は形状や出口の穴のサイズ種類を作り、下塗り(平塗り)用、大きい櫛目寸法塗り用、小さい櫛目寸法塗り用等、ノズル部分を付替える事で色々な塗り方に対応できるようする。
【0011】
チューブ入りボンドを装填する際は容易に交換できる構造にする。
【0012】
構造的に作業後ノズル内部に残ってしまうボンド等は取り出す事ができ、作業後の工具の手入れも容易に繰り返し使用できる形にする。
【0013】
足場作業では狭い場所が多く工具サイズはできるだけ小さく、現場での安全面から軍手や手袋をしたままでも作業しやすいようにする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
図1の1の本体サイズは、チューブに入ったボンド等がまるごと装填できるサイズになる。ボンドの品物によりチューブサイズの異なる物もあるが、各メーカーから出ているチューブに入った1kg入りボンド等の場合では、おおよその大きさが直径約8cm長さ約30cmのソーセージに似た円柱チューブに入っているので、工具サイズは1kg入りボンド用パンタイルガン等の名称でチューブに入ったボンド等の各大きさに合わせる。
【0015】
従来からあるコーキングガン等を代用した場合、ロッドに装填した物を押し出すためのプレートが付き、テコを利用しロッドを動かす事により内容物を押し出していたが、ロッド部分を
図1の7のようなパンタグラフに変え、パンタグラフが伸びて
図1の8のチューブに入ったボンド等を押し出す為のプレートを動かし内容物を押し出す構造にする。以降、チューブに入ったボンド等を押し出す為のプレートは押し出しプレートと呼ぶ。
【0016】
これはパンタグラフの伸縮する動きを利用した工具であり、テコを利用したコーキングガン等のハンドル(引き金)を一度握った時のロッド動き幅を約1cmとした場合、
図1の7(図では菱形のマスが8個)の連なるパンタグラフの場合では
図2の9のパンタグラフの一か所を1cm動かせば連結したパンタグラフも連動し、全体の動き幅は8cmになるので押し出す動き幅を増やせる。
【0017】
直接パンタグラフを押し出す事は強い力が必要になるが、テコを利用し押し出す場合は支点と力点が長くなり、長いハンドル(引き金)が必要になる為、ボルトを回すことで押し出す構造にする。
【0018】
一般的な車載工具のパンダグラフジャッキでは、パンタグラフに直接付くボルトを回せば左右が窄まり上に上がる仕組みだが、この工具はパンタグラフと動かすためのボルトが直接触れる事なく、
図1の6のボルトを回せばボルトと直線方向に伸び縮みするよう変えた物で、ボルトを回すとパンタグラフが伸び押し出しプレートが動いてチューブに入ったボンド等を押す事ができ、逆に回せばチューブに入ったボンド等を装填できるセット位置に戻る構造である。
【0019】
図1の本体部分は円柱、器械部分のパンタグラフ等が入る部分は立方体、器械部分後方にある回転ハンドルは円盤につまみが付いた形状で、可動量はパンタグラフの連結数(菱形になるマスの数)で調整する。
図1の全体図は2の蓋を開けた状態である。
【0020】
図2は蓋等を省略し上から見た物で、
図2の7のパンタグラフと
図2の6のパンタグラフを動かす為のボルトが当たらない構造にする。
図2のように6のボルト両側に7のパンタグラフを付け、パンタグラフ同士の一部を9のような板でつなぎ、そのつないだ板の中心にネジ山を付け、6のボルトを回せば7のパンタグラフは伸び縮み連動するが、6のボルトに7のパンタグラフは当たらない構造にする。
【0021】
組み立てる方法として、パンタグラフの前後両端と
図2の9や10を付ける部分は、10、11、17と共締めする形で自由に動き9は10に差し込む形になる。
【0022】
上記(0020)にあるボルトは、工具後方に付ける
図1の5の回転ハンドルにつなげ、回転ハンドルには大きなつまみを付けて容易に回せる構造にする。
【0023】
回転ハンドルにつながっている6のボルトは動かす時抜けてしまわないように、
図1や
図2にある16の強い力がかかっても抜けない丈夫な割りピン等の抜け止めを付ける。回す時の抵抗が大きくなる場合は、
図1や
図2にある15の回転部分にベアリングを付け対応する。
【0024】
内部ボルトのネジピッチは、可動量とハンドルのつまみを回す為に必要になる力加減をみてできるだけ間隔を広く調整し、ネジ山を逆ネジにすれば回転ハンドルを時計回りに回すと内容物を押し出せるようになる。このボルトの工具後方に付き出すネジ山が無い部分は、ネジ山部分と比べ少しだけ細く、
図2の9の穴をすり抜ける太さになっていて、器械部分の立方体と回転ハンドルの間に
図1と
図2にある16の割りピン等の抜け止めを付けられる凹みがある。
【0025】
押し出しプレートは平らではなく中心が少し盛り上がった皿のような形で、パンタグラフとつなぐ
図2の17の突起があり、本体前方の排出口付近と似た角度にする。
【0026】
本体にチューブに入ったボンド等を装填する部分で押し出しプレートが動く範囲には、
図2の18と19の本体側にレールになるような張り出しがあり、押し出しプレートがそのレール状になった部分を通り押し出し角度がずれないようにする。
図2の19のレールは
図1の1の本体と一体ではなく、工具を組み立てる時押し出しプレートを組み付けた後に押し出しプレートの左右のくぼみに差し込み本体に固定する。
【0027】
本体にチューブに入ったボンド等装填するのを容易にする為、
図1の2の蓋は大きく開閉する構造で片側には蝶番、もう片側には留め金を付ける。
【0028】
図1の2の蓋で装填部分を開閉式にする事で本体のよじれる強度が落ちるのを防ぐ為の用途がある。蓋の前後両端に
図5の拡大断面
図12のような凹凸を付けてあり、組み合わさる事で蓋を閉めれば本体が一体化し全体強度が上がり、ボンドを押し出す際の本体上側開口部分が押される方向に伸びるのを抑える構造にする。
【0029】
ボンド等が出る量を増やす為できるだけ本体の排出口を大きくするが、チューブだけは
図2の22の排出口から出ないよう、内側の排出口付近に
図2の21のチューブが引っ掛かる突起を作る。
【0030】
本体内側排出口付近の掃除が容易になるよう、タイル用ボンド等では接着できない素材ポリエチレンやプラスチック等の樹脂製で、
図5の拡大断面
図13の厚みの極めて薄い筒状の物(カバー)を本体内部に装着し、構造上必ずボンドが付着すると思われる部分も掃除が容易にできるようにする。
【0031】
ボンドでのタイル張りの場合タイルの種類によりメーカー推奨櫛目寸法が異なる為、
図3の大きい櫛目寸法用ノズルと、
図4の小さい櫛目寸法用兼櫛目を付けない塗り方の下塗り(平塗り)用ノズルを作り、ノズルを付替えるだけで色々な塗り方ができるようにする。
【0032】
5ミリの櫛目用では
図3と
図4どちらのノズル形態を作っても良く、5ミリ以上の櫛目寸法用では
図3のノズルで作り、5ミリ以下の櫛目寸法用では
図4のノズルで作る。
【0033】
大きい櫛目寸法塗り用ノズル前後の固定具には、
図3の27と28のように一周回り固定する上下半分で開閉する形に作り、片側は
図3の33の蝶番を使用、もう片方は
図3の34の留め金を付け、
図3の28には壁との隙間を確保するための
図3の29の壁当たりプレートを固定できる部分がある。
【0034】
小さい櫛目寸法塗り用兼下塗り(平塗り)用ノズル前後の固定具も上記(0033)と似た手順で組み立てるが、これには
図4の39の櫛目を立てながら塗りつけるための途中で折れ曲がり先端が櫛目になっている板状のプレートを付ける。
【0035】
上記(0034)の櫛目部分には
図4の41のスライド調整できるプレートを付け櫛目の高さを調整できるようにし、ゼロミリに合わせれば櫛目を付けない下塗り(平塗り)も出来る構造になる。
図4の41は39に押し出したボンド等で接着しないように、タイル用ボンド等では接着できないポリエチレンやプラスチック等の樹脂製等で作る。
【0036】
下塗り(平塗り)専用の物を作る場合は、
図4の39の折れ曲がった先端には櫛目もスライド調整プレートもない物にする。
【0037】
ノズルを本体に結合する部分はねじ込み式で
図3や
図4にある26の円形になり、内容物が出る塗りつけ先端は
図3の25穴を横に数個並べた長方形や、
図4の43長方形の穴がある先端になる為、作業後のノズル内部に残るボンドを取り出せるよう
図3や
図4にあるような分割式ノズルにする。
【0038】
分割式ノズルにするノズル結合部分には、結合部分からボンドが漏れないよう、
図3や
図4にある32のパッキンを挟み込む。
【0039】
大きい櫛目寸法塗り用ノズルは
図3の25のように、穴を横に並べて櫛目鏝で塗りつけた時と同じような凹凸の縞模様ができる出口形状にする。ボンドの出る様子は、ところてんを食べる時の押し出し出てきたようなイメージ。
【0040】
小さい櫛目寸法塗り用兼平塗り用ノズルは、
図4の43のような長方形の出口にする。
【0041】
ノズルの本体に結合する部分は本体にねじ込む形にするが、内容物を押し出すだけではなく、塗りつけも可能にする為作業中ノズルが緩む可能性があり、
図3の38のロックナットで締め付け固定できるようにする。
【0042】
上記(0033)の補足として、櫛鏝で塗った時と同じようにする為塗りつけた山を擦り潰す事のない、ノズルと壁等が触れないようにする隙間を作る為の、
図3の29の壁当たりプレートを付け、任意の厚みで塗れるよう調整式にする。作業中の壁と工具の当たる角度が重要で、角度次第で櫛目山の高さ(ボンド量)が変わると考えられるので、この発明では壁に当たる壁当たりプレートは作業中の工具角度の目安にできる形になっていて、凹凸の縞模様のように押し出したボンド等にノズル部品が触れることなく山が潰れないようにする物であり、
図5は本体と
図3のノズルを組み付けた拡大断面図だが、角度を寝かせ過ぎた場合や立て過ぎた場合でも、ノズルと壁が離れ山を潰す事が無い構造になる。
【0043】
汚れ防止カバー、ノズル部品の25と26と43、パッキン、
図4の41スライド調整式プレートの素材は、タイル用ボンド等では接着できないポリエチレンやプラスチック等の樹脂製等で作り、他の部分は強度や耐久を考えた素材にする。
【0044】
軍手や手袋をして作業する事が多いと考えられる為、
図2の18のような本体の一部にくぼみ等を付けておき滑り止め効果をもたせる。
【発明の効果】
【0045】
パンタグラフの伸縮する構造を利用した事で長いロッドが不要になり、ロッドの場合はチューブ入りボンドの全長と同等のロッドが後方に飛び出していたが、これはパンタグラフが縮まるので工具全長が短くできる。
【0046】
テコではなくハンドルを回して動く構造にした事で、テコの長いハンドル(引き金)を付ける必要が無くなり工具を小さくできて、回転ハンドルに大きなつまみを付ける事で容易に回し動かす事ができる。
【0047】
ロッドで押し出す工具のロッド作用点の動いた寸法と、パンタグラフ構造のこの工具の作用点を同じ寸法動かした場合を比べて、パンタグラフは連動するので装填した物を押し出す動き幅を増やせる。
【0048】
特殊なノズル形状で、ボンド等を押し出すと同時に鏝や櫛鏝で塗るのと同様の作業ができ、搾りだしてから塗り付けるのではなく同時に塗る事もできるので作業時間短縮になる。
【0049】
櫛鏝を使用して作業した場合では、鏝の角度を寝かせてしまった所の櫛目山が低くなっても高さの違い(厚さの違い)には気が付き難いが、
図3のノズルではノズルと塗りつける面に任意で合わせた隙間があり、また壁等に工具を当てる角度の目安にもなり、押し出したボンド等が少ない場合は壁にボンドが付かないので、櫛目山の高さ(厚さ)の違いではなく櫛目山の有無により、作業ミスを目視で容易に気が付く事ができて、壁に当てる工具の角度を変えてしまった場合も一定の隙間が確保できて櫛目山が低くなる事がない。
【0050】
図4のノズルでは、39のプレート先端と壁等を一定以下の角度に寝かせた場合、43のボンド等の出口が壁等に当たる事で、櫛鏝作業とは違い寝かせ過ぎる事が出来ず薄く(櫛目山が低く)なってしまう所を無くせて、ボンド不足やボンド切れの場合では櫛目山が欠ける(かすれる)事により、作業ミスを目視で容易に気が付く事ができる。
【0051】
ノズル前後の結合具には壁等との隙間を作る為の壁当たりプレートや櫛目山のあるプレートがあり、隙間や櫛目山を調節式にする事でメーカー推奨櫛目寸法に調整して作業できる。
【0052】
分割式ノズルにした事で、作業後ノズル内部に残ってしまうボンド等も取出せて繰り返し使用出来て、工具に必ずボンド等が付く部分をボンド等では接着できない素材で作る事により清掃も容易にできる。
【0053】
ノズルを分割式にした事で組み合わせ次第では、櫛目塗りや下塗り(平塗り)だけではなく、ノズル26だけ又は
図4の26、32、43と
図3の27と28からなる結合具を組み合わせる事で、内容物をチューブから押し出すだけの使用方法もできる。
【0054】
本体の開口部分を大きく開く事でボンド装填時の作業がしやすく、後方の回転ハンドルを回す動きはチューブ入りボンドの端を手でねじり絞り出していた従来の工法動作に似て違和感なく作業ができる。
【0055】
現場では安全面から軍手や手袋を装着して作業する事が多く、本体にくぼみを付ける事で回転ハンドルを回しても滑り止め効果があり、軍手等装着したまま安全に作業できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】横から見た蓋を開けた状態の本体部分と器械部分の図。1、本体。2、本体開口部蓋。3、ノズル結合部分。4、本体蓋留め金。5、回転ハンドル。6、パンタグラフを動かす為の内部ボルト(六角穴付きボルト)。7、パンタグラフ。8、押し出しプレート。9、二組のパンタグラフを連動させる結合板。10、パンタグラフを連動させるための板を固定する部分。11、パンタグラフ端を固定。12、本体と蓋の前後を組み合わせる凹凸。13、内部排出口付近の汚れ防止カバー。14、内部ボルトと回転ハンドルを結合する回り止め。15、内部ボルトの回転抵抗対策ベアリング。16、内部ボルトの抜け止め。
【
図2】
図1を上から見た図で蓋や蝶番や留め金を省略した物。1から16は
図1と同じ物。17、押し出しプレートとパンタグラフを結合する部分。18、本体下内外の凹凸。19、押し出しプレートずれ防止レール。20、本体と蓋の蝶番。21、チューブを内部に留める凹凸。22、ボンド等排出口。23、本体後方パンタグラフを通す穴。24、内部ボルトを通すネジ山の有る穴。
【
図3】大きい櫛目寸法用ノズル、枠の無い全体図は上から見た図で結合具の蝶番と留め金を省略した物。25、ノズル前方(ボンド等出口側)。26、ノズル後方(本体結合側)。27、ノズル前後の結合具上側。28、ノズル前後の結合具下側。29、ノズルと壁等の隙間確保用壁当たりプレート。30、結合具と壁当たりプレートを固定する牝蝶ネジ。31、壁当たりプレート調整穴。32、ノズル前後の漏れ止めパッキン。33、結合具蝶番。34、結合具留め金。35、壁当たりプレートをねじ止め固定する雄部分。36、ボンド等出口。37、本体にねじ込む穴。38、作業中ノズルが緩まないようにするロックナット。
【
図4】小さい櫛目寸法用兼下塗り(平塗り)用ノズルで、枠の無い全体図は上から見た図。26、32、33、34は
図3と同等の物。39、塗る為のプレートと一体になるノズル前後の結合具上側。40、ノズル前後の結合具下側。41、櫛目高さスライド式調整プレート。42、スライド調整プレート固定用牝蝶ネジ。43、ノズル前方(ボンド等出口側)。44、内容物出口。45、スライド調整プレートをねじ止め固定する雄部分。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1と
図2にある、本体円柱部分と器械立方体部分は一体ではなく別体になっている。器械立方体部分は上面が開いていて内部を組み立てた後に塞ぐ形になっている。
図1の器械部分にはパンタグラフ等の器械が入る立方体部分と後方に回転ハンドルがある。
【0058】
図1と
図2にある、本体後方内部に15のベアリングを付ける。7のパンタグラフと8の押し出しプレートを17に共締め組み立てる。23にパンタグラフを通し10をパンタグラフと共締めする。円柱状本体に器械部分の上面が開いた立方体枠を付け、11パンタグラフ端を立方体枠に共締め固定する。10に9の板を差し込み、本体内部から6のボルトを9と器械部分枠後方を突出し16の抜け止め(割りピン)で固定する。後方に突き出したボルトに5の回転ハンドルを差し込み14の回り止めを付ける。機械部分立方体上面を塞ぎパンタグラフを縮めて、本体内部19を押し出しプレート左右のくぼみに差し込みながら本体に固定する。13の厚みの極めて薄い排出口汚れ防止カバーを窄めながらはめこむ。本体に2の蓋を20の蝶番と4の留め金で固定する。
【0059】
図3のノズル組み立ては、25のノズル前方と26のノズル後方の間に32のパッキンを挟み込み、27と28からなる固定具を回し34の留め金で固定する。35の壁当たりプレート固定用雄に29の壁当たりプレートをはめ込み、30の牝蝶ネジで固定する。
【0060】
図1の3の本体ノズル結合部分に
図3の38のロックナットを付けておき、組み立てた
図3のノズルを本体にネジ込む。ノズルを任意の角度に合わせ、先に通しておいた38のロックナットで緩み止め固定をする。
図5は本体とロックナットと
図3のノズルを組み付けた拡大断面図。
【0061】
図4のノズル組み立ても、
図3のノズル組み立て手順同様になる。
図5は本体とロックナットと
図3のノズルを組み付けた拡大断面図だが、
図4のノズルも同様の組み付け方になる。
【実施例0062】
塗り方にあったノズルを装着、ロックナットで緩み止め、
図3の29や
図4の41等調整する。回転ハンドルを回し押し出しプレートを後方に移動させておき、チューブ入りボンドのチューブ片側を切り取り本体に装填する。
図3では壁当たりプレートの角度の付いた先端の面を当て、
図4では43のボンド出口が壁等に当たらない程度の角度で当て、回転ハンドルを回しながら塗りつける。
【0063】
チューブに入ったボンド等交換は回転ハンドルを回し押し出しプレートを後方へ移動し再装填、作業終了後はノズルを外しノズル前後も分離させノズル内部に残ったボンド等を取り出す。壁当たりプレートや結合具と一体の櫛目プレート等、タイル用ボンド等では接着できないポリエチレンやプラスチック等の樹脂製素材以外の部分は溶剤等で掃除する必要はあるが、ポリエチレンやプラスチック等の樹脂製素材の部品はタイル用ボンド等では接着できないので、溶剤を使用する事なく固まった後でも容易に剥がす事ができる。