(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077478
(43)【公開日】2022-05-23
(54)【発明の名称】動物捕獲檻の設置方法
(51)【国際特許分類】
A01M 23/20 20060101AFI20220516BHJP
A01M 29/30 20110101ALI20220516BHJP
【FI】
A01M23/20
A01M29/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020199895
(22)【出願日】2020-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】517306075
【氏名又は名称】陸網技研工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】廣岡 眞作
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA01
2B121BA12
2B121BA16
2B121BA19
2B121BA53
2B121BA58
2B121BB30
2B121BB32
2B121EA26
2B121FA12
2B121FA14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】害をもたらす動物の耕作地への侵入を防ぐと共に個体数を減らすことの両方を解決する手段を提供する。
【解決手段】長手方向の両端部に幅が概ね30cm~100cmの範囲の開口部を設けてあり、開口部は0.5Kgfの加重により係止めが解除される落下扉によって開閉される機構を有する捕獲檻1と動物の侵入を防ぐ柵2を組みあわせた設置柵の設置方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の侵入を防ぐ柵の設置方法であって、柵の一部に柵の内側と外側を連通させて捕獲檻を設置し、当該捕獲檻は、長手方向の両端部に幅が概ね30cm~100cmの範囲の開口部を設けてあり、該開口部は0.5Kgfの加重により係止めが解除される落下扉によって開閉される機構を有する捕獲檻と動物の侵入を防ぐ柵を組みあわせて設置することを特徴とする柵の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物の侵入防止柵と捕獲檻の組み合わせ設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動物捕獲檻に関する技術は多数存在する。例えば、特開2001-128610号公報(特許文献1)、特開2007-28934号公報(特許文献2)、特開2013-236612号公報(特許文献3)には、檻本体と、当該檻本体の両側面に形成された開口部と、当該開口部に設けられ、上下動するスライド扉とで形成されている動物捕獲檻が開示されている。又、本発明者は、例えば、実用新案登録第3149508号公報(特許文献4)、実用新案登録第3151260号公報(特許文献5)、実用新案登録第3163365号公報(特許文献6)特開2016-208930(特許文献7)、意匠登録1437220(特許文献8)、意匠登録1609529(特許文献9)に示すように、既に、動物捕獲檻について、多種の実用新案登録出願、特許出願及び意匠出願を行い、実用新案権、特許権及び意匠権を取得している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-128610号公報
【特許文献2】特開2007-28934号公報
【特許文献3】特開2013-236612号公報
【特許文献4】実用新案登録第3149508号公報
【特許文献5】実用新案登録第3151260号公報
【特許文献6】実用新案登録第3163365号公報
【特許文献7】特開2016-208930号公報
【特許文献8】意匠登録第1437220号公報
【特許文献9】意匠登録第1609529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
里山から猪、鹿等の大型動物が耕作地に侵入することよる農作物の被害発生は数えきれない状況である。前段の背景技術に記載したように、多くの動物捕獲装置が開発され活用されている。しかしながら、これらは檻の中に動物を誘い込むための餌を設置し、動物の侵入をピンポイントで待ち受けるものであり、広範囲の耕作地をカバーするには限界がある。現在広範囲の耕作地に動物の侵入を防御する柵が多く設置され動物の侵入から作物を守る方策がとられている。これらの柵では動物の個体数を減らすことができない課題がある。本発明は、害をもたらす動物の耕作地への侵入を防ぐと共に個体数を減らすことの両方を解決する手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、里山と耕作地の境界領域に設置されている動物侵入防止柵を入念に観察調査したところ、動物は、柵の切れ目や破れ箇所の狭いところを見つけて、そこを通路にして耕作地へ侵入していることを突き止め、その動物の習性を利用した防御、捕獲方法を開発するに至った。すなわち里山と耕作地の境界領域に設置する動物侵入防止柵の一部に予め開口部を設けておけば、動物は開口部を通路にして耕作地へ侵入する行動をとる。その通路を捕獲檻にすれば動物の侵入防止と捕獲が同時に行えることを見出した。
【0006】
本発明は、動物の侵入を防ぐ柵の設置方法であって、柵の一部に柵の内側と外側を連通させて捕獲檻を設置し、当該捕獲檻は、長手方向の両端部に幅が概ね30cm~100cmの範囲の開口部を設けてあり、該開口部は0.5Kgfの加重により係止めが解除される落下扉によって開閉される機構を有する捕獲檻と動物の侵入を防ぐ柵を組みあわせて設置することを特徴とする柵の設置方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、広範囲の耕作地を里山から侵入してくる動物から守ると共に、餌を用いることなく動物を捕獲できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の動物の侵入防止の柵と捕獲檻の設置模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
里山と耕作地の境界領域に設置される動物侵入防止柵の一部に、開口部を設ける。その開口部は動物捕獲檻にして、長手方向の両端が落下扉で開閉できるようにしておく。落下扉は、動物が侵入してきた際に、素早く落下させる必要があるため係止めを外す加重は、0.5Kgfの加重で係止めが解除されるようにする必要がある。動物は、前方にある農作物を目標に狭い開口部を早足で通り抜ける習性があるため、できるだけ小さい加重で係止めが解除できれば良く、当然0.5Kgfより小さい加重で解除されてもよく、またこれよりも大きな加重をかければ解除されることは当然であるが、係止めが解除される加重の限界値が0.5Kgfであり、この荷重の限界値を超えた加重を働かせないと係止めが解除できない機構の捕獲檻は、動物の捕獲率が低下するので好ましくない。一方、あまりにも小さい加重で解除できるように設定すると、誤作動が多くなるので、好適には0.3Kgf~0.5Kgfの加重で解除できる機構が選択される。このような係止め解除の例として、特許文献6(実用新案登録第3163365号公報)に開示されている方法がある。
【0010】
この方法は、落下扉に設置されている滑車に、係止め部位を会合させ、係止め具の上端が檻本体の上部に落下扉の面と直交する回転面でピン止めされている。この構造は、落下扉の荷重を滑車に会合させている係止め部位で受けているが、ピン止めしている係止め具と落下扉のなす角度が平行でないため、滑車が受けている荷重のベクトルは、係止め具を解除しようとする力の方向のベクトルと、ピン止めさている係止め具が直接受けている力に分解できる。したがって、落下扉の荷重に比べて、ごくわずかな加重で係止めを解除できる。本発明の落下扉の係止め解除方法は上述の機構に限定されるものではない。
【0011】
本発明に使用される動物捕獲檻は、開口部の幅が概ね30cm~100cmであり、長手方向の両端に落下扉が設置されている必要があることは上述の通りである。開口部の幅は、動物が早足で通り抜けようとする習性を活用できる幅であれば良い。しかし、広すぎると動物に警戒心を与えて効果的ではない。好適には概ね30cm~80cm程度が良い。檻の長さは、200cm~250cm程度のものが好適である。里山と耕作地の境界領域に設置されるもので、傾斜地に設置されることが多いことも考慮した長さである。檻と柵の設置角度は、特に限定されるものではないが、設置場所の地形にもよるが、45度~70度の角度で設置するのが好適である。
【0012】
本発明に使用される動物捕獲檻の例は、特許文献9(意匠登録第1609529号公報)に記載のものがあるが、これに限定されるものではない。
【0013】
本発明の動物侵入防止柵は、一般に使用されている公知のもので良く、特に限定されるものではないが、捕獲檻を設置できる開口部を設けられれば良い。
【実施例0014】
里山と耕作地の境界領域に動物侵入防止柵と動物捕獲檻を本発明の設置方法で設置した。設置数日後に動物を捕獲した写真(
図2)を実施例として示した。