(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077479
(43)【公開日】2022-05-23
(54)【発明の名称】ロールペーパーホルダー
(51)【国際特許分類】
A47K 10/36 20060101AFI20220516BHJP
【FI】
A47K10/36 K
A47K10/36 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020199896
(22)【出願日】2020-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】591075043
【氏名又は名称】楠本 義夫
(74)【代理人】
【識別番号】100071892
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆一
(72)【発明者】
【氏名】楠本 義夫
(57)【要約】
【課題】使用後にロールペーパー11を自動的に回転動させ、次の使用のための摘み代をカバー体4の正面端縁から自動的に繰り出させるロールペーパーホルダーを提供する。
【解決手段】回転軸51に板カム15の軸心を固着している。回転軸51には案内ピン18を具備し案内溝19が凹設された案内板17を偏心して供回り可能に取り付けている。側壁301に摺動孔が上下方向に貫設された取付板23が枢着され、摺動孔には従節シャフト21が摺動自在に挿通されている。1対の従節シャフト21、21の上下端は上下部固定部材27、28で夫々固定され、下部固定部材27と取付板23の間にはバネ29が介在している。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面部材、側部材、側壁に囲まれロールペーパー保持手段が配設可能な空間部に正面端縁にペーパー切断機能を具備するカバー体を起伏可能に設け、
前記空間部に於いて、ケーシングの側壁に軸架された回転軸にロールペーパー保持手段を空回り若しくは供回り可能に取り付け、
前記ケーシング内に於いて、前記回転軸の回転運動をケーシング内に設けた従節シャフトの上下運動に変換可能に、回転軸に板カムと、案内ピンを有する案内板を偏心して供回りに取り付け、
ケーシングには案内板の周面に設けた案内溝からの圧力により弾性変形し弾性エネルギーが蓄積可能な弾性部材が設けられ、
従節シャフトの上端は上部固定部材で、下端は下部固定部材で夫々固定され、
従節シャフトが最上位置に位置した状態保持下でロールペーパー保持手段が回転軸を空回りし、上部固定部材に案内ピンで正面方向に力を作用すると回転軸が案内板と共に回転動し、この回転量に応じた長さのペーパーが繰り出すようにしたロールペーパーホルダーにおいて、
前記ケーシング側壁に前傾動可能に取付板が枢着され、
該取付板には摺動孔が上下方向に貫設され、該摺動孔には従節シャフトが摺動可能に挿通され、
前記下部固定部材と前記取付板との間には前記下部固定部材を押し下げる方向に付勢するバネを介在させたことを特徴とするロールペーパーホルダー。
【請求項2】
上記ケーシング側壁に上下方向に延びる溝を有するバネ受けを設け、上記下部固定部材にはバネの一端を取り付け、バネの他端は前記バネ受けの溝内を摺動するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のロールペーパーホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者がロールペーパーを切断後、ロールペーパーが自動的に正面方向に一定量回転動をし、カバー体の正面端縁から一定長さのペーパーが自動的に繰り出し、この繰り出されたペーパーが次の使用の際の摘み代となるようにしたロールペーパーホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
摘み代が繰り出されたロールペーパーの上面を覆うカバー体を非接触で、ロールペーパーを所望の使用量引き出し切断可能なロールペーパーホルダーとして、特許文献1~3に開示のものが提案されている。
ロールペーパーがカバー体の正面端縁に設けた切断刃で切断分離されると同時に、ロールペーパーを自動的に正面方に一定量回転動させることで、カバー体の正面端縁よりロールペーパーが一定長さ繰り出され、この繰り出されたペーパーが、次にロールペーパーを使用する者の摘み代となるように構成されたロールペーパーホルダーが提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に開示の発明は、手指がカバー体を含むロールペーパーホルダーに非接触でロールペーパーを切断することができるので、ロールペーパーホルダー表面の衛生状態が保持され、使用者の手指の爪先等を損傷しないという長所がある。
ロールペーパーを回転動させる基端回転軸に板カム、錘及び案内ピンを有する錘用腕杆を供回り可能に取り付け、ペーパーを正面方向に引き出すと回転軸と板カム及び錘用腕杆が同期回転し、この回転動に伴い、上端に案内ピン係止壁を有する従節シャフトを上昇させ、且つ案内ピンを正面方向に回転動させ、案内ピンが案内ピン係止壁に係止状態でペーパーをカバー体正面端縁で切断と同時に、回転軸は使用者の引っ張り力から解放され、錘の重力でロールペーパーが正面方向に一定量周回動可能な構成のロールペーパーホルダーが提案されている(特許文献2参照)。特許文献2に開示の発明は、ロールペーパーホルダーに手指が非接触でペーパーを引き出すことができ衛生的であるが、使用者は回転軸を錘と共に回転させる引っ張り力をもってペーパーを手前に引き出し、ペーパー切断後は錘が回転軸の軸心真下に位置するように錘の自重で回転軸を回転動させるため、使用者がロールペーパーを引き出すには、錘と共に回転軸を回転させる程度以上の引っ張り力が必要で、力の弱い高齢者や子供には不向きであるという問題点があった。
本願発明者はロールペーパーを繰り出しの際のペーパー繰り出し力の軽減化、及びロールペーパーホルダー自体の重量の軽量化を図るために錘を設けない構造のロールペーパーホルダーを開発し、特願2018-248894として特許出願した(特許文献3参照)。特許文献3に開示の発明は、ロールペーパー切断後に案内板が瞬時に回転動し、即座に次の使用のための摘み代が繰り出される構造である
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-41229号公報
【特許文献2】特開2018-143736号公報
【特許文献3】特開2020-93026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明は、特許文献3に開示のロールペーパーホルダーの構成部品点数を減少させ一層の軽量化を図り、また、より一層の小さな引っ張り力でペーパーを引き出し可能にし、さらに、ロールペーパー切断後の摘み代の繰り出し速度を遅くすることで緩やかに次の摘み代が繰り出される非接触のロールペーパーホルダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本願発明のうち請求項1に記載の発明は、背面部材、側部材、側壁に囲まれロールペーパー保持手段が配設可能な空間部に正面端縁にペーパー切断機能を具備するカバー体を起伏可能に設け、空間部に於いてケーシングの側壁に軸架された回転軸にロールペーパー保持手段を空回り若しくは供回り可能に取り付け、ケーシング内に於いて回転軸の回転運動をケーシング内に設けた従節シャフトの上下運動に変換可能に、回転軸に板カムと案内ピンを有する案内板を偏心して供回りに取り付け、ケーシングには案内板の周面に設けた案内溝からの圧力により弾性変形し弾性エネルギーが蓄積可能な弾性部材が設けられ、従節シャフトの上端は上部固定部材で、下端は下部固定部材で夫々固定され、従節シャフトが最上位置に位置した状態保持下でロールペーパー保持手段が回転軸を空回りし、上部固定部材に案内ピンで正面方向に力を作用すると回転軸が案内板と共に回転動し、この回転量に応じた長さのペーパーが繰り出すようにしたロールペーパーホルダーにおいて、ケーシング側壁に前傾動可能に取付板が枢着され、取付板には摺動孔が上下方向に貫設され、該摺動孔には従節シャフトが摺動可能に挿通され、下部固定部材と前記取付板との間には前記下部固定部材を押し下げる方向に付勢するバネを介在させたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載のケーシング側壁に上下方向に延びる溝を有するバネ受けを設け、下部固定部材にはバネの一端を取り付け、バネの他端はバネ受けの溝内を摺動するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
ペーパー切断と同時に、ロールペーパーが正面方向に回転し、ペーパーがカバー体正面端縁より自動的に繰り出され、この繰り出されたペーパーが次の使用の摘み代となるので、カバー体等に手指が触れることがなく、衛生的であるという効果がある。
案内ピンが上部固定部材背面に接触状態で使用者がペーパーを所望長さ引き出し切断すると、弾性部材に蓄積された弾性変形エネルギー、すなわち弾性部材の復元力が案内板に正面方向に回転するように作用し、加えて取付板と下部固定部材との間に設けたバネの復元力で下部固定部材を下方向に押し下げ案内ピンを上部固定部材の上方を通り正面方に移動するようにして案内板を正面方向に回転させるので、より一層小さい力でペーパーを切断可能で、部品点数を少なくして軽量化したという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】カバー体を開いた状態において、案内ピンが案内ピン係止片の案内ピン係止壁に当接しているケーシングの内部状態を示すロールペーパーホルダーの一部切欠正面説明図である。(実施例1)
【
図2】回転軸、筒状取付部及び円板の連結状態を示す概略説明図である。(実施例1)
【
図3】
図2のA-A線に沿う筒状取付部、円板の位置関係を示す拡大概略説明図である。(実施例1)
【
図4】回転軸に四角柱状部を嵌め込む状態を示す説明図である。(実施例1)
【
図5】ケーシングの内部状態の斜視説明図である。(実施例1)
【
図6】ロールペーパーを引き出し、ロールペーパー空回り状態のケーシングの内部状態を示す右側面概略説明図である。(実施例1)
【
図7】ロールペーパーを切断直前のケーシングの内部状態を示す右側面概略説明図である。(実施例1)
【
図8】ロールペーパーを切断直後のケーシングの内部状態を示す右側面概略説明図である。(実施例1)
【
図9】ロールペーパーを引き出し、ロールペーパー空回り状態の板カム、上下側固定部材、バネ及び取付板の位置関係を示す説明図である。(実施例1)
【
図10】ロールペーパーを切断直前の板カム、上下側固定部材、バネ及び取付板の位置関係を示す説明図である。(実施例1)
【
図11】ロールペーパーを切断直後の板カム、上下側固定部材、バネ及び取付板の位置関係を示す説明図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0008】
回転軸に偏心して取り付けられた案内板の周端面に案内溝を設け、案内溝で回転軸の回転に応じて弾性部材を弾性変形させ蓄積される弾性エネルギー、及び取付板と下部固定部材との間に下部固定部材の下方向に付勢するバネに蓄積される弾性エネルギーの2種類の弾性エネルギーが案内板に正面方向に回転させるように作用し、この回転で繰り出したペーパーを次の使用のための摘み代とすることで、ロールペーパーの引き出し及び切断に必要な力の軽減化及び軽量化を実現した。
【実施例0009】
図1~
図11に基いて実施例1を説明する。ロールペーパーホルダーは、背面部材1と、側部材2と、ケーシング3と、側部材2とケーシング3と背面部材1で囲まれる空間部の上方にて起伏動する紙切断機能を具備するカバー体4、ロールペーパー保持手段、回転軸51、52、53及び回転軸51、52、53を回転停止する手段を設けてなる。側部材2は回転軸53の一端を軸架する受孔(図示せず)を具備し、背面部材1の正面に対して90度から180度の角度の範囲で回動可能に、背面部材1の横幅方向の一方の側縁に枢着されている。ケーシング3は、背面部材1の横幅方向の他方の側縁に正面方に突き出して背面部材1に固定的に取り付けられている。ケーシング3は、側壁301、302、及び周壁303よりなり、側壁301、302、及び周壁303の内側に回転軸51の回転停止機構を収納可能な空間を設けている。背面部材1は正背視が矩形の同厚板状物よりなり、構築物壁面への取り付け手段を具備する。
【0010】
3本の回転軸51、52、53は夫々の軸心線が同一直線上に位置するように連結されて1本の回転軸を形成している。回転軸51は側壁301に回転可能に軸架され、一端は側壁301とカバー体4で囲まれる空間に位置し、他端はケーシング3の内側に位置している。回転軸51の一端は一端方を開口した四角柱状中空部を有している。回転軸52の他端には、回転軸51の四角柱状中空部に嵌合可能な四角柱状部511を具備している。回転軸51の一端に形成された四角柱状中空部に四角柱状部511が嵌め込まれ、取付螺子6で四角柱状部511を四角柱状中空部に固定的に取り付けて回転軸51、52を着脱可能に連結している。回転軸52の一端には、横断面から視ると短辺が円弧状で長辺が直線状の略直方体状部521を具備している。略直方体状部521の短辺部分は表面に螺旋状溝が刻設されている。回転軸53の他端は、他端方を開口した中空部を有し、該中空部の内周面には螺旋状溝が刻設された雌螺子に形成され、該雌螺子に略直方体状部521を螺着し、回転軸52と回転軸53を着脱可能に連結している。このように、回転軸51、52、53を2箇所で着脱可能に連結して1本の回転軸を形成している。
【0011】
回転軸52にはロールペーパー保持手段が設けられている。ロールペーパー保持手段は、回転軸52に設けられた筒状取付部7と、筒状取付部7を介して取り付けられた1対の挿し込み片8、8と、挿し込み片8、8を離隔する方向に付勢する2種類のロールペーパー保持用バネ9、10よりなる。挿し込み片8、8は、断面形状が外方に膨出した弧状彎曲面よりなる短冊状に形成されている。筒状取付部7には1対の挿し込み片8、8のうち一方の挿し込み片8の基部が固着されている。1対の挿し込み片8、8のうち他方の挿し込み片8の基部は、一方の挿し込み片8の基部に枢着されて筒状取付部7に取り付けられている。挿し込み片8、8の対向面間にはロールペーパー保持用バネ9、10が取り付けられている。ロールペーパー保持用バネ9は、挿し込み片8、8の対向面を離隔する方向に付勢している。挿し込み片8、8の対向面間には、弾性復元力がロールペーパー保持用バネ9よりも小さいロールペーパー保持用バネ10が挿し込み片8、8の対向面を離隔する方向に付勢するように取り付けられている。弾性復元力の異なるロールペーパー保持用バネ9、10を挿し込み片8、8間に介在させることで挿し込み片8、8の開閉運動が緩やかに行われる。実施例1では、ロールペーパー保持手段が、ロールペーパー保持用バネ9、10の復元力でロールペーパー11の中芯の内周面に対して挿し込み片8、8が加圧し、ロールペーパー11が挿し込み片8、8の外面に位置ずれを生じることなく取り付けられることで安定的な取付状態を保持しているものを例に説明したが、これに限定するものではない。
【0012】
筒状取付部7の一端内周面には円板受け部13が取り付けられている。円板14が円板受け部13内を周方向に回転可能に、円板受け部13には円板14の周端縁が配設されている。円板14の中心には、回転軸52の略直方体状部521が挿通可能な長方形状の穿孔が開設されている。長方形状の穿孔には、回転軸52の一端に形成された略直方体状部521が挿通されている。
【0013】
側壁301に軸架された回転軸51の他端側は、ケーシング3内に於いて板カム15、案内ピン用腕杆16、及び案内板17が回転軸51と供回り可能に取り付けられている。案内ピン用腕杆16の先端には案内ピン18が取り付けられている。案内ピン18は先端が側壁301を向き、先端に端部部材181が設けられ、且つ回転軸51と平行な位置関係となるように設けられている。
【0014】
案内板17は所定の同厚平板を材料とし、側面から視て曲線部と直線部の周縁を有する形状に形成されている。曲線部の周端面には案内溝19が凹設されてなる。案内板17は回転軸51に供回り可能に偏心して取り付けられている。案内板17の周縁曲線部と回転軸51の軸心との直線距離は、周縁曲線部前端を最も短くし、案内板17の正面回りに漸次長くし、周縁曲線部後端は最も長くして周壁303の内側面に最も近くなるようにし、後述する弾性部材20を案内溝19からの作用で漸次弾性変形させるようにしている。案内板17は正面方向周りの周縁曲線部後端と周縁部前端間は直線部にし、直線部は後述する弾性部材20と接触しない非接触部にすることで、弾性部材20を復元するようにしている。
【0015】
板カム15の真上には、板カム15の回転運動を上下運動に変換する従節シャフト21が配設されている。側壁301には側壁301との間に隙間を設けて支持板22が固定的に取り付けられている。支持板22には、取付板23が枢軸24を中心に正背面方向に回転動可能に取り付けられている。支持板22にはストッパー25、26を設けている。ストッパー25は取付板23が背面方向に回転動しないように取付板23の背面側に取り付けられている。ストッパー26は取付板23が正面方向に一定量以上回転動しないように取付板23の正面側下方に取り付けられている。取付板23には2の摺動孔が上下方向に貫設され、夫々の摺動孔には夫々従節シャフト21が上下方向に摺動可能に挿通されている。回転軸51と従節シャフト21は、従節シャフト21の軸心線の下方延長線が回転軸51の軸心線と直交する位置関係となるように配設されている。従節シャフト21の下端は、下部固定部材27により固定されている。従節シャフト21の上端は上部固定部材28により固定されている。回転軸51の正面回りの回転により、板カム15の縁部のうち最も突出する最突出縁部151が下部固定部材27の下面を押し上げ、従節シャフト21を上昇させるようにしている。
【0016】
下部固定部材27と取付板23の間には、下部固定部材27を押し下げる方向に付勢するバネ29が介在している。側壁301にはバネ受け30が取り付けられている。バネ受け30は上下方向に延び正面方に開口する摺動溝が凹設されている。バネ31は一端が下部固定部材27の下部に固着され、他端はバネ31の変形に応じてバネ受け30の摺動溝内を移動可能にバネ受け30の摺動溝に配設されている。
【0016】
回転軸51の軸心から案内ピン用腕杆16の案内ピン18の取付位置までの直線距離は、上部固定部材28が最上位置に位置したときの回転軸51の軸心から上部固定部材28背面までの距離と略同じで、上部固定部材28が下降したときの回転軸51の軸心から上部固定部材28の上面までの直線距離よりは長く設定されている。板カム15の最突出縁部151が下部固定部材27を押し上げたときに、上部固定部材28の背面に案内ピン18の端部部材181が当接可能に、板カム15の最突出縁部151と端部部材181の取り付け位置が設定されている。
【0017】
弾性部材20は線材よりなる片持ちバネよりなり、片持ちバネの固定端が周壁303に固定的に取り付けられている。弾性部材20は屈曲部201を有し、屈曲部201より自由端側はガイド部としての作用をなすようにしている。
【0018】
背面部材1の上端には枢軸取付片32が設けられている。側壁301と枢軸取付片32にはカバー体4が起伏動可能に枢着されている。側壁301とカバー体4とを枢着する枢軸33にはレバー34が連設されている。側壁301には取付片35が固着されている。捩じりバネ12の上端はレバー34に固着され、下端は取付片35に固着され、枢軸33が正面方に回転するように付勢してカバー体4を伏せるようにしている。
【0019】
次に作用について説明する。側部材2を開き、回転軸51の一端側からロールペーパー11の中芯中空部に挿し込み片8、8を挿し込む。ロールペーパー保持用バネ9、10の復元力で、挿し込み片8、8はロールペーパー中芯の内周面側から加圧し、ロールペーパー11は挿し込み片8、8の外面に位置ズレすることなく安定的に取付保持される。ロールペーパー11の使用前は、案内板17は重心位置が回転軸51の真下に位置し、
図5に示すように周縁曲線部後端部が最も下側に位置する状態を保持する。バネ29の復元力で下部固定部材27は下降し、上部固定部材28も下降し、上部固定部材28は取付板23の上面に掛止されている。板カム15の最突出縁部151は下部固定部材27から離れている。
使用者がロールペーパー11の摘み代をロールペーパー11の接線方向に引き出すと、回転軸51、52、53は正面方向回りに回転運動を開始する。ロールペーパー挿し込み片8、8の回転動により筒状取付部7及び回転軸51、52、53は共に回転をし、ペーパーを繰り出す。回転軸51、52、53の回転動に伴い案内板17は正面方向回りに回転し、弾性部材20の屈曲部201から自由端側は案内溝19に入り込み、案内溝19を摺動して案内板17の周縁曲線部後端に位置する。案内板17の正面回りの回転動に応じ、弾性部材20は案内溝19の溝底で周壁303の正面側に加圧され、徐々に立ち上がり弾性変形する。
図6及び
図9に示すように、ロールペーパー11の引き出しを継続すると回転軸51、52、53は正面回りに回転する。回転軸51、52、53と板カム15は供回りし、板カム15の最突出縁部151で下部固定部材27は押し上げられ、従節シャフト21は上昇し、上部固定部材28も上昇する。下部固定部材27の上昇に伴いバネ29は圧縮し蓄勢状態になる。バネ31は下部固定部材27の上昇に伴い、バネ受け30の溝内を上昇する。板カム15の最突出縁部151の先端が下部固定部材27の下面に圧接し上部固定部材28が最上位置に達したときに、端部部材181は上部固定部材28の背面に係止され、回転軸51、52、53の回転は停止する。回転軸51、52、53の停止状態下で、使用者のロールペーパー11の引き出し力により筒状取付部7は挿し込み片8、8と共に空回りをし、ロールペーパー11は繰り出される。弾性部材20は回転軸51の軸心から直線距離で最も離れた位置の案内溝19で弾性変形状態で、回転軸51、52、53が回転動を停止している。
ペーパー切断の際において、使用者は繰り出されたロールペーパー11を上向きにし、カバー体4の正面端縁切断刃に当て引き破る。ペーパーを上向きにし引き破る作業は瞬時に行われる。ペーパーを上向きにし引き破る力は、ペーパー引き出し力よりも強い。挿し込み片8、8、筒状取付部7及び回転軸51、52、53が正面方向に回転動する。
図7及び
図10に示すように、端部部材181は上部固定部材28の背面に対し、正面方向に作用する。取付板23は枢軸24を中心にしては正面方向に回転動する。取付板23の下面はストッパー26に掛止され、取付板23は僅かに前傾する。
ペーパー切断と同時にロールペーパー保持手段に負荷されていた正面方向への作用力から回転軸51、52、53は解放される。弾性部材20に蓄積されていた弾性エネルギーが放出し復元し、取付板23と下部固定部材27とを離隔し、下部固定部材27及び上部固定部材28を下降させる。案内板17は重心が回転軸51の真下に位置するように回転動し、
図5に示す状態になる。ペーパー切断時から案内板17の回転量に応じた長さのペーパーがカバー体4の正面端縁から繰り出され、次の使用の際の摘み代となる。
回転軸51、52、53は、夫々分離可能に連結しているので、連結部を外すことで、ロールペーパー保持手段を容易に着脱できる。