(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077482
(43)【公開日】2022-05-23
(54)【発明の名称】車両用ランプのレベリング制御装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/115 20060101AFI20220516BHJP
【FI】
B60Q1/115
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020217742
(22)【出願日】2020-12-25
(31)【優先権主張番号】10-2020-0149785
(32)【優先日】2020-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】507098483
【氏名又は名称】ヒュンダイ・モービス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン ジ スン
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339BA01
3K339BA07
3K339BA08
3K339BA21
3K339BA22
3K339BA23
3K339BA25
3K339BA28
3K339CA01
3K339GB01
3K339KA23
3K339KA39
3K339LA02
3K339LA11
3K339MA01
3K339MA07
3K339MC24
3K339MC45
3K339MC48
3K339MC49
3K339MC52
3K339MC53
3K339MC67
3K339MC74
(57)【要約】 (修正有)
【課題】車高センサーを代替して車両の設計時間を短縮し、生産単価を削減し、車体の重量を減少させて燃費を改善する車両用ランプのレベリング制御装置を提供する。
【解決手段】車両用ランプのレベリング制御装置は、加速度センサ10と、ホイール速センサー20と、車両の周辺に光を照射するように配置したランプ60と、ランプ60の前方に照射される光の方向を調節するように配置した駆動部50と、車両が走行中の場合に、車両の加速または減速の状況で加速度センサーを用いて道路に対する車両の動的傾きの値を演算した後に、車両の動的傾きの値に基づいて車両の第1の静的傾きの値を演算し、車両が停車中の場合に、加速度センサー及び車両が配置する道路の道路勾配値を用いて車両の第2の静的傾きの値を演算した後に、演算した第1の静的傾きの値または第2の静的傾きの値に基づいてランプの前方に照射される光の方向を制御する制御部40と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の方向に対する車両の加速度を感知するように配置した1つ以上の加速度センサ(acceleration sensor)と、
前記車両のホイールの速度を感知するように配置したホイール速センサー(wheel speed sensor)と、
前記車両の周囲に光を照射するように配置したランプ(lamp)と、
前記ランプにつながり、前記ランプの前方に照射される光の方向を調節するように配置した駆動部(driving unit)、及び、
前記車両が走行中の場合に、前記車両の加速(acceleration)または減速(deceleration)状況で、前記加速度センサーを用いて道路に対する車両の動的傾きの値(dynamic angle value)を演算した後に、前記車両の動的傾きの値を基づいて前記車両の第1の静的傾きの値(first static angle value)を演算し、前記車両が停車中の場合に、前記加速度センサー及び前記車両が位置する道路の道路勾配値(road angle value)を用いて前記車両の第2の静的傾きの値(second static angle value)を演算した後に、演算した第1の静的傾きの値または第2の静的傾きの値に基づいて前記ランプの前方に照射される光の方向を制御するように前記車両に配置した制御部(controller)と、
を含む車両用ランプのレベリング制御装置。
【請求項2】
前記道路勾配値は、
前記加速度センサを用いて演算した前記車両の全体の傾きの値と前記第1の静的傾きの値の差(difference)であることを特徴とする請求項1に記載の車両用ランプのレベリング制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記車両が走行中に前記車両の加速度または減速度が予め設定したしきい値(threshold)を超える場合に、前記第1の静的傾きの値を演算しない、または、演算しても有効な値(effective value)として含まないことを特徴とする請求項1に記載の車両用ランプのレベリング制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
予め設定した時間間隔ごとに第1の静的傾きの値を演算し、
前記有効な値に含まれた前記第1の静的傾きの値の個数が予め設定した有効個数以上に測定されたと判断した場合に、
測定した複数の第1の静的傾きの値の中間値(median)または平均値(average)を最終静的傾きの値(final static angle value)に決定し、
前記最終静的傾きの値を用いて前記ランプの前方に照射される光の方向を制御することを特徴とする請求項3に記載の車両用ランプのレベリング制御装置。
【請求項5】
さらに前記車両内の人または物体が乗下車(getting on and off)したかどうかを感知し、感知信号を前記制御部に送信する乗下車感知部(getting on and off sensor)
を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用ランプのレベリング制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記車両が停車中に、前記道路勾配値がメモリ(memory)に保存されたかどうかを判断し、
前記道路勾配値が前記メモリに保存されていないと判断した場合に、前記車両が停車を開始した時点から前記制御部が動作中である現在の時点までの第1の時間間隔の間に前記車両内の人や物体が乗下車したかどうかを前記乗下車感知部を利用して判断した後に、
前記第1の時間間隔の間に前記車両内の人や物体が乗下車していないと判断した場合に、前記車両が位置する道路の道路勾配値を演算して前記メモリに保存し、
前記第1の時間間隔の間に前記車両内の人または物体が乗下車したと判断した場合に、前記道路勾配値を予め設定した一時的な値(temporary value)として設定し、前記メモリに保存することを特徴とする請求項5に記載の車両用ランプのレベリング制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記制御部の電源がオンになると演算した道路勾配値と、前記メモリに既に保存されていた道路勾配値が一致するかどうかを判断し、
一致しない場合、道路勾配値を予め設定した一時的な値として設定してメモリに保存することを特徴とする請求項6に記載の車両用ランプのレベリング制御装置。
【請求項8】
ホイール速センサーを用いて車両が走行中であるか、または停車中であるかを判断する走行状態判断ステップと、
前記車両が走行中であると判断した場合に、前記車両の加速または減速時に測定した前記車両の速度及び加速度に基づいて動的傾きの値を演算した後に、前記動的傾きの値を第1の静的傾きの値に変換し、前記車両が停車中であると判断した場合に、加速度センサーを用いて全体の傾きの値を演算し、演算した全体の傾きの値及び道路勾配値に基づいて第2の静的傾きの値を演算する演算ステップ、及び、
前記車両の前記第1の静的傾きの値または前記第2の静的傾きの値に基づいて前記車両に配置したランプから照射される光の位置を調節するランプ調節ステップと、
を含む車両用ランプのレベリング制御方法。
【請求項9】
前記道路勾配値は、
前記加速度センサを用いて演算した前記車両の全体の傾きの値と前記第1の静的傾きの値の差であることを特徴とする請求項8に記載の車両用ランプのレベリング制御方法。
【請求項10】
前記演算ステップは、
前記車両が走行中に前記車両の加速度または減速度が予め設定したしきい値を超えた場合に、前記第1の静的傾きの値を演算しない、または、演算しても有効な値として含まないことを特徴とする請求項8に記載の車両用ランプのレベリング制御方法。
【請求項11】
前記演算ステップは、
前記車両の走行中に予め設定した時間間隔ごとに第1の静的傾きの値を演算し、
前記有効な値に含まれた前記第1の静的傾きの値の個数が予め設定した有効個数以上に測定されたと判断した場合に、
測定された複数の第1の静的傾きの値の中間値または平均値を最終静的傾きの値に決定することを特徴とする請求項10に記載の車両用ランプのレベリング制御方法。
【請求項12】
前記ランプ調節ステップは、
さらに前記最終静的傾きの値を用いて前記ランプの前方に照射される光の方向を制御するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の車両用ランプのレベリング制御方法。
【請求項13】
前記演算ステップにて、
さらに、前記車両が停車中に、前記第2の静的傾きの値を演算する前に、
前記道路勾配値がメモリに保存されたかどうかを判断するステップと、
前記道路勾配値が前記メモリに保存されていないと判断した場合に、前記車両が停車を開始した時点から前記車両の制御部の動作中である現在の時点までの第1の時間間隔の間に前記車両のすべてのドアが閉状態を維持したかどうかをドア開閉センサーを利用して感知する開閉感知ステップ、及び、
前記車両のすべてのドアが前記第1の時間間隔の間に閉状態を維持したと判断した場合に、前記車両が位置する道路の道路勾配値を演算して前記メモリに保存し、前記車両のドアのうちのいずれか一つ以上が前記第1の時間間隔の間に閉状態を維持しなかったと判断した場合に、前記道路勾配値を予め設定した一時的な値として設定して前記メモリに保存する保存ステップと、
を含むことを特徴とする請求項8に記載の車両用ランプのレベリング制御方法。
【請求項14】
前記保存ステップにて、
さらに、前記車両のすべてのドアが前記第1の時間間隔の間に閉状態を維持したと判断した場合に、
前記道路勾配値を演算する前に、
予め設定した第2の時間間隔の間に前記車両の全体の傾きの値の傾きの変化値が基準値よりも小さいかどうかを判断するステップ、及び、
前記傾きの変化値が前記基準値よりも小さいと判断した場合に、前記道路勾配値を演算し、前記傾きの変化値が前記基準値よりも大きい、または同じであると判断した場合に、前記道路勾配値を演算せず、前記道路勾配値を前記予め設定した一時的な値として設定し、前記メモリに保存するステップ
を含むことを特徴とする請求項13に記載の車両用ランプのレベリング制御方法。
【請求項15】
前記走行状態判断ステップは、
前記車両の走行速度が予め設定した速度よりも速く走行する場合に、前記車両が走行中であると判断し、予め設定した速度よりも遅い、または同じで走行する場合に、前記車両が停車中であると判断することを特徴とする請求項8に記載の車両用ランプのレベリング制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用ランプのレベリング制御装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この部分に記述した内容は、単に本開示に関する背景情報を提供するだけで、従来の技術を構成するものではない。
【0003】
車両には、夜間走行時に車両の周辺に位置する対象物を容易に確認するための照明機能などを有するランプが備えられる。
【0004】
この中で、ヘッドランプ(headlamp)は、車両が夜間に走行したり、トンネルなど暗い場所を走行する場合、車両の走行方向と同じ方向に光を照射してドライバーの前方視界を確保するために不可欠な機能を有する。一般的に、ヘッドランプは、定められた方向に光を照射するように設けられ、車両の車高(vehicle height)が変化する場合にも、一定の方向にのみ光を照射する場合は、十分な視界を確保しない、または対向車に対してグレアを与えてしまうことが発生する。
【0005】
これを解決するために、車両に車高センサー(height sensor of vehicle)を配置して車両の傾きを把握し、それに応じてヘッドランプから照射される光の高低を調節する技術が導入された。しかし、車高センサーを車体に取り付けるためには、ブラケット(bracket)、車高センサー、シャーシ(chassis)、車体内の動的運動を伝達するためのアーム(arm)、リンク(link)及びリンクブラケット(link bracket)などの多くの構成が必要である。これは、設計に多くの時間が要され、生産単価が増加し、車体の重量が増加して燃費に悪い影響を与える。
【0006】
このような車高センサーの問題点を解決するために加速度センサ(acceleration sensor)を利用して車両の傾きを判断する制御装置が開発されたが、加速度センサーを用いる場合は、ノイズ(noise)による誤差が発生することになり、車両の走行中にこのような誤差が累積して車両の傾きの推定が不正確になるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本開示は車高センサーを代替して車両の設計時間を短縮し、生産単価を削減し、車体の重量を減少させて燃費を改善することに主な目的がある。
【0008】
また、本開示は、車両の走行中にも継続的に車両のみの傾きを予測する新しいロジックを適用し、車両のみの傾きを抽出して累積誤差を防止することに主な目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一実施例によると、1つ以上の方向に対する車両の加速度を感知するように配置した1つ以上の加速度センサ(acceleration sensor)と、車両のホイールの速度を感知するように配置したホイール速センサー(wheel speed sensor)と、車両の周辺に光を照射するように配置したランプ(lamp)と、ランプにつながり、ランプの前方に照射される光の方向を調節するように配置した駆動部(driving unit)、及び、車両が走行中の場合に、車両の加速(acceleration)または減速(deceleration)状況で加速度センサーを用いて道路に対する車両の動的傾きの値(dynamic angle value)を演算した後に、車両の動的傾きの値に基づいて車両の第1の静的傾きの値(first static angle value)を演算し、車両が停車中の場合に、加速度センサ及び、車両が配置する道路の道路勾配値(road angle value)を用いて車両の第2の静的傾きの値(second static angle value)を演算した後に、演算した第1の静的傾きの値または第2の静的傾きの値に基づいてランプの前方に照射される光の方向を制御するように車両に配置した制御部(controller)を含む車両用ランプのレベリング制御装置を提供する。
【0010】
また、ホイール速センサーを用いて車両が走行中であるか、または停車中であるかの如何を判断する走行状態判断ステップと、車両が走行中であると判断した場合に車両の加速または減速時に測定した車両の速度及び加速度をもとに動的傾きの値を演算した後に、動的傾きの値を第1の静的傾きの値に変換し、車両が停車中であると判断した場合に加速度センサーを用いて全体の傾きの値を演算し、演算した全体の傾きの値及び道路勾配値をもとに第2の静的傾きの値を演算する演算ステップ、及び、車両の第1の静的傾きの値または第2の静的傾きの値に基づいて車両に配置したランプから照射される光の位置を調節するランプ制御ステップと、を含む車両用ランプのレベリング制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
以上で説明したように、本実施例によると、車両用ランプのレベリング制御装置及びその制御方法は、車高センサーの代わりに加速度センサーを用いて車両だけの傾きを測定することによって車高センサーを設置するのに関わる設計時間を短縮し、生産単価を削減し、車体の重量を減少させて燃費を向上させるという効果がある。
【0012】
また、本開示は、加速度センサーを用いて車両だけの傾きを測定するときに発生するノイズによる誤差の累積を防止できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の一実施例に係る車両用ランプのレベリング制御装置のブロック図である。
【
図2】車両の第1の静的傾きの値及び第2の静的傾きの値を演算するステップを説明するために示した図である。
【
図3】本開示の一実施例に係る動的傾きの値を第1の静的傾きの値に変換するステップを説明するためのグラフである。
【
図4】本開示の一実施例に係る車両用ランプのレベリング制御方法のフローチャートである。
【
図5】本開示の他の実施例に係る車両用ランプのレベリング制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の一部の実施例を例示的な図面を通じて詳しく説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加することに当たり、同一の構成要素については、たとえ他の図面上に表示されても可能な限り同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本開示を説明するに当たり、関連した公知の構成または機能についての具体的な説明が本開示の要旨を曖昧にすると判断した場合に、その詳しい説明は省く。
【0015】
本開示の実施例の構成要素を説明するに当たり、第1、第2、i)、ii)、a)、b)などの符号を用いる場合がある。このような符号は、その構成要素を他の構成要素と区別するに過ぎず、その符号によって該当構成要素の本質または順番や順序などが限定されない。明細書においてある部分がある構成要素を「含む」または「備える」とするとき、これは明示的に逆になる記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0016】
図1は、本開示の一実施例に係る車両用ランプのレベリング制御装置のブロック図である。
図2は、車両の第1の静的傾きの値及び第2の静的傾きの値を演算するステップを説明するために示した図である。
図3は、本開示の一実施例に係る動的傾きの値を第1の静的傾きの値に変換するステップを説明するためのグラフである。ここで、第1の静的傾きの値は、車両の走行中の道路面を基準とした車両の傾きの値を意味し、第2の静的傾きの値は、車両の停車中の道路面を基準とした車両の傾きの値を意味し、最終的な静的傾きの値は、制御部40が、車両走行中に演算した複数の有効な第1の静的傾きの値の中間値または平均値を意味する。動的傾きの値は、車両の走行中の加速または減速の状態に形成する車両の傾きの値を意味する。
【0017】
図1を参照すると、車両用ランプのレベリング制御装置は、加速度センサ(acceleration sensor)10、ホイール速センサー(wheel speed sensor)20、乗下車感知部(getting on and off sensor)30、制御部(controller)40、駆動部(driving unit)50、及びランプ(lamp)60の全部または一部を含む。
【0018】
【0019】
ホイール速センサー20は、車両のホイールの回転速度(rotational speed)を感知するセンサーである。ホイール速センサー20は、車両の各ホイールに1つずつ配置し、それぞれのホイールの速度を測定する。ホイール速センサー20を用いて車両のホイールの回転速度を測定し、ホイールの回転速度をもとに車両の進行方向の速度を演算することができる。
【0020】
乗下車感知部30は、車両内の人や物体が乗下車(getting on and off)するかの如何を感知する。車両内の人や物体が乗下車する場合に車両全体の重心(center of gravity)の位置が変わるようになり、車両自体の傾きに変化が発生することから、人または物の乗下車を感知する必要がある。乗下車感知部30には、車両のシート(seat)に配置する重量センサー(weight sensor)、車両のドアの開/閉を感知するドア開閉センサー(door opening and closing sensor)、車両内の状況を感知するレーダーセンサー(radar sensor)、及びカメラセンサー(camera sensor)などがある。本開示は、ドア開閉センサーを中心に説明するが、これに限定されない。また、上述した乗下車感知部30の構成は、例示的なものであり、本開示は、これに限定されず、車両内の人または物体の乗下車を感知できるすべての構成を含む。
【0021】
制御部40は、車両傾き演算部(vehicle slope calculator)41、道路勾配演算部(road slope calculator)42と駆動出力演算部(driving output calculator)43の全部または一部を含む。制御部40の構成は、制御部40の機能に関する説明の便宜のために区分したものであり、制御部40内に必ずしも、述べたような構成を別途備えなければならないものではない。制御部40は、上述した構成に加え、メモリ(memory)を含んでよく、駆動部50及びランプ60のみならず、車両の全体的な走行に関する制御を実行するECU(Electronic Controller Unit)であってよい。
【0022】
制御部40は、加速度センサ10、ホイール速センサー20、及び乗下車感知部30から受信した信号をもとに、車両の第1の静的傾きの値(first static angle value)、第2の静的傾きの値(second static angle value)及び最終静的傾きの値(final static angle value)のいずれか一つ以上を演算する。制御部40は、演算した第1の静的傾きの値、第2の静的傾きの値、及び最終静的傾きの値のいずれか一つ以上を用いてランプ60から照射される光の角度を調節するために、ランプ60の調査各を調節するように配置した駆動部50の出力を演算し、駆動部50の動きを制御する。
【0023】
車両傾き演算部41は、車両が走行中である場合に、車両の加速または減速の状況で加速度センサー10を用いて道路面に対する車両の動的傾きの値(dynamic angle value)を演算する。車両傾き演算部41は、動的傾きの値を演算した後に、動的傾きの値に相応する第1の静的傾きの値を演算する。動的傾きの値は加速または減速の状況で車両の慣性(inertia)などにより車両が傾く影響を受けることから、車両が停車中または定速走行中であるときの車両の傾きの値との差が発生する。したがって、車両の加速または減速による影響を受けない車両のみの傾きの値、すなわち第1の静的傾きの値を演算した後に、これに基づいてランプ60を調節しなければならない。
【0024】
車両の走行中の加速または減速に伴う動的な傾きの値は数1を満足する。各記号は、
図2に示した図を参照して説明する。
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
車両傾き演算部41が、動的傾きの値を求めた後、動的傾きの値を第1の静的傾きの値に変換するために、車両傾き演算部41は、走行試験から得た動的-静的傾き変換式を適用することができる。このような動的-静的傾き変換式は、車両の種類に応じて差が生じる場合があり、種類によって別途の走行試験が必要である。
図3を参照すると、動的傾きの値に対応する第1の静的傾きの値を示すグラフを図示した。これは実験を通じて得られた値であり、走行試験は、予め設定したしきい値以下の数値を有する加速または減速の状況で発生する車両の動的な傾きの値を測定し、その車両の実際の第1の静的傾きの値を測定し、相関関係をグラフで表示したものである。
図3に示したグラフは、加速または減速の値が一定であるときの動的傾きの値と静的傾きの値の相関関係を示したもので、いくつかの加速または減速の値によって複数の動的-静的傾き変換式ができる。各車両は、重量、サイズ、及び重心の位置などのような車両の物理的特性を異にすることから、別途の動的-静的傾き変換式を有する。動的傾きの値と第1の静的傾きの値の相関関係を変換式ではなく、LUT(Look-Up Table)の形式で保存して変換してもよい。
【0031】
車両傾き演算部41は、一定の時間間隔ごとに第1の静的傾きの値を演算して保存することができる。より正確な第1の静的傾きの値を演算するためには、車両の傾き演算部41は、一定数以上の有効値(effective value)が保存されるまで継続的に第1の静的傾きの値を演算する。ただし、ここで、車両の加速度または減速度が予め設定したしきい値(threshold)を超過する場合に、演算した第1の静的傾きの値に対しては有効な値として扱われずに保存されない。過度な加速または減速の状況では、実際、第1の静的傾きの値に関係なく、ほぼ最大値に近接する動的傾きの値が測定されることから、このような第1の静的傾きの値は、ノイズ(noise)として扱われて有効な値として保存されない。車両傾き演算部41は、有効な値が予め設定した有効個数以上に保存する場合に保存した有効値に基づいて最終静的傾きの値を演算することができる。具体的には、車両傾き演算部41は、有効な値に該当する第1の静的傾きの値の中間値または平均値を最終静的傾きの値に決定することができる。
【0032】
車両が停車中であるときに、道路勾配演算部42は、停車した車両の位置に該当する道路の道路勾配値を演算する。ここで、道路勾配値は、地表面に対する道路の傾き角を示す値として、道路勾配演算部42は、加速度センサ10を用いて測定した全体の傾きの値から第1の静的傾きの値を引いた値を、道路勾配値として演算してメモリに保存する。車両傾き演算部41は、道路勾配演算部42が演算した道路勾配値をもとに、第2の静的傾きの値を演算する。第2の静的傾きの値は、加速度センサ10を用いて演算した車両の全体の傾きの値から道路勾配値を引いた値である。加速度センサー10を用いて演算する車両の傾きは、道路面ではなく、地表面を基準とした車両の傾きであり、車両の全体の傾きの値から道路勾配値を引けば車両だけの傾きの値が演算できる。制御部40は、車両の停車の如何を判断する際にホイール速センサー20を利用しており、車両の速度が予め設定した速度以下である場合に停車中と判断する。
【0033】
ただし、道路勾配演算部42が、車両の停車中に道路勾配値を演算する際に人が乗ったり降りたり、物を車に積む場合に、車両内の重心の変化などによって車両の傾きの値に変化が生じるが、本開示は、このような差にも対応できるロジック(logic)を実行する。
【0034】
道路勾配演算部42は、車両が停車したときに、メモリに現在位置の道路勾配値が保存されていない場合は、道路勾配値の演算を行うことになるが、道路勾配値の演算を実行する、予め設定した第1の時間間隔の間に車両内の人または物が乗下車するかの如何を乗下車感知部30が感知する。道路勾配演算部42は、道路勾配値を演算する際に、第1の静的傾きの値を利用することになるが、道路勾配値の演算の間に車両内の人または物体が乗下車する場合に重心などの差により、予め演算した第1の静的傾きの値と実際の静的傾きの値に差が生じる場合がある。このような差によって誤った道路勾配値を演算することになるという問題が発生することから、第1の時間間隔の間に人または物体の乗下車を乗下車感知部30が感知するようになる。乗下車感知部30が人または物体の乗下車を感知した場合、感知信号を制御部40に送信する。制御部40は、感知信号を受信した場合、第1の静的傾きの値を用いて道路勾配値を演算することなく、道路勾配値を予め設定した一時的な値として設定してメモリに保存する。ここで予め設定した一時的な値は、0度であってよい。道路勾配値を予め設定した一時的な値として(特に、0度)設定する理由は、道路勾配値の誤演算によって発生する状況などを防止するためである。道路勾配値が0度に設定されても、次の走行状況以降の停車時に正常な道路勾配値を演算するため、道路勾配値は追って補正される。
【0035】
制御部40は、道路勾配演算部42及び車両傾き演算部41を利用して演算した静的傾きの値を用い、ランプ60につながった駆動部50の出力を演算する。駆動部50は、ランプ60から照射される光の方向を調節するための構成であり、駆動する程度に応じてランプ60から照射される光の上下方向が調節される。したがって制御部40に備えた駆動出力演算部43が演算した第1の静的傾きの値、第2の静的傾きの値または最終静的傾きの値に基づいてランプ60から照射される光の方向が調節されるべき角度を演算し、それに対応する駆動部50の出力を演算する。駆動出力演算部43が駆動部50の出力を演算した後には、制御部40は、駆動信号を駆動部50に送信して駆動部50を作動させる。
【0036】
図4は、本開示の一実施例に係る車両用ランプのレベリング制御方法のフローチャートである。
【0037】
本開示のフローチャートは、制御部40の電源がオンになっている場合に実行されるアルゴリズムなので、制御部40の電源がオンになっていない場合は進行しない(S400)。
【0038】
制御部40の電源がオフである場合、制御部40は、車両速度が予め設定した速度を超えているかの如何を判断する(S410)。これは車両が走行中であるか、もしくは停車中であるかの如何を判断するステップであって、予め設定した速度は、一般的に0km/hである。車両の速度はホイール速センサー20を用いて測定することができる。したがって、車両速度が0km/hを超えている場合は、車両が走行中の状態であると判断してS420のステップを実行し、そうでない場合は、車両が停車中の状態であると判断してS411のステップを実行する。
【0039】
制御部40は、車両の速度が予め設定した速度を超えたと判断した場合に、第1の静的傾きの値を演算するステップを実行する(S420)。第1の静的傾きの値を演算する方法についての説明は、
図2及び
図3についての説明部分に記載したところ、下では省く。
【0040】
制御部40は、車両の速度が予め設定した速度以下と判断した場合、メモリに道路勾配値が既に保存されているかの如何を判断する(S411)。メモリに道路勾配値が既に保存されていると判断した場合、制御部40は、第2の静的傾きの値を演算する(S412)。第2の静的傾きの値は加速度センサ10を用いて測定した全体の傾きの値から道路勾配値を引いた値である。
【0041】
メモリに道路勾配値が保存されていないと判断した場合、制御部40は、現在の車両が位置している道路の道路勾配値を演算する(S413)。道路勾配値は、加速度センサ10を用いて測定した全体の傾きの値から第1の静的傾きの値を引いた値である。演算した道路勾配値は、メモリに保存する(S414)。
【0042】
制御部40は、S420、S412、及びS414のステップのうちのいずれか一つを完了した後には、第1の静的傾きの値または第2の静的傾きの値に基づいてレベリング制御(leveling controller)を実行する(S430)。レベリング制御は、制御部40が第1の静的傾きの値または第2の静的傾きの値に相応するランプ60の光照射方向を演算し、ランプ60の光照射方向を調整するために、ランプ60につながった駆動部50の出力を制御することによって行うことができる。
【0043】
S430ステップを実行した後、制御部の電源がオフかどうかを判断する(S440)。制御部の電源がオフの場合、このアルゴリズムは終了し、電源が入っている場合はS410ステップに戻る。
【0044】
図5は、本開示の他の実施例に係る車両用ランプのレベリング制御方法のフローチャートである。
図5に示したフローチャートは、
図4の実施例を具体化及び補完した実施例である。
図4で説明した部分と重複する部分についての詳しい説明は省く。
【0045】
本開示のフローチャートは、制御部40の電源がオンの場合に実行するアルゴリズムなので、制御部40の電源がオンでない場合は進行しない(S510)。
【0046】
制御部40の電源がオンの場合、制御部40は、メモリに保存する道路勾配値が現在の車両が配置する道路の道路勾配値と同じであるかどうかを判断する(S520)。道路勾配値間に差がある場合、予め設定した一時的な値で、道路勾配値を設定した後にS530のステップを実行する(S521)。ここで、メモリに保存した道路勾配値と現在の道路勾配値は、必ずしも一致する必要はなく、量の値が許容誤差範囲内の近い値であれば足りる。許容誤差範囲は、設計によって異なるように設定してよい。
【0047】
制御部40は、メモリに保存した道路勾配値が現在の車両が配置する道路の道路勾配値と同じだと判断した場合に、車両の速度が予め設定した速度を超えているかどうかを判断する(S530)。
【0048】
制御部40は、車両速度が予め設定した速度を超えたと判断した場合に、第1の静的傾きの値を演算し、その中で有効な値をメモリに保存する(S540)。第1の静的傾きの値は、制御部40が、車両走行中の加速または減速の状況での動的な傾きの値を演算し、演算の傾きの値を変換式またはLUT(Look-Up Table)を利用して変換することによって演算するが、車両が予め設定したしきい値を超えた加速または減速を行う場合、第1の静的傾きの値を正確に予測できず、ノイズとして扱って有効な値として保存しない。つまり、制御部40は、車両が走行中に車両の加速度または減速度が予め設定したしきい値を超えた場合には、第1の静的傾きの値を演算しない、または、演算しても有効な値として含まない。制御部40は、車両走行中に予め設定した時間間隔ごとに第1の静的傾きの値を演算する。
【0049】
制御部40は、第1の静的傾きの値のうちの有効な値が予め設定した有効個数以上保存したかどうかを判断する(S550)。これは、複数個の有効な値を使用して静的な傾きの値を予測することで精度を高めるためである。制御部40は、有効な値が予め設定した有効個数以上に保存されていないと判断した場合、S540ステップに戻り、第1の静的傾きの値を演算するステップを実行する。
【0050】
制御部40は、有効な値が予め設定した有効個数以上に保存されたと判断した場合に、最終静的傾きの値を演算する(S560)。ここで最終静的傾きの値は、複数の演算した第1の静的傾きの値の中間値または平均値である。最終静的傾きの値は用語のみ異なるだけで第1の静的傾きの値をフィルタリングした値である。
【0051】
制御部40は、車両の速度が予め設定した速度以下と判断した場合、メモリに道路勾配値が既に保存されたかどうかを判断する(S531)。制御部40が、メモリに道路勾配値が保存されたと判断した場合、道路勾配値をもとに第2の静的傾きの値を演算する(S532)。
【0052】
制御部40が、メモリに道路勾配値が保存されていないと判断した場合に、予め設定した、第1の時間間隔の間にドアの閉状態が維持したかどうかをドア開閉センサーを利用して判断する(S533)。
【0053】
制御部40は、車両のドアのうちのいずれか一つ以上が第1の時間間隔の間に閉状態が維持されていないと判断した場合、道路勾配値を予め設定した一時的な値として設定し、メモリに保存する(S537)。
【0054】
制御部40は、車両のすべてのドアが第1の時間間隔の間に閉状態を維持したと判断した場合は、予め設定した第2の時間間隔の間に加速度センサ10を用いて測定した全体の傾きの値の傾き変化量が基準値よりも小さいかどうかを判断する(S534)。制御部40は、第2の時間間隔の間に変化した全体の傾きの値の変化が基準値よりも大きい、もしくは同じであると判断した場合、道路勾配値を予め設定した一時的な値として設定し、メモリに保存する(S537)。
【0055】
制御部40は、第2の時間間隔の間に変化した全体の傾きの値の変化が基準値よりも小さいと判断した場合、道路勾配値を演算する(S535)。道路勾配値は、加速度センサ10を用いて測定した全体の傾きの値から第1の静的傾きの値を引いた値である。演算した道路勾配値はメモリに保存する(S536)。
【0056】
S560、S532、S536、及びS537のステップのうちのいずれかのステップを実行した後には、制御部40は最終静的傾きの値または第2の静的傾きの値を基準にレベリング制御を実行する(S570)。レベリング制御の実行を終了した後は、制御部40の電源がオフになっているかどうかを判断する(S580)。制御部40の電源がオフでない場合は、S520ステップに戻る。制御部40の電源がオフの場合は本アルゴリズムを終了する。
【0057】
以上の説明は、本実施例の技術思想を例示的に説明したに過ぎず、本実施例の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本実施例の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な修正及び変形が可能である。したがって、本実施例は、本実施例の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような実施例により、本実施例の技術思想の範囲が限定されるべきではない。本実施例の保護範囲は請求の範囲によって解釈されるべきであり、その同等の範囲内にあるすべての技術思想は、本実施例の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0058】
10:加速度センサー
20:ホイール速センサー
30:乗下車感知部
40:制御部
41:車両傾き演算部
42:道路勾配演算部
43:駆動出力演算部
50:駆動部
60:ランプ