(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077489
(43)【公開日】2022-05-23
(54)【発明の名称】放熱導電性フレキシブル基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20220516BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
H05K1/02 B
H05K1/03 610D
H05K1/03 610C
H05K1/02 Q
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093348
(22)【出願日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】109139245
(32)【優先日】2020-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】517259450
【氏名又は名称】宸寰科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】呂 杰▲キ▼
【テーマコード(参考)】
5E338
【Fターム(参考)】
5E338AA01
5E338AA02
5E338AA03
5E338AA12
5E338AA15
5E338AA18
5E338BB55
5E338CC08
5E338EE02
5E338EE28
5E338EE33
(57)【要約】
【課題】熱を伝導しやすく、必要に応じて組み合わせることができ、少量多様化の製品開発において、自由度が高く、材料組み合わせの柔軟性に富む放熱導電性フレキシブル基板を提供すること。
【解決手段】放熱導電性フレキシブル基板であって、単層シート101が、第1機能薄膜層1012と第1導電薄膜層1011を含み、第1機能薄膜層1012が第1機能薄膜層1012と重ね合わされ、二層シート201が、第2機能薄膜層2012と第3機能薄膜層2013と、第2導電薄膜層2011を含み、第2導電薄膜層2011が第2機能薄膜層2012と第3機能薄膜層2013の間に重ね合わされ、単層シート101と二層シート201が、溶射、塗布、印刷の少なくとも1つにより製作され、重ね合わせて貼合され多層導電構造としてある。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱導電性フレキシブル基板であって、少なくとも1つの単層シートと、少なくとも1つの二層シートを含み、
前記単層シートが、第1機能薄膜層と、第1導電薄膜層を含み、
前記第1機能薄膜層がセラミック材料、グラフェン材料または接着材料であり、
前記第1導電薄膜層の厚みが0.1マイクロメートル~5ミリメートルであり、前記第1機能薄膜層と相互に重ね合わされ、
前記二層シートが、第2機能薄膜層と、第3機能薄膜層と、第2導電薄膜層を含み、
前記第2機能薄膜層がセラミック材料、グラフェン材料または接着材料であり、
前記第3機能薄膜層がセラミック材料、グラフェン材料または接着材料であり、
前記第2導電薄膜層の厚みが0.1マイクロメートル~5ミリメートルであり、かつ前記第2機能薄膜層と前記第3機能層の間に重ね合わされ、
前記単層シートと前記二層シートが、溶射、塗布、印刷の少なくとも1つにより製作され、かつ前記単層シートと前記二層シートを組み合わせ、重ね合わせて貼合し、多層導電構造を備えたことを特徴とする、放熱導電性フレキシブル基板。
【請求項2】
前記第1導電薄膜層と前記第2導電薄膜層の材料が、銅箔、アルミニウム箔、銀ペースト、カーボンナノチューブ、導電インク、錫ペースト、銅ペーストの少なくとも1つである、ことを特徴とする、請求項1に記載の放熱導電性フレキシブル基板。
【請求項3】
前記第1導電薄膜層と前記第2導電薄膜層が、電子を導通させるための導通配線パターンを備えている、ことを特徴とする、請求項1に記載の放熱導電性フレキシブル基板。
【請求項4】
前記第1機能薄膜層、前記第2機能薄膜層、前記第3機能薄膜層の少なくとも1つが、セラミック材料であり、その厚みが0.1~150マイクロメートルである、ことを特徴とする、請求項1に記載の放熱導電性フレキシブル基板。
【請求項5】
前記第1機能薄膜層、前記第2機能薄膜層、前記第3機能薄膜層の少なくとも1つがグラフェン材料であり、その厚みが0.1~150マイクロメートルである、ことを特徴とする、請求項1に記載の放熱導電性フレキシブル基板。
【請求項6】
前記第1機能薄膜層、前記第2機能薄膜層、前記第3機能薄膜層の少なくとも1つが接着材料であり、その厚みが0.1~100マイクロメートルである、ことを特徴とする、請求項1に記載の放熱導電性フレキシブル基板。
【請求項7】
貼合された前記単層シートと前記二層シートは、それぞれ幅が125ミリメートル以上の大面積のロール材又はシート材であり、ロール材どうし又はシート材どうしが貼合されていることを特徴とする、請求項1に記載の放熱導電性フレキシブル基板。
【請求項8】
前記放熱導電性フレキシブル基板の合計厚みが25マイクロメートル以上である、ことを特徴とする、請求項1に記載の放熱導電性フレキシブル基板。
【請求項9】
前記放熱導電性フレキシブル基板は、切断して複合放熱片とすることが可能であり、前記複合放熱片の切断された辺縁が外部環境に露出されて放熱を行なう、ことを特徴とする、請求項1に記載の放熱導電性フレキシブル基板。
【請求項10】
前記放熱導電性フレキシブル基板は、切断して折り曲げ可能な立体複合放熱片とすることができ、前記折り曲げ可能な立体複合放熱片の切断された辺縁が外部環境に折り曲げて露出され放熱を行なう、ことを特徴とする、請求項1に記載の放熱導電性フレキシブル基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波電子部材に使用する、放熱性と導電性を備えた放熱導電性フレキシブル基板に関する。
【背景技術】
【0002】
通信電子製品はすでに人類の生活必需品となっており、高速伝送、高処理能力、薄型化の要求が高まるにつれ、可撓性のフレキシブル基板が各種電子機器に大量に使用されている。
しかしながら、現在、フレキシブル配線板は放熱効果に優れないため、高発熱電子部材を接続する場合、セラミック基板やアルミ金属基板などのリジッド基板を採用してフレキシブル基板に接続し、高温放熱の問題を解決する必要がある。
従来の低発熱チップや低発熱電子部材は、フレキシブル基板に搭載でき、高発熱チップを搭載したリジッド基板や電子部材は一般にフレキシブル基板の接続パッドと相互接続される。
【0003】
従来のフレキシブル基板は、導電性が必要とされる接続用途に使用されることがほとんどであり、高発熱チップや高発熱電子部材を搭載する場合、さらに開発・研究を進める必要がある。チップや電子部材は、動作時に熱エネルギーを生成し、温度が上昇するため、フレキシブル基板の接続パッドとチップや電子部材の接続箇所が高温で劣化しやすく、動作不良の原因になりやすい。また、フレキシブル基板の温度が上昇することで、他の電子部材そのものの性能に低下を引き起こす。
最近話題になっている次世代5G通信プロトコルでは、ミリ波を使用した高周波伝送のため高温になり、チップの温度は200℃にも達する。これも高温耐性を備えた電子材料において最も克服が必要な技術である。
【0004】
従来、特許文献1に開示されている発熱部材を搭載するフレキシブル基板の構造は、フレキシブル基板と、少なくとも1つの熱伝導貫通孔を含む。フレキシブル基板は、絶縁層と、第1パターン化金属箔層と、第2パターン化金属箔層を含み、そのうち、第1パターン化金属箔層及び第2パターン化金属箔層が絶縁層の相対する両面にそれぞれ設置される。発熱部材は第1パターン化金属箔層への設置に適しており、かつ第2パターン化金属箔層の厚みは第1パターン化金属箔層の厚みより大きい。熱伝導貫通孔がフレキシブル基板を貫通し、かつ発熱部材と熱的に結合される。
【0005】
また、リジッドセラミック銅箔基板に関する研究として、特許文献2に記載のようなものがある。
これは発光ダイオードに関し、高温ホットプレス金属とフォトリソグラフィ技術を利用してセラミック銅箔基板を製造し、ダイボンディング、ワイヤーボンディングまたはフリップチップ技術を通じて発光ダイオード回路を形成する。最後に、エポキシ(Epoxy)、ポリシロキサン樹脂またはシリコンゲル(Silicone gel)等の封止材料を使用して、トランスファー成形(Transfer molding)、射出成形(Injection molding)等の方法でこの発光ダイオードを封止する。
【0006】
フレキシブルセラミック基板に関する研究として、特許文献3には、セラミック粉末組成物を用いたフレキシブル基板であるフレキシブルセラミック基板が開示されている。
この基板は、エッチングにより回路基板の配線を形成するための所定範囲の厚みを有する銅箔基材を含み、金属基板の表面にセラミック粉と一定重量比のガム様物質を混合して成るセラミック組成物層が設置され、前記セラミック組成物層が、ガム様物質を利用して前記セラミック粉末組成物の結晶間隙を埋めて包み込み、セラミック粉末間を相互に接着して、特定の厚みのフレキシブルセラミック組成物層を形成し、かつセラミック粉末と金属基板を接着して発熱部材を支持するとともに、発熱部材が発する熱を誘導して放出させている。
【0007】
特許文献4にはフレキシブルセラミック放熱片及びその製造方法が開示されている。
これは、主に、高純度炭化ケイ素粉末と低温結合剤を撹拌した後、ブランク成形およびベーキングを経て基本シート材が形成され、前記低温結合剤はエポキシ樹脂とすることができ、その具備する柔軟性と靭性の特性により、基本シート材は曲げやすく、加工や切断が容易であり、かつ添加される低温結合剤が、樹脂の硬化作用により、高温焼結過程で発生する反応生成物や酸化物を効率的に除去することができ、そうして製造されたフレキシブルセラミック放熱片の放熱効果を高めることができる。
【0008】
上記従来の技術は、フレキシブルセラミック放熱片の製造プロセスが繁雑で、大面積化できない。このため、本出願人は特許文献5において、大面積のセラミック基板構造を提案している。これは、発熱部材に接近した銅薄膜層と、セラミック層と、熱伝導層を含み、セラミック層の高い熱伝導性と高い絶縁性を利用して、銅薄膜層と熱伝導層を隔て、銅薄膜層の導電開路を保護し、また熱伝導層の高い熱伝導特性により、発熱部材の熱エネルギーを均一に運び去り、放熱の機能を達成することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】台湾特許第TW201927084A号
【特許文献2】台湾特許第TW201011936A号
【特許文献3】台湾特許第TWI487073B号
【特許文献4】台湾特許第TW201627255A号
【特許文献5】台湾特許第TWM536989U号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の技術では、フレキシブル基板で大面積の製品を生産することは困難であり、またロールツーロール方式では大面積の生産ラインの生産速度を上げることができない。さらに大面積の放熱導電フレキシブル基板の製造では、フレキシブル基板材料のプレス、位置合わせ等のプロセスが複雑で、生産速度が遅く、かつセラミック等の放熱材料を構造中に導入すると、生産及び使用時にクラックが発生しやすくなり、その熱伝導性の不足とクラックの発生しやすさは、現在の技術では克服できない課題となっている。
本発明が解決しようとする課題は、大面積で熱を伝導しやすく、機能上の必要に応じて選択的に組み合わせることができ、増加している少量多様化の製品開発において、自由度が高く、材料組み合わせの柔軟性に富む放熱導電性フレキシブル基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の放熱導電性フレキシブル基板は、少なくとも1つの単層シートと、少なくとも1つの二層シートを含み、前記単層シートが、第1機能薄膜層と、第1導電薄膜層を含み、前記第1機能薄膜層がセラミック材料、グラフェン材料または接着材料であり、前記第1導電薄膜層の厚みが0.1マイクロメートル~5ミリメートルであり、前記第1機能薄膜層と相互に重ね合わされ、前記二層シートが、第2機能薄膜層と、第3機能薄膜層と、第2導電薄膜層を含み、前記第2機能薄膜層がセラミック材料、グラフェン材料または接着材料であり、前記第3機能薄膜層がセラミック材料、グラフェン材料または接着材料であり、前記第2導電薄膜層の厚みが0.1マイクロメートル~5ミリメートルであり、かつ前記第2機能薄膜層と前記第3機能層の間に重ね合わされ、前記単層シートと前記二層シートが、溶射、塗布、印刷方式の少なくとも1つにより製作され、かつ前記単層シートと前記二層シートを組み合わせ、重ね合わせて貼合し、多層導電構造を備えた放熱導電性フレキシブル基板を構成する。
【0012】
好ましい実施例として、以下のようなものがある。
前記第1導電薄膜層と前記第2導電薄膜層の材料が、銅箔、アルミニウム箔、銀ペースト、カーボンナノチューブ、導電インク、錫ペースト、銅ペーストの少なくとも1つである。
前記第1導電薄膜層と前記第2導電薄膜層が、電子を導通させるための導通配線パターンを備えている。
【0013】
前記第1機能薄膜層、前記第2機能薄膜層、前記第3機能薄膜層の少なくとも1つが、セラミック材料であり、その厚みが0.1~150マイクロメートルである。
前記第1機能薄膜層、前記第2機能薄膜層、前記第3機能薄膜層の少なくとも1つがグラフェン材料であり、その厚みが0.1~150マイクロメートルである。
前記第1機能薄膜層、前記第2機能薄膜層、前記第3機能薄膜層の少なくとも1つが接着材料であり、その厚みが0.1~100マイクロメートルである。
【0014】
貼合された前記単層シートと前記二層シートは、それぞれ幅が125ミリメートル以上の大面積のロール材又はシート材であり、ロール材どうし又はシート材どうしが貼合されている。
前記放熱導電性フレキシブル基板の合計厚みが25マイクロメートル以上である。
前記放熱導電性フレキシブル基板が、切断して複合放熱片とすることが可能であり、前記複合放熱片の切断された辺縁が外部環境に露出されて放熱を行なう。
前記放熱導電性フレキシブル基板が、切断して折り曲げ可能な立体複合放熱片とすることができ、前記折り曲げ可能な立体複合放熱片の切断された辺縁が外部環境に折り曲げて露出され放熱を行なう。
【発明の効果】
【0015】
本発明の放熱導電性フレキシブル基板は、熱を伝導しやすく、単層シートと二層シートを重ねた基本構造を備えているため、必要に応じて任意に組み合わせることができ、製造が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例に係る単層シートの断面図である。
【
図2】本発明の実施例に係る二層シートの断面図である。
【
図3】本発明の実施例を示す放熱導電性フレキシブル基板の断面図である。
【
図4】本発明の他の実施例を示す放熱導電性フレキシブル基板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、実施例に限定されないことはいうまでもない。
図1は、実施例に係る単層シートの断面図であり、
図2は、実施例に係る二層シートの断面図であり、
図3は、実施例を示す放熱導電性フレキシブル基板の断面図である。
【0018】
本発明の放熱導電性フレキシブル基板は、少なくとも1つの単層シート101(
図1参照)を含む。
単層シート101は、第1導電薄膜層1011と、第1機能薄膜層1012を含む。第1導電薄膜層1011は、厚みが0.1マイクロメートル~5ミリメートルであり、第1機能薄膜層1012と相互に重ね合わされる。
第1機能薄膜層1012はセラミック材料、グラフェン材料、接着材料の少なくとも1つである。
前記接着材料は、エポキシ(Epoxy)、ポリシロキサン樹脂またはシリコンゲル(Silicone gel)、アクリル(Acrylic)の少なくとも1つの高分子材料が選択されて用いられる。
【0019】
本発明の放熱導電性フレキシブル基板はさらに少なくとも1つの二層シート201(
図2参照)を含む。
二層シート201は、第2導電薄膜層2011と、第2機能薄膜層2012と、第3機能薄膜層2013を含む。第2導電薄膜層2011は、厚みが0.1マイクロメートル~5ミリメートルであり、かつ第2機能薄膜層2012と第3機能層の間に重ね合わされる。
第2機能薄膜層2012はセラミック材料、グラフェン材料または接着材料であり、第3機能薄膜層2013がセラミック材料、グラフェン材料または接着材料である。
前記接着材料は、エポキシ(Epoxy)、ポリシロキサン樹脂またはシリコンゲル(Silicone gel)、アクリル(Acrylic)の少なくとも1つの高分子材料が選択されて用いられる。
【0020】
図3に示すように、放熱導電性フレキシブル基板は、単層シート101に二層シート201が貼合された構造である。
単層シート101と二層シート201は、溶射、塗布、印刷方式の少なくとも1つにより製作され、かつ単層シート101と二層シート201を組み合わせて重ね合わせ、貼合して多層導電構造を備えた放熱導電性フレキシブル基板が構成される。
【0021】
第1導電薄膜層1011と第2導電薄膜層2011の材料は、銅箔、アルミニウム箔、銀ペースト、カーボンナノチューブ、導電インク、錫ペースト、銅ペーストの少なくとも1つである。
第1導電薄膜層1011と第2導電薄膜層2011は電子を導通させるための導通配線パターンを備えている。
第1機能薄膜層1012、第2機能薄膜層2012、第3機能薄膜層2013の少なくとも1つが、セラミック材料であり、その厚みは0.1~100マイクロメートルである。
第1機能薄膜層1012、第2機能薄膜層2012、第3機能薄膜層2013の少なくとも1つがグラフェン材料であり、その厚みは0.1~150マイクロメートルである。 第1機能薄膜層1012、第2機能薄膜層2012、第3機能薄膜層2013の少なくとも1つが接着材料であり、その厚みは0.1~100マイクロメートルである。
【0022】
単層シート101と二層シート201は、大面積のロールツーロール形式またはシートツーシート形式を使用して貼合される。単層シート101と二層シート201は、幅が125ミリメートル以上のロール材またはシート材であり、ロール材どうし又はシート材どうしが貼合されている。この幅は従来のセラミック板の安定的な生産で用いられる幅であり、また、従来のセラミック基板の幅より大きく設定することもできる。
放熱導電性フレキシブル基板の合計厚みは25マイクロメートル以上である。
本発明の放熱導電性フレキシブル基板は、組み合わせることにより多層の複合放熱片を容易に組み立てることができ、導電薄膜層1011に使用する厚み5ミリメートルの銅片は、厚みがより厚い大面積の複合放熱片を製作することもできる。
【0023】
図4は、本発明の他の実施例を示す。
本実施例では、放熱導電性フレキシブル基板が、2つの単層シート101と1つの二層シート201を貼合した3層の導電薄膜層を備え、2つの第1導電薄膜層1011で1つの第2導電薄膜層2011を挟み込んだモジュール化構造を構成している。
第1導電薄膜層1011と第2導電薄膜層2011は回路がエッチングされた銅箔またはアルミニウム箔、銀ペースト、カーボンナノチューブ、導電インク、錫ペースト、銅ペーストの少なくとも1つであり、塗布または回路印刷方式を利用して、導電回路が第1機能薄膜層1012及び第2機能薄膜層2012の表面にそれぞれ固着される。
単層シート101と二層シート201は任意に重ね合わせが可能な特性を備えている。
【0024】
第1機能薄膜層1012はセラミック材料またはグラフェン材料であり、高効率の放熱特性を備えている。
第2機能薄膜層2012及び第3機能薄膜層2013は接着材料であり、2つの単層シート101と1つの二層シート201を接着させる。
ロールツーロール方式を利用して大きな寸法の単層シート101及び二層シート201を製造し、貼合するだけで穴あけやレーザーエッチングで多層の放熱導電性フレキシブル基板を製造でき、任意に重ね合わせるまたは貼合することができ、プロセスの柔軟性が向上される。
単層シート101と二層シート201を重ね合わせた複合多層化が可能な放熱導電性フレキシブル基板は、その各機能層が放熱材であり、すべての発熱電子部材に基本的に追加の放熱モジュールを設置する必要がなく、熱エネルギーを層間から放出させることができ、かつその可撓性の特性により巻いてロール材とすることができ、製品構造に必要な形状に巻くことができる。
機能層はセラミック材料であり、放熱導電性フレキシブル基板に耐高電圧性を具備させ、かつ任意に湾曲することができ、放熱性に優れた複合導電フレキシブル基板となる。
【0025】
本発明では、さらに、穴あけ方式を組み合わせて導電性の銀ペースト、カーボンナノチューブ、導電インク、錫ペースト、銅ペーストの少なくとも1つを注入し、各層の導電薄膜層を接続して各層間で電流を導通させることができる。
また、大面積の放熱導電性フレキシブル基板として製作し、後加工で任意により小さな寸法の放熱導電性フレキシブル基板に切断することができる。
導電回路レイアウトは予め完成しており、各機能層が放熱材を備えているため、すべての発熱電子部材に基本的に追加の放熱モジュールを設置する必要がなく、電子機器をより小型化することができる。
【0026】
未来の電子通信5G、6G高周波のフレキシブル基板の応用や、車載電子部材、マイクロ波送受信機での使用において、高い応用の可能性を備えている。
プロセス面では、プラズマ処理機、溶射機、印刷機、トンネルオーブンを組み合わせ、銅ロールを表面プラズマ処理し、さらに第1機能層、第2機能層または第3機能層を溶射する。その後、トンネルオーブンで各機能層を硬化させる。最後に巻き取り、基礎の単層シート101及び二層シート201となる。
導電回路は、溶射、塗布または印刷方式で第1機能層、第2機能層または第3機能層上に形成することができ、また別途担体を追加する方法で導電回路パターンを形成してもよい。
【0027】
本発明の放熱導電性フレキシブル基板の構造は、従来のガラス繊維基板及びポリイミドフレキシブル基板よりも厚みが薄く、同時に放熱の機能層を備え、また耐電圧特性を備えており、破壊が発生しにくい。別途放熱片やグラファイトシートを追加することなく、搭載する発熱電子部材を増加することができる。
本発明の放熱導電性フレキシブル基板は、耐電圧性が従来の銅基板より高く、試験によると、第1機能薄膜層1012、第2機能薄膜層2012、第3機能薄膜層2013の少なくとも1つがセラミック材料であり、その厚みが0.1~150マイクロメートルであると、500V~20KVの耐電圧性を備えている。
【0028】
さらに、この放熱導電性フレキシブル基板は、切断して複合放熱片とすることができ、この複合放熱片の切断された辺縁が外部環境に露出され、放熱を行なう。
前記放熱導電性フレキシブル基板は、切断して折り曲げ可能な立体複合放熱片とすることができ、この折り曲げ可能な立体複合放熱片の切断された辺縁が外部環境に折り曲げて露出され、放熱を行なう。
【0029】
本発明の放熱導電性フレキシブル基板は、ロールツーロール方式またはシートツーシート方式で製作した大面積のものであり、従来のポリイミドフレキシブル基板材料のプレス、位置合わせ等のプロセスが複雑で、生産速度が遅いという問題を解決し、基本の単層シート101と二層シート201により迅速にカスタマイズし、自由に組み合わせて貼合できる特徴があるため、少量多様化の工業需要に対応できる。
また、製作過程で溶射、塗布、印刷方式の少なくとも1つで前記単層シートと二層シートを製作するため、生産速度を向上し、プロセスを簡素化できる利点がある。
【0030】
以上の説明は、本発明の実施例の説明にすぎず、これを以って本発明の権利範囲を限定することはできず、特許請求の範囲を逸脱しない変化や修飾はすべて本発明の権利範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0031】
101 単層シート
1011 第1導電薄膜層
1012 第1機能薄膜層
201 二層シート
2011 第2導電薄膜層
2012 第2機能薄膜層
2013 第3機能薄膜層