(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077512
(43)【公開日】2022-05-23
(54)【発明の名称】聴覚装置のフィルタ詰まりの検出
(51)【国際特許分類】
H04R 25/00 20060101AFI20220516BHJP
【FI】
H04R25/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021181919
(22)【出願日】2021-11-08
(31)【優先権主張番号】PA202070745
(32)【優先日】2020-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(71)【出願人】
【識別番号】503021401
【氏名又は名称】ジーエヌ ヒアリング エー/エス
【氏名又は名称原語表記】GN Hearing A/S
【住所又は居所原語表記】Lautrupbjerg 7, 2750 Ballerup, Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フランク アントンセン
(72)【発明者】
【氏名】ラウリス イーデール キルヒホフ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】聴覚装置フィルタの詰まりを検出するための装置、システム及び方法を提供する。
【解決手段】電子装置10を含むバッテリ充電器において、入力部12は、テスト音を生成するたテスト音を発生し、テスト音に応答して第1の聴覚装置の第1のマイクロフォン出力に関する第1の情報を取得し、テスト音に応答して第2のマイクロフォン出力に関する第2の情報を取得する。処理ユニット14は、第1の聴覚装置の第1のマイクロフォン出力に関する第1の情報に少なくとも部分的に基づいて、且つ、第2のマイクロフォン出力に関する第2の情報に少なくとも部分的に基づいて、ワックスフィルタなどのフィルタの詰まりを検出する。出力部16は、フィルタの詰まりを示す信号を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の聴覚装置のためのバッテリ充電器であって、
テスト音を生成するように構成されたテスト音発生器と、
前記テスト音に応答して第1の聴覚装置の第1のマイクロフォン出力に関する第1の情報を取得し、前記テスト音に応答して第2のマイクロフォン出力に関する第2の情報を取得するように構成された入力部と、
前記第1の聴覚装置の前記第1のマイクロフォン出力に関する前記第1の情報に少なくとも部分的に基づいて、且つ前記第2のマイクロフォン出力に関する前記第2の情報に少なくとも部分的に基づいて、フィルタの詰まりを検出するように構成された処理ユニットと、
前記フィルタの詰まりを示す信号を提供するように構成された出力部と、
を備える、バッテリ充電器。
【請求項2】
前記テスト音発生器は、前記バッテリ充電器のケーシング内に取り付けられたスピーカ、又は前記第1の聴覚装置のレシーバ若しくは小型スピーカを備える、請求項1に記載のバッテリ充電器。
【請求項3】
前記ケーシングは、前記第1の聴覚装置を受け入れて固定するためのクレードル、スロット、又は開口部などの第1の所定の充電領域を備える、請求項2に記載のバッテリ充電器。
【請求項4】
前記出力部は、
前記ケーシングに取り付けられており、前記フィルタの詰まりを示す視覚アラートをユーザに提供するように構成されたディスプレイ画面、及び/又は
前記ケーシングに取り付けられており、前記フィルタの詰まりを示す音声アラート信号を前記ユーザに対して生成するように構成された音声トランスデューサと、
を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のバッテリ充電器。
【請求項5】
前記出力部は、アクセサリ装置に接続可能な有線データ通信インタフェース又は無線データ通信インタフェースを備え、
前記出力部における前記信号は、
前記アクセサリ装置に、前記フィルタの詰まりを示す音声アラートをユーザに対して発出させ、及び/又は
前記アクセサリ装置に、前記フィルタの詰まりを示す視覚アラートをユーザに対して表示させる、請求項1~3のいずれか一項に記載のバッテリ充電器。
【請求項6】
前記処理ユニットは、前記充電領域における少なくとも前記第1の聴覚装置の存在の検出に応じて、前記第1の聴覚装置の前記第1のマイクロフォン出力に関する前記第1の情報及び前記第2のマイクロフォン出力に関する前記第2の情報を取得するように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のバッテリ充電器。
【請求項7】
前記処理ユニットは、前記充電領域における前記第1の聴覚装置の前記存在を、前記バッテリ充電器と前記第1の聴覚装置との間の電気的インタフェースを監視することによって検出するように構成され、前記電気的インタフェースは、例えば、前記バッテリ充電器の前記ケーシング上及び前記第1の聴覚装置のハウジング上に配置された一組の対応する電気パッドを備える、請求項6に記載のバッテリ充電器。
【請求項8】
前記バッテリ充電器と前記第1の聴覚装置との間の前記電気的インタフェースは、前記バッテリ充電器の電源から前記第1の聴覚装置の充電式バッテリに充電電流を供給するように構成されている、請求項7に記載のバッテリ充電器。
【請求項9】
前記フィルタは、
前記第1の聴覚装置の前記第1のマイクロフォンのワックスフィルタであって、例えばメッシュ、空気不透過性膜のような可撓性の膜又はダイアフラムなどのワックスフィルタ、又は、
前記第1の聴覚装置の第1のレシーバ若しくは小型スピーカのワックスフィルタであって、例えばメッシュ又は可撓性の空気不透過性膜のようなワックスフィルタ、
を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のバッテリ充電器。
【請求項10】
前記バッテリ充電器の前記ケーシングは、ユーザ操作可能な蓋を備え、
前記蓋は、
開状態において、前記ユーザが、少なくとも前記第1の聴覚装置を、前記ケーシングの内部に配置されたクレードル、スロット、開口部などの第1の所定の充電領域に配置することを可能にするように構成されており、
閉状態において、前記バッテリ充電器の前記ケーシングの内側に、音響的に密閉されたチャンバのような密閉環境を提供する、
請求項1~9のいずれか一項に記載のバッテリ充電器。
【請求項11】
前記蓋の前記開状態及び/又は前記閉状態を検出するためのセンサを備える、請求項10に記載のバッテリ充電器。
【請求項12】
前記バッテリ充電器の前記ケーシングは、前記第2のマイクロフォンを備える第2の聴覚装置を受け入れるために前記ケーシングの内部に配置されているクレードル、スロット、開口部などの第2の所定の充電領域を備える、請求項10又は11に記載のバッテリ充電器。
【請求項13】
前記スピーカは、前記第1の聴覚装置の前記第1のマイクロフォンと、前記第2の聴覚装置の前記第2のマイクロフォンとに対して、等距離に配置されている、請求項12に記載の充電器。
【請求項14】
前記処理ユニットは、ユーザ操作可能な前記蓋の閉状態又は開状態に基づいて、前記第1の聴覚装置の前記第1のマイクロフォン出力に関する前記第1の情報、及び前記第2のマイクロフォン出力に関する前記第2の情報を取得するように構成されている、請求項10~13のいずれか一項に記載のバッテリ充電器。
【請求項15】
前記第1の聴覚装置は、
前記第1のマイクロフォン出力を提供するように構成された第1のマイクロフォンと、
前記第1のマイクロフォンによる検出のために前記テスト音を生成するように構成されたレシーバ又は小型スピーカと、
を備える、請求項1~14のいずれか一項に記載のバッテリ充電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本分野は、聴覚装置に関し、より詳細には、聴覚装置フィルタの詰まりを検出するための装置、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
補聴器、ヘッドセット、イヤホンなどの聴覚装置は、1つ又は複数のワックスフィルタなどの1つ又は複数のフィルタを有することができる。例えば、補聴器は、マイクロフォンを保護するためのマイクロフォンフィルタ、及び/又は補聴器内のレシーバを保護するためのレシーバフィルタを有することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
聴覚装置の通常の使用に起因して、聴覚装置フィルタは、時間が経つにつれ詰まることがある。聴覚装置フィルタが詰まると、聴覚装置は、望んだように音を出力することができなくなるか、又は全く音を出力することができない。例えば、マイクロフォンフィルタが詰まった場合、マイクロフォンは、ユーザの周囲の環境音を検出することができない。その結果、聴覚装置は、環境音を表す音をユーザに提供することができない。また、レシーバフィルタが詰まった場合、聴覚装置のレシーバは、聴覚装置のユーザが受け取るための音声を出力することができない。
【0004】
望ましいようにユーザが音を聞くことができない場合、ユーザが聴覚装置を使用することを思いとどまる可能性があるため、詰まった聴覚装置フィルタは、ユーザにとって重大な問題である。聴覚装置が補聴器である場合、ユーザは、補聴器を使用することを思いとどまったり、及び/又はユーザの聴力損失が悪化したと誤って考えることがある。場合によっては、ユーザは、補聴器が誤動作していると考え、補聴器を製造業者又は聴覚専門家に返送し得る。
【0005】
ときには、聴覚専門家(例えば、補聴器フィッタ、補聴器小売業者など)は、ユーザが補聴器の性能問題について聴覚専門家に伝えるときに、フィルタ詰まり問題に気づかないことがある。その場合、聴覚専門家は、補聴器を製造業者に返送することがある。製造業者は、フィルタを交換する必要があることを除いて、補聴器に何の問題もないことに気づく。その間に、聴覚専門家は、ユーザの補聴器が製造業者によって修理されるまで、ユーザが使用するための一時的な補聴器を提供する。このように、聴覚装置のフィルタ交換は、聴覚装置のユーザにとっては不便であり、聴覚専門家及び聴覚装置の製造業者にとっては費用がかさみ、非効率的な作業である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、1つ又は複数の聴覚装置のためのバッテリ充電器に関し、バッテリ充電器は、テスト音を生成するように構成されたテスト音発生器と、テスト音に応答して第1の聴覚装置の第1のマイクロフォン出力に関する第1の情報を取得し、テスト音に応答して第2のマイクロフォン出力に関する第2の情報を取得するように構成された入力部と、第1の聴覚装置の第1のマイクロフォン出力に関する第1の情報に少なくとも部分的に基づいて、且つ第2のマイクロフォン出力に関する第2の情報に少なくとも部分的に基づいて、フィルタの詰まりを検出するように構成された処理ユニットと、フィルタの詰まりを示す信号を提供するように構成された出力部と、を備える。
【0007】
任意選択的に、テスト音発生器は、バッテリ充電器のケーシング内に取り付けられたスピーカ、又は第1の聴覚装置のレシーバ若しくは小型スピーカを備える。
【0008】
任意選択的に、ケーシングは、第1の聴覚装置を受け入れて固定するためのクレードル、スロット、又は開口部などの第1の所定の充電領域を備える。
【0009】
任意選択的に、出力部は、ケーシングに取り付けられており、フィルタの詰まりを示す視覚アラートをユーザに提供するように構成されたディスプレイ画面、及び/又はケーシングに取り付けられており、フィルタの詰まりを示す音声アラート信号をユーザに対して生成するように構成された音声トランスデューサを備える。
【0010】
任意選択的に、出力部は、アクセサリ装置に接続可能な有線データ通信インタフェース又は無線データ通信インタフェースを備え、出力部における信号は、アクセサリ装置に、フィルタの詰まりを示す音声アラートをユーザに対して発出させ、及び/又はアクセサリ装置に、フィルタの詰まりを示す視覚アラートをユーザに対して表示させる。
【0011】
任意選択的に、処理ユニットは、充電領域内における少なくとも第1の聴覚装置の存在の検出に応じて、第1の聴覚装置の第1のマイクロフォン出力に関する第1の情報及び第2のマイクロフォン出力に関する第2の情報を取得するように構成されている。
【0012】
任意選択的に、処理ユニットは、充電領域における第1の聴覚装置の存在を、バッテリ充電器と第1の聴覚装置との間の電気的インタフェースを監視することによって検出するように構成され、電気的インタフェースは、例えば、バッテリ充電器のケーシング上及び第1の聴覚装置のハウジング上に配置された一組の対応する電気端子又は一組の対応する電気パッドを備える。
【0013】
任意選択的に、バッテリ充電器と第1の聴覚装置との間の電気的インタフェースは、バッテリ充電器の電源から第1の聴覚装置の充電式バッテリに充電電流を供給するように構成されている。
【0014】
任意選択的に、フィルタは、第1の聴覚装置の第1のマイクロフォンのワックスフィルタであって、例えばメッシュ、空気不透過性膜のような可撓性の膜又はダイアフラムなどのワックスフィルタ、又は第1の聴覚装置の第1のレシーバ若しくは小型スピーカのワックスフィルタであって、例えばメッシュ又は可撓性の空気不透過性膜のようなワックスフィルタを備える。ワックスフィルタは、マイクロフォンの音声ポート、又はレシーバ若しくは小型スピーカの音声ポートに機械的に固定されてもよい。
【0015】
任意選択的に、バッテリ充電器のケーシングは、ユーザ操作可能な蓋を備え、蓋は、開状態において、ユーザが、少なくとも第1の聴覚装置を、ケーシングの内部に配置されたクレードル、スロット、開口部のような第1の所定の充電領域に配置することを可能にするように構成されており、閉状態において、バッテリ充電器のケーシングの内側に、音響的に密閉されたチャンバのような密閉環境を提供する。
【0016】
任意選択的に、バッテリ充電器のケーシングは、蓋の開状態及び/又は閉状態を検出するためのセンサを備える。
【0017】
任意選択的に、バッテリ充電器のケーシングは、第2のマイクロフォンを備える第2の聴覚装置を受け入れるためにケーシングの内部に配置される、クレードル、スロット、開口部などの第2の所定の充電領域を備える。
【0018】
任意選択的に、スピーカは、第1の聴覚装置の第1のマイクロフォンと、第2の聴覚装置の第2のマイクロフォンとに対して、等距離に配置されている。
【0019】
任意選択的に、処理ユニットは、ユーザ操作可能な蓋の閉状態又は開状態に基づいて、第1の聴覚装置の第1のマイクロフォン出力に関する第1の情報、及び第2のマイクロフォン出力に関する第2の情報を取得するように構成されている。
【0020】
任意選択的に、第1の聴覚装置は、第1のマイクロフォン出力を提供するように構成された第1のマイクロフォンと、第1のマイクロフォンによる検出のためにテスト音を生成するように構成されたレシーバ又は小型スピーカとを備える。
【0021】
本開示の第2の態様は、バッテリ充電器に内蔵され得る電子装置に関し、電子装置は、第1の聴覚装置の第1のマイクロフォン出力に関する第1の情報と、第2のマイクロフォン出力に関する第2の情報とを取得するように構成された入力部と、第1の聴覚装置の第1のマイクロフォン出力に関する第1の情報に少なくとも部分的に基づいて、且つ第2のマイクロフォン出力に関する第2の情報に少なくとも部分的に基づいて、フィルタの詰まりを検出するように構成された処理ユニットと、フィルタの詰まりを示す信号を提供するように構成された出力部と、を備える。
【0022】
任意選択的に、第1の聴覚装置の第1のマイクロフォン出力に関する第1の情報は、第1のマイクロフォン出力の電力レベル、第1のマイクロフォン出力の強度、又は第1のマイクロフォン出力のエネルギーレベルを備える。
【0023】
任意選択的に、処理ユニットは、第1の情報に基づいて第1の平均マイクロフォン出力を決定するように構成されている。
【0024】
任意選択的に、処理ユニットは、第1の情報と第2の情報とを互いに比較するように構成されている。
【0025】
任意選択的に、処理ユニットは、第1の情報及び第2の情報を基準値と比較するように構成されている。
【0026】
任意選択的に、基準値は、第1の情報及び第2の情報に少なくとも部分的に基づいて計算される。
【0027】
任意選択的に、第2のマイクロフォン出力は、第1の聴覚装置に関連付けられ、入力部はまた、第2の聴覚装置の第1のマイクロフォン出力に関する第3の情報と、第2の聴覚装置の第2のマイクロフォン出力に関する第4の情報と、を取得するように構成されている。
【0028】
任意選択的に、処理ユニットは、第1の聴覚装置の第1のマイクロフォン出力に関する第1の情報と、第1の聴覚装置に関連する第2のマイクロフォン出力に関する第2の情報と、第2の聴覚装置の第1のマイクロフォン出力に関する第3の情報と、第2の聴覚装置の第2のマイクロフォン出力に関する第4の情報と、に基づいて比較を実行するように構成される。
【0029】
任意選択的に、処理ユニットは、第1の情報及び第2の情報に基づいて、平均値、中央値、標準偏差、又は前述のものの任意の組合せを決定するように構成される。
【0030】
任意選択的に、第1のマイクロフォン出力は、第1の聴覚装置の通常の使用から検出された音に基づく。
【0031】
任意選択的に、電子装置は、第1の聴覚装置であるか、又は第1の聴覚装置内に実装される。
【0032】
任意選択的に、第1の聴覚装置は、第1のマイクロフォン出力を提供するように構成された第1のマイクロフォンと、第1のマイクロフォンによる検出のための音を生成するように構成されたレシーバとを備え、第1の聴覚装置の第1のマイクロフォンからの第1のマイクロフォン出力は、第1のマイクロフォンのレシーバによって生成される音に基づく。
【0033】
任意選択的に、第1のマイクロフォンは、環境音を検出するようにも構成されている。
【0034】
任意選択的に、第1の聴覚装置のレシーバは、第2の聴覚装置の第2のマイクロフォンによる検出のためでもある音を生成するように構成されており、第2のマイクロフォン出力は、第2の聴覚装置に関連付けられ、第1の聴覚装置の第1のマイクロフォンのレシーバによって生成された音に基づく。
【0035】
任意選択的に、第2のマイクロフォン出力は、第2の聴覚装置に関連付けられ、電子装置は、第2の聴覚装置の第2のマイクロフォン出力に関する第2の情報を受信するように構成された通信インタフェースをさらに備える。
【0036】
任意選択的に、電子装置は、アクセサリ装置であるか、又はアクセサリ装置内に実装される。
【0037】
任意選択的に、アクセサリ装置は、第1の聴覚装置及び/又は第2の聴覚装置による検出のための音を生成するように構成され、第1のマイクロフォン出力及び第2のマイクロフォン出力は、アクセサリ装置によって生成された音に基づく。
【0038】
任意選択的に、アクセサリ装置は、第1の聴覚装置からの第1のマイクロフォン出力に関する第1の情報を無線で受信し、第2のマイクロフォン出力に関する第2の情報を無線で受信するように構成されている。
【0039】
任意選択的に、アクセサリ装置は、第1のマイクロフォン出力に基づいて第1の情報を計算することによって第1の情報を取得し、第2のマイクロフォン出力に基づいて第2の情報を計算することによって第2の情報を取得するように構成されている。
【0040】
任意選択的に、電子装置は、充電器であるか、又は充電器に実装される。
【0041】
任意選択的に、充電器は、第1の聴覚装置及び/又は第2の聴覚装置による検出のための音を生成するように構成されており、第1のマイクロフォン出力及び第2のマイクロフォン出力は、充電器によって生成された音に基づく。
【0042】
任意選択的に、充電器は、第1の聴覚装置及び/又は第2の聴覚装置による検出のための音を第1の聴覚装置及び/又は第2の聴覚装置に生成させるための制御信号を生成するように構成されており、第1のマイクロフォン出力及び第2のマイクロフォン出力は、第1の聴覚装置及び/又は第2の聴覚装置によって生成された音に基づく。
【0043】
任意選択的に、充電器は、第1の聴覚装置からの第1のマイクロフォン出力に関する第1の情報を無線で受信し、第1の聴覚装置あるいは第2の聴覚装置からの第2のマイクロフォン出力に関する第2の情報を無線で受信するように構成されている。
【0044】
任意選択的に、充電器は、第1のマイクロフォン出力に基づいて第1の情報を計算することによって第1の情報を取得し、第2のマイクロフォン出力に基づいて第2の情報を計算することによって第2の情報を取得するように構成される。
【0045】
任意選択的に、電子装置はサーバであるか、又はサーバに実装される。
【0046】
任意選択的に、第2のマイクロフォン出力は、第1の聴覚装置に関連付けられる。
【0047】
任意選択的に、第2のマイクロフォン出力は、第2の聴覚装置に関連付けられる。
【0048】
バッテリ充電器及び電子装置の他の更なる態様及び特徴は、以下の詳細な説明を読むことから明らかになる。
【0049】
図面は、実施形態の設計及び有用性を示し、類似の要素が共通の参照番号によって参照される。利点及び目的がどのように得られるかをより良く理解するために、添付の図面を参照して、実施形態がより具体的に説明される。これらの図面は、例示的な実施形態のみを示し、従って、本発明の特許請求の範囲を限定するものと見なされるべきではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図2】いくつかの実施形態による、
図1の電子装置を含む聴覚装置の例を示す。
【
図4】
図1の電子装置を含むアクセサリ装置の一例を示す。
【
図5】
図1の電子装置を含み得る、バッテリ充電器の形態の例示的なアクセサリ装置を示す。
【
図6】いくつかの実施形態による聴覚装置の別の例を示す。
【
図7】聴覚装置のフィルタの詰まりを検出する方法を示す。
【
図8】聴覚装置の詰まったフィルタを交換するためのワークフローの一例を示す。
【
図9】本明細書で説明する1つ又は複数の電子装置を実装するための専用の処理システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
様々な実施形態が、図面を参照して以下に記載される。図面は、一定の縮尺で描かれていることもあれば、描かれていないこともあり、同様の構造又は機能の要素は、図面全体にわたって同様の参照番号によって表されることに留意されたい。また、図面は、実施形態の説明を容易にすることのみを意図していることにも留意されたい。それらは、特許請求の範囲に記載された発明の網羅的な説明としても、又は特許請求の範囲に記載された発明の範囲に対する限定としても意図されていない。加えて、図示された実施形態は、示された本発明の全ての態様又は利点を有する必要はない。特定の実施形態に関連して説明される態様又は利点は、必ずしもその実施形態に限定されず、そのように図示されていなくても、又はそのように明示的に説明されていなくても、任意の他の実施形態で実施することができる。
【0052】
図1は、いくつかの実施形態による電子装置10を示す。電子装置10は、聴覚装置において、マイクロフォンフィルタのようなフィルタの詰まりを検出するように構成されている。電子装置10は、第1の聴覚装置の第1のマイクロフォン出力に関する第1の情報と、第2のマイクロフォン出力に関する第2の情報とを取得するように構成された入力部12を備える。電子装置10はまた、第1の聴覚装置の第1のマイクロフォン出力に関する第1の情報に少なくとも部分的に基づいて、及び第2のマイクロフォン出力に関する第2の情報に少なくとも部分的に基づいて、フィルタの詰まりを検出するように構成された処理ユニット14を備える。電子装置10はさらに、フィルタの詰まりを示す信号を供給するように構成された出力部16を含む。
【0053】
電子装置10の処理ユニット14は、ハードウェア、ソフトウェア、又は両者の組合せを含むことができる。非限定的な例により、処理ユニット14のハードウェアは、1つ又は複数のプロセッサ及び/又は1つ又は複数の集積回路を含むことができる。いくつかの実施形態では、処理ユニット14は、モジュールとして実装されてもよく、及び/又は任意の集積回路の一部であってもよい。
【0054】
電子装置10の入力部12は、外部装置とインタフェース接続する入力部であってもよいし、電子装置10内の構成要素と通信するように構成された電子装置10の内部の入力部であってもよい。ある実施形態では、入力部12は、任意のハードウェアインタフェース及び/又はソフトウェアインタフェースといった任意の通信インタフェースであってもよい。
【0055】
電子装置10の出力部16は、外部装置とインタフェースする出力部であってもよいし、電子装置10内の構成要素と通信するように構成された電子装置10の内部の出力部であってもよい。ある実施形態では、出力部16は、任意のハードウェアインタフェース及び/又はソフトウェアインタフェースといった任意の通信インタフェースであってもよい。ある実施形態では、出力部16は、記憶ユニット(例えば、ローカルメモリ及び/又はリモートサーバ)にデータを提供するように構成されてもよい。加えて、又はこれに代えて、出力部16は、データをさらに処理するために別の処理ユニットにデータを提供するように構成されてもよい。加えて、又はこれに代えて、出力部16は、データを別の装置に(例えば、無線で、又はケーブルを介して)通信するために、通信ユニットにデータを提供するように構成されてもよい。加えて、又はこれに代えて、出力部16は、アラートを提供させる信号を提供するように構成されてもよい。例えば、信号は、聴覚装置に、聴覚装置のフィルタが詰まっていることを聴覚装置のユーザに知らせる音声アラートを出力させることができる。別の例として、信号は、聴覚装置のフィルタが詰まっていることを聴覚装置のユーザに知らせる音声アラート及び/又は視覚アラートを、アクセサリ装置(例えば、携帯電話、iPad(登録商標)、タブレット、リモコン、コンピュータ、ラップトップなど)に出力させることができる。他の実施形態では、信号は、聴覚装置がフィルタ交換を必要とすることを聴覚専門家(例えば、フィッタ)に通知するためのメッセージを聴覚専門家装置に提供させることができる。さらなる実施形態では、信号は、聴覚装置がフィルタ交換を必要とすることを聴覚装置製造業者に通知するためのメッセージを提供することができる。
【0056】
電子装置10は、任意の装置であってもよく、又は任意の装置で実装されてもよい。いくつかの実施形態では、電子装置10は、フィルタを有する聴覚装置であってもよく、又はフィルタを有する聴覚装置の一部として実装されてもよい。他の実施形態では、電子装置10は、アクセサリ装置であってもよく、又はアクセサリ装置の一部として実装されてもよい。アクセサリ装置の例には、携帯電話、iPad(登録商標)、タブレット、コンピュータ、ラップトップ、リモコンなどが含まれる。他の実施形態では、電子装置10は、フィルタを有する聴覚装置を充電するための充電器であってもよく、又は充電器の一部として実装されてもよい。さらなる実施形態では、電子装置10は、サーバであってもよく、又はサーバの一部として実装されてもよい。いくつかの実施形態では、サーバは、聴覚装置製造業者に(例えば、所有される、制御される、属するなどして)関連付けられた、又は聴覚専門家に関連付けられたサーバであってもよい。さらなる実施形態では、電子装置10は、聴覚専門家装置であってもよく、又は聴覚専門家装置の一部として実装されてもよい。
【0057】
第1の情報及び第2の情報の各々は、聴覚装置のフィルタの詰まりを識別するための処理を実行するために処理ユニット14が使用可能な任意の情報であってもよい。非限定的な例によって、第1の聴覚装置の第1のマイクロフォン出力に関する第1の情報は、第1のマイクロフォン出力の電力レベル、第1のマイクロフォン出力の強度、第1のマイクロフォン出力のエネルギーレベル、第1のマイクロフォン出力に関連する任意の特性などであり得る。同様に、非限定的な例によって、第2のマイクロフォン出力に関する第2の情報は、第2のマイクロフォン出力の電力レベル、第2のマイクロフォン出力の強度、第2のマイクロフォン出力のエネルギーレベル、第2のマイクロフォン出力に関連する任意の特性などであり得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、第2のマイクロフォン出力は、第1の聴覚装置に関連付けられる。そのような場合、第1のマイクロフォン出力に関する第1の情報及び第2のマイクロフォン出力に関する第2の情報の両方が、第1の聴覚装置に関連付けられる。例えば、第1の聴覚装置は、第1のマイクロフォン出力を提供するための第1のマイクロフォンと、第2のマイクロフォン出力を提供するための第2のマイクロフォンとを含んでもよい。第1の聴覚装置の第1及び第2のマイクロフォンは、指向性を有する音声情報を提供する指向性マイクロフォンとして構成されてもよい。
【0059】
他の実施形態では、第2のマイクロフォン出力は、第1の聴覚装置とは異なる第2の聴覚装置に関連付けられる。第1及び第2の聴覚装置は、バイノーラル聴覚システムの一部であってもよく、その場合、第1及び第2の聴覚装置は、左及び右の聴覚装置であり、又はその逆である。そのような場合、第1のマイクロフォン出力に関する第1の情報は、第1の聴覚装置に関連付けられ、第2のマイクロフォン出力に関する第2の情報は、第2の聴覚装置に関連付けられる。例えば、第1の聴覚装置は、第1のマイクロフォン出力を提供するための第1のマイクロフォンと、第2のマイクロフォン出力を提供するための第2のマイクロフォンとを含んでもよい。
【0060】
聴覚装置のフィルタが詰まっているかどうかを判定するために、処理ユニット14によって様々な技法を使用することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、処理ユニット14は、第1の情報と第2の情報とを互いに比較するように構成されてもよい。一実施形態では、検出のために、第1及び第2のマイクロフォン出力を提供する複数のマイクロフォンによって音が提供されてもよい。いずれのマイクロフォンも詰まっていない場合、複数のマイクロフォンは、類似の特性(例えば、マイクロフォン出力の電力レベル、エネルギーレベル等)を有する複数のマイクロフォン出力を提供することが期待される。そのような場合、第1の情報と第2の情報との間の比較が、一方のマイクロフォン出力が他のマイクロフォン出力よりも著しく低い特性レベルを有することを示す場合、処理ユニット14は、著しく低いマイクロフォン出力特性を有するマイクロフォンが詰まったフィルタを有すると判定することができる。
【0062】
これに代えて、又は加えて、処理ユニット14は、第1の情報及び第2の情報を基準値と比較するように構成されてもよい。例えば、それぞれのマイクロフォンから一定の距離に配置された音源(例えば、スピーカ)から出力される所与のレベルに対して、それぞれのマイクロフォンのマイクロフォン出力は、一定の期待レベルを有すると判断され得る。そのような場合、もし第1及び第2の情報のいずれかが、予想されるレベルよりも低ければ(又は、予想されるレベルよりも所定の閾値を超えて低ければ)、処理ユニット14は、その情報(即ち、予想されるレベルよりも低いもの)に対応するマイクロフォンフィルタが詰まっていると判定することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、電子装置10は、スピーカ-マイクロフォン距離に関連して、及び/又はスピーカが発する音量に関連して、基準値(例えば、マイクロフォン出力の期待レベル)を記憶する非一時的媒体を含んでもよい。そのような場合、スピーカが発する音量及び/又はスピーカからマイクロフォンまでの距離に応じて、処理ユニット14は、入力部12が受信するマイクロフォン出力に関する情報と比較するために、対応する基準値を選択することができる。
【0064】
他の実施形態では、基準値は、第1の情報及び第2の情報に、少なくとも部分的に基づいて計算され得る。例えば、基準値は、平均値であってもよいし、中央値であってもよい。そのような場合、処理ユニット14は、情報(例えば、マイクロフォン出力のレベル)を平均値又は中央値と比較するように構成されてもよい。マイクロフォン出力のレベルが平均値又は中央値より低いか、又は平均値又は中央値より所定の閾値だけ低い場合、処理ユニット14は、対応するマイクロフォンフィルタが詰まっていると判定することができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、それぞれが少なくとも2つのマイクロフォンを有する2つの聴覚装置(例えば、左右の聴覚装置)があってもよい。特に、第1の聴覚装置は、第1のマイクロフォン及び第2のマイクロフォンを有することができ、第2の聴覚装置は、第1のマイクロフォン及び第2のマイクロフォンを有することもできる。そのような場合、電子装置10の入力部12は、第1の聴覚装置の第1及び第2のマイクロフォン出力に関する第1の情報及び第2の情報を取得し、また、第2の聴覚装置の第1のマイクロフォン出力に関する第3の情報と、第2の聴覚装置の第2のマイクロフォン出力に関する第4の情報とを取得するように構成され得る。処理ユニット14は、第1の聴覚装置の第1のマイクロフォン出力に関する第1の情報と、第1の聴覚装置に関連する第2のマイクロフォン出力に関する第2の情報と、第2の聴覚装置の第1のマイクロフォン出力に関する第3の情報と、第2の聴覚装置の第2のマイクロフォン出力に関する第4の情報と、に基づいて比較を実行するように構成され得る。
【0066】
本明細書で説明する1つ又は複数の実施形態では、処理ユニット14は、第1の情報及び第2の情報に基づいて、平均値、中央値、標準偏差、又は前述のものの2つ以上を決定するように構成することができる(ここで、第1の情報及び第2の情報は、同じ第1の聴覚装置からの、又はそれぞれ異なる第1及び第2の聴覚装置からのマイクロフォン出力に関するものとすることができる)。平均値、中央値、標準偏差、又は前述のものの任意の組み合わせは、詰まったフィルタを有するマイクロフォンを識別するメトリックを決定するためのメトリック決定スキームにおいて利用され得る。2つの聴覚装置があり、それぞれが複数のマイクロフォンを有する状況では、処理ユニット14は、第1の聴覚装置のマイクロフォンが提供する複数のマイクロフォン出力に関する第1の情報及び第2の情報に基づいて、並びに第2の聴覚装置のマイクロフォンが提供する複数のマイクロフォン出力に関する第3の情報及び第4の情報に基づいて、平均値、標準偏差、又はその両方を決定するように構成され得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、処理ユニット14は、入力部12が取得した情報の平均値又は中央値を決定するように構成されてもよい。マイクロフォン出力に関する情報のいずれかが、平均値又は中央値を所定の閾値(例えば、標準偏差に係数をかけたもの)を超えて下回る値を有する場合、処理ユニット14は、対応する情報に関連付けられたマイクロフォンフィルタが詰まっていると判定することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、第1の聴覚装置の第1のマイクロフォン出力に関する第1情報は、経時的な複数の値(例えば、波形)を含んでもよい。そのような場合、処理ユニット14は、第1の情報に基づいて(例えば、値の平均を決定することによって)第1の平均マイクロフォン出力を決定するように構成される。他の実施形態では、処理ユニット14は、第1の情報内の複数の値から最大値を決定するように構成されてもよい。さらなる実施形態では、第1の聴覚装置の第1のマイクロフォン出力に関する第1の情報は、それ自体が、第1のマイクロフォン出力の複数の値から計算された平均値、又は第1のマイクロフォン出力の複数の値から決定された最大値であってもよい。第1の情報の上記の例及び第1の情報の処理の上記の例は、第2の情報、及び/又は例えば第3の情報、第4の情報などの他の情報に同様に適用されてもよい。
【0069】
上記の例では、マイクロフォン出力は、聴覚装置20のマイクロフォンによって検出される、スピーカからの音声出力に基づくものとして説明されている。いくつかの実施形態では、聴覚装置20のマイクロフォンによる検出のために音を発するスピーカは、聴覚装置20のレシーバであってもよい。他の実施形態では、聴覚装置20のマイクロフォンによる検出のために音を発するスピーカは、別の聴覚装置(例えば、反対側の聴覚装置)のレシーバ、アクセサリ装置、充電器、コンピュータ、ラップトップ、テスト装置など、別の装置の構成要素であってもよい。さらなる実施形態では、聴覚装置20のマイクロフォンによって検出される音は、スピーカ、移動車両、建設機器、コンサートなどの任意の音源からの任意の環境音とすることができる。電子装置10が聴覚装置20に実装される実施形態では、マイクロフォン出力は、聴覚装置20の通常の使用から検出された音に基づくことができる。
【0070】
図2は、
図1の電子装置10を備える聴覚装置20a(第1の聴覚装置20a)の一例を示す。図に示すように、電子装置10は、第1の聴覚装置20aに実装されている。図示の実施形態では、第1の聴覚装置20aは、第1のマイクロフォン22a及び第2のマイクロフォン22bを有する。第1のマイクロフォン22cと第2のマイクロフォン22dとを有する第2の聴覚装置20bもある。図示の実施形態では、聴覚装置20a、20bは、それぞれユーザの左と右の耳(又はその逆)に装着されるように構成された補聴器である。
【0071】
通常の使用中、聴覚装置20a、20bのマイクロフォン22a~22dは、聴覚装置20a、20bのユーザの外部の環境音を拾う。聴覚装置20a、20bは、検出された音を処理して、ユーザの聴覚損失を補償し、ユーザの鼓膜が受け取るための出力音を(聴覚装置20a、20bのそれぞれのレシーバを介して)提供する。
【0072】
いくつかの実施形態では、聴覚装置20a、20bのユーザが環境音を伴う環境にある場合、聴覚装置20a、20bのマイクロフォン22a~22dは環境音を拾い、対応するマイクロフォン出力を生成する。第1の聴覚装置20aの電子装置10の入力部12は、第1の聴覚装置20aのマイクロフォン22a、22bからマイクロフォン出力に関する情報を取得する。第1の聴覚装置20aは、通信ユニットを介して、第2の聴覚装置20bのマイクロフォン22c、22dからのマイクロフォン出力に関する情報を受信する。次に、マイクロフォン22c、22dからのマイクロフォン出力に関する情報は、第1の聴覚装置20a内の電子装置10の入力部12によって取得される。次いで、電子装置10内の処理ユニット14は、マイクロフォン22a~22dからのマイクロフォン出力に関する情報を比較する。マイクロフォン出力に関する情報は、マイクロフォン出力自体であってもよく、又はマイクロフォン出力の特性に関する任意の情報(例えば、電力レベル、エネルギーレベル、振幅など)であってもよい。
【0073】
場合によっては、マイクロフォン22a~22dからのマイクロフォン出力は、特定の方向から来る環境音、及び/又はヘッドシャドーイング効果のために、異なるレベルを有することがある。しかし、マイクロフォン22a~22dのフィルタが詰まっていない場合、マイクロフォン22a~22dからのマイクロフォン出力は、すべて、(音の方向及び/又はヘッドシャドーイング効果を考慮する)一定の範囲内に入り得る。いくつかの実施形態では、処理ユニット14は、マイクロフォン22a~22dからのマイクロフォン出力のいずれかが、そのような範囲の外及び範囲より下にあるか否かを判断するように構成される。そうであれば、処理ユニット14は、次いで、そのマイクロフォン(即ち、マイクロフォン出力が範囲の下及び外にあるマイクロフォン)についてのフィルタが詰まっていると判断することができる。例えば、どのマイクロフォン22a~22dもフィルタが詰まっていない場合、複数のマイクロフォン出力は、48dB、46dB、52dB、50dBの値を有し得る。一方、あるマイクロフォンのフィルタが詰まっている場合、結果として得られる複数のマイクロフォン出力の値は48dB、46dB、52dB、4dBになることがある。このような場合、マイクロフォン出力が4dBのマイクロフォンはフィルタが詰まっていると判断される。
【0074】
いくつかの実施形態では、処理ユニット14は、マイクロフォン22a~22dからのマイクロフォン出力、又はマイクロフォン22a~22dのサブセットからのマイクロフォン出力に基づいて、(マイクロフォン出力の評価のための)範囲を決定するように構成される。一実装形態では、処理ユニット14は、最低レベルを有するマイクロフォン出力を識別し、残りの(即ち、最低レベルを有するものを除外する)マイクロフォン出力のレベルの平均を計算するように構成され得る。次いで、処理ユニット14は、マイクロフォン出力の最低レベルを計算された平均と比較してもよい。マイクロフォン出力の最低レベル(即ち、平均の計算から除外されたもの)が、計算された平均よりもパーセンテージPを超えて低い場合、処理ユニット14は、対応するマイクロフォン(マイクロフォン出力の最低レベルを提供するマイクロフォン)のフィルタが詰まっていると判定することができる。パーセンテージPは、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%等以上であってもよい。パーセンテージPは、音の方向及び/又はヘッドシャドウ効果の考慮に基づいて決定されてもよい。いくつかの実施形態では、パーセンテージPは、検出された音の音量の関数として可変であってもよい。
【0075】
別の実装形態では、処理ユニット14は、最低レベルを有するマイクロフォン出力及び最高レベルを有するマイクロフォン出力を識別し、残りのマイクロフォン出力(即ち、最低レベルを有するマイクロフォン出力及び最高レベルを有するマイクロフォン出力を除外する)のレベルの平均を計算するように構成され得る。次いで、処理ユニット14は、マイクロフォン出力の最低レベルを計算された平均と比較することができる。マイクロフォン出力の最低レベル(即ち、平均の計算から除外されたもの)が、計算された平均よりパーセンテージPを超えて下回る場合、処理ユニット14は、対応するマイクロフォン(マイクロフォン出力が最低レベルであるマイクロフォン)のフィルタが詰まっていると判定することができる。パーセンテージPは、言及された例のいずれかであってもよく、音の方向及び/又はヘッドシャドウ効果の考慮に基づいて決定されてもよい。また、同様に、パーセンテージPは、検出された音の音量の関数として可変であってもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、処理ユニット14は、上記のマイクロフォン出力の評価を繰り返し実行するように構成されてもよく、各評価において、どのマイクロフォンが最低出力を有するか、又は基準を満足する最低出力を有するか(例えば、パーセンテージPだけ平均値を下回るレベルを有するか)を記録するように構成されてもよい。あるマイクロフォンが、異なる時間に実行される評価において、繰り返し又は一貫して最低出力を有する場合、処理ユニット14は、そのマイクロフォンのフィルタが詰まっていると判定することができる。あるいは、あるマイクロフォンが他のマイクロフォンよりも最低出力を有する回数が多い場合、処理ユニット14は、そのマイクロフォンのフィルタが詰まっていると判断することができる。詰まったフィルタを決定するために複数回マイクロフォン出力を評価することは有利であり、なぜなら、1つの状況におけるマイクロフォンによる低出力は、音の方向、ヘッドシャドーイング効果、及び/又はマイクロフォンポートを一時的にブロックする物体(例えば、指)によるものであり得るためである。1つのマイクロフォンからのマイクロフォン出力が、様々な時間において様々な(例えば、異なる音の方向を有し得、及び/又は異なる関連するヘッドシャドーイング効果を有し得る)環境で最低の出力を有する場合、そのようなマイクロフォンは詰まったフィルタを有する可能性がより高い。いくつかの実施形態では、処理ユニット14は、各マイクロフォンが最低のマイクロフォン出力を提供する回数及び/又は頻度を記録するように構成されてもよい。あるマイクロフォンについての回数及び/又は頻度が、他のマイクロフォンについての回数及び/又は頻度よりも(例えば、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、90%超など)高い場合、処理ユニット14は、そのようなマイクロフォンが詰まったフィルタを有すると判定することができる。また、いくつかの実施形態では、処理ユニット14は、マイクロフォン性能のヒストグラムを記録して更新し、詰まったフィルタの決定にヒストグラムを使用するように構成されてもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、処理ユニット14によるマイクロフォン出力の評価、及び/又は評価の結果の保存は、環境音が閾値よりも高いことに応答して行われてもよい。この特徴は有利であり、なぜなら(例えば、建設騒音、コンサート騒音などの)より大きな環境音が、より静かな環境音と比較して、ヘッドショウイング効果によって影響を受けにくくなる可能性があるからである。例えば、いくつかの実施形態では、マイクロフォン性能の評価は、20dBを超える、30dBを超える、40dBを超える、50dBを超える、60dBを超える音の検出に応答してのみ、処理ユニット14によって行われる。
【0078】
いくつかの実施形態では、処理ユニット14が詰まったフィルタを識別した後、処理ユニット14は次に、フィルタの詰まりを示すための信号を生成することができ、出力部16を介してその信号を供給することができる。いくつかの実施形態では、生成された信号は、聴覚装置20のレシーバに、詰まったフィルタがあることを聴覚装置20のユーザに知らせるための音声アラート(例えば、ビープ音、メッセージなど)を出力させることができる。任意選択的に、音声アラートは、聴覚装置20a、20bのどれが詰まったフィルタを有するかをユーザに示すこともできる。アラートを受けると、ユーザは、聴覚専門家及び/又は聴覚装置製造業者に連絡して、フィルタの交換を手配することができる。
【0079】
これに代えて、又は加えて、出力部16を介して提供される信号は、アクセサリ装置に(例えば、無線で)送信されてもよく、これによってアクセサリ装置は、ユーザにアラート(例えば、音声アラート及び/又は視覚アラート)を提供する。アクセサリ装置は、携帯電話、iPad、タブレット、コンピュータ、ラップトップ、リモコン、充電器などであってもよい。アラートを受けると、ユーザは、聴覚専門家及び/又は聴覚装置製造業者に連絡して、フィルタの交換を手配することができる。
【0080】
これに代えて、又は加えて、出力部16を介して提供される信号は、インターネットなどのネットワークを介してサーバに送信されてもよい。サーバは、聴覚装置製造業者及び/又は聴覚専門家と(例えば、管理される、所有される、属するなどして)関連付けることができる。そのような場合、聴覚装置製造業者は、交換用フィルタをユーザ又は聴覚専門家に提供することができる。場合によっては、聴覚装置製造業者は、詰まったフィルタについて聴覚専門家に知らせることができ、その結果、聴覚専門家は、ユーザのためにフィルタを交換するように手配することができる。いくつかの実施形態では、聴覚装置製造業者は、聴覚専門家がフィルタを交換するための手配を行うことを助けることができる。
【0081】
これに代えて、又は加えて、出力部16を介して提供される信号は、インターネットなどのネットワークを介して聴覚専門家装置に送信されてもよい。次いで、聴覚専門家装置は、聴覚専門家にアラートを提供する。次いで、聴覚専門家は、フィルタの交換を手配するために聴覚装置のユーザに連絡することができる。いくつかの実施形態では、聴覚専門家装置が受信した信号は、聴覚専門家装置に、聴覚装置20の詰まったフィルタについて聴覚専門家に通知するためのメッセージを表示させることができる。次いで、聴覚専門家は、聴覚装置20のユーザに連絡して、フィルタの交換を手配することができる。聴覚専門家は、フィルタ交換に関して聴覚装置製造業者に連絡することもできる。一実施形態では、聴覚専門家装置が信号を受信した後、聴覚専門家装置は、グラフィカルユーザインターフェースを介して、聴覚装置20の詰まったフィルタについて聴覚専門家に通知することができる。聴覚専門家装置は、グラフィカルユーザインターフェースを生成するためのアプリケーションを含むことができる。アプリケーションはまた、聴覚専門家80が聴覚装置20のユーザと繋がることを支援し、及び/又は聴覚装置20のフィルタを交換するプロセスにおいてユーザを支援するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、アプリケーションによって、聴覚専門家は、ユーザのために交換用フィルタを注文することが可能となりうる。
【0082】
詰まったフィルタを決定するためにマイクロフォン出力を評価する上記の技術は、ユーザが標準使用において聴覚装置20a、20bを装着している間に評価が行われるため、有利である。従って、評価は、ユーザが気づかない間に「舞台裏」で行われる。ユーザが参加して実行される必要がある特別なテストはない。また、ユーザは、評価を行うために聴覚装置20a、20bを取り外す必要がない。
【0083】
図3は、
図2の聴覚装置20(例えば、聴覚装置20a又は20b)の例を示す。聴覚装置20は、1つ又は複数のマイクロフォン22と、聴力損失補償ユニット322と、レシーバ330と、通信ユニット340と、ユーザ制御部350とを含む。聴覚装置20は、電子装置10も含む。聴力損失補償ユニット322及び電子装置10は、プロセッサ、集積回路、アプリケーション、機能モジュールなどの処理ユニットとすることができる処理モジュール320の一部として実装することができる。他の実施形態では、聴力損失補償ユニット322と電子装置10とは別個の構成要素であってもよい。マイクロフォン22は、聴覚装置20のユーザの外部の環境から音を受信し、受信した音に基づいてマイクロフォン信号を生成するように構成される。聴力損失補償ユニット322は、ユーザの聴力損失を補償するための信号処理を実行し、マイクロフォン22からのマイクロフォン信号に基づいて出力を生成するように構成されている。レシーバ330は、聴力損失補償ユニット322からの出力に基づいて、ユーザの鼓膜が受け取るための音を生成するように構成されている。通信ユニット340は、ユーザの別の聴覚装置20、アクセサリ装置、サーバ、聴覚専門家装置などの1つ又は複数の装置と通信するように構成される。通信ユニット340は、1つ又は複数の無線通信ユニット及び/又は1つ又は複数のケーブルコネクタであってもよい。いくつかの実施形態では、通信ユニット340は、1つ又は複数のアンテナを含むことができる。ユーザ制御部350は、1つ又は複数のボタン、1つ又は複数のノブ、1つ又は複数のスイッチ、又は前述のものの任意の組み合わせであってもよい。ユーザ制御部350は、聴覚装置20のユーザが聴覚装置20の操作を制御することを可能にするように構成されている。例えば、ユーザは、ユーザ制御部350を操作して、音量の調整、聴覚装置20の動作モードの変更、聴覚装置20の聴覚プログラムの変更、聴覚装置20の動作パラメータの変更などをすることができる。
【0084】
聴覚装置20は、外耳内(in-the-canal)(ITC)補聴器、完全外耳内型(completely-in-canal)(CIC)補聴器、外耳内型で見えにくい(invisible-in-the-canal)(IIC)補聴器、耳内レシーバ型(receiver-in-the-ear)(RITE)補聴器、外耳内レシーバ型(receiver-in-canal)(RIC)補聴器などの補聴器とすることができる。
【0085】
他の実施形態では、聴覚装置20は補聴器でなくてもよい。代わりに、聴覚装置20は、ヘッドセット、イヤホン、聴覚保護装置などであってもよい。いくつかの実施形態では、聴覚装置20は、聴力損失補償ユニット322を含まなくてもよい。他の実施形態では、聴覚装置20は、ユーザの聴覚に関連する信号処理を提供するように構成された処理ユニットを含むことができる。例えば、処理ユニットは、ノイズ低減、ノイズキャンセレーション、音声認識、低音調整、高音調整、フェードバランス調節(fad balancing)、ユーザ入力の処理等を実行するように構成されてもよい。
【0086】
上記の実施形態では、電子装置10は、聴覚装置20の内部に実装されるものとして説明されている。他の実施形態では、電子装置10は、アクセサリ装置であってもよく、又はアクセサリ装置の一部として実装されてもよい。アクセサリ装置は、携帯電話、iPad(登録商標)、タブレット、充電器、コンピュータ、ラップトップ、リモコンなどであってもよい。
【0087】
図4は、
図1の電子装置10を含むアクセサリ装置400の一例を示す。図示の実施形態では、アクセサリ装置400は携帯電話である。アクセサリ装置400は、ユーザ入力を受信するように構成されたユーザインタフェース402と、聴覚装置20に関する情報を表示するように構成されたスクリーン404と、処理ユニット408と、聴覚装置20及び他の装置と通信するように構成された通信ユニット410とを含む。図示の例では、ユーザインタフェース402は、スクリーン404を使用して実装されるタッチパネルである。他の実施形態では、ユーザインタフェース402は、1つ又は複数のボタン、1つ又は複数のノブ、1つ又は複数のスイッチ、キーボード、マウス、タッチパッド、トラックボール、ユーザが1つ又は複数の入力を入力することができるグラフィカルインタフェース、又はユーザ入力を受信することができる任意の装置及び/又はアプリケーションとすることができる。処理ユニット408は、ハードウェア、ソフトウェア、又は両者の組合せを含むことができる。非限定的な例として、処理ユニット408のハードウェアは、1つ又は複数のプロセッサ及び/又は1つ又は複数の集積回路を含むことができる。図示の実施形態では、電子装置10は、アクセサリ装置400の処理ユニット408の一部として実装される。通信ユニット410は、無線通信を行うように構成された無線ユニットであってもよいし、ケーブルにデータを出力し、ケーブルからデータを受信するように構成されたケーブルインタフェースであってもよい。他の実施形態では、通信ユニット410は、ハードウェアインタフェース又はソフトウェアインタフェースなどの任意の通信インタフェースであってもよい。いくつかの実施形態では、通信ユニット410は、聴覚装置20、聴覚専門家装置、サーバ、記憶装置などの1つ又は複数の装置と通信するように構成された1つ又は複数のアンテナを備えることができる。
【0088】
聴覚装置20のマイクロフォンからのマイクロフォン出力を処理するためのアクセサリ装置400内の電子装置10の動作は、(電子装置10が聴覚装置20の代わりにアクセサリ装置10内にあるので)電子装置10の入力部12がアクセサリ装置400内の通信ユニット410を介して聴覚装置20からのマイクロフォン出力を無線で受信することを除いて、
図2~
図3の実施形態を参照して説明したものと同じである。特に、いくつかの実施形態では、聴覚装置20のマイクロフォン22は、ユーザが聴覚装置20を装着している間、環境音を検出し、マイクロフォン22は、対応するマイクロフォン出力を生成する。マイクロフォン出力に関する情報は、次に、聴覚装置20からアクセサリ装置400に無線で送信される。情報は、マイクロフォン出力自体であってもよいし、マイクロフォン出力の任意の特性に関する任意の情報であってもよい。アクセサリ装置400の通信ユニット410は、マイクロフォン出力に関する情報を受信し、その情報をアクセサリ装置400内の電子装置10の入力部12に渡す。次に、電子装置10の処理ユニット14は、情報を処理して、聴覚装置20のフィルタが詰まっているか否かを判定する。
【0089】
1つの聴覚装置20が
図4に示されているが、他の実施形態では、2つの聴覚装置20(例えば、
図2を参照して同様に説明した第1及び第2の聴覚装置20a、20b)があってもよい。
【0090】
他の実施形態では、聴覚装置20の通常の使用中に環境音を使用して聴覚装置20内のフィルタの詰まりを判断する代わりに、アクセサリ装置400が、聴覚装置20のマイクロフォン22による検出のためのテスト音を提供するためのスピーカ420を有してもよい。そのような場合、聴覚装置20及び/又はアクセサリ装置400は、フィルタ詰まりテストが行われていることを聴覚装置20のユーザに知らせる音声メッセージ、及び/又はアクセサリ装置400がテスト音を出力することをユーザに知らせる音声メッセージを提供することができる。このため、ユーザは、テスト音によって混乱したり、驚いたりすることがない。聴覚装置20のマイクロフォン22は、ユーザが聴覚装置20を装着している間、又は聴覚装置20が装着されていない間(例えば、ユーザは、聴覚装置20をアクセサリ装置400のスピーカ420から指定された距離又は位置に配置してもよい)、テスト音を検出することができ、マイクロフォン22は、対応するマイクロフォン出力を生成する。(アクセサリ装置400のスピーカ420によって生成されたテスト音に基づく)マイクロフォン出力に関する情報は、次に、聴覚装置20からアクセサリ装置400に(無線で又はケーブルを介して)送信される。アクセサリ装置400の通信ユニット410は、マイクロフォン出力に関する情報を受信し、その情報をアクセサリ装置400内の電子装置10の入力部12に渡す。次に、電子装置10の処理ユニット14は、情報を処理して、聴覚装置20のフィルタが詰まっているか否かを判定する。
【0091】
いくつかの実施形態では、処理ユニット14が詰まったフィルタを識別した後、処理ユニット14は次に、フィルタの詰まりを示すための信号を生成することができ、出力部16を介して信号を供給することができる。いくつかの実施形態では、生成された信号は、聴覚装置20内に詰まったフィルタがあることを聴覚装置20のユーザに知らせるために、アクセサリ装置400に音声アラート及び/又は視覚アラートを提供させることができる。任意選択的に、音声アラートは、聴覚装置20a、20bのどれが詰まったフィルタを有するかをユーザに示すこともできる。
【0092】
これに代えて、又は加えて、出力部16を介して提供される信号は、聴覚装置20に(例えば、無線で)送信されてもよく、これにより、聴覚装置20は、詰まったフィルタがあることを聴覚装置20のユーザに通知するための音声アラート(例えば、ビープ音、メッセージ等)を提供する。
【0093】
これに代えて、又は加えて、出力部16を介して提供される信号は、アクセサリ装置400からインターネット等のネットワークを介してサーバに送信されてもよい。サーバは、聴覚装置製造業者及び/又は聴覚専門家と(例えば、管理される、所有される、属するなどして)関連付けることができる。そのような場合、聴覚装置製造業者は、交換用フィルタをユーザ又は聴覚専門家に提供することができる。場合によっては、聴覚装置製造業者は、詰まったフィルタに関して聴覚専門家に通知することができ、その結果、聴覚専門家は、ユーザのためにフィルタを交換するように手配することができる。いくつかの実施形態では、聴覚装置製造業者は、聴覚専門家がフィルタを交換するための手配を行うことを助けることができる。
【0094】
これに代えて、又は加えて、出力部16を介して提供される信号は、インターネットなどのネットワークを介して、アクセサリ装置400から聴覚専門家装置に送信されてもよい。次いで、聴覚専門家装置は、聴覚専門家にアラートを提供する。次いで、聴覚専門家は、フィルタの交換を手配するために聴覚装置のユーザに連絡することができる。聴覚専門家はまた、聴覚装置製造業者に連絡して、交換用フィルタを注文することもできる。
【0095】
他の実施形態において、聴覚装置20の詰まったフィルタを検出するための電子装置10は、聴覚装置20の1つ又は複数の充電式バッテリを充電するために構成されるバッテリ充電器500内に実装されてもよい。
図5は、
図1の電子装置10を含むバッテリ充電器500の一例を示す。聴覚装置20のマイクロフォンからのマイクロフォン出力を処理するための充電器500内の電子装置10の動作は、電子装置10が聴覚装置20の代わりに充電器500内にあるので、電子装置10の入力部12が充電器500内の通信ユニット510を介して聴覚装置20からのマイクロフォン出力を受信することを除いて、
図2~
図3の実施形態を参照して説明したものと同じであってもよい。特に、いくつかの実施形態では、聴覚装置20のマイクロフォン22は、テスト音を検出し、マイクロフォン22は、対応するマイクロフォン出力を生成する。次いで、マイクロフォン出力に関する情報が、聴覚装置20から充電器500内の電子装置10に送信される。情報の送信は、無線で行われてもよい。あるいは、送信は、電気接点を介して実行されてもよい。例えば、充電器500は、充電接点(例えば、パッド)を含んでもよい。このような場合、充電接点自体、又は充電接点に隣接する別の電気接点を利用して、情報を聴覚装置20から充電器500内の装置10の入力部12に送信することができる。情報は、マイクロフォン出力自体であってもよいし、マイクロフォン出力の任意の特性に関する任意の情報であってもよい。充電器500の通信ユニット510は、マイクロフォン出力に関する情報を受信し、その情報を充電器500内の電子装置10の入力部12に渡す。次に、電子装置10の処理ユニット14は、情報を処理して、聴覚装置20のフィルタが詰まっているか否かを判定する。
【0096】
いくつかの実施形態では、テスト音発生器は、例えば、テスト音が、聴覚装置20aのレシーバもしくは小型スピーカ、聴覚装置20bのレシーバもしくは小型スピーカ、又はその両方によって生成されるように、聴覚装置内で提供されてもよい。そのような場合、充電器500内の電子装置10の処理ユニット14は、聴覚装置20a及び/又は聴覚装置20bにテスト音を出力させるための制御信号を生成するように構成されてもよい。他の実施形態では、バッテリ充電器500は、聴覚装置20aのマイクロフォン及び聴覚装置20bのマイクロフォンによる検出のためのテスト音を提供するためのスピーカ520を有してもよい。
【0097】
聴覚装置20a、20bのマイクロフォン出力の評価を行うためにバッテリ充電器500を使用することは、バッテリ充電器500がマイクロフォン出力の評価のための制御された環境を提供するので有利であることに留意されたい。特に、バッテリ充電器500は、充電領域(例えば、クレードル、スロット、開口部など)を有するため、聴覚装置20a、20bが充電領域に配置される場合、聴覚装置20a、20bのマイクロフォンは、テスト音源から特定の所定の距離にある。バッテリ充電器500がスピーカ520を有する場合、スピーカ520は、既知の(所定の)周波数及び/又は音量(dB)を有するトーンの形態のテスト音を提供するように構成されてもよい。他の実施形態において、バッテリ充電器500がスピーカを有さない場合、充電器500内の制御部が、聴覚装置20aのレシーバ、聴覚装置20bのレシーバ、又はその両方にテスト音を発生させるための信号を生成するように構成されてもよい。あるいは、聴覚装置20a及び/又は聴覚装置20bは、充電器500の存在及び/又は充電器500の電気接点との電気接続を検出するように構成されてもよい。このような検出に応答して、聴覚装置20aのレシーバ、聴覚装置20bのレシーバ、又はその両方は、その後、テスト音を生成する。
【0098】
いくつかの実施形態では、バッテリ充電器500のスピーカ520は、2つの聴覚装置20a、20bのための2つの充電領域の間に位置し、2つの聴覚装置20a、20bまでの距離は等しい。任意選択的に、充電領域及びスピーカ520は、聴覚装置20a、20bが充電領域に配置されたときに、スピーカ520から4つのマイクロフォン22a~22dまでの距離がすべて等しい距離になるように構成されてもよい。上記の特徴は、予期されるマイクロフォン出力が、音の方向によって変動しないようにするので、有利である。
【0099】
いくつかの実施態様において、バッテリ充電器500は、蓋500を備えたケーシングを有する。そのような場合、マイクロフォン出力の評価は、バッテリ充電器500が聴覚装置20a、20bの存在を感知することに応答して、及び/又は蓋500が閉じることに応答して実行されてもよい。バッテリ充電器500は、蓋580の状態(例えば、蓋580が開いているか閉じているかどうか)を感知するための1つ又は複数のセンサを含んでもよい。聴覚装置20a、20bのマイクロフォン出力の評価をバッテリ充電器500内部の密閉環境で行うことは、マイクロフォン出力の評価に外部ノイズが干渉するのを防止するため有利である。
【0100】
いくつかの実施形態では、バッテリ充電器500内の処理ユニット14が詰まったワックスフィルタを識別した後、処理ユニット14は、次いで、フィルタの詰まりを示すための信号を生成することができ、出力部16を介して信号を提供することができる。いくつかの実施形態では、生成された信号によって、充電器500のスピーカ520は、フィルタが詰まっていることを聴覚装置20a、20bのユーザに知らせる音声アラートを提供することができる。任意選択的に、音声アラートは、聴覚装置20a、20bのどれが詰まったフィルタを有するかをユーザに示すこともできる。これに代えて、又は加えて、バッテリ充電器500は、ディスプレイ画面を有していてもよく、ディスプレイ画面は、詰まったフィルタがあることをユーザに知らせ、及び/又は聴覚装置20a、20bのどれが詰まったフィルタを有するかをユーザに示すための視覚アラートを提供することができる。
【0101】
これに代えて、又は加えて、出力部16を介して提供される信号は、アクセサリ装置に(例えば、無線で)送信されてもよく、これによってアクセサリ装置は、詰まったフィルタが存在することを聴覚装置20a、20bのユーザに知らせるための音声アラート(例えば、ビープ音、メッセージ等)、及び/又は聴覚装置20a、20bのどれが詰まったフィルタを有するかをユーザに示すアラートを提供する。
【0102】
これに代えて、又は加えて、出力部16を介して提供される信号は、聴覚装置20に(例えば、無線で)送信されてもよく、これによって聴覚装置20は、聴覚装置20のユーザに詰まったフィルタがあることを知らせるために聴覚装置20によって(即ち、聴覚装置20がバッテリ充電器500から取り外され、ユーザの耳に配置された後に)提供される、将来の音声アラート(例えば、ビープ音、メッセージなど)をプログラムする。
【0103】
これに代えて、出力部16を介して提供される信号は、聴覚装置20に(例えば、無線で)送信されてもよく、これによって聴覚装置20は、聴覚装置20のユーザに詰まったフィルタがあることを知らせるために聴覚装置20によって(即ち、聴覚装置20がバッテリ充電器500から取り外され、ユーザの耳に配置された後に)提供される、将来の音声アラート(例えば、ビープ音、メッセージなど)をプログラムする。
【0104】
これに代えて、又は加えて、出力部16を介して提供される信号は、バッテリ充電器500からインターネットなどのネットワークを介してサーバに送信されてもよい。サーバは、聴覚装置製造業者と(例えば、聴覚装置製造業者に制御される、所有される、属するなどして)関連付けることができる。そのような場合、聴覚装置製造業者は、交換用フィルタをユーザ又は聴覚専門家に提供することができる。場合によっては、聴覚装置製造業者は、詰まったフィルタに関して聴覚専門家に通知することができ、その結果、聴覚専門家は、ユーザのためにフィルタを交換するように手配することができる。いくつかの実施形態では、聴覚装置製造業者は、聴覚専門家がフィルタを交換するための手配を行うことを助けることができる。いくつかの実施形態では、信号の受信に応答して、聴覚装置製造業者は、聴覚専門家又は聴覚装置20のユーザに交換用フィルタを送ることができる。
【0105】
これに代えて、又は加えて、出力部16を介して提供される信号は、バッテリ充電器500から、インターネットなどのネットワークを介して聴覚専門家装置に送信されてもよい。次いで、聴覚専門家装置は、聴覚専門家にアラートを提供する。次いで、聴覚専門家は、フィルタの交換を手配するために聴覚装置のユーザに連絡することができる。聴覚専門家はまた、聴覚装置製造業者に連絡して、交換用フィルタを注文することもできる。
【0106】
図4及び
図5の実施形態では、聴覚装置20は、詰まったフィルタを検出するように構成された電子装置10を含まない。従って、聴覚装置20からのマイクロフォン出力は、聴覚装置20から、詰まったフィルタを検出するための電子装置10を含む別の装置(例えば、アクセサリ装置400、バッテリ充電器500など)に送信される。
図6は、詰まったフィルタを検出するための電子装置10を含む別の装置にマイクロフォン出力を提供するように構成された聴覚装置20の一例を示している。
【0107】
聴覚装置20は、1つ又は複数のマイクロフォン22と、聴力損失補償ユニット322と、レシーバ330と、通信ユニット340と、ユーザ制御部350とを含む。聴力損失補償ユニット322は、プロセッサ、集積回路、アプリケーション、機能モジュールなどの処理ユニットとすることができる処理モジュール320の一部として実装することができる。マイクロフォン22は、聴覚装置20のユーザの外部の環境から音を受け取り、受け取った音に基づいてマイクロフォン信号を生成するように構成される。聴力損失補償ユニット322は、ユーザの聴力損失を補償するための信号処理を実行し、マイクロフォン22からのマイクロフォン信号に基づいて出力を生成するように構成される。レシーバ330は、聴力損失補償ユニット322からの出力に基づいて、ユーザの鼓膜が受け取るための音を生成するように構成されている。通信ユニット340は、ユーザの別の聴覚装置20、アクセサリ装置、サーバ、聴覚専門家装置などの1つ又は複数の装置と通信するように構成される。通信ユニット340は、1つ又は複数の無線通信ユニット及び/又は1つ又は複数のケーブルコネクタであってもよい。いくつかの実施形態では、通信ユニット340は、1つ又は複数のアンテナを含むことができる。ユーザ制御部350は、1つ又は複数のボタン、1つ又は複数のノブ、1つ又は複数のスイッチ、又は前述のものの任意の組み合わせであってもよい。ユーザ制御部350は、聴覚装置20のユーザが聴覚装置20の動作を制御することを可能にするように構成される。例えば、ユーザは、ユーザ制御部350を操作して、音量の調整、聴覚装置20の動作モードの変更、聴覚装置20の聴覚プログラムの変更、聴覚装置20の動作パラメータの変更などをすることができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、処理モジュール320は、マイクロフォンからマイクロフォン出力を取得し、マイクロフォン出力を処理するように構成される。非限定的な例として、マイクロフォン出力の処理は、フィルタリング、特徴抽出、フォーマット化、タイムスタンピング、分類、評価など、又はこれらの任意の組合せを含むことができる。処理モジュール320がマイクロフォン出力に関する情報を取得するためにマイクロフォン出力を処理した後、処理モジュール320は、情報の送信のために情報を通信ユニット340に渡す。他の実施形態では、マイクロフォン出力を処理するための処理モジュール320の少なくとも一部は、マイクロフォンに内蔵されてもよく、又はマイクロフォンと一体化されてもよい。そのような場合、マイクロフォンは、マイクロフォン出力に関する情報を通信ユニット340に(図中の破線によって表されるように)提供することができる。
【0109】
聴覚装置20は、外耳内型(ITC)補聴器、完全外耳内型(CIC)補聴器、外耳内型で見えにくい(IIC)補聴器、耳内レシーバ型(RITE)補聴器、外耳内レシーバ型(RIC)補聴器などの補聴器とすることができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、聴覚装置20a、20bのマイクロフォン出力の評価は、電子装置10によってリアルタイムで実行されてもよい。他の実施形態では、マイクロフォン出力に関する情報は、非一時的媒体に記憶されてもよく、情報は、詰まったフィルタが存在するかどうかを判定するために、後に処理されてもよい。例えば、聴覚装置20a、20bのマイクロフォン出力に関する情報は、データとして、聴覚装置20a、20bの一方又は両方の非一時的媒体、バッテリ充電器500の非一時的媒体、アクセサリ装置400(例えば、携帯電話)の非一時的媒体、サーバ又は記憶装置(例えば、クラウド記憶装置)、聴覚専門家装置などに記憶することができる。ある実施形態では、情報を受信するサーバ又は記憶装置は、聴覚装置製造業者のサーバ又は記憶装置であってもよい。
【0111】
図7は、聴覚装置のフィルタの詰まりを検出するための方法700を示す。方法700は電子装置10によって実行されてもよく、電子装置10はサーバであってもよいしサーバ(例えば、サーバ40)内に実装されてもよいし、アクセサリ装置であってもよいしアクセサリ装置(例えば、アクセサリ装置30)内に実装されてもよいし、聴覚装置であってもよいし聴覚装置(例えば、聴覚装置10)内に実装されてもよいし、前述のうちの2つ以上の組み合わせであってもよい。方法700は、第1の聴覚装置の第1のマイクロフォン出力に関する第1の情報と、第2のマイクロフォン出力に関する第2の情報とを取得する(項目702)ことを備える。方法700はまた、第1の聴覚装置の第1のマイクロフォン出力に関する第1の情報に少なくとも部分的に基づいて、及び第2のマイクロフォン出力に関する第2の情報に少なくとも部分的に基づいて、フィルタの詰まりを検出する(項目704)ことを備える。方法700は、フィルタの詰まりを示す信号を提供する(項目706)ことをさらに備える。
【0112】
聴覚装置20の詰まったフィルタを判断するための、本明細書に記載の装置、システム、及び方法のいくつかの実施形態は、詰まったフィルタを識別するために、ユーザが任意の特定のテストを実行することを必要としないため、有利である。代わりに、聴覚装置20のマイクロフォン出力は、聴覚装置20の通常の使用中(例えば、ユーザが聴覚装置20を装着している間、聴覚装置20がバッテリ充電器などに配置されている間)に監視され、監視されたマイクロフォン出力は、聴覚装置20のフィルタが詰まっているかどうかを判断するために利用される。従って、ユーザ70は、フィルタの詰まりの識別に役立つようにマイクロフォン出力が監視され評価されていることに気づきさえしないかもしれない。
【0113】
本明細書に記載された詰まったフィルタを判断する技術は、ユーザが詰まったフィルタを識別するのを支援し、その結果、ユーザは、自分の聴力損失が悪化したかどうかを誤って疑問に思うことがないため、有利である。さらに、本明細書に記載された装置、システム、及び方法は、聴覚専門家及び/又は聴覚装置製造業者が、聴覚装置20のユーザに交換用フィルタを適時かつ効果的に提供することを支援する。
【0114】
また、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の技術は、フィルタが完全に詰まる前に、聴覚装置20のフィルタの詰まりの検出を可能にすることができる。例えば、本明細書に記載の技術は、フィルタが少なくとも50%詰まったとき、少なくとも60%詰まったとき、少なくとも70%詰まったとき、少なくとも80%詰まったとき、少なくとも90%詰まったときなどに、フィルタの詰まりの検出を可能にすることができる。他の実施形態では、本明細書に記載の技術は、フィルタが完全に詰まったときにフィルタの詰まりを検出することを可能にすることができる。従って、本明細書で使用される場合、用語「詰まった」又は「詰まっている」などの他の類似の用語のいずれかは、完全に詰まっている又は詰まっていない可能性があるフィルタの状態、例えば、少なくとも50%詰まった状態、少なくとも60%詰まった状態、少なくとも70%詰まった状態、少なくとも80%詰まった状態、又は少なくとも90%詰まった状態を指す。
【0115】
上記実施形態では、電子装置10は、聴覚装置20のマイクロフォンフィルタの詰まりを検出するように構成されているものとして説明される。これに代えて、又は加えて、電子装置10は、聴覚装置20のレシーバフィルタの詰まりを検出するように構成されてもよい。一実施形態では、聴覚装置20のレシーバは、テスト音を生成するように構成されてもよい。テスト音は、聴覚装置20のマイクロフォンによって検出されるどの環境音にも基づいていない。代わりに、聴覚装置20のレシーバによって提供されるテスト音は、聴覚装置20内から生成されるか、又は聴覚装置20の外部の(聴覚装置20と通信している)別の装置によって生成され、聴覚装置20に送信される制御信号に基づく。いくつかの実施形態では、テスト音は、予め決定され、聴覚装置20又は聴覚装置20と通信している他の装置に記憶された楽曲であってもよい。他の実施形態では、テスト音は、音パラメータに基づいて生成された人工的に作られた音であってもよい。
【0116】
いくつかの実施形態では、詰まったレシーバフィルタの検出は、聴覚装置20がユーザによって装着されている間に、聴覚装置20によって実行されてもよい。使用中、ユーザは、レシーバをテストするためにテストが行われていることを知らされる。次に、レシーバは、テスト音を出力するように制御される。例えば、聴覚装置20内の処理ユニットは、テスト音を提供するための制御信号を生成することができる。あるいは、別の装置(例えば、携帯電話のようなアクセサリ装置)は、聴覚装置20に無線で送信される制御信号を生成してテスト音を提供してもよい。ユーザがテスト音を聞くことができない場合、レシーバのフィルタが詰まっていることを示し得る。いくつかの実施形態では、聴覚装置20はまた、ユーザの外耳道内の音を検出するための外耳道マイクロフォンを含んでもよい。そのような場合、外耳道マイクロフォンは、レシーバによって出力されたテスト音を検出することができる。外耳道マイクロフォンがテスト音を検出できない場合、又は検出されたテスト音がテスト音の予想される音量を所定のパーセンテージだけ下回る場合、レシーバフィルタが詰まっていると判断され得る。詰まったレシーバフィルタの判断は、電子装置10によって行うことができる。このような場合、電子装置10は、詰まったマイクロフォンフィルタと詰まったレシーバフィルタの両方を検出するように構成される。
【0117】
他の実施形態では、聴覚装置20は、ユーザから取り外されてもよく、詰まったレシーバフィルタがあるかどうかを判断するためのテスト環境に配置されてもよい。そのような場合、
図4のアクセサリ装置400のようなアクセサリ装置は、聴覚装置20のレシーバから一定の距離に配置されてもよい。次いで、アクセサリ装置は、制御信号を生成して、聴覚装置20のレシーバにテスト音を出力させる。次いで、アクセサリ装置のマイクロフォン(例えば、マイクロフォン430)が、テスト音の検出を試みてもよい。アクセサリ装置のマイクロフォンがテスト音を検出できない場合、又は検出されたテスト音がテスト音の予想される音量を一定のパーセンテージだけ下回る場合、聴覚装置20のレシーバフィルタが詰まっていると判定することができる。詰まったレシーバフィルタの判断は、本実施形態において、アクセサリ装置内の電子装置10によって行うことができる。
【0118】
さらなる実施形態では、聴覚装置20は、ユーザから取り外されてもよく、詰まったレシーバフィルタがあるかどうかを判定するために、バッテリ充電器500内に配置されてもよい。そのような場合、バッテリ充電器500は、制御信号を生成して、聴覚装置20のレシーバにテスト音を出力させてもよい。次いで、バッテリ充電器500のマイクロフォン(例えば、マイクロフォン530)は、テスト音の検出を試みてもよい。バッテリ充電器500のマイクロフォンがテスト音を検出できない場合、又は検出されたテスト音がテスト音の予想される音量を一定のパーセンテージだけ下回る場合、聴覚装置20のレシーバフィルタが詰まっていると判断することができる。詰まったレシーバフィルタの判断は、本実施形態において、バッテリ充電器500内の電子装置10によって行うことができる。
【0119】
いくつかの実施形態では、電子装置10は、聴覚装置20の詰まったマイクロフォンフィルタと詰まったレシーバフィルタの両方を識別するように構成されてもよい。詰まったレシーバフィルタを検出するために、電子装置10の入力部12は、(聴覚装置10のレシーバからの検出された出力音に対応する)レシーバ出力に関する情報を取得するように構成されてもよく、電子装置10の処理ユニット14は、レシーバ出力に関する情報を基準値と比較するように構成されてもよい。レシーバ出力に関する情報は、レシーバ出力自体、又はレシーバ出力の任意の特性(音量など)とすることができる。いくつかの実施形態では、基準値は、マイクロフォン出力の予想される音量レベルを表し、基準値は、電子装置10に関連する(例えば、電子装置10内の)非一時的媒体に記憶されてもよい。
【0120】
図8は、聴覚装置の詰まったフィルタを交換するためのワークフローの一例を示す。項目802に示すように、聴覚装置のマイクロフォンフィルタが詰まっている。聴覚装置のユーザは、聴覚装置の性能の低下に気付いていることもあれば、気付いていないこともある。ステップ804において、電子装置10は診断を実行し、マイクロフォンフィルタが詰まっていると判断する。診断結果は、記憶のためにサーバ装置(クラウドなど)に送信される場合がある。サーバ装置は、聴覚装置製造業者及び/又は聴覚専門家に関連付けられてもよい。項目806において、サーバ装置は聴覚専門家に通知し、聴覚専門家は、次に、詰まったフィルタを交換するために聴覚装置のユーザとの打合せを手配する。打合せの前に、サーバはフィルタ提供業者に交換用フィルタが必要であることを通知する。フィルタ提供業者は、ユーザとの打合せが行われる前に、交換用フィルタを聴覚専門家に発送する。従って、ユーザが聴覚専門家に会う時、詰まったフィルタを交換するための交換用フィルタが利用可能になる。なお、
図8のワークフローは一例に過ぎず、他の変形例も可能である。
【0121】
(専用の処理システム)
【0122】
図9は、本明細書で説明する1つ又は複数の電子装置を実装するための専用の処理システムを示す。例えば、処理システム1600は、アクセサリ装置400、バッテリ充電器500、サーバ、又は聴覚専門家装置を実装することができる。
【0123】
処理システム1600は、情報を通信するためのバス1602又は他の通信メカニズムと、情報を処理するためにバス1602と結合されたプロセッサ1604とを備える。プロセッサシステム1600はまた、情報とプロセッサ1604によって実行される命令を記憶するための、バス1602に結合されたランダムアクセスメモリ(RAM)又は他のダイナミック記憶装置などのメインメモリ1606を備える。メインメモリ1606はまた、プロセッサ1604によって実行される命令の実行中に、一時変数又は他の中間情報を記憶するために使用されてもよい。プロセッサシステム1600は、さらに、プロセッサ1604のための静的情報及び命令を記憶するために、バス1602に結合された読み出し専用メモリ(ROM)1608又は他の静的記憶装置を含む。磁気ディスク又は光ディスクなどのデータ記憶装置1610が提供され、情報及び命令を記憶するためにバス1602に結合される。
【0124】
プロセッサシステム1600は、ユーザに情報を表示するために、バス1602を介して、スクリーン又はフラットパネルなどのディスプレイ167に結合することができる。英数字及び他のキー、又はタッチスクリーンを含む入力装置1614は、情報及びコマンド選択をプロセッサ1604に通信するためにバス1602に結合される。別のタイプのユーザ入力装置は、プロセッサ1604に方向情報及びコマンド選択を通信し、ディスプレイ167上のカーソル移動を制御するための、マウス、トラックボール、又はカーソル方向キーなどのカーソル制御部1616である。この入力装置は、通常、2つの軸、第1軸(例えば、x)及び第2軸(例えば、y)に2つの自由度を有し、これにより、装置は平面内の位置を指定することができる。
【0125】
いくつかの実施形態では、プロセッサシステム1600は、本明細書で説明される様々な機能を実行するために使用されることができる。いくつかの実施形態によれば、そのような使用は、プロセッサ1604がメインメモリ1606に含まれる1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを実行することに応答して、プロセッサシステム1600によって提供される。当業者は、そのような命令を準備する方法を、本明細書で説明される機能及び方法に基づいて理解するであろう。このような命令は、記憶装置1610のような別のプロセッサ可読媒体からメインメモリ1606に読み込むができる。メインメモリ1606に含まれる命令のシーケンスを実行することにより、プロセッサ1604は、本明細書に記載の処理ステップを実行する。マルチプロセッシング構成の1つ又は複数のプロセッサを、メインメモリ1606に含まれる命令のシーケンスを実行するために使用することもできる。代替の実施形態では、本明細書で説明する様々な実施形態を実施するために、ソフトウェア命令の代わりに、又はソフトウェア命令と組み合わせて、ハードワイヤード回路を使用することができる。従って、実施形態は、ハードウェア回路及びソフトウェアのいかなる具体的な組合せにも限定されない。
【0126】
本明細書で使用される「プロセッサ可読媒体」という用語は、実行のためにプロセッサ1604に命令を提供することに関与する任意の媒体を指す。このような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、及び伝送媒体を含むが、これらに限定されない多くの形態をとることができる。不揮発性媒体には、例えば、記憶装置1610などの光ディスク又は磁気ディスクが含まれる。不揮発性媒体は、非一時的媒体の一例と考えることができる。揮発性媒体は、メインメモリ1606のようなダイナミックメモリを含む。揮発性媒体は、非一時的媒体の一例と考えることができる。伝送媒体は、同軸ケーブル、銅線及び光ファイバを含み、バス1602を構成するワイヤを含む。また、伝送媒体は、ラジオ波及び赤外線データ通信中に生成されるような音波又は光波の形をとることができる。
【0127】
プロセッサ可読媒体の一般的な形態には、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、又は任意の他の磁気媒体、CD-ROM、任意の他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有する任意の他の物理媒体、RAM、PROM、及びEPROM、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップ又はカートリッジ、後述する搬送波、又はプロセッサが読み取ることができる任意の他の媒体が含まれる。
【0128】
様々な形態のプロセッサ可読媒体が、実行のために1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスをプロセッサ1604に搬送することに関与してもよい。例えば、命令は、最初に、リモートコンピュータの磁気ディスク上で搬送されてもよい。リモートコンピュータは、命令を自身のダイナミックメモリにロードし、インターネットやローカルネットワークなどのネットワークを介して命令を送信することができる。処理システム1600に対してローカルな受信ユニットは、ネットワークからデータを受信し、バス1602上でデータを提供することができる。バス1602は、データをメインメモリ1606に搬送し、そこからプロセッサ1604が命令を検索して実行する。メインメモリ1606によって受信された命令は、プロセッサ1604による実行の前又は後のいずれかで、任意選択的に記憶装置1610に記憶され得る。
【0129】
処理システム1600は、バス1602に結合された通信インタフェース1618も備える。通信インタフェース1618は、ローカルネットワーク1622に接続されているネットワークリンク1620との双方向データ通信結合を提供する。例えば、通信インタフェース1618は、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)カード又はモデムであり、対応する種類の電話回線にデータ通信接続を提供することができる。別の例として、通信インタフェース1618は、互換性のあるローカルエリアネットワーク(LAN)へのデータ通信接続を提供するためのLANカードであってもよい。無線リンクを実装することも可能である。任意のそのような実装形態では、通信インタフェース1618は、様々な種類の情報を表すデータストリームを搬送する電気信号、電磁信号、又は光信号を送受信する。
【0130】
ネットワークリンク1620は、典型的には、1つ又は複数のネットワークを介して他の装置にデータ通信を提供する。例えば、ネットワークリンク1620は、ローカルネットワーク1622を介してホストコンピュータ1624又は機器1626への接続を提供することができる。ネットワークリンク1620を介して搬送されるデータストリームは、電気信号、電磁信号又は光信号を含んでもよい。種々のネットワークを通る信号、及び処理システム1600との間でデータを搬送し合う通信インタフェース1618を介するネットワークリンク1620上の信号は、情報を搬送する搬送波の例示的な形態である。処理システム1600は、ネットワーク、ネットワークリンク1620、及び通信インタフェース1618を介して、メッセージを送信し、プログラムコードを含むデータを受信することができる。
【0131】
「フィルタ」という用語は、マイクロフォンフィルタに限定されず、文脈に応じて、レシーバフィルタを含むことができることに留意されたい。また、本明細書で説明される実施形態は、マイクロフォン当たり1つのフィルタを有する聴覚装置に限定されず、聴覚装置が複数のマイクロフォンを有する場合、どのマイクロフォンもカバーするフィルタに適用してもよい。
【0132】
「検出する(detect)」(例えば、フィルタの詰まりを検出する)という用語、又は「検出する(detecting)」というような他の同様の用語は、判断する動作又は機能(例えば、アルゴリズム又はプロセスに基づいて結果又は条件を判断する)を含み、感知する動作又は機能に限定されるべきではないことに留意されたい。
【0133】
特定の特徴が示され、説明されてきたが、それらは、特許請求の範囲に記載された発明を限定することを意図しないことが理解され、特許請求の範囲に記載された発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正がなされ得ることが、当業者に明らかになるであろう。従って、明細書及び図面は限定的な意味ではなく、例示的な意味で見なされるべきである。特許請求の範囲に記載された発明は、全ての代替物、修正物、及び均等物を包含することが意図される。
【外国語明細書】