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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077521
(43)【公開日】2022-05-23
(54)【発明の名称】トラフグ属魚類の種又は雑種判別方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6827 20180101AFI20220516BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20220516BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20220516BHJP
   C12Q 1/6888 20180101ALI20220516BHJP
【FI】
C12Q1/6827 Z ZNA
C12Q1/686 Z
C12N15/11 Z
C12Q1/6888 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183511
(22)【出願日】2021-11-10
(31)【優先権主張番号】P 2020187755
(32)【優先日】2020-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、革新的技術開発・緊急展開事業(うち地域戦略プロジェクト)委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】501168814
【氏名又は名称】国立研究開発法人水産研究・教育機構
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 洋
(72)【発明者】
【氏名】柿岡 諒
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA13
4B063QA18
4B063QQ42
4B063QR32
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】
【課題】トラフグ属魚類の種又は雑種の判別方法の提供。
【解決手段】トラフグ属魚類の種又は雑種の判別方法であって、
試料由来の核DNAについて、トラフグ属魚類の種間で相違する少なくとも1つの一塩基多型(SNP)を検出すること、及び
検出したSNPの遺伝子型に基づいて前記試料が属するトラフグ属魚類の種又は雑種を判別すること、
を含む方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラフグ属魚類の種又は雑種の判別方法であって、
試料由来の核DNAについて、トラフグ属魚類の種間で相違する少なくとも1つの一塩基多型(SNP)を検出すること、及び
検出したSNPの遺伝子型に基づいて前記試料が属するトラフグ属魚類の種又は雑種を判別すること、
を含む方法。
【請求項2】
前記SNPが、配列番号1~33及び166~168で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNPである、請求項1記載の判別方法。
【請求項3】
前記SNPが、配列番号1~3で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、配列番号4~6で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、配列番号7~9で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、配列番号10~12で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、配列番号13~15及び166で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、配列番号16~18及び167で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、配列番号19~21で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、配列番号22~24で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、配列番号25~27及び168で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、配列番号28~30で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、及び配列番号31~33で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNPである、請求項1又は2記載の判別方法。
【請求項4】
前記検出したSNPの遺伝子型が下記表1の(ii)である場合に該試料の種が下記表1の(i)の種であると判別し、前記検出したSNPの遺伝子型が下記表1の(iii)である場合に該試料の種が下記表1の(i)以外のトラフグ属魚類の種であると判別し、前記検出したSNPの遺伝子型が下記表1の(iv)である場合に該試料の種が下記表1の(i)の種と(i)以外のトラフグ属魚類の種との雑種であると判別するものである、請求項2又は3記載の判別方法。
【表1】
【請求項5】
前記トラフグ属魚類の種が、アカメフグ、ゴマフグ、ヒガンフグ、コモンフグ、クサフグ、マフグ、ムシフグ、ナシフグ、シマフグ、ショウサイフグ、及びトラフグ又はカラスからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1~4のいずれか1項記載の判別方法。
【請求項6】
配列番号1~33及び166~168のいずれかで示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPを検出することができる、トラフグ属魚類の種又は雑種の判別用プローブ。
【請求項7】
配列番号1~33及び166~168のいずれかで示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPを含む領域を増幅することができる、トラフグ属魚類の種又は雑種の判別用プライマーセット。
【請求項8】
請求項6記載のプローブと請求項7記載のプライマーセットとを含む、トラフグ属魚類の種又は雑種の判別用キット。
【請求項9】
配列番号1~33及び166~168のいずれかで示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPを含む15~100塩基長の部分塩基配列からなるポリヌクレオチド又はその相補鎖を含む、トラフグ属魚類の種又は雑種の判別用マーカーであって、
配列番号1で示される塩基配列の151番目の塩基がT又はCであり、
配列番号2で示される塩基配列の151番目の塩基がC又はTであり、
配列番号3で示される塩基配列の151番目の塩基がA又はGであり、
配列番号4で示される塩基配列の151番目の塩基がA又はGであり、
配列番号5で示される塩基配列の151番目の塩基がT又はCであり、
配列番号6で示される塩基配列の151番目の塩基がT又はGであり、
配列番号7で示される塩基配列の151番目の塩基がG又はTであり、
配列番号8で示される塩基配列の151番目の塩基がA又はGであり、
配列番号9で示される塩基配列の151番目の塩基がT又はCであり、
配列番号10で示される塩基配列の151番目の塩基がA又はGであり、
配列番号11で示される塩基配列の151番目の塩基がG又はCであり、
配列番号12で示される塩基配列の151番目の塩基がA又はCであり、
配列番号13で示される塩基配列の151番目の塩基がC又はTであり、
配列番号14で示される塩基配列の151番目の塩基がC又はTであり、
配列番号15で示される塩基配列の151番目の塩基がA又はGであり、
配列番号16で示される塩基配列の151番目の塩基がG又はCであり、
配列番号17で示される塩基配列の151番目の塩基がT又はCであり、
配列番号18で示される塩基配列の151番目の塩基がG又はAであり、
配列番号19で示される塩基配列の151番目の塩基がA又はGであり、
配列番号20で示される塩基配列の151番目の塩基がC又はGであり、
配列番号21で示される塩基配列の151番目の塩基がA又はGであり、
配列番号22で示される塩基配列の151番目の塩基がT又はCであり、
配列番号23で示される塩基配列の151番目の塩基がC又はAであり、
配列番号24で示される塩基配列の151番目の塩基がG又はCであり、
配列番号25で示される塩基配列の151番目の塩基がA又はGであり、
配列番号26で示される塩基配列の151番目の塩基がA又はTであり、
配列番号27で示される塩基配列の151番目の塩基がC又はGであり、
配列番号28で示される塩基配列の151番目の塩基がT又はGであり、
配列番号29で示される塩基配列の151番目の塩基がC又はGであり、
配列番号30で示される塩基配列の151番目の塩基がT又はCであり、
配列番号31で示される塩基配列の151番目の塩基がA又はTであり、
配列番号32で示される塩基配列の151番目の塩基がA又はGであり、
配列番号33で示される塩基配列の151番目の塩基がG又はAであり、
配列番号166で示される塩基配列の151番目の塩基がC又はTであり、
配列番号167で示される塩基配列の151番目の塩基がG又はTであり、
配列番号168で示される塩基配列の151番目の塩基がA又はTである、
トラフグ属魚類の種又は雑種の判別用マーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラフグ属魚類の種又は雑種判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トラフグ属魚類は、食品衛生法に基づき、可食種及び可食部位が定められており、また種類不明フグは確実に排除することと定められている。しかしながら、トラフグ属魚類には、種内変異や種間の交雑により生じた雑種がしばしばみられ、それらは外見から種又は雑種を判別することが困難な場合が多い。さらに、フグの喫食を原因とする食中毒の原因種又は雑種を判別する場合には、外見に依らず、食べ残しや嘔吐物等から種又は雑種を判別する必要がある。
【0003】
トラフグ属魚類の種判別技術としては、これまでに、ミトコンドリアDNA(mtDNA)の塩基配列情報を利用した種判別方法が報告されている(非特許文献1及び2)。しかしながら、mtDNAは母性遺伝し、雑種は母親種のmtDNAしか持たないことから、雑種が判別できないという問題があった。さらに、トラフグ属魚類種間には、進化の過程で交雑を介したmtDNAの異種間浸透現象が起きているため、mtDNAに基づく判別方法では一定の確率で誤判別が生じるという問題があった。
【0004】
また、両性遺伝する核DNAの多型情報を利用したトラフグ属魚類の種又は雑種判別方法も報告されている(非特許文献3及び4)。該方法は、増幅断片長多型(Amplified Fragment Length Polymorphism:AFLP)法を利用した手法であるが、実験手順が煩雑で分析に時間がかかるという問題があった。また、AFLP法は、ゲノムDNAを制限酵素で切断した断片に特定のアダプターを付加し、これらをPCR法により増幅するための鋳型とし、3'末端に任意の塩基を付加したプライマーを用いて増幅することで塩基配列の多型情報を得る方法であり、用いるゲノムDNAが予め断片化していると実験の再現性が低くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Hsieh, Y.W. et al. "Identification of toxin and fish species in cooked fish liver implicated in food poisoning" Journal of Food Science, 67(3), 948-952, 2002
【非特許文献2】吹屋貞子、數田行雄、「PCR-RFLP法およびPCR-SSCP法によるフグ種の鑑別」、山口県環境保健センター所報、第53号、49-51、平成22年
【非特許文献3】Takahashi, H. et al. "Asymmetric hybridization and introgression between sibling species of the pufferfish Takifugu that have undergone explosive speciation" Marine Biology, 164(4), 90, 2017
【非特許文献4】Tatsuno, R. et al. "Tetrodotoxin distribution in natural hybrids between the pufferfish species Takifugu rubripes and Takifugu porphyreus" Fisheries Science, 85(1), 247-245, 2019
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、トラフグ属魚類の種又は雑種を正確、簡便、かつ迅速に判別する方法を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために種々検討した結果、トラフグ属魚類の核DNA上に種特異的な一塩基多型(Single Nucleotide Polymorphism:SNP)を複数見出した。また、本発明者らは、該SNPを指標として用いることで、トラフグ魚類の種又は雑種を高い精度で、簡便、迅速に判別できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、次の〔1〕~〔9〕を提供するものである。
〔1〕トラフグ属魚類の種又は雑種の判別方法であって、
試料由来の核DNAについて、トラフグ属魚類の種間で相違する少なくとも1つの一塩基多型(SNP)を検出すること、及び
検出したSNPの遺伝子型に基づいて前記試料が属するトラフグ属魚類の種又は雑種を判別すること、
を含む方法。
〔2〕前記SNPが、配列番号1~33及び166~168で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNPである、〔1〕の判別方法。
〔3〕前記SNPが、配列番号1~3で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、配列番号4~6で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、配列番号7~9で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、配列番号10~12で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、配列番号13~15及び166で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、配列番号16~18及び167で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、配列番号19~21で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、配列番号22~24で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、配列番号25~27及び168で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、配列番号28~30で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、及び配列番号31~33で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNPである、〔1〕又は〔2〕の判別方法。
〔4〕前記検出したSNPの遺伝子型が下記表1の(ii)である場合に該試料の種が下記表1の(i)の種であると判別し、前記検出したSNPの遺伝子型が下記表1の(iii)である場合に該試料の種が下記表1の(i)以外のトラフグ属魚類の種であると判別し、前記検出したSNPの遺伝子型が下記表1の(iv)である場合に該試料の種が下記表1の(i)の種と(i)以外のトラフグ属魚類の種との雑種であると判別するものである、〔2〕又は〔3〕の判別方法。
【0009】
【表1】
【0010】
〔5〕前記トラフグ属魚類の種が、アカメフグ、ゴマフグ、ヒガンフグ、コモンフグ、クサフグ、マフグ、ムシフグ、ナシフグ、シマフグ、ショウサイフグ、及びトラフグ又はカラスからなる群より選択される少なくとも1種である、〔1〕~〔4〕のいずれかの判別方法。
〔6〕配列番号1~33及び166~168のいずれかで示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPを検出することができる、トラフグ属魚類の種又は雑種の判別用プローブ。
〔7〕配列番号1~33及び166~168のいずれかで示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPを含む領域を増幅することができる、トラフグ属魚類の種又は雑種の判別用プライマーセット。
〔8〕〔6〕のプローブと〔7〕のプライマーセットとを含む、トラフグ属魚類の種又は雑種の判別用キット。
〔9〕配列番号1~33及び166~168のいずれかで示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPを含む15~100塩基長の部分塩基配列からなるポリヌクレオチド又はその相補鎖を含む、トラフグ属魚類の種又は雑種の判別用マーカーであって、
配列番号1で示される塩基配列の151番目の塩基がT又はCであり、
配列番号2で示される塩基配列の151番目の塩基がC又はTであり、
配列番号3で示される塩基配列の151番目の塩基がA又はGであり、
配列番号4で示される塩基配列の151番目の塩基がA又はGであり、
配列番号5で示される塩基配列の151番目の塩基がT又はCであり、
配列番号6で示される塩基配列の151番目の塩基がT又はGであり、
配列番号7で示される塩基配列の151番目の塩基がG又はTであり、
配列番号8で示される塩基配列の151番目の塩基がA又はGであり、
配列番号9で示される塩基配列の151番目の塩基がT又はCであり、
配列番号10で示される塩基配列の151番目の塩基がA又はGであり、
配列番号11で示される塩基配列の151番目の塩基がG又はCであり、
配列番号12で示される塩基配列の151番目の塩基がA又はCであり、
配列番号13で示される塩基配列の151番目の塩基がC又はTであり、
配列番号14で示される塩基配列の151番目の塩基がC又はTであり、
配列番号15で示される塩基配列の151番目の塩基がA又はGであり、
配列番号16で示される塩基配列の151番目の塩基がG又はCであり、
配列番号17で示される塩基配列の151番目の塩基がT又はCであり、
配列番号18で示される塩基配列の151番目の塩基がG又はAであり、
配列番号19で示される塩基配列の151番目の塩基がA又はGであり、
配列番号20で示される塩基配列の151番目の塩基がC又はGであり、
配列番号21で示される塩基配列の151番目の塩基がA又はGであり、
配列番号22で示される塩基配列の151番目の塩基がT又はCであり、
配列番号23で示される塩基配列の151番目の塩基がC又はAであり、
配列番号24で示される塩基配列の151番目の塩基がG又はCであり、
配列番号25で示される塩基配列の151番目の塩基がA又はGであり、
配列番号26で示される塩基配列の151番目の塩基がA又はTであり、
配列番号27で示される塩基配列の151番目の塩基がC又はGであり、
配列番号28で示される塩基配列の151番目の塩基がT又はGであり、
配列番号29で示される塩基配列の151番目の塩基がC又はGであり、
配列番号30で示される塩基配列の151番目の塩基がT又はCであり、
配列番号31で示される塩基配列の151番目の塩基がA又はTであり、
配列番号32で示される塩基配列の151番目の塩基がA又はGであり、
配列番号33で示される塩基配列の151番目の塩基がG又はAであり、
配列番号166で示される塩基配列の151番目の塩基がC又はTであり、
配列番号167で示される塩基配列の151番目の塩基がG又はTであり、
配列番号168で示される塩基配列の151番目の塩基がA又はTである、
トラフグ属魚類の種又は雑種の判別用マーカー。
【発明の効果】
【0011】
本発明の方法によれば、トラフグ属魚類の種又は雑種を、外見に依らず、高い精度で、簡便、迅速に判別することができる。かかる判別に利用するSNPは、トラフグ属魚類の種又は雑種を判別するための指標として有用である。また、本発明は、該SNPを検出してトラフグ属魚類の種又は雑種を判別するためのプローブ、プライマーセット及びキットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ゴマフグ、ショウサイフグ、及びそれらの間の雑種より採取した試料由来の核DNAについて、配列番号4で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型を検出した結果を示す図である。
図2】ゴマフグ、ショウサイフグ、及びそれらの間の雑種より採取した試料由来の核DNAについて、配列番号5で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型を検出した結果を示す図である。
図3】ゴマフグ、ショウサイフグ、及びそれらの間の雑種より採取した試料由来の核DNAについて、配列番号6で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型を検出した結果を示す図である。
図4】ゴマフグ、ショウサイフグ、及びそれらの間の雑種より採取した試料由来の核DNAについて、配列番号28で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型を検出した結果を示す図である。
図5】ゴマフグ、ショウサイフグ、及びそれらの間の雑種より採取した試料由来の核DNAについて、配列番号29で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型を検出した結果を示す図である。
図6】ゴマフグ、ショウサイフグ、及びそれらの間の雑種より採取した試料由来の核DNAについて、配列番号30で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型を検出した結果を示す図である。
図7】トラフグ属魚類11種より採取した試料由来の核DNAについて、配列番号1で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型を検出した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書における塩基配列(ヌクレオチド配列)、核酸などの略号による表示は、IUPAC-IUB規定(IUPAC-IUB communication on Biological Nomenclature, Eur. J. Biochem., 138:9-37, 1984)、「塩基配列又はアミノ酸配列を含む明細書等の作製のためのガイドライン」(特許庁編)などの、当該分野で慣用される記号で記載されている。本明細書において「デオキシリボ核酸(DNA)」は、2本鎖DNAのみならず、それを構成するセンス鎖及びアンチセンス鎖という各1本鎖DNAを包含する。
【0014】
本明細書において、「ヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」は、核酸と同義であって、DNA及びRNAの両方を含むものとする。当該DNAには、cDNA、ゲノムDNA及び合成DNAのいずれもが含まれる。また当該RNAには、total RNA、mRNA、rRNA及び合成のRNAのいずれもが含まれる。また、「ヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」は2本鎖であっても1本鎖であってもよく、ある配列を有する「ヌクレオチド」(又は「オリゴヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド」)といった場合、特に言及しない限り、これに相補的な配列を有する「ヌクレオチド」(又は「オリゴヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド」)も包括的に意味するものとする。
【0015】
本明細書において、塩基配列上の「相当する位置」は、目的配列と参照配列(例えば、配列番号1~33及び166~168で示される塩基配列)とを、最大の相同性を与えるように整列(アラインメント)させることにより決定することができる。塩基配列のアラインメントは、公知のアルゴリズムを用いて実行することができ、その手順は当業者に公知である。例えば、アラインメントは、Clustal Wマルチプルアラインメントプログラム(Thompson,J.D.et al,1994,Nucleic Acids Res.22:4673-4680)をデフォルト設定で用いることにより、行うことができる。あるいは、Clustal Wの改訂版であるClustal W2やClustal omegaを使用することもできる。Clustal W、Clustal W2及びClustal omegaは、例えば、欧州バイオインフォマティクス研究所(European Bioinformatics Institute:EBI[www.ebi.ac.uk/index.html])や、国立遺伝学研究所が運営する日本DNAデータバンク(DDBJ[www.ddbj.nig.ac.jp/searches-j.html])のウェブサイト上で利用することができる。上述のアラインメントにより参照配列の任意の位置にアラインされた目的配列の位置は、当該任意の位置に「相当する位置」とみなされる。
【0016】
本明細書において「一塩基多型(Single Nucleotide Polymorphism:SNP)」とは、個体間でゲノムDNA塩基配列上の特定部位の塩基配列が異なり、その頻度が集団の1%以上であるDNA多型のうち、特に、1個の塩基が他の塩基に置換されたことによる多型を意味する。以下、SNPの遺伝子型を対立遺伝子1、対立遺伝子2の順に表すことがある。例えば、AAのように両対立遺伝子が同じ場合、遺伝子型はホモ接合型であり、ATのように両対立遺伝子が異なる場合、遺伝子型はヘテロ接合型である。本明細書において「SNP」は、対立遺伝子1、対立遺伝子2及びそれらの相補鎖のいずれをも含むものである。
【0017】
本明細書において「トラフグ属魚類」は、フグ目フグ科トラフグ属(Takifugu)に属する魚類をさす。「トラフグ属魚類に属する種」としては、特に限定されないが、好ましくは、標準和名アカメフグ(Takifugu chrysops)、ゴマフグ(Takifugu stictonotus)、ヒガンフグ(Takifugu pardalis)、コモンフグ(Takifugu flavipterus)、クサフグ(Takifugu alboplumbeus)、マフグ(Takifugu porphyreus)、ムシフグ(Takifugu exascurus)、ナシフグ(Takifugu vermicularis)、シマフグ(Takifugu xanthopterus)、ショウサイフグ(Takifugu snyderi)、トラフグ(Takifugu rubripes)、カラス(Takifugu chinensis)等が挙げられる。このうち、トラフグとカラスは遺伝的な区別が難しい非常に近縁な種とされており、本発明においては両者を区別しない。
本明細書において「雑種」とは、ある種と別のある種の交雑の結果生じた個体を意味する。ここで、種とは、上記のトラフグ属魚類に属する種をさす。
【0018】
本発明のトラフグ属魚類の種又は雑種の判別方法は、試料由来の核DNAについて、トラフグ属魚類の種間で相違する少なくとも1つのSNPを検出すること、及び検出したSNPの遺伝子型に基づいて該試料が属するトラフグ属魚類の種又は雑種を判別すること、を含む。
【0019】
本発明で用いる試料としては、例えば、鰭(尾鰭、背鰭、胸鰭、腹鰭、尻鰭)、血液、筋肉、内臓(胃、心臓、腎臓、肝臓、卵巣、精巣等)等のトラフグ属魚類より採取された生体試料が挙げられる。試料の別の例としては、トラフグ属魚類を用いた食品、食品残渣、嘔吐物等のトラフグ属魚類の一部が含まれている可能性のある試料が挙げられる。試料からの核DNAの抽出は、公知の方法を用いて行うことができる。核DNAの抽出法としては、例えば、フェノール法、CTAB法、アルカリSDS法等が挙げられる。核DNAは、粗抽出物をそのまま使用してもよいし、必要に応じて、公知の方法により精製してもよい。核DNA抽出のための試薬やキットは市販されており、これを用いてもよい。
【0020】
本発明において、「SNPの検出」とは、SNP部位の遺伝子型を検出すること、いわゆるSNPタイピングを意味する。本発明のトラフグ属魚類の種間で相違する少なくとも1つのSNPは、好ましくは、配列番号1~33及び166~168で示される塩基配列の151番目の塩基の位置における計36個のSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNPである。ここで、配列番号1~33及び166~168で示される塩基配列は、それぞれ、NCBIデータベースのトラフグゲノムアセンブリ(FUGU5、https://www.ncbi.nlm.nih.gov/assembly/GCF_000180615.1/)における部分塩基配列である。よって、各SNPは、トラフグでは、後述する染色体番号又はスキャフォルド番号の所定の塩基の位置に存在し、トラフグ以外のトラフグ属魚類の種又は雑種では、該染色体番号又はスキャフォルド番号の所定の塩基の位置又はそれに相当する塩基の位置に存在する。なお、「スキャフォルド」とは、ゲノム解析により得られた多数の断片的な配列を用いてゲノム配列を構築した結果まとめられた配列のことをさす。
【0021】
配列番号1で示される塩基配列は、FUGU5の2番染色体の7,007,985~7,008,285位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(7,008,135位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、アカメフグではTTであり、アカメフグ以外のトラフグ属魚類の種ではCCであり、アカメフグとアカメフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではTCである。よって、該SNPは、遺伝子型がTTの場合に試料がアカメフグ由来の試料であり、遺伝子型がCCの場合に試料がアカメフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がTCの場合に試料がアカメフグとアカメフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
【0022】
配列番号2で示される塩基配列は、FUGU5の17番染色体の9,295,032~9,295,332位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(9,295,182位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、アカメフグではCCであり、アカメフグ以外のトラフグ属魚類の種ではTTであり、アカメフグとアカメフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではCTである。よって、該SNPは、遺伝子型がCCの場合に試料がアカメフグ由来の試料であり、遺伝子型がTTの場合に試料がアカメフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がCTの場合に試料がアカメフグとアカメフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
なお、配列番号2で示される塩基配列の132番目の塩基の位置には、FUGU5に対してトラフグ又はトラフグ以外のトラフグ属魚類の種で種特異的ではない多型が存在する。
【0023】
配列番号3で示される塩基配列は、FUGU5のスキャフォルド269番の95,305~95,605位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(95,455位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、アカメフグではAAであり、アカメフグ以外のトラフグ属魚類の種ではGGであり、アカメフグとアカメフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではAGである。よって、該SNPは、遺伝子型がAAの場合に試料がアカメフグ由来の試料であり、遺伝子型がGGの場合に試料がアカメフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がAGの場合に試料がアカメフグとアカメフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
【0024】
配列番号4で示される塩基配列は、FUGU5の2番染色体の5,580,494~5、580、794位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(5,580,644位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、ゴマフグではAAであり、ゴマフグ以外のトラフグ属魚類の種ではGGであり、ゴマフグとゴマフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではAGである。よって、該SNPは、遺伝子型がAAの場合に試料がゴマフグ由来の試料であり、遺伝子型がGGの場合に試料がゴマフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がAGの場合に試料がゴマフグとゴマフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
【0025】
配列番号5で示される塩基配列は、FUGU5の7番染色体の4,651,817~4,652,117位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(4,651,967位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、ゴマフグではTTであり、ゴマフグ以外のトラフグ属魚類の種ではCCであり、ゴマフグとゴマフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではTCである。よって、該SNPは、遺伝子型がTTの場合に試料がゴマフグ由来の試料であり、遺伝子型がCCの場合に試料がゴマフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がTCの場合に試料がゴマフグとゴマフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
【0026】
配列番号6で示される塩基配列は、FUGU5のスキャフォルド305番の145,328~145,628位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(145,478位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、ゴマフグではTTであり、ゴマフグ以外のトラフグ属魚類の種ではGGであり、ゴマフグとゴマフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではTGである。よって、該SNPは、遺伝子型がTTの場合に試料がゴマフグ由来の試料であり、遺伝子型がGGの場合に試料がゴマフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がTGの場合に試料がゴマフグとゴマフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
【0027】
配列番号7で示される塩基配列は、FUGU5の8番染色体の1,532,717~1,533,017位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(1,532,867位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、ヒガンフグではGGであり、ヒガンフグ以外のトラフグ属魚類の種ではTTであり、ヒガンフグとヒガンフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではGTである。よって、該SNPは、遺伝子型がGGの場合に試料がヒガンフグ由来の試料であり、遺伝子型がTTの場合に試料がヒガンフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がGTの場合に試料がヒガンフグとヒガンフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
【0028】
配列番号8で示される塩基配列は、FUGU5の14番染色体の6,067,356~6,067,656位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(6,067,506位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、ヒガンフグではAAであり、ヒガンフグ以外のトラフグ属魚類の種ではGGであり、ヒガンフグとヒガンフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではAGである。よって、該SNPは、遺伝子型がAAの場合に試料がヒガンフグ由来の試料であり、遺伝子型がGGの場合に試料がヒガンフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がAGの場合に試料がヒガンフグとヒガンフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
【0029】
配列番号9で示される塩基配列は、FUGU5の20番染色体の3,365,155~3,365,455位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(3,365,305位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、ヒガンフグではTTであり、ヒガンフグ以外のトラフグ属魚類の種ではCCであり、ヒガンフグとヒガンフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではTCである。よって、該SNPは、遺伝子型がTTの場合に試料がヒガンフグ由来の試料であり、遺伝子型がCCの場合に試料がヒガンフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がTCの場合に試料がヒガンフグとヒガンフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
【0030】
配列番号10で示される塩基配列は、FUGU5の7番染色体の3,263,777~3,264,077位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(3,263,927位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、コモンフグではAAであり、コモンフグ以外のトラフグ属魚類の種ではGGであり、コモンフグとコモンフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではAGである。よって、該SNPは、遺伝子型がAAの場合に試料がコモンフグ由来の試料であり、遺伝子型がGGの場合に試料がコモンフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がAGの場合に試料がコモンフグとコモンフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
なお、配列番号10で示される塩基配列の110、171、及び203番目の塩基の位置には、FUGU5に対してトラフグ又はトラフグ以外のトラフグ属魚類の種で種特異的ではない多型が存在する。
【0031】
配列番号11で示される塩基配列は、FUGU5の10番染色体の1,940,951~1,941,251位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(1,941,101位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、コモンフグではGGであり、コモンフグ以外のトラフグ属魚類の種ではCCであり、コモンフグとコモンフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではGCである。よって、該SNPは、遺伝子型がGGの場合に試料がコモンフグ由来の試料であり、遺伝子型がCCの場合に試料がコモンフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がGCの場合に試料がコモンフグとコモンフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
なお、配列番号11で示される塩基配列の136及び182番目の塩基の位置には、FUGU5に対してトラフグ又はトラフグ以外のトラフグ属魚類の種で種特異的ではない多型が存在する。
【0032】
配列番号12で示される塩基配列は、FUGU5のスキャフォルド334番の115,922~116,222位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(116,072位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、コモンフグではAAであり、コモンフグ以外のトラフグ属魚類の種ではCCであり、コモンフグとコモンフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではACである。よって、該SNPは、遺伝子型がAAの場合に試料がコモンフグ由来の試料であり、遺伝子型がCCの場合に試料がコモンフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がACの場合に試料がコモンフグとコモンフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
なお、配列番号12で示される塩基配列の117及び136番目の塩基の位置には、FUGU5に対してトラフグ又はトラフグ以外のトラフグ属魚類の種で種特異的ではない多型が存在する。
【0033】
配列番号13で示される塩基配列は、FUGU5の3番染色体の6,074,995~6,075,295位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(6,075,145位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、クサフグではCCであり、クサフグ以外のトラフグ属魚類の種ではTTであり、クサフグとクサフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではCTである。よって、該SNPは、遺伝子型がCCの場合に試料がクサフグ由来の試料であり、遺伝子型がTTの場合に試料がクサフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がCTの場合に試料がクサフグとクサフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
なお、配列番号13で示される塩基配列の169番目の塩基の位置には、FUGU5に対してトラフグ又はトラフグ以外のトラフグ属魚類の種で種特異的ではない多型が存在する。
【0034】
配列番号14で示される塩基配列は、FUGU5の10番染色体の5,447,010~5,447,310位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(5,447,160位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、クサフグではCCであり、クサフグ以外のトラフグ属魚類の種ではTTであり、クサフグとクサフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではCTである。よって、該SNPは、遺伝子型がCCの場合に試料がクサフグ由来の試料であり、遺伝子型がTTの場合に試料がクサフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がCTの場合に試料がクサフグとクサフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
【0035】
配列番号15で示される塩基配列は、FUGU5の20番染色体の5,146,443~5,146,743位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(5,146,593位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、クサフグではAAであり、クサフグ以外のトラフグ属魚類の種ではGGであり、クサフグとクサフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではAGである。よって、該SNPは、遺伝子型がAAの場合に試料がクサフグ由来の試料であり、遺伝子型がGGの場合に試料がクサフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がAGの場合に試料がクサフグとクサフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
なお、配列番号15で示される塩基配列の134番目の塩基の位置には、FUGU5に対してトラフグ又はトラフグ以外のトラフグ属魚類の種で種特異的ではない多型が存在する。
【0036】
配列番号16で示される塩基配列は、FUGU5の9番染色体の6,199,440~6,199,740位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(6,199,590位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、マフグではGGであり、マフグ以外のトラフグ属魚類の種ではCCであり、マフグとマフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではGCである。よって、該SNPは、遺伝子型がGGの場合に試料がマフグ由来の試料であり、遺伝子型がCCの場合に試料がマフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がGCの場合に試料がマフグとマフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
なお、配列番号16で示される塩基配列の160及び184番目の塩基の位置には、FUGU5に対してトラフグ又はトラフグ以外のトラフグ属魚類の種で種特異的ではない多型が存在する。
【0037】
配列番号17で示される塩基配列は、FUGU5の18番染色体の229,760~230,060位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(229,910位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、マフグではTTであり、マフグ以外のトラフグ属魚類の種ではCCであり、マフグとマフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではTCである。よって、該SNPは、遺伝子型がTTの場合に試料がマフグ由来の試料であり、遺伝子型がCCの場合に試料がマフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がTCの場合に試料がマフグとマフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
【0038】
配列番号18で示される塩基配列は、FUGU5の21番染色体の9,633,325~9,633,625位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(9,633,475位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、マフグではGGであり、マフグ以外のトラフグ属魚類の種ではAAであり、マフグとマフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではGAである。よって、該SNPは、遺伝子型がGGの場合に試料がマフグ由来の試料であり、遺伝子型がAAの場合に試料がマフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がGAの場合に試料がマフグとマフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
なお、配列番号18で示される塩基配列の128番目の塩基の位置には、FUGU5に対してトラフグ又はトラフグ以外のトラフグ属魚類の種で種特異的ではない多型が存在する。
【0039】
配列番号19で示される塩基配列は、FUGU5の4番染色体の4,108,937~4,109,237位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(4,109,087位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、ムシフグではAAであり、ムシフグ以外のトラフグ属魚類の種ではGGであり、ムシフグとムシフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではAGである。よって、該SNPは、遺伝子型がAAの場合に試料がムシフグ由来の試料であり、遺伝子型がGGの場合に試料がムシフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がAGの場合に試料がムシフグとムシフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
【0040】
配列番号20で示される塩基配列は、FUGU5の10番染色体の3,271,371~3,271,671位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(3,271,521位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、ムシフグではCCであり、ムシフグ以外のトラフグ属魚類の種ではGGであり、ムシフグとムシフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではCGである。よって、該SNPは、遺伝子型がCCの場合に試料がムシフグ由来の試料であり、遺伝子型がGGの場合に試料がムシフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がCGの場合に試料がムシフグとムシフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
なお、配列番号20で示される塩基配列の121、131、133、172及び176番目の塩基の位置には、FUGU5に対してトラフグ又はトラフグ以外のトラフグ属魚類の種で種特異的ではない多型が存在する。
【0041】
配列番号21で示される塩基配列は、FUGU5のスキャフォルド305番の145,534~145,834位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(145,684位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、ムシフグではAAであり、ムシフグ以外のトラフグ属魚類の種ではGGであり、ムシフグとムシフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではAGである。よって、該SNPは、遺伝子型がAAの場合に試料がムシフグ由来の試料であり、遺伝子型がGGの場合に試料がムシフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がAGの場合に試料がムシフグとムシフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
なお、配列番号21で示される塩基配列の127、143及び191番目の塩基の位置には、FUGU5に対してトラフグ又はトラフグ以外のトラフグ属魚類の種で種特異的ではない多型が存在する。
【0042】
配列番号22で示される塩基配列は、FUGU5の12番染色体の143,948~144,248位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(144,098位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、ナシフグではTTであり、ナシフグ以外のトラフグ属魚類の種ではCCであり、ナシフグとナシフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではTCである。よって、該SNPは、遺伝子型がTTの場合に試料がナシフグ由来の試料であり、遺伝子型がCCの場合に試料がナシフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がTCの場合に試料がナシフグとナシフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
なお、配列番号22で示される塩基配列の145、163及び176番目の塩基の位置には、FUGU5に対してトラフグ又はトラフグ以外のトラフグ属魚類の種で種特異的ではない多型が存在する。
【0043】
配列番号23で示される塩基配列は、FUGU5の13番染色体の14,860,695~14,860,995位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(14,860,845位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、ナシフグではCCであり、ナシフグ以外のトラフグ属魚類の種ではAAであり、ナシフグとナシフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではCAである。よって、該SNPは、遺伝子型がCCの場合に試料がナシフグ由来の試料であり、遺伝子型がAAの場合に試料がナシフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がCAの場合に試料がナシフグとナシフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
なお、配列番号23で示される塩基配列の175番目の塩基の位置には、FUGU5に対してトラフグ又はトラフグ以外のトラフグ属魚類の種で種特異的ではない多型が存在する。
【0044】
配列番号24で示される塩基配列は、FUGU5の18番染色体の1,390,678~1,390,978位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(1,390,828位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、ナシフグではGGであり、ナシフグ以外のトラフグ属魚類の種ではCCであり、ナシフグとナシフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではGCである。よって、該SNPは、遺伝子型がGGの場合に試料がナシフグ由来の試料であり、遺伝子型がCCの場合に試料がナシフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がGCの場合に試料がナシフグとナシフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
なお、配列番号24で示される塩基配列の158、160、162、169及び172番目の塩基の位置には、FUGU5に対してトラフグ又はトラフグ以外のトラフグ属魚類の種で種特異的ではない多型が存在する。
【0045】
配列番号25で示される塩基配列は、FUGU5の1番染色体の11,361,343~11,361,643位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(11,361,493位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、シマフグではAAであり、シマフグ以外のトラフグ属魚類の種ではGGであり、シマフグとシマフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではAGである。よって、該SNPは、遺伝子型がAAの場合に試料がシマフグ由来の試料であり、遺伝子型がGGの場合に試料がシマフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がAGの場合に試料がシマフグとシマフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
なお、配列番号25で示される塩基配列の146番目の塩基の位置には、FUGU5に対してトラフグ又はトラフグ以外のトラフグ属魚類の種で種特異的ではない多型が存在する。
【0046】
配列番号26で示される塩基配列は、FUGU5の2番染色体の7,074,989~7,075,289位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(7,075,139位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、シマフグではAAであり、シマフグ以外のトラフグ属魚類の種ではTTであり、シマフグとシマフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではATである。よって、該SNPは、遺伝子型がAAの場合に試料がシマフグ由来の試料であり、遺伝子型がTTの場合に試料がシマフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がATの場合に試料がシマフグとシマフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
なお、配列番号26で示される塩基配列の160及び168番目の塩基の位置には、FUGU5に対してトラフグ又はトラフグ以外のトラフグ属魚類の種で種特異的ではない多型が存在する。
【0047】
配列番号27で示される塩基配列は、FUGU5の19番染色体の11,451,665~11,451,965位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(11,451,815位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、シマフグではCCであり、シマフグ以外のトラフグ属魚類の種ではGGであり、シマフグとシマフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではCGである。よって、該SNPは、遺伝子型がCCの場合に試料がシマフグ由来の試料であり、遺伝子型がGGの場合に試料がシマフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がCGの場合に試料がシマフグとシマフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
【0048】
配列番号28で示される塩基配列は、FUGU5の4番染色体の2,006,321~2,006,621位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(2,006,471位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、ショウサイフグではTTであり、ショウサイフグ以外のトラフグ属魚類の種ではGGであり、ショウサイフグとショウサイフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではTGである。よって、該SNPは、遺伝子型がTTの場合に試料がショウサイフグ由来の試料であり、遺伝子型がGGの場合に試料がショウサイフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がTGの場合に試料がショウサイフグとショウサイフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
なお、配列番号28で示される塩基配列の164番目の塩基の位置には、FUGU5に対してトラフグ又はトラフグ以外のトラフグ属魚類の種で種特異的ではない多型が存在する。
【0049】
配列番号29で示される塩基配列は、FUGU5の6番染色体の41,156~41,456位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(41,306位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、ショウサイフグではCCであり、ショウサイフグ以外のトラフグ属魚類の種ではGGであり、ショウサイフグとショウサイフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではCGである。よって、該SNPは、遺伝子型がCCの場合に試料がショウサイフグ由来の試料であり、遺伝子型がGGの場合に試料がショウサイフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がCGの場合に試料がショウサイフグとショウサイフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
【0050】
配列番号30で示される塩基配列は、FUGU5の11番染色体の683,629~683,929位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(683,779位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、ショウサイフグではTTであり、ショウサイフグ以外のトラフグ属魚類の種ではCCであり、ショウサイフグとショウサイフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではTCである。よって、該SNPは、遺伝子型がTTの場合に試料がショウサイフグ由来の試料であり、遺伝子型がCCの場合に試料がショウサイフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がTCの場合に試料がショウサイフグとショウサイフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
なお、配列番号30で示される塩基配列の134番目の塩基の位置には、FUGU5に対してトラフグ又はトラフグ以外のトラフグ属魚類の種で種特異的ではない多型が存在する。
【0051】
配列番号31で示される塩基配列は、FUGU5の8番染色体の5,621,458~5,621,758位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(5,621,608位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、トラフグ又はカラスではAAであり、トラフグ及びカラス以外のトラフグ属魚類の種ではTTであり、トラフグ又はカラスとトラフグ及びカラス以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではATである。よって、該SNPは、遺伝子型がAAの場合に試料がトラフグ又はカラス由来の試料であり、遺伝子型がTTの場合に試料がトラフグ及びカラス以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がATの場合に試料がトラフグ又はカラスとトラフグ及びカラス以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
【0052】
配列番号32で示される塩基配列は、FUGU5の14番染色体の7,185,177~7,185,477位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(7,185,327位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、トラフグ又はカラスではAAであり、トラフグ及びカラス以外のトラフグ属魚類の種ではGGであり、トラフグ又はカラスとトラフグ及びカラス以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではAGである。よって、該SNPは、遺伝子型がAAの場合に試料がトラフグ又はカラス由来の試料であり、遺伝子型がGGの場合に試料がトラフグ及びカラス以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がAGの場合に試料がトラフグ又はカラスとトラフグ及びカラス以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
【0053】
配列番号33で示される塩基配列は、FUGU5の19番染色体の11,043,143~11,043,443位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(11,043,293位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、トラフグ又はカラスではGGであり、トラフグ及びカラス以外のトラフグ属魚類の種ではAAであり、トラフグ又はカラスとトラフグ及びカラス以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではGAである。よって、該SNPは、遺伝子型がGGの場合に試料がトラフグ又はカラス由来の試料であり、遺伝子型がAAの場合に試料がトラフグ及びカラス以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がGAの場合に試料がトラフグ又はカラスとトラフグ及びカラス以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
なお、配列番号33で示される塩基配列の174番目の塩基の位置には、FUGU5に対してトラフグ又はトラフグ以外のトラフグ属魚類の種で種特異的ではない多型が存在する。
【0054】
配列番号166で示される塩基配列は、FUGU5の17番染色体の5,823,130~5,823,430位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(5,823,281位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、クサフグではCCであり、クサフグ以外のトラフグ属魚類の種ではTTであり、クサフグとクサフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではCTである。よって、該SNPは、遺伝子型がCCの場合に試料がクサフグ由来の試料であり、遺伝子型がTTの場合に試料がクサフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がCTの場合に試料がクサフグとクサフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
なお、配列番号166で示される塩基配列の137番目の塩基の位置には、FUGU5に対してトラフグ又はトラフグ以外のトラフグ属魚類の種で種特異的ではない多型が存在する。
【0055】
配列番号167で示される塩基配列は、FUGU5の1番染色体の18,681,377~18,681,677位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(18,681,528位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、マフグではGGであり、マフグ以外のトラフグ属魚類の種ではTTであり、マフグとマフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではGTである。よって、該SNPは、遺伝子型がGGの場合に試料がマフグ由来の試料であり、遺伝子型がTTの場合に試料がマフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がGTの場合に試料がマフグとマフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
なお、配列番号167で示される塩基配列の168、174、188及び193番目の塩基の位置には、FUGU5に対してトラフグ又はトラフグ以外のトラフグ属魚類の種で種特異的ではない多型が存在する。
【0056】
配列番号168で示される塩基配列は、FUGU5の2番染色体の486,790~487,090位の塩基配列である。該塩基配列の151番目(486,941位)の塩基の位置におけるSNPの遺伝子型は、シマフグではAAであり、シマフグ以外のトラフグ属魚類の種ではTTであり、シマフグとシマフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種ではATである。よって、該SNPは、遺伝子型がAAの場合に試料がシマフグ由来の試料であり、遺伝子型がTTの場合に試料がシマフグ以外のトラフグ属魚類の種由来の試料であり、遺伝子型がATの場合に試料がシマフグとシマフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種由来の試料であると判断できる指標となる。
なお、配列番号168で示される塩基配列の133、135及び141番目の塩基の位置には、FUGU5に対してトラフグ又はトラフグ以外のトラフグ属魚類の種で種特異的ではない多型が存在する。
【0057】
各SNPの遺伝子型とトラフグ属魚類の種又は雑種との関係を下記表2に示す。本発明の方法においては、検出したSNPの遺伝子型が表2の(ii)である場合に、試料が由来する種は表2の(i)の種であると判別でき、検出したSNPの遺伝子型が表2の(iii)である場合に、試料が由来する種は表2の(i)以外のトラフグ属魚類の種であると判別でき、検出したSNPの遺伝子型が表2の(iv)である場合に、試料が由来する種は表2の(i)の種と(i)以外のトラフグ属魚類の種との雑種であると判別することができる。
【0058】
【表2】
【0059】
本発明の方法においては、上記のSNPのうち、1つのSNPのみを種又は雑種の判別の指標として用いてもよく、2以上のSNPを組み合わせて種又は雑種の判別の指標として用いてもよいが、判別精度の観点から、2以上のSNPを組み合わせて指標として用いることが好ましい。なかでも、アカメフグ、ゴマフグ、ヒガンフグ、コモンフグ、クサフグ、マフグ、ムシフグ、ナシフグ、シマフグ、ショウサイフグ、及びトラフグ又はカラス、並びにこれらの間の雑種をまとめて判別できることから、配列番号1~3で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、配列番号4~6で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、配列番号7~9で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、配列番号10~12で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、配列番号13~15及び166で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、配列番号16~18及び167で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、配列番号19~21で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、配列番号22~24で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、配列番号25~27及び168で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、配列番号28~30で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNP、及び配列番号31~33で示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNPを組み合わせて指標として用いることがより好ましく、配列番号1~33及び166~168で示される塩基配列の151番目の塩基の位置における計36個のSNPの全てを指標として用いることがさらに好ましい。
【0060】
SNPの検出は、公知の方法を用いて行うことができる。SNPの検出法としては、特に限定されないが、例えば、PCR-SSCP、PCR-RFLP、PCR-SSO、PCR-ASP、TaqMan PCR法、サイクリングプローブ法、スマートアンプ法、モレキュラービーコン法、インベーダー法、LAMP法、SNaPshot法、ダイレクトシークエンス法、Sniper法、MALDI-TOF/MS法、マイクロアレイ法、DOL法、TDI法等が挙げられる。
【0061】
本発明においては、SNPの検出法としてTaqMan PCR法を用いるのが、検出時間及び検出精度の点から好ましい。TaqMan PCR法に用いられる試薬やキットは市販されており、例えば、TaqMan(登録商標) SNP Genotyping
Assays(Thermo Fisher Scientific)を用いてもよい。
TaqMan PCR法によるSNPの検出は、以下のように実施できる。鋳型DNA上の目的のSNPが位置する塩基を含む塩基配列と特異的にハイブリダイズするプローブであって、該SNP位置に対応する塩基が、該SNPの対立遺伝子1と相補的な塩基であり、かつ5’末端が蛍光物質で、3’末端がクエンチャー(消光物質)でそれぞれ標識されたプローブ(第1のプローブ)と、該SNP位置に対応する塩基が、該SNPの対立遺伝子2と相補的な塩基であり、かつ5’末端が第1のプローブとは異なる蛍光物質で、3’末端がクエンチャー(消光物質)でそれぞれ標識されたプローブ(第2のプローブ)と、鋳型DNA上の該プローブが特異的にハイブリダイズする塩基配列を含む領域を増幅可能なプライマーセットと、TaqDNAポリメラーゼ等のPCR試薬を用いてPCR反応を行う。鋳型DNAが対立遺伝子1のみを有する場合、第1のプローブはアニーリングステップで鋳型DNAにハイブリダイズするが、プローブ上にクエンチャーが存在するため、励起光を照射しても蛍光の発生は抑制される。伸長反応ステップのときに、TaqDNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性により鋳型DNAにハイブリダイズした第1のプローブが分解されると、蛍光物質は遊離し、クエンチャー物質による抑制が解除されて蛍光を発する。一方、第2のプローブはSNP位置にミスマッチを含み、鋳型DNAにハイブリダイズできず、プローブの分解も生じないため、蛍光の発生は抑制される。よって、第1のプローブの蛍光のみが検出され、第2のプローブの蛍光は検出されない。逆に、鋳型DNAが対立遺伝子2のみを有する場合、第1のプローブの蛍光は検出されず、第2のプローブの蛍光のみが検出される。また、鋳型DNAが対立遺伝子1及び2を有する場合、第1のプローブ及び第2のプローブの両方の蛍光が検出される。斯くして、検出された蛍光の種類及び強度に基づいて、SNPの遺伝子型を決定することができる。
【0062】
PCRの条件は、特に限定されず、増幅サイズ、プローブ及び/又はプライマーの塩基長、GC含有率、Tm値等を考慮して最適条件を定めればよいが、例えば、以下の条件が挙げられる。
1)2本鎖DNAの1本鎖DNAへの熱変性:通常93~95℃程度で、通常3秒間~1分間程度加熱する。
2)アニーリング:通常50~60℃程度で、通常10秒間~1分間程度加熱する。
3)DNA伸長反応:通常60~74℃程度で、通常10秒間~5分間程度加熱する。
ここで、アニーリングとDNA伸長反応は分けずに同時に行うことも可能である。
上記1)~3)の反応を、通常30~50サイクル程度行うことにより、プローブ由来の蛍光を検出することができる。
【0063】
PCRは、サーマルサイクラーと分光蛍光光度計を一体化したリアルタイムPCR装置、例えば、StepOne(登録商標)リアルタイムPCRシステム(Thermo Fisher Scientific)を用いて行うことが、迅速かつ簡便にSNPを検出できるため好ましい。
【0064】
本発明において、プローブは、配列番号1~33及び166~168のいずれかで示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPを検出することができるプローブであればよい。プローブは、好ましくは、配列番号1~33及び166~168のいずれかで示される塩基配列の151番目の塩基(SNPが位置する塩基)を含む塩基配列に特異的にハイブリダイズし、該SNP位置に対応する塩基が該SNPの対立遺伝子1又は2と相補的な塩基である塩基配列からなるオリゴヌクレオチドであり、配列番号1~33及び166~168で示される塩基配列に基づいて適宜設計され得る。プローブの塩基長は、通常約10~50塩基であり、好ましくは約10~35塩基であり、より好ましくは約12~30塩基である。プローブは、5’末端がFITC、VIC等の蛍光物質で、3’末端がTAMRA、MGB等のクエンチャーでそれぞれ標識されているのが好ましく、該標識を有するプローブは、TaqManPCR法によるSNP検出に好適に用いられる。なお、「標的部位(配列)に対して特異的にハイブリダイズする」とは、通常のハイブリダイゼーション条件下、好ましくはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下(例えば、Joseph Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3 Vol. Set), Cold Spring Harbor Laboratory, NY, 2001に記載の条件)において、他のDNAとクロスハイブリダイゼーションを有意に生じないことを意味する。好適には、プローブは、検出すべきSNP部位の塩基を含む領域の塩基配列に対して相補的な塩基配列を有することが望ましいが、かかる特異的なハイブリダイゼーションが可能であれば、完全に相補的である必要はない。
【0065】
かかるプローブの例としては、配列番号34~99及び169~174で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、該塩基配列の相補的配列からなるオリゴヌクレオチド、配列番号34~99及び169~174で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド又は該塩基配列の相補的配列からなるオリゴヌクレオチドにおいて1若しくは2個の塩基が欠失、置換、付加又は挿入された塩基配列からなり、配列番号34~99及び169~174で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド又は該塩基配列の相補的配列からなるオリゴヌクレオチドとプローブとして同等の機能を有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。なかでも、配列番号34~99及び169~174で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドが好ましい。
下記表3に配列番号34~99及び169~174で示される塩基配列からなるプローブとそれらが検出するSNPとの関係を示す。
【0066】
【表3】
【0067】
本発明において、プライマーは、配列番号1~33及び166~168のいずれかで示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPを含む領域を増幅することができるプライマーであればよい。プライマーは、好ましくは、配列番号1~33及び166~168のいずれかで示される塩基配列の上記プローブがハイブリダイズする塩基配列を含む領域の増幅反応において、該領域の上流又は下流に特異的にハイブリダイズし、フォワードプライマー又はリバースプライマーとして使用できるオリゴヌクレオチドであり、配列番号1~33及び166~168で示される塩基配列に基づいて適宜設計され得る。プライマーの塩基長は、通常約15~50塩基であり、好ましくは約15~45塩基である。なお、あるSNPを含む領域を増幅するためのフォワードプライマーとリバースプライマーをまとめて、プライマーセットと称する。プライマーセットにより増幅される領域の塩基長は、通常50~300bpであり、好ましくは70~150bpである。ここで、「標的部位(配列)に対して特異的にハイブリダイズする」とは、プローブの場合と同様に、通常のハイブリダイゼーション条件下、好ましくはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下において、他のDNAとクロスハイブリダイゼーションを有意に生じないことを意味する。
【0068】
かかるプライマーの例としては、配列番号100~165及び175~180で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、該塩基配列の相補的配列からなるオリゴヌクレオチド、配列番号100~165及び175~180で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド又は該塩基配列の相補的配列からなるオリゴヌクレオチドにおいて1若しくは2個の塩基が欠失、置換、付加又は挿入された塩基配列からなり、配列番号100~165及び175~180で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド又は該塩基配列の相補的配列からなるオリゴヌクレオチドとプライマーとして同等の機能を有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。なかでも、配列番号100~165及び175~180で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドが好ましい。
下記表4に配列番号100~165及び175~180で示される塩基配列からなるプライマーとそれらが増幅する領域中のSNPとの関係を示す。表4中、同列の2種のプライマーがプライマーセットを構成する。
【0069】
【表4】
【0070】
プローブ及びプライマーは、それぞれ、通常のホスホルアミダイト法、リン酸トリエステル法などの化学合成法によって合成してもよいし、また市販されている自動オリゴヌクレオチド合成装置などを使用して合成してもよい。
【0071】
本発明のトラフグ属魚類の種又は雑種の判別方法は、キットを利用することによって、より簡便に実施することができる。該キットには、配列番号1~33及び166~168で示される塩基配列の151番目の塩基におけるSNPからなる群より選択される少なくとも1つのSNPを検出するためのプローブ及びプライマーセットを含む。プローブ及びプライマーセットを構成するプライマーの詳細は、上述したプローブ及びプライマーと同様である。
本発明のキットは、好ましくは、下記(1)~(36):
(1)配列番号34及び35で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号100及び101で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(2)配列番号36及び37で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号102及び103で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(3)配列番号38及び39で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号104及び105で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(4)配列番号40及び41で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号106及び107で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(5)配列番号42及び43で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号108及び109で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(6)配列番号44及び45で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号110及び111で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(7)配列番号46及び47で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号112及び113で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(8)配列番号48及び49で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号114及び115で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(9)配列番号50及び51で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号116及び117で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(10)配列番号52及び53で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号118及び119で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(11)配列番号54及び55で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号120及び121で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(12)配列番号56及び57で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号122及び123で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(13)配列番号58及び59で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号124及び125で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(14)配列番号60及び61で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号126及び127で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(15)配列番号62及び63で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号128及び129で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(16)配列番号64及び65で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号130及び131で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(17)配列番号66及び67で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号132及び133で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(18)配列番号68及び69で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号134及び135で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(19)配列番号70及び71で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号136及び137で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(20)配列番号72及び73で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号138及び139で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(21)配列番号74及び75で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号140及び141で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(22)配列番号76及び77で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号142及び143で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(23)配列番号78及び79で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号144及び145で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(24)配列番号80及び81で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号146及び147で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(25)配列番号82及び83で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号148及び149で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(26)配列番号84及び85で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号150及び151で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(27)配列番号86及び87で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号152及び153で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(28)配列番号88及び89で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号154及び155で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(29)配列番号90及び91で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号156及び157で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(30)配列番号92及び93で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号158及び159で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(31)配列番号94及び95で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号160及び161で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(32)配列番号96及び97で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号162及び163で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(33)配列番号98及び99で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号164及び165で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(34)配列番号169及び170で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号175及び176で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
(35)配列番号171及び172で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号177及び178で示される塩基配列からなる2種のプライマー;並びに
(36)配列番号173及び174で示される塩基配列からなる2種のプローブ及び配列番号179及び180で示される塩基配列からなる2種のプライマー;
からなる群より選択される少なくとも1つを含み、より好ましくは、(1)~(3)からなる群より選択される少なくとも1つ、(4)~(6)からなる群より選択される少なくとも1つ、(7)~(9)からなる群より選択される少なくとも1つ、(10)~(12)からなる群より選択される少なくとも1つ、(13)~(15)及び(34)からなる群より選択される少なくとも1つ、(16)~(18)及び(35)からなる群より選択される少なくとも1つ、(19)~(21)からなる群より選択される少なくとも1つ、(22)~(24)からなる群より選択される少なくとも1つ、(25)~(27)及び(36)からなる群より選択される少なくとも1つ、(28)~(30)からなる群より選択される少なくとも1つ、及び(31)~(33)からなる群より選択される少なくとも1つを含み、さらに好ましくは、(1)~(36)の全てを含む。
【0072】
キットは、任意成分として、SNP検出に用いる試薬(例えば、TaqDNAポリメラーゼ、dNTP等)を含んでいてもよい。さらにキットには、実施の便益のために、適当な反応希釈液、緩衝液、検出された遺伝子型に基づいて種又は雑種を判別するための情報(例えば、遺伝子型と判別される種又は雑種の一覧表)等が含まれていてもよい。
【0073】
斯くして、本発明の方法によれば、トラフグ属魚類の種又は雑種を高い精度で、簡便、迅速に判別できる。
本発明の方法で利用される計36個のSNPは、トラフグ属魚類の種又は雑種に特異的であり、種又は雑種の判別に有用である。特に、配列番号1~3のいずれかで示される塩基配列の151番目の塩基におけるSNPは、アカメフグの判別に有用であり、配列番号4~6のいずれかで示される塩基配列の151番目の塩基におけるSNPは、ゴマフグの判別に有用であり、配列番号7~9のいずれかで示される塩基配列の151番目の塩基におけるSNPは、ヒガンフグの判別に有用であり、配列番号10~12のいずれかで示される塩基配列の151番目の塩基におけるSNPは、コモンフグの判別に有用であり、配列番号13~15及び166のいずれかで示される塩基配列の151番目の塩基におけるSNPは、クサフグの判別に有用であり、配列番号16~18及び167のいずれかで示される塩基配列の151番目の塩基におけるSNPは、マフグの判別に有用であり、配列番号19~21のいずれかで示される塩基配列の151番目の塩基におけるSNPは、ムシフグの判別に有用であり、配列番号22~24のいずれかで示される塩基配列の151番目の塩基におけるSNPは、ナシフグの判別に有用であり、配列番号25~27及び168のいずれかで示される塩基配列の151番目の塩基におけるSNPは、シマフグの判別に有用であり、配列番号28~30のいずれかで示される塩基配列の151番目の塩基におけるSNPは、ショウサイフグの判別に有用であり、配列番号31~33のいずれかで示される塩基配列の151番目の塩基におけるSNPは、トラフグ又はカラスの判別に有用である。
よって、配列番号1~33及び166~168のいずれかで示される塩基配列の151番目の塩基の位置におけるSNPを含む部分塩基配列からなるポリヌクレオチド又はその相補鎖は、トラフグ属魚類の種又は雑種の判別用マーカーとして用いることができる。ここで、該SNPの塩基は、該SNPの対立遺伝子1又は2の塩基である。すなわち、マーカーの塩基配列中、配列番号1で示される塩基配列の151番目の塩基はT又はCであり、配列番号2で示される塩基配列の151番目の塩基はC又はTであり、配列番号3で示される塩基配列の151番目の塩基はA又はGであり、配列番号4で示される塩基配列の151番目の塩基はA又はGであり、配列番号5で示される塩基配列の151番目の塩基はT又はCであり、配列番号6で示される塩基配列の151番目の塩基はT又はGであり、配列番号7で示される塩基配列の151番目の塩基はG又はTであり、配列番号8で示される塩基配列の151番目の塩基はA又はGであり、配列番号9で示される塩基配列の151番目の塩基はT又はCであり、配列番号10で示される塩基配列の151番目の塩基はA又はGであり、配列番号11で示される塩基配列の151番目の塩基はG又はCであり、配列番号12で示される塩基配列の151番目の塩基はA又はCであり、配列番号13で示される塩基配列の151番目の塩基はC又はTであり、配列番号14で示される塩基配列の151番目の塩基はC又はTであり、配列番号15で示される塩基配列の151番目の塩基はA又はGであり、配列番号16で示される塩基配列の151番目の塩基はG又はCであり、配列番号17で示される塩基配列の151番目の塩基はT又はCであり、配列番号18で示される塩基配列の151番目の塩基はG又はAであり、配列番号19で示される塩基配列の151番目の塩基はA又はGであり、配列番号20で示される塩基配列の151番目の塩基はC又はGであり、配列番号21で示される塩基配列の151番目の塩基はA又はGであり、配列番号22で示される塩基配列の151番目の塩基はT又はCであり、配列番号23で示される塩基配列の151番目の塩基はC又はAであり、配列番号24で示される塩基配列の151番目の塩基はG又はCであり、配列番号25で示される塩基配列の151番目の塩基はA又はGであり、配列番号26で示される塩基配列の151番目の塩基はA又はTであり、配列番号27で示される塩基配列の151番目の塩基はC又はGであり、配列番号28で示される塩基配列の151番目の塩基はT又はGであり、配列番号29で示される塩基配列の151番目の塩基はC又はGであり、配列番号30で示される塩基配列の151番目の塩基はT又はCであり、配列番号31で示される塩基配列の151番目の塩基はA又はTであり、配列番号32で示される塩基配列の151番目の塩基はA又はGであり、配列番号33で示される塩基配列の151番目の塩基はG又はAであり、配列番号166で示される塩基配列の151番目の塩基はC又はTであり、配列番号167で示される塩基配列の151番目の塩基はG又はTであり、配列番号168で示される塩基配列の151番目の塩基はA又はTである。かかるポリヌクレオチド又はその相補鎖の塩基長は、各トラフグ属魚類の種のゲノム上で特異的に認識される長さであればよく、例えば、15~100塩基が好ましく、20~50塩基がより好ましい。
【実施例0074】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。
【0075】
実施例1 トラフグ属魚類の種又は雑種判別用SNPの同定
日本産トラフグ属魚類12種(アカメフグ、ゴマフグ、ヒガンフグ、コモンフグ、クサフグ、マフグ、ムシフグ、ナシフグ、シマフグ、ショウサイフグ、トラフグ、及びカラス)並びに海外産トラフグ属魚類3種(メフグ、メガネフグ、及びタキフグ)について、二重消化制限サイト周辺配列シーケンス(ddRAD-seq)法によりゲノム全体からSNPsを検出した。具体的には、各種8個体~16個体からDNeasy Blood & Tissue Kit(キアゲン社)を用いてゲノムDNAを抽出し、約10ngのゲノムDNAを制限酵素EcoRIとBglIIで消化し、アダプターをライゲーションした後、各個体に固有のバーコード配列を加えたプライマーで増幅しライブラリを作成した。ライブラリを次世代シーケンサー(HiSeq 2000あるいはHiSeq 2500、イルミナ社)で、50bpシングルエンドでランした。得られたddRAD-seqリードから、アダプター配列と低クオリティのリードを除いた後、トラフグのゲノムシーケンス(FUGU5)に対してマップした。マップされたリードの中から、SNPを含む座位を抽出し、その中から種特異的なSNPs(1232座位)を特定した。各種特異的SNPについて、上流150bp及び下流150bpの配列をFUGU5から取得した。FUGU5から得られた配列とリード配列とを比較し、FUGU5に対してトラフグ又はトラフグ以外のトラフグ属魚類の種で種特異的ではない多型を検出した。各SNPの近傍に非種特異的な多型が含まれず、かつ周辺配列に繰り返し配列や非種特異的な多型が多く含まれないSNPタイピングに適した座位を、各種3座位以上候補として選択した。これらの候補についてTaqMan Assayを設計し、Assayが設計可能でかつAFLP法で種又は雑種が判別された試料において偽陽性及び偽陰性が検出されなかった座位を各種3又は4座位に達するまで実証実験を行い、最終的に種又は雑種判別用SNPsを決定した。各SNPと対応する種及び遺伝子型を表5に、用いたプローブ及びプライマーを表6に示す。
【0076】
【表5】
【0077】
【表6】
【0078】
上記SNP(1)の遺伝子型は、アカメフグでTT、アカメフグ以外のトラフグ属魚類ではCCであり、SNP(1)には種特異性が認められた。かかる結果より、アカメフグとアカメフグ以外のトラフグ属魚類の種との雑種では、SNP(1)の遺伝子型はTCであることが示唆された。上記SNP(2)~(36)についても上記表5に基づいて同様のことがいえる。よって、SNP(1)~(36)は、トラフグ属魚類の種又は雑種の判別に有用である。
【0079】
実施例2 トラフグ属魚類の種又は雑種の判別1
AFLP法によって予め種又は雑種が判別されたトラフグ属魚類のゴマフグ7個体、ショウサイフグ7個体、及びそれらの間の雑種5個体の鰭の一部から、Wizard(登録商標) Genomic DNA Purification Kit(プロメガ社)を用いて、キットのマニュアルに従ってゲノムDNAを抽出し、核酸試料とした。得られた核酸試料をテンプレートとし、上記表6に記載のプローブ及びプライマー、並びにTaqMan(商標) GTXpress(商標) Master Mix(Applied Biosystems(商標))を使用し、StepOne(商標)リアルタイムPCRシステム(Thermo Fisher Scientific)を用いたリアルタイム定量PCRによって、上記表5のSNP(4)~(6)及び(28)~(30)の遺伝子型をタイピング法により決定した。なお、テンプレートなしをネガティブコントロールとした。PCRは、熱変性95℃3秒とアニーリング及び伸長反応60℃20秒を1サイクルとしてこれを40サイクル行った。
【0080】
SNP(4)~(6)のタイピング結果を、アレル識別プロットとして図1~3に示す。SNP(4)の遺伝子型がAAの個体をゴマフグ、GGの個体をショウサイフグ、AGの個体をゴマフグとショウサイフグとの雑種と判別すると、AFLP法によって予め判別された種又は雑種と一致した。また、SNP(5)の遺伝子型がTTの個体をゴマフグ、CCの個体をショウサイフグ、TCの個体をゴマフグとショウサイフグとの雑種と判別すると、AFLP法によって予め判別された種又は雑種と一致した。さらに、SNP(6)の遺伝子型がTTの個体をゴマフグ、GGの個体をショウサイフグ、TGの個体をゴマフグとショウサイフグとの雑種と判別すると、AFLP法によって予め判別された種又は雑種と一致した。
SNP(28)~(30)のタイピング結果を、アレル識別プロットとして図4~6に示す。SNP(28)の遺伝子型がTTの個体をショウサイフグ、GGの個体をゴマフグ、TGの個体をショウサイフグとゴマフグとの雑種と判別すると、AFLP法によって予め判別された種又は雑種と一致した。また、SNP(29)の遺伝子型がCCの個体をショウサイフグ、GGの個体をゴマフグ、CGの個体をショウサイフグとゴマフグとの雑種と判別すると、AFLP法によって予め判別された種又は雑種と一致した。さらに、SNP(30)の遺伝子型がTTの個体をショウサイフグ、CCの個体をゴマフグ、TCの個体をショウサイフグとゴマフグとの雑種と判別すると、AFLP法によって予め判別された種又は雑種と一致した。
以上、6SNPのタイピング結果より、ゴマフグ、ショウサイフグ、及びそれらの間の雑種が正確に判別された。該SNPは、トラフグ属魚類の種又は雑種を判別する指標として有用であることが示された。
【0081】
実施例3 トラフグ属魚類の種又は雑種の判別2
マフグ7個体、トラフグ7個体、及びそれらの間の雑種5個体を用いた以外は実施例2と同様にして、上記表5のSNP(16)~(18)及び(31)~(33)の遺伝子型を決定した。
【0082】
その結果、SNP(16)の遺伝子型がGGの個体をマフグ、CCの個体をトラフグ、GCの個体をマフグとトラフグとの雑種と判別すると、AFLP法によって予め判別された種又は雑種と一致した。また、SNP(17)の遺伝子型がTTの個体をマフグ、CCの個体をトラフグ、TCの個体をマフグとトラフグとの雑種と判別すると、AFLP法によって予め判別された種又は雑種と一致した。さらに、SNP(18)の遺伝子型がGGの個体をマフグ、AAの個体をトラフグ、GAの個体をマフグとトラフグとの雑種と判別すると、AFLP法によって予め判別された種又は雑種と一致した。
また、SNP(31)の遺伝子型がAAの個体をトラフグ、TTの個体をマフグ、ATの個体をトラフグとマフグとの雑種と判別すると、AFLP法によって予め判別された種又は雑種と一致した。また、SNP(32)の遺伝子型がAAの個体をトラフグ、GGの個体をマフグ、AGの個体をトラフグとマフグとの雑種と判別すると、AFLP法によって予め判別された種又は雑種と一致した。さらに、SNP(33)の遺伝子型がGGの個体をトラフグ、AAの個体をマフグ、GAの個体をトラフグとマフグとの雑種と判別すると、AFLP法によって予め判別された種又は雑種と一致した。
以上、6SNPのタイピング結果より、マフグ、トラフグ、及びそれらの間の雑種が正確に判別された。該SNPは、トラフグ属魚類の種又は雑種を判別する指標として有用であることが示された。
【0083】
実施例4 トラフグ属魚類の種又は雑種の判別3
コモンフグ7個体、ショウサイフグ7個体、及びそれらの間の雑種5個体を用いた以外は実施例2と同様にして、上記表5のSNP(10)~(12)及び(28)~(30)の遺伝子型を決定した。
【0084】
その結果、SNP(10)の遺伝子型がAAの個体をコモンフグ、GGの個体をショウサイフグ、AGの個体をコモンフグとショウサイフグとの雑種と判別すると、AFLP法によって予め判別された種又は雑種と一致した。また、SNP(11)の遺伝子型がGGの個体をコモンフグ、CCの個体をショウサイフグ、GCの個体をコモンフグとショウサイフグとの雑種と判別すると、AFLP法によって予め判別された種又は雑種と一致した。さらに、SNP(12)の遺伝子型がAAの個体をコモンフグ、CCの個体をショウサイフグ、ACの個体をコモンフグとショウサイフグとの雑種と判別すると、AFLP法によって予め判別された種又は雑種と一致した。
また、SNP(28)の遺伝子型がTTの個体をショウサイフグ、GGの個体をコモンフグ、TGの個体をショウサイフグとコモンフグとの雑種と判別すると、AFLP法によって予め判別された種又は雑種と一致した。また、SNP(29)の遺伝子型がCCの個体をショウサイフグ、GGの個体をコモンフグ、CGの個体をショウサイフグとコモンフグとの雑種と判別すると、AFLP法によって予め判別された種又は雑種と一致した。さらに、SNP(30)の遺伝子型がTTの個体をショウサイフグ、CCの個体をコモンフグ、TCの個体をショウサイフグとコモンフグとの雑種と判別すると、AFLP法によって予め判別された種又は雑種と一致した。
以上、6SNPのタイピング結果より、コモンフグ、ショウサイフグ、及びそれらの間の雑種が正確に判別された。該SNPは、トラフグ属魚類の種又は雑種を判別する指標として有用であることが示された。
【0085】
実施例5 トラフグ属魚類の種又は雑種の判別4
実施例2~4における種の組み合わせ間の雑種は自然下で比較的多く見られるため、雑種を含めた試料の入手及びAFLP法による種又は雑種の判別が可能であった。一方、自然下で雑種がほとんど見られないか全く見られない種の組み合わせについては、トラフグ属魚類11種類を用いて、上記表5のSNPの遺伝子型を検出することによる種又は雑種判別の特異性を検証した。
アカメフグ、ゴマフグ、ヒガンフグ、コモンフグ、クサフグ、マフグ、ムシフグ、ナシフグ、シマフグ、ショウサイフグ、及びトラフグ各4個体、並びにヘテロ接合型のコントロールとしてアカメフグとトラフグのゲノムDNAの等量混合物を用いた以外は実施例2と同様にして、上記表5のSNP(1)~(3)の遺伝子型を決定した。
【0086】
SNP(1)のタイピング結果を、アレル識別プロットとして図7に示す。SNP(1)の遺伝子型がTTの個体をアカメフグ、CCの個体をアカメフグ以外のトラフグ属魚類の種、TCのサンプルをアカメフグとトラフグのゲノムDNAの等量混合物であるヘテロ接合型のコントロールと判別すると、AFLP法によって予め判別された種又は雑種と一致した。また、SNP(2)の遺伝子型がCCの個体をアカメフグ、TTの個体をアカメフグ以外のトラフグ属魚類の種、CTのサンプルをアカメフグとトラフグのゲノムDNAの等量混合物であるヘテロ接合型のコントロールと判別すると、AFLP法によって予め判別された種又は雑種と一致した。さらに、SNP(3)の遺伝子型がAAの個体をアカメフグ、GGの個体をアカメフグ以外のトラフグ属魚類の種、AGのサンプルをアカメフグとトラフグのゲノムDNAの等量混合物であるヘテロ接合型のコントロールと判別すると、AFLP法によって予め判別された種又は雑種と一致した。
以上、3SNPのタイピング結果より、アカメフグ、アカメフグ以外のトラフグ属魚類の種、及び想定されるそれらの間の雑種が正確に判別された。偽陰性及び偽陽性はみられず、該SNPは、トラフグ属魚類の種又は雑種、特にアカメフグを判別する指標として有用であることが示された。
【0087】
実施例6 トラフグ属魚類の種又は雑種の判別5
実施例5と同様にして、アカメフグ、ゴマフグ、ヒガンフグ、コモンフグ、クサフグ、マフグ、ムシフグ、ナシフグ、シマフグ、ショウサイフグ、及びトラフグ各4個体、並びにヘテロ接合型のコントロールとして各種とトラフグのゲノムDNAの等量混合物を用いて、上記表5のSNP(4)~(33)の遺伝子型を検出することによる種又は雑種判別の特異性を検証した。
【0088】
SNP(4)の遺伝子型がAAの個体をゴマフグ、GGの個体をゴマフグ以外のトラフグ属魚類の種、AGのサンプルをゴマフグとトラフグのゲノムDNAの等量混合物であるヘテロ接合型のコントロールと判別すると、AFLP法によって予め判別された種又は雑種と一致した。同様に、各個体若しくはサンプルの種又は雑種を、SNP(5)~(33)のそれぞれの遺伝子型に基づいて判別すると、AFLP法によって予め判別された種又は雑種と一致した。
以上、30SNPのタイピング結果より、トラフグ属魚類の種、及び想定されるそれらの間の雑種が正確に判別された。偽陰性及び偽陽性はみられず、該SNPは、トラフグ属魚類の種又は雑種を判別する指標として有用であることが示された。
【0089】
実施例7 トラフグ属魚類の種又は雑種の判別6
実施例5と同様にして、アカメフグ、ゴマフグ、ヒガンフグ、コモンフグ、クサフグ、マフグ、ムシフグ、ナシフグ、シマフグ、ショウサイフグ、及びトラフグ各7個体、並びにヘテロ接合型のコントロールとして各種とトラフグのゲノムDNAの等量混合物を用いて、上記表5のSNP(34)~(36)の遺伝子型を検出することによる種又は雑種判別の特異性を検証した。
【0090】
SNP(34)の遺伝子型がCCの個体をクサフグ、TTの個体をクサフグ以外のトラフグ属魚類の種、CTのサンプルをクサフグとトラフグのゲノムDNAの等量混合物であるヘテロ接合型のコントロールと判別すると、AFLP法によって予め判別された種又は雑種と一致した。該SNPのタイピング結果より、クサフグ、クサフグ以外のトラフグ属魚類の種、及び想定されるそれらの間の雑種が正確に判別された。偽陰性及び偽陽性はみられず、該SNPは、トラフグ属魚類の種又は雑種、特にクサフグを判別する指標として有用であることが示された。
また、SNP(35)の遺伝子型がGGの個体をマフグ、TTの個体をマフグ以外のトラフグ属魚類の種、GTのサンプルをマフグとトラフグのゲノムDNAの等量混合物であるヘテロ接合型のコントロールと判別すると、AFLP法によって予め判別された種又は雑種と一致した。該SNPのタイピング結果より、マフグ、マフグ以外のトラフグ属魚類の種、及び想定されるそれらの間の雑種が正確に判別された。偽陰性及び偽陽性はみられず、該SNPは、トラフグ属魚類の種又は雑種、特にマフグを判別する指標として有用であることが示された。
さらに、SNP(36)の遺伝子型がAAの個体をシマフグ、TTの個体をシマフグ以外のトラフグ属魚類の種、ATのサンプルをシマフグとトラフグのゲノムDNAの等量混合物であるヘテロ接合型のコントロールと判別すると、AFLP法によって予め判別された種又は雑種と一致した。該SNPのタイピング結果より、シマフグ、シマフグ以外のトラフグ属魚類の種、及び想定されるそれらの間の雑種が正確に判別された。偽陰性及び偽陽性はみられず、該SNPは、トラフグ属魚類の種又は雑種、特にシマフグを判別する指標として有用であることが示された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【配列表】
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