(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077538
(43)【公開日】2022-05-24
(54)【発明の名称】プロテクター
(51)【国際特許分類】
A63B 71/12 20060101AFI20220517BHJP
【FI】
A63B71/12 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020186011
(22)【出願日】2020-11-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】390040165
【氏名又は名称】株式会社二子商事
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100217881
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 由美
(72)【発明者】
【氏名】西本 充晶
(57)【要約】
【課題】プロテクターに当たったボールを足元近くに落下させることができるプロテクターを提供する。
【解決手段】人体の胸部及び前腹部を保護する中央保護部材1と、人体の横腹部を保護する左右一対の側方保護部材とを、有するプロテクターに於て、中央保護部材1の表皮3は、前方下方Rを向いた横帯状の下方勾配面壁4を、上下複数段状に有している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の胸部及び前腹部を保護する中央保護部材(1)と、人体の横腹部を保護する左右一対の側方保護部材(2)(2)とを、有するプロテクターに於て、
上記中央保護部材(1)の表皮(3)は、前方下方(R)を向いた横帯状の下方勾配面壁(4)を、上下複数段状に有していることを特徴とするプロテクター。
【請求項2】
人体に沿って密接状に装着される裏皮(5)を備え、上記表皮(3)の上記下方勾配面壁(4)と、上記裏皮(5)との間に、横長略直方体状空隙部(6)を形成した請求項1記載のプロテクター。
【請求項3】
上記表皮(3)が、表面皮層(7)と、該表面皮層(7)の裏面(8)に積層された発泡樹脂層(9)とから成る二重構造である請求項1又は2記載のプロテクター。
【請求項4】
上記表皮(3)が、一層のエラストマーから成形されている請求項1又は2記載のプロテクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテクターに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、野球用のプロテクターは、キャッチャー(人体)の胸部及び前腹部を保護する中央保護部材と、人体の横腹部を保護する左右一対の側方保護部材とを、有する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載のプロテクターは、中央保護部材が前方を向いた垂直面状なので、ボールが当たった際、プロテクターにて跳ね返って、キャッチャーの足元から遠く離れた位置に落下するという問題があった。また、表皮と裏皮との間に、(発泡樹脂製の)ブロック体が介在したので、製造工程が複雑である点、及び、上半身を曲げにくいという欠点があった。
【0005】
そこで、本発明は、プロテクターに当たったボールをキャッチャーの足元近くに落下させることができるプロテクターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るプロテクターは、人体の胸部及び前腹部を保護する中央保護部材と、人体の横腹部を保護する左右一対の側方保護部材とを、有するプロテクターに於て、上記中央保護部材の表皮は、前方下方を向いた横帯状の下方勾配面壁を、上下複数段状に有しているものである。
【0007】
また、人体に沿って密接状に装着される裏皮を備え、上記表皮の上記下方勾配面壁と、上記裏皮との間に、横長略直方体状空隙部を形成した。
また、上記表皮が、表面皮層と、該表面皮層の裏面に積層された発泡樹脂層とから成る二重構造である。
また、上記表皮が、一層のエラストマーから成形されているものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のプロテクターによれば、プロテクターに当たったボールをキャッチャーの前方近傍位置に落下させることができる。また、容易に前屈み姿勢に身体を曲げ易く、容易にボールを拾うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施の形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図示の実施の形態に基づいて本発明を詳説する。
図1・
図2は、本発明の第1の実施の形態を示す。人体の胸部及び前腹部を保護する中央保護部材1と、人体の横腹部を保護する左右一対の側方保護部材2,2とを、有する。中央保護部材1の表皮3は、上下複数の山部12と谷溝部13とを、交互に有する。山部12は、上起立壁10と、下起立壁11と、下方勾配面壁4とを、有する。そして、前方下方Rを向いた横帯状の下方勾配面壁4を、上下複数段状に有している。
【0011】
人体に沿って密接状に装着される裏皮5を備え、表皮3の下方勾配面壁4と、裏皮5との間に、横長略直方体状空隙部6が形成される。
表皮3が、表面皮層7と、表面皮層7の裏面8に積層された発泡樹脂層9とから成る二重構造である。表面皮層7は、例えば、人工皮革、合成皮革、ポリエステル生地、ナイロン生地等から成る。発泡樹脂層9は、例えば、低反発ポリウレタン発泡体、ポリウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、エチレン酢酸共重合体発泡体等から成る。特に、ボール等の衝撃が加わっても跳ねない(ボールを足元に落下させることができる)素材である低反発ポリウレタン発泡体が、好ましい。
【0012】
裏皮5は、例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の発泡体から成る衝撃吸収材、及び、裏生地等を積層したものが、好ましい。
【0013】
上起立壁10と鉛直面Sとが成す角度αを、65°≦α<90°に設定する。好ましくは、角度αを、70°≦α≦85°に設定する。角度αが上記範囲内にある場合、ボールが当たった際の強度を十分維持可能となる。角度αが、α<65°の場合、ボールが当たる衝撃によって、山部12が潰れるように変形するという問題が生じる。角度αが、90°≦αの場合、成型時に、型抜きすることができない。
【0014】
下起立壁11と鉛直面Sとが成す角度βを、65°≦β<90°に設定する。好ましくは、角度βを、70°≦β≦85°に設定する。角度βが上記範囲内にある場合、ボールが当たった際の強度を十分維持可能となる。角度βが、β<65°の場合、ボールが当たる衝撃によって、山部12が潰れるように変形することにより、衝撃を適切に吸収することができない。角度βが、90°≦βの場合、成型時に、型抜きすることができない。
【0015】
下方勾配面壁4の垂直線V4 と、水平線V0 とが成す角度θを、12°≦θ≦35°に設定する。好ましくは、角度θを、20°≦θ≦30°に設定する。角度θが上記範囲内にある場合、ボールが当たった際、前方下方へ落下して、キャッチャーが、容易にボールを拾うことができる。θ<12°の場合、ボールが当たった際、跳ね返ったボールがキャッチャーの足元から遠く離れた位置に落下するので、ボールを直ちに拾うことができなくなる。角度θが、35°≦θの場合、余りにも足元近くに落下して、かえってボールを拾い難い。
【0016】
第1の実施の形態のプロテクターの製法について説明する。表面皮層7と、フィルム状のホットメルトと、発泡樹脂層9とを、順次重ねて、加熱により融着して積層体を作製する。金型内に積層体を設置して、ホットプレス又はコールドプレスにて、上記所定形状に成型する。
【0017】
図3は、第2の実施の形態を示す。表皮3が、一層のエラストマーから成形されている。なお、好ましくは、山部12の立上がり部15の厚さを、他の部分よりも厚く設定することにより、ボール等により衝撃が加わった際の変形を小さくすることができる。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0018】
図4・
図5は、第3の実施の形態を示す。表皮3が、上下隣合う山部12と山部12との間の高さ位置の裏面側に、受け脚部14を有する。受け脚部14と鉛直面Sとが成す角度α′を、80°≦α′≦ 100°に設定する。角度α′が上記範囲内の場合、ボールが当たった際の強度を十分維持可能となる。角度α′が上記範囲外の場合、ボール等の衝撃を受けた際の強度が不十分である。その他の構成は、第2の実施の形態と同様である。
【0019】
なお、各々のコーナー(例えば、上起立壁10と下方勾配面壁4との連接部)は、角張らないようアール形状とする。また、側方保護部材2は、従来と同様であっても良い。
【0020】
本発明は、設計変更可能であって、例えば、(第3の実施の形態に於て、)表皮3を、表面皮層7と、表面皮層7の裏面8に積層された発泡樹脂層9とから成る二重構造とするも良い。また、裏皮5の衝撃吸収材を、省略するも良い。
【0021】
以上のように、本発明は、人体の胸部及び前腹部を保護する中央保護部材1と、人体の横腹部を保護する左右一対の側方保護部材2,2とを、有するプロテクターに於て、上記中央保護部材1の表皮3は、前方下方Rを向いた横帯状の下方勾配面壁4を、上下複数段状に有しているので、プロテクターに当たったボールをキャッチャーの足元近くに落下させることができ、迅速に対処可能となる。
【0022】
また、人体に沿って密接状に装着される裏皮5を備え、上記表皮3の上記下方勾配面壁4と、上記裏皮5との間に、横長略直方体状空隙部6を形成したので、空隙部6にて、ボールの衝撃を緩和することができる。また、ボールを拾う際、上半身を容易に曲げる(前屈み姿勢になる)ことができ、一層迅速に対処できる。
【0023】
また、上記表皮3が、表面皮層7と、該表面皮層7の裏面8に積層された発泡樹脂層9とから成る二重構造であるので、適切にボールの衝撃を緩和することができる。
【0024】
また、上記表皮3が、一層のエラストマーから成形されているので、容易に製造することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 中央保護部材
2 側方保護部材
3 表皮
4 下方勾配面壁
5 裏皮
6 (横長直方体状)空隙部
7 表面皮層
8 裏面
9 発泡樹脂層
【手続補正書】
【提出日】2022-03-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の胸部及び前腹部を保護する中央保護部材(1)と、人体の横腹部を保護する左右一対の側方保護部材(2)(2)と、人体に沿って密接状に装着される鉛直状の裏皮(5)とを、有するプロテクターに於て、
上記中央保護部材(1)の表皮(3)は、上下複数段状の山部(12)と谷溝部(13)とを、交互に有し、上記各山部(12)は、上起立壁(10)と下方勾配面壁(4)と下起立壁(11)とを、有し、かつ、上記下方勾配面壁(4)は、上記鉛直状の裏皮(5)に対して前方下方(R)を向いた横帯状であって、
さらに、上記表皮(3)の上記山部(12)と、上記裏皮(5)との間に、横長略直方体状空隙部(6)を形成し、
上記上起立壁(10)と鉛直面(S)とが成す角度(α)を、65°≦α<90°に設定するとともに、上記下方勾配面壁(4)の垂直線(V
4
)と、水平線(V
0
)とが成す角度(θ)を、12°≦θ≦35°に設定したことを特徴とするプロテクター。
【請求項2】
人体の胸部及び前腹部を保護する中央保護部材(1)と、人体の横腹部を保護する左右一対の側方保護部材(2)(2)と、人体に沿って密接状に装着される鉛直状の裏皮(5)とを、有するプロテクターに於て、
上記中央保護部材(1)の表皮(3)は、上下複数段状の山部(12)を有し、該各山部(12)は、上記鉛直状の裏皮(5)に対して前方下方(R)を向いた横帯状の下方勾配面壁(4)を、有し、かつ、上記下方勾配面壁(4)は、上記鉛直状の裏皮(5)に対して前方下方(R)を向いた横帯状であって、
上下隣合う山部(12)と山部(12)との間の高さ位置の裏面側に、受け脚部(14)を有し、
さらに、上記表皮(3)の上記山部(12)及び受け脚部(14)と、上記裏皮(5)との間に、横長略直方体状空隙部(6)を形成し、
該受け脚部(14)と鉛直面(S)とが成す角度(α′)を、80°≦α′≦ 100°に設定するとともに、下方勾配面壁(4)の垂直線(V
4
)と、水平線(V
0
)とが成す角度(θ)を、12°≦θ≦35°に設定したことを特徴とするプロテクター。
【請求項3】
上記表皮(3)が、表面皮層(7)と、該表面皮層(7)の裏面(8)に積層された発泡樹脂層(9)とから成る二重構造である請求項1又は2記載のプロテクター。
【請求項4】
上記表皮(3)が、一層のエラストマーから成形されている請求項1又は2記載のプロテクター。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテクターに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、野球用のプロテクターは、キャッチャー(人体)の胸部及び前腹部を保護する中央保護部材と、人体の横腹部を保護する左右一対の側方保護部材とを、有する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載のプロテクターは、中央保護部材が前方を向いた垂直面状なので、ボールが当たった際、プロテクターにて跳ね返って、キャッチャーの足元から遠く離れた位置に落下するという問題があった。また、表皮と裏皮との間に、(発泡樹脂製の)ブロック体が介在したので、製造工程が複雑である点、及び、上半身を曲げにくいという欠点があった。
【0005】
そこで、本発明は、プロテクターに当たったボールをキャッチャーの足元近くに落下させることができるプロテクターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るプロテクターは、人体の胸部及び前腹部を保護する中央保護部材と、人体の横腹部を保護する左右一対の側方保護部材と、人体に沿って密接状に装着される鉛直状の裏皮とを、有するプロテクターに於て、上記中央保護部材の表皮は、上下複数段状の山部と谷溝部とを、交互に有し、上記各山部は、上起立壁と下方勾配面壁と下起立壁とを、有し、かつ、上記下方勾配面壁は、上記鉛直状の裏皮に対して前方下方を向いた横帯状であって、さらに、上記表皮の上記山部と、上記裏皮との間に、横長略直方体状空隙部を形成し、上記上起立壁と鉛直面とが成す角度αを、65°≦α<90°に設定するとともに、上記下方勾配面壁の垂直線と、水平線とが成す角度θを、12°≦θ≦35°に設定したものである。
【0007】
また、人体の胸部及び前腹部を保護する中央保護部材と、人体の横腹部を保護する左右一対の側方保護部材と、人体に沿って密接状に装着される鉛直状の裏皮とを、有するプロテクターに於て、上記中央保護部材の表皮は、上下複数段状の山部を有し、該各山部は、上記鉛直状の裏皮に対して前方下方を向いた横帯状の下方勾配面壁を、有し、かつ、上記下方勾配面壁は、上記鉛直状の裏皮に対して前方下方を向いた横帯状であって、上下隣合う山部と山部との間の高さ位置の裏面側に、受け脚部を有し、さらに、上記表皮の上記山部及び受け脚部と、上記裏皮との間に、横長略直方体状空隙部を形成し、該受け脚部と鉛直面とが成す角度α′を、80°≦α′≦ 100°に設定するとともに、下方勾配面壁の垂直線と、水平線とが成す角度θを、12°≦θ≦35°に設定したものである。
【0008】
また、上記表皮が、表面皮層と、該表面皮層の裏面に積層された発泡樹脂層とから成る二重構造である。
また、上記表皮が、一層のエラストマーから成形されているものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のプロテクターによれば、プロテクターに当たったボールをキャッチャーの前方近傍位置に落下させることができる。また、容易に前屈み姿勢に身体を曲げ易く、容易にボールを拾うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施の形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図示の実施の形態に基づいて本発明を詳説する。
図1・
図2は、本発明の第1の実施の形態を示す。人体の胸部及び前腹部を保護する中央保護部材1と、人体の横腹部を保護する左右一対の側方保護部材2,2とを、有する。中央保護部材1の表皮3は、上下複数の山部12と谷溝部13とを、交互に有する。山部12は、上起立壁10と、下起立壁11と、下方勾配面壁4とを、有する。そして、前方下方Rを向いた横帯状の下方勾配面壁4を、上下複数段状に有している。
【0012】
人体に沿って密接状に装着される裏皮5を備え、表皮3の下方勾配面壁4と、裏皮5との間に、横長略直方体状空隙部6が形成される。
表皮3が、表面皮層7と、表面皮層7の裏面8に積層された発泡樹脂層9とから成る二重構造である。表面皮層7は、例えば、人工皮革、合成皮革、ポリエステル生地、ナイロン生地等から成る。発泡樹脂層9は、例えば、低反発ポリウレタン発泡体、ポリウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、エチレン酢酸共重合体発泡体等から成る。特に、ボール等の衝撃が加わっても跳ねない(ボールを足元に落下させることができる)素材である低反発ポリウレタン発泡体が、好ましい。
【0013】
裏皮5は、例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の発泡体から成る衝撃吸収材、及び、裏生地等を積層したものが、好ましい。
【0014】
上起立壁10と鉛直面Sとが成す角度αを、65°≦α<90°に設定する。好ましくは、角度αを、70°≦α≦85°に設定する。角度αが上記範囲内にある場合、ボールが当たった際の強度を十分維持可能となる。角度αが、α<65°の場合、ボールが当たる衝撃によって、山部12が潰れるように変形するという問題が生じる。角度αが、90°≦αの場合、成型時に、型抜きすることができない。
【0015】
下起立壁11と鉛直面Sとが成す角度βを、65°≦β<90°に設定する。好ましくは、角度βを、70°≦β≦85°に設定する。角度βが上記範囲内にある場合、ボールが当たった際の強度を十分維持可能となる。角度βが、β<65°の場合、ボールが当たる衝撃によって、山部12が潰れるように変形することにより、衝撃を適切に吸収することができない。角度βが、90°≦βの場合、成型時に、型抜きすることができない。
【0016】
下方勾配面壁4の垂直線V4 と、水平線V0 とが成す角度θを、12°≦θ≦35°に設定する。好ましくは、角度θを、20°≦θ≦30°に設定する。角度θが上記範囲内にある場合、ボールが当たった際、前方下方へ落下して、キャッチャーが、容易にボールを拾うことができる。θ<12°の場合、ボールが当たった際、跳ね返ったボールがキャッチャーの足元から遠く離れた位置に落下するので、ボールを直ちに拾うことができなくなる。角度θが、35°≦θの場合、余りにも足元近くに落下して、かえってボールを拾い難い。
【0017】
第1の実施の形態のプロテクターの製法について説明する。表面皮層7と、フィルム状のホットメルトと、発泡樹脂層9とを、順次重ねて、加熱により融着して積層体を作製する。金型内に積層体を設置して、ホットプレス又はコールドプレスにて、上記所定形状に成型する。
【0018】
図3は、第2の実施の形態を示す。表皮3が、一層のエラストマーから成形されている。なお、好ましくは、山部12の立上がり部15の厚さを、他の部分よりも厚く設定することにより、ボール等により衝撃が加わった際の変形を小さくすることができる。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0019】
図4・
図5は、第3の実施の形態を示す。表皮3が、上下隣合う山部12と山部12との間の高さ位置の裏面側に、受け脚部14を有する。受け脚部14と鉛直面Sとが成す角度α′を、80°≦α′≦ 100°に設定する。角度α′が上記範囲内の場合、ボールが当たった際の強度を十分維持可能となる。角度α′が上記範囲外の場合、ボール等の衝撃を受けた際の強度が不十分である。その他の構成は、第2の実施の形態と同様である。
【0020】
なお、各々のコーナー(例えば、上起立壁10と下方勾配面壁4との連接部)は、角張らないようアール形状とする。また、側方保護部材2は、従来と同様であっても良い。
【0021】
本発明は、設計変更可能であって、例えば、(第3の実施の形態に於て、)表皮3を、表面皮層7と、表面皮層7の裏面8に積層された発泡樹脂層9とから成る二重構造とするも良い。また、裏皮5の衝撃吸収材を、省略するも良い。
【0022】
以上のように、本発明は、人体の胸部及び前腹部を保護する中央保護部材1と、人体の横腹部を保護する左右一対の側方保護部材2,2とを、有するプロテクターに於て、上記中央保護部材1の表皮3は、前方下方Rを向いた横帯状の下方勾配面壁4を、上下複数段状に有しているので、プロテクターに当たったボールをキャッチャーの足元近くに落下させることができ、迅速に対処可能となる。
【0023】
また、人体に沿って密接状に装着される裏皮5を備え、上記表皮3の上記下方勾配面壁4と、上記裏皮5との間に、横長略直方体状空隙部6を形成したので、空隙部6にて、ボールの衝撃を緩和することができる。また、ボールを拾う際、上半身を容易に曲げる(前屈み姿勢になる)ことができ、一層迅速に対処できる。
【0024】
また、上記表皮3が、表面皮層7と、該表面皮層7の裏面8に積層された発泡樹脂層9とから成る二重構造であるので、適切にボールの衝撃を緩和することができる。
【0025】
また、上記表皮3が、一層のエラストマーから成形されているので、容易に製造することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 中央保護部材
2 側方保護部材
3 表皮
4 下方勾配面壁
5 裏皮
6 (横長直方体状)空隙部
7 表面皮層
8 裏面
9 発泡樹脂層
10 上起立壁
11 下起立壁
12 山部
13 谷溝部
R 前方下方
S 鉛直面
V
0
水平線
V
4
垂直線
α 角度
α′ 角度
θ 角度