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特開2022-77543チャックユニット及びチャックユニットの温度制御方法
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  • 特開-チャックユニット及びチャックユニットの温度制御方法 図1
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  • 特開-チャックユニット及びチャックユニットの温度制御方法 図3
  • 特開-チャックユニット及びチャックユニットの温度制御方法 図4
  • 特開-チャックユニット及びチャックユニットの温度制御方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077543
(43)【公開日】2022-05-24
(54)【発明の名称】チャックユニット及びチャックユニットの温度制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20220517BHJP
   H01L 35/30 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
H01L21/68 P
H01L35/30
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020188367
(22)【出願日】2020-11-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】399028078
【氏名又は名称】ハイソル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳井 博文
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131CA02
5F131EA04
5F131EB01
5F131EB79
5F131EB81
5F131EB82
5F131KA24
(57)【要約】
【課題】氷点下から高温まで温度設定可能であり、ペルチェモジュールの劣化を少なくすることができる。
【解決手段】半導体1を載置するチャック10と、チャック10の裏面をヒータ12で加熱するヒータ加熱部11と、接触によりヒータ加熱部11を冷却し、空冷又は水冷が行われる金属ブロック21と、金属ブロック21を加熱冷却するペルチェモジュール31とを備え、金属ブロック21とペルチェモジュール31とが離間しているときに、ヒータ12が通電し、金属ブロック21とペルチェモジュール31とが接触しているときに、ヒータ12の通電が遮断する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体を載置するチャックと、
前記チャックの裏面を加熱するヒータ加熱部と、
空冷又は水冷により前記ヒータ加熱部を冷却する金属ブロックと、
前記金属ブロックを加熱冷却するペルチェモジュールとを備え、
前記金属ブロックと前記ペルチェモジュールとが離間しているときに、前記ヒータ加熱部のヒータへの通電が行われ、前記金属ブロックと前記ペルチェモジュールとが接触しているときに、前記ヒータへの通電が遮断する
ことを特徴とするチャックユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のチャックユニットであって、
前記ヒータへの通電を遮断するとき、前記金属ブロックを用いて前記チャックを冷却し、冷却後に前記金属ブロックと前記ペルチェモジュールを接触させる制御装置をさらに備える
ことを特徴とするチャックユニット。
【請求項3】
請求項2に記載のチャックユニットであって、
前記制御装置は、前記金属ブロックを前記ペルチェモジュールの最大温度仕様値未満に冷却する
ことを特徴とするチャックユニット。
【請求項4】
半導体を載置するチャックと、前記チャックの裏面を加熱するヒータ加熱部と、空冷又は水冷により前記ヒータ加熱部を冷却する金属ブロックと、前記金属ブロックを加熱冷却するペルチェモジュールとを備えたチャックユニットの温度制御方法であって、
前記金属ブロックと前記ペルチェモジュールとが離間しているときに、前記ヒータ加熱部のヒータへの通電を行い、前記金属ブロックと前記ペルチェモジュールとが接触しているときに、前記ヒータへの通電を遮断する
ことを特徴とするチャックユニットの温度制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスを載置するチャックユニット及びヒータ通電方法に関し、例えば、氷点下の低温から高温まで温度設定可能なチャックユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの電気特性の評価は、温度を変化させて、温度特性試験として行われることが多い。特に、車載デバイスは、氷点下の環境から高温の車内で使用されるので、電気特性試験も氷点下の低温状態から常温を超える高温状態で行う必要がある。半導体デバイスを載置固定するチャックを高温にするためには、半導体デバイスを載置・固定するチャックをヒータで加熱する必要がある。
【0003】
特許文献1には、ヒータと可動式冷却モジュールとを備えた加熱冷却デバイスが開示されている。この可動式冷却モジュールは、加熱時にヒータから離間し、冷却時にヒータに接する金属塊である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-123053号公報(図3,段落0041)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の加熱冷却デバイスは、アルミニウムや銅の金属塊で冷却しているので、ウェハの温度を室温未満にすることができない。そこで、可動式冷却モジュールをペルチェモジュールに変更して、氷点下まで冷却することが考えられる。しかしながら、ペルチェモジュールは、ヒータに接触させ、高温状態になると、劣化が早まる問題点がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、氷点下から高温まで温度設定可能であり、ペルチェモジュールの劣化を少なくすることができるチャックユニット及びチャックユニットの温度制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のチャックユニットは、半導体を載置するチャック(10)と、前記チャックの裏面を加熱するヒータ加熱部(11)と、空冷又は水冷により前記ヒータ加熱部を冷却する金属ブロック(21)と、前記金属ブロックを加熱冷却するペルチェモジュール(31)とを備え、前記金属ブロックと前記ペルチェモジュールとが離間しているときに、前記ヒータ加熱部のヒータ(12)への通電が行われ、前記金属ブロックと前記ペルチェモジュールとが接触しているときに、前記ヒータへの通電が遮断することを特徴とする。なお、括弧内の符号や文字は、実施形態において付した符号等であって、本発明を限定するものではない。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、氷点下から高温まで温度設定可能であっても、ペルチェモジュールの劣化を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態であるチャックユニットの構成図である。
図2】本発明の第1実施形態であるチャックユニットを用いて温度特性試験を行うときのフローチャートである。
図3】ヒータでチャックを加熱している状態を示す図である。
図4】チャックを所定温度まで冷却している状態を示す図である。
図5】チャックをペルチェモジュールで冷却している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本実施形態を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、本発明の第1実施形態であるチャックユニットの構成図である。
チャックユニット100は、氷点下の低温(例えば、-60℃)から高温(ペルチェモジュールの最大温度仕様値よりも高温、例えば、300℃~400℃)まで温度上昇させた状態で、ウェハ1の電気特性(電圧電流特性)を計測するときに使用される。チャックユニット100は、チャック10と、加熱部20と、冷却部としての空冷部30と、ペルチェユニット40と、Z軸アクチュエータ60と、制御装置90とを備えて構成される。また、プローバ200は、チャックユニット100と、チャックユニット100を移動させる図示しないXYZステージとを備える。
【0012】
チャック10は、チャックトップ2と、インシュレータ3と、ガード4と、インシュレータ5とが積層されたものである。チャックトップ2は、ウェハ1やICチップ等の半導体が載置される円形の金属板(例えば、OFC(Oxygen-Free Copper))である。チャックトップ2の表面には、半導体を吸着する吸着溝(不図示)や空気を吸入する貫通孔(不図示)が形成されている。インシュレータ3,5は、ガード4を挟むように形成された絶縁セラミック板である。ガード4は、SUSの薄板であり、接地電位等に維持することにより、ウェハ1の電位を安定にする。
【0013】
加熱部20は、加熱ブロック11と、面状ヒータ12とが積層されて構成される。加熱ブロック11は、円形状の金属板(例えば、OFC)である。加熱ブロック11の下面は、面状ヒータ12に接触している。つまり、加熱ブロック11は、面状ヒータ12によって高温に加熱される。加熱ブロック11には、温度センサ9が埋め込まれている。温度センサ9のデータは制御手段90に送られ、温度センサ90で取得された温度データに基づいて面状ヒータ12の温度が制御される。加熱ブロック11の上面は、インシュレータ5に接触しているため、加熱ブロック11によってチャック10が加熱される。
【0014】
空冷部30は、金属製の空冷ブロック21で構成されている。空冷部30の内部には、冷却用空気が通流する通流孔22が形成されている。通流孔22は、図示しないが平面視で螺旋状に形成されている。通流孔22の両端部には、空冷エアポート23が形成されており、不図示の樹脂パイプが挿入される。
【0015】
ペルチェユニット40は、ペルチェモジュール31と、水冷ブロック32とから構成される。ペルチェモジュール31は、氷点下(例えば、-60℃)から最大温度仕様値(例えば、80℃~100℃))まで加熱冷却可能な熱電素子である。言い換えれば、ペルチェモジュール31は、最大温度仕様値を超える高温になると劣化が早まるという特性を有する。水冷ブロック32は、ペルチェモジュール31の裏面に配設され、ペルチェモジュール31を冷却する役割を果たす。水冷ブロック32には、冷却水ポート34が設けられ、不図示の樹脂パイプが挿入される。
【0016】
Z軸アクチュエータ60は、ペルチェユニット40をZ方向に移動させるものである。つまり、Z軸アクチュエータ60は、ペルチェモジュール31の上面と、空冷ブロック21の下面とを当接させたり、離間させたりする。なお、チャック10と加熱部20と空冷部30とは、一体化されており、これらを固定ユニット50と称する。
【0017】
制御装置90は、PC(Personal Computer)であり、不図示の制御部が記憶部に格納された制御プログラムを実行することにより、ペルチェモジュール31、Z軸アクチュエータ60、不図示の空冷用ポンプ、水冷用ポンプ、計測器等を制御する制御機能を実現する。
【0018】
図2は、温度特性試験のフローチャートであり、本発明の第1実施形態であるチャックユニット100の温度制御方法(ヒータ通電方法)を含んでいる。図3図5は、ペルチェユニット40及び冷却部としての空冷部30の状態を示した図である。
【0019】
まず、作業者は、ウェハ1をチャック10に載置する(S1)。次に、制御装置90によりZ軸アクチュエータ60を制御して、図3で示すように、ペルチェユニット40を空冷部30から離間させる(S2)。そして、ペルチェユニット40と空冷部30とが離間した状態で、制御装置90は、加熱ブロック11の面状ヒータ12への通電を実行する制御を行い(S3)、空冷ブロック21を所定の高温状態にする。ここで、高温状態とは、ペルチェモジュール31の最大温度仕様値(例えば80℃~100℃))よりも高い温度(例えば、300℃~400°)を意味する。なお、図3において、加熱部20及び空冷部30のハッチングは、高温状態になっていることを示している。ウェハ1の温度が所望の高温状態に至ったら、制御装置90は、ウェハ1の電圧電流特性を計測する(S4)。
【0020】
S4の計測後、制御装置90は、図4に示すように、面状ヒータ12の通電を遮断する制御を実行すると共に、圧縮された冷却エアを供給する制御を実行し、空冷ブロック21を冷却する(S5)。そして、制御装置90は、加熱ブロック21の温度を測定し、ペルチェモジュール31が所定の中間温度(例えば、ペルチェモジュール31の最大温度仕様値(例えば80℃~100℃))以上であったら、処理をS5に戻し、空冷ブロック21の冷却を続ける。一方、ペルチェモジュール31が所定の中間温度(例えば、最大温度仕様値)未満になったら、制御装置90は、その温度で、ウェハ1の電圧電流特性を計測する(S7)。
【0021】
S7での計測後、制御装置90は、Z軸アクチュエータ60を上昇させる制御を実行して、図5に示すように、ペルチェユニット40の上面と空冷部30の下面とを当接させる(S8)。ペルチェユニット40と空冷部30とが当接したら、制御装置90は、ペルチェユニット40の温度を下げる制御を実行し、固定ユニット50を冷却する(S9)。加熱ブロック21の温度が所定の冷却温度(例えば、-60℃の氷点下)になったら、制御装置90は、ウェハ1の電圧電流の温度特性を計測する(S10)。
【0022】
以上説明したように、本実施形態のチャックユニット100によれば、面状ヒータ12を用いて高温状態(例えば、300℃~400°)まで加熱し、ペルチェモジュール31を用いて-60℃の低温状態まで冷却することができる。また、ペルチェモジュール31は、最大温度仕様値(例えば、80℃~100℃)があり、高温状態に維持し続けると、劣化する性質を有する。しかしながら、400℃の高温状態から中間温度(例えば、最大温度仕様値(例えば、80℃~100℃))まで、ペルチェユニット40と空冷部30とを離間させるので、ペルチェモジュール31の劣化を回避することができる。
【0023】
(変形例)
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形が可能である。
(1)前記実施形態では、空冷ブロック21を用いて、加熱部20を冷却したが、水冷を用いても構わない。
(2)前記実施形態では、ペルチェユニット40を上下動させたが、固定ユニット50を上下動させてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 ウェハ
2 チャックトップ
9 温度センサ
10 チャック
11 加熱ブロック(ヒータ加熱部)
12 面状ヒータ
20 加熱部
21 空冷ブロック(金属ブロック)
30 空冷部(冷却部)
31 ペルチェモジュール(移動ユニット)
32 水冷ブロック
40 ペルチェユニット
60 Z軸アクチュエータ
90 制御装置
100 チャックユニット
200 プローバ
図1
図2
図3
図4
図5