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▶ 安藤 元久の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077546
(43)【公開日】2022-05-24
(54)【発明の名称】器具
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/045 20060101AFI20220517BHJP
   A61F 5/01 20060101ALI20220517BHJP
   A61F 5/042 20060101ALI20220517BHJP
   A61G 7/07 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
A61F5/045
A61F5/01 G
A61F5/042 C
A61G7/07
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020188371
(22)【出願日】2020-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】512249157
【氏名又は名称】安藤 元久
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 元久
【テーマコード(参考)】
4C040
4C098
【Fターム(参考)】
4C040AA23
4C098AA03
4C098BB03
4C098BC22
4C098BC42
4C098BD02
(57)【要約】
【課題】寝台に用いられる器具において、部品点数を低減した簡易な構成により、頸椎を牽引することができる技術を提供する。
【解決手段】寝台に用いられる器具は、人の頭部と頸部とのうち少なくともいずれか一方に当接する柱状の頭部支持部であって、前記頭部を前記寝台から離間させるために用いられる頭部支持部と、前記頭部支持部を基台に固定可能な固定部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝台に用いられる器具であって、
人の頭部と頸部とのうち少なくともいずれか一方に当接する柱状の頭部支持部であって、前記頭部を前記寝台から離間させるために用いられる頭部支持部と、
前記頭部支持部を基台に固定可能な固定部と、を備える、
器具。
【請求項2】
前記固定部は、前記基台から離間する方向に向かって延出する支柱具を備える、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
請求項2に記載の器具であって、
さらに、前記支柱具に設けられ、前記支柱具と前記頭部支持部とを連結する角度調節部であって、前記支柱具の延出方向に対する前記頭部支持部の傾斜角度を調節するための角度調節部と、を備える、
器具。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の器具であって、
さらに、前記基台に取り付けられて用いられる位置調節部であって、前記基台に対する前記固定部の配置位置を調節するための位置調節部を備える、
器具。
【請求項5】
さらに、前記寝台から前記頭部支持部までの距離を調節するための離間距離調節部を備える、請求項2から請求項4までのいずれか一項に記載の器具。
【請求項6】
前記固定部は、前記基台から着脱可能である、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の器具。
【請求項7】
さらに、平板状の前記基台を備える、請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、器具に関する。
【背景技術】
【0002】
身体の各部を固定する固定具と、身体の伸長方向に牽引する牽引機とを備えるベッド式身体牽引機が知られている(例えば、特許文献1)。この牽引機では、顎を掛け止める頭部固定具と、胸部を固定する胸部固定具とで身体の伸長方向両端を固定した状態で牽引機を作動させることにより首部が牽引される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5-39522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
部品点数を低減した簡易な構成により首部を牽引することができる技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、寝台に用いられる器具が提供される。この器具は、人の頭部と頸部とのうち少なくともいずれか一方に当接する柱状の頭部支持部であって、前記頭部を前記寝台から離間させるために用いられる頭部支持部と、前記頭部支持部を基台に固定可能な固定部と、を備える。
この形態の器具によれば、頸椎を牽引するために顎を掛け止める頭部固定具を用いる必要がなく、部品点数を低減した簡易な構成により、頸椎を牽引することができる。
(2)上記形態の器具において、前記固定部は、前記基台から離間する方向に向かって延出する支柱具を備えてよい。
この形態の器具によれば、支柱具の長さを調節することによって、基台と頭部支持部との離間距離を容易に調節することができる。
(3)上記形態の器具は、さらに、前記支柱具に設けられ、前記支柱具と前記頭部支持部とを連結する角度調節部であって、前記支柱具の延出方向に対する前記頭部支持部の傾斜角度を調節するための角度調節部と、を備えてよい。
この形態の器具によれば、使用者は、支柱具の延出方向に対する頭部支持部の傾斜角度を調節することにより、例えば、頭部の形状の違いや身長の違いなどの人の身体の差異による頭部と頭部支持部との接点の適正位置のばらつきを吸収することができる。
(4)上記形態の器具は、さらに、前記基台に取り付けられて用いられる位置調節部であって、前記基台に対する前記固定部の配置位置を調節するための位置調節部を備えてよい。
この形態の器具によれば、使用者は、基台に対する頭部支持部の位置を調節することにより、例えば、身長の違いなどの人の身体の差異による頭部支持部の適正位置のばらつきを吸収することができる。
(5)上記形態の器具は、さらに、前記寝台から前記頭部支持部までの距離を調節するための離間距離調節部を備えてよい。
この形態の器具によれば、使用者は、頭部支持部の高さを調節することによって、例えば、頭部の形状の違いなどの人の身体の差異による頭部と頭部支持部との接点の高さのばらつきを吸収することができる。
(6)上記形態の器具において、前記固定部は、前記基台から着脱可能であってよい。この形態の器具によれば、器具と基台との着脱を容易に行うことができる。
(7)上記形態の器具において、さらに、平板状の前記基台を備えてよい。この形態の器具によれば、器具を容易に設置することができる。
本開示は、器具の種々の形態で実現することも可能である。例えば、身体の牽引方法、牽引装置、器具を備える寝具等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の器具を示す斜視図。
図2】器具の使用状態を示す説明図。
図3】第2実施形態の器具を示す斜視図。
図4】標準位置での角度調節部を拡大して示す側面図。
図5】標準位置に対して傾斜角度を調節された状態の角度調節部を示す側面図。
図6】第3実施形態としての器具を示す説明図。
図7】第4実施形態としての器具を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、本実施形態の器具100を示す斜視図である。器具100は、例えば、寝台部30に取り付けられて用いられる。寝台部30とは、人が横たわるときや寝るときに使用する台である。寝台部30には、例えば、ベッド、布団、マットレスなどの種々の寝台や診療台などが含まれる。本実施形態において、寝台部30は、身体の伸長方向に対応する長尺な略平板状の外観形状を有している。本実施形態では、寝台部30は、固定部40を介して頭部支持部50を固定するための基台として機能する。
【0009】
器具100は、寝台部30に横たわる人の頭部を支持するいわゆる枕として機能するとともに、人の首部や頸椎を牽引する機能を有している。器具100は、頸椎を引っ張ることによって、椎骨、椎間板、ならびに椎間関節の内圧の低下、椎骨の隙間(椎間孔)の拡張、椎骨と椎骨とによる神経圧迫の軽減、椎骨のずれの矯正などの効果を有し得る。器具100は、数時間以上牽引を持続する持続牽引と、例えば数秒ごとの牽引と休止とを交互に行う間欠牽引とのいずれに用いられてもよい。器具100の形状や大きさは、使用者の体型に合わせて、任意に調節されてよい。
【0010】
器具100は、頭部支持部50と、固定部40とを備えている。頭部支持部50は、略円柱形状を有する木製の部材である。頭部支持部50の断面幅、すなわち外径は、4~5cm程度である。頭部支持部50は、円柱の軸心が寝台部30の短手方向と平行、かつ基台としての寝台部30から離間された状態で固定されている。頭部支持部50は、寝台部30上に横たわる人の頭部と頸部とのうち少なくともいずれか一方に当接することにより、頭部を寝台部30から離間した状態で支持するとともに、頸椎を牽引することができる。頭部支持部50は、木製に限らず、金属材料や樹脂材料によって形成されてもよい。頭部支持部50は、円柱形状に限らず、八角柱や六角柱などの多角柱であってもよい。頭部支持部50の断面幅は4~5cmには限定されず、使用者の頭部や頸椎の位置など、使用者の体型に応じて適宜に変更されてもよい。
【0011】
固定部40は、基台としての寝台部30に頭部支持部50を固定する機能を有する。本実施形態では、固定部40は、2つ備えられている。各固定部40は、頭部支持部50の軸心に沿って互いに離間されて配置されている。固定部40は、それぞれ略円柱形状を有する支柱具である。固定部40の一端は、寝台部30に固定されており、固定部40の他端は、頭部支持部50に連結されている。すなわち、固定部40は、頭部支持部50を、寝台部30から離間した状態で固定している。固定部40は、その軸心が寝台部30の上面に対する法線と一致しており、寝台部30から離間する方向に向かって延出するように寝台部30上に固定されている。固定部40の長さは、使用者の体型に応じて任意に設定することができ、例えば、3~10cm程度で設定することができる。頸椎牽引療法の効果をより確実に得るために、寝台部30と、頭部支持部50との離間距離は、人の頭部が頭部支持部50に支持された状態において、頭部が寝台部30に接しない程度に調節されることが好ましい。
【0012】
図2は、器具100の使用状態を示す説明図である。図2に示すように、器具100は、寝台部30に横たわる使用者Hmの頭部HHを、寝台部30から離間した状態で支持している。使用者Hmの頭部HHは、寝台部30と接していてもよい。頸椎牽引療法の効果をより確実に得るために、頭部支持部50は、使用者Hmの後頭部から頸部までの間の位置に当接していること好ましく、頭部HHを寝台部30から離間させた状態で支持していることが好ましい。
【0013】
器具100は、いわゆるてこの原理を利用することにより、頸椎牽引を行う。図2には、てこにおける支点FPと、力点EFと、作用点ACとが示されている。支点FPは、使用者Hmの頭部HHと、頭部支持部50との接点である。力点EFは、頭部HHの下端近傍であり、作用点ACは、頸椎近傍である。力点EFには、頭部HHの重量に伴う重力Fgが発生している。
【0014】
図2には、支点FP、力点EF、ならびに作用点ACを結ぶ直線L1が示されている。重力Fgを分解することにより、第一分力F1と、第二分力F2とが得られる。第一分力F1は、直線L1に垂直な方向の分力であり、第二分力F2は、直線L1と平行な方向の分力である。力点EFに、第一分力F1が加えられることにより、作用点ACに、外力Ftが加えられる。外力Ftは、直線L1に垂直な方向に発生する力である。外力Ftは、頸椎に沿った第三分力F3と、第四分力F4と、に分解することができる。第三分力F3は、頸椎の延伸方向に沿った向きであり、身体の胴部から頭部へ向かう向き、すなわち頸椎の牽引方向に向かう力である。器具100は、頭部支持部50により頭部HHと当接することにより支点FPを形成し、頭部HHの重力Fgを利用して、頸椎を牽引するための第三分力F3を牽引力として得ている。
【0015】
以上、説明したように、本実施形態の器具100は、人の頭部HHを寝台部30から離間した状態で支持するための頭部支持部50と、頭部支持部50を寝台部30に固定するための固定部40とを備えている。本実施形態の器具100によれば、例えば、頸椎を牽引するために顎を掛け止める頭部固定具を用いる必要がなく、部品点数を低減することができる。したがって、本実施形態の器具100は、複雑な機構を備えることなく簡易な構成により、人の頸椎を牽引することができる。本実施形態の器具100によれば、部品点数を減らすことにより、使用者Hmと器具100との接点を低減し、使用者Hmの牽引時の不快感を低減または抑制することができる。本実施形態の器具100によれば、使用者Hmが頭部支持部50と頭部HHとの当接位置を切り換えることにより、頸椎牽引の機能と、いわゆる枕としての機能とを任意に切り換えることができる。
【0016】
本実施形態の器具100は、さらに、身体の伸長方向に対応する長尺な平板状の寝台部30を備えている。本実施形態の器具100によれば、頸椎牽引の機能を有する寝具を得ることができる。また、基台が備えられることにより、器具100を容易に設置することができる。
【0017】
本実施形態の器具100は、寝台部30から離間する方向に向かって延出し、頭部支持部50を、寝台部30から離間した状態で固定する支柱具としての固定部40を備えている。したがって、本実施形態の器具100は、寝台部30と頭部支持部50との離間距離、すなわち寝台部30から頭部支持部50と頭部HHとの接点までの距離を、支柱具の長さによって調節することができる。したがって、頭部支持部50のサイズ調節により寝台部30と頭部支持部50との離間距離を調節する場合と比較して、寝台部30と頭部支持部50との離間距離を容易に調節することができる。
【0018】
B.第2実施形態:
図3から図5を用いて本開示の第2実施形態としての器具100bについて説明する。図3は、第2実施形態の器具100bを示す斜視図である。第2実施形態の器具100bは、寝台部30に代えて、ベッド80に取り付けられて用いられる点と、2つの固定部40bと、頭部支持部50bとを備える点とにおいて、第1実施形態の器具100とは相違し、その他の構成は、第1実施形態の器具100と同様である。
【0019】
ベッド80は、略矩形形状を有しており、ベッド80の外縁を形成するフレーム86と、フレーム86を支持する4つの支柱82とを備えている。ベッド80は、寝台としても機能し、例えば、フレーム86や支柱82上にマットレスMLを配置することができる。
【0020】
フレーム86は、固定部40bを固定可能な基台として機能する。フレーム86は、ベッド80において人の伸長方向に対応する2つの長辺のうち一の長辺を形成する第一フレーム861と、第一フレーム861と対向し、他方の長辺を形成する第二フレーム862とを備えている。第一フレーム861および第二フレーム862は、略円柱形状を有している。ベッド80は、フレーム86に代えて、直方体などの立体形状や板状などの種々の形状の基台を備えてもよい。第一フレーム861および第二フレーム862の形状は円柱には限らず、多角柱などの円柱以外の種々の柱状でもよい。
【0021】
頭部支持部50bは、第1実施形態での頭部支持部50とは、軸方向の長さが異なる点において相違し、その他の構成は、第1実施形態での頭部支持部50と同様である。頭部支持部50bは、ベッド80の短手方向の幅に対応する長さを有している。頭部支持部50bの一端は、第一フレーム861に連結される固定部40bに接続され、他端は、第二フレーム862に連結される固定部40bに接続されている。
【0022】
固定部40bは、位置調節部44と、離間距離調節部42と、角度調節部46と、を備えている。位置調節部44は、略円筒形状を有する部材であり、その内部空間にフレーム86の一部を収容した状態で、第一フレーム861に取り付けられている。位置調節部44は、第一フレーム861が延伸する方向WAに沿って摺動することができる。方向WAは、ベッド80の長手方向と一致する。第一フレーム861と、第二フレーム862とに取り付けられたそれぞれの位置調節部44の位置が方向WAに沿って調整されることによって、フレーム86に対する固定部40bの配置位置、ひいては頭部支持部50bの配置位置をベッド80の長手方向に沿って任意に調節することができる。
【0023】
本実施形態では、位置調節部44は、例えば開閉可能に構成されることによって、フレーム86から着脱可能に構成されている。このように構成することにより、器具100bをベッド80から着脱させることができる。離間距離調節部42が位置調節部44から着脱可能に構成されることにより、器具100bがベッド80から着脱可能に構成されていてもよい。位置調節部44は、例えば、器具100bが離間距離調節部42に代えて柱状の固定部40を備える場合には、固定部40の下端に設けられてもよい。
【0024】
離間距離調節部42は、フレーム86から離間する方向に向かって延出する略円柱形状の部材である。離間距離調節部42の軸心は、鉛直方向HAと一致している。離間距離調節部42は、基台としてのフレーム86に頭部支持部50bを固定する支柱具として機能する。離間距離調節部42は、フレーム86から頭部支持部50bまでの距離、すなわち頭部支持部50bの高さを調節する機能を備えている。離間距離調節部42は、第一支柱部421と、第二支柱部422と、案内部426とを備えている。第一支柱部421および案内部426は、それぞれ略円柱形状を有し、第二支柱部422は略円筒形状を有しており、各部の軸心は、鉛直方向HAと一致している。
【0025】
第一支柱部421は、位置調節部44の上部に固定されている。第一支柱部421の上端には、第一支柱部421よりも外径の小さい案内部426が設けられている。第二支柱部422は、その内部に案内部426を収容し、案内部426の軸心に沿って摺動可能であり、第一支柱部421からの高さを調節することができる。第二支柱部422は、例えば、図示しない固定具によって、案内部426の摺動方向における任意の位置で固定することができる。本実施形態の器具100bでは、2つの第二支柱部422の位置を調節することにより、基台としてのフレーム86から頭部支持部50bまでの距離、すなわち頭部支持部50bの高さを任意に調節することができる。
【0026】
角度調節部46は、離間距離調節部42の上端に設けられている。角度調節部46は、離間距離調節部42と、頭部支持部50bとを連結している。角度調節部46は、例えば、器具100bが離間距離調節部42に代えて円柱状の固定部40を備える場合には、固定部40の上端に設けられてもよい。
【0027】
図4および図5を用いて、角度調節部46の機能について説明する。図4は、標準位置S1での角度調節部46を拡大して示す側面図である。図5は、標準位置S1に対して傾斜角度を調節された状態の角度調節部46を示す側面図である。角度調節部46の標準位置S1とは、角度調節部46の軸心が、鉛直方向と一致し、離間距離調節部42の延出方向と一致している状態を意味する。
【0028】
図4に示すように、角度調節部46は、回動部461と、支持軸462と、連結具463とを備えている。支持軸462は、頭部支持部50bに固定される軸部材である。支持軸462の中心軸AX2は、頭部支持部50bの軸心と一致している。支持軸462は、頭部支持部50bに固定されず、頭部支持部50bが中心軸AX2周りに回転可能となるように頭部支持部50bを支持してもよい。連結具463は、支持軸462と、回動部461とを連結する金属製のプレートである。連結具463は、支持軸462を固定している。連結具463は、支持軸462を固定せず、中心軸AX2周りに回転可能となるように支持軸462を支持してもよい。
【0029】
回動部461は、連結具463を固定する軸部材である。回動部461は、中心軸AX1周りに連結具463を回転させ、任意の位置に固定することができる。具体的には、図5に示すように、回動部461は、標準位置S1に対する連結具463の傾斜角度θ1を任意に調節することができる。すなわち、回動部461による連結具463の傾斜角度θ1の調節によって、頭部支持部50bの位置を中心軸AX1の周りに調節することができる。図5では、頭部支持部50bは、傾斜角度θ1が60度である位置S2に配置されている。傾斜角度θ1は、60度には限らず、15度や30度、45度や90度のように任意の角度に調節されてよい。
【0030】
以上、説明したように、本実施形態の器具100bは、離間距離調節部42と頭部支持部50bとを連結する角度調節部46を備えている。角度調節部46は、離間距離調節部42の延出方向に対する頭部支持部50bの傾斜角度θ1を調節する。本実施形態の器具100bによれば、使用者は、離間距離調節部42に対する頭部支持部50bの位置を調節することができる。したがって、本実施形態の器具100bは、例えば、頭部HHの形状の違いや身長の違いなどの人の身体の差異による頭部HHと頭部支持部50bとの接点の適正位置のばらつきを吸収することができる。そのため、本実施形態の器具100bは、頭部支持部50bが離間距離調節部42に固定される場合と比較して、人の身体の差異による頸椎牽引の効果への影響を低減または抑制することができる。
【0031】
本実施形態の器具100bは、フレーム86に対する固定部40bの配置位置を調節するための位置調節部44を備えている。本実施形態の器具100bによれば、使用者は、位置調節部44により、ベッド80に対する頭部支持部50bの位置を長手方向に沿って調節することができる。したがって、本実施形態の器具100bは、例えば、身長の違いなどの人の身体の差異によるベッド80に対する頭部支持部50bの適正位置のばらつきを吸収することができる。
【0032】
本実施形態の器具100bは、フレーム86から頭部支持部50bまでの距離、すなわち頭部支持部50bの高さを調節するための離間距離調節部42を備えている。本実施形態の器具100bによれば、使用者は、頭部支持部50bの高さを調節することによって、例えば、頭部HHの形状の違いなどの人の身体の差異による頭部HHと頭部支持部50bとの接点の高さのばらつきを吸収することができ、頭部HHの形状の違いなどの人の身体の差異によるフレーム86に対する頭部支持部50bの適正位置のばらつきを吸収することができる。本実施形態の器具100bによれば、頭部支持部50bの高さを、ベッド80やマットレスMLのサイズに応じて調節するなど、異なるサイズの寝具に容易に対応させることができる。
【0033】
本実施形態の器具100bによれば、固定部40bは、位置調節部44により、フレーム86から着脱可能に構成されている。したがって、本実施形態の器具100bによれば、例えば、使用者が頸椎牽引を行わない場合には、器具100bをベッド80から取り外すなど、器具100bとベッド80との着脱を容易に行うことができる。
【0034】
C.第3実施形態:
図6は、第3実施形態としての器具100cを示す説明図である。器具100cは、第1実施形態の器具100とは、寝台部30に代えて、異なるサイズの寝台部30cを基台として備える点において相違し、それ以外の構成は、第1実施形態の器具100と同様である。
【0035】
図6に示すように、寝台部30cは、頭部支持部50の外形と同程度の大きさを有している。換言すれば、器具100cは、寝台部30cを小型化することにより、いわゆる枕と同程度のサイズに調整されている。本実施形態の器具100cによれば、基台としての寝台部30cを小型化することにより、器具100cを可搬にすることができる。
【0036】
D.第4実施形態:
図7は、第4実施形態としての器具100dを示す説明図である。器具100dは、第1実施形態の器具100とは、頭部支持部50に代えて、異なるサイズの頭部支持部50dを備える点と、固定部40に代えて固定部40dを備える点とにおいて相違し、それ以外の構成は、第1実施形態の器具100と同様である。頭部支持部50dは、第1実施形態の頭部支持部50とは断面幅、すなわち外径が異なる。本実施形態では、頭部支持部50dの外径は10cm程度である。頭部支持部50dのそれ以外の構成は、第1実施形態の頭部支持部50と同様である。
【0037】
固定部40dは、例えば、ボルトであり、頭部支持部50dを寝台部30に固定するための固定具である。図7に示すように、頭部支持部50dは、固定部40dにより、寝台部30上に固定されている。このように構成された器具100dであっても、第1実施形態の器具100と同様の効果を得ることができる。
【0038】
E.他の実施形態:
(E1)上記各実施形態では、器具100,100b、100cが、固定部40,40bを2つ備える例を示した。これに対して、固定部40,40bは、2つに限らず1つであってよく、3以上の任意の数であってもよい。固定部40,40bの形状は、円柱形状に限らず、八角柱や六角柱などの多角柱であってもよく、平板状、球体、ならびに立方体など、基台と頭部支持部50とを連結可能な種々の立体形状でもよい。
【0039】
(E2)上記第2実施形態では、離間距離調節部42は、第一支柱部421と、第二支柱部422と、案内部426とを備える例を示した。これに対して、離間距離調節部42は、第一支柱部421と、第二支柱部422と、案内部426とに代えて、例えばラックアンドピニオンなど、高さが調節できる他の部材を備えてよく、そのほか、異なる長さの離間距離調節部42への交換や、延伸方向に部材を追加するなどの任意の方法によって、頭部支持部50bの高さが調節されてよい。
【0040】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
30,30c…寝台部、40,40b,40d…固定部、42…離間距離調節部、44…位置調節部、46…角度調節部、50,50b,50d…頭部支持部、80…ベッド、82…支柱、86…フレーム、100,100b,100c,100d…器具、421…第一支柱部、422…第二支柱部、426…案内部、461…回動部、462…支持軸、463…連結具、861…第一フレーム、862…第二フレーム、HH…頭部、ML…マットレス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7