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  • 特開-角度調整装置および回転伝達機構 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022007759
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】角度調整装置および回転伝達機構
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020110882
(22)【出願日】2020-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】319003611
【氏名又は名称】株式会社フェローテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鷺坂 圭亮
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131CA06
5F131CA09
5F131DA05
5F131DA33
5F131EA04
5F131EA23
5F131EA24
5F131EC02
5F131EC05
5F131FA10
5F131FA17
5F131FA39
(57)【要約】
【課題】 回転対象物の回転中心と回転装置による回転軸とのズレを補正可能とする。
【解決手段】角度調整装置1は、回転対象物100と、回転対象物100を下方から支持して鉛直方向の回転軸200で回転させる回転装置300と、の間に介在して回転対象物100の傾斜角を調整する装置であり、回転装置300の所定領域から上方へと円柱形状に延びるように取り付けられる柱状部10と、回転対象物100を支持する板状の支持部20と、柱状部10および支持部20のいずれか一方を上下方向に貫通して他方側に到達する3以上の棒状部30と、を備える。柱状部10における上端面および支持部20における裏面のうち、いずれか一方が他方に向けて凸となる球冠状に形成され、いずれか他方が一方の端面に沿って拡がる面状に形成されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転対象物と、回転対象物を下方から支持して鉛直方向の回転軸で回転させる回転装置と、の間に介在する角度調整装置であって、
前記回転装置において、前記回転軸と交差する面のうち、少なくとも前記回転軸を含む所定範囲に拡がる領域から上方へと円柱形状に延びるように取り付けられる柱状部と、
裏面側が前記柱状部の上端に取り付けられる板状の部材であり、該部材の表面側で前記回転対象物を支持する支持部と、
前記回転軸と交差する平面視で、該回転軸を中心とする均等な角度間隔で前記柱状部および前記支持部のいずれか一方を上下方向に貫通して他方側に到達する3以上の棒状部と、を備え、
前記柱状部および前記支持部は、前記柱状部における上端面および前記支持部における裏面のうち、いずれか一方が他方に向けて凸となる球冠状に形成され、いずれか他方が一方の端面に沿って拡がる面状に形成されており、
前記棒状部それぞれにおいて、前記柱状部および前記支持部のいずれか一方から他方へと向かう突出量を変化させることにより、前記支持部を介して前記回転対象物の水平面に対する傾斜角を調整する、
角度調整装置。
【請求項2】
前記柱状部および前記支持部は、前記柱状部における上端面および前記支持部における裏面側のうち、いずれか一方が他方に向けて凸となる球冠状に形成され、いずれか他方が一方の端面よりも曲率半径の大きい面状に形成されている、
請求項1に記載の角度調整装置。
【請求項3】
前記棒状部は、前記柱状部および前記支持部のいずれか一方を上下方向に貫通するネジとして形成され、上下方向に延びる軸を回転中心として回転させることにより、前記柱状部および前記支持部のいずれか他方に向けた突出量が変化するように構成されている、
請求項1または請求項2に記載の角度調整装置。
【請求項4】
前記柱状部および前記支持部のいずれか他方は、前記棒状部それぞれが到達する位置に形成されたネジ穴を有しており、
前記棒状部は、それぞれ前記柱状部および前記支持部のいずれか一方を上下方向に貫通して、いずれか他方に形成された前記ネジ穴にまで到達している、
請求項3に記載の角度調整装置。
【請求項5】
回転対象物と、回転対象物を下方から支持して鉛直方向の回転軸で回転させる回転装置と、の間に介在し、回転装置における回転体の回転を前記回転対象物へと伝達する回転伝達機構であって、
請求項1から4のいずれか一項に記載の角度調整装置が前記回転体と前記回転対象物との間に配置されている、回転伝達機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転対象物と、回転対象物を下方から支持して鉛直方向の回転軸にて回転させる回転装置と、の間に介在して、回転対象物の水平面に対する傾斜角を調整する角度調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した回転装置としては、例えば、半導体ウェハを1以上保持するべく上下方向に延びるボートを回転対象物とし、このボートを下方から支持して鉛直方向の回転軸にて回転させるものが知られている(特許文献1参照)。この回転装置は、表面処理用のガスで満たされた環境下で半導体ウェハごとボートを回転させることにより、半導体ウェハに表面処理を施す半導体処理装置の一部として用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3863786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の回転装置では、回転対象物を回転装置側に取り付ける際の精度などの要因で、回転対象物が水平面に対して傾斜し、回転対象物を回転させるべき望ましい回転中心が回転装置による回転軸からズレる可能性がある。
【0005】
このズレは、取付部分から上方に離れるほど拡大されてしまうため、回転対象物が上下方向に長くなるほどズレ量が大きくなり、これが回転対象物側に不具合を生じさせる可能性が高くなる。例えば、上述したようにボートを回転対象物とする構成であれば、上方で保持された半導体ウェハほど水平面に対して傾いた状態で回転することになるため、この傾きが表面処理の品質に影響を与え、意図しない品質のばらつきを発生させてしまう。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、回転対象物の回転中心と回転装置による回転軸とのズレを補正可能とするための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため第1局面は、回転対象物と、回転対象物を下方から支持して鉛直方向の回転軸で回転させる回転装置と、の間に介在する角度調整装置であって、前記回転装置において、前記回転軸と交差する面のうち、少なくとも前記回転軸を含む所定範囲に拡がる領域から上方へと円柱形状に延びるように取り付けられる柱状部と、裏面側が前記柱状部の上端に取り付けられる板状の部材であり、該部材の表面側で前記回転対象物を支持する支持部と、前記回転軸と交差する平面視で、該回転軸を中心とする均等な角度間隔で前記柱状部および前記支持部のいずれか一方を上下方向に貫通して他方側に到達する3以上の棒状部と、を備え、前記柱状部および前記支持部は、前記柱状部における上端面および前記支持部における裏面のうち、いずれか一方が他方に向けて凸となる球冠状に形成され、いずれか他方が一方の端面に沿って拡がる面状に形成されており、前記棒状部それぞれにおいて、前記柱状部および前記支持部のいずれか一方から他方へと向かう突出量を変化させることにより、前記支持部を介して前記回転対象物の水平面に対する傾斜角を調整する、角度調整装置である。
【0008】
また、上記局面は、以下に示す第2局面のようにしてもよい。
第2局面において、前記柱状部および前記支持部は、前記柱状部における上端面および前記支持部における裏面側のうち、いずれか一方が他方に向けて凸となる球冠状に形成され、いずれか他方が一方の端面よりも曲率半径の大きい面状に形成されている。
【0009】
これら局面の角度調整装置では、棒状部それぞれの支持部に向けた突出量を変化させることにより、柱状部および支持部のいずれか一方がなす球冠状の端面に他方のなす面を沿わせた状態で支持部を傾けることができ、これにより、回転対象物における回転中心の回転軸に対する角度、換言すれば回転対象物が水平面に対する傾斜角を調整することができる。
【0010】
これにより、何らかの要因で、回転対象物を回転させるべき望ましい回転中心が、回転装置による回転軸からズレたとしても、このズレを小さくすべく補正することが可能となる。
【0011】
また、上記局面は、以下に示す第3局面のようにしてもよい。
第3局面において、前記棒状部は、前記柱状部および前記支持部のいずれか一方を上下方向に貫通するネジとして形成され、上下方向に延びる軸を回転中心として回転させることにより、前記柱状部および前記支持部のいずれか他方に向けた突出量が変化するように構成されている。
【0012】
この局面の角度調整装置では、棒状部がネジとして形成されているため、これを回転させることで、棒状部の突出量を精密に変化させることができる。
【0013】
また、この局面は、以下に示す第4局面のようにしてもよい。
第4局面において、前記柱状部および前記支持部のいずれか他方は、前記棒状部それぞれが到達する位置に形成されたネジ穴を有しており、前記棒状部は、それぞれ前記柱状部および前記支持部のいずれか一方を上下方向に貫通して、いずれか他方に形成された前記ネジ穴にまで到達している。
【0014】
この局面の角度調整装置では、ネジとして形成された棒状部の先端側が、柱状部および支持部のいずれか他方に形成されたネジ穴で固定されるため、支持部の水平面に対する傾斜角を調整した状態を安定的に維持することができる。
【0015】
また、上記課題を解決するため第5局面は、回転対象物と、回転対象物を下方から支持して鉛直方向の回転軸で回転させる回転装置と、の間に介在し、回転装置における回転体の回転を前記回転対象物へと伝達する回転伝達機構であって、請求項1から4のいずれか一項に記載の角度調整装置が前記回転体と前記回転対象物との間に配置されている、回転伝達機構である。
【0016】
この局面の回転伝達機構であれば、上記第1~第4のいずれかの局面と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明における角度調整装置を示す斜視図
図2】本発明における角度調整装置を上下左右方向に拡がる平面で切断した状態を示す断面斜視図
図3】別の実施形態(1/2)における角度調整装置を示す斜視図
図4】別の実施形態(1/2)における角度調整装置を上下左右方向に拡がる平面で切断した状態を示す断面斜視図
図5】別の実施形態(2/2)における角度調整装置を示す斜視図
図6】別の実施形態(2/2)における角度調整装置を上下左右方向に拡がる平面で切断した状態を示す断面斜視図
図7】別の実施形態における角度調整装置を上下左右方向に拡がる平面で切断した状態を示す断面斜視図(1)
図8】別の実施形態における角度調整装置を上下左右方向に拡がる平面で切断した状態を示す断面斜視図(2)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(1)全体構成
【0019】
角度調整装置1は、図1図2に示すように、回転対象物100と、回転対象物100を下方から支持して鉛直方向の回転軸200で回転させる回転装置300と、の間に介在して回転対象物100の傾斜角を調整する装置であり、回転装置300の所定領域から上方へと円柱形状に延びるように取り付けられる柱状部10と、回転対象物100を支持する板状の支持部20と、柱状部10および支持部20のいずれか一方を上下方向に貫通して他方側に到達する3以上(本実施形態では4)の棒状部30と、を備える。
【0020】
本実施形態において、角度調整装置1は、回転装置300が搭載された半導体処理装置に適用されるものである。この回転装置300は、半導体ウェハを1以上保持するべく上下方向に延びるボートを回転対象物100として回転させるものであり、半導体処理装置の一部として搭載されるものである。また、この半導体処理装置は、表面処理用のガスで満たされた環境下で半導体ウェハごとボートを回転させることにより、半導体ウェハに表面処理を施す用途で用いられるものである。
【0021】
柱状部10は、回転装置300において、回転軸200と交差する面のうち、少なくとも回転軸200を含む所定範囲に拡がる領域から上方へと円柱形状に延びるように取り付けられる。本実施形態においては、柱状部10を包囲する筒状の筒状体310の上端に沿って拡がる面のうち、回転軸200を中心とする所定の領域から、筒状体310を上下方向に貫通するように柱状部10が配置されている。
【0022】
支持部20は、裏面側が柱状部10の上端に取り付けられる板状の部材であり、この部材における表面側で回転対象物100を支持するように構成されている。本実施形態において、支持部20は、板厚の大きい円形のブロックとして構成されている。
【0023】
これら柱状部10および支持部20は、柱状部10における上端面および支持部20における裏面のうち、いずれか一方が他方に向けて凸となる球冠状に形成され、いずれか他方が一方の端面に沿って拡がる面状に形成されている。ここで、柱状部10の上端面および支持部20の裏面のいずれか他方は、いずれか一方の端面よりも曲率半径の大きい面状に形成されていればよく、例えば、いずれか一方の端面に沿って拡がる平面状に形成してもよい。
【0024】
本実施形態では、柱状部10の上端面が、支持部20の裏面に向けて凸となる球冠状に形成され、支持部20の裏面が、柱状部10における球冠状の端面に沿って拡がる平面状に形成されている。つまり、本実施形態において、支持部20の裏面は、水平面に沿って拡がる平面形状となっている。
【0025】
棒状部30は、それぞれが回転軸200と交差する平面視で回転軸200を中心とする均等な角度(90°)間隔で、柱状部10および支持部20のいずれか一方を上下方向に
貫通して他方側に到達する。そして、棒状部30は、柱状部10および支持部20のいずれか他方に向けた突出量を変化させることにより、支持部20を介して回転対象物100の水平面に対する傾斜角を調整することができる。
【0026】
本実施形態では、棒状部30が、それぞれ柱状部10を上下方向に貫通して支持部20の裏面側に到達し、支持部20に向けた突出量を変化させることにより、支持部20を介して回転対象物100の水平面に対する傾斜角が調整される。
【0027】
また、棒状部30は、それぞれ柱状部10および支持部20のいずれか一方を上下方向に貫通して、いずれか他方に形成された嵌合孔にまで到達する充分な長さを有するネジとして形成されている。そして、柱状部10および支持部20のいずれか他方は、棒状部30が到達するそれぞれの位置に、棒状部30の先端側と嵌合するネジ穴として形成された嵌合孔を有している。このような構造により、ネジとしての棒状部30を回転させることで、柱状部10および支持部20のいずれか他方に形成された嵌合孔に嵌合するネジの長さが変化し、その結果、棒状部30の突出量が変化する。
【0028】
本実施形態では、柱状部10にその下方から上端にまで到達する貫通孔11が形成され、支持部20にその下方から上端側にまで到達する嵌合孔23が形成されており、柱状部10の貫通孔11に通した棒状部30を回転させることで、この棒状部30のうち、支持部20の嵌合孔23に嵌合するネジの長さが変化し、その結果、棒状部30の突出量が変化する。なお、貫通孔11は、柱状部10の上端側において途中から細くなり、それ以上は、ネジの本体部分のみが通過できるものの、棒状部30におけるネジの頭部が通過できない構造となっており、この段差により棒状部30の変位を規制する構成とされている。
【0029】
また、本実施形態において、嵌合孔23は、支持部20を上下方向に貫通する孔として形成されており、これにより、棒状部30が到達する側と反対側の端面(つまり支持部20における表面)から、棒状部30が嵌合孔23に収まっている長さを視認可能となっている。なお、この嵌合孔23は、支持部20の上端にまで到達しない(上下方向に貫通していない)孔として形成されていてもよい。
【0030】
このように構成された角度調整装置1は、柱状部10を回転装置300側で取り囲むように設けられたベアリング40が設けられ、このベアリング40が回転装置300側の包囲壁320との間に介在することにより、回転装置300における回転体(本実施形態では柱状部10の下端側が当該回転体として一体的に構成されている)の回転を回転対象物100へと伝達する回転伝達機構の一部をなしている。
【0031】
(2)変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0032】
例えば、上記実形態では、柱状部10の上端面が球冠状に形成され、支持部20の裏面が柱状部10の端面に沿って拡がる面状に形成されている構成を例示した。しかし、柱状部10および支持部20は、図3図4に示したように、支持部20の裏面側が、柱状部10の上端面に向けて凸となる球冠状に形成され、柱状部10の上端が、支持部20の端面に沿って拡がる面状に形成されている構成としてもよい。
【0033】
この構成では、棒状部30が、それぞれ支持部20を上下方向に貫通して柱状部10の上端側に到達し、柱状部10に形成された嵌合孔13に収まる長さおよび裏面側から突出する長さを変化させることにより、支持部20を介して回転対象物100の水平面に対す
る傾斜角が調整される。
【0034】
また、上記実施形態では、4の棒状部30が回転軸200を中心として均等な角度(90°)間隔で設けられた構成を例示した。しかし、棒状部30は、図3図4に示すように、6の棒状部30が回転軸200を中心として均等な角度(60°)間隔で設けられた構成、図5図6に示すように、3の棒状部30が回転軸200を中心として均等な角度(120°)間隔で設けられた構成としてもよい。また、5以上であるnの棒状部30が回転軸200を中心として均等な角度(360°/n)間隔で設けられた構成としてもよい。
【0035】
なお、6の棒状部30が回転軸200を中心として均等な角度(60°)間隔で設けられた構成においては、図4に示すように、柱状部10の裏面から回転装置300へと向けて延びる柱状の回転体50と、この回転体50を回転装置300側で取り囲むように設けられたベアリング40と、が設けられたものとすればよい。この構成では、ベアリング40が回転装置300側の包囲壁320との間に介在することにより、回転体50の回転を回転対象物100へと伝達する回転伝達機構の一部をなすこととなる。
【0036】
また、上記実施形態において、柱状部10には、棒状部30それぞれに対応する貫通孔11が、それぞれ下方から上端にまで到達する孔として形成されている構成を例示した。しかし、この貫通孔11は、本発明としての機能を発揮できれば、必ずしも柱状部10の下端から上端にまで到達していない構成としてもよい。
【0037】
例えば、図7に示すように、柱状部10における下端側の領域15を、その外周が棒状部30それぞれに対応する領域よりも内側(回転軸200寄り)に位置するような外径とすることにより、貫通孔11が柱状部10における上端側の領域17のみに形成された構成となるようにしてもよい。ここで、上端側の領域17は、棒状部30におけるネジの頭部が通過不能な径の貫通孔11を形成し、下端側の領域17との境界面を回転軸200と交差する平面状に形成するとよい。
【0038】
また、図8に示すように、柱状部10における下端側の領域15を中空の筒状とし、この中空の空間に棒状部30それぞれに対応する領域が収まるようにすることにより、貫通孔11が柱状部10における上端側の領域17のみに形成された構成となるようにしてもよい。ここで、上端側の領域15は、棒状部30におけるネジの頭部が通過不能な径の貫通孔11を形成し、下端側の領域15との境界を回転軸200と交差する平面状に形成するとよい。
【0039】
(3)作用効果
上述した角度調整装置1では、棒状部30それぞれの支持部20に向けた突出量を変化させることにより、柱状部10および支持部20のいずれか一方がなす球冠状の端面に他方のなす面を沿わせた状態で支持部20を傾けることができ、これにより、回転対象物100における回転中心の回転軸200に対する角度、換言すれば回転対象物100が水平面に対する傾斜角を調整することができる。
【0040】
これにより、何らかの要因で、回転対象物100を回転させるべき望ましい回転中心が、回転装置300による回転軸200からズレたとしても、このズレを小さくすべく補正することが可能となる。
【0041】
本実施形態のように、半導体ウェハを1以上保持するボートを回転対象物100とする半導体処理装置では、これら半導体ウェハに表面処理を施すにあたり、回転対象物100における回転中心が回転軸200に対してズレていると、ボートの上方で保持されている
半導体ウェハほど水平面に対して傾いた状態で回転することになり、この傾きが表面処理の品質に影響を与え、意図しない品質のばらつきを発生させる懸念がある。
【0042】
このようなことから、本実施形態のように、回転対象物100における回転中心の回転軸200に対するズレを補正できることは、半導体処理装置における意図しない品質のばらつきを抑えることに寄与する。
【0043】
また、上記角度調整装置1では、棒状部30がネジとして形成されているため、これを回転させることで、棒状部30の突出量を精密に変化させることができる。
【0044】
また、上記角度調整装置1では、ネジとして形成された棒状部30の先端側が、柱状部10および支持部20に形成された貫通孔および嵌合孔で固定されるため、支持部20の水平面に対する傾斜角を調整した状態を安定的に維持することができる。
【符号の説明】
【0045】
1…角度調整装置、10…柱状部、11…貫通孔、13…嵌合孔、15…下端側の領域、17…上端側の領域、20…支持部、23…嵌合孔、30…棒状部、40…ベアリング、50…回転体、100…回転対象物、200…回転軸、300…回転装置、310…筒状体、320…包囲壁。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8