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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077636
(43)【公開日】2022-05-24
(54)【発明の名称】車両用ステップ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 3/02 20060101AFI20220517BHJP
【FI】
B60R3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020188532
(22)【出願日】2020-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】三輪 政史
(72)【発明者】
【氏名】村松 厚志
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】市川 元大
(72)【発明者】
【氏名】小林 孝央
(72)【発明者】
【氏名】加藤 則郎
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022AA02
3D022AC01
3D022AC04
3D022AD02
3D022AE10
3D022AE11
3D022AE12
(57)【要約】
【課題】薄いステップを有する車両用ステップ装置を提供する。
【解決手段】車両用ステップ装置は、車両に取り付けられるベースと、ベースに設けられるアーム6と、アーム6によって支持されてベースに対して移動可能に設けられるステップと、を備える。ステップは、第1ステップ部材71と、第1ステップ部材71に重ねられる第2ステップ部材72とを有し、アーム6の基端は、ベースに回転可能に取り付けられ、アーム6の先端は、第1ステップ部材71と第2ステップ部材72との間に配置されて、第1ステップ部材71および第2ステップ部材72に回転可能に取り付けられる。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられるベースと、
前記ベースに設けられるアームと、
前記アームによって支持されて前記ベースに対して移動可能に設けられるステップと、を備え、
前記ステップは、第1ステップ部材と、前記第1ステップ部材に重ねられる第2ステップ部材とを有し、
前記アームの基端は、前記ベースに回転可能に取り付けられ、
前記アームの先端は、前記第1ステップ部材と前記第2ステップ部材との間に配置されて、前記第1ステップ部材および前記第2ステップ部材に回転可能に取り付けられる
車両用ステップ装置。
【請求項2】
前記第1ステップ部材および前記第2ステップ部材の少なくとも1つに重ねられる第3ステップ部材をさらに備え、
前記第1ステップ部材および前記第2ステップ部材の一方は、一方から他方に突出する凸部を有する
請求項1に記載の車両用ステップ装置。
【請求項3】
前記第1ステップ部材および前記第2ステップ部材の一方は、他方側に突出する凸部を有し、
前記一方に設けられる前記凸部は、前記他方に接触するように設けられる
請求項1または2に記載の車両用ステップ装置。
【請求項4】
前記第1ステップ部材および前記第2ステップ部材の一方に設けられる前記凸部が前記第1ステップ部材および前記第2ステップ部材の他方に接触することにより、前記第1ステップ部材および前記第2ステップ部材の少なくとも一方と前記アームの先端との間に隙間が設けられる
請求項2または3に記載の車両用ステップ装置。
【請求項5】
前記アームの基端の回転軸線に沿う方向における前記アームの厚幅は、前記アームの長手方向において、前記アームの先端に向かって漸減している
請求項1~4のいずれか一項に記載の車両用ステップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ステップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用ステップ装置が開示されている。同文献に記載の車両用ステップ装置は、ベース(同文献では、ステップ支持ブラケット)と、ベースに設けられる複数のアームと、アームによって支持されるステップ(同文献では、ステップ板)とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-137385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ステップは車体の下に配置される。ステップは、他の部分に比べて地面に近い位置にある。このようなことから、車両走行時に、ステップは、地面に置かれる物に接触し易い。そのため、ステップは、地面から離れた位置に配置することが好ましい。ステップを薄くすることによって、地面に置かれる物に接触し難くできるが、この場合、ステップの強度が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決する車両用ステップ装置は、車両に取り付けられるベースと、前記ベースに設けられるアームと、前記アームによって支持されて前記ベースに対して移動可能に設けられるステップと、を備え、前記ステップは、第1ステップ部材と、前記第1ステップ部材に重ねられる第2ステップ部材とを有し、前記アームの基端は、前記ベースに回転可能に取り付けられ、前記アームの先端は、前記第1ステップ部材と前記第2ステップ部材との間に配置されて、前記第1ステップ部材および前記第2ステップ部材に回転可能に取り付けられる。
【0006】
アームがステップを下から支持する下支え構造の場合、ステップの実質的な厚幅は、ステップ板の厚幅と、アームの先端の厚幅とを総合した厚さになる。厚幅は、上下方向における物の厚みを示す。上記構成によれば、第1ステップ部材と第2ステップ部材との間にアームの先端が取り付けられる。このため、ステップの実質的な厚幅は、下支え構造の車両用ステップ装置に比べて、薄くできる。このようにして、ステップの強度低下を抑制しながら、ステップを薄くできる。
【0007】
(2)上記車両用ステップ装置において、前記第1ステップ部材および前記第2ステップ部材の少なくとも1つに重ねられる第3ステップ部材をさらに備え、前記第1ステップ部材および前記第2ステップ部材の一方は、一方から他方に突出する凸部を有する。この構成によれば、第3ステップ部材と、第1ステップ部材および第2ステップ部材の少なくとも1つに設けられる凸部とによってステップを補強できる。
【0008】
(3)上記車両用ステップ装置において、前記第1ステップ部材および前記第2ステップ部材の一方は、他方側に突出する凸部を有し、前記一方に設けられる前記凸部は、前記他方に接触するように設けられる。
【0009】
この構成によれば、第1ステップ部材および第2ステップ部材の一方の部材に加わる力は、第1ステップ部材および第2ステップ部材の他方の部材に直接加えられるようになり、第1ステップ部材と第2ステップ部材との両方で受けることができる。これによって、ステップの変形を抑制できる。
【0010】
(4)上記車両用ステップ装置において、前記第1ステップ部材および前記第2ステップ部材の一方に設けられる前記凸部が前記第1ステップ部材および前記第2ステップ部材の他方に接触することにより、前記第1ステップ部材および前記第2ステップ部材の少なくとも一方と前記アームの先端との間に隙間が設けられる。
【0011】
この構成によれば、第1ステップ部材および第2ステップ部材の少なくとも一方とアームの先端との間に隙間が設けられるため、アームは円滑に回転できるようになり、ステップは円滑に移動する。
【0012】
(5)上記車両用ステップ装置において、前記アームの基端の回転軸線に沿う方向における前記アームの厚幅は、前記アームの長手方向において、前記アームの先端に向かって漸減している。この構成によれば、アームの曲げ強度の低下を抑制しながら、アームの先端の厚幅を小さくできるため、ステップをさらに薄くできる。
【発明の効果】
【0013】
薄いステップを有する車両用ステップ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る車両用ステップ装置を備える車両の平面図。
図2】ステップが格納位置に配置された車両用ステップ装置の斜視図。
図3】ステップが展開位置に配置された車両用ステップ装置の斜視図。
図4】ステップが展開位置に配置された車両用ステップ装置の平面図。
図5】第1アームの背面図。
図6】駆動部の平面図。
図7】ステップの分解斜視図。
図8図3のVIII-VIII線に沿う車両用ステップ装置の断面図。
図9図3のIX-IX線に沿う車両用ステップ装置の断面斜視図。
図10図9のX-X線に沿う車両用ステップ装置の断面斜視図。
図11】ステップが格納位置に配置された車両用ステップ装置の正面図。
図12】第1ステップ部材の変形例の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1図11を参照して、車両用ステップ装置について説明する。本実施形態において車両用ステップ装置1の前後方向は、車両用ステップ装置1を車両に取り付けた状態において、車両の前後方向に一致する。車両用ステップ装置1の上下方向DZは、車両用ステップ装置1を車両に取り付けた状態において、鉛直方向に一致する。車両幅方向DXは、車両用ステップ装置1を車両に取り付けた状態において、車幅方向に一致する。ステップ7の幅方向DWは、ステップ7の長手方向DLに交差する方向を示す。
【0016】
図1に示されるように、車両用ステップ装置1は、車両2に取り付けられる。例えば、車両用ステップ装置1は、車体の底板の下面に取り付けられる。車両用ステップ装置1は、車体の底板において、ドアによって閉鎖される車両乗降口の付近に取り付けられる。車両用ステップ装置1のステップ7は、ステップ7の使用時、乗降用の補助ステップとして使用される目的で、車両乗降口の下端よりも下方に配置される。一例では、車両用ステップ装置1のステップ7は、モータ31の動力によって移動する。車両用ステップ装置1のステップ7は、乗降の際の所定操作指令によって、車両2の底板の下に収容された格納位置から展開位置まで移動する。ステップ7が展開位置まで移動すると、ステップ7は、平面視で、ステップ7の少なくとも一部が車体から露出するように配置される。
【0017】
図2に示されるように、車両用ステップ装置1の格納状態では、車両用ステップ装置1が車両2に取り付けられた取付状態において、ステップ7は、ベース4の斜め前方または斜め後方の隣接した位置にある。
【0018】
図3に示されるよう、車両用ステップ装置1の展開状態は、車両用ステップ装置1が車両2に取り付けられた取付状態において、ステップ7は、ベース4に対して車両幅方向DXに所定距離を隔てた位置にある。
【0019】
図4に示されるように、車両用ステップ装置1は、車両2に取り付けられるベース4と、ベース4に設けられるアーム6と、ステップ7とを備える。ステップ7は、アーム6によって支持されてベース4に対して移動可能に設けられる。本実施形態では、車両用ステップ装置1は、複数のアーム6を含む。ステップ7は、複数のアーム6によって支持される。さらに、車両用ステップ装置1は、アーム6を動作させる駆動部8を備える。車両用ステップ装置1は、アーム6として、第1アーム21、第2アーム22および第3アーム23を備える。
【0020】
ベース4は、ベース本体5と、3個のブラケット10とを含む。ベース4は、車両用ステップ装置1が車両2に取り付けられた取付状態において、車両2の前後方向に延びるように構成される。本実施形態では、3個のブラケット10を前から順に第1ブラケット11、第2ブラケット12、第3ブラケット13と呼ぶ。ベース本体5には、駆動部8と、第1アーム21と、第2アーム22とが取り付けられる。ベース本体5は、第1ブラケット11および第2ブラケット12を介して車体に取り付けられる。第3ブラケット13は、連結部材9を介してベース本体5に連結される。第3ブラケット13には、第3アーム23が取り付けられる。第3ブラケット13は、車体に取り付けられる。
【0021】
第1アーム21、第2アーム22および第3アーム23それぞれの基端は、ベース4に回転可能に取り付けられる。第1アーム21、第2アーム22および第3アーム23それぞれの基端の回転軸線CAは、互いに平行である。第1アーム21、第2アーム22および第3アーム23それぞれの先端は、ステップ7に回転可能に取り付けられる。第1アーム21、第2アーム22および第3アーム23それぞれの先端の回転軸線CBは、互いに平行である。さらに、第1アーム21、第2アーム22および第3アーム23それぞれの先端の回転軸線CBは、第1アーム21、第2アーム22および第3アーム23それぞれの基端の回転軸線CAと互いに平行である。
【0022】
第1アーム21、第2アーム22および第3アーム23それぞれについて、基端の回転軸線CAおよび先端の回転軸線CBは、車両用ステップ装置1が車両2に取り付けられた取付状態において、鉛直方向に平行であってもよく、鉛直方向に対して傾いてもよい。基端の回転軸線CAおよび先端の回転軸線CBが鉛直方向に平行である場合、ステップ7は水平に移動する。基端の回転軸線CAおよび先端の回転軸線CBが鉛直方向に対して傾いている場合、ステップ7は、鉛直方向に対して斜めに交差するように移動する。
【0023】
第1アーム21、第2アーム22および第3アーム23は、前から、第1アーム21、第2アーム22、第3アーム23の順に配置される。第1アーム21の長さ、第2アーム22の長さ、および第3アーム23の長さは、ともに等しい。アーム6の長さは、アーム6の基端の回転軸線CAとアーム6の先端の回転軸線CBとの間の距離として定義される。
【0024】
第1アーム21の基端21aには第1軸部24が設けられる。第1アーム21の基端21aは、第1軸部24を介してベース4に取り付けられる。第1アーム21の先端21bは、第2軸部25を介してステップ7に取り付けられる。
【0025】
第2アーム22の基端22aには第1軸部24が設けられる。第2アーム22の基端22aは、第1軸部24を介してベース4に取り付けられる。第2アーム22の先端22bは、第2軸部25を介してステップ7に取り付けられる。
【0026】
第3アーム23の基端23aには第1軸部24が設けられる。第3アーム23の基端23aは、第1軸部24を介してベース4に取り付けられる。第3アーム23の先端23bは、第2軸部25を介してステップ7に取り付けられる。
【0027】
一例では、第1アーム21、第2アーム22、および第3アーム23のうち、第3アーム23は、第1アーム21および第2アーム22の一方に対して、車両幅方向DXにずれたところに配置される。本実施形態では、第3アーム23の先端23bは、車両幅方向DXに、第1アーム21の先端21bよりも車両幅方向DXにおける外方に配置される。
【0028】
各アーム6は、長手方向DLAにおいて、基端から先端に向かって上下方向DZにおける厚幅DTが漸減するように構成される(図5参照)。アーム6の厚幅DTは、次のように構成される。アーム6の基端の回転軸線CAに沿う方向におけるアーム6の厚幅DTは、アーム6の長手方向DLAにおいて、アーム6の先端に向かって漸減する。このような構成のアーム6によれば、アーム6の曲げ強度の低下を抑制しつつ、アーム6の先端を薄くできる。アーム6の先端を薄くできることによって、アーム6の先端で支持されている部分におけるステップ7の厚幅を薄くできる。
【0029】
図5を参照して、第1アーム21の一例を説明する。図5は、車両用ステップ装置1が車両2に取り付けられた取付状態で、ステップ7が展開位置に配置されているとき、第1アーム21を背面から見たときの図である。第1アーム21の厚幅DTは、正面視で、アーム6の長手方向DLAにおける少なくとも一部の範囲で、基端21aから先端21bに向かって漸減する。具体的には、第1アーム21の長手方向DLAにおいて、第1アーム21の基端21aと先端21bとを除いた中間範囲21fで、第1アーム21の厚幅DTが、第1アーム21の先端21bに向かって漸減する。一例では、第1アーム21の上面21dは、基端21aに近い位置から先端21bに向かって途中部位21xまで下方に傾斜し、途中部位21xから先端21bに向かって水平に延びる。第1アーム21の下面21eは、基端21aに近い位置から先端21bに向かって上方に傾斜する。このような第1アーム21は、次の参照のアームに比較して、先端が薄い。参照のアームは、第1アーム21と同じ長さであり、長手方向DLAに沿って厚幅DTが均等であって、かつ第1アーム21と曲げ強度が等しい。
【0030】
参考のアームとして、アーム6と同程度の曲げ強度を有して、長手方向DLAにおいて均一な厚幅DTを有するアームが挙げられる。基端から先端に向かって厚幅DTが漸減するように構成されたアーム6は、同程度の曲げ強度を有する参考のアームに比べて、アーム6の先端の厚幅DTを薄くできる。なお、アーム6の基端から先端のすべての部分で厚幅DTが漸減していなくてもよく、基端から先端に向かってアーム6の一部が漸減し、一部は一定厚幅でもよい。
【0031】
図6に示されるように、駆動部8は、モータ31と、減速部32と、動力伝達部33と、モータカバー35とを備える。駆動部8は、少なくとも1つのアーム6を回動させる。本実施形態では、駆動部8は、第1アーム21を回動させる。
【0032】
モータ31は、モータ支持部材を介してベース本体5に取り付けられる。モータカバー35は、モータ31、減速部32、および動力伝達部33を収容する。減速部32は、モータ31の出力軸の回転速度を減速する減速ギア(図示省略)と、減速ギアの回転に基づいて回転するピニオンギア34とを有する。ピニオンギア34は、動力伝達部33のラック36に噛み合う。
【0033】
図6を参照して、動力伝達部33を説明する。
動力伝達部33は、ベース4に往復運動可能に支持されたラック36と、連結部品38とを備える。連結部品38は、ラック36の端部と、第1アーム21の基端21aから突出する突出部21cを連結する。突出部21cは、第1アーム21の基端21aから第1軸部24の回転軸線CAに対する径方向に突出する。突出部21cは、第1アーム21の基端21aに固定されている。連結部品38の一方の端部は、ラック36の端部に回転可能に取り付けられ、かつ、連結部品38の他方の端部は、第1アーム21の突出部21cに回転可能に取り付けられる。
【0034】
ラック36は、モータ31の回転動力によって移動する。モータ31の回転動力はピニオンギア34に伝えられる。ピニオンギア34の回転によってラック36が移動し、ラック36の移動によって、ラック36と連結部品38によって連結されている第1アーム21が回動する。第1アーム21が回動することによって、ステップ7が移動する。第2アーム22および第3アーム23は、ステップ7の移動に従うように回動する。要するに、モータ31の回転動力によって第1アーム21が回動し、第1アーム21の回動によってステップ7が移動する。
【0035】
図7および図8を参照して、ステップ7およびアーム6の先端の取付構造について説明する。
ステップ7の長さは、例えば、車両乗降口の長さに応じた長さに構成される。
【0036】
ステップ7は、第1ステップ部材71と、第1ステップ部材71に重ねられる第2ステップ部材72とを備える。さらに、ステップ7は、1または複数の第3ステップ部材73を備える。第3ステップ部材73は、第1ステップ部材71および第2ステップ部材72の少なくとも1つに重ねられる。さらに、ステップ7は、ステップ7の前端を保護する前側カバー73xと、ステップ7の後端を保護する後側カバー73yとを備える。
【0037】
例えば、第2ステップ部材72は、第1ステップ部材71の上に重ねられる。第3ステップ部材73は、第2ステップ部材72の上に重ねられる。第3ステップ部材73は、第2ステップ部材72を覆うカバーとして構成される。第1ステップ部材71および第2ステップ部材72は板金によって形成される。第3ステップ部材73は、樹脂または金属によって形成される。
【0038】
第2ステップ部材72は、第1ステップ部材71と第2ステップ部材72との間にアーム配置空間SAが設けられるように重ねられる。各アーム6の先端は、第1ステップ部材71と第2ステップ部材72との間に配置され、アーム配置空間SAに収容される。各アーム6の先端は、第1ステップ部材71および第2ステップ部材72に第2軸部25を介して回転可能に取り付けられる。
【0039】
第1ステップ部材71および第2ステップ部材72の一方は、一方から他方に突出する凸部75を有する。第1ステップ部材71および第2ステップ部材72の一方の凸部75は、他方に接触するように設けられる。第1ステップ部材71および第2ステップ部材72の一方の凸部75は、第1ステップ部材71および第2ステップ部材72の他方に接触することによって、第1ステップ部材71と第2ステップ部材72との間にアーム配置空間SAを設けるように、構成される。さらに具体的には、第1ステップ部材71および第2ステップ部材72の一方の凸部75は、第1ステップ部材71および第2ステップ部材72の他方に接触することによって、第1ステップ部材71および第2ステップ部材72の少なくとも一方とアーム6の先端との間に隙間Sが設けられるように、構成される。
【0040】
一例では、図8に示されるように、第2ステップ部材72において、第2軸部25に対して複数の凸部75が設けられる。第2ステップ部材72には、第1凸部76と、複数の第2凸部77とが設けられる。第1凸部76は、第2ステップ部材72の幅方向DWの外側端縁に沿うように設けられる。複数の第2凸部77は、複数の第2凸部77の間に第2軸部25が配置されるように、第2ステップ部材72に設けられる。
【0041】
図9は、図3のIX-IX線に沿う車両用ステップ装置1の断面図であり、第3ステップ部材73の図示が省略された図である。
図9に示されるように、ステップ7は、アーム6の中間部の一部を収容できる収容部74を有する。収容部74は、ステップ7において、幅方向DWにおけるベース4側の端縁に設けられる。収容部74は、ステップ7が格納位置に配置されるとき、アーム6の中間部の一部が収容されるように構成される。具体的には、収容部74は、ステップ7において、第2軸部25の周辺に設けられる。収容部74において、ステップ7は、ベース4に向かって開口する。さらに、ステップ7においてベース4側の端縁における開口幅Wは、ベース4に向かって拡大する。具体的には、第1ステップ部材71においてベース4側の端縁71eは、下方に向かって反り、第2ステップ部材72においてベース4側の端縁72eは、上方に向かって反る。この構造によって、アーム6の一部が円滑に収容部74に収容される。
【0042】
図9に示されるように、第1ステップ部材71および第2ステップ部材72の少なくとも1つは、補強部78を有する。補強部78は、第1ステップ部材71および第2ステップ部材72の一方から他方に向かって突出するように構成される。好ましくは、補強部78は、第1ステップ部材71および第2ステップ部材72の一方から他方に向かって突出し、かつ、他方に接触しないように構成される。この構造によって、第1ステップ部材71と第2ステップ部材72との間の間隔距離が精確に維持される。補強部78は、ステップ7の長手方向DLに延びる第1部分と、ステップ7の幅方向DWに延びる第2部分とを有する。補強部78は、ステップ7の長手方向DLに対して斜めに交差するように延びる部分を有してもよい。補強部78は、凸部75に繋がってもよい。
【0043】
各アーム6の先端は、第1ステップ部材71と第2ステップ部材72との間に配置されて、かつ、第1ステップ部材71および第2ステップ部材72に回転可能に取り付けられる。
【0044】
図8および図10を参照して、ステップ7において、第1アーム21の先端21bが配置される部分の構造の一例を説明する。図10は、図9のX-X線に沿う断面図である。
第2ステップ部材72は、第1アーム21の先端21bを回転可能に支持する支持部80を有する。第2ステップ部材72には、支持部80の前および後それぞれに第2凸部77を有する(図8参照)。第2凸部77は、第1ステップ部材71に向かって突出し、かつ、第1ステップ部材71に接触するように構成される。第2凸部77は、下方に向かって窄むように構成される。第2凸部77の下端部は、第1ステップ部材71とピンで結合される。2個の第2凸部77の間には、第1アーム21の先端21bが入るアーム配置空間SAが設けられる。2個の第2凸部77によって、アーム配置空間SAの高さが精確に設定される。
【0045】
図10に示されるように、支持部80には、第2軸部25が設けられる。第2軸部25は、第1ピン81と、第1ピン81に結合する第2ピン82とを備える。第1ピン81は、第2ピン82の孔への圧入で、第2ピン82に結合される。第1ピン81は、第1ステップ部材71の孔に圧入することによって、第1ステップ部材71に固定される。第2ピン82は、第2ステップ部材72の孔に圧入することによって、第2ステップ部材72に固定される。第2ピン82の頭部82aは、第2ステップ部材72の上面から突出する。第3ステップ部材73には、第2ピン82の頭部82aを収容するピン収容部73aが設けられる。ピン収容部73aは、第3ステップ部材73に設けられる貫通孔として構成される。第2ピン82の頭部82aは、ピンカバー83によって覆われる。ピンカバー83は、第3ステップ部材73の上面から突き出ないように構成される。第3ステップ部材73の表面が凹凸の場合、少なくとも凸部の上面からピンカバー83は突き出ないようにする。この場合において、第3ステップ部材73の表面の凹部の底面からピンカバー83は突き出てもよい。ピン収容部73aは、第3ステップ部材73に設けられる凹部として構成されてもよい。この場合、ピンカバー83は省略される。
【0046】
第2軸部25には、ローラ84が回転可能に取り付けられる。第1アーム21の先端21bは、ローラ84を介して第2軸部25に取り付けられる。具体的には、第1アーム21の先端21bの貫通孔に、ローラ84が収容される。ローラ84の孔に第2軸部25が挿通する。
【0047】
第1アーム21の先端21bがローラ84を介して第2軸部25に取り付けられた状態において、第1アーム21の先端21bの下面と第1ステップ部材71との間には隙間Sが設けられ、第1アーム21の先端21bの上面と第2ステップ部材72との間には隙間Sが設けられる。2個の隙間Sには、それぞれにワッシャ85が配置される。
【0048】
ステップ7において、第2アーム22の先端22bが配置される部分の構造は、第1アーム21の先端が配置される部分の構造に準じた構造を有する。
ステップ7において、第3アーム23の先端23bが配置される部分の構造は、第1アーム21の先端が配置される部分の構造に準じた構造を有する。
【0049】
本実施形態の作用を説明する。
ステップ7が1枚板で構成される場合、ステップ7の薄型化には限界がある。1枚板は、積層金属板を含む。具体的には、1枚板構造のステップ7では、ステップ7に対してアーム6を回転可能に取り付けるための軸部は、ステップ7に片持ち支持される。第2軸部25を片持ち支持するために、第2軸部25を支持する部分においてステップ7を薄くできない。さらに、ステップ7の下にアーム6の先端が配置されるため、ステップ7とアーム6の先端とを含む部分において、上下方向DZの厚幅DTXを小さくすることが難しい。
【0050】
本実施形態では、ステップ7は、上下に重ねられる。アーム6の先端は、上下方向DZにおいて、第1ステップ部材71と第2ステップ部材72との間に配置される。第2軸部25は、第1ステップ部材71と第2ステップ部材72とによって直接または間接的に支持される。第2軸部25は、2枚の部材によって両端で支持される。この構造によって、第1ステップ部材71および第2ステップ部材72を薄くできる。このようにして、アーム6の先端を含めてステップ7の厚幅DTXを小さくできる。
【0051】
図11は、ステップ7が格納位置に配置されているときの車両用ステップ装置1の正面図である。図11に示されるように、薄型構造のステップ7によって、ステップ7の下の空間が広く確保される。このため、車両走行や車両生産ラインにおいて、ステップ7と障害物または生産設備との衝突が抑制される。
【0052】
また、各アーム6の先端は、第1ステップ部材71と第2ステップ部材72との間に配置されていることから、ステップ7の下面は、平らな構造となる。これによって、車両走行中にステップ7の下面に障害物が接触したとしても、障害物がステップ7に引っ掛かることが少なく、車両用ステップ装置1にダメージが加わることを抑制できる。
【0053】
本実施形態の効果を説明する。
(1)ステップ7は、第1ステップ部材71と、第1ステップ部材71に重ねられる第2ステップ部材72とを有する。アーム6の先端は、第1ステップ部材71と第2ステップ部材72との間に配置されて、第1ステップ部材71および第2ステップ部材72に回転可能に取り付けられる。
【0054】
アーム6がステップ7を下から支持する下支え構造の場合、ステップ7の実質的な厚幅DTXは、ステップ板の厚幅と、アーム6の先端の厚幅DTとを総合した厚さになる。上記構成によれば、第1ステップ部材71と第2ステップ部材72との間にアーム6の先端が取り付けられる。このため、ステップ7の実質的な厚幅DTXは、下支え構造の車両用ステップ装置に比べて、薄くできる。このようにして、ステップ7の強度低下を抑制しながら、ステップ7を薄くできる。
【0055】
(2)上記車両用ステップ装置1は、第3ステップ部材73をさらに備える。第1ステップ部材71および第2ステップ部材72の一方は、一方から他方に突出する凸部75を有する。この構成によれば、第3ステップ部材73と、第1ステップ部材71および第2ステップ部材72の少なくとも1つに設けられる凸部75とによってステップ7を補強できる。
【0056】
(3)上記車両用ステップ装置1において、第1ステップ部材71および第2ステップ部材72の一方は、他方側に突出する凸部75を有する。第1ステップ部材71および第2ステップ部材72の一方に設けられる凸部75は、他方に接触するように設けられる。
【0057】
この構成によれば、第1ステップ部材71および第2ステップ部材72の一方の部材に加わる力は、第1ステップ部材71および第2ステップ部材72の他方の部材に直接加えられるようになり、第1ステップ部材71と第2ステップ部材72との両方で受けることができる。これによって、ステップ7の変形を抑制できる。
【0058】
(4)第1ステップ部材71および第2ステップ部材72の一方に設けられる凸部75が第1ステップ部材71および第2ステップ部材72の他方に接触することにより、第1ステップ部材71および第2ステップ部材72の少なくとも一方とアーム6の先端との間に隙間Sが設けられる。
【0059】
この構成によれば、第1ステップ部材71および第2ステップ部材72の少なくとも一方とアーム6の先端との間に隙間Sが設けられるため、アーム6は円滑に回転できるようになり、ステップ7は円滑に移動する。
【0060】
(5)アーム6の基端の回転軸線CAに沿う方向におけるアーム6の厚幅DTは、アーム6の長手方向DLAにおいて、アーム6の先端に向かって漸減している。この構成によれば、アーム6の曲げ強度の低下を抑制しながら、アーム6の先端の厚幅DTを小さくできるため、ステップ7をさらに薄くできる。また、アーム6の厚幅DTは、アーム6の長手方向DLAにおける少なくとも一部の範囲で、アーム6の先端に向かって漸減していてもよい。
【0061】
<その他の実施形態>
上記実施形態は、上記構成の例に限定されない。上記実施形態は、以下のように変更され得る。なお、以下の変形例では、上記実施形態の構成と実質的に変更のない構成については、上記実施形態の構成と同一の符号をつけて説明する。
【0062】
図12に示されるように、第1ステップ部材71には、貫通孔71aが設けられてもよい。貫通孔71aによって、ステップ7内部に入る雨水や粉塵を除去し易くできる。
【符号の説明】
【0063】
DT…厚幅
DTX…厚幅
S…隙間
1…車両用ステップ装置
2…車両
4…ベース
6…アーム
7…ステップ
71…第1ステップ部材
72…第2ステップ部材
73…第3ステップ部材
75…凸部
図1
図2
図3
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図5
図6
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図11
図12