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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077642
(43)【公開日】2022-05-24
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20220517BHJP
【FI】
A63F5/04 601C
A63F5/04 699
A63F5/04 601B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020188543
(22)【出願日】2020-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】390026620
【氏名又は名称】山佐株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西原 八州夫
(72)【発明者】
【氏名】中村 哲也
【テーマコード(参考)】
2C182
【Fターム(参考)】
2C182DA21
2C182DA22
2C182DA40
2C182DA41
2C182DA44
2C182DB08
(57)【要約】
【課題】不正行為から適切にケーブルを保護可能なケーブルガードを備えた遊技機を提供する。
【解決手段】スロットマシン1は、貸出装置接続基板ユニット6と、貸出装置接続基板ユニット6対して移動可能に配置されたメイン制御基板ユニット8と、貸出装置接続基板ユニット6と、メイン制御基板ユニット8とを電気的に接続するとともに、遊技価値に関与する情報が伝達されるケーブル7と、ケーブル7を保護するケーブルガード9と、を備える。ケーブルガード9は、ケーブル7が貫通する筒状体49が、複数個集合して形成される。これにより、筒状体49の材質の制限を受けることなく、ケーブル7の曲率の変化に合わせて追従することができる。
【選択図】図2


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一部材と、
前記第一部材に対して移動可能に配置された第二部材と、
前記第一部材と、前記第二部材とを電気的に接続するとともに、遊技価値に関与する情報が伝達されるケーブルと、
前記ケーブルを保護するケーブルガードと、
を備える遊技機であって、
前記ケーブルガードは、
前記ケーブルが貫通する筒状体が、複数個集合して形成されることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記筒状体は、
胴部を備え、
前記胴部の一端側が、該胴部の他端側を内側に収容可能に形成された大径部を、
備えることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記筒状体は、
前記胴部の他端側が、該胴部において、前記他端側と前記一端側の間に位置する中部よりも大きく、かつ、前記大径部よりも小さく形成された中径部を備え、
前記大径部の内側に、前記中径部の円弧状面が当接することを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記第一部材または前記第二部材の少なくとも一方は、
前記筒状体の一部を収容する収容部を備え、
前記収容部は、
前記筒状体の収容部内の変位を許容し、
前記筒状体の収容部外への移動を規制することを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の遊技機。
【請求項5】
前記ケーブルは、前記収容部を取り外さなければ前記第一部材と前記第二部材との接続を解除不能に構成されており、
前記収容部は、該収容部を取り外した際に、塑性変形を伴う確認部を備えることを特徴とする請求項4に記載の遊技機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技価値に関与する情報が伝達されるケーブルを保護するケーブルガードを備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機は、様々な不正行為の対象となりうる。例えば、遊技機の筺体の内部には、メイン制御基板が収容されており、このメイン制御基板には遊技価値としてのメダルに関与する情報が伝達されるケーブルが接続される。不正行為を未然に防止するためには、前記のような遊技価値に関与する情報が伝達されるケーブルは、適切に保護されることが望ましい。
【0003】
このようなケーブルの保護に関して、例えば特許文献1の配線カバー141を用いることが考えられるが、ケーブルの接続先同士が移動可能に配置された場合、例えばメイン基板に対して、ケーブルの接続先の基板が移動可能に接続された場合、ケーブルには曲率の変化が伴うこととなる。この場合において、特許文献1の配線カバー141のような撓みにくい部材では、上記ケーブルの曲率の変化に対応できず、ケーブルに断線等が発生する虞がある。上記ケーブルの曲率の変化に対応するためには、例えば特許文献2の被覆部材60のような可撓性を有する部材で保護することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-47159号公報
【特許文献2】特開2018-75139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2の被覆部材60は、被覆部材単独でケーブルの曲率の変化に対応するため、可撓性の高い材質を選択せざるを得ない。このような可撓性の高い材質で被覆部材を構成した場合、可撓性の高さを利用した不正を行われる虞がある。例えば、被覆部材の撓みを利用して、被覆部材を一時的に広げてケーブルを露出させ、露出したケーブルに不正行為をし、被覆部材の撓みを元に戻されてしまう虞がある。このような場合、不正の痕跡の発見は困難となる。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みて案出されたものであり、ケーブルの接続先同士が移動可能に配置された場合であっても、不正行為から適切にケーブルを保護可能なケーブルガードを備えた遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる遊技機は、第一部材と、前記第一部材に対して移動可能に配置された第二部材と、前記第一部材と、前記第二部材とを電気的に接続するとともに、遊技価値に関与する情報が伝達されるケーブルと、前記ケーブルを保護するケーブルガードと、を備える遊技機であって、前記ケーブルガードは、前記ケーブルが貫通する筒状体が、複数個集合して形成されるものである。かかる構成にあっては、ケーブルガードは、ケーブルが貫通する筒状体が、複数個集合して形成されるものあることから、ケーブルの曲率の変化に対し、筒状体単体で撓むことのできる範囲を超えた変化を、複数個集合した筒状体の集合体では可能となる。そのため、筒状体の材質の制限を受けることなく、ケーブルの曲率の変化に合わせて追従することができる。したがって、ケーブルの接続先同士が移動可能に配置された場合であっても、不正行為から適切にケーブルを保護することが可能となる。
【0008】
また、本発明にかかる遊技機としては、前記筒状体は、胴部を備え、前記胴部の一端側が、該胴部の他端側を内側に収容可能に形成された大径部を、備えることとすることが望ましい。かかる構成にあっては、隣り合う筒状体同士が大きな曲率をもって集合した場合であっても、隣り合う筒状体同士の間に隙間が発生することを未然に防止できる効果がある。
【0009】
また、本発明にかかる遊技機としては、前記筒状体は、前記胴部の他端側が、該胴部において、前記他端側と前記一端側の間に位置する中部よりも大きく、かつ、前記大径部よりも小さく形成された中径部を備え、前記大径部の内側に、前記中径部の円弧状面が当接することが望ましい。かかる構成にあっては、隣り合う筒状体同士が曲率をもって集合する際の摩擦を低減でき、ケーブルの曲率の変化に合わせてよりスムーズに追従することができる効果がある。
【0010】
また、本発明にかかる遊技機としては、前記第一部材または前記第二部材の少なくとも一方は、前記筒状体の一部を収容する収容部を備え、前記収容部は、前記筒状体の収容部内の変位を許容し、前記筒状体の収容部外への移動を規制することが望ましい。かかる構成にあっては、収容部は、筒状体の収容部内の変位を許容することから、ケーブルの曲率の変化に対する追従性が向上する。また、収容体は、筒状体の収容体外への移動を規制することから、収容部に隙間が発生することを未然に防止できる。そのため、ケーブルの曲率の変化に対する追従性の向上と、不正行為防止効果の向上と、を両立することができる効果がある。
【0011】
また、本発明にかかる遊技機としては、前記ケーブルは、前記収容部を取り外さなければ前記第一部材と前記第二部材との接続を解除不能に構成されており、前記収容部は、該収容部を取り外した際に、塑性変形を伴う確認部を備えることが望ましい。かかる構成にあっては、収容部を取り外した際、つまり、ケーブルによる第一部材と、第二部材との接続を解除した際には、元の状態に戻すことが不可能なかたちでその痕跡を残すことができ、不正行為の早期発見をすることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係るスロットマシンの正面図。
図2図1に示すスロットマシンの前扉を開放した状態を示す図。
図3図2に示す要部の拡大斜視図。
図4図3に示すメイン基板ユニットの分解図。
図5図4に示す封印キャップの拡大斜視図。
図6図5のA―A断面図。
図7図3に示すメイン基板ユニットの要部拡大図。
図8図7を裏側から見た図。
図9図3に示す貸出装置接続基板ユニットの要部拡大図。
図10-1】図9に示す貸出装置接続基板ユニットの分解斜視図。
図10-2】図9のB―B断面図。
図11図2に示すケーブルユニットを整列させた状態を示す斜視図。
図12図11に示すケーブルユニットの平面図。
図13図12のC―C断面図。
図14図13のD―D断面図。
図15図12に示す筒状体単体の平面図。
図16図15のE―E断面図。
図17図3に示すメイン基板ユニットが旋回した図。
図18図13に示すケーブルユニットが曲がった状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の好適な実施の形態として、スロットマシンに関する遊技機を例に図1図18を用いて説明する。なお、本発明は、スロットマシンに限定されず、パチンコ機やカジノマシン等他の遊技機にも適用可能である。また、本実施形態では、スロットマシンについて、物理的な遊技価値としてのメダルを用いる代わりに、遊技価値に当たるデータを用いる、いわゆる、メダルレス機(メダルレスタイプのスロットマシンとも言う)を例に説明するが、本発明は、これに限定されず、物理的な遊技価値を用いる遊技機にも適用可能である。なお、説明の容易化のため、以下において、上記遊技価値に当たるデータを疑似メダルと記載することがある。
【0014】
図1は、本発明に係るスロットマシンの正面図である。図2は、図1に示すスロットマシンの前扉を開放した状態を示す図であって、筐体内部の上部領域を示している。なお、図2において、作図の都合上、リールと前扉を省略している。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係るスロットマシン1(本発明の遊技機に相当する)は、いわゆる、メダルレスタイプのスロットマシンであって、四角箱型の筐体2を備える。その筐体2の横に、同じく四角箱型のカードユニット3が並んでいる。
【0016】
カードユニット3には、図示外のメダルカードが挿入される。メダルカードには、現金の残高データや持ち疑似メダル数が記憶される。これらのデータはカードユニット3の表示部4に表示される。
【0017】
持ち疑似メダル数がある状態で、貸出スイッチ5を押下すると、その情報は、カードユニット3から、図示外のカードユニット通信ケーブルを介して、図2で示す筐体2の内部の貸出装置接続基板ユニット6(本発明の第一部材に相当する)に送られ、そこからさらに、ケーブル7を介してメイン制御基板ユニット8に送られる。また、メイン制御基板ユニット8に持ち疑似メダル数がある状態で、計数スイッチ104を押下すると、その情報は、メイン制御基板ユニット8からケーブル7を介して貸出装置接続基板ユニット6に送られ、そこからさらに、図示外のカードユニット通信ケーブルを介してカードユニット3に送られる。このように、ケーブル7は、貸出装置接続基板ユニット6と、メイン制御基板ユニット8とを電気的に接続するとともに、遊技価値に関与する情報としての疑似メダル数が伝達される。ケーブル7には、ケーブルガード9が装着されており、これらケーブル7と、ケーブルガード9とによって、ケーブルユニット10が構成されている。ケーブルユニット10については、後に詳述する。
【0018】
図1に示すカードユニット3において、符号11は現金が投入される現金投入部を示し、符号12は上述のメダルカードがカードユニット3の中に挿入・排出される挿入・排出口を示し、符号13はメダルカードを返却する(排出する)際に押下する排出スイッチを示し、符号14は、遊技者が一時的に離席する際に押下する離席スイッチをそれぞれ示している。
【0019】
図1及び図2に示すように、スロットマシン1は、前面が解放された四角箱型の筐体2と、ヒンジ機構15によって、筐体2の前面を開放・閉塞する位置に変位する前扉16を備える。
【0020】
前扉16には、筐体2の内部に配置された3つのリール17L,17C,17Rの図柄を透過表示する透明部材からなる表示窓18と、表示窓18の上方に配置されるとともに、遊技に関する演出や情報を表示する液晶表示装置19と、リールの回転を開始させるスタートレバー20と、回転中のリール17L,17C,17Rを個別に停止させるストップボタン21L,21C,21Rと、疑似メダルの賭け数を最大に設定するマックスベットボタン22と、疑似メダルの賭け数を最小に設定するシングルベットボタン23と、液晶表示装置19に表示される演出や情報を切り替える演出ボタン24と、カードユニット3からメイン制御基板ユニット8に送られた疑似メダルの数や、遊技に伴って増減した疑似メダルの数を表示する疑似メダル表示ユニット25と、を備える。
【0021】
筐体2は、図2に示すように、対向配置された一対の筐体側板26L,26Rと、これらの筐体側板26L,26Rの間に介在するとともに、これらの側板26L,26Rの奥に縦に配置された筐体背板27と、一対の筐体側板26L,26Rと筐体背板27の上方に水平に配置された筐体上板28と、一対の筐体側板26L,26Rと筐体背板27の下方に配置された筐体底板(図示外)と、を備える。
【0022】
一対の側板26L,26Rのうち、ヒンジ機構15側の筐体側板26Lには、筐体2の内部側にサブ制御基板ユニット29が配置されている。
【0023】
サブ制御基板ユニット29は、PC(ポリカーボネート)やABS(アクリロニトリル ブタジエン スチレン)に代表される透明な熱可塑性樹脂を原材料として形成されたサブ制御基板ケース30と、サブ制御基板ケース30の内部に収容されたサブ制御基板(図示省略)と、を備える。サブ制御基板は、遊技に関する音源や、液晶表示装置19の映像等、遊技に付随する各種の制御を行う。
【0024】
筐体背板27のうち、筐体2の内部側には、メイン制御基板ユニット8と、貸出装置接続基板ユニット6と、を備える。
【0025】
メイン制御基板ユニット8は、図3及び図4に示すように、PC(ポリカーボネート)やABS(アクリロニトリル ブタジエン スチレン)に代表される透明な熱可塑性樹脂を原材料として形成されたメイン制御基板ケース31と、メイン制御基板ケース31の内部に収容されたメイン制御基板32を備える。メイン制御基板32は、マックスベットボタン22や、シングルベットボタン23の押下操作等、疑似メダルの賭け数に関する情報や、スタートレバー20や、ストップボタン21L,21C,21Rの押下操作等、遊技操作に関する制御を行う。また、メイン制御基板32は、カードユニット3からメイン制御基板ユニット8に送られた疑似メダルの数に関する情報に基づいて、役抽選等、疑似メダルの数の増減に関する処理を行い、増減した疑似メダルの数に関する情報を、ケーブル7を介して貸出装置接続基板ユニット6に送信する。また、ケーブル7を介して伝達される情報として、例えば、以下のものが挙げられる。接続確認信号(OFFのとき通信不良、接続障害を検知する信号である)。貸出通知(スロットマシン1からカードユニット3への送信信号であり、スロットマシン1からカードユニット3へ遊技媒体(疑似メダル)を移動させる信号である)。計数通知(スロットマシン1からカードユニット3への送信信号スロットマシン1からカードユニット3へ遊技媒体(疑似メダル)を移動させる信号である)。貸出応答通知(スロットマシン1からカードユニット3への送信信号であり、貸出通知への応答信号である)。遊技機性能情報(スロットマシン1からカードユニット3への送信信号であり、総投入、総払出、MY、役物払出数、連続役物払出数、役物比率、連続役物比率、有利区間比率等、遊技機の出玉性能に関する情報である)。遊技機設置情報(スロットマシン1からカードユニット3への送信信号であり、主制御チップID、メダル数制御チップID等、遊技機自体の情報である)。ホールコンピュータへの送信情報(スロットマシン1からカードユニット3への送信信号であり、外部端子板を通じて遊技機外部のホールコンピュータへ送信していた情報。具体的には、投入数、払出数、ボーナスやAT等の遊技状態、エラーの有無、遊技機内での不正検知の有無、設定変更または設定確認状態、保持メダル数等の情報である。)
【0026】
また、メイン制御基板ユニット8は、メイン制御基板ケース31の前側に配置され、メイン制御基板32において、ケーブル7が接続されるコネクタ34に対する不正なアクセスを防ぐメインガード部材35と、を備える。
【0027】
メイン制御基板ケース31は、筐体背板27に、図示外のネジで取り付けられた板状のホルダ33の図3,4を基準として前面に取り付けられているとともに、四角箱側に形成されており、図3,4を基準として、下方の両端から左右方向外側にそれぞれ突出する一対の軸部36L,36Rを備える。
【0028】
ホルダ33には、軸部36L,36Rを左右の外側から挟むように、一対の軸受け37L,37Rが形成されており、これらの軸受け37L,37Rが、軸部36L,36Rを回転可能に支持する一方、軸部36L,36Rのホルダ33からの離脱を規制している。なお、メイン制御基板ケース31に形成された規制解除部38を切除することで軸部36L,36Rの軸受け37L,37Rから取り外し可能となり、メイン制御基板ケース31のホルダ33からの離脱が可能となる。そして、その離脱可能となった痕跡が規制解除部38の切除というかたちでメイン制御基板ケース31に塑性変形を伴って残ることとなる。
【0029】
メインガード部材35は、コネクタ34や、ケーブルガード9から露出したケーブル7と重なるように配置された矩形板状のメインガード本体部39と、メインガード本体部39における貸出装置接続基板ユニット6側の一部が図3、4を基準として手前側に膨出するとともに、ケーブルガード9の一部を収容するメイン筒状体収容部40(本発明の収容部に相当する)を備える。
【0030】
メイン筒状体収容部40には、図4に示すように、メイン制御基板ケース31側に向かって窪んだ凹部41が形成されており、この凹部41の最深部に形成された貫通孔42(図7図8参照)を挿通する図示外のネジが、メイン制御基板ケース31側のネジ穴42に螺合して、メインガード部材35がメイン制御基板ケース31に装着される。そして、封印キャップ43を凹部41にはめこみ、封印キャップ43のフック44(図5及び図6参照)が凹部41側の被係合部(図示外)に、いわゆる嵌め殺しのかたちで係合する。これにより、封印キャップ43の蓋部45(本発明の確認部に相当する)を破壊しない限り、図示外のネジにアクセスできず、メインガード部材35をメイン制御基板ケース31から取り外せないこととなる。言い換えると、メイン筒状体収容部40をメイン制御基板ケース31から取り外すには、封印キャップ43の蓋部45の塑性変形が伴うこととなる。
【0031】
また、メイン筒状体収容部40は、ケーブルガード9の一部を、図4を基準として手前側(筐体2の内部空間側)から覆う矩形状の上面壁46と、上面壁46からメイン制御基板ケース31側に向かってほぼ垂直に形成されたメイン側収容側壁47を備え、このメイン側収容側壁47には、半円状に切り欠けられたメイン側スリット48が形成されている。
【0032】
そして、図7及び図8に示すように、メイン筒状体収容部40には、ケーブルガード9を構成する筒状体49の一部(筒状体49における後述の中径部51(図16参照))が収容される。筒状体49の詳細については後に詳述する。
【0033】
図8に示すメイン側スリット48の幅t1は、筒状体49の後述の中径部51の幅t2(図16参照)より小さく形成されている(t1<t2)。そのため、筒状体49の、メイン筒状体収容部40の外への移動が規制されている。
【0034】
一方、メイン側スリット48の幅t1は、胴部50の幅t3(図16参照)よりも大きく形成されている(t1>t3)。そのため、筒状体49のメイン筒状体収容部40内での変位は許容されている。
【0035】
以上のような構成により、筒状体49をメイン筒状体収容部40から取り外すには、メイン筒状体収容部40をメイン制御基板ケース31から取り外すことが必要となる。ここで、上述のように、メイン筒状体収容部40をメイン制御基板ケース31から取り外すには、封印キャップ43の蓋部45の塑性変形が伴うこととなる。この結果、封印キャップ43の蓋部45は、筒状体49をメイン筒状体収容部40から取り外した際の痕跡を示す、本発明の確認部として機能する。
【0036】
貸出装置接続基板ユニット6について、図2のほか、図9及び図10‐1及び図10‐2を用いて説明する。図9は、図3の貸出装置接続基板ユニットの要部拡大図であり、図10‐1は、図9の貸出装置接続基板ユニットの分解斜視図である。また、図10‐2は、図9のB―B線に沿った断面図であって要部の拡大図である。
【0037】
貸出装置接続基板ユニット6は、図2で示すように、筐体2において、筐体背板27にメイン制御基板ユニット8と並んで配置されるとともに、図1で示したカードユニット3と図示外のカードユニット通信ケーブルを介して接続されており、カードユニット3から疑似メダルの数に関する情報を受け取る。そして、ケーブル7を介して、カードユニット3から受け取った疑似メダルの数に関する情報をメイン制御基板ユニット8側に出力する。また、メイン制御基板ユニット8から、ケーブル7を介して、疑似メダルの数に関する情報を受け取り、図示外のカードユニット通信ケーブルを介して、カードユニット3側に出力する。
【0038】
また、貸出装置接続基板ユニット6は、図9及び図10‐1に示すように、PC(ポリカーボネート)やABS(アクリロニトリル ブタジエン スチレン)に代表される透明な熱可塑性樹脂を原材料として形成された貸出装置基板ケース52と、同じくPC(ポリカーボネート)やABS(アクリロニトリル ブタジエン スチレン)に代表される透明な熱可塑性樹脂を原材料として形成された貸出ガード部材53を備える。
【0039】
貸出装置基板ケース52は、図10‐1を基準として手前側が開放された箱側の貸出基部材54と、貸出基部材54の開放を塞ぐ貸出蓋部材55と、を備えており、これらの部材の間に貸出装置基板56が配置される。
【0040】
貸出基部材54は、四角形状を呈した板状の貸出底板57と、貸出底板57の外縁から貸出蓋部材55側に略垂直に形成された貸出側壁58と、これら貸出底板57と貸出側壁58に図10‐1を基準として手前側以外が包囲された貸出基板収容部59を備える。貸出底板57には、その四隅から貸出装置基板56側にそれぞれ突出形成された円柱状のボス60a~60dが4つ形成されている。
【0041】
4つのボス60a~60dのうち、対角線上に向かい合った一対のボス60a,60bには、貸出装置基板56側の面に、さらに貸出装置基板56側に突出したボス突出部61が形成されており、このボス突出部61が貸出装置基板56に形成された貸出基板貫通孔62に嵌入することで、貸出装置基板56が貸出基板収容部59に位置決めされ、保持される。
【0042】
また、4つのボス60a~60dのうち、一対のボス60a,60bと異なる対角線上に向かい合った一対のボス60c,60dには、貸出装置基板56側の面に、ボスネジ穴63が形成されており、このボスネジ穴63に、貸出装置基板56に形成された貸出基板貫通孔62と、貸出蓋部材55に形成された貸出蓋貫通孔64とを挿通するネジ65が螺合することで、貸出装置基板56は、貸出基部材54と、貸出蓋部材55とに挟まれるように、貸出基板収容部59に固定される。
【0043】
また、貸出基部材54は、貸出側壁58のうち、貸出基板収容部59から図10‐1を基準として下方向に延在した貸出鍔部66を備える。
【0044】
貸出鍔部66は、貸出基板収容部59と貸出隔壁67によって隔てられるとともに、貸出装置基板56に対して反対側に膨出し、貸出蓋部材55側の貸出筒状体収容部68とともに筒状体の一部を収容する貸出窪み部69を備える。
【0045】
また、貸出鍔部66は、貸出窪み部69を挟んで二か所に配置された係合爪保護部70を備える。
【0046】
係合爪保護部70は、貸出基板収容部59と貸出窪み部69とを繋ぐ貸出板部71から、貸出蓋部材55側に突出し、さらに先端側が貸出板部71に対して略平行になるように折れ曲がったL字状のものである。そして、貸出蓋部材55を貸出基部材54に組付けた状態(図9の状態)では、係合爪保護部70は、貸出蓋部材55側の貸出係合爪71における矢じり部72を、貸出蓋部材55の表面においてαで示す部位とともに、図2に示す筐体2の内部空間側(図10を基準として手前側)に向かって二重に覆うように構成されている。
【0047】
貸出装置基板56は、表面に電子部品が実装された四角形状の基板であり、その四隅に貸出基板貫通孔62が形成されている。貸出装置基板56のうち、四隅の貸出基板貫通孔62の内側であって、図10‐1を基準として上側の領域には、上述の図示外のカードユニット通信ケーブルが接続されるカードユニットコネクタ73を備える。カードユニットコネクタ73は、ブロック状のコネクタベース74に配置されており、このコネクタべース74には、その長手方向両端側から図10‐1を基準として手前側に逆U字形状を成す掛け金75が設けられており、この掛け金75が図9のaで示す位置から、bで示す位置に、図10‐1で示す基部76を軸として旋回することで、上記図示外のカードユニット通信ケーブルに設けられた溝に引っかけられる。なお、本実施形態の図中においては作図の都合上、掛け金75は、図9のa位置からb位置までの挙動を実線で示しているが、実際には、図9のa位置からb位置までのいずれかの位置にあるものである。
【0048】
貸出装置基板56のうち、四隅の貸出基板貫通孔62の内側であって、図10‐1を基準として下側の領域には、メイン制御基板ユニット8と接続されたケーブル7が接続されるメイン制御コネクタ77を備える。なお、貸出装置基板56において、カードユニットコネクタ73とメイン制御コネクタ77との間に配置された実装部品78により、カードユニット3側からの過剰な電流がメイン制御基板ユニット8側へ流れることを防止している。
【0049】
貸出蓋部材55は、四角形状の貸出蓋天板79と、貸出蓋天板79の外縁から貸出基部材54側に向かって略垂直に形成された貸出蓋側壁80とを備え、ネジ65によって、貸出装置基板56とともに貸出基部材54に固定される。この固定された状態(図9の状態)では、貸出蓋側壁80が、貸出基部材54側の貸出側壁58と、貸出装置基板56の実装面に対して直交する方向に並んで互いに重なるように配置される(いわゆる印籠嵌合のかたちとなる)。
【0050】
貸出蓋天板79には、カードユニットコネクタ73と対向する位置に第一開口81が形成され、メイン制御コネクタ77と対向する位置に第二開口82が形成されており、これらの第一開口81や第二開口82によって、カードユニットコネクタ73や、メイン制御コネクタ77は、貸出蓋部材55を貸出基部材54に組付けた状態においては、貸出蓋部材55から露出する。そして、さらに、貸出ガード部材53を貸出蓋部材55に組み付けること(図9の状態)で、メイン制御コネクタ77は、貸出ガード部材53に覆われて、保護されることとなる。
【0051】
また、貸出蓋部材55は、貸出基部材54側の貸出窪み部69に対向する部分が貸出蓋天板79の中心側に向かって窪んだ逃げ部83を備え、貸出窪み部69に収容される筒状体49が貸出蓋部材55に当たることを防止している。
【0052】
また、貸出蓋部材55は、逃げ部83の両側に、貸出蓋天板79から貸出基部材54側に向かって略垂直に形成された貸出係止壁84(図10‐1において、貸出蓋部材55の裏側に位置するため、破線で示す)を備え、この貸出係止壁84に形成された貸出挿入孔85に貸出ガード部材53の貸出係合爪71における矢じり部72が内側に弾性変形した状態で挿通する。
【0053】
この挿通後、矢じり部72が弾性変形から復帰することで、矢じり部72が、貸出挿入孔85から抜けなくなり、貸出ガード部材53が貸出蓋部材55に封止される。同時に、貸出基部材54と、貸出装置基板56と、貸出蓋部材55とを固定するネジ65(図10‐1において、下側に位置するネジ65)が貸出ガード部材53に覆われ、その貸出ガード部材53が封止されることから、貸出ガード部材53の貸出蓋部材55に対する封止(貸出係合爪71の貸出挿入孔85への係合)を解除しない限り、貸出装置基板56を、貸出装置基板ケース52から取り出せないこととなる。
【0054】
そして、貸出蓋部材55に対する封止(貸出係合爪71の貸出挿入孔85への係合)を解除するためには、貸出蓋部材55において、貸出係合爪71が臨む面αを、塑性変形をともなうかたちで破壊しなければならない。そのため、貸出蓋部材55において、貸出係合爪71が臨む面αも、封印キャップ43における蓋部45と同様に、本発明にかかる確認部として機能する。
【0055】
貸出ガード部材53は、貸出装置基板56において、ケーブル7が接続されるメイン制御コネクタ77を外部からの不正なアクセスから保護するためのものであり、T字形状の貸出ガード上板86と、貸出ガード上板86から貸出蓋部材55側に向かって略垂直に形成された貸出ガード側壁87と、を備え、上記T字形状の貸出ガード上板86と貸出ガード側壁87とによって、断面略T字形状が貸出装置基板56側に向かって連続する貸出筒状体収容部68(本発明の収容部に相当する)が形成される。貸出筒状体収容部68は、その上部が、メイン制御コネクタ77及びネジ65(図10‐1において、下方に位置するネジ65)と、その下部が貸出窪み部69と、図10‐1を基準として前後方向に重なる。
【0056】
貸出筒状体収容部68のうち、下部の両側には、貸出係合爪71がそれぞれ配置され、この貸出係合爪71は、L字形状の爪連結部88によって、貸出筒状体収容部68に一体的に形成されている。そして、貸出ガード部材53を貸出蓋部材55に組み付ける際には、貸出係合爪71は、貸出蓋側壁80の下端部の二か所に形成された係合爪用開口89を挿通し、上述のように、貸出挿入孔85へ係合する。
【0057】
貸出ガード側壁87のうち、2つの貸出係合爪71に挟まれた部位には、矩形状に切り欠けられた貸出側スリット90が形成されている。この貸出側スリット90によって、貸出ガード部材53を貸出装置基板ケース52に組み付ける際には、図9に示すように、貸出筒状体収容部68には、ケーブルガード9を構成する筒状体49の一部が収容される。
【0058】
貸出ガード部材53を貸出装置基板ケース52に組み付ける手順を具体的に説明する。
【0059】
まず、貸出装置基板56を挟むように貸出蓋部材55を貸出基部材54に組付けた状態において、上述のように、貸出蓋部材55から露出するメイン制御コネクタ77に、図10‐2に示すケーブル7の貸出側コネクタヘッド91を接続する。
【0060】
そして、貸出側スリット90を境界として、筒状体49の大径部92を貸出筒状体収容部68に収容し、筒状体49の中径部51を貸出筒状体収容部68の外に配置するようにして、さらに貸出ガード部材53を貸出蓋部材55に組み付ける。筒状体49については、後に詳述する。
【0061】
なお、貸出ガード部材53を貸出蓋部材55に組み付ける際には、貸出ガード部材53における貸出ガード側壁87から図10‐1を基準として上方に突出した貸出ガード突出片93を、貸出蓋部材55側に形成された貸出突出片挿入孔94に挿入する。これにより、貸出ガード突出片93が貸出ガード部材53において、下方に配置された貸出係合爪71とともに、貸出ガード部材53の撓みを上下で抑え、貸出ガード部材53と貸出蓋部材55との間に隙間が発生することが防止される。
【0062】
貸出側スリット90には、筒状体49における後述の胴部50が保持される。ここで、貸出側スリット90の幅t4(図9参照)が、筒状体49の後述の大径部92の幅t5(図16参照)より小さく形成されている(t4<t5)。そのため、筒状体49の、貸出筒状体収容部68の外への移動が規制される。
【0063】
一方、貸出側スリット90の幅t4は、胴部50の幅t3よりも大きく形成されている(t4>t3)。そのため、筒状体49の貸出筒状体収容部68内での変位は許容される。
【0064】
このように、筒状体49を貸出筒状体収容部68から取り外すには、貸出ガード部材53を貸出装置基板ケース52から取り外すことが必要となる一方で、筒状体49の貸出筒状体収容部68内での姿勢の変化は、貸出ガード部材53を貸出装置基板ケース52から取り外さなくても可能である。
【0065】
ケーブルユニット10について、図11図16を用いて説明する。
【0066】
図11は、図2のケーブルユニットを整列させた状態を示す斜視図であり、図12は、図11のケーブルユニットの平面図である。図13図12のC―C断面図であり、図14は、図13のD―D断面図である。図15図12の筒状体単体の平面図であり、図16図15のE―E断面図である。なお、図11及び図12においては、作図の都合上ケーブルを省略して図示している。また、図12の筒状体単体では、底面図も正面図も背面図も図15の平面図と同一の図となる。
【0067】
図11図13に示すように、ケーブルユニット10は、ケーブル7と、ケーブル7に対して物理的なアクセスをできないようにケーブル7を外側から保護するケーブルガード9とを備えている。
【0068】
ケーブル7は、図14にも示すように、複数の配線95(本実施形態では5本)によって構成されており、それぞれの配線95は、錫メッキ軟銅線などの導体96と、この導体96を被覆する樹脂(例えばPVC塩化ビニル)などの絶縁体97と、で構成され、外力を受けると長手方向の形状が湾曲可能になっている。なお、図13に示すように、ケーブル7の長手方向の両端には、貸出装置接続基板ユニット6側に接続される貸出側コネクタヘッド91と、メイン制御基板ユニット8側に接続されるメイン側コネクタヘッド98がそれぞれ装着されている。
【0069】
ケーブルガード9は、ケーブル7が内部を貫通する同一形状の筒状体49が複数個(本実施形態では12個)数珠つなぎ状に集合することによって形成されているものであって、ケーブル7が湾曲した際には(曲率が変化した際には)、筒状体49単体では湾曲しない(曲率が変化しない)ものの、筒状体49が集合してなるケーブルガード9全体では、ケーブルの湾曲(曲率の変化)に追従可能に形成されている。
【0070】
なお、ケーブルユニット10の組付け手順は、先ず、ケーブル7に筒状体49を1個ずつ挿通させ、複数の筒状体49が数珠繋ぎ状に整列したケーブルガード9を形成する。そのうえで、ケーブル7の長手方向両端に貸出側コネクタヘッド91と、メイン側コネクタヘッド98をそれぞれ装着するという順で行われる。
【0071】
筒状体49は、透明な熱可塑性樹脂を原材料(本実施形態ではPC(ポリカーボネート))として射出成型にて形成されており、ケーブル7の絶縁体97よりも剛性が高く、撓みにくいものとなっている。
【0072】
また、筒状体49は、熱変形温度が130°C~140°Cに形成されており、絶縁体97よりも熱に対して変形しにくいように形成されている。
【0073】
また、筒状体49は、図15及び図16に示すように、ケーブル7が貫通する中心が中空になっている胴部50を備える。
【0074】
また、筒状体49は、胴部50のうち図16を基準として左側(本発明の胴部の一端側に相当する)が拡径した大径部92と、胴部50のうち図16を基準として右側(本発明の胴部の他端側に相当する)が拡径した中径部51と、大径部92と中径部51との間に位置する中部99とを備える。
【0075】
大径部92は、中部99側から貸出装置接続基板ユニット6側(図16を基準として左側)に向かって漸次拡径しており、その最も大きい部位の幅(外径)t5は、中部99の最も大きい部位の幅(外径)t3や、中径部51の最も大きい部位の幅(外径)t2よりも大きく形成されている。
【0076】
また大径部92は、中部99側との境界の内壁面100が円弧状を呈しており、図13に示すように、筒状体49同士が集合した状態では、この内壁面100に、後述の中径部51側の円弧状面101が対向するように配置される。
【0077】
中径部51は、中部99側からメイン制御基板ユニット8側(図16を基準として右側)に向かって外側が円弧状面101となる断面略舌状を呈しており、その最も大きい部位の幅(外径)t2は、中部99の最も大きい部位の幅(外径)t3よりも大きく形成されている。そして、上述の大径部92の幅(外径)t5を合わせた関係は、t5>t2>t3となっている。
【0078】
ケーブルユニット10において、ケーブルガード9が、ケーブル7の曲率の変化にあわせて追従する挙動を図3のほか、図17及び図18を用いて説明する。
【0079】
図17図3で示したメイン制御基板ユニットが旋回した図を示し、図18図13のケーブルユニットが、メイン基板ユニットが旋回したことにより曲がった(曲率が変化した)状態を示す図である。
【0080】
図3及び図17で示すように、メイン制御基板ユニット8には旋回操作部102、ホルダ33には旋回保持部103がそれぞれ設けられていて、メイン制御基板ケース31が図3に示された姿勢にあるときには旋回操作部102と旋回保持部103とは係合していて、メイン制御基板ユニット8は収容状態(旋回前の状態)となる。そして、図3で示すメイン制御基板ユニット8の旋回操作部102を、図3を基準として手前側に引くと、旋回操作部102と、図17に示すホルダ33側の旋回保持部103との係合が解除される。
【0081】
旋回操作部102と、旋回保持部103との係合が解除されることに伴って、メイン制御基板ケース31は、ホルダ33の軸受け37L,37R内に収容された軸部36L,36Rを回転軸として、図17を基準として手前側に旋回可能となり、図17で示すように、メイン制御基板ユニット8は旋回状態(旋回後の状態)となる。その結果、図17では、図3に示すメイン制御基板32の裏面側が容易に視認可能となる。
【0082】
上記メイン制御基板ケース31の旋回により、メイン制御基板ユニット8を構成するメイン制御基板ケース31は、貸出装置接続基板ユニット6に対して相対的な位置が移動し、図13に示すケーブル7も上記相対的な位置の移動に伴って、その曲率が変化することとなる。
【0083】
この場合において、図18に示すように、筒状体49は、単独ではその形状が変化しない(撓んだりしない)ものの、筒状体49が複数個集合したケーブルガード9全体としては、その形状が、ケーブル7の曲率の変化に追従して変化する。
【0084】
具体的には、筒状体49の内部を貫通するケーブル7が湾曲(曲率が変化)すると、ケーブル7が、筒状体49の内壁面100に当接し、筒状体49に変位を促す力が加わる。
【0085】
この場合において、ケーブルガード9を構成する複数の筒状体49のうち、図13を基準として左端の筒状体49は、図9及び図10‐2に示すように、貸出装置接続基板ユニット6側の貸出筒状体収容部69の外への移動が規制され、図13を基準として右端の筒状体49は、図7及び図8に示すように、メイン制御基板ユニット8側のメイン筒状体収容部40の外への移動が規制されている。
【0086】
そのため、図18で示す筒状体49同士も、互いに離れる方向(図18を基準として左右方向)への移動が規制される。
【0087】
したがって、上記筒状体49に変位を促す力が加わった場合には、筒状体49は、中径部51が、大径部92の内側に収容された状態を維持したまま隣り合う筒状体49に対して傾くこととなる。なお、図18において、L1及びL2は、隣り合う筒状体49それぞれのケーブル7の貫通孔方向の中心線を示し、θは隣り合う筒状体49同士の傾きの最大の角度(概ね30°)を示している。このような筒状体49同士の傾きは、筒状体49単体の撓み(弾性変形)では、実現不可能となっている。
【0088】
図18において、隣り合う筒状体49同士(二個)の傾きの最大の角度θは概ね30°であるが、筒状体49の数が多くなればなるほど、隣り合う筒状体49同士の傾きの最大の角度θの合計は大きくなる、例えば筒状体49が三個隣り合えば合計は60°となる。つまり、筒状体49の数nに対して、最大角度θの合計は、30(n-1)°となる。
【0089】
ここで、先に述べたように、筒状体49同士が集合した状態では、大径部92側の円弧状の内壁面100に、中径部51側の円弧状面101が対向するように配置される(図13参照)。そのため、図18に示すように、隣り合う筒状体49同士が傾いた際に、中径部51側の円弧状面101が大径部92側の円弧状の内壁面100に摺動しながら筒状体49が隣り合う筒状体49に対して傾くこととなる。そのため、上記摺動の際の摩擦抵抗や、ガタツキを少なくすることができ、筒状体49同士のスムーズな傾きを行うことができる。なお、本実施形態においては、大径部92側と中径部51側の摺動面双方が円弧面としているが、摩擦抵抗を少なくするという点においては、大径部92側と中径部51側の摺動面のいずれか一方を円弧面としてもよい。
【0090】
以上のように構成された遊技機によれば、以下の効果を奏する。
【0091】
本実施の形態におけるスロットマシン1(本発明にかかる遊技機)は、貸出装置接続基板ユニット6(本発明に係る第一部材)と、貸出装置接続基板ユニット6に対して移動可能に配置されたメイン制御基板ユニット8(本発明にかかる第二部材)と、貸出装置接続基板ユニット6と、メイン制御基板ユニット8とを電気的に接続するとともに、遊技価値に関与する情報が伝達されるケーブル7と、ケーブル7を保護するケーブルガード9と、を備える。
【0092】
そして、ケーブルガード9は、ケーブル7が貫通する筒状体49が、複数個集合して形成されるものである。
【0093】
かかる構成にあっては、ケーブルガード9は、ケーブル7が貫通する筒状体49が、複数個集合して形成されるものあることから、ケーブル7の曲率の変化に対し、筒状体49単体で撓むことのできる範囲(弾性変形の範囲)を超えた変化を、複数個集合した筒状体の集合体(ケーブルガード9)では可能となる。そのため、筒状体49の材質の制限を受けることなく、ケーブル7の曲率の変化に合わせて追従することができる。例えば、筒状体49が撓みにくい剛性の高い素材、例えば、ケーブル7において、導体96を覆う絶縁体97(例えばPVC 塩化ビニル)よりも剛性の高い素材(例えばPC ポリカーボネート)で形成されたものであっても、筒状体49単体が撓むことのできる範囲を超えたケーブル7の曲率の変化に合わせて追従することができる。これにより、ケーブルガード7の撓みを利用した不正を防止できる。また、剛性の高い素材とすることで、ケーブルガード7に穴を開けられて、導体96に不正に導通をすることも防止できる。
【0094】
そのため、ケーブル7の接続先同士が移動可能に配置された場合であっても、不正行為から適切にケーブルを保護することが可能となる。
【0095】
なお、本実施の形態において、ケーブル7の接続先は、貸出装置接続基板ユニット6とメイン制御基板ユニット8であるが、これに限定されず、例えば、メイン制御基板ユニット8とサブ制御基ユニット29等、二つの部材間を電気的に接続し、遊技価値に関与する情報が伝達されるケーブルを備え、いわゆる、ゴト行為の対象となり得るものであれば適用可能である。
【0096】
遊技価値に関与する情報についても、本実施形態においては疑似メダルの数に関する情報であるが、これに限定されず、疑似メダルが増加、或いは、減少したことを示すIN/OUT情報等の疑似メダルの増減に関与する情報も含まれる。また、いわゆる、AT(アシストタイム)における押し順の情報や、役抽選に関する情報等の遊技価値の増減に関与し得る情報も含まれる。また、エラー情報等の不正な遊技価値の取得の証拠に関与し得る情報や、役比情報等の不正な情報改ざんに関与し得る情報も含まれる。つまり、不正行為(いわゆる、ゴト行為とも言う)の対象となり得る情報が含まれる。
【0097】
また、本実施の形態におけるスロットマシン1において、筒状体49は、胴部50を備え、胴部50の大径部92側が(本発明にかかる一端側)が、胴部50の中径部51側(本発明にかかる他端側)を内側に収容可能に形成されている。これにより、隣り合う筒状体49同士が、図18のように、大きな曲率をもって集合した場合であっても、隣り合う筒状体49同士の間に隙間が発生することを未然に防止できる効果がある。
【0098】
また、本実施の形態におけるスロットマシン1において、筒状体49は、胴部50の中径部51側が、胴部50において、中径部51側と大径部92側の間に位置する中部99よりも大きく、かつ、大径部92よりも小さく形成され、大径部92の内側に、中径部51の円弧状面101が当接する。これにより、隣り合う筒状体49同士が曲率をもって集合する際の摩擦を低減でき、ケーブル7の曲率の変化に合わせてよりスムーズに追従することができる効果がある。
【0099】
また、本実施の形態におけるスロットマシン1においては、貸出装置接続基板ユニット6側に筒状体49の大径部92を収容する貸出筒状体収容部68を備え、メイン制御基板ユニット8側に筒状体49の中径部51を収容するメイン筒状体収容部40を備えており、貸出筒状体収容部68及びメイン筒状体収容部40は、筒状体49の貸出筒状体収容部68やメイン筒状体収容部40内の変位を許容する。貸出筒状体収容部68やメイン筒状体収容部40は、筒状体49の貸出筒状体収容部68やメイン筒状体収容部40外への移動を規制する。
【0100】
以上のように、貸出筒状体収容部68及びメイン筒状体収容部40は、筒状体49の貸出筒状体収容部68やメイン筒状体収容部40内の変位を許容することから、ケーブル7の曲率の変化に対する追従性が向上する。また、貸出筒状体収容部68やメイン筒状体収容部40は、筒状体49の貸出筒状体収容部68やメイン筒状体収容部40外への移動を規制することから、筒状体49が、メイン側スリット48や、貸出側スリット90に対して蓋の役割を果たし、貸出筒状体収容部68やメイン筒状体収容部40に外部から不正な器具が侵入可能な隙間が発生することを未然に防止できる。そのため、ケーブル7の曲率の変化に対する追従性の向上と、不正行為防止効果の向上と、を両立することができる効果がある。
【0101】
上記効果を一定程度奏するうえでは、貸出装置接続基板ユニット6側とメイン制御基板ユニット8側のいずれか一方に貸出筒状体収容部68やメイン筒状体収容部40を備えればよい。
【0102】
つまり、貸出装置接続基板ユニット6またはメイン制御基板ユニット8の少なくとも一方は、筒状体49の一部を収容する貸出筒状体収容部68或いはメイン筒状体収容部40を備え、収容部は、筒状体49の収容部内の変位を許容し、筒状体49の収容部外への移動を規制することが望ましい。
【0103】
また、本実施の形態におけるスロットマシン1においては、ケーブル7は貸出筒状体収容部68或いは筒状体収容部40の少なくとも一方を取り外さなければ貸出装置接続基板ユニット6とメイン制御基板ユニット8との接続を解除不能に構成されており、貸出筒状体収容部68は、貸出筒状体収容部68を取り外した際に、塑性変形を伴う貸出係合爪71が臨む面αを備え、メイン筒状体収容部40は、メイン筒状体収容部40を取り外した際に、塑性変形を伴う封印キャップ43における蓋部45を備える。上記αや蓋部45が本発明にかかる確認部に相当する。
【0104】
これにより、貸出筒状体収容部68或いは筒状体収容部40を取り外した際、つまり、ケーブル7による貸出装置接続基板ユニット6と、メイン制御基板ユニット8との接続を解除した際には、元の状態に戻すことが不可能なかたちでその痕跡を残すことができ、不正行為の早期発見をすることができる効果がある。なお、封印キャップ43の場合は、使用後(蓋部45を破壊し、ケーブル7による貸出装置接続基板ユニット6と、メイン制御基板ユニット8との接続を解除し、さらにケーブル7による貸出装置接続基板ユニット6と、メイン制御基板ユニット8との再接続をした後)、新しい封印キャップ43を凹部41に嵌めこむことで再封印が可能であるという利点があり、このような構造は、貸出装置接続基板ユニット6についても適用可能である。
【符号の説明】
【0105】
1・・・スロットマシン(本発明にかかる遊技機)
6・・・貸出装置接続基板ユニット(本発明にかかる第一部材)
7・・・ケーブル(本発明にかかるケーブル)
8・・・メイン制御基板ユニット(本発明にかかる第二部材)
9・・・ケーブルガード(本発明にかかるケーブルガード)
49・・・筒状体(本発明にかかる筒状体)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10-1】
図10-2】
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18