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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077686
(43)【公開日】2022-05-24
(54)【発明の名称】容器、積層体および内容物の収納方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/20 20060101AFI20220517BHJP
   B65F 1/00 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
B65D33/20
B65F1/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020188633
(22)【出願日】2020-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】500163366
【氏名又は名称】出光ユニテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸▲高▼ 匠
【テーマコード(参考)】
3E023
3E064
【Fターム(参考)】
3E023BA04
3E023BA15
3E064AA05
3E064BA17
3E064BA27
3E064BA30
3E064BA36
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC01
3E064BC04
3E064BC08
3E064BC16
3E064BC18
3E064BC20
3E064EA18
3E064GA04
3E064HM01
3E064HN03
(57)【要約】
【課題】感染性物質の二次包装用に利用可能な容器において、耐内圧性を向上させる。
【解決手段】互いに対向する第1領域および第2領域を少なくとも含み、第1領域と第2領域との間に収納空間が形成される容器本体と、収納空間に連通する容器本体の開口部で第1領域および第2領域にそれぞれ接合され、開口部から収納空間とは反対側に延びる第1の延長領域を構成する第1および第2のフィルムと、第1の延長領域において、第1および第2のフィルムの互いに対向する面の少なくともいずれかで、第1および第2のフィルムの間の隙間を横断して形成される第1の粘着層と、第1の延長領域を構成する第2のフィルムの端部以上に収納空間とは反対側にさらに延び、第1領域に接合可能な蓋部とを備える容器が提供される
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1領域および第2領域を少なくとも含み、前記第1領域と前記第2領域との間に収納空間が形成される容器本体と、
前記収納空間に連通する前記容器本体の開口部で前記第1領域および前記第2領域にそれぞれ接合され、前記開口部から前記収納空間とは反対側に延びる第1の延長領域を構成する第1および第2のフィルムと、
前記第1の延長領域において、前記第1および第2のフィルムの互いに対向する面の少なくともいずれかで、前記第1および第2のフィルムの間の隙間を横断して形成される第1の粘着層と、
前記第1の延長領域を構成する第2のフィルムの端部以上に前記収納空間とは反対側にさらに延び、前記第1領域に接合可能な蓋部と
を備える容器。
【請求項2】
前記第1および第2のフィルムは、前記開口部から前記収納空間側に延び、前記収納空間内では前記第1領域および前記第2領域の少なくともいずれかに接合されない第2の延長領域をさらに構成する、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記第2の延長領域において、前記第1および第2のフィルムの互いに対向する面の少なくともいずれかで、前記第1および第1のフィルムの間の隙間を横断して形成される第2の粘着層をさらに備える、請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記第1の粘着層および前記第2の粘着層は、前記第1および第2のフィルムと前記容器本体との間に形成される接合部に重複する領域には形成されない、請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記蓋部は、第2領域と一体である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の容器。
【請求項6】
前記蓋部の前記収納空間とは反対側の端部に形成される第3の粘着層をさらに備える、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の容器。
【請求項7】
前記第1の粘着層の剥離強度は、0.05N/50mm以上である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の容器。
【請求項8】
前記第1の粘着層は、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、スチレン系粘着剤、オレフィン系粘着剤のいずれか1以上を含む、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の容器。
【請求項9】
基材層と、
前記基材層を幅方向に横断する第3領域に積層される第1の粘着層と、
前記第1の粘着層と同じ側で前記基材層を幅方向に横断し、前記第3領域から非粘着領域を隔てた第4領域に積層される第2の粘着層と
を備え、
少なくとも前記第1の粘着層の剥離強度は、0.05N/50mm以上である積層体。
【請求項10】
前記第1の粘着層は、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、スチレン系粘着剤、オレフィン系粘着剤のいずれか1以上を含む、請求項9に記載の積層体。
【請求項11】
容器部材用である、請求項9または請求項10に記載の積層体。
【請求項12】
互いに対向する第1領域および第2領域を少なくとも含み、前記第1領域と前記第2領域との間に収納空間が形成される容器本体と、
前記収納空間に連通する前記容器本体の開口部で前記第1領域および前記第2領域にそれぞれ接合され、前記開口部から前記収納空間とは反対側に延びる第1の延長領域を構成する第1および第2のフィルムと、
前記第1の延長領域を構成する第2のフィルムの端部以上に前記収納空間とは反対側にさらに延び、前記第1領域に接合可能な蓋部と
を備え、
前記第1および第2のフィルムは、前記第1の粘着層および前記第2の粘着層を互いに対向させた1対の請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の積層体で形成され、
前記非粘着領域は前記第1および第2のフィルムと前記容器本体との間に形成される接合部に重複する容器。
【請求項13】
前記容器本体は袋状である、請求項1から請求項8または請求項12のいずれか1項に記載の容器。
【請求項14】
請求項1から請求項8、請求項12または請求項13のいずれか1項に記載の容器を用いた内容物の収納方法であって、
前記開口部から前記収納空間に前記内容物を収納する工程と、
前記第1の延長領域で前記第1の粘着層を用いて前記隙間を封止する工程と、
前記隙間が封止された位置で前記第1および第2のフィルムを折り返して、前記蓋部を前記第1領域に接合する工程と
を含む内容物の収納方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器、積層体および内容物の収納方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病原体などの感染性物質(「検体」と称する場合もある)を安全に輸送するために、例えば感染症法の規定に従って三重に包装して輸送することが義務付けされている。例えば、一次包装は、試験管や採血管またはカップなどの栓材で密閉可能な容器である。二次包装は、一次包装を包むクッション容器であり、密閉性、防水性、および耐圧性を有する容器である。耐圧性について、例えば感染症法では温度が-40℃~55℃の範囲で95kPa以上の内圧に耐えることが規定されている。三次包装は、二次包装を収納する外装容器であり、耐水性、耐衝撃性および断熱性を有する頑丈な構造の容器である。
【0003】
上記のような感染性物質の二次包装用の容器として、例えば特許文献1に記載されたような包装袋が提案されている。特許文献1に記載された二次包装用の包装袋では、シート状またはフィルム状の表面材および裏面材を重ねあわせ、表面材および裏面材の上部を開口部として除き、両側部と底部とをヒートシールして袋本体を形成する。開口部の内側に配置した1対の仕切材を表面材および裏面材にそれぞれヒートシールすることでポケット部を形成する。袋本体の内圧が上昇した場合も仕切材同士の面接触が維持され、ポケット部で内圧を受けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4590024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1に記載された二次包装用の包装袋は、収納空間の内圧が感染症法などで規定する基準圧力の95kPa以上になっても開口部が開放されないことを意図して提供されている。しかしながら、例えば使用時の環境条件などによって意図された耐内圧性が発揮されない場合もあり、さらなる耐内圧性の向上が望まれていた。
【0006】
そこで、本発明は、感染性物質の二次包装用に利用可能な容器において、耐内圧性を向上させた容器、積層体および内容物の収納方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]互いに対向する第1領域および第2領域を少なくとも含み、第1領域と第2領域との間に収納空間が形成される容器本体と、収納空間に連通する容器本体の開口部で第1領域および第2領域にそれぞれ接合され、開口部から収納空間とは反対側に延びる第1の延長領域を構成する第1および第2のフィルムと、第1の延長領域において、第1および第2のフィルムの互いに対向する面の少なくともいずれかで、第1および第2のフィルムの間の隙間を横断して形成される第1の粘着層と、第1の延長領域を構成する第2のフィルムの端部以上に収納空間とは反対側にさらに延び、第1領域に接合可能な蓋部とを備える容器。
[2]第1および第2のフィルムは、開口部から収納空間側に延び、収納空間内では第1領域および第2領域の少なくともいずれかに接合されない第2の延長領域をさらに構成する、[1]に記載の容器。
[3]第2の延長領域において、第1および第2のフィルムの互いに対向する面の少なくともいずれかで、第1および第1のフィルムの間の隙間を横断して形成される第2の粘着層をさらに備える、[2]に記載の容器。
[4]第1の粘着層および第2の粘着層は、第1および第2のフィルムと容器本体との間に形成される接合部に重複する領域には形成されない、[3]に記載の容器。
[5]蓋部は、第2領域と一体である、[1]から[4]のいずれか1項に記載の容器。
[6]蓋部の収納空間とは反対側の端部に形成される第3の粘着層をさらに備える、[1]から[5]のいずれか1項に記載の容器。
[7]第1の粘着層の剥離強度は、0.05N/50mm以上である、[1]から[6]のいずれか1項に記載の容器。
[8]第1の粘着層は、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、スチレン系粘着剤、オレフィン系粘着剤のいずれか1以上を含む、[1]から[7]のいずれか1項に記載の容器。
[9]基材層と、基材層を幅方向に横断する第3領域に積層される第1の粘着層と、第1の粘着層と同じ側で基材層を幅方向に横断し、第3領域から非粘着領域を隔てた第4領域に積層される第2の粘着層とを備え、少なくとも第1の粘着層の剥離強度は、0.05N/50mm以上である積層体。
[10]第1の粘着層は、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、スチレン系粘着剤、オレフィン系粘着剤のいずれか1以上を含む、[9]に記載の積層体。
[11]容器部材用である、[9]または[10]に記載の積層体。
[12]互いに対向する第1領域および第2領域を少なくとも含み、第1領域と第2領域との間に収納空間が形成される容器本体と、収納空間に連通する容器本体の開口部で第1領域および第2領域にそれぞれ接合され、開口部から収納空間とは反対側に延びる第1の延長領域を構成する第1および第2のフィルムと、第1の延長領域を構成する第2のフィルムの端部以上に収納空間とは反対側にさらに延び、第1領域に接合可能な蓋部とを備え、第1および第2のフィルムは、第1の粘着層および第2の粘着層を互いに対向させた1対の[9]から[11]のいずれか1項に記載の積層体で形成され、非粘着領域は第1および第2のフィルムと容器本体との間に形成される接合部に重複する容器。
[13]容器本体は袋状である、[1]から[8]または[12]のいずれか1項に記載の容器。
[14][1]から[8]、[12]または[13]のいずれか1項に記載の容器を用いた内容物の収納方法であって、開口部から収納空間に内容物を収納する工程と、第1の延長領域で第1の粘着層を用いて隙間を封止する工程と、隙間が封止された位置で第1および第2のフィルムを折り返して、蓋部を第1領域に接合する工程と
を含む内容物の収納方法。
【発明の効果】
【0008】
上記の構成によれば、開口部から収納空間に内容物を収納した後は、第1の粘着層を用いて第1および第2のフィルムの間の隙間を封止し、さらに、第1および第2のフィルムを折り返して蓋部を容器本体の第1領域に接合することができる。このような形で収納空間を封止することによって、第1の粘着層による粘着と第1および第2のフィルムが折り返されていることとの相互作用によって容器の耐内圧性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る容器の使用前の平面図である。
図2図1のII-II線断面図である。
図3図1に示す容器の使用時の平面図である。
図4図3のIV-IV線断面図である。
図5】本発明の一実施形態の変形例に係る容器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0011】
図1は本発明の一実施形態に係る容器の使用前の平面図であり、図2図1のII-II線断面図である。また、図3図1に示す容器の使用時の平面図であり、図4図3のIV-IV線断面図である。以下、これらの図を参照して本発明の一実施形態について説明する。
【0012】
図示されるように、容器100は、袋状の容器本体110と、容器本体110の開口部101に接合される1対のフィルム121,122とを含む。容器本体110は、互いに対向する第1領域111Aおよび第2領域111Bを少なくとも含み、第1領域111Aと第2領域111Bとの間に収納空間SPが形成される。第1領域111Aと第2領域111Bとは、ボトムシール112およびサイドシール113で互いに接合されている。ボトムシール112とは反対側で、両側のサイドシール113の間には、収納空間SPに連通する開口部101が形成される。
【0013】
容器本体110は、例えば単層または多層の熱可塑性樹脂フィルムで形成される。熱可塑性樹脂は、具体的には低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはポリプロピレン(PP)であってもよい。PPは、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)、またはブロックポリプロピレン(BPP)であってもよい。多層フィルムの場合、表基材に二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(OPET)、または二軸延伸ナイロン(ONy)を用いてもよい。これらは、化石燃料由来の樹脂に限られず、環境に配慮したバイオプラスチックであってもよいし、化石燃料由来の樹脂とバイオプラスチックの混合物を用いてもよい。また、容器本体110を構成するフィルムはアルミニウムなどの金属材料や、無機材料の層を含んでもよい。
【0014】
なお、本実施形態では、2枚のフィルムが重ね合わされ、ボトムシール112およびサイドシール113において互いに接合されることによって容器本体110の第1領域111Aおよび第2領域111Bを形成しているが、別の実施形態では、例えば1枚のフィルムがボトムシール112に対応する部分で折り返され、サイドシール113において互いに接合されることによって容器本体110の第1領域111Aおよび第2領域111Bを形成してもよい。
【0015】
フィルム121,122は、容器本体110の開口部101で第1領域111Aおよび第2領域111Bの互いに対向する面にそれぞれ接合部140で接合され、開口部101から収納空間SPとは反対側に延びる外側延長領域121A,122Aを構成する。フィルム121,122は、開口部101の幅方向両側に形成されるサイドシール113で互いに接合されている。外側延長領域121A,122Aでもフィルム121,122はサイドシール113で互いに接合されている。これによって、外側延長領域121A,122Aでは、フィルム121,122の間の隙間に開口部101に連通する通路が形成される。フィルム121,122の互いに対向する面の少なくともいずれかには、フィルム121,122の間の隙間を横断して粘着層123が形成される。これによって、図3および図4に示すような内容物Cの収納後は、外側延長領域121A,122Aで粘着層123を貼り合わせることによってフィルム121,122の間の隙間を封止できる。
【0016】
なお、図示された例ではフィルム121,122の両方の面で、かつ面の全体に粘着層123が形成されているが、粘着層123はフィルム121,122のいずれか一方の面にのみ形成されてもよい。また、粘着層123は上記のようにフィルム121,122の間の隙間を横断していればよく、必ずしも面の全体に形成されなくてもよい。例えば、フィルム121,122の間の隙間を開放して内容物Cを収納するときに粘着層123を剥離させる起点が容易に形成されるように、収納空間SPとは反対側の外側延長領域121A,122Aの端部には粘着層123が形成されなくてもよい。また、後述する変形例に示されるように、フィルム121,122が容器本体110に接合される開口部101には粘着層123が形成されなくてもよい。
【0017】
加えて、容器100は、外側延長領域122Aを構成するフィルム122の端部以上に収納空間SPとは反対側にさらに延び、第1領域111Aに接合可能な蓋部130を含む。図示された例では、蓋部130の収納空間SPとは反対側の端部に粘着層131が形成されることによって、蓋部130を第1領域111Aに接合することができる。図3および図4に示されるように、開口部101から収納空間SPに内容物Cを収納した後は粘着層123を用いてフィルム121,122の間の隙間を封止し、さらに、隙間が封止された位置でフィルム121,122を折り返して蓋部130を第1領域111Aに接合する。
【0018】
上記のような形で収納空間SPを封止することによって、粘着層123による粘着とフィルム121,122が折り返されていることとの相互作用によって容器100の耐内圧性を向上させることができる。より具体的には、例えばフィルム121,122の皴のために粘着層123による封止だけでは隙間が生じている場合でも、粘着層123とともにフィルム121,122を折り返すことによって隙間をふさぎ、隙間が漏洩の起点になることによる耐内圧性の低下を防止することができる。
【0019】
なお、「収納空間SPとは反対側」という表現は、収納空間SPに連通する開口部101から続いて形成される一連の部材であるフィルム121,122および蓋部130の中で収納空間SPに対して遠位側にあることを意味する。従って、例えば図4に示されたようにフィルム121,122が折り返された状態であっても、「収納空間SPとは反対側」は開口部101に対して外側延長領域121A,122Aが位置する側、および外側延長領域121A,122Aに対して蓋部130が位置する側として特定される。
【0020】
また、図示された例において、蓋部130は容器本体110の第2領域111Bと一体であるが、他の例では蓋部130が第2領域111Bに接合される別のフィルムで形成されてもよい。蓋部130の端部には必ずしも粘着層131が形成されなくてもよく、例えば蓋部130および第1領域111Aにまたがって粘着テープを貼付することによって蓋部130を第1領域111Aに接合してもよい。
【0021】
さらに、本実施形態では、フィルム121,122が開口部101から収納空間SP側にも延び、内側延長領域121B,122Bを構成する。内側延長領域121B,122Bでもフィルム121,122はサイドシール113で互いに接合されている。内側延長領域121B,122Bでも、フィルム121,122の互いに対向する面の少なくともいずれかにフィルム121,122の間の隙間を横断して粘着層124が形成されてもよい。内側延長領域121B,122Bは、開口部101を除く収納空間SP内では、第1領域111Aおよび第2領域111Bのいずれにも接合されない。
【0022】
上記のような内側延長領域121B,122Bを形成することによって、収納空間SPの内圧が上昇した場合は、内側延長領域121B,122Bにおいてフィルム121,122が互いに密着する方向に内圧が作用し、フィルム121,122がいわゆる逆止弁を形成することによって、容器100の耐内圧性をさらに向上させることができる。
【0023】
なお、フィルム121,122のいずれか一方のみが第1領域111Aまたは第2領域111Bに接合されている場合も、内圧によってフィルム121,122が両方とも第1領域111Aまたは第2領域111Bに押し付けられることによって、同様に逆止弁の効果が得られる。また、上記のように内側延長領域121B,122Bでは逆止弁の効果によって耐内圧性が向上させられることから、内側延長領域121B,122Bにおける粘着層124は必ずしも形成されなくてもよい。
【0024】
上記のようなフィルム121,122は、例えば容器本体110と同様の材料で形成することができる。粘着層123,124については、例えばフィルムへのコーティング、または共押出成形によって形成される。サイドシール113をヒートシールや超音波シールで形成する場合は、シール性の観点からコーティングよりも共押出成形が好ましい。また、フィルム121,122のそれぞれの厚みは、例えば50μm以上であり、好ましくは100μm以上である。上記の通り本実施形態では粘着層123とともにフィルム121,122を折り返すことによってフィルム121,122の皴のために生じる隙間をふさぐことができるが、フィルム121,122の厚みが薄いと皺が多くなって効果が十分に発揮されない可能性があるため、上記の範囲とすることが好ましい。フィルム121,122のそれぞれの厚みの上限は特に限定されないが、例えば300μmである。粘着層123,124に用いる粘着剤は特に限定されないが、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、スチレン系粘着剤、オレフィン系粘着剤等が挙げられる。耐熱性および耐候性の点では、アクリル系粘着剤が有利である。共押出成形の観点では、スチレン系粘着剤、オレフィン系粘着剤、アクリル系粘着剤が挙げられる。スチレン系粘着剤の例としてはSIS(スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体)が、オレフィン系粘着剤の例としてはEVA(エチレン酢酸ビニル)が挙げられる。粘着層123,124をコーティングで形成する場合、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、酸処理、アルカリ処理または下塗り剤の塗布等の表面処理を施してもよい。
【0025】
共押出成形による多層フィルムとしてフィルム121,122および粘着層123,124を形成する場合、例えばフィルム121,122の基材層には通常の袋用フィルムのシーラントであるポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンが用いられる。粘着層123,124には、例えばエチレン酢酸ビニル共重合体や水添スチレン系熱可塑性エラストマー、具体的にはSEBS(スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン)またはSEPS(スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン)が用いられる。この場合において、粘着層123,124の層厚は、例えば1μm以上であり、好ましくは3μm以上であり、より好ましくは5μm以上であり、さらに好ましくは10μm以上である。層厚の上限は特に限定されないが、例えば100μm以下であり、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは30μm以下である。また、粘着層123,124の剥離強度は、例えば0.05N/50mm以上であり、好ましくは0.1N/50mm以上であり、より好ましくは0.2N/50mm以上である。粘着層123の剥離強度の上限は特に限定されないが、例えば10N/50mmである。剥離強度は、実施例に記載の方法で測定できる。
【0026】
図5は、本発明の一実施形態の変形例に係る容器の断面図である。図示された例において、外側延長領域121A,122Aではフィルム121,122の互いに対向する面の少なくともいずれかに粘着層123が形成され、内側延長領域121B,122Bでもフィルム121,122の互いに対向する面の少なくともいずれかに粘着層124が形成されるが、開口部101に形成される接合部140と重複する領域には粘着層が形成されない。これによって、例えばシールバーを用いて容器本体110を両面から挟み込んでフィルム121,122と第1領域111Aおよび第2領域111Bのそれぞれとの間に接合部140を形成する際に、粘着層同士、または粘着層と対向するフィルムの面とが融着することを防止できる。
【0027】
上記の場合において、フィルム121,122は、基材層と、基材層を幅方向に横断する領域に積層される粘着層123と、粘着層123と同じ側で基材層を幅方向に横断し、粘着層123が形成される領域から非粘着領域を隔てた別の領域に積層される粘着層124とを有する容器部材用の積層体によって形成される。上述の通り、粘着層123,124の剥離強度は0.05N/50mm以上であることが好ましく、粘着層123,124が含む材料としてはアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、スチレン系粘着剤、オレフィン系粘着剤等が例示される。このような積層体を図5に示されたような容器100でフィルム121,122に用いた場合、粘着層123,124の間の非粘着領域は接合部140に重複する。
【0028】
なお、上記の例では容器本体110が袋状である例について説明したが、他の例では袋状以外の容器本体を含む容器が提供されてもよい。また、上記の例では外側延長領域121A,122Aおよび内側延長領域121B,122Bの両方が共通のフィルム121,122で形成されたが、他の例では外側延長領域および内側延長領域がそれぞれ別のフィルムで形成されてもよい。
【実施例0029】
以下、本発明の実施例について説明する。図2に示す外側延長領域の長さL1および内側延長領域の長さL2が異なる3つの例について、耐圧強度Pを測定する試験を実施した。結果を表1に示す。実施例1では、L1=20mmとし、開口部の外側にある外側延長領域および蓋部を折り返して容器本体の第1領域に接合した。一方、比較例1および比較例2では、L1=0として外側延長領域を設けず、開口部の外側にある蓋部だけを折り返して容器本体の第1領域に接合した。各例において、容器本体は2つのPET層(各25μm)、ナイロン層(15μm)、およびLLDPE層(80μm)が積層された多層フィルムで形成され、外側延長領域および内側延長領域はポリエチレン層(110μm)およびオレフィン系粘着剤(EVA)層(10μm)が積層されたフィルムで形成される。なお、耐圧強度Pは、株式会社サン科学製 破裂強度測定器(MODEL:305-BP)によって測定した。
【0030】
また、剥離強度Qは、以下のような方法で測定した。
・サンプル調整法:線圧0.20MPa、2m/minの条件下で粘着面を圧着し、23℃、50%RH下にて5分以上静置した。
・測定装置:IMADA製デジタルフォースゲージZP-20N
・測定条件:測定装置を用い、引張速度0.3m/min、180℃ピールにて剥離し、その時の抵抗値として最大強度(N/50mm)を測定し、剥離強度とした。
【0031】
【表1】
【0032】
上記の結果に示されるように、外側延長領域を設けた実施例1については、内側延長領域のみを設けた比較例1および比較例2に比べて大幅に高い耐圧強度が示された。
【0033】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれらの例に限定されない。本発明の属する技術の分野の当業者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0034】
100…容器、101…開口部、110…容器本体、111A…第1領域、111B…第2領域、112…ボトムシール、113…サイドシール、121,122…フィルム、121A,122A…外側延長領域、121B,122B…内側延長領域、123,124…粘着層、130…蓋部、131…粘着層、140…接合部、C…内容物、SP…収納空間。
図1
図2
図3
図4
図5