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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077740
(43)【公開日】2022-05-24
(54)【発明の名称】プリント配線板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/42 20060101AFI20220517BHJP
   H05K 1/16 20060101ALI20220517BHJP
   H01F 5/00 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
H05K3/42 610Z
H05K1/16 B
H01F5/00 D
H01F5/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020188717
(22)【出願日】2020-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(72)【発明者】
【氏名】森田 治彦
(72)【発明者】
【氏名】三輪 等
(72)【発明者】
【氏名】加藤 忍
(72)【発明者】
【氏名】横幕 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 久始
(72)【発明者】
【氏名】平澤 貴久
(72)【発明者】
【氏名】村木 哲也
(72)【発明者】
【氏名】古野 貴之
【テーマコード(参考)】
4E351
5E317
【Fターム(参考)】
4E351AA04
4E351BB09
4E351BB15
4E351BB30
4E351BB33
4E351CC06
4E351DD04
4E351GG06
5E317AA24
5E317AA25
5E317BB03
5E317BB12
5E317CC31
5E317CD25
5E317GG20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高接続信頼性を有するプリント配線板製造方法を提供する。
【解決手段】プリント配線板の製造方法は、第1面F及び第2面Sを有するフレキシブル材22、第1面上の第1導体層31及び第2面上の第2導体層32からなるフレキシブル基板22を準備し、フレキシブル材の第1開口31a、第2開口31b及び第1開口と第2開口で挟まれる導体を含むマスク31Mを第1導体層から形成し、第1開口、第2開口から露出フレキシブル材除去し、第2導体層に至る第1貫通孔22a、第2貫通孔22bを形成し、第1導体層上に導体層3及び第3導体層33形成し、第1貫通穴及び第2貫通孔に第1ビア導体VA1及び第2ビア導体VVA2を形成し、第3導体層から第1ランドVRFを、第2導体層から第2ランドVRSを形成する。第1ランド及び第2ランドは、第1ビア導体及び第2ビア導体を介して並列に繋げる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と前記第1面と反対側の第2面とを有するフレキシブル材と前記第1面上に形成されている第1導体層と前記第2面上に形成されている第2導体層とからなるフレキシブル基板を準備することと、
前記フレキシブル材を露出する第1開口と前記フレキシブル材を露出する第2開口と前記第1開口と前記第2開口で挟まれる導体を含むマスクを前記第1導体層から形成することと、
前記第1開口から露出する前記フレキシブル材を除去することで、前記第2導体層に至る第1貫通孔を前記フレキシブル材に形成することと、
前記第2開口から露出する前記フレキシブル材を除去することで、前記第2導体層に至る第2貫通孔を前記フレキシブル材に形成することと、
前記第1導体層上に導体層を形成することで、前記第1導体層と前記導体層とからなる第3導体層を形成することと、
前記第1貫通孔に前記第2導体層と前記第3導体層とを接続する第1ビア導体を形成することと、
前記第2貫通孔に前記第2導体層と前記第3導体層とを接続する第2ビア導体を形成することと、
前記第3導体層から前記第1ビア導体と前記第2ビア導体上に第1ランドを形成することと、
前記第2導体層から前記第1ビア導体と前記第2ビア導体下に第2ランドを形成すること、とを有するプリント配線板の製造方法であって、
前記第1ランドは前記導体を含み、前記第1ランドと前記第2ランドは前記第1ビア導体と前記第2ビア導体を介して並列に繋げられている。
【請求項2】
請求項1のプリント配線板の製造方法であって、前記第3導体層を形成することと前記第1ビア導体を形成することと前記第2ビア導体を形成することは同時に行われる。前記第1回路の一つと前記ビア導体の一つと前記第2回路の一つで1ターンのコイルが形成される。
【請求項3】
請求項1のプリント配線板の製造方法であって、前記第1ランドを形成することは前記第1面上に第1回路を形成することを含み、前記第2ランドを形成することは前記第2面上に第2回路を形成することを含み、前記第1回路は前記第1ランドに繋がっていて、前記第2回路は前記第2ランドに繋がっている。
【請求項4】
請求項3のプリント配線板の製造方法であって、前記第1回路と前記第1ランドと前記第1ビア導体と前記第2ビア導体と前記第2ランドと前記第2回路はコイルを形成する。
【請求項5】
請求項1のプリント配線板の製造方法であって、前記第1ビア導体と前記第2ビア導体との間に前記導体下に位置する前記フレキブル材が存在している
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ用コイルを構成するプリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、フレキシブル基板の両面(第1面、第2面)にコイルを形成し、第1面のコイルと第2面のコイルとをフレキシブル基板を貫通するビアで接続するコイル基板を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-181853号公報
【発明の概要】
【0004】
[特許文献の課題]
特許文献1は、フレキシブル基板の両面のコイルをビアで接続している。ここで、ビアの抵抗を小さくするためには、ビア径を大きくする必要があるが、径の大きなビアは製造が難しいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るプリント配線板の製造方法は、第1面と前記第1面と反対側の第2面とを有するフレキシブル材と前記第1面上に形成されている第1導体層と前記第2面上に形成されている第2導体層とからなるフレキシブル基板を準備することと、前記フレキシブル材を露出する第1開口と前記フレキシブル材を露出する第2開口と前記第1開口と前記第2開口で挟まれる導体を含むマスクを前記第1導体層から形成することと、前記第1開口から露出する前記フレキシブル材を除去することで、前記第2導体層に至る第1貫通孔を前記フレキシブル材に形成することと、前記第2開口から露出する前記フレキシブル材を除去することで、前記第2導体層に至る第2貫通孔を前記フレキシブル材に形成することと、前記第1導体層上に導体層を形成することで、前記第1導体層と前記導体層とからなる第3導体層を形成することと、前記第1貫通孔に前記第2導体層と前記第3導体層とを接続する第1ビア導体を形成することと、前記第2貫通孔に前記第2導体層と前記第3導体層とを接続する第2ビア導体を形成することと、前記第3導体層から前記第1ビア導体と前記第2ビア導体上に第1ランドを形成することと、前記第2導体層から前記第1ビア導体と前記第2ビア導体下に第2ランドを形成すること、とを有する。そして、前記第1ランドは前記導体を含み、前記第1ランドと前記第2ランドは前記第1ビア導体と前記第2ビア導体を介して並列に繋げられている。
【0006】
[実施形態の効果]
本発明の実施形態によれば、フレキシブル基板に設けた第1貫通孔に第2導体層と第3導体層とを接続する第1ビア導体を形成する。フレキシブル基板に設けた第2貫通孔に第2導体層と第3導体層とを接続する第2ビア導体を形成する。第1ランドと第2ランドは第1ビア導体と第2ビア導体を介して並列に繋げられる。1つの大きなビアランドでは無く、並列に繋げられ2つの小さな第1ビア導体と第2ビア導体で第1ランドと第2ランドとの接続を取る。フレキシブル基板に第1貫通孔と第2貫通孔とを形成する際に、小さな第1貫通孔と第2貫通孔から露出される第2導体層が凹み難く、第1ビア導体と第2ビア導体を不具合なく形成することができる。第1ビア導体と第2ビア導体を並列に繋げるため、ビア導体の抵抗値が低くなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1(A)は実施形態のモータの模式図であり、図1(B)は実施形態のモータ用コイル基板の模式図であり、図1(C)は配線の平面図である。
図2図2(A)は実施形態のプリント配線板の第1面の平面図であり、図2(B)はプリント配線板の第2面の平面図であり、図2(C)はビアランドの模式図である。
図3図3(A)から図3(E)は実施形態のプリント配線板の製造工程図であり、図3(F)は開口の平面図であり、図3(G)は貫通孔の平面図であり、図3(H)、図3(I)、図3(J)は改変例に係る開口の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図2(A)と図2(B)に示されるプリント配線板120が準備される。図2(A)は実施形態のプリント配線板120の第1面Fの平面図であり、図2(B)はプリント配線板120の第2面Sの平面図である。プリント配線板120は、第1面Fと第1面Fと反対側の第2面Sとを有するフレキシブル材22を含む。さらに、プリント配線板120はフレキシブル材22の第1面Fと第2面S上にコイルC(C1~C6)を有する。プリント配線板120を巻くことで、図1(B)に示されるモータ用コイル基板20が得られる。例えば、プリント配線板120は筒状に巻かれる。モータ用コイル基板20は空洞AHの周りに巻かれる。例えば、モータ用コイル基板20の形状は円筒である。巻く回数Nは、2以上、3以下である。図1(B)は模式図である。
【0009】
図1(A)に示されるように、モータ用コイル基板20内に磁石48を配置することで、モータ10が得られる。図1(A)は模式図である。モータ用コイル基板20は、空洞AHを介し磁石48の周りに配置されている。図1(B)中の矢印MRはモータ10の回転方向を示す。モータ10の例は、ブラシレスモータである。実施形態では、磁石48が回転するが、モータ用コイル基板20が回転してもよい。
【0010】
図2(A)と図2(B)に示されるように、フレキシブル材22は、短辺20Sと長辺20Lとを有することが好ましい。フレキシブル材22は、一端22Lと一端22Lと反対側の他端22Rを有する。一端22Lは短辺20Sを兼ねる。長辺20Lは上辺20LUと上辺20LUと反対側の下辺20LDを有する。コイルC(C1~C6)は、フレキシブル材22の長辺20Lに沿って並んでいる。フレキシブル材22の一端22Lから他端22Rに向かって、コイルCは一列に並んでいる。コイルCの数はM(数M)である。一端22Lに最も近いコイルは第1コイルC1である。他端22Rに最も近いコイルは第MコイルCMである。第1コイルC1から第MコイルCMまでコイルCは順に並んでいる。図2(A)と図2(B)の例では、コイルの数は6である。
【0011】
図1(C)にコイルCの例が示される。コイルCは中央スペースSCと中央スペースSCを囲む配線wで形成される。そして、配線wは外端OEと内端IEを有する。配線wは外端OEと内端IEとの間に形成されている。コイルCを形成する配線wは渦巻き状に形成されている。
【0012】
図1(C)に示されるように、配線wは、複数の第1回路51と複数の第2回路52と複数のビア導体VAを含む。第1回路51は第1面F上に形成されている。第2回路52は第2面S上に形成されている。ビア導体VAはフレキシブル材22を貫通している。第1回路51と第2回路52はビア導体VAを介して接続されている。図2(C)に示されるように、1つの大きなビア導体VAは2つの小さな第1ビア導体VA1と第2ビア導体VA2から成る。第1ビア導体VA1と第2ビア導体VA2は、第1回路51と第2回路52を介して並列に接続される。図1(C)に示されるように、1つの第1回路51と1つの第2回路52と1つのビア導体VAは、ほぼ1ターンのコイルを形成する。1ターンを形成する配線wの内、第1回路51は一端22Lに近く、第2回路52は他端22Rに近い。複数のビア導体VAは上辺側のビア導体VAUと下辺側のビア導体VADに分けられる。上辺側のビア導体VAUは上辺20LUに近く、下辺側のビア導体VADは下辺20LDに近い。第1回路51と第2回路52とビア導体VAは、第1回路51、下辺側のビア導体VAD、第2回路52、上辺側のビア導体VAUの順で繋がっている。上辺側のビア導体VAUを介し隣接するターンを形成する配線wが接続される。
【0013】
図2(C)に示されるように、第1回路51は第1側壁X1と第1側壁X1と反対側の第2側壁X2を有する。一つの第1回路51の側壁(第1側壁X1と第2側壁X2)の内、第1側壁X1は中央スペースSCに近い。
第2回路52は第3側壁X3と第3側壁X3と反対側の第4側壁X4を有する。一つの第2回路52の側壁(第3側壁X3と第4側壁X4)の内、第3側壁X3は中央スペースSCに近い。
【0014】
図2(A)と図2(B)では、配線wが纏められている。第1回路51を纏めることで、第1回路群51gが形成される。第2回路52を纏めることで、第2回路群52gが形成される。
【0015】
実施形態のコイルCはプリント配線板の技術で形成されている。コイルCを形成する配線wはめっきにより形成されている。あるいは、コイルCを形成する配線wは銅箔をエッチングすることで形成される。コイルCを形成する配線wは、セミアディティブ法やM-Sap法やサブトラクティブ法で形成される。
【0016】
図2(A)と図2(B)に示されるプリント配線板120は6のコイルCを有する。その6のコイルは、一端22Lから他端22Rに向かって並べられている。コイルCはU相コイルCUとV相コイルCVとW相コイルCWを含む。U相コイルCUとV相コイルCVとW相コイルCWは、U相コイルCU、V相コイルCV、W相コイルCWの順で並んでいる。一端22Lに最も近いコイルCはU相コイルCUである。
【0017】
図2(C)はビア導体VAを覆う導体回路(ビアランド)VRの模式図である。
ビアランドVRは第1面F上のビアランド(第1ランド)VRFと第2面S上のビアランド(第2ランド)VRSを有する。第1回路51と第2回路52は、第1ランドVRFとビア導体VAと第2ランドVRSを介して接続される。第1回路51は第1ランドVRFを含む。第2回路52は第2ランドVRSを含む。
第1ランドVRFの平面形状の例は、5角形である。平面形状が5角形の場合、2つの頂点(第1頂点A1、第2頂点A2)の内角(第1内角、第2内角)は略90度である。第1頂点A1と第2頂点A2以外の頂点(第3頂点A3、第4頂点A4、第5頂点A5)の内角は90度ではない。5つの頂点は、第1頂点A1、第2頂点A2、第3頂点A3、第4頂点A4、第5頂点A5の順で時計回りに並んでいる。第1頂点A1と第2頂点A2との間の辺は第1辺L1である。第2頂点A2と第3頂点A3との間の辺は第2辺L2である。第3頂点A3と第4頂点A4との間の辺は第3辺L3である。第4頂点A4と第5頂点A5との間の辺は第4辺L4である。第5頂点A5と第1頂点A1との間の辺は第5辺L5である。第1辺L1と長辺20Lは略平行である。第1辺L1の長さは、第2辺L2の長さと第5辺L5の長さより長い。第2辺L2の長さと第5辺L5の長さは略等しい。第1回路51と第1ランドVRF間の接続信頼性が向上する。第2回路52と第2ランドVRS間の接続信頼性が向上する。第1ランドVRFの平面形状と第2ランドVRSの平面形状は同様である。第3辺L3は、第1回路51の第1側壁X1の延長線上にある。第3辺L3は、第1側壁X1を含む面に含まれる。このため、第1回路51とビアランドVR間の接続信頼性が向上する。第1回路51と第1ランドVRF間の接続信頼性が向上する。第4辺L4は、第2回路52の第3側壁X3の延長線上にある。第4辺L4は、第3側壁X3を含む面に含まれる。このため、第2回路52とビアランドVR間の接続信頼性が向上する。第2回路52と第2ランドVRS間の接続信頼性が向上する。
【0018】
第1面F上のビア導体VAの形状と第1ランドVRFの平面形状は相似である。第1面F上のビア導体VAの形と第1面F上の第1ランドVRFの形は同じである。第1面F上のビア導体VAの形が拡大されると、第1面F上の第1ランドVRFの形が得られる。第2面S上のビア導体VAの形状と第2ランドVRSの平面形状は相似である。第2面S上のビア導体VAの形と第2面S上の第2ランドVRSの形は同じである。第2面S上のビア導体VAの形が拡大されると、第2面S上の第2ランドVRSの形が得られる。このため、ビア導体VAとビアランドVR間の接続信頼性が向上する。ビアランドVRと第1回路51と第2回路52を高密度に配置することができる。
第1面F上のビア導体VAの形状と第1ランドVRFの平面形状は多角形である。第2面S上のビア導体VAの形状と第2ランドVRSの平面形状は多角形である。ビア導体VAとビアランドVR間の接触面積を大きくすることができる。
ビアランドVRの平面形状は多角形である。形状の例は、三角形や四角形や5角形や六角形である。ビア導体VAの平面形状は第1面F上の形である。もしくは、ビア導体VAの平面形状は第2面S上の形である。
【0019】
[製造方法]
図3は実施形態のプリント配線板120の製造方法を示す。
第1面Fと第1面Fと反対側の第2面Sとを有するフレキシブル材22と第1面F上に形成されている第1導体層31と第2面S上に形成されている第2導体層32とからなるフレキシブル基板22zが準備される(図3(A))。例えば、フレキシブル材22はポリイミドで形成されている。
【0020】
第1導体層31を貫通しフレキシブル材22を露出する複数の第1開口31aと第2開口31bが形成される。第1開口31aと第2開口31b、第1開口31aと第2開口31bで挟まれる導体31Rからなるマスク31Mが第1導体層31に形成される(図3(B))。第1開口31aと第2開口31bの形成方法の例はサブトラクティブ法である。図3(F)は第1開口31aと第2開口31bの平面形状を示す。
第1開口31aと第2開口31bの平面形状は、導体31Rを挟んで対称形状の5角形である。導体31Rの平面形状は直線状である。第1開口31aと第2開口31bによりフレキシブル材22が露出される。それぞれの第1開口31aと第2開口31bにより露出されるフレキシブル材22を除去することで、第2導体層32に至る第1貫通孔22aと第2貫通孔22bがフレキシブル材22に形成される(図3(C))。例えば、第1開口31aと第2開口31bにより露出されるフレキシブル材22を溶解することで、第1貫通孔22aと第2貫通孔22bが形成される。第1貫通孔22aと第2貫通孔22bを形成するための溶液の例は、強いアルカリ性の溶液である。図3(G)は第1貫通孔22aと第2貫通孔22bの平面図である。図3(G)は第1面F上での第1貫通孔22aと第2貫通孔22bの形状を示している。第1貫通孔22aと第2貫通孔22bの形状は、5角形である。第1貫通孔22aと第2貫通孔22bにより第2導体層32が露出される。
【0021】
第1導体層31上に導体層34を形成することで、第1導体層31と導体層34とからなる第3導体層33が形成される。それぞれの第1貫通孔22aと第2貫通孔22bに第2導体層32と第3導体層33とを接続する第1ビア導体VA1と第2ビア導体VA2が形成される(図3(D))。第3導体層33を形成することと第1ビア導体VA1を形成することと第2ビア導体VA2を形成することは同時に行われる。相対的に小さな2つの第1ビア導体VA1と第2ビア導体VA2が相対的に大きな1つのビア導体VAを構成する。第3導体層33から第1面F上に複数の第1回路51と第1ランドVRFが形成される。第1回路51は第1ランドVRFに繋がっている。第1ランドVRFは導体31Rを含む。第2導体層32から第2面S上に複数の第2回路52と第2ランドVRSが形成される(図3(E))。第2回路52は第2ランドVRSに繋がっている。第1ビア導体VA1と第2ビア導体VA2との間に導体31R下に位置するフレキブル材(線状の残部)22Gが存在している。第1回路51と第2回路52とビア導体VAとビアランドVRで構成されるコイルCが形成される。
【0022】
実施形態の製造方法によれば、第1導体層31に多角形の第1開口31aと第2開口31b、第1開口31aと第2開口31bで挟まれる第1導体層からなる導体31Rが形成される。そして、第1導体層31をマスク31Mとして用いることで、フレキシブル材22に第1貫通孔22aと第2貫通孔22bが形成される。このため、任意な形状の第1貫通孔22aと第2貫通孔22bを形成することができる。任意な形状のビア導体VAを形成することができる。実施形態のプリント配線板120の製造方法では、ビア導体VAとビアランドVR間の接触面積を大きくすることができる。第1回路51とビアランドVR間の接触面積を大きくすることができる。第2回路52とビアランドVR間の接触面積を大きくすることができる。
【0023】
実施形態の製造方法によれば、1つの相対的に大きなビアランドでは無く、並列に繋げられた相対的に小さな2つの第1ビア導体VA1と第2ビア導体VA2で第1ランドVRFと第2ランドVRSとの接続が取られる。フレキシブル材22に第1貫通孔22aと第2貫通孔とを形成する際に、小さな第1貫通孔22aと第2貫通孔22bに露出される第2導体層32が凹み難くい。また、第1開口31aと第2開口31bで挟まれる第1導体層からなる線状の導体31Rの下に、フレキシブル基板から形成される線状の残部22Gが残る。残部22Gが第2導体層32に密着していることで、第2導体層32が補強される。これによっても、第1貫通孔22aと第2貫通孔22bに露出される第2導体層32が凹み難くなる。
【0024】
ここで、大径の貫通孔をフレキシブル材22に設けると、薬液処理、熱処理等で第2導体層32が凹み易くなる。第2導体層32が凹み、或いは、膨らみができると、第2導体層32上に設けられるレジストフィルムとの密着性に問題が生じる。レジストフィルムとの密着性に問題が生じると、ビア導体に不具合が出たり、第2導体層32から形成された第2回路52と第2ランドVRSの信頼性が低下する。
【0025】
これに対して、実施形態の製造方法によれば、第1ビア導体と第2ビア導体を不具合なく形成することができる。ビア導体の信頼性が高い。第1ビア導体と第2ビア導体を並列に繋げるため、ビア導体の抵抗値が低くなる。
【0026】
図3(H)、図3(I)、図3(J)は改変例に係る開口の平面図である。
図3(H)の例では、導体31Rが十字状、即ち、交差する直線で形成されている。4つの第1開口31a、第2開口31b、第3開口31c、第4開口31dが第1導体層31に形成されている。第1開口31a、第2開口31b、第3開口31c、第4開口31dが5角形を形成する。図3(I)の例では、導体31Rが十字状で、第1開口31a、第2開口31b、第3開口31c、第4開口31dが矩形を形成する。図3(I)の例では、導体31Rが十字状で、第1開口31a、第2開口31b、第3開口31c、第4開口31dが円形を形成する。実施形態の分割式のビア導体は、Φ150μmの円形、Φ150μmの円形と同程度以上の面積を有する多角形に於いて高い効果を奏する。
【符号の説明】
【0027】
20 モータ用コイル基板
22 フレキシブル材
31 第1導体層
32 第2導体層
33 第3導体層
51 第1回路
52 第2回路
120 プリント配線板
C コイル
SC 中央スペース
VA1 第1ビア導体
VA2 第2ビア導体
図1
図2
図3