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特開2022-77806再使用可能な袋の循環リサイクルシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077806
(43)【公開日】2022-05-24
(54)【発明の名称】再使用可能な袋の循環リサイクルシステム
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/00 20060101AFI20220517BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20220517BHJP
   A45C 3/04 20060101ALN20220517BHJP
【FI】
B29B17/00
G06Q50/04 ZAB
A45C3/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020188820
(22)【出願日】2020-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】598110219
【氏名又は名称】株式会社アクシス
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】三輪 福一
【テーマコード(参考)】
3B045
4F401
5L049
【Fターム(参考)】
3B045AA53
3B045CE01
3B045FC00
4F401AA09
4F401AA10
4F401AB10
4F401AC10
4F401AC13
4F401AD01
4F401BA06
4F401BB20
4F401CA59
5L049CC03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】印刷インク層を容易かつ低コストで除去でき、かつ、除去された印刷インク層により再生原料である不織布を着色することのない、印刷インク層を有する不織布からなる袋を使用した循環リサイクルシステムを提供する。
【解決手段】不織布3からなる再使用可能な袋であって、該袋の表面に、温水溶解性を有する接着剤層7を介して、印刷インク層5を有するフィルム4が該印刷インク層を接着剤層側に面して接着されてなり、該フィルムの接着剤層側の表面がコロナ処理面6、プラズマ処理面又はフレーム処理面である、該袋を使用し、製造、配布、使用、回収及び再生を実施可能とした循環リサイクルシステム。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再使用可能な袋の循環リサイクルシステムであって、
販売店情報又は宣伝広告情報が描かれた印刷インク層を有するフィルム、並びに不織布からなる袋をそれぞれ準備する、準備工程、
該フィルムを、その印刷インク層が該袋の表面と接するようにかつ温水溶解性を有する接着剤層が該フィルムと該袋との間に介在するように、該フィルムに張り付け接着し、フィルム付き袋に仕上げる、接着工程、
小売業の営業場所において該フィルム付き袋を顧客に交換又は有償販売により配布する、配布工程、
顧客による使用が重ねられた使用済みフィルム付き袋を小売業の営業場所において顧客より回収する、回収工程、
そして投入域、分離域及び取り出し域が順に連なる構造の分離設備において、温水又はアルカリ水が投入域、分離域及び取り出し域に満たされた状態で、回収された前記使用済みフィルム付き袋が分散する機構を設け、該使用済みフィルム付き袋を前記投入域に供給する供給段階と、
前記投入域から前記分離域に連続して移送された該使用済みフィルム付き袋を、該分離域において温水又はアルカリ水中に浸漬する機構を設け、温水溶解性を有する接着剤層が温水又はアルカリ水に溶解することにより、該使用済みフィルム付き袋を不織布からなる袋と印刷インク層を有するフィルムとに分離する分離段階と、
前記分離域から前記取り出し域に連続して移送された該不織布からなる袋及び該印刷インク層を有するフィルムを各々の取り出し域において分離設備外に取り出す機構を設け、該取り出し域においてこれら両者を各々分離設備外に取り出す取り出し段階とからなる、分離工程、
取り出された前記不織布からなる袋を乾燥して、再使用可能な不織布袋に仕上げる、或いは、取り出された前記不織布からなる袋を解砕、開繊し、得られた不織布原料にバージン不織布原料を混合又は積層し、そして混合又は積層された該原料より再使用可能な不織布袋を再生産する、袋再生工程、
その後、再生された該再使用可能な不織布袋を、前記準備工程において不織布からなる袋として再利用する、再使用可能な袋の循環リサイクルシステム。
【請求項2】
分離工程から取り出された印刷インク層を有するフィルムから、該印刷インク層を除去する段階と、該印刷インク層が除去されたフィルムの表面に、印刷インク層を形成し、印刷インク層を有する新たなフィルムに仕上げる段階と、該新たなフィルムを前記準備工程において印刷インク層を有するフィルムとして適用する段階とからなるフィルム再利用工程をさらに有する請求項1に記載の循環リサイクルシステム。
【請求項3】
前記準備段階で準備される、印刷インク層を有するフィルムの該インク層が、フレキソ印刷インク層又はグラビア印刷インク層であり、該フィルムのインク層を有する側の表面がコロナ処理面、プラズマ処理面及びフレーム処理面からなる群から選択される処理面である請求項1又は請求項2に記載の循環リサイクルシステム。
【請求項4】
前記回収された使用済みフィルム付き袋が分散する機構が、該使用済みフィルム付き袋を風又は振動で前記投入域内に分散させる機構を設けた、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の循環リサイクルシステム。
【請求項5】
前記分離工程の分離域において温水又はアルカリ水中に所定時間浸漬する機構が、
分離設備が槽の場合は、前記分離域内の温水又はアルカリ水の水面下に浮上防止板を設けるとともに、前記投入域から前記分離域を経由し前記取り出し域に至る温水又はアルカリ水の流れを形成し、その流れとともに使用済みフィルム付き袋が該浮上防止板の下方を移
送される機構であり、
分離設備が塔の場合は、塔の温水又はアルカリ水の水面下に使用済みフィルム付き袋を所定時間停留させる機構である、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載の循環リサイクルシステム。
【請求項6】
分離域で分離された該不織布からなる袋及び該印刷インク層を有するフィルムを各々の取り出し域において分離設備外に取り出す機構が、該不織布からなる袋の比重及び該印刷インク層を有するフィルムの比重のうち一方が温水又はアルカリ水の比重よりもより大きくし、他方が温水又はアルカリ水の比重よりもより小さくなるように設定し、
温水又はアルカリ水よりも比重の小さい該一方を浮上させることにより分離設備の水面付近の取り出し域において分離設備外に取り出し、
温水又はアルカリ水よりも比重の大きい該他方を沈降させることにより水底付近の取り出し域において分離設備外に取り出す機構である、請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載の循環リサイクルシステム。
【請求項7】
前記フィルム付き袋の不織布からなる袋が、温水又はアルカリ水より比重の小さいポリプロピレン不織布又はポリエチレン不織布であり、前記フィルム付き袋のフィルムが温水又はアルカリ水より比重の大きいポリエチレンテレフタレートフィルムである請求項1乃至請求項6のうちいずれか一項に記載の循環リサイクルシステム。
【請求項8】
前記接着剤層が、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール又はその混合物を含むポリマーブレンドからなり、20℃の水100gに対して20g未満、かつ、60℃の水100gに対して60g以上の溶解度を有する層である請求項1乃至請求項7のうちいずれか一項に記載の循環リサイクルシステム。
【請求項9】
前記不織布からなる袋が、把手を必要とする場合は同材質の不織布を使用し、該袋の袋材同士を接合して作る場合はヒートシール又は超音波シールを使用し、該袋を縫着により仕上げる場合は不織布と同じ材質の糸又は高い温水溶解性を有する糸を使用して作られている、請求項1乃至請求項8のうちいずれか一項に記載の循環リサイクルシステム。
【請求項10】
前記分離工程の分離設備内で使用する温水又はアルカリ水に洗浄剤を混入することで分離工程内において不織布からなる袋を洗浄する請求項1乃至請求項9のうちいずれか一項に記載の循環リサイクルシステム。
【請求項11】
前記分離設備が、温水又はアルカリ水の水面下に超音波振動子又は撹拌用気泡吹き出し機構を設けた分離設備である、請求項1乃至請求項10のうちいずれか一項に記載の循環リサイクルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布からなる再使用可能な袋を使用した循環リサイクルシステムに関し、より詳しくは、その袋の表面に印刷インク層を有するフィルムを有するものであって、そのフィルムの分離除去が容易な不織布からなる袋を使った循環リサイクルシステムであり、不織布からなる袋の回収率及び再商品化率の向上を目指した循環リサイクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護、資源保護のため、また地球環境に対する意識の向上から、スーパー等のレジで用いられるポリオレフィンフィルム製の買物袋の代わりとして、再使用可能な不織布製の買物袋が使用されている(特許文献1参照)。この不織布製の買物袋は、繰り返し使用することにより、レジ袋の削減に貢献できるだけでなく、使用後に回収し、再び不織布にリサイクルすることにより資源保護にも有効である。
不織布製の買物袋としては、販売店ごとに識別するために、無色又は染色された不織布に、販売店のキャラクター、ロゴ、宣伝広告等が印刷された不織布製の買物袋が使用されている。この印刷された不織布製買物袋のリサイクルを容易にするために、例えば、ポリビニルアルコールを添加した水性フレキソインキをシルクスクリーン印刷し、洗剤を含む温アルカリ水で除去できるシルクスクリーン印刷のインク層を有する不織布袋が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-172283号公報
【特許文献2】特開2012-201747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2には、回収した不織布袋を、洗剤を含む温アルカリ水溶液に浸漬して印刷インク層を取り除き、不織布を洗浄することにより、不織布の再生原料として再利用できる旨が記載されている。しかし、取り除かれた印刷インク層の一部が温アルカリ水溶液に溶解又は分散して、不織布に付着及び着色するので、回収した不織布を再生原料とするには、洗浄するだけでなく、脱色又は染色する工程が必要となり、手間とコストがかかる。
また、不織布製の買物袋は、使用した後、リサイクルに出すことなくゴミとして廃棄されてしまうこともあるので、不織布製の買物袋の回収率を向上することが望まれている。
コストに関しては、レジ袋よりも費用負担のかかる不織布製の買物袋を無料配布するには、その費用を販売店が負担するか又は商品に転換して顧客が負担する必要があり、低コストでの循環リサイクルシステムの導入が望まれている。
【0005】
本発明の循環リサイクルシステムは、印刷インク層を有するフィルムを容易に分離でき、加えて分離された印刷インク層により再生原料である不織布が着色されず、脱色又は染色工程の不要な不織布の再生原料を得ることができる循環リサイクルシステムを提供することを目的とする。
また、本発明の循環リサイクルシステムは、回収率及び再商品化率が高く、かつ顧客及び販売店の費用負担を低減できる、不織布からなる再利用可能な袋を使った循環リサイクルシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、分離工程で印刷インク層を有するフィルムから印刷インク層が分離せず、不織布が着色又は染色しないことを見出し、かつ製造から回収、再生までの循環リサイクルシステムを構築し本発明を完成させた。即ち、本発明は、以下の態様からなる。
[1] 再使用可能な袋の循環リサイクルシステムであって、
販売店情報又は宣伝広告情報が描かれた印刷インク層を有するフィルム、並びに、不織布からなる袋をそれぞれ準備する、準備工程、
該フィルムを、その印刷インク層が該袋の表面と接するようにかつ温水溶解性を有する接着剤層が該フィルムと該袋との間に介在するように、該フィルムに張り付け接着し、フィルム付き袋に仕上げる、接着工程、
小売業の営業場所において該フィルム付き袋を顧客に交換又は有償販売により配布する、配布工程、
顧客による使用が重ねられた使用済みフィルム付き袋を小売業の営業場所において顧客より回収する、回収工程、
そして投入域、分離域及び取り出し域が順に連なる構造の分離設備において、温水又はアルカリ水が投入域、分離域及び取り出し域に満たされた状態で、回収された前記使用済みフィルム付き袋が分散する機構を設け、該使用済みフィルム付き袋を前記投入域に供給する供給段階と、
前記投入域から前記分離域に連続して移送された該使用済みフィルム付き袋を、該分離域において温水又はアルカリ水中に浸漬する機構を設け、温水溶解性を有する接着剤層が温水又はアルカリ水に溶解することにより、該使用済みフィルム付き袋を不織布からなる袋と印刷インク層を有するフィルムとに分離する分離段階と、
前記分離域から前記取り出し域に連続して移送された該不織布からなる袋及び該印刷インク層を有するフィルムを各々の取り出し域において分離設備外に取り出す機構を設け、該取り出し域においてこれら両者を各々分離設備外に取り出す取り出し段階とからなる、分離工程、
取り出された前記不織布からなる袋を乾燥して、再使用可能な不織布袋に仕上げる、或いは、取り出された前記不織布からなる袋を解砕、開繊し、得られた不織布原料にバージン不織布原料を混合又は積層し、そして混合又は積層された該原料より再使用可能な不織布袋を再生産する、袋再生工程、
その後、再生された該再使用可能な不織布袋を、前記準備工程において不織布からなる袋として再利用する、再使用可能な袋の循環リサイクルシステム。
[2] 分離工程から取り出された印刷インク層を有するフィルムから、該印刷インク層を除去する段階と、該印刷インク層が除去されたフィルムの表面に、印刷インク層を形成し、印刷インク層を有する新たなフィルムに仕上げる段階と、該新たなフィルムを前記準備工程において印刷インク層を有するフィルムとして適用する段階とからなるフィルム再利用工程をさらに有する[1]に記載の循環リサイクルシステム。
[3] 前記準備段階で準備される、印刷インク層を有するフィルムの該インク層が、フレキソ印刷インク層又はグラビア印刷インク層であり、該フィルムのインク層を有する側の表面がコロナ処理面、プラズマ処理面及びフレーム処理面からなる群から選択される処理面である[1]又は[2]に記載の循環リサイクルシステム。
[4] 前記回収された使用済みフィルム付き袋が分散する機構が、該使用済みフィルム付き袋を風又は振動で前記投入域内に分散させる機構を設けた、[1]乃至[3]のうちいずれか一つに記載の循環リサイクルシステム。
[5] 前記分離工程の分離域において温水又はアルカリ水中に所定時間浸漬する機構が、分離設備が槽の場合は、前記分離域内の温水又はアルカリ水の水面下に浮上防止板を設けるとともに、前記投入域から前記分離域を経由し前記取り出し域に至る温水又はアルカリ水の流れを形成し、その流れとともに使用済みフィルム付き袋が該浮上防止板の下方を移送される機構であり、分離設備が塔の場合は、塔の温水又はアルカリ水の水面下に使用済みフィルム付き袋を所定時間停留させる機構である、[1]乃至[4]のうちいずれか
一つに記載の循環リサイクルシステム。
[6] 分離域で分離された該不織布からなる袋及び該印刷インク層を有するフィルムを各々の取り出し域において分離設備外に取り出す機構が、該不織布からなる袋の比重及び該印刷インク層を有するフィルムの比重のうち一方が温水又はアルカリ水の比重よりもより大きくし、他方が温水又はアルカリ水の比重よりもより小さくなるように設定し、
温水又はアルカリ水よりも比重の小さい該一方を浮上させることにより分離設備の水面付近の取り出し域において分離設備外に取り出し、
温水又はアルカリ水よりも比重の大きい該他方を沈降させることにより水底付近の取り出し域において分離設備外に取り出す機構である、[1]乃至[5]のうちいずれか一つに記載の循環リサイクルシステム。
[7] 前記フィルム付き袋の不織布からなる袋が、温水又はアルカリ水より比重の小さいポリプロピレン不織布又はポリエチレン不織布であり、前記フィルム付き袋のフィルムが温水又はアルカリ水より比重の大きいポリエチレンテレフタレートフィルムである[1]乃至[6]のうちいずれか一つに記載の循環リサイクルシステム。
[8] 前記接着剤層が、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール又はその混合物を含むポリマーブレンドからなり、20℃の水100gに対して20g未満、かつ、60℃の水100gに対して60g以上の溶解度を有する層である[1]乃至[7]のうちいずれか一つに記載の循環リサイクルシステム。
[9]前記不織布からなる袋が、把手を必要とする場合は同材質の不織布を使用し、該袋の袋材同士を接合して作る場合はヒートシール又は超音波シールを使用し、該袋を縫着により仕上げる場合は不織布と同じ材質の糸又は高い温水溶解性を有する糸を使用して作られている、[1]乃至[8]のうちいずれか一つに記載の循環リサイクルシステム。
[10] 前記分離工程の分離設備内で使用する温水又はアルカリ水に洗浄剤を混入することで分離工程内において不織布からなる袋を洗浄する[1]乃至[9]のうちいずれか一つに記載の循環リサイクルシステム。
[11] 前記分離設備が、温水又はアルカリ水の水面下に超音波振動子又は撹拌用気泡吹き出し機構を設けた分離設備である、[1]乃至[10]のうちいずれか一つに記載の循環リサイクルシステム。
【発明の効果】
【0007】
本発明の循環リサイクルシステムで使用する再使用可能な袋は、高い温水溶解性を有する接着剤層を介して、不織布からなる袋の表面に印刷インク層を有するフィルムを、印刷インク層を有する面が接着剤層側となるように接着されてなるので、フィルム付き袋を温水又はアルカリ水に浸漬するだけで印刷インク層を有するフィルムを容易に分離できる。ここで、分離した不織布からなる袋及び該フィルムの内、一方を温水又はアルカリ水より比重を大きくし、他方を温水又はアルカリ水よりの比重より小さく設定することにより前記分離した両者の内、比重の小さい一方は浮上し、比重の高い他方は沈み、両者は容易に回収できる。
加えて、前記印刷インク層を有するフィルムのフィルム面がコロナ処理面、プラズマ処理面及びフレーム処理面からなる群から選択される処理面であるとき、フィルムと印刷インク層との密着性が非常に強い。そのため、印刷インク層が温水又はアルカリ水中に溶解・分散することが抑えられるので、分離工程で不織布を着色することがない。温水又はアルカリ水中で不織布からなる袋に着色がないことで、印刷インク層が分離した不織布からなる袋は再生材料として脱色又は染色工程の不要な不織布の再生原料を得ることができ、印刷インク層を有するフィルムを不織布からなる袋から容易かつ低コストで分離できる循環リサイクルシステムを提供することができる。
また、本発明では、不織布からなる袋に他社の宣伝広告を印刷したフィルムを接着することにより、再使用可能な袋の製造者は該他社から宣伝広告費を取得できるため、再使用可能な袋の販売価格を下げることができる。
また、本発明による循環リサイクルシステムで使用する不織布からなる袋は、把手を必
要とする場合は同材質の不織布を使用し、該袋の袋材同士を接合して作る場合はヒートシール又は超音波シールを使用し、該袋を縫着により仕上げる場合は不織布と同じ材質の糸又は高い温水溶解性を有する糸を使用して作られているとき、分離設備で温水又はアルカリ水に浸漬させ取り出した後には、再生原料として同一の材質になりより再生が容易となる。
また、本発明による循環リサイクルシステムで使用する不織布からなる袋を使用すれば、回収されたフィルム付き袋から再生した不織布からなる袋を製造し、再商品化率を向上させることが可能であり、再生した不織布からなる袋の製造時にバージン不織布原料の使用割合を低くすることが可能である。
また、本発明の循環リサイクルシステムにおいて分離設備で使用する温水又はアルカリ水の水中に所定の時間浸漬させる機構があるとき、不織布からなる袋と印刷インク層を有するフィルムの分離を的確に実施することができる。
また、本発明の循環リサイクルシステムにおいて分離設備で使用する温水又はアルカリ水に洗浄液を混入することにより、洗浄も同一分離設備内で実施することができる。
また、本発明による循環リサイクルシステムの分離設備において、所望により温水又はアルカリ水の水中に、超音波振動子又は撹拌用気泡吹き出し機構を設けることにより、不織布からなる袋と印刷インク層を有するフィルムの分離を短時間で的確に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の循環リサイクルシステムを表すブロック図である。
図2図2は、本発明の循環リサイクルシステムにおける事業所の分離槽による分離工程を示す図である。
図3図3は、本発明の循環リサイクルシステムにおける事業所の分離塔による分離工程を示す図である。
図4図4は、本発明の循環リサイクルシステムの分離工程で用いるコンベアに取り付ける横桟図である。
図5図5は、製造例2の不織布からなる袋の斜視図である。
図6図6は、図5のA-A’断面図である。
図7図7は、製造例2のフレキソ印刷インク層を有するフィルムを接着した不織布の製造工程を表す模式図である。(a)はコロナ処理面を有するフィルムを表し、(b)はフィルムのコロナ処理面に印刷インク層を設ける印刷段階を表し、(c)は印刷インク層を有するフィルムに温水溶解性を有する接着剤層を設ける段階を表し、(d)は不織布に接着剤層を設けたフィルムを貼り合わせる接着段階を表す。
図8図8は、試験例の不織布シートからのPETフィルム4の分離試験を表す模式図である。(a)は印刷層5を有するPETフィルム4が接着した不織布シートを表し、(b)は温水槽中で分離した、印刷インク層5を有するPETフィルム4と不織布シートとを表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の不織布からなる再使用可能な袋は、表面に温水溶解性を有する接着剤層を介して、印刷インク層を有するフィルムが該印刷インク層を接着剤層側に面して接着されてなる。印刷インク層は、フレキソ印刷インク層又はグラビア印刷インク層であり、そしてフィルムの印刷インク層を有する側の表面は、コロナ処理面、プラズマ処理面及びフレーム処理面からなる群から選択される処理面とすることが可能である、不織布からなる再使用可能な袋に関する。
【0010】
<不織布からなる再使用可能な袋及びフィルムの比重>
使用済みのファイル付き袋は、事業所の分離設備で不織布からなる袋と印刷インク層を有するフィルムに分離し、取り出しが容易に行えるようにするため、該袋又は該フィルム
の一方は温水又はアルカリ水より比重が小さく、他方は温水又はアルカリ水より比重が大きいことが望ましい。
ここで、該袋の比重を温水又はアルカリ水より小さくし、該フィルムの比重を温水又はアルカリ水より大きく設定することも可能であるし、反対に該袋の比重を温水又はアルカリ水より大きくし、該フィルムの比重を温水又はアルカリ水より小さく設定することも可能である。
<不織布からなる再使用可能な袋>
本発明の再使用可能な袋は、不織布からなる袋であればよく、そのサイズ及び形状は特に制限されない。例えば、買物袋、スーツ袋、布団収納袋等の様々な袋が挙げられる。好ましくは、再使用されることが多く、使用後に再生材料として回収しやすい買物袋、いわゆるレジ袋の形状の袋が挙げられる。
不織布は、軽量で折り畳んだり丸めたりでき、使用時に再展開して容易に元の形状に戻すこともでき携帯性に優れ、再使用可能な袋として利用できる。
また、不織布からなる袋は同一の素材からなる不織布及び糸から製造することができるため、分解分別する必要なく、そのまま袋再生工程に送ることができ、不織布からなる袋の再生化は非常に容易である。
【0011】
本発明の再使用可能な袋に使用される不織布は、公知の不織布を使用でき、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ビニロン等が挙げられる。
フィルム付き袋は、温水又はアルカリ水に浸漬して接着剤層が溶解することにより、印刷インク層を有するフィルムと不織布からなる袋に分離する。前記該フィルムと該袋の両者の内一方は温水及びアルカリ水よりは比重が大きく、他方は温水及びアルカリ水よりは比重が小さくすることで回収を容易にすることができる。
比重が温水及びアルカリ水より小さい場合は、比重0.99以下、好ましくは比重0.95以下の不織布が挙げられる。例えば、ポリプロピレンの比重は一般に0.90~0.91であり、ポリエチレンの比重は一般に0.94~0.97である。
比重が温水及びアルカリ水より大きい場合は、比重1.01以上、好ましくは比重1.05以上の不織布が挙げられる。例えば、ポリエステルの比重は一般に1.10~1.46であり、ビニロンの比重は一般に1.26~1.30である。
不織布として再生の容易さ、強度、成形性等の面から考慮すると、好ましくはポリオレフィン製の不織布、例えばポリエチレン不織布又はポリプロピレン不織布が使用される。なかでも、再生が容易なポリプロピレン不織布が好ましい。
【0012】
<フィルム>
本発明におけるフィルムは、一方の表面に例えばフレキソ印刷インク層又はグラビア印刷インク層を有し、フィルムの印刷インク層を有する側の表面が、例えばコロナ処理面、プラズマ処理面及びフレーム処理面からなる群から選択される処理面とすることができる。
【0013】
フィルム基材としては、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、塩化ビニルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム等の透明な樹脂フィルムが挙げられる。
フィルム付き袋は、温水又はアルカリ水に浸漬して接着剤層が溶解することにより、印刷インク層を有するフィルムと不織布からなる袋に分離する。前記該フィルムと該袋の両者の内一方は温水及びアルカリ水よりは比重が大きく、他方は温水及びアルカリ水よりは比重が小さくすることで回収を容易にすることができる。
比重が温水及びアルカリ水より小さい場合は、比重0.99以下、好ましくは比重0.95以下のフィルムが挙げられる。例えば、ポリプロピレンの比重は一般に0.90~0.91であり、ポリエチレンの比重は一般に0.94~0.97である。
比重が温水及びアルカリ水より大きい場合は、比重1.01以上、好ましくは比重1.
05以上のフィルムが挙げられる。例えば、ポリスチレンの比重は一般に1.04~1.09であり、ポリエステルの比重は一般に1.10~1.46であり、ポリエチレンテレフタレートの比重は一般に1.34~1.39である。
上記のフィルム基材のなかでも、耐擦傷性、透明性、耐水性、耐候性及び加工性の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましい。
フィルム基材の厚みは、インク転移性を向上し、版かぶりを抑制する観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは12μm以上であり、そして、好ましくは100μm以下、より好ましくは60μm以下、更に好ましくは40μm以下である。
【0014】
また、フレキソ印刷及びグラビア印刷適性を向上させる観点から、フィルム基材の印刷する表面を、例えばコロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、熱風処理、クロム酸処理、オゾン・紫外線処理等により酸化させ、ぬれ性を向上させた処理面となすことにより、印刷インク層及び以下に説明する接着剤層の密着性を向上させることができる。特に、印刷する表面をコロナ処理、プラズマ処理又はフレーム処理による処理面となすことが好ましい。
【0015】
本発明におけるコロナ処理、フレーム処理又はプラズマ処理は、フィルムの種類、印刷方法及びインクの種類によって適宜選択できる。何れの処理方法においても出力、処理スピード等の処理条件を任意に適宜調整できる。
【0016】
コロナ処理とは、高周波、高電圧のコロナ放電照射によって、表面を処理することをいう。本発明においてコロナ処理装置は一般に用いられるものが使用可能で、例えば春日電機株式会社、巴工業株式会社、株式会社マツボーなどの装置がある。また、印刷機メーカーによっては印刷機に付設された装置もある。
【0017】
フレーム処理は、公知の方法を適用でき、天然ガスやプロパンガス等の可燃性ガスに酸素を吹き込みながら燃焼させたときに生じる火炎で表面を処理することで行われる。フレーム処理装置としては、米国のフリンバーナー社製のフレーム(火炎)処理装置、イタリアのesseCI社製のフレーム(火炎)処理装置、アルコテック社製B1-100等が挙げられる。
【0018】
プラズマ処理は、公知の方法を適用でき、アルゴン、ヘリウム、ネオン、水素、酸素、空気等の単体又は混合気体の分子を、高周波を用いて電界を加えることで電離させ、これを表面に吹き付けることにより行われる。処理は気体の流量、印加電圧、周波数、サンプルの移動速度等を調整して行うことができる。プラズマ処理装置としては、例えばAGRODYN社製のPlasa-Treat systemがある。
【0019】
本発明で用いるコロナ処理、フレーム処理又はプラズマ処理のうち、フレーム処理とプラズマ処理は、コロナ処理と比較して処理エネルギーが強いため、処理エネルギーによってはフィルム表面又は印刷インク層表面にダメージを与えるおそれがある。本発明においては、フィルム表面にコロナ処理装置によりコロナ処理を行うことが好ましい。
コロナ処理の処理エネルギーは、600~12,000J/m(10~200W・分/m)、好ましくは1,200~9,000J/m(20~180W・分/m)である。コロナ放電処理の効果を十分に得るエネルギーは600J/m(10W・分/m)以上であり、12,000J/m(200W・分/m)超では処理の効果が同一となるので、12,000J/m(200W・分/m)以下で十分である。
【0020】
また、印刷する前にフィルム基材の印刷面にプライマー処理を行うこともできる。プライマーとしてはウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂等の公知なプライマーを使用できる。
【0021】
印刷インク層の印刷方法は、フィルムへの印刷に採用される方法であれば特に制限はなく、フレキソ印刷及び活版印刷等の凸版印刷、グラビア印刷等の凹版印刷、オフセット印刷等の平板印刷、シルクスクリーン印刷等の孔版印刷などのいずれも採用可能であり、特にPETフィルム等のフィルム基材への印刷性、美粧性、衛生性及び簡便性の観点からフレキソ印刷又はグラビア印刷が好ましい。フレキソ印刷及びグラビア印刷は、公知のフレキソ印刷方式及びグラビア印刷方式を使用できる。
印刷インクは、温水又はアルカリ水溶液に溶解しないインクであればよく、従来のフレキソ印刷又はグラビア印刷に使用されるインクを使用できる。なかでも溶媒を使用せず環境にやさしいという観点から、水性インク及びUV硬化インクが好ましい。
【0022】
フレキソ印刷又はグラビア印刷により、各販売店独自のロゴマークや、企業又はその製品の宣伝広告等フィルムに裏刷り印刷される。本発明のフィルム付き袋では、印刷インク層の表面はフィルムに保護される。そのため、フィルム付き袋の使用時に印刷インク層が傷ついたり、剥がれ落ちたり、色彩が劣化したりするのを防止できる。
【0023】
フィルム表面の印刷インク層側に、更に隠蔽層を設けることができる。隠蔽層を設けることにより、染色した不織布であっても、不織布の色の影響を受けて印刷インク層の色彩がぼやけることなくきれいに発色した印刷インク層を有することができる。
隠蔽層は、白色系インク層からなるか、又は不織布からなる袋の色調と同様若しくはこれに近い色調を有する層である。前記白色インク層は白色インクからなり、該白色インクは、主成分として酸化チタンを主成分として含む白色顔料とバインダ樹脂とを含む。使用される白色顔料としては、酸化チタンを主成分とするのが好ましく、副成分として、酸化亜鉛等を含んでもよい。特に酸化チタンは、白色度、隠蔽力(顔料又は塗料が黒白の下地を完全に隠蔽しうる能力をいう)、着色力において優れた性質を示し、さらに耐薬品性、光や熱に対する安定性が優れる。
隠蔽層に使用されるバインダ樹脂としては、いずれの樹脂を用いてもよく、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂又はこれらの一部架橋樹脂が挙げられる。
遮蔽層は前記フィルムと同材質又は遮蔽フィルムとすることもできる。遮蔽層としての遮蔽フィルムの基材としては、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、塩化ビニルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ナイロンフィルム等の透明な樹脂フィルムが挙げられる。
【0024】
<接着剤層>
本発明における接着剤層は、本発明の不織布からなる袋の袋体表面と、フィルムの印刷層を有する面とを貼り合わせて接着できる接着剤からなる層である。本発明における接着剤層は、本発明のフィルム付き袋が雨に濡れてもフィルムが剥がれないことが求められる観点から低温の水には溶解せず、一方フィルム付き袋表面から該フィルムが容易に分離されるようにするために、例えば60℃以上の高温の水に浸漬したときには、容易に溶解してしまう性質を有することが求められる。従って、それら要求を満たすところの高分子としては溶解度が、20℃の水100gに対して20g未満、及び60℃の水100gに対して60g以上であることが好ましい。
【0025】
また、本発明では上記のような特異な耐水性、すなわち60℃以上の高温水には容易に溶解するが、常温水のような低温水には溶解し難い性質を有する接着剤層として、ポリビニルアルコールを含む接着剤層が好適に用いられる。
本発明に用いられるポリビニルアルコールとしては、上記のような耐水性を有するポリビニルアルコールであれば特に限定はされない、例えばアルコキシ基、エステル基、アルキレンエーテル基など各種の修飾基を有する変性ポリビニルアルコールでもよい。けん化度は、97.5モル%以上が好ましい。とりわけ、ポリビニルアルコールと架橋剤とを重
合して得られる架橋構造を有する変性ポリビニルアルコールが好適に用いられる。なかでも、例えば下記式
【化1】
(式中、0≦l≦1、0≦m≦1、0≦n≦1、0.8≦l+m+n≦1)で表される構造を含むアセトアセチル化ポリビニルアルコール(l、m及びnは各構造のモル比を表す。この高分子はランダム重合体であってよく、またブロック重合部分を有していてもよい。)を架橋剤と重合することによって得られる変性ポリビニルアルコールが好ましい。ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールの市販品としては、例えば日本合成化学工業(株)商品名、ゴーセノールNH-26、ゴーセノールNH-20、ゴーセノールNH-18、ゴーセノールN-300、ゴーセノールNM-14、ゴーセノールNM-11、ゴーセノールNL-05、ゴーセノールAH-26、ゴーセノールAH-17、ゴーセノールA-300ゴーセノールC-500、ゴーセノールP-610、ゴーセノールAL-06R、ゴーセノールGH-23、ゴーセノールGH-20、ゴーセノールGH-17、ゴーセノールGM-14、ゴーセノールGM-14L、ゴーセノールGL-05、ゴーセノールGL-03、ゴーセノールKH-20、ゴーセノールKH-17、ゴーセノールKL-05、ゴーセノールKL-03、ゴーセノールKP-08R、ゴーセノールNK-05R、ゴーセファイマーZ-100、ゴーセファイマーZ-200、ゴーセファイマーZ-205、ゴーセファイマーZ-210、ゴーセファイマーZ-220、ゴーセファイマーZ-300、ゴーセファイマーZ-320、ゴーセファイマーZ-410、ゴーセファイマーOKS3540等が挙げられ、三菱ケミカル(株)商品名、ゴーセネックスZ-100、ゴーセネックスZ-200、ゴーセネックスZ-300、ゴーセネックスZ-410等が挙げられる。
【0026】
本発明で用いられる架橋剤としては、ポリビニルアルコールを架橋させることで上記のような耐水性を付与しうる化合物であれば特に限定されず、例えば、多価金属化合物、ホウ素化合物、アミン化合物、ヒドラジン化合物、シラン化合物、メチロール基含有化合物、アルデヒド基含有化合物、エポキシ化合物、チオール化合物、イソシアネート化合物等を用いることができる。これらは単独で用いても二種類以上を組み合わせて用いても良い。市販品としては、例えばグリオキザールGX(日本合成化学工業社製)、スミマールM-30W(住友化学社製)、ハイリンクDM(Clariant製)が好ましい。架橋剤は、ポリビニルアルコールの質量に対して、0.1質量%より多く2.0質量%以下、好ましくは0.1質量%より多く1.5質量%以下、また好ましくは0.5より多く1.0質量%以下の量で添加される。架橋剤の添加量が上記の範囲の下限量より少ない場合、架橋度が不十分に低くなるため常温水及び高温水に対する耐水性が得られず、添加量が上記の範囲の上限量、特に2.0質量%より多くなると、架橋度が相当に高くなるため常温水に対する耐水性が高くなるとともに高温水に対する耐水性も高くなり過ぎ、60℃以上の高温水には容易に溶解するが、常温水のような低温水には溶解し難いという本発明の接着剤層に要求される耐水性が得られない。
【0027】
本発明で用いられるアセトアセチル化ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールをアセトアセチル化したものが望ましく、その方法としては、ポリビニルアルコールを酢酸溶媒中に分散させておき、これにジケテンを添加させる方法、ポリビニルアルコールをジメチルホルムアルデヒド又はジオキサンなどの溶媒にあらかじめ溶解しておき、これにジケテンを添加する方法、あるいはポリビニルアルコールにジケテンガス又は液状ジケテンを直接接触させる方法等が好適に用いられる。
【0028】
本発明において、アセトアセチル基が側鎖に導入されたポリビニルアルコールと、架橋剤としてアミン化合物とを反応させた場合、下記のような架橋構造を形成する。
【化2】
また、分子内にアセトアセチル基を有するポリビニルアルコールと、架橋剤としてアルデヒド基含有化合物とを反応させた場合、下記のような架橋構造を形成する。
【化3】
また、分子内にアセトアセチル基を有するポリビニルアルコールと、架橋剤としてメチロール基含有化合物とを反応させた場合、下記のような架橋構造を形成する。
【化4】
また、分子内にアセトアセチル基を有するポリビニルアルコールと、架橋剤として多価金属化合物とを反応させた場合、下記のような架橋構造を形成する。
【化5】
【0029】
本発明の上記のような架橋構造を有するアセトアセチル化ポリビニルアルコールは、酸性に溶けにくく強アルカリ性に溶けやすい性質を有するため、60℃以上の高温水以外に、例えば水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水を用いることによって容易に溶解することができる。
【0030】
本発明における接着剤層は、例えば上記高分子又は上記高分子を水又は溶媒に溶解又は分散させた溶液をフィルムの印刷インク層を有する面に塗付又は噴き付け、必要によりプレ乾燥させて、不織布に該フィルムを(加熱)圧着又は熱融着することにより、不織布とフィルムとの間に形成することができる。また、例えば薄膜の形態にある温水溶解性を有する高分子を、フィルムの印刷インク層を有する面に積層させ、不織布に該フィルムを(加熱)圧着又は熱融着することにより、接着剤層を形成することができる。
【0031】
本発明の分離工程において、温水又はアルカリ水に浸漬されたフィルム付き袋に振動、例えば超音波振動又は気泡による振動を加えることにより、更に該フィルムが不織布からなる袋から剥がれ易くなる。分離されたフィルム表面の印刷インク層は一般に非水溶性であり、温水又はアルカリ水であっても溶解しにくい。さらにフィルムの印刷インク層を有する面を、コロナ処理、プラズマ処理及びフレーム処理からなる群から選択される処理面としているとき、温水又はアルカリ水中で印刷インク層がフィルムから容易に分離しない。そのため、温水又はアルカリ水に印刷インク層のインクが溶解したり分散したりすることなく、つまり不織布からなる袋を着色又は染色することなく、該袋から印刷インク層を有するフィルムを取り除くことができる。前記により不織布からなる袋が着色等することはないが、さらなる対策として印刷インク層と不織布からなる袋の間に積層する接着剤の種類及び濃度を変え、2層以上としてもよい。この場合、温水又はアルカリ水の溶解度がより高い接着剤の層を不織布からなる袋側に塗付又は噴き付けることが望ましい。
【0032】
<再使用可能な袋の製造方法>
本発明の再使用可能な袋は、用途及び形状に合わせて公知の方法で製造することができ、形成された袋の表面に印刷インク層を有するフィルムを接着してもよいし、印刷インク層を有するフィルムを接着した不織布から袋を形成しても良い。
例えば、印刷インク層を有する連続フィルムを予め準備しておき、自動製袋機を用いて不織布からなる袋を形作る過程の前、途中又は後において、上記接着剤により連続フィルムを不織布の表面に連続して熱ロール圧着して袋を製造することができる。
【0033】
本発明の再使用可能な袋には、フィルムを2か所以上に接着することもできる。2か所以上にフィルムを接着する場合、印刷インク層の模様・文字等は同じでも異なっていても良い。例えば、不織布からなる袋の一方の面に自社(販売店等)を識別するためのロゴマーク等の印刷を行ったフィルムを接着し、他の面に他社商品の宣伝広告等の印刷したフィルムを接着しても良い。再生使用可能な袋の事業者が取得する宣伝広告費により不織布からなる袋の価格を安く設定することが可能となる。
【0034】
不織布からなる袋に把手を接合する場合、接合には公知の方法を使用でき、例えばヒートシール或いは超音波シールを使用するか、又は不織布と同じポリプロピレン製の糸或いは高い温水溶解性を有する糸で縫着することができる。これにより、糸を外したりする工程を追加することなく、印刷インク層を有するフィルムを分離した不織布からなる袋を再生原料とすることができる。不織布からなる袋を再使用するには、該袋の底面部或いは把手と袋体の接合部等の負荷がかかる部分にヒートシールよりも接合力の強い縫着により接合することが好ましい。
温水溶解性を有する糸としては、本発明の接着剤層と同程度の溶解性を有していればよく、例えばポリビニルアルコール繊維又はビニロン繊維が挙げられる。
【0035】
なお、本発明は、上記の買物袋に限らず、他の不織布からなる袋、例えば、収納袋、スーツ袋、防虫カバー、布団収容袋などの収納用袋、乾燥剤袋などに使用できる。
なお、フィルムを接着した不織布は、袋に限らず、他の不織布製品の材料、例えば衣服(手術着、実験着、防護服)、防護用品(作業手袋、防煙マスク、防塵マスク、防毒マスク)、医療用品(キャップ、マスク、シーツ類、抗菌マット)、包装資材、生活雑貨(カレンダー、滑り止めシート、アイマスク、ブックカバー、防臭シート)、テーブルトップ(テーブルクロス、ランチョンマット、コースター)、事務用品(封筒)、手芸用品、アイロンマット、OA機器(フロッピー(登録商標)ディスクライナー、CD/DVDケース)などに使用できる。
【0036】
分離設備において、フィルム付き袋から印刷インク層を有するフィルムを分離する際、有機溶剤などを使用せず水だけを使用するため、作業者の健康面への影響がなく、更には土壌汚染等の環境への影響もない。ただし、アルカリ水を使用した場合の廃棄では、pH調整後中性にする必要がある。
【実施例0037】
以下、本発明について例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
【0038】
[製造例1]:連続不織布シートの製造
印刷インク層を有するフィルムの製造について図7で説明する。印刷面がコロナ処理されたコロナ処理面6を有する幅22cm、厚さ12μmの易印刷性PETフィルム4{図7(a)}の巻きを用意し、その連続PETフィルム4の印刷面に、市販の水性フレキソインクを用いてフレキソ印刷機で印刷インク層5{塗布厚み3μm(乾燥時)}を印刷した{図7(b)}。次いで、幅120cmのポリプロピレン不織布3の巻きを用意し、連続PETフィルム4の印刷面にポリビニルアルコール水溶液を塗布して接着剤層7を有する連続接着性フィルムとし{図7(c)}、連続不織布3の長辺方向の一方の端部から25~47cmの位置に上記の連続接着性フィルムを熱ロール圧着して、温水溶解性を有する接着剤層7を介して、フレキソ印刷インク層5を有するフィルム4が接着されてなる連続不織布シートを得た{図7(d)}。実際のフィルム付き袋(図5)における印刷インク層を有するフィルムの断面図を図6に示す。
使用したPETフィルム4の比重は約1.3であり、使用した連続不織布シートの比重は約0.93である。
このポリビニルアルコール水溶液は、固形分濃度が17%のゴーセノールNH-18(三菱ケミカル株式会社製)の水溶液であり、20℃の水100gには約2gしか溶解しないが、60℃の温水に対しては約80gも易溶解するものである。
【0039】
[製造例2]:買物袋の製造
図5に示す買物袋1の製造について説明する。製造例1のポリプロピレン製の連続不織布シート(50cm×120cmの長方形)を自動製袋機にセットし、不織布からなる袋を切り出し、次に不織布からなる袋の側部を超音波シールし、印刷インク層を有するフィルムを不織布により強固に接着させた。次いで、把手部及び底部をポリプロピレン繊維で縫着して、買物袋1を得た。
ヒートシールはインパルス式ヒートシール(基本条件:ヒーター(一対の円柱状:各円柱の直径0.9mm)、加熱(シール)時間4秒、電圧220V、瞬間電流45A)により行った。
【0040】
[試験例]:不織布シートからの印刷インク層を有するPETフィルムの分離
図8の模式図に示すフィルム付き不織布からフィルムを分離する試験について説明する
。製造例1で製造したポリプロピレン製の連続不織布シートから、フレキソ印刷インキ層5を有するフィルム4が接着された部分を5cm×10cmの大きさで切り出した。
密閉可能な筒状の透明容器に、切り出した不織布シート、及び65℃の温水を入れ、65℃に保たれた温水槽中で5分間超音波により振動させたところ、接着剤層が溶解し、不織布シートとフレキソ印刷インク層5を有するPETフィルム4とが分離し、不織布シートが浮上し、フレキソ印刷インク層5を有するPETフィルム4が沈んだ。容器から、浮上してきた不織布シートのみを簡単に取り出すことができた。
このとき、温水へのフレキソ印刷インク層5の溶解又は分散による、不織布シート及び温水の着色及び染色は観察されなかった。
【0041】
本発明のフレキソ印刷インク層5を有するPETフィルム4が取り除かれた買物袋1は、洗浄するのみで、染色又は脱色することなく、再生原料として不織布を再生し、袋形成することにより、新たな買物袋を再生産することができる。
従って、本発明の袋1は循環リサイクルシステムにより再生化することができることが明らかである。
【0042】
また、製造例2の買物袋はポリプロピレン製の不織布からなり、多くの商品や重い商品を入れても袋側部の繋ぎ目から袋が裂けたり破けたりせず、角の或る商品を入れても袋体が伸びて破けないので、従来のレジ袋と比べて、袋内に詰める内容物の荷重限度、並びに許容体積を著しく向上することができる。ゆえに本発明の買物袋は、重い商品や嵩張る商品を入れ繰り返し使用しても、通常10回以上繰り返して使用することができる。製造例2の買物袋は、軽量であり、コンパクトに折り畳むことができるとともに折り畳み後に再展開して元の形状に戻すことも容易で、携帯に大変適している。
【0043】
[実施例]:不織布からなる袋の循環リサイクルシステム
本発明の循環リサイクルシステムにおける工程例には、図1に示すようにフィルム付き袋を製造するための準備工程101及び接着工程103、さらに小売業の営業場所におけるフィルム付き袋の配布工程113及び回収工程114、事業所内における分離工程105及び袋再生工程108、並びに所望により乾燥工程107がある。
フィルム付き袋を製造するための工程として、販売店情報又は宣伝広告情報等が描かれた印刷インク層を有するフィルム及び不織布からなる再使用可能な袋を準備する、準備工程101、温水溶解性を有する接着剤層が該フィルムと該袋との間に介在するように、該フィルムに張り付け接着しフィルム付き袋に仕上げる、接着工程103がある。
【0044】
小売業の営業場所における配布工程113では、各販売店110で顧客120にフィルム付き袋を交換又は有償で販売する。
小売業の営業場所における回収工程114では、顧客による使用が重ねられた使用済みのフィルム付き袋を回収する。使用が重ねられた使用済みフィルム付き袋をより多く回収するため、顧客が使用済みフィルム付き袋を販売店に持ち込むことを条件にすることで、新しいフィルム付き袋と交換又は割引販売することができる。デポジット制を導入することも考えられる。
【0045】
事業所における分離工程105では、図2及び図3に示すように、分離設備において回収物である使用済みフィルム付き袋67(回収物)が不織布からなる袋68(再生材料)と印刷インク層を有するフィルム69に分離される。実施例では、不織布からなる袋が温水及びアルカリ水より比重が小さいポリプロピレン製であり、フィルムが温水及びアルカリ水より比重が大きいポリエチレンテレフタレート製の場合について説明する。分離工程は、供給段階、分離段階及び取り出し段階があり、分離設備は投入域81、分離域82及び取り出し域83が順に連なる構造である。分離設備には図2に示す槽構造及び図3に示す塔構造が考えられる。
槽構造の分離設備から説明する。槽56での供給段階では、搬入された使用済みフィルム付き袋67(回収物)は投入口51より回収物が事業所設備に投入され、空気又は振動52により使用済みフィルム付き袋67を分散させる。さらに、使用済みフィルム付き袋67を上方に移送するため水平に対し上方に傾斜を設けたベルトコンベア53,54で移送させ、使用済みフィルム付き袋67は、順次槽内投入口55から槽56に供給される。なお、図4(a)にベルトコンベア53、54に取り付けた横桟71を示す。
【0046】
槽56においては、投入域81、分離域82及び取り出し域83は温水又はアルカリ水が満たされた状態で、槽56には55℃以上、好ましくは60℃以上の温水又はアルカリ水57が入っている。槽56内の温水又はアルカリ水57の一部は、循環水出口60から一旦槽外に出た後、水中ポンプ等で再び、循環水吹き出し口59から槽内に戻り、水流を形成する。投入域81において投入された使用済みフィルム付き袋67は、循環水吹き出し口59より水流に従って、分離域82に設けられた浮上防止板66の下方を移送される。分離段階において、使用済みフィルム付き袋67は、該袋表面と印刷インク層を有するフィルム69の間に高い温水溶解性を有する接着剤層を有しており、温水又はアルカリ水57により接着剤層が溶解し、不織布からなる袋68とインク層を有するフィルム69に分離される。該分離を的確に実施する場合には、槽内に超音波端子又は撹拌用気泡吹き出し機構58を設けると、超音波の振動や気泡の撹拌・振動により、不織布からなる袋68と印刷インク層を有するフィルム69との分離を促進することができる。
分離段階後の取り出し段階では、槽56の取り出し域83において、比重が大きい印刷インク層を有するフィルム69は、槽56の下方に沈降するので、底部に設けたベルトコンベア61により槽外に搬出され、印刷インク層を有するフィルムのフィルム集積槽65に集められる。一方、不織布からなる袋68(再生材料)は、温水又はアルカリ水57より比重が低いため浮上し、再生材料搬出口62よりベルトコンベア63により槽外に搬出され、再生材料集積槽64に集められる。集められた不織布からなる袋68は、次の乾燥工程107に進む。
なお、図4(b)にベルトコンベア61、63、70に取り付ける横桟71を示した。
【0047】
分離設備が塔構造の場合、浮上防止板は不要となるが、使用済みフィルム付き袋67(回収物)を槽内投入口55から塔の水底部に回収物を移送する水流又はベルトコンベア70等が必要となる。投入域81においてベルトコンベア70で水底付近まで移送された使用済みフィルム付き袋67は、分離域82において、温水溶解性を有する接着剤層が溶解することにより、不織布からなる袋68と印刷インク層を有するフィルム69に分離する。分離後の取り出し域83からの内容は分離槽の場合と同様である。
不織布からなる袋68に汚れがあり洗浄を必要とする場合は、温水又はアルカリ水57に洗浄剤等を混入させれば洗浄を兼ねることができる。
【0048】
乾燥工程107では、分離工程105の後に不織布からなる袋68を乾燥させる。洗浄するだけで使用可能となった不織布からなる袋は、乾燥後準備工程101に送られる。
袋再生工程108では、不織布からなる袋68(再生材料)を解砕、開繊等を行い繊維状態に戻し、所望によりバージン不織布原料を混合又は積層し、再生された再使用可能な不織布からなる袋を製造する。
【0049】
<フィルムの再生>
フィルムを再利用する工程では、分離工程105から取り出された印刷インク層を有するフィルム69から、印刷インク層を除去する段階と、印刷インク層が除去されたフィルム4の表面に、印刷インク層を形成し、新たなフィルムに仕上げる段階と、新たなフィルムを前記準備工程101において印刷インク層を有するフィルムとして適用する段階とから成り立っている。再生された印刷インク層を有するフィルム69は準備工程101で準備されることとなる。前記印刷インク層を有するフィルム69は次の接着工程103で、
再生された再使用可能な不織布からなる袋との間に温水溶解性を有する接着剤層を介在させ、再使用可能な不織布からなる袋に張り付け、接着される。
【産業上の利用可能性】
【0050】
不織布からなる再使用可能な袋を製造し、該袋を使用した後、使用済み袋として回収し、そしてそれを不織布シートとして、再び不織布からなる袋を作成することで、袋の再生・再利用することが可能となる。このような循環リサイクルシステムを確立することにより、資源を浪費することなく、また焼却処分も要しないので炭酸ガスの発生もなく、従って、本発明は、環境保全・資源節約の観点から非常に有用である。
【符号の説明】
【0051】
1 不織布からなる袋、3 ポリプロピレン不織布、
4 ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、
5 フレキソ印刷インク層、6 コロナ処理面、
7 接着剤層(ポリビニルアルコールフィルム)、14 把手部、15 封止片、
16 耳部、 33 不織布シート、35 シルクスクリーン印刷インク層、
51 回収物投入口、52 空気又は振動、
53、54、61、63、70 ベルトコンベア、 55 槽内投入口、
56 槽、57 温水(又はアルカリ水)、
58 超音波端子又は撹拌用気泡吹き出し機構、59 循環水吹き出し口、
60 循環水出口、62再生材料搬出口、64 再生材料集積槽、
65 フィルム集積槽、66 浮上防止板、67 フィルム付き袋、
68 不織布からなる袋、69 印刷インク層を有するフィルム、
71 ベルトコンベア横桟、81 投入域、82 分離域、83 取り出し域、
100 事業所、101 準備工程、103 接着工程、105 分離工程、
107 乾燥工程、108 袋再生工程、110 販売店、113 配布工程、
114 回収工程、120 顧客
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2021-03-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
[製造例2]:買物袋の製造
図5に示す買物袋1の製造について説明する。製造例1のポリプロピレン製の連続不織布シート(50cm×120cmの長方形)を自動製袋機にセットし、不織布からなる袋を切り出し、把手部14、封止片15及び耳部16を形成する。次に不織布からなる袋の側部18を超音波シールし、印刷インク層を有するフィルムを不織布により強固に接着させた。次いで、底部をポリプロピレン繊維で縫着して、買物袋1を得た。
ヒートシールはインパルス式ヒートシール(基本条件:ヒーター(一対の円柱状:各円柱の直径0.9mm)、加熱(シール)時間4秒、電圧220V、瞬間電流45A)により行った。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
1 不織布からなる袋、3 ポリプロピレン不織布、
4 ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、
5 フレキソ印刷インク層、6 コロナ処理面、
7 接着剤層(ポリビニルアルコールフィルム)、14 把手部、15 封止片、
16 耳部、18 側部、33 不織布シート、
35 シルクスクリーン印刷インク層、
51 回収物投入口、52 空気又は振動、
53、54、61、63、70 ベルトコンベア、 55 槽内投入口、
56 槽、57 温水(又はアルカリ水)、
58 超音波端子又は撹拌用気泡吹き出し機構、59 循環水吹き出し口、
60 循環水出口、62 再生材料搬出口、64 再生材料集積槽、
65 フィルム集積槽、66 浮上防止板、67 フィルム付き袋、
68 不織布からなる袋、69 印刷インク層を有するフィルム、
71 ベルトコンベア横桟、81 投入域、82 分離域、83 取り出し域、
100 事業所、101 準備工程、103 接着工程、105 分離工程、
107 乾燥工程、108 袋再生工程、110 販売店、113 配布工程、
114 回収工程、120 顧客