(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077817
(43)【公開日】2022-05-24
(54)【発明の名称】束海苔展開装置及び束海苔展開方法
(51)【国際特許分類】
A23L 17/60 20160101AFI20220517BHJP
【FI】
A23L17/60 103F
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020188839
(22)【出願日】2020-11-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】501044655
【氏名又は名称】小浅商事株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591033490
【氏名又は名称】株式会社ザ鈴木
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加納 伸康
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 栄一
【テーマコード(参考)】
4B019
【Fターム(参考)】
4B019LT71
4B019LT77
4B019LT78
(57)【要約】
【課題】本発明は、束海苔を好適に展開することのできる束海苔展開装置及び束海苔展開方法を提供する。
【解決手段】本発明の束海苔展開方法は、複数枚重ねた海苔を折り曲げ部にて二つ折りにしてなる束海苔であって、二つ折りによって最も内側に位置する海苔は内面が内側対向面として対向する束海苔を、前記折り曲げ部の一端がはみ出た状態で保持し、前記折り曲げ部のはみ出た前記一端を押して、前記最も内側に位置する海苔の前記内側対向面間に隙間を生じさせ、前記最も内側に位置する海苔の下側に位置する内側対向面を押さえ、前記最も内側に位置する海苔の上側に位置する内側対向面を前記折り曲げ部を略中心として上向きに円弧状に移動させて、前記束海苔を捲り上げて展開する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚重ねた海苔を折り曲げ部にて二つ折りにしてなる束海苔であって、二つ折りによって最も内側に位置する海苔は内面が内側対向面として対向する束海苔を送給する送給手段と、
前記送給手段により送給された前記束海苔を折り曲げ部の一端がはみ出た状態で載せる基台と、
前記束海苔を前記基台に押さえ付ける押付手段と、
前記束海苔の前記折り曲げ部のはみ出た前記一端を押して、前記最も内側に位置する海苔の前記内側対向面間に隙間を生じさせる口広げ手段と、
前記口広げ手段によって形成された前記隙間に挿入され、前記最も内側に位置する海苔の下側に位置する内側対向面を押さえる押さえ手段と、
前記口広げ手段によって形成された前記隙間に挿入され、前記最も内側に位置する海苔の上側に位置する内側対向面を前記折り曲げ部を略中心として上向きに円弧状に移動させて、前記束海苔を捲り上げて展開する展開手段と、
前記展開した束海苔を送出する送出手段と、
を具える、束海苔展開装置。
【請求項2】
前記基台は、上下に移動可能であって、前記送給手段により前記束海苔が送給されている間は、前記基台が前記束海苔に当接しないように下方に移動する、
請求項1に記載の束海苔展開装置。
【請求項3】
前記口広げ手段は、前記折り曲げ部のはみ出た前記一端を押し込む、
請求項1又は請求項2に記載の束海苔展開装置。
【請求項4】
前記展開手段は、前記隙間に挿入される展開部材を有し、前記展開部材は、前記束海苔の前記上側対向面に当接した状態で、前記折り曲げ部を超えて上向きに円弧状に移動する、
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の束海苔展開装置。
【請求項5】
前記押付手段は、前記押さえ手段が前記対向面間に挿入された状態で、前記束海苔から離れる、
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の束海苔展開装置。
【請求項6】
前記押さえ手段及び前記展開手段は、前記送出手段が前記束海苔を送出する際に、前記束海苔から離れる、
請求項1乃至請求項5の何れかに記載の束海苔展開装置。
【請求項7】
前記送出手段は、前記束海苔の一端縁を掴んで展開された前記束海苔を送出する、
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の束海苔展開装置。
【請求項8】
前記送給手段により前記基台に送出された前記束海苔を、前記基台の所望位置で停止させるストッパー手段を具える、
請求項1乃至請求項7の何れかに記載の束海苔展開装置。
【請求項9】
展開された前記束海苔を装置外へ搬出する搬出手段を具え、
前記送出手段は、展開された前記束海苔を前記搬出手段に送出する、
請求項1乃至請求項8の何れかに記載の束海苔展開装置。
【請求項10】
複数枚重ねた海苔を折り曲げ部にて二つ折りにしてなる束海苔であって、二つ折りによって最も内側に位置する海苔は内面が内側対向面として対向する束海苔を、前記折り曲げ部の一端がはみ出た状態で保持し、
前記折り曲げ部のはみ出た前記一端を押して、前記最も内側に位置する海苔の前記内側対向面間に隙間を生じさせ、
前記最も内側に位置する海苔の下側に位置する内側対向面を押さえ、
前記最も内側に位置する海苔の上側に位置する内側対向面を前記折り曲げ部を略中心として上向きに円弧状に移動させて、前記束海苔を捲り上げて展開する、
束海苔展開方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り曲げられた束海苔を展開する束海苔展開装置及び束海苔展開方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンビニなどで販売されている包装おにぎりや包装巻き寿司などに海苔が用いられている。海苔は、包装フィルムの外フィルムと内フィルムとの間に挟んだ状態で飯塊に巻いて使用され、また、飯塊に直巻きして使用される。この種の海苔は、全形海苔を切断したものであり、全形海苔は、5~20枚程度、一般的には10枚を重ねて中央で二つ折りにした束海苔として取引されている。
【0003】
束海苔は、折り曲げられた状態から展開し、切断、味付け、包装等して使用され、或いは、海苔どうしを連接して長尺海苔が製造される。束海苔の展開は、人手により行なっており、機械化が求められている。
【0004】
特許文献1には、束海苔の展開装置が提案されている。当該展開装置は、コンベア上に折り曲げ部を下に向けて束海苔を走行させ、折り曲げ部の陰影の中央点をイメージセンサーで判別し、当該中央点に挿入展開具を挿入することで海苔を展開している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、束海苔は折り曲げられた状態にあり、また、撓み等があるから、挿入展開具を上手く中央点に挿入することは困難である。
【0007】
そこで、より確実に束海苔を展開できる束海苔展開装置の開発が望まれている。
【0008】
本発明の目的は、束海苔を好適に展開することのできる束海苔展開装置及び束海苔展開方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の束海苔展開装置は、
複数枚重ねた海苔を折り曲げ部にて二つ折りにしてなる束海苔であって、二つ折りによって最も内側に位置する海苔は内面が内側対向面として対向する束海苔を送給する送給手段と、
前記送給手段により送給された前記束海苔を折り曲げ部の一端がはみ出た状態で載せる基台と、
前記束海苔を前記基台に押さえ付ける押付手段と、
前記束海苔の前記折り曲げ部のはみ出た前記一端を押して、前記最も内側に位置する海苔の前記内側対向面間に隙間を生じさせる口広げ手段と、
前記口広げ手段によって形成された前記隙間に挿入され、前記最も内側に位置する海苔の下側に位置する内側対向面を押さえる押さえ手段と、
前記口広げ手段によって形成された前記隙間に挿入され、前記最も内側に位置する海苔の上側に位置する内側対向面を前記折り曲げ部を略中心として上向きに円弧状に移動させて、前記束海苔を捲り上げて展開する展開手段と、
前記展開した束海苔を送出する送出手段と、
を具える。
【0010】
前記基台は、上下に移動可能であって、前記送給手段により前記束海苔が送給されている間は、前記基台が前記束海苔に当接しないように下方に移動する構成とすることができる。
【0011】
前記口広げ手段は、前記折り曲げ部のはみ出た前記一端を押し込む構成とすることができる。
【0012】
前記展開手段は、前記隙間に挿入される展開部材を有し、前記展開部材は、前記束海苔の前記上側対向面に当接した状態で、前記折り曲げ部を超えて上向きに円弧状に移動する構成とすることができる。
【0013】
前記押付手段は、前記押さえ手段が前記対向面間に挿入された状態で、前記束海苔から離れる構成とすることができる。
【0014】
前記押さえ手段及び前記展開手段は、前記送出手段が前記束海苔を送出する際に、前記束海苔から離れる構成とすることができる。
【0015】
前記送出手段は、前記束海苔の一端縁を掴んで展開された前記束海苔を送出する構成とすることができる。
【0016】
前記送給手段により前記基台に送出された前記束海苔を、前記基台の所望位置で停止させるストッパー手段を具えることができる。
【0017】
展開された前記束海苔を装置外へ搬出する搬出手段を具え、
前記送出手段は、展開された前記束海苔を前記搬出手段に送出する構成とすることができる。
【0018】
また、本発明の束海苔展開方法は、
複数枚重ねた海苔を折り曲げ部にて二つ折りにしてなる束海苔であって、二つ折りによって最も内側に位置する海苔は内面が内側対向面として対向する束海苔を、前記折り曲げ部の一端がはみ出た状態で保持し、
前記折り曲げ部のはみ出た前記一端を押して、前記最も内側に位置する海苔の前記内側対向面間に隙間を生じさせ、
前記最も内側に位置する海苔の下側に位置する内側対向面を押さえ、
前記最も内側に位置する海苔の上側に位置する内側対向面を前記折り曲げ部を略中心として上向きに円弧状に移動させて、前記束海苔を捲り上げて展開する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の束海苔展開装置及び束海苔展開方法によれば、折り曲げ部を押さえ付けることで、折り曲げ部が広がって最も内側に位置する海苔の内側対向面間に隙間が生じる。この開いた内側対向面間に展開手段を差し込んで捲り上げることで、確実且つ好適に束海苔を展開することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、折り曲げられた束海苔の斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の束海苔展開装置の要部平面図である。
【
図3】
図3は、本発明の束海苔展開装置の要部側面図である。
【
図4】
図4は、供給手段と送給手段の説明図である。
【
図5】
図5は、束海苔が基台に移動した状態を示す要部側面図である。
【
図7】
図7は、基台と押付手段により束海苔を押さえ付けている状態を示す要部側面図である。
【
図8】
図8は、口広げ手段により束海苔の折り曲げ部を押して、側縁に隙間を形成している状態を示す平面図である。
【
図10】
図10は、展開手段と押さえ手段を束海苔に形成された側縁の隙間に挿入した状態を示す側面図である。
【
図12】
図12は、押付手段を上昇、口広げ手段を後退させた状態を示す側面図である。
【
図13】
図13は、展開手段を回転させて折り曲げられた束海苔を展開した状態を示す断面図(
図14の線XIII-XIIIに沿う)である。
【
図14】
図14は、展開手段を回転させて折り曲げられた束海苔を展開した状態を示す側面図である。
【
図15】
図15は、展開束海苔を送出手段で掴んだ状態を示す側面図である。
【
図16】
図16は、送出手段により展開束海苔が送出される状態を示す側面図である。
【
図17】
図17は、送出手段を回動させて展開束海苔を搬出手段に送出する状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の束海苔展開装置10及び束海苔展開方法について、図面を参照しながら説明を行なう。
【0022】
束海苔120は、
図1に示すように、全形海苔を5~20枚程度を重ねて略中央で二つ折りにして構成される。束海苔120の折り曲げられた部分を折り曲げ部121と称する。なお、本明細書では、束海苔120について、折り曲げ部121と逆側の辺を開放縁122、折り曲げ部121と開放縁122を繋ぐ辺を側縁123,123、また、束海苔120の最も内側に位置する海苔124について、折り曲げによって対向する面を内側対向面125,126(または上側対向面125、下側対向面126)と称する。
【0023】
束海苔120は、紐で縛られた形態等で箱詰めされて輸送等される。そして、束海苔120は、機械的に或いは人手により箱から取り出され、紐を除去した後、束海苔展開装置10の供給手段20にセットされる。
【0024】
束海苔展開装置10の要部構成を、平面
図2、また、
図2の紙面下方から見た側面
図3に示す。図に示すように、束海苔展開装置10は、束海苔120が収容される供給手段20、供給手段20から束海苔120の供給を受け、束海苔120を送り出す送給手段30、送給手段30から送給された束海苔120が載置される基台40、基台40に送出された束海苔120を所望位置で停止させるストッパー手段50、束海苔120を基台40に押さえ付ける押付手段60、束海苔120の折り曲げ部121の一端121a(
図8参照)を押して、対向面間に隙間127(
図11参照)を生じさせる口広げ手段70、口広げ手段によって形成された束海苔120の隙間127に挿入され、下側に位置する下側対向面126を押さえる押さえ手段80と上側に位置する上側対向面125を折り曲げ部121を略中心として上向きに円弧状に移動させて、束海苔120を展開させる展開手段90と、展開した束海苔(以下「展開束海苔128:
図16参照」と称する)を送出する送出手段100、さらには、展開束海苔128を装置10外へ搬出する搬出手段110を具える。
【0025】
上記各部材の動作、動作タイミング、位置制御等は、図示しない駆動手段、減速機構、リンク等により実現することができ、種々の制御は、CPU、RAM、ROM、フラッシュメモリーなどのメモリー、バッファ、これらに記録された各種プログラム等の連繋によって実現することができる。また、これら機能は、1の装置によって実現することもできるし、複数のシステムを共同して実現したシステムとすることもできる。
【0026】
たとえば、駆動手段は、モーター、空気圧、油圧、水圧等のシリンダー、ソレノイド等を採用できる。また、減速機構は、歯車、ラックとピニオン、プーリーとベルト、送りねじ、チェーン等を採用できる。束海苔120の位置、その他各部材の位置は、赤外線センサー等の各種センサー、エンコーダー、接触又は非接触式のスイッチ等により検出することができる。本明細書では、これらの詳細については適宜説明を省略する。
【0027】
各構成について順次説明を行なう。
【0028】
供給手段20は、
図2及び
図4に示すように、束海苔展開装置10の上方に配置され、折り曲げられた束海苔120(
図4)が収容される。たとえば、
図4に示すように、供給手段20は、束海苔120が折り曲げ部121を下向きに収容されるカセット21を有する構成を例示できる。カセット21には、一端下面に束海苔120が順次落下する開口22が形成されており、カセット21内には、束海苔120を開口22側に押し付ける送り板23がスライド可能に配置されている。送り板23は、図示しないベルトやネジ軸により所定時間毎に所定長さ移動し、束海苔120を開口22側に押して、束海苔120を順次開口22から落下させる。開口22の下方には、落下した束海苔120を次に説明する送給手段30に案内するスライダー24が形成されている。
【0029】
然して、カセット21内の折り曲げられた束海苔120は、送り板23の移動により、順次開口22から落下し、折り曲げ部121が進行方向側を向いた状態でスライダー24を滑って送給手段30に送出される。
【0030】
送給手段30は、供給手段20から送出された束海苔120を次に説明する基台40まで移動させる。たとえば、送給手段30は、
図2乃至
図6に示すように、一対のベルト31,31を例示できる。ベルト31,31は、プーリー32に掛けられており、プーリー32は、図示しないステッピングモーター等により間欠回転可能となっている。ベルト31,31の回転方向を
図3に矢印Aで示している。ベルト31,31は、基台40を挟むように配置されており、その間隔は、
図5及び
図6に示すように、束海苔120の折り曲げ部121の一端、すなわち側縁123,123がはみ出し可能な間隔とする。
【0031】
然して、ベルト31,31上に送出された束海苔120は、折り曲げ部121がベルト31,31の進行方向を向いた状態で基台40まで搬送される。
【0032】
基台40は、後述する押付手段60と共に束海苔120を挟み込んで固定する台座である。本実施形態では、基台40は、ベルト31,31間に配置されている。ベルト31,31と基台40を面一に形成すると、束海苔120をベルト31,31で送給する際に、束海苔120が基台40に擦れて進行方向からずれることがある。そこで、基台40は、
図3に矢印Bで示すように上下に移動可能な構成とし、ベルト31,31が走行し、束海苔120が移動中は、
図3に示すように基台40がベルト31,31の上面よりも下方に移動し、束海苔120と当接しない構成とすることが望ましい。
【0033】
然して、ベルト31,31の走行により、束海苔120は基台40まで移動し、ベルト31,31の走行を止めて、基台40を上昇させることで(
図5参照)、束海苔120は基台40に載る。
【0034】
なお、このとき、基台40の所望位置で束海苔120を停止させるために、
図2、
図3、
図5及び
図6に示すように、束海苔120の移動を規制するストッパー手段50を設けることが望ましい。ストッパー手段50は、図示の実施形態では、ベルト31.31の外側に配置され、上下に移動して束海苔120の移行路に出没する棒状のストッパーロッド51,51である。ストッパーロッド51,51の移動方向を
図3、
図5に矢印Cで示している。ストッパーロッド51は、束海苔120の移行路に出現して折り曲げ部121に当たり(
図5、
図6)、束海苔120の移動を規制して、基台40の所望位置で束海苔120を位置決めする。
【0035】
基台40上の所望位置で停止した束海苔120は、押付手段60が基台40に押し付ける。押付手段60は、たとえば、
図6及び
図7に示すように、束海苔120を基台40に押し付ける押付ヘッド61を、基台40に対して接近離間可能とする構成を例示できる。押付ヘッド61は、揺動駆動可能に支持された押付アーム62の先端に配備し、押付アーム62を揺動させることで、
図2及び
図7の矢印D方向に移動させて、押付ヘッド61で束海苔120を基台40に押し付ける。本実施形態では、押付アーム62は、押付ヘッド61を束海苔120に対して斜め上方向から接近する構成としている。
【0036】
然して、押付手段60の押付アーム62を揺動させることにより、束海苔120は、基台40と押付ヘッド61との間に挟まれて、固定される。
【0037】
基台40上で押付手段60により固定された束海苔120は、折り曲げ部121の一端121aを押すことで、最も内側に位置する海苔124の内側対向面125,126間に隙間127を生じさせる。たとえば、束海苔120の折り曲げ部121は、口広げ手段70によりその一端121aが押されて、内側対向面125,126間に隙間127が形成される。
【0038】
口広げ手段70は、本実施形態では、
図2、
図3に示すように、ベルト31の外側に配置され、束海苔120の折り曲げ部121に向けて揺動し、折り曲げ部121を押す口広げヘッド71としている。口広げヘッド71は、揺動駆動可能に支持された口広げアーム72の先端に配備され、口広げアーム72を揺動させることで、
図3、
図8及び
図9の矢印E方向に口広げヘッド71を移動させて、束海苔120の折り曲げ部121のはみ出た一端121aを押す。
【0039】
然して、束海苔120は、基台40と押付ヘッド61により固定された状態で、はみ出た折り曲げ部121の一端121aが口広げヘッド71により押されることで、
図8及び
図9に示すように、折り曲げ部121が高さ方向に広がり、後述する
図11のとおり、最も内側に位置する海苔124の内側対向面125,126間に隙間127が生じる。
【0040】
次に、口広げ手段70によって形成された束海苔120の隙間127(
図11参照)に押さえ手段80と展開手段90を挿入し、折り曲げられた束海苔120を展開させる。
【0041】
押さえ手段80は、
図2、
図3等に示すように、展開手段90と同じベース82上に配置された押さえプレート81と、押さえプレート81と共働し、下側に位置する束海苔120を挟み込んで押さえる押さえヘッド83から構成している。押さえプレート81は、ベース82から束海苔120の側縁123に向けて突設された板状部材であって、上記口広げ手段70によって形成された束海苔120の隙間127に挿入可能な高さに形成されている。押さえプレート81は、
図11に示すように、次に説明する展開手段90よりも束海苔120の開放縁122側に配置されている。また、押さえヘッド83は、束海苔120の隙間127に侵入した押さえプレート81に向けて下側から接近し(
図10の矢印G)、押さえプレート81と押さえヘッド83との間に束海苔120の折り曲げられた下側の部分を挟み込み、押さえ付ける。
【0042】
ベース82は、
図2、
図3に示すように、押さえプレート81と展開手段90が配置されており、束海苔120の側縁123に向けて
図3、
図10に矢印Fで示すように押さえプレート81と展開手段90を移動可能となっている。
【0043】
そして、押さえプレート81は、ベース82を
図10に示すように束海苔120の側縁123に向けて移動させることで、
図11に示すように束海苔120の隙間127に侵入する。そして、押さえプレート81が隙間127に侵入した状態で、
図10及び
図11に矢印Gで示すように押さえヘッド83を上昇させ、押さえプレート81と押さえヘッド83により束海苔120の折り曲げられた下側の部分を挟み込む。
【0044】
展開手段90は、
図11及び
図13に示すように、束海苔120の隙間127に挿入されて、束海苔120の上側対向面125を折り曲げ部121を略中心として上向きに円孔状に回転移動させて、束海苔120を展開させる手段である。展開手段90は、上記した押さえプレート81と共にベース82に配置される。
【0045】
本実施形態では、展開手段90は、
図2,
図3等に示すように、板状の展開プレート91を回転中心から偏心して設けた構成であり、図示では、展開プレート91は、略L字状の板材であって、回転軸92から展開プレート91が偏心するようL字状板材の短辺を回転軸92に連繋した構成としている。
【0046】
展開プレート91は、初期状態では、
図11に示すように押さえプレート81と同じ高さ位置にある。本実施形態では、展開プレート91は、
図10に矢印Fで示すようにベース82を束海苔120側に向けて移動させたときに、押さえプレート81と折り曲げ部121との間に位置するよう配置している(
図11参照)。
【0047】
然して、
図10に示すように、ベース82を矢印F方向に移動させることで、展開プレート91は、押さえプレート81と共に束海苔120の隙間127に侵入する。
図11は、
図10の線XI-XIに沿う断面図である。なお、束海苔120を展開させる際に、ストッパー手段50は邪魔になるので、
図10の矢印Hに示すように、下方に退避させておく。
【0048】
そして、
図12に矢印Iで示すように、押付ヘッド61を退避させて束海苔120から離し、また、口広げヘッド71を矢印Jで示すように退避させて束海苔120から離した状態から、
図11に矢印K、
図13に矢印Kで示すように、展開プレート91を回動させる。束海苔120は、押さえ手段80により下側対向面126が押付固定されているから、展開プレート91によって上側対向面125が折り曲げ部121を略中心として上向きに円孔状に捲り上げられて、
図13に示すように展開する。なお、
図13は、
図14の線XIII-XIIIの断面である。
【0049】
上記により、折り曲げられた束海苔120は、展開された展開束海苔128となる。
【0050】
続いて、展開束海苔128が送出手段100により送出され、搬出手段110により装置10外へ搬出される。
【0051】
送出手段100は、展開束海苔128を掴んで次工程に送出する手段である。なお、同じ装置10内で切断、味付け、包装等して使用され、或いは、海苔どうしを連接する場合には、これら機構に移動させる手段とすることができ、装置10外に送出する構成とすることもできる。
【0052】
送出手段100は、たとえば、
図2、
図3に示すように一対の掴み部材101,101を上下方向に接近、離間可能とした構成とすることができる。束海苔120は、展開した後であっても折り曲げ方向に復元しようとするため、掴み部材101は、折り曲げ部121と直交する側縁123であって、折り曲げ部121を挟んだ両側を掴むことが望ましい。折り曲げ部121と平行な辺(開放縁122:
図1参照)を掴んだ場合には、その復元力により折り曲げ部121で再度折れ曲がってしまう虞がある。
【0053】
掴み部材101は、展開束海苔128の側縁123と平行に延びる杆体102に掴み爪103,103を配置した構成とすることができ、杆体102は、掴みロッド104に接続されている。掴みロッド104の基端は、図示しない揺動機構を具える掴みアーム105に接続されている。掴みアーム105は、送出ベース106に中心に揺動可能に接続されており、本実施形態では、
図2に一点鎖線で示す搬出手段110に展開束海苔128を送出するために、平面視約45度屈曲しており、その揺動中心も平面視約45度傾いて配置している。また、送出ベース106は、展開束海苔128に向けて往復移動可能に配置されており、掴みアーム105を
図14の矢印L方向から展開束海苔128に接近させることができる。
【0054】
たとえば、掴み爪103,103は、薄い金属板などにより構成し、バネ性を具備することで、薄い展開束海苔128を確実に掴めるようにすることが望ましい。また、ゴム等の弾性部材を貼着してもよく、さらには、これら弾性部材により掴み爪103,103を形成してもよい。
【0055】
然して、掴み爪103,103が開いた状態で掴みアーム105を
図14の矢印L方向から展開束海苔128に接近させ、
図15の矢印Mに示すように掴みロッド104を回転して、掴み爪103,103を閉じる。これにより、
図15に示すように展開束海苔128の側縁123が掴み爪103,103で挟まれて保持される。
【0056】
この状態から、
図16に矢印Nで示すように、展開束海苔128を押さえている押さえ手段80と展開手段90を後退させることで展開束海苔128から離し、展開手段90は、展開プレート91等を
図2に示す初期位置に戻しておく。また、基台40も初期位置に下降させておく。
【0057】
続いて、
図16及び
図17に矢印Oで示すように掴みアーム105を後退させながら、掴み部材101を矢印Pに示すように回転させる。これにより、展開束海苔128は、基台40から展開された状態で送出される。
【0058】
送出された展開束海苔128は、
図17中、一点鎖線で示すように、コンベア等の搬出手段110で掴み爪103,103から解放され、矢印Q方向に搬出することができる。なお、搬出手段110は、展開束海苔128を重ねて収容するストッカーであってもよい。
【0059】
本実施形態では、掴みアーム105を回転させて展開束海苔128を送出しているから、
図17に示す搬出手段110に移動し、掴み爪103,103から解放されたときには、折り曲げ部121は内側対向面125が下側になる。すなわち、展開束海苔128は、展開して伏せ状態となるので、折れ曲がりが復元してしまうこともない。
【0060】
上記により、折り曲げられた束海苔120は展開され、展開束海苔128として送出される。
【0061】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【0062】
たとえば、各手段の構成、動作は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0063】
10 束海苔展開装置
20 供給手段
30 送給手段
40 基台
50 ストッパー手段
60 押付手段
70 口広げ手段
80 押さえ手段
90 展開手段
100 送出手段
110 搬出手段
120 束海苔
121 折り曲げ部
125 内側対向面(上側対向面)
126 内側対向面(下側対向面)
127 隙間
128 展開束海苔
【手続補正書】
【提出日】2021-03-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
複数枚重ねた海苔を折り曲げ部にて二つ折りにしてなる束海苔であって、二つ折りによって最も内側に位置する海苔の内面が内側対向面として対向する束海苔を送給する送給手段と、
前記送給手段により送給された前記束海苔を折り曲げ部の一端がはみ出た状態で載せる基台と、
前記束海苔を前記基台に押さえ付ける押付手段と、
前記束海苔の前記折り曲げ部のはみ出た前記一端を押して、前記最も内側に位置する海苔の前記内側対向面間に隙間を生じさせる口広げ手段と、
前記口広げ手段によって形成された前記隙間に挿入され、前記最も内側に位置する海苔の下側に位置する内側対向面を押さえる押さえ手段と、
前記口広げ手段によって形成された前記隙間に挿入され、前記最も内側に位置する海苔の上側に位置する内側対向面を前記折り曲げ部を略中心として上向きに円弧状に移動させて、前記束海苔を捲り上げて展開する展開手段と、
前記展開した束海苔を送出する送出手段と、
を具える、束海苔展開装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項4】
前記展開手段は、前記隙間に挿入される展開部材を有し、前記展開部材は、前記束海苔の前記上側に位置する内側対向面に当接した状態で、前記折り曲げ部を超えて上向きに円弧状に移動する、
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の束海苔展開装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項10
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項10】
複数枚重ねた海苔を折り曲げ部にて二つ折りにしてなる束海苔であって、二つ折りによって最も内側に位置する海苔の内面が内側対向面として対向する束海苔を、前記折り曲げ部の一端がはみ出た状態で保持し、
前記折り曲げ部のはみ出た前記一端を押して、前記最も内側に位置する海苔の前記内側対向面間に隙間を生じさせ、
前記最も内側に位置する海苔の下側に位置する内側対向面を押さえ、
前記最も内側に位置する海苔の上側に位置する内側対向面を前記折り曲げ部を略中心として上向きに円弧状に移動させて、前記束海苔を捲り上げて展開する、
束海苔展開方法。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の束海苔展開装置は、
複数枚重ねた海苔を折り曲げ部にて二つ折りにしてなる束海苔であって、二つ折りによって最も内側に位置する海苔の内面が内側対向面として対向する束海苔を送給する送給手段と、
前記送給手段により送給された前記束海苔を折り曲げ部の一端がはみ出た状態で載せる基台と、
前記束海苔を前記基台に押さえ付ける押付手段と、
前記束海苔の前記折り曲げ部のはみ出た前記一端を押して、前記最も内側に位置する海苔の前記内側対向面間に隙間を生じさせる口広げ手段と、
前記口広げ手段によって形成された前記隙間に挿入され、前記最も内側に位置する海苔の下側に位置する内側対向面を押さえる押さえ手段と、
前記口広げ手段によって形成された前記隙間に挿入され、前記最も内側に位置する海苔の上側に位置する内側対向面を前記折り曲げ部を略中心として上向きに円弧状に移動させて、前記束海苔を捲り上げて展開する展開手段と、
前記展開した束海苔を送出する送出手段と、
を具える。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
前記展開手段は、前記隙間に挿入される展開部材を有し、前記展開部材は、前記束海苔の前記上側に位置する内側対向面に当接した状態で、前記折り曲げ部を超えて上向きに円弧状に移動する構成とすることができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
また、本発明の束海苔展開方法は、
複数枚重ねた海苔を折り曲げ部にて二つ折りにしてなる束海苔であって、二つ折りによって最も内側に位置する海苔の内面が内側対向面として対向する束海苔を、前記折り曲げ部の一端がはみ出た状態で保持し、
前記折り曲げ部のはみ出た前記一端を押して、前記最も内側に位置する海苔の前記内側対向面間に隙間を生じさせ、
前記最も内側に位置する海苔の下側に位置する内側対向面を押さえ、
前記最も内側に位置する海苔の上側に位置する内側対向面を前記折り曲げ部を略中心として上向きに円弧状に移動させて、前記束海苔を捲り上げて展開する。