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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077875
(43)【公開日】2022-05-24
(54)【発明の名称】寝具乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/10 20060101AFI20220517BHJP
   D06F 59/00 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
D06F58/10 Z
D06F59/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020188932
(22)【出願日】2020-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 正宏
【テーマコード(参考)】
3B168
【Fターム(参考)】
3B168AB24
3B168AB29
3B168AB30
3B168AC14
3B168AC21
3B168AC30
3B168AD01
3B168AD02
3B168AE01
3B168AE07
3B168BA84
3B168JM01
3B168JM03
3B168WA08
3B168WB20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】稼働率の向上を図れる寝具乾燥装置を提供する。
【解決手段】寝具乾燥装置1は、装置本体2と、寝具Pが載せられる台車3と、を含む。装置本体2は、乾燥室2Bと、乾燥室2Bに温風を供給する供給部11と、を有する。台車3は、乾燥室2Bに対して引き出し可能に収納される。台車3は、寝具Pを載せるセット部22を有し、このセット部22は、図面の左右方向の幅を縮小可能である。従って、セット部22を縮小させれば、乾燥室2B内に空きスペースを確保することができるので、寝具P以外の物を収納して乾燥させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥室と、前記乾燥室に温風を供給する供給部と、を有する装置本体と、
寝具が載せられ、前記乾燥室に対して引き出し可能に収納され、縮小可能な台車と、含む、寝具乾燥装置。
【請求項2】
前記台車は、
車輪が設けられたベース部と、
前記ベース部上に設けられて前記乾燥室の奥行方向に伸縮可能であって、伸長状態において寝具が載せられる伸縮部と、を有する、請求項1に記載の寝具乾燥装置。
【請求項3】
前記伸縮部は、
前記奥行方向に並んで寝具を支える複数の支持部と、
前記複数の支持部をつないで前記奥行方向に伸縮可能なパンタグラフ部と、を有する、請求項2に記載の寝具乾燥装置。
【請求項4】
前記台車は、
車輪が設けられたベース部と、
前記ベース部上に設けられて縦方向に伸縮可能であって、伸長状態において寝具が載せられる伸縮部と、を有する、請求項1に記載の寝具乾燥装置。
【請求項5】
前記伸縮部は、
前記伸縮部の上端に配置されて寝具を支える頂上部と、
前記頂上部と前記ベース部とをつないで縦方向に伸縮可能なパンタグラフ部と、
前記頂上部から下側へ延び、寝具を支えるカーテン部と、
前記パンタグラフ部の収縮に応じて前記カーテン部を巻き取る巻き取り部と、を有する、請求項4に記載の寝具乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、布団などの寝具を乾燥させる寝具乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の寝具類乾燥機は、内部に乾燥室が形成された筐体と、乾燥室に対して引き出し可能に収納されて寝具が載置される載置部材とを含む。筐体の上部には、ヒータとファンとが設けられる。載置部材は、通気性を有する材料によって構成される。寝具類乾燥機の乾燥運転がスタートすると、ヒータ及びファンが作動する。これにより、外気が、ヒータの後方の外気吸込口から取り入れられた後に加熱されて温風となり、乾燥室に流入する。温風は、乾燥室内で載置部材に載置された寝具を通過して載置部材の内部空間に流入した後に、乾燥室の側壁下部の吸引口から排気ダクトに至り、機外に排出される。温風が寝具を通過することによって、寝具の乾燥が促進される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-157795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の寝具類乾燥機は、布団やマットレスといった寝具専用の乾燥機であるので、寝具を乾燥させる用事がなければ、稼働しない。このような寝具乾燥装置が業務用としてコインランドリなどに設置される場合には、寝具以外の物も寝具乾燥装置で乾燥させることができれば、寝具乾燥装置の稼働率の向上が図れる。しかし、特許文献1の寝具類乾燥機では、載置部材が乾燥室のほぼ全域を占める構造上、ハンガーに掛かった衣類などを載置部材と一緒に乾燥室に収納することができないので、寝具以外の物を乾燥させることはできない。
【0005】
この発明は、かかる背景のもとにおいてなされたものであり、稼働率の向上を図れる寝具乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、乾燥室と、前記乾燥室に温風を供給する供給部と、を有する装置本体と、寝具が載せられ、前記乾燥室に対して引き出し可能に収納され、縮小可能な台車と、含む、寝具乾燥装置である。
【0007】
また、本発明は、前記台車が、車輪が設けられたベース部と、前記ベース部上に設けられて前記乾燥室の奥行方向に伸縮可能であって、伸長状態において寝具が載せられる伸縮部と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記伸縮部が、前記奥行方向に並んで寝具を支える複数の支持部と、前記複数の支持部をつないで前記奥行方向に伸縮可能なパンタグラフ部と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記台車が、車輪が設けられたベース部と、前記ベース部上に設けられて縦方向に伸縮可能であって、伸長状態において寝具が載せられる伸縮部と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記伸縮部が、前記伸縮部の上端に配置されて寝具を支える頂上部と、前記頂上部と前記ベース部とをつないで縦方向に伸縮可能なパンタグラフ部と、前記頂上部から下側へ延び、寝具を支えるカーテン部と、前記パンタグラフ部の収縮に応じて前記カーテン部を巻き取る巻き取り部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、寝具乾燥装置では、寝具が載せられた台車が装置本体の乾燥室に収納された状態で、供給部が乾燥室に温風を供給することにより、寝具を乾燥させることができる。台車は、縮小可能である。そのため、寝具を乾燥する用事がない場合には、台車を縮小させれば、寝具以外の物を収納するスペースを乾燥室に確保することができるので、このスペースに寝具以外の物を収納して乾燥させることができる。このように、寝具を乾燥する用事がない場合にも寝具乾燥装置を稼働させることができるので、寝具乾燥装置の稼働率の向上を図れる。
【0012】
また、本発明によれば、台車では、ベース部上に設けられた伸縮部が、乾燥室の奥行方向に伸縮可能である。伸長状態の伸縮部に載せた寝具を乾燥室で乾燥させることができる。寝具を乾燥する用事がない場合には、伸縮部を縮小させれば、寝具以外の物を収納するスペースを乾燥室における伸縮部の隣に確保することができるので、このスペースに寝具以外の物を収納して乾燥させることができる。
【0013】
また、本発明によれば、伸縮部は、奥行方向に並ぶ複数の支持部と、これらの支持部をつないで奥行方向に伸縮可能なパンタグラフ部と有する。パンタグラフ部を伸長させれば、隣り合う支持部の間隔が広がることによって伸縮部を伸長状態にすることができる。パンタグラフ部を収縮させれば、隣り合う支持部の間隔が狭まることによって伸縮部を縮小することができる。
【0014】
また、本発明によれば、台車では、ベース部上に設けられた伸縮部が、縦方向に伸縮可能である。伸長状態の伸縮部に載せた寝具を乾燥室で乾燥させることができる。寝具を乾燥する用事がない場合には、伸縮部を縮小させれば、寝具以外の物を収納するスペースを乾燥室における伸縮部の上側に確保することができるので、このスペースに寝具以外の物を収納して乾燥させることができる。
【0015】
また、本発明によれば、伸縮部は、その上端に配置される頂上部と、頂上部とベース部とをつないで縦方向に伸縮可能なパンタグラフ部と有する。パンタグラフ部を伸長させれば、頂上部が上昇することによって伸縮部を伸長状態にすることができる。パンタグラフ部を収縮させれば、頂上部が下降することによって伸縮部を縮小することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明の一実施形態に係る寝具乾燥装置の模式的な縦断面右側面図である。
図2】寝具乾燥装置の模式的な縦断面正面図である。
図3】寝具乾燥装置に含まれる第1パターンに係る台車の斜視図である。
図4】一部が縮小した状態にある第1パターンに係る台車の斜視図である。
図5】第1パターンに係る台車を備える寝具乾燥装置の斜視図である。
図6図5から寝具乾燥装置内の乾燥室及び台車を抜き出した図である。
図7】一部が縮小した状態にある第1パターンに係る台車を収納した寝具乾燥装置の斜視図である。
図8図7から乾燥室及び台車を抜き出した図である。
図9】第2パターンに係る台車の斜視図である。
図10図9においてカーテン部が取り付けられた台車を示す斜視図である。
図11】一部が縮小した状態にある第2パターンに係る台車の斜視図である。
図12図11においてカーテン部が取り外された台車を示す斜視図である。
図13図11においてベース部の一部が取り外された台車を示す斜視図である。
図14】第2パターンに係る台車を収納した寝具乾燥装置の斜視図である。
図15図14から乾燥室及び台車を抜き出した図である。
図16】台車の一部が縮小した状態にある第2パターンに係る台車を収納した寝具乾燥装置の斜視図である。
図17図16から乾燥室及び台車を抜き出した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る寝具乾燥装置1の模式的な縦断面右側面図である。図1において紙面に直交する方向を寝具乾燥装置1の左右方向Xといい、図1における左右方向を寝具乾燥装置1の前後方向Yといい、図1における上下方向を寝具乾燥装置1の上下方向Zという。左右方向Xのうち、図1の紙面の奥側を左側X1といい、図1の紙面の手前側を右側X2という。前後方向Yのうち、左側を前側Y1といい、右側を後側Y2という。上下方向Zのうち、上側を上側Z1といい、下側を下側Z2という。左右方向X及び前後方向Yは、横方向の一例である。横方向は、水平方向又は水平方向に対して若干傾斜する略水平方向である。上下方向Zは、縦方向である。縦方向は、垂直方向又は垂直方向に対して若干傾斜する略垂直方向である。
【0018】
本実施形態の寝具乾燥装置1は、業務用であり、コインランドリなどに設置される。寝具乾燥装置1は、その筐体をなす装置本体2と、装置本体2内に配置されて布団やマットレスなどの寝具Pが載せられる台車3とを含む。装置本体2は、左右方向Xに扁平で縦長のボックス状である。装置本体2は、左右一対の側壁4と、底壁5と、天壁6と、後壁7と、前壁8と、扉9とを有する。左右一対の側壁4は、それぞれが縦に延びる板であって、平行に配置される。底壁5は、水平に延びる板であって、一対の側壁4の下端間に架設される。天壁6は、水平に延びる中空体であって、一対の側壁4の上端間に架設される。後壁7は、縦に延びる中空体であって、一対の側壁4の後端間に架設され、底壁5及び天壁6の後端間にも架設される。前壁8は、左右方向Xに長手で縦に延びる中空体であって、一対の側壁4の上端部の前端間に架設され、天壁6の前端に接続される。
【0019】
装置本体2の正面部である前面部には、一対の側壁4の前端と底壁5の前端と前壁8によって縁取られた縦長の出入口2Aが形成される。扉9は、出入口2Aとほぼ同じ大きさを有する縦長の板であり、ヒンジ(図示せず)を介して、一方の側壁4、例えば右側X2の側壁4に連結される。扉9は、出入口2Aを閉じた閉位置(図1参照)と、出入口2Aを開いた開位置(図5参照)との間で、ヒンジを中心として回動可能である。閉位置にある扉9の前面部には、扉9の開閉のために使用者によって把持される取っ手10が設けられる。装置本体2の内部には、一対の側壁4と、底壁5と、天壁6と、後壁7と、前壁8と、閉位置の扉9とによって囲まれた乾燥室2Bが設けられる。乾燥室2Bは、装置本体2の体積の大部分を占めるボックス状の空間である。扉9が開位置にある状態では、乾燥室2Bが出入口2Aから前側Y1へ露出される。乾燥室2Bが機外から視認できるように、扉9の少なくとも一部がガラスなどによって透明又は半透明に構成されてもよい。前後方向Yは、乾燥室2Bの奥行方向である。前後方向Yは、出入口2Aと、乾燥室2Bの奥である後端とをつなぐ方向でもある。一方、左右方向Xは、乾燥室2Bの幅方向である。
【0020】
装置本体2は、乾燥室2Bに温風を供給する供給部11を有する。供給部11に関連して、天壁6の後面部には、機外つまり装置本体2の外に臨む吸気口6Aが設けられ、天壁6の下面部には、乾燥室2Bに臨む入口6Bが設けられる。また、後壁7の前面部の下部には、乾燥室2Bに臨む出口7Aが設けられ、天壁6の上面部には、機外に臨む排気口6Cが設けられる。そして、供給部11は、天壁6内において吸気口6Aから前側Y1へ延びた後に下側Z2へ折れ曲がって入口6Bにつながった吸気路12と、後壁7内において出口7Aから上側Z1へ延びた後に天壁6内において前側Y1や上側Z1へ延びて排気口6Cにつながった排気路13とを含む。なお、図1では、排気路13の途中が吸気路12によって遮断されたように見えるが、実際には、排気路13は、途中で遮断されることなく、出口7Aから排気口6Cまで延びる。
【0021】
さらに、供給部11は、排気路13に配置されたファンなどの送風部14と、吸気路12に配置されたバーナなどの加熱部15とを含む。送風部14が作動すると、乾燥室2B、吸気路12及び排気路13が負圧状態になる。これにより、外気が、黒抜きの矢印で示すように、吸気口6Aから吸気路12に取り込まれて入口6Bから乾燥室2Bに流入し、その後、出口7Aから排気路13に流出して排気口6Cから機外に排出される。送風部14が作動した状態で加熱部15が作動すると、吸気口6Aから吸気路12に取り込まれた外気が加熱部15によって加熱されて温風になり、乾燥室2Bに供給された後に、排気路13を流れて排気口6Cから機外に排出される。
【0022】
台車3は、乾燥室2Bに収納される。台車3は、ベース部21と、ベース部21上に設けられて寝具Pが載せられるセット部22とを有する。ベース部21は、上下方向Zに扁平なボックス状であり、前後方向Yにおいて乾燥室2Bとほぼ同じ寸法を有する。ベース部21は、左右一対の側壁23と、一対の側壁23の前端間に架設された前壁24と、一対の側壁23の後端間に架設された後壁25とを有する。ベース部21は、一対の側壁23の下端間に架設されて前壁24及び後壁25の下端間にも架設された下壁26と、一対の側壁23の上端間に架設されて前壁24及び後壁25の上端間にも架設された上壁27とを有する。
【0023】
側壁23、前壁24及び後壁25のそれぞれは、縦に延びる矩形の板であり、下壁26及び上壁27のそれぞれは、水平に延びる矩形の板である。ベース部21は、一対の側壁23と、前壁24と、後壁25と、下壁26と、上壁27とによって囲まれた内部空間21Aを有する。後壁25には、内部空間21Aにつながった取出口25Aが設けられる。下壁39の下面部の四隅には、車輪28が設けられる。上壁27には、内部空間21Aにつながった取込口27Aが設けられる。
【0024】
寝具乾燥装置1の模式的な縦断面正面図である図2も参照して、セット部22は、ベース部21の上壁27から上側Z1へ突出した山型の全体形状を有する。セット部22は、前後方向Yにおいて、ベース部21より若干小さいものの、乾燥室2Bとほぼ同じ寸法を有する。セット部22は、寝具Pが実際に載せられる本体部29と、前後方向Yにおける本体部29の両側に配置された前後一対の端壁部30とを有する。本体部29は、正面視において上下が逆になった逆U字状又は逆V字状の断面を有する。
【0025】
セット部22は、本体部29の外面部に設けられた多数の通気穴22Aを有する。通気穴22Aは、本体部29の全域に分布する。各端壁部30は、上側Z1へ突出した山型をなす板であり、前後一対の端壁部30は、本体部29の前端縁及び後端縁をそれぞれ縁取るように本体部29に固定される。セット部22は、ベース部21の上壁27と、本体部29と、前後一対の端壁部30とによって囲まれた山型の内部空間22Bを有する。各通気穴22Aと、上壁27の取込口27Aとは、内部空間22Bにつながった状態にある。
【0026】
このような台車3は、扉9が開位置にある状態において、装置本体2の乾燥室2Bから前側Y1へ引き出し可能である。使用者は、二つ折りにした寝具Pを、引き出した台車3のセット部22に載せる。すると、寝具Pは、セット部22の本体部29に沿って山折りになった状態で、本体部29の通気穴22Aを塞ぐ。そして、使用者が台車3を装置本体2の出入口2Aから乾燥室2Bに押し込んで収納する。収納状態の台車3は、装置本体2の底壁5上に配置される。
【0027】
底壁5の上面部には、台車3における左右の車輪28をそれぞれ受け入れる左右一対のガイドレール31が設けられる(図2参照)。各車輪28がガイドレール31に受け入れられることによって、台車3は、乾燥室2B内で左右方向Xにおいて位置決めされる。使用者が扉9を閉位置まで閉じると、ベース部21が装置本体2の後壁7と扉9との間で挟まれるので、乾燥室2B内の台車3が前後方向Yにおいて位置決めされる。
【0028】
寝具Pがセット部22に載せられた台車3では、前述したように寝具Pが本体部29の通気穴22Aを塞いだ状態にあり、ベース部21の後壁25の取出口25Aが装置本体2の後壁7の出口7Aにつながった状態にある(図1参照)。この状態で寝具乾燥装置1の乾燥運転が始まると、前述したように送風部14及び加熱部15が作動する。すると、吸気口6Aから吸気路12に取り込まれて加熱部15によって加熱された外気である温風が、入口6Bから乾燥室2Bに流入して、乾燥室2B内の寝具Pに浴びせられる。
【0029】
寝具Pに浴びせられた温風は、寝具Pを通過して本体部29の通気穴22Aに到達し、通気穴22Aからセット部22の内部空間22Bに流入する。台車3のベース部21の上壁27におけるセット部22の左右両側には、上側Z1へ突出した押付部材40が1つずつ設けられる。各押付部材40は、例えばM字状に折り曲げられたパイプによって構成され、寝具Pを本体部29に押し付ける。これにより、寝具Pと本体部29の間に隙間が発生することを防止できるので、温風が寝具Pを通過せずに当該隙間に逃げることを防止できる。そのため、温風が寝具Pを積極的に通過するので、寝具Pを効率的に乾燥させることができる。そして、寝具Pを通過して内部空間22B内に流入した温風は、ベース部21の内部空間21Aに流れ落ち、取出口25A及び出口7Aを通って排気路13に流出して排気口6Cから機外に排出される。所定時間にわたって温風が寝具Pに浴びせられることによって寝具Pが乾燥すると、乾燥運転が終了する。
【0030】
台車3は、縮小可能であり、このような台車3には、第1パターン及び第2パターンがある。第1パターンに係る台車3は、横方向、具体的には前後方向Yに伸縮可能であり、第2パターンに係る台車3は、縦方向、つまり上下方向Zに伸縮可能である。以下では、第1パターン及び第2パターンについて、この順に説明する。
【0031】
図3は、第1パターンに係る台車3の斜視図である。第1パターンに係る台車3のセット部22は、前後方向Yに伸縮可能な伸縮部、詳しくは横伸縮部である。この場合のセット部22の本体部29は、前後方向Yに並ぶ複数の支持部41と、これらの支持部41をつなぐパンタグラフ部42とを有する。複数の支持部41は、等間隔で並ぶ4つの第1支持部41Aと、隣り合う第1支持部41Aの間に1つずつ配置されて等間隔で並ぶ3つの第2支持部41Bとを有する。第1支持部41A及び第2支持部41Bは、いずれも正面視で逆U字状であるが、第1支持部41Aが、第2支持部41Bよりも前後方向Yに幅広である。ベース部21の上壁27には、各支持部41の下端部を支持する左右一対のガイドレール43が設けられる。後端に位置する第1支持部41Aは、上壁27に固定されるが、他の支持部41は、ガイドレール43にガイドされることによって、前後方向Yに移動可能である。前端に位置する第1支持部41Aにつながった端壁部30の前面部には、使用者によって把持される取っ手44が設けられる。
【0032】
パンタグラフ部42は、4つ存在し、複数の支持部41の内側部分において上下2列左右2列となるように配置される。左下つまり図3における手前下のパンタグラフ部42を参照して、各パンタグラフ部42は、前後方向Yに並ぶ複数のクロス部42Aを有する。本実施形態における各パンタグラフ部42は、3つのクロス部42Aを有する。各クロス部42Aは、クロスに配置された2本のアーム42Bによって構成される。各クロス部42Aでは、各アーム42Bが、隣り合う第1支持部41A間に架設されてピン42Cによって各第1支持部41Aに連結され、これらのアーム42Bの交点は、これらの第1支持部41A間に配置された第2支持部41Bに対して、ピン42Dによって連結される。
【0033】
各アーム42Bは、ピン42Cまわりに回動可能であり、ピン42Dまわりにも回動可能である。各アーム42Bの回動に応じて、パンタグラフ部42は、前後方向Yに伸縮可能である。具体的には、使用者が取っ手44を把持して前側Y1へ引くと、第2支持部41Bとアーム42Bとの鋭角の交差角度αが大きくなるように各アーム42Bが回動するので、パンタグラフ部42が伸長する。これにより、後端の第1支持部41A以外の各支持部41が前進し、隣り合う支持部41の間隔が広がるので、セット部22全体が伸長する。セット部22において隣り合う支持部41の間隔が、前述した通気穴22Aである。図3におけるセット部22は、前側Y1へ目一杯伸長した伸長状態にある。伸長状態におけるセット部22に、寝具Pが載せられ、各支持部41が寝具Pを支える。
【0034】
一方、使用者が取っ手44を把持して後側Y22へ押すと、後端の第1支持部41A以外の各支持部41が後退し、隣り合う支持部41の間隔が狭まるので、セット部22全体が収縮する。図4におけるセット部22は、後側Y2へ目一杯収縮した収縮状態にある。前後方向Yにおいて、収縮状態のセット部22は、伸長状態のセット部22の半分位である。セット部22が収縮すると、第2支持部41Bが少し上昇し、第2支持部41Bの上端部が第1支持部41Aの上端部よりも上側Z1に配置される。
【0035】
図5は、伸長状態のセット部22に寝具Pが載せられた台車3が乾燥室2Bに収納された状態における寝具乾燥装置1の斜視図である。図6は、図5から乾燥室2B及び台車3を抜き出した図である。セット部22が伸長状態にあると、台車3及び寝具Pが乾燥室2Bのほぼ全域を占有した状態にある。寝具乾燥装置1が乾燥運転を開始すると、伸長状態のセット部22に載せられた寝具Pは、前述したように、乾燥室2Bに供給される温風が浴びせられることによって乾燥する。乾燥室2Bの上端部には、前後方向Yに延びるバー45が設けられる。バー45は、装置本体2の天壁6の下面部に固定される。
【0036】
一方、使用者がセット部22から寝具Pを取り外してセット部22を収縮状態にした後に台車3を乾燥室2Bに収納すると、図7及び図8に示すように、収縮状態のセット部22が乾燥室2Bにおける後半分にまとまるので、乾燥室2Bの前半分が空きスペース2Cになる。そこで、使用者は、寝具P以外の物、例えばシャツなどの衣類Qを空きスペース2Cに配置できる。具体的には、使用者は、衣類QをセットしたハンガーHを乾燥室2Bの上端のバー45に掛けることによって、衣類Qをバー45から釣り下がった状態で空きスペース2Cに配置できる。使用者が、このように衣類Qをセットしてから扉9を閉位置まで閉じて寝具乾燥装置1に乾燥運転を開始させると、空きスペース2Cに配置された衣類Qは、乾燥室2Bに供給される温風が浴びせられることによって乾燥する。このように、寝具Pを乾燥する用事がない場合には、セット部22を縮小させれば、寝具P以外の物を収納する空きスペース2Cを乾燥室2Bにおけるセット部22の隣に確保することができるので、空きスペース2Cに寝具P以外の物を収納して乾燥させることができる。なお、バー45の前後方向Yの寸法は、空きスペース2Cの前後方向Yの寸法と同じであればよく、第1パターンのバー45は、乾燥室2Bの前領域だけに設けられる。
【0037】
図9は、第2パターンに係る台車3の斜視図である。第2パターンに係る台車3のセット部22は、上下方向Zに伸縮可能な伸縮部、詳しくは縦伸縮部である。この場合のセット部22の本体部29は、セット部22の上端に配置される頂上部46と、頂上部46とベース部21とをつなぐパンタグラフ部47とを有する。頂上部46は、正面視で逆U字状の湾曲板である。頂上部46は、パンチングメタルやメッシュや金網のシートなどによって構成され、頂上部46の全域には、微小な通気穴22Aが多数形成される(図示せず)。
【0038】
第2パターンでは、各端壁部30が、頂上部46に連結された半円部30Aと、半円部30Aから下側Z2へ並ぶ複数の台形部30Bとに分割される。各台形部30Bは、下側Z2へ向かうにつれて左右方向Xへ少し幅広となる等脚台形状であり、各台形部30Bにおける左縁部及び右縁部は、頂上部46側へ折り曲げられた状態にある。なお、各台形部30Bは、等脚台形状でなく、左右方向Xに長い長方形状であってもよい。台形部30Bにおける左右方向Xの寸法は、上端の台形部30Bから下端の台形部30Bへ向かうにつれて徐々に大きくなるように設定される。前側Y1の端壁部30における半円部30Aの前面部には、前述した取っ手44が設けられる。
【0039】
パンタグラフ部47は、2つ存在し、左右2列となるように配置される。各パンタグラフ部47は、上下方向Zに並ぶ複数のクロス部47Aを有する。本実施形態における各パンタグラフ部47は、3つのクロス部47Aを有する。各クロス部47Aは、クロスに配置された2本のアーム47Bによって構成される。隣り合うクロス部47Aでは、各アーム47Bの端部同士がピン47Cによって連結される。上端のパンタグラフ部42では、各アーム47Bの上端部がピン47Cによって頂上部46に連結される。下端のパンタグラフ部42では、各アーム47Bの下端部がピン47Cによってベース部21の上壁27に連結される。各クロス部47Aにおける2本のアーム47Bは、互いの交点において、ピン47Dによって連結される。
【0040】
各アーム47Bは、ピン47Cまわりに回動可能であり、ピン47Dまわりにも回動可能である。各アーム47Bの回動に応じて、パンタグラフ部47は、上下方向Zに伸縮可能である。具体的には、使用者が取っ手44を把持して持ち上げると、各クロス部47Aが上下方向Zに広がるように各アーム47Bが回動するので、パンタグラフ部47が上側Z1へ伸長し、頂上部46が上昇する。これにより、セット部22全体が伸長する。図9におけるセット部22は、上側Z1へ目一杯伸長した伸長状態にある。
【0041】
図10に示すように、第2パターンに係る台車3のセット部22は、頂上部46から下側Z2へ延びるカーテン部48と、ベース部21の内部空間21Aに配置された巻き取り部49とを有する。図10は、第2パターンに係る台車3の完成状態を示す。カーテン部48は、柔軟性のあるパンチングメタルやメッシュや金網のシートであって、その全域には、微小な通気穴22Aが多数形成される(図示せず)。カーテン部48は、頂上部46に引っ掛かった状態で左右両側へ垂れ下がることにより、セット部22の本体部29の一部として、正面視で逆U字状に湾曲した状態にある。
【0042】
巻き取り部49は、前後方向Yに延びるローラであって、左右一対設けられ、ベース部21によって回転可能に支持される。左側X1の巻き取り部49Aは、カーテン部48において頂上部46から左下側へ延びた左部分48Aの下端部に連結される。右側X2の巻き取り部49Bは、カーテン部48において頂上部46から右下側へ延びた右部分48Bの下端部に連結される。巻き取り部49Aと巻き取り部49Bとは、互いに逆向きに回転するように、ばねなどの付勢部材(図示せず)によって常に付勢される。
【0043】
図10におけるセット部22は伸長状態にあって、カーテン部48は、各巻き取り部49から目一杯引き出されてパンタグラフ部47を左右両側から覆った状態にあり、各端壁部30は、半円部30A及び各台形部30Bが上下方向Zに並ぶことによって、上下方向Zに目一杯長くなった状態にある。カーテン部48と左右の端壁部30とによって囲まれた空間が、セット部22の内部空間22Bである。伸長状態におけるセット部22に、寝具Pが載せられ、頂上部46及びカーテン部48が寝具Pを支える。
【0044】
一方、使用者が取っ手44を把持して引き下げると、各クロス部47A(図9参照)が上下方向Zに狭まるように各アーム47Bが回動するので、パンタグラフ部47が下側Z2へ収縮し、頂上部46が下降する。これにより、セット部22全体が収縮する。図11におけるセット部22は、下側Z2へ目一杯収縮した収縮状態にある。このときのパンタグラフ部47における各クロス部47Aでは、図12に示すように、2本のアーム47Bが、略水平に配置されて互いに重なった状態にある。
【0045】
パンタグラフ部47の収縮に応じて、各巻き取り部49がカーテン部48を巻き取る。セット部22が収縮状態になると、図13に示すように、各巻き取り部49が、カーテン部48の大部分を巻き取った状態にある。さらに、各端壁部30は、各台形部30Bが下端の台形部30Bの内側に収納されることによって、上下方向Zに目一杯短くなった状態にある。なお、セット部22は、カーテン部48の左部分48A及び右部分48Bをそれぞれ上側Z1から押さえつけることによってカーテン部48にテンションを与える左右一対のテンション部50を有してもよい。各テンション部50は、前後方向Yに細長いローラである。
【0046】
台車3は、セット部22を収縮状態及び伸長状態のそれぞれにおいてロックするロック部(図示せず)を有してもよい。使用者が取っ手44を把持すると、ロック部によるロックが自動解除される。使用者が取っ手44を持ち上げると、セット部22が上側Z1へ伸長し、カーテン部48が巻き取り部49から引き出され、各端壁部30の台形部30Bが上側Z1へ1つずつ引き出される。これにより、セット部22は、伸長状態(図10参照)になる。
【0047】
図14は、伸長状態にある第2パターンのセット部22に寝具Pが載せられた台車3が乾燥室2Bに収納された状態における寝具乾燥装置1の斜視図である。図15は、図14から乾燥室2B及び台車3を抜き出した図である。この状態では、台車3及び寝具Pが乾燥室2Bのほぼ全域を占有した状態にある。寝具乾燥装置1が乾燥運転を開始すると、伸長状態のセット部22に載せられた寝具Pは、前述したように、乾燥室2Bに供給される温風が浴びせられることによって乾燥する。
【0048】
一方、使用者がセット部22から寝具Pを取り外してセット部22を収縮状態にした後に台車3を乾燥室2Bに収納すると、図16及び図17に示すように、収縮状態のセット部22が乾燥室2Bにおける下半分にまとまるので、乾燥室2Bの上半分が空きスペース2Cになる。そこで、使用者は、寝具P以外の物、例えばシャツなどの衣類Qを空きスペース2Cに配置できる。具体的には、使用者は、衣類QをセットしたハンガーHを乾燥室2Bの上端のバー45に掛けることによって、衣類Qをバー45から釣り下がった状態で空きスペース2Cに配置できる。第2パターンのバー45は、前後方向Yにおけう乾燥室2Bの全域にわたるように配置される。
【0049】
使用者が、このように衣類Qをセットしてから扉9を閉位置まで閉じて寝具乾燥装置1に乾燥運転を開始させると、空きスペース2Cに配置された衣類Qは、乾燥室2Bに供給される温風が浴びせられることによって乾燥する。このように、寝具Pを乾燥する用事がない場合には、セット部22を縮小させれば、寝具P以外の物を収納するスペースを乾燥室2Bにおけるセット部22の上側Z1に確保することができるので、このスペースに寝具P以外の物を収納して乾燥させることができる。
【0050】
以上のように、台車3は、縮小可能である。そのため、寝具Pを乾燥する用事がない場合には、台車3を縮小させれば、寝具P以外の物を収納する空きスペース2Cを乾燥室2Bに確保することができるので、空きスペース2Cに寝具P以外の物を収納して乾燥させることができる。このように、寝具Pを乾燥する用事がない場合にも寝具乾燥装置1を稼働させることができるので、寝具乾燥装置1の稼働率の向上を図れる。
【0051】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0052】
例えば、セット部22は、パンタグラフ部42やパンタグラフ部47を用いたパンタグラフ構造でなく、蛇腹を用いたアコーディオン構造によって変形可能であってもよい。また、台車3は、本実施形態のようにセット部22を1つだけ備える構成でなく、セット部22を複数備えてもよく、その場合には、複数のセット部22は、ベース部21上において、左右方向X又は前後方向Yに並んで配置される。これにより、台車3には、複数の寝具Pを載せることができる。
【0053】
また、本実施形態では、吸気路12から取り込まれた外気が乾燥室2Bで寝具Pを通過して台車3のセット部22の内部空間22Bに流入して排気路13から機外に排出される(図1参照)。これに代え、吸気路12と排気路13とで機能が逆になって、外気が排気路13から取り込まれて内部空間22Bに到達した後に寝具Pを通過して乾燥室2Bに流出し、吸気路12から機外に排出されてもよい。また、温風は、寝具乾燥装置1内で循環してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 寝具乾燥装置
2 装置本体
2B 乾燥室
3 台車
11 供給部
21 ベース部
22 セット部
28 車輪
41 支持部
42 パンタグラフ部
46 頂上部
47 パンタグラフ部
48 カーテン部
49 巻き取り部
P 寝具
Y 前後方向
Z2 下側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17