(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077907
(43)【公開日】2022-05-24
(54)【発明の名称】照明具付き水面浮上用具
(51)【国際特許分類】
B63C 9/13 20060101AFI20220517BHJP
F21L 4/00 20060101ALI20220517BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20220517BHJP
F21V 31/00 20060101ALI20220517BHJP
B63C 9/20 20060101ALI20220517BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220517BHJP
【FI】
B63C9/13
F21L4/00 110
F21L4/00 200
F21L4/00 500
F21V23/00 113
F21V31/00 100
B63C9/20 Z
F21Y115:10
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020188978
(22)【出願日】2020-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】000212533
【氏名又は名称】ワールドウォーターバッグ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊夫
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014NA01
(57)【要約】
【課題】本発明は、水難事故により漂流している状態において、漂流者が逸早く発見できる照明具付き水面浮上用具を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る照明具付き水面浮上用具は、身体における両方の下肢の膝裏の位置に装着する筒状の空気の注入が可能な膝裏部空気収納袋Dを備える水面浮上用具であって、当該膝裏部空気収納袋にソーラーライトEが取り付けられていることを特徴とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体における両方の下肢の膝裏の位置に装着する筒状の空気の注入が可能な膝裏部空気収納袋を備える水面浮上用具であって、
当該膝裏部空気収納袋にソーラーライトが取り付けられている
ことを特徴とする照明具付き水面浮上用具。
【請求項2】
前記膝裏部空気収納袋は、長手方向の左右に延長筒部が形成されており、
当該延長筒部にソーラーライトが取り付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の照明具付き水面浮上用具。
【請求項3】
前記膝裏部空気収納袋は、身体における下肢の膝裏の位置に装着するための膝裏連結具を備え、
前記ソーラーライトは、膝裏連結具が備えられている側に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の照明具付き水面浮上用具。
【請求項4】
前記ソーラーライトは、ソーラーパネル、充電器、LEDライト、光センサー及びこれらを接続する回路を含み、
ソーラーパネルに光が当たる場合は、ソーラーパネルが発電し、その発電された電気を充電器が蓄電し、
光センサーに光が当たる場合は、光センサーからの光検知信号を充電器が受信することにより充電器からLEDライトに流れる電流がOFFになってLEDライトが消灯し、
光センサーに光が当たらない場合には、光センサーからの光検知信号を充電器が受信しないことにより充電器からLEDライトに流れる電流がONになってLEDライトへ給電されてLEDライトが点滅又は点灯する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の照明具付き水面浮上用具。
【請求項5】
前記ソーラーライトは、液体が浸入しない光透過性の密封体に収納され、
当該密封体において、ソーラーパネルの受光部と光センサーの受光部とが密封体の上面に面するように配されている
ことを特徴とする請求項4に記載の照明具付き水面浮上用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明具付き水面浮上用具に関し、特に水難事故に遭遇した際に身体を浮かせることができると共に、漂流位置を発見されやすいに照明具を取り付けた照明具付き水面浮上用具に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、下記特許文献1に示されるように、水難事故により漂流している状態において、身体の安全性及び安定性が高く、かつ、快適な状態を維持できる水面浮上用具を案出した。
【0003】
ところで、実際に津波に巻き込まれて漂流してしまった場合には、海上や空中からはその漂流者を発見することは容易ではなく、特に夜間になると海上や空中からの照明によって漂流者を捜索すことになるので、捜索範囲も狭くなり漂流者を発見することは至難の業である。その結果、東日本大震災においては行方不明者が未だなお多数のままで状態であるのが現実である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2019-199142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さらに、本願発明者は鋭意研究を重ねて、水難事故により漂流している状態において、漂流者が逸早く発見できる照明具付き水面浮上用具を案出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る照明具付き水面浮上用具は、身体における両方の下肢の膝裏の位置に装着する筒状の空気の注入が可能な膝裏部空気収納袋を備える水面浮上用具であって、当該膝裏部空気収納袋にソーラーライトが取り付けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に係る照明具付き水面浮上用具は、上記請求項1に記載の構成に加えて、前記膝裏部空気収納袋は、長手方向の左右に延長筒部が形成されており、当該延長筒部にソーラーライトが取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3に係る照明具付き水面浮上用具は、上記請求項1又は2に記載の構成に加えて、前記膝裏部空気収納袋は、身体における下肢の膝裏の位置に装着するための膝裏連結具を備え、前記ソーラーライトは、膝裏連結具が備えられている側に取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4に係る照明具付き水面浮上用具は、上記請求項1~3のいずれか1項に記載の構成に加えて、前記ソーラーライトは、ソーラーパネル、充電器、LEDライト、光センサー及びこれらを接続する回路を含み、ソーラーパネルに光が当たる場合は、ソーラーパネルが発電し、その発電された電気を充電器が蓄電し、光センサーに光が当たる場合は、光センサーからの光検知信号を充電器が受信することにより充電器からLEDライトに流れる電流がOFFになってLEDライトが消灯し、光センサーに光が当たらない場合には、光センサーからの光検知信号を充電器が受信しないことにより充電器からLEDライトに流れる電流がONになってLEDライトへ給電されてLEDライトが点滅又は点灯することを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項5に係る照明具付き水面浮上用具は、上記請求項4に記載の構成に加えて、前記ソーラーライトは、液体が浸入しない光透過性の密封体に収納され、当該密封体において、ソーラーパネルの受光部と光センサーの受光部とが密封体の上面に面するように配されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る照明具付き水面浮上用具は、上記のように構成したことにより、水難事故により漂流している状態において、漂流者が逸早く発見できるため、場合によっては行方不明者中の生存者の発見が増え、また、行方不明者中の死者も逸早く発見できるので、短期間で行方不明者の数を激減させる効果がある。さらに太陽光発電式LEDライト、いわゆるソーラーライトを使用することにより、長期間に亘って照明能力が維持できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例であって、膝裏部空気収納袋を身体に装着した状態で水面に浮かんでいる状態を示す概略説明図である。
【
図2】本発明の第1の実施例であって、膝裏部空気収納袋の概略平面図である。
【
図3】本発明の第1の実施例であって、膝裏部空気収納袋に付随する膝裏連結具を表した概略正面図である。
【
図4】本発明の第1の実施例であって、膨らんだ膝裏部空気収納袋に膝裏連結具を取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の第1の実施例であって、膝裏連結具を利用して膝裏部空気収納袋を身体に装着した状態を示す一部概略斜視図である。
【
図6】本発明の第1の実施例であって、ソーラーライトの概略斜視図である。
【
図7】本発明の第2の実施例であって、膝裏部空気収納袋の概略平面図である。
【
図8】本発明の第2の実施例であって、膨らんだ膝裏部空気収納袋に膝裏連結具を取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図9】本発明の第2の実施例であって、膝裏連結具を利用して膝裏部空気収納袋を身体に装着した状態を示す一部概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の好適な実施例を添付の図の従って詳細に説明する。
図1~
図6は実施例1を示し、
図7~
図9は実施例2を示す。
【実施例0014】
図1は、上記特許文献1に開示される水面浮上用具を身体に装着して水面に浮かんだ状態を示す。この状態においては、脇部空気収納袋Aが身体に装着され、ジャケットBの着用と共に肩周り部空気収納袋Cが装着された状態において、膝裏部空気収納袋Dを装着した状態となる。
【0015】
詳しくは、前記したジャケットBを着用した状態で、2つの脇部空気収納袋Aが身体の脇下両側に装着され、肩周り部空気収納袋Cが装着された状態で津波に対する準備状態となり、水面に浮いている状態において、膝裏部空気収納袋Dを装着する。そのため、膝裏部空気収納袋Dに空気を封入していない扁平な状態で折り畳んでコンパクトな形態にしてジャケットB内に収納しておき、安定して水面に浮いている状態で、折り畳んだ状態の膝裏部空気収納袋DをジャケットBから取り出して、後述するように膝裏部空気収納袋D内に空気を吹き込んで膝裏部空気収納袋Dを完成させる。
【0016】
したがって、身体の周りを取り囲むように、身体の頭部は肩周り部空気収納袋Cによって支えられ、身体の胴部は脇部空気収納袋Aによって支えられ、身体の脚部は膝裏部空気収納袋Dによって支えられることになるため、これらの空気収納袋により身体があたかも筏の上に乗っているような状態となるので、極めて安定した状態で水面に浮かび上がることができる。
【0017】
図2及び
図3は、前記膝裏部空気収納袋D及びその附属品である膝裏連結具Fを示す。
【0018】
前記膝裏部空気収納袋Dは、表裏2枚のシートを、空気の出入口となる一部を除いて全周が閉塞され、空気を封入すると円筒状になる形態のものである。D1は、空気の出入口であって、この空気の出入口D1は、注入排出筒D2と蓋D3の構成を有するものである。そして、注入排出筒D2から空気を吹き込むことにより膝裏部空気収納袋Dを膨らませることができ、注入排出筒D2を畳み、面ファスナーを使用して蓋D3を閉じることにより膝裏部空気収納袋D内の空気が外部に漏出しないようになっている。
【0019】
また、膝裏部空気収納袋Dは、その左右2箇所に紐通しD4が設けられていて、紐D5が挿通されている。当該膝裏部空気収納袋Dのサイズは、長さ1m~1.5mであり、筒状体を平たくした状態で幅20~30cmであるが、この範囲に限られるものではなく必要に応じて変更は可能である。
【0020】
さらに、膝裏部空気収納袋Dは、その左右両端部の2箇所に、ソーラーライトEが取り付けられている。当該ソーラーライトEは、
図6に示すように、主としてソーラーパネルE1、充電器E2、LEDライトE3及び光センサーE4を備えており、これらソーラーパネルE1、充電器E2、LEDライトE3及び光センサーE4はそれぞれ回路で電気的に接続されている。そして、これらソーラーパネルE1、充電器E2、LEDライトE3及び光センサーE4は、海水等の液体に湿潤しないように光透過性の密封体となる密閉袋E5により封入され、前記膝裏部空気収納袋Dの表面に取り付けやすいように扁平な状態に形成されている。密閉袋E5は、その周囲がシール部E5’が形成された扁平な袋であり、例えばソーラーパネルE1、充電器E2、LEDライトE3及び光センサーE4を上下2枚の光透過性のフィルムの間に挟んでパウチ加工のようなラミネート加工により扁平な状態になるように形成されている。なお、海水等の液体が湿潤しないように密閉する方法はこれに限られるものではなく、光透過性の密閉容器内にソーラーパネルE1、充電器E2、LEDライトE3及び光センサーE4を配設したり、製造の手間を要するが、膝裏部空気収納袋D内に収納するようにしてもよい。
【0021】
前記ソーラーパネルE1は太陽光等の光を電気エネルギーに変換するものであって、光がソーラーパネルE1に当たる場合に発電する。前記充電器E2は、電気を蓄電するものであって、ソーラーパネルE1により発電した電気を蓄電する。
【0022】
LEDライトE3は、充電器E2から給電されたときに点灯又は点滅し、充電器E2から給電されないときには消灯する。
【0023】
前記光センサーE4は光を検知することにより光検知信号を発信するものであって、光センサーE4に光が当たる場合は、光センサーE4からの光検知信号を充電器E2が受信することにより充電器E2からLEDライトE3に流れる電流がOFFになってLEDライトE3が消灯する。光センサーE4に光が当たらない場合には、光センサーE4からの光検知信号を充電器E2が受信しないことにより充電器E2からLEDライトE3に流れる電流がONになってLEDライトE3へ給電されてLEDライトE3が点滅又は点灯する。
【0024】
なお、ソーラーパネルE1、充電器E2、LEDライトE3及び光センサーE4の組合せはこれに限られるものではなく、太陽光により充電ができ、光が当たらないときに点灯又は点滅するライトを備える構成であればよい。
【0025】
前記膝裏連結具Fは、2本の紐Faと当該2本の紐を引き絞る端末部材Fbとから構成される。そして、
図4に示すように、膝裏部空気収納袋Dにおける2本の紐D5のそれぞれを膝裏連結具Fの2本の紐Faのそれぞれの遊離端部と結び合わせ、端末部材Fbで輪奈を形成して膝裏部空気収納袋Dを完成させる。
【0026】
図5は、上記したように、膝裏連結具Fの2本の紐Faからなる輪奈を形成して完成された膝裏部空気収納袋Dを身体の脚部、特に膝裏にあてがって装着した状態を示す。
図5に示すように、身体の脚部を、その足先から膝裏連結具Fの2本の紐Faから構成される輪奈に通し、端末部材Fbにより紐Faを引き絞って身体の膝裏に装着する。このように膝裏部空気収納袋Dは、両方の膝の裏に配置されることにより、
図1に示すように、膝裏部空気収納袋Dの上に両膝を載せた状態となる。
【0027】
そして、前記したソーラーライトEは、膝裏部空気収納袋Dにおける2本の紐D5を取り付けた面に取り付けられているので、上方、すなわち大気に向かって取り付けられることになり、ソーラーライトEにおけるソーラーパネルE1及びLEDライトE3が大気側へ向くことになる。そのためソーラーパネルE1は太陽光を受けやすくなるので、発電効果が大きく、かつ、LEDライトE3は大気の方向に光を照射することになるので、照明効果が大きくなる。
【0028】
したがって、上記の構成をなす膝裏部空気収納袋Dを装着していると、光センサーE4により夜間においてはソーラーライトEにおけるLEDライトE3が点灯又は点滅するので、海上及び上空から漂流者が発見しやすくなる極めて大きな効果がある。また、昼間は太陽光によりソーラーライトEにおけるソーラーパネルE1により充電器E2に充電されるので、前記のLEDライトE3による漂流者が発見しやすくなる効果が永久的に持続でき、行方不明者を捜索するのが容易になり、その結果、行方不明者の激減につながる。
実施例1における膝裏部空気収納袋Dは、その長さが1m~1.5mであるが、本実施例における膝裏部空気収納袋2Dは、その長さを1.5m~2mに構成し、ソーラーライトEの取付スペースを左右両端部に広くとったものである。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。