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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022077913
(43)【公開日】2022-05-24
(54)【発明の名称】車両用スライドレール装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/07 20060101AFI20220517BHJP
   B60N 2/42 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
B60N2/07
B60N2/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020188987
(22)【出願日】2020-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】590001164
【氏名又は名称】シロキ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 明弘
(72)【発明者】
【氏名】田中 新
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087AA02
3B087BA02
3B087BB03
3B087BC17
3B087CD01
(57)【要約】
【課題】一例として、筐体の変形を抑制できる車両用スライドレール装置を得る。
【解決手段】実施形態に係る車両用スライドレール装置は、第1の方向に延びるロアレールと、前記第1の方向に移動可能に前記ロアレールに取り付けられたアッパレールと、雄ネジを有し、前記第1の方向に延びる、ロッドと、前記雄ネジと噛み合うことが可能な雌ネジを有するナットと、前記ロアレール及び前記アッパレールのうち一方のレールに設けられた壁部と、前記壁部と前記第1の方向に並び、前記ナットを収容し、前記一方のレールに取り付けられた筐体と、前記ナットと前記壁部との間に位置し、前記筐体の内部で前記ナットに向く第1の端部と、前記壁部に向く第2の端部と、を有し、前記筐体の外部で前記壁部から前記第2の端部へ前記第1の方向に荷重が作用した場合に前記第1の端部が前記ナットに当接して前記荷重を前記ナットへ伝達する、介在部と、を備える。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に延びるロアレールと、
前記第1の方向に移動可能に前記ロアレールに取り付けられたアッパレールと、
雄ネジを有し、前記第1の方向に延びる、ロッドと、
前記雄ネジと噛み合うことが可能な雌ネジを有するナットと、
前記ロアレール及び前記アッパレールのうち一方のレールに設けられた壁部と、
前記壁部と前記第1の方向に並び、前記ナットを収容し、前記一方のレールに取り付けられた筐体と、
前記ナットと前記壁部との間に位置し、前記筐体の内部で前記ナットに向く第1の端部と、前記壁部に向く第2の端部と、を有し、前記筐体の外部で前記壁部から前記第2の端部へ前記第1の方向に荷重が作用した場合に前記第1の端部が前記ナットに当接して前記荷重を前記ナットへ伝達する、介在部と、
を具備する車両用スライドレール装置。
【請求項2】
前記介在部は、前記筐体に収容されて前記ナットと前記壁部との間に位置する中間部材と、前記筐体に取り付けられて前記中間部材と前記壁部との間に位置する外部部材と、を有し、
前記中間部材は、前記第1の端部を有し、
前記外部部材は、前記第2の端部を有し、
前記壁部から前記第2の端部へ前記第1の方向に前記荷重が作用した場合、前記外部部材が前記中間部材に当接し、前記中間部材の前記第1の端部が前記ナットに当接し、前記外部部材及び前記中間部材が前記荷重を前記ナットに伝達する、
請求項1の車両用スライドレール装置。
【請求項3】
前記筐体は、複数のカバーを有し、
前記外部部材は、前記複数のカバーを互いに固定する、
請求項2の車両用スライドレール装置。
【請求項4】
モータ、をさらに具備し、
前記中間部材は、前記モータの回転を前記ナットに伝達する、
請求項2又は請求項3の車両用スライドレール装置。
【請求項5】
前記雌ネジと前記雄ネジとが噛み合うように前記ナットを保持する保持位置と、前記ナットを前記ロッドから離間可能にする解除位置と、の間で前記第1の方向に移動可能である保持部材と、
前記筐体に支持されるとともに前記保持位置に位置する前記保持部材から前記第1の方向に離間した位置に配置され、操作されることで前記保持部材を前記保持位置から前記解除位置へ押す、操作部材と、
をさらに具備する請求項1乃至請求項4のうちいずれか一つの車両用スライドレール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用スライドレール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のフロアに設けられるロアレールと、シートに固定されるとともにロアレールに移動可能に取り付けられるアッパレールと、を備える車両用スライドレール装置が知られる。また、モータの駆動によりアッパレールとロアレールとを相対的にスライド移動させる、いわゆるパワーシートも知られる。
【0003】
パワーシートの機構は、例えば、ロアレールとアッパレールに取り付けられるスクリューロッドとナットとを有する。スクリューロッド又はナットがモータにより駆動されることで、アッパレールとロアレールとが相対的にスライド移動する。ナットは、例えば、ロアレール又はアッパレールに取り付けられた筐体に保持される(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4-71937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の構成では、例えば車両に強い衝撃が作用した場合、アッパレール又はロアレールから筐体に荷重が作用する。この場合、筐体が変形してしまう虞がある。
【0006】
そこで、本発明は上記に鑑みてなされたものであり、筐体の変形を抑制できる車両用スライドレール装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る車両用スライドレール装置は、一例として、第1の方向に延びるロアレールと、前記第1の方向に移動可能に前記ロアレールに取り付けられたアッパレールと、雄ネジを有し、前記第1の方向に延びる、ロッドと、前記雄ネジと噛み合うことが可能な雌ネジを有するナットと、前記ロアレール及び前記アッパレールのうち一方のレールに設けられた壁部と、前記壁部と前記第1の方向に並び、前記ナットを収容し、前記一方のレールに取り付けられた筐体と、前記ナットと前記壁部との間に位置し、前記筐体の内部で前記ナットに向く第1の端部と、前記壁部に向く第2の端部と、を有し、前記筐体の外部で前記壁部から前記第2の端部へ前記第1の方向に荷重が作用した場合に前記第1の端部が前記ナットに当接して前記荷重を前記ナットへ伝達する、介在部と、を備える。よって、一例としては、介在部は、筐体を介さずに荷重をナットに伝達し、又は筐体に作用する荷重を低減することができる。これにより、筐体は、荷重により変形することを抑制できる。
【0008】
上記車両用スライドレール装置では、一例として、前記介在部は、前記筐体に収容されて前記ナットと前記壁部との間に位置する中間部材と、前記筐体に取り付けられて前記中間部材と前記壁部との間に位置する外部部材と、を有し、前記中間部材は、前記第1の端部を有し、前記外部部材は、前記第2の端部を有し、前記壁部から前記第2の端部へ前記第1の方向に前記荷重が作用した場合、前記外部部材が前記中間部材に当接し、前記中間部材の前記第1の端部が前記ナットに当接し、前記外部部材及び前記中間部材が前記荷重を前記ナットに伝達する。よって、一例としては、介在部は、筐体の外部から入力される荷重を筐体の内部に位置するナットへ、筐体を殆ど介さずに迅速に且つ確実に伝達することができる。
【0009】
上記車両用スライドレール装置では、一例として、前記筐体は、複数のカバーを有し、前記外部部材は、前記複数のカバーを互いに固定する。よって、一例としては、複数のカバーを互いに固定する部材と、中間部材を介して壁部からの荷重をナットに伝達する部材とを別々に設ける必要が無く、車両用スライドレール装置は、部品点数を低減できるとともに、製造工数を低減することができる。
【0010】
上記車両用スライドレール装置は、一例として、モータ、をさらに備え、前記中間部材は、前記モータの回転を前記ナットに伝達する。よって、一例としては、モータの回転をナットに伝達する部材と、外部部材からの荷重を前記ナットに伝達する部材とを別々に設ける必要が無く、車両用スライドレール装置は、部品点数を低減できるとともに、製造工数を低減することができる。
【0011】
上記車両用スライドレール装置は、一例として、前記雌ネジと前記雄ネジとが噛み合うように前記ナットを保持する保持位置と、前記ナットを前記ロッドから離間可能にする解除位置と、の間で前記第1の方向に移動可能である保持部材と、前記筐体に支持されるとともに前記保持位置に位置する前記保持部材から前記第1の方向に離間した位置に配置され、操作されることで前記保持部材を前記保持位置から前記解除位置へ押す、操作部材と、をさらに備える。よって、一例としては、荷重により変形した筐体が、操作部材を第1の方向に移動させて保持部材を保持位置から解除位置へ移動させてしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一つの実施形態のシート装置を概略的に示す斜視図である。
図2図2は、実施形態のスライダを分解して示す斜視図である。
図3図3は、実施形態のスライドレール装置の一部を示す正面図である。
図4図4は、実施形態のレール及びスライダを示す正面図である。
図5図5は、実施形態の駆動装置の一部を分解して示す斜視図である。
図6図6は、実施形態のスライドレール装置の一部を示す断面図である。
図7図7は、実施形態のナット、ガイド部材、切替機構、及びヘリカルギアの詳細を示す斜視図である。
図8図8は、実施形態のナットが離間位置に位置するスライドレール装置の一部を示す断面図である。
図9図9は、実施形態の-Y方向の衝撃が作用したスライドレール装置の一部を示す断面図である。
図10図10は、実施形態の+Y方向の衝撃が作用したスライドレール装置の一部を示す断面図である。
図11図11は、実施形態の緩衝装置を示す斜視図である。
図12図12は、実施形態の緩衝装置を分解して示す斜視図である。
図13図13は、実施形態のロアレール及びアッパレールの一部と緩衝装置111とを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、一つの実施形態について、図1乃至図13を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明について、複数の表現が記載されることがある。複数の表現がされた構成要素及び説明は、記載されていない他の表現がされても良い。さらに、複数の表現がされない構成要素及び説明も、記載されていない他の表現がされても良い。
【0014】
図1は、一つの実施形態のシート装置10を概略的に示す斜視図である。シート装置10は、四輪自動車のような車両1に搭載され、スライドレール装置11と、シート12とを有する。シート12は、シートクッション12aと、当該シートクッション12aに回動可能に取り付けられたシートバック12bとを有する。
【0015】
各図面に示されるように、本明細書において、便宜上、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、車両1の左右方向に沿って設けられる。Y軸は、車両1の前後方向に沿って設けられる。Z軸は、車両1の上下方向に沿って設けられる。
【0016】
さらに、本明細書において、X方向、Y方向及びZ方向が定義される。X方向は、X軸に沿う方向であって、X軸の矢印が示す+X方向(右方向)と、X軸の矢印の反対方向である-X方向(左方向)とを含む。Y方向は、Y軸に沿う方向であって、Y軸の矢印が示す+Y方向(前方向)と、Y軸の矢印の反対方向である-Y方向(後方向)とを含む。+Y方向及び-Y方向のうち一方は、第1の方向とも称され得る。+Y方向及び-Y方向のうち他方は、第2の方向とも称され得る。Z方向は、Z軸に沿う方向であって、Z軸の矢印が示す+Z方向(上方向)と、Z軸の矢印の反対方向である-Z方向(下方向)とを含む。
【0017】
スライドレール装置11は、シート12を、車両1のフロア1aに対してY方向にスライド移動させることができる。スライドレール装置11は、二つのレール15と、二つのスライダ16と、駆動装置17とを有する。
【0018】
二つのレール15はそれぞれ、ロアレール21を有する。ロアレール21は、Y方向(+Y方向及び-Y方向)に延びるように車両1のフロア1aに取り付けられる。フロア1aは、略+Z方向に向く。なお、フロア1aは、他の方向に向く部分を有しても良い。二つのロアレール21は、X方向に互いに離間して配置される。
【0019】
図2は、実施形態のスライダ16を分解して示す斜視図である。二つのスライダ16はそれぞれ、アッパレール22と、アタッチメント23と、複数のローラ24とを有する。アッパレール22は、Y方向に延びるとともに、ロアレール21に沿うY方向にスライド移動可能に、ロアレール21に取り付けられる。アタッチメント23は、アッパレール22に取り付けられる。二つのアッパレール22は、シート12を支持する。
【0020】
図3は、実施形態のスライドレール装置11の一部を示す正面図である。図4は、実施形態のレール15及びスライダ16を示す正面図である。図4に示すように、ロアレール21は、例えば、曲げ加工された一つの板金により作られ、略C字状の断面を有する。なお、ロアレール21はこの例に限られない。ロアレール21は、底壁31と、二つの外側壁32と、二つの連結壁33と、二つの内側壁34とを有する。
【0021】
底壁31は、X‐Y平面上に広がる略板状の部分である。底壁31は凹凸を有しても良い。底壁31は、例えばボルトにより、フロア1aに取り付けられる。底壁31は、例えば、ブラケットを介してフロア1aに取り付けられても良い。
【0022】
二つの外側壁32は、X方向における底壁31の両端部から、略+Z方向に延びている。二つの内側壁34は、二つの外側壁32の間に位置し、略Z方向に延びている。X方向において、二つの内側壁34は、互いに離間するとともに、二つの外側壁32からも離間している。連結壁33は、+Z方向における外側壁32の端部と、+Z方向における内側壁34の端部との間で延びている。-Z方向における内側壁34の端は、底壁31から離間する。
【0023】
略C字状に形成されたロアレール21の内部に、内部空間37が設けられる。また、ロアレール21において、X方向における二つの内側壁34の間に、開口38が設けられる。開口38は、内部空間37とロアレール21の外部とを連通し、Y方向に延びる溝である。
【0024】
二つの外側壁32はそれぞれ、内面32aを有する。内面32aは、第2の内面とも称され得る。内面32aは、内部空間37の内側に向く。+X方向における底壁31の端部から延びる外側壁32の内面32aは、-X方向に向く。-X方向における底壁31の端部から延びる外側壁32の内面32aは、+X方向に向く。
【0025】
二つの連結壁33はそれぞれ、内面33aを有する。内面33aは、第1の内面とも称され得る。内面33aは、内部空間37の内側に向く。連結壁33の内面33aは、-Z方向に向く。このように、連結壁33の内面33aが向く方向と、外側壁32の内面32aが向く方向とは、互いに異なる。
【0026】
アッパレール22は、例えば、曲げ加工されるとともに接続された二つの板金により作られる。なお、アッパレール22はこの例に限られない。図2に示すように、アッパレール22は、上壁41と、二つの挿通壁42と、二つの曲壁43と、二つの延壁44と、二つの取付壁45と、を有する。
【0027】
上壁41は、X‐Y平面上に広がる略板状の部分であり、Y方向に延びている。図2の例において、上壁41は、二つの板金により形成される。しかし、上壁41は、一つの部材によって形成されても良い。図4に示すように、上壁41は、ロアレール21の外に位置する。
【0028】
二つの挿通壁42は、X方向における上壁41の両端から、略-Z方向に延びている。二つの挿通壁42は、ロアレール21の開口38を通り、ロアレール21の内部と外部との間に亘って配置されている。
【0029】
曲壁43、延壁44、及び取付壁45は、ロアレール21の内部空間37に位置する。図2に示すように、曲壁43、延壁44、及び取付壁45は、-Z方向における挿通壁42の端部から延びるとともに、Y方向に並べられている。
【0030】
曲壁43は、-Z方向における挿通壁42の端部から、ロアレール21の外側壁32と内側壁34との間の空間に向かって延びるよう曲げられている。延壁44は、-Z方向における挿通壁42の端部から、略-Z方向に延びている。取付壁45は、-Z方向における挿通壁42の端部から、ロアレール21の外側壁32に向かって延びている。Y方向における取付壁45の両端に、切欠き45aが設けられる。
【0031】
アタッチメント23は、例えば、曲げ加工された一つの板金により作られる。なお、アタッチメント23はこの例に限られない。アタッチメント23は、内壁47と、延壁48と、取付壁49とを有する。
【0032】
内壁47は、アッパレール22の上壁41、挿通壁42、及び曲壁43に沿って形成される。内壁47は、上壁41、挿通壁42、及び曲壁43の内面に当接し、例えば、溶接又は加締めによりアッパレール22に取り付けられる。
【0033】
延壁48及び取付壁49は、ロアレール21の内部空間37に位置する。延壁48及び取付壁49は、-Z方向における内壁47の端部から延びるとともに、Y方向に並べられている。
【0034】
延壁48は、-Z方向における内壁47の端部から、略-Z方向に延びている。取付壁49は、-Z方向における内壁47の端部から、ロアレール21の外側壁32に向かって延びている。Y方向における取付壁49の両端に、切欠き49aが設けられる。
【0035】
複数のローラ24は、アッパレール22の延壁44と、アタッチメント23の延壁48とに取り付けられる。ローラ24はそれぞれ、X方向に延びる中心軸まわりに回転可能である。ローラ24は、ロアレール21の底壁31上で転動することで、アッパレール22及びアタッチメント23をロアレール21に対して滑らかにY方向にスライド移動させる。
【0036】
図5は、実施形態の駆動装置17の一部を分解して示す斜視図である。図5に示すように、駆動装置17は、ロッド51と、ナット52と、回転駆動機構53と、ガイド部材54と、切替機構55と、中間部材56とをさらに有する。ロッド51は、スクリューロッドとも称され得る。
【0037】
ロッド51、ナット52、回転駆動機構53、切替機構55、及び中間部材56は、例えば、金属によって作られ、又は金属によって作られた部品によって構成される。なお、ロッド51、ナット52、回転駆動機構53、切替機構55、及び中間部材56は、合成樹脂のような他の材料によって作られた部分を有しても良い。
【0038】
ロッド51は、略円柱状に形成され、Y方向に延びている。例えば、二つの端ブラケット57が、ロッド51の両端をロアレール21の底壁31に固定する。これにより、端ブラケット57は、ロッド51の回転を制限する。本実施形態では、ロッド51は、ロアレール21に対して回転しない。なお、ロッド51は、ロアレール21に対して所定の範囲内で回転可能であっても良い。
【0039】
ロッド51は、ロアレール21の内部空間37に位置し、ロアレール21の底壁31及び内側壁34から離間している。ロッド51は、雄ネジ51aを有する。雄ネジ51aは、ロッド51の外周面に設けられる。ロッド51の雄ネジ51aが設けられた部分は、Y方向に延びている。
【0040】
ナット52は、複数のナット部材58を有する。本実施形態におけるナット52は、三つのナット部材58を有する。なお、ナット部材58の数は、一つ、二つ、又は四つ以上であっても良い。
【0041】
三つのナット部材58は、ロッド51の中心軸Ax1の周方向に並べられる。中心軸Ax1の周方向は、中心軸Ax1まわりに回転する方向である。別の表現によれば、三つのナット部材58は、ロッド51の中心軸Ax1まわりに並んでいる。
【0042】
図6は、実施形態のスライドレール装置11の一部を示す断面図である。図7は、実施形態のナット52、ガイド部材54、切替機構55、及びヘリカルギア67の詳細を示す斜視図である。図6及び図7に示すように、ナット部材58はそれぞれ、内面58aと、第1の外面58bと、二つの第2の外面58cと、二つの端面58dと、雌ネジ58eとを有する。
【0043】
内面58aは、ロッド51に向くとともに、Y方向に延びる略半円筒状の曲面である。言い換えると、内面58aは、中心軸Ax1の径方向の内側に向く。径方向は、中心軸Ax1と直交する方向である。第1の外面58b及び第2の外面58cは、内面58aの反対側に位置する。
【0044】
第1の外面58bは、Y方向に延びる略半円筒状の曲面である。第1の外面58bは、中心軸Ax1の径方向の外側に向く。Y方向において、第1の外面58bは、二つの第2の外面58cの間に位置する。二つの第2の外面58cは、第1の外面58bに近づくに従って内面58aに近づくように、中心軸Ax1に対して傾斜した略円錐状の曲面である。第1の外面58bは、第2の外面58cよりも内面58aに近い。言い換えると、第1の外面58bの半径は、第2の外面58cの最小の半径よりも小さい。
【0045】
端面58dは、Y方向におけるナット部材58の両端に位置する。二つの端面58dのそれぞれに、凹部58fが設けられる。凹部58fは、例えば、中心軸Ax1の周方向に延びる有底の溝である。
【0046】
雌ネジ58eは、内面58aに設けられる。雌ネジ58eは、ロッド51の雄ネジ51aと噛み合うことが可能なように形成される。例えば、雄ネジ51aと雌ネジ58eとにおける種類、内径、外径、及びピッチは、略同一に設定される。
【0047】
複数のナット部材58は、例えば、雌ネジ58eを有する一つのナット52を、中心軸Ax1の周方向に分割することで作られる。なお、ナット部材58は、他の方法で作られても良い。
【0048】
ナット52は、種々の部品を介して、アッパレール22に取り付けられる。ナット52は、アッパレール22に力を伝達可能に、アッパレール22の内部又はアッパレール22の近傍に配置されていれば良く、アッパレール22に固定されている必要は無い。本実施形態では、ナット52は、アッパレール22に対し中心軸Ax1の径方向に相対的に移動可能に、アッパレール22の内部に配置されている。
【0049】
上記のように、本実施形態におけるナット52は、アッパレール22に対して所定の位置に保たれることが可能なように、支持、保持、締結、又は他の方法により取り付けられていれば良い。所定の位置は、複数の位置を含んでも良い。
【0050】
回転駆動機構53は、図2のモータ61、ギヤボックス62、及びシャフト63と、図6の伝達機構64とを有する。モータ61は、例えば、サーボモータであり、車両1のECU(Electronic Control Unit)の制御に応じて駆動させられる。
【0051】
ギヤボックス62は、例えば、モータ61の駆動軸の回転を、他の方向の回転に変換する。また、ギヤボックス62は、減速機を含んでも良い。シャフト63は、X方向に延びている。モータ61の駆動軸の回転は、ギヤボックス62を介してシャフト63に伝達される。言い換えると、モータ61は、ギヤボックス62を介してシャフト63を回転駆動させる。
【0052】
図5に示すように、伝達機構64は、ウォーム66と、ヘリカルギア67とを有する。ヘリカルギア67は、中間部材とも称され得る。ウォーム66は、シャフト63の端部に取り付けられる。ウォーム66は、シャフト63と一体に、図6に示すシャフト63の中心軸Ax2まわりに回転する。
【0053】
シャフト63の中心軸Ax2は、X方向に延びている。さらに、シャフト63の中心軸Ax2は、ロッド51の中心軸Ax1から、+Z方向に離間している。このため、ロッド51の中心軸Ax1と、シャフト63の中心軸Ax2とは、互いにねじれの位置にある。
【0054】
図7に示すように、ヘリカルギア67は、筒67aと、内面67bと、外歯67cと、端歯67dとを有する。筒67aは、Y方向に延びる略円筒状に形成される。ロッド51が、筒67aの内部を通る。内面67bは、略円筒状に形成され、ロッド51に向く。内面67bは、ロッド51から離間し、又はロッド51に部分的に接触する。
【0055】
ロッド51とヘリカルギア67とは、互いにY方向に相対的に移動可能である。さらに、ロッド51とヘリカルギア67とは、中心軸Ax1まわりに相対的に回転可能である。ヘリカルギア67は、ロッド51の雄ネジ51aと直接的に噛み合う歯を持っておらず、ロッド51との間で直接的には回転を伝達しない。ただし、後述するように、ナット部材58の雌ネジ58eとロッド51の雄ネジ51aとが噛み合うことで、ロッド51とヘリカルギア67とは、ナット52を介して間接的に回転を伝達することができる。別の表現によれば、ヘリカルギア67は、ナット52の雌ネジ58eを介して、ロッド51の雄ネジ51aと間接的に噛み合うことができる。
【0056】
外歯67cは、筒67aから中心軸Ax1の径方向の外側に突出する。図6に示すように、外歯67cは、ウォーム66と噛み合っている。このため、ウォーム66の回転が、ヘリカルギア67に伝達される。
【0057】
端歯67dは、+Y方向における筒67aの端から突出している。端歯67dは、中心軸Ax1まわりに互いに離間して配置された複数の凸部を含む。端歯67dは、例えば、ヘリカルギア67とガイド部材54との間の回転の伝達に用いられる。
【0058】
回転駆動機構53において、モータ61により駆動された駆動軸の回転は、ギヤボックス62により、シャフト63に伝達される。シャフト63とウォーム66とは、一体に中心軸Ax2まわりに回転する。シャフト63の回転は、ウォーム66により、ヘリカルギア67に伝達される。ヘリカルギア67は、中心軸Ax1まわりに回転する。以上のように、伝達機構64は、モータ61から伝達された中心軸Ax2まわりの回転を、中心軸Ax1まわりの回転に変換する。
【0059】
図7に示すように、ガイド部材54は、Y方向に延びる略円筒状に形成される。ロッド51が、ガイド部材54の内部を通る。ガイド部材54は、内面54aと外面54bとを有する。内面54aは、ロッド51に向く。外面54bは、内面54aの反対側に設けられる。
【0060】
ロッド51とガイド部材54とは、互いにY方向に相対的に移動可能である。さらに、ロッド51とガイド部材54とは、中心軸Ax1まわりに相対的に回転可能である。ロッド51とガイド部材54とは、直接的には回転を伝達しない。ただし、ロッド51とガイド部材54とは、ナット52を介して間接的に回転を伝達することができる。
【0061】
ガイド部材54に、複数のガイド孔54cが設けられる。本実施形態では、ガイド部材54に、三つのガイド孔54cが設けられる。ガイド孔54cはそれぞれ、ガイド部材54を中心軸Ax1の径方向に貫通し、内面54a及び外面54bに開口する。三つのガイド孔54cは、中心軸Ax1の周方向に間隔を介して並んでいる。
【0062】
1つのガイド孔54cに、1つのナット部材58が配置される。ガイド部材54は、ナット部材58を支持する。ガイド部材54は、ナット部材58が当該ガイド部材54に対して相対的にY方向に移動することと、ナット部材58が当該ガイド部材54に対して相対的に中心軸Ax1の周方向に移動することと、を制限する。
【0063】
図8は、実施形態のナット52が離間位置Psに位置するスライドレール装置11の一部を示す断面図である。ガイド部材54は、ナット部材58が、当該ガイド部材54に対して相対的に、図6に示す係合位置Pcと、図8に示す離間位置Psとの間で、中心軸Ax1の径方向に摺動(移動)可能なように、ナット部材58を支持する。言い換えると、ガイド部材54は、ナット部材58を径方向にガイドする。
【0064】
図6に示すように、係合位置Pcにおいて、ナット部材58の雌ネジ58eと、ロッド51の雄ネジ51aとが噛み合っている。このため、係合位置Pcにおけるナット部材58と、ロッド51とは、互いに回転を伝達する。
【0065】
図8に示すように、離間位置Psにおいて、ナット部材58は、ロッド51から中心軸Ax1の径方向に離間している。このため、離間位置Psにおけるナット部材58と、ロッド51とは、回転の伝達を伴わず、互いに相対的に中心軸Ax1まわりに回転可能である。
【0066】
図7に示すように、Y方向におけるガイド部材54の両端部に、端歯54dが設けられる。-Y方向におけるガイド部材54の端部に設けられた端歯54dと、ヘリカルギア67の端歯67dとが噛み合う。これにより、ガイド部材54とヘリカルギア67とは、互いに回転を伝達し、中心軸Ax1まわりに一体に回転する。なお、ガイド部材54とヘリカルギア67とが、噛合以外に例えば圧入又は接着により、中心軸Ax1まわりに一体に回転可能であっても良い。
【0067】
上述のように、モータ61の回転は、ヘリカルギア67に伝達される。ガイド部材54は、ヘリカルギア67と一体に、中心軸Ax1まわりに回転する。さらに、ナット部材58がガイド部材54と一体に、中心軸Ax1まわりに回転する。すなわち、ヘリカルギア67は、モータ61の回転をナット52に伝達する。
【0068】
以上のように、回転駆動機構53は、ガイド部材54を介して、ナット52を回転させる。また、伝達機構64は、モータ61から伝達された中心軸Ax2まわりの回転を、中心軸Ax1まわりの回転に変換してナット52に伝達する。
【0069】
図5に示すように、切替機構55は、二つの板バネ71と、二つの保持部材72と、コイルバネ73と、二つの操作部材74と、レバー75と、二つのブロック76と、二つのガイドバー77と、二つのコイルバネ78とを有する。
【0070】
図7に示すように、板バネ71はそれぞれ、環部71aと、複数の突出部71bとを有する。環部71a及び突出部71bは、一体に形成される。環部71aは、中心軸Ax1の周方向に延びる略円環状に形成される。ロッド51が、環部71aの内側を通る。
【0071】
図6に示すように、本実施形態では、ガイド部材54又はヘリカルギア67が、環部71aの内側を通る。このため、環部71aは、ガイド部材54又はヘリカルギア67に支持され、ロッド51から離間している。
【0072】
図7に示すように、本実施形態では、板バネ71は、三つの突出部71bを有する。突出部71bは、中心軸Ax1の周方向に互いに離間して配置され、環部71aから突出する。突出部71bは、例えば、環部71aから遠ざかるに従って先細る略三角形状に形成される。
【0073】
突出部71bは、例えば、荷重が作用しない自然状態において、環部71aから遠ざかるに従って中心軸Ax1から遠ざかるように延びている。突出部71bは、環部71aと突出部71bとの接続部分を支点として、中心軸Ax1の径方向に曲がるように弾性変形することができる。二つの板バネ71のバネ定数は、略同一である。
【0074】
二つの板バネ71は、Y方向に互いに離間して配置される。二つの板バネ71の突出部71bは、互いに近付くように延びている。Y方向において、二つの板バネ71の環部71aの間に、ガイド部材54及びナット部材58が位置する。
【0075】
図6に示すように、二つの板バネ71の突出部71bの先端部は、ナット部材58の二つの凹部58fに挿入される。これにより、板バネ71の突出部71bは、ナット部材58を、少なくとも中心軸Ax1の径方向に支持する。
【0076】
板バネ71の突出部71bは、例えば、荷重が作用しない自然状態において、ナット部材58を図8の離間位置Psに保持する。一方、ナット部材58が図6の係合位置Pcに位置する場合、突出部71bは弾性変形している。突出部71bは、復元力により、ナット部材58を、係合位置Pcから離間位置Psに向かう方向に押す(付勢する)。別の表現によれば、突出部71bは、ナット部材58に、係合位置Pcから離間位置Psに向かう力を作用させる。このように、突出部71bは、ナット部材58を係合位置Pcから離間位置Psに向かう方向に付勢するように弾性変形可能である。なお、付勢は、押すことだけでなく、引くことも含む。
【0077】
自然状態ではなく弾性変形している突出部71bが、ナット部材58を離間位置Psに保持しても良い。この場合、ナット部材58が離間位置Psに位置するときの突出部71bの変形量は、ナット部材58が係合位置Pcに位置するときの突出部71bの変形量よりも少ない。このため、突出部71bが離間位置Psのナット部材58に作用させる力は、突出部71bが係合位置Pcのナット部材58に作用させる力よりも小さい。
【0078】
保持部材72は、中心軸Ax1の周方向に延びる略円環状に形成される。別の表現によれば、保持部材72は、Y方向に延びる略円筒状に形成される。二つの保持部材72の中心軸Ax1の径方向内側に、ガイド部材54及び三つのナット部材58が配置される。言い換えると、保持部材72は、ガイド部材54及びナット部材58を囲む。二つの保持部材72は、Y方向に互いに離間して並べられる。二つの保持部材72はそれぞれ、内面72aと、第1の端部72bと、第2の端部72cとを有する。
【0079】
内面72aの一部は、中心軸Ax1に対して傾斜した略円錐状の曲面である。中心軸Ax1に対する内面72aの傾斜角度は、中心軸Ax1に対するナット部材58の第2の外面58cの傾斜角度に略等しい。なお、内面72aは曲面ではなく平面でも良い。
【0080】
第1の端部72bは、Y方向における保持部材72の一方の端部である。第2の端部72cは、Y方向における保持部材72の他方の端部である。一方の保持部材72の第1の端部72bと、他方の保持部材72の第1の端部72bとは、間隔を介して互いに向かい合っている。
【0081】
二つの保持部材72は、ナット52に対して相対的に、図6に示す保持位置Phと、図8に示す解除位置Prとの間で、Y方向に移動可能である。図6に示すように、保持位置Phにおいて、保持部材72は、ナット部材58を係合位置Pcに保持する。例えば、保持位置Phにおいて、保持部材72の内面72aが、係合位置Pcに位置するナット部材58の第2の外面58cに当接する。
【0082】
上述のように、板バネ71は、ナット部材58を係合位置Pcから離間位置Psに向かう方向に押す。しかし、保持部材72は、ナット部材58の第2の外面58cに接触することで、ナット部材58が係合位置Pcから離間位置Psに移動することを制限する。これにより、保持位置Phにおける保持部材72は、ナット部材58を係合位置Pcに保持する。
【0083】
図8に示すように、解除位置Prにおいて、保持部材72は、ナット部材58が離間位置Psに位置することを許容する。言い換えると、解除位置Prにおいて、保持部材72は、ナット部材58をロッド51から離間可能にする。例えば、解除位置Prにおける保持部材72の内面72aは、ナット部材58の第2の外面58cから離れ、例えば第1の外面58bに面する。
【0084】
保持部材72の内面72aの最小の半径は、ナット部材58の第1の外面58bの半径よりも長い。また、第1の外面58bは、第2の外面58cよりも内面58aに近い。このため、解除位置Prにおける保持部材72は、少なくともナット部材58が板バネ71の弾性付勢力により係合位置Pcから離間位置Psに移動するまでの間、ナット部材58の移動を制限せず許容する。これにより、解除位置Prにおける保持部材72は、ナット部材58が離間位置Psに位置することを許容する。離間位置Psにおけるナット部材58の第2の外面58cは、保持部材72の内面72aよりも、ロッド51から遠ざかっている。
【0085】
図6に示すように、コイルバネ73は、二つの保持部材72の間に位置する。コイルバネ73の両端は、保持部材72の第1の端部72bに接触している。コイルバネ73は、二つの保持部材72を、互いに離間する方向に押す(付勢する)。
【0086】
解除位置Prにおける二つの保持部材72の間の距離は、保持位置Phにおける二つの保持部材72の間の距離よりも短い。このため、コイルバネ73は、保持部材72を、解除位置Prから保持位置Phに向かう方向に付勢する。
【0087】
例えばコイルバネ73の復元力により、保持部材72が、解除位置Prから保持位置Phに移動する。保持部材72が解除位置Prから保持位置Phに移動する間、保持部材72は、ナット部材58を中心軸Ax1の径方向の内側に向かって押す。言い換えると、保持部材72が解除位置Prから保持位置Phに移動する間、保持部材72は、三つのナット部材58を離間位置Psから係合位置Pcに向かう方向に押す。保持部材72が保持位置Phに到達するとき、ナット部材58は係合位置Pcに位置している。
【0088】
コイルバネ73のバネ定数は、二つの板バネ71のバネ定数よりも大きい。このため、コイルバネ73に押される保持部材72は、板バネ71の復元力に抗して、ナット部材58を離間位置Psから係合位置Pcに移動させる。なお、コイルバネ73及び板バネ71のバネ定数は、この例に限られない。
【0089】
図7に示すように、二つの操作部材74はそれぞれ、支持環74aと、ガイドフランジ74bと、操作柱74cとを有する。支持環74aは、中心軸Ax1の周方向に延びる略円環状に形成される。図6に示すように、二つの操作部材74の支持環74aの中心軸Ax1の径方向内側に、ガイド部材54が配置される。言い換えると、支持環74aは、ガイド部材54を囲む。二つの操作部材74の支持環74aは、Y方向に互いに離間して並べられる。二つの操作部材74の支持環74aの間に、二つの保持部材72及びコイルバネ73が配置される。
【0090】
ガイドフランジ74bは、+Z方向における支持環74aの端に接続される。二つの操作部材74のガイドフランジ74bは、支持環74aから、互いに近付くようにY方向に延びる。ガイドフランジ74bは、+Z方向における支持環74aの端から、X方向に突出している。ガイドフランジ74bは、例えば、X-Y平面上に広がる略板状に形成される。
【0091】
操作柱74cは、ガイドフランジ74bから、+Z方向に突出している。操作柱74cは、例えば、円柱状に形成される。なお、操作柱74cは、他の形状に形成されても良い。
【0092】
二つの操作部材74は、ナット52に対して相対的に、図6に示す非操作位置Puと、図8に示す操作位置Poとの間で、Y方向に平行移動可能である。図6に示すように、非操作位置Puの操作部材74の支持環74aは、保持位置Phに位置する保持部材72の第2の端部72cからY方向に離間した位置に配置されている。
【0093】
保持位置Phにおける保持部材72の位置は、例えば、ナット部材58の第2の外面58cの傾斜角度によって設定される。すなわち、保持位置Phの保持部材72は、傾斜する第2の外面58cにより、Y方向における所定の位置で止まる。このため、非操作位置Puの支持環74aは、保持位置Phに位置する保持部材72から離間することができる。なお、非操作位置Puの支持環74aは、保持位置Phの保持部材72に当接していても良い。
【0094】
図8に示すように、操作位置Poの操作部材74の支持環74aは、解除位置Prの保持部材72の第2の端部72cに接触する。非操作位置Puにおける二つの操作部材74の間の距離は、操作位置Poにおける二つの操作部材74の間の距離よりも長い。
【0095】
操作部材74は、非操作位置Puから操作位置Poへ移動する間に、保持部材72に当接し、保持部材72を保持位置Phから解除位置Prへ押す。操作部材74は、保持部材72に当接することで、保持部材72と略一体的に移動することができる。
【0096】
二つの操作部材74の操作柱74cが,レバー75に取り付けられる。レバー75は、例えば、ハーネス又はリンクを介して、ハンドル又はストラップに接続される。ユーザが当該ハンドル又はストラップを操作することで、レバー75は、二つの操作部材74を互いに近づけ、非操作位置Puから操作位置Poへ移動させる。二つの操作部材74は、コイルバネ73の復元力に抗して、二つの保持部材72を互いに近づくように押す。
【0097】
操作部材74に押されることで、保持部材72は、保持位置Phから解除位置Prに移動する。このように、操作部材74は、操作されることで、保持部材72を保持位置Phから解除位置Prに移動させる。
【0098】
解除位置Prにおける保持部材72は、ナット部材58の第2の外面58cから離間し、第2の外面58cを保持しない。このため、板バネ71の復元力により、ナット部材58が係合位置Pcから離間位置Psへ移動する。
【0099】
レバー75の操作が解除されると、二つの操作部材74は、互いに遠ざかることができる。コイルバネ73が保持部材72を介して操作部材74を押す(付勢する)ことで、二つの操作部材74が互いに遠ざかり、操作部材74が操作位置Poから非操作位置Puへ移動する。また、保持部材72が保持位置Phに移動し、ナット部材58が係合位置Pcに移動する。
【0100】
二つのブロック76はそれぞれ、対応する操作部材74の操作柱74cに取り付けられる。ガイドバー77は、Y方向に延びる略円柱状に形成される。ガイドバー77は、ブロック76に設けられた貫通孔に通される。操作柱74cに取り付けられたブロック76は、ガイドバー77に沿ってY方向に移動することができる。すなわち、ブロック76及びガイドバー77は、操作部材74をY方向に移動可能にガイドする。
【0101】
ガイドバー77は、コイルバネ78の内側を通る。コイルバネ78は、二つのブロック76の間に位置する。コイルバネ78は、ブロック76を介して、二つの操作部材74を互いに遠ざかるように押す(付勢する)。これにより、コイルバネ78は、レバー75が操作されていないときに、操作部材74を操作位置Poから非操作位置Puへ移動させることができる。操作部材74は、複数のコイルバネ73,78に付勢されることで、Y方向に平行移動することができる。より具体的には、保持部材72が解除位置Prから保持位置Phに移動するまでは、操作部材74にはコイルバネ73,78両方の付勢力が働き、保持部材72が保持位置Phに到達した後はコイルバネ78の付勢力のみが操作部材74に働いて、操作部材74を非操作位置Puに移動させる。
【0102】
以上説明したように、切替機構55は、ナット部材58を係合位置Pcと離間位置Psとの間で移動させる。例えば、ユーザは、ナット部材58を係合位置Pcに配置することで、アッパレール22をロアレール21に対して、モータ61により自動的に移動させることができる。これにより、シート装置10は、パワーシートとして利用され得る。さらに、ユーザは、ナット部材58を離間位置Psに配置することで、アッパレール22をロアレール21に対して、手動で移動させることができる。これにより、シート装置10は、マニュアルシートとして利用され得る。
【0103】
ナット部材58が係合位置Pcに位置する場合、モータ61から、伝達機構64及びガイド部材54を介して、ナット52に回転が伝達する。ナット52は、雌ネジ58eと雄ネジ51aとが噛み合った状態で、ロアレール21に対して回転不能に取り付けられたロッド51に対して相対的に中心軸Ax1まわりに回転する。
【0104】
アッパレール22に取り付けられたナット52が回転することにより、アッパレール22は、ナット52の回転方向に応じて、ロアレール21に対してY方向に移動する。言い換えると、ナット52の回転が、アッパレール22のY方向における直動に変換される。これにより、アッパレール22がロアレール21に対して自動的に移動する。
【0105】
保持部材72は、ナット部材58と一体に回転可能である。保持部材72は、操作部材74とは異なる部材である。このため、保持部材72が中心軸Ax1まわりに回転する間、操作部材74は中心軸Ax1の周方向において略静止することができる。
【0106】
ナット部材58が離間位置Psに位置する場合、ナット52がロッド51から離間する。このため、ロッド51とナット52とは、Y方向に相対的に自由に移動することができる。このため、アッパレール22がロアレール21に対して手動で移動することができる。
【0107】
図5に示すように、中間部材56は、筒56aと、内面56bと、端歯56cとを有する。筒56aは、Y方向に延びる略円筒状に形成される。ロッド51が、筒56aの内部を通る。内面56bは、略円筒状に形成され、ロッド51に向く。内面56bは、ロッド51から離間し、又はロッド51に部分的に接触する。
【0108】
ロッド51と中間部材56とは、互いにY方向に相対的に移動可能である。さらに、ロッド51と中間部材56とは、中心軸Ax1まわりに相対的に回転可能である。中間部材56は、ロッド51の雄ネジ51aと直接的に噛み合う歯を持っておらず、ロッド51との間で直接的には回転を伝達しない。
【0109】
端歯56cは、-Y方向における筒56aの端から突出している。端歯56cは、中心軸Ax1まわりに互いに離間して配置された複数の凸部を含む。端歯56cは、+Y方向におけるガイド部材54の端部に設けられた端歯54dと噛み合う。これにより、ガイド部材54と中間部材56とは、互いに回転を伝達し、中心軸Ax1まわりに一体に回転する。なお、ガイド部材54と中間部材56とが、噛合以外に例えば圧入又は接着により、中心軸Ax1まわりに一体に回転可能であっても良い。
【0110】
ナット52及びガイド部材54と、中間部材56と、ヘリカルギア67とは、Y方向に並べられる。Y方向において、ナット52及びガイド部材54は、中間部材56とヘリカルギア67との間に位置する。
【0111】
図6に示すように、スライドレール装置11は、筐体80と、軸受81,82と、ブラケット85,86と、外部部材87,88と、をさらに有する。ブラケット85,86は、壁部とも称され得る。
【0112】
筐体80は、略直方体状の箱型に形成される。筐体80は、例えば、金属により作られるが、樹脂で作られても良い。筐体80は、側面80a,80bと、下面80cと、二つの突起80dとを有する。側面80aは、-Y方向に向く略平坦な面である。側面80bは、側面80aの反対側に位置し、+Y方向に向く略平坦な面である。下面80cは、側面80a,80bに接続され、-Z方向に向く。二つの突起80dは、Y方向に互いに離間しており、下面80cから突出する。一方の突起80dは側面80aの近傍に位置し、他方の突起80dは側面80bの近傍に位置する。
【0113】
筐体80は、ナット52と、回転駆動機構53の伝達機構64と、ガイド部材54と、切替機構55と、中間部材56とを収容する。筐体80に、挿通孔90と、第1の部屋91と、第2の部屋92とが設けられる。
【0114】
挿通孔90は、Y方向に筐体80を貫通する孔である。挿通孔90の一方の端は、側面80aに開口する。挿通孔90の他方の端は、側面80bに開口する。挿通孔90に、ナット52、ガイド部材54、ヘリカルギア67、板バネ71、保持部材72、コイルバネ73、及び操作部材74の支持環74aが収容される。さらに、ロッド51が挿通孔90を通る。言い換えると、ロッド51は、筐体80の内部を通される。
【0115】
筐体80は、挿通孔90を形成(規定)する内面93をさらに有する。内面93は、内周面93aと、支持面93b、93cとを有する。内周面93aは、内面93のうち、中心軸Ax1の径方向の内側に向く部分である。
【0116】
挿通孔90及び内周面93aの断面形状は、一定ではなく、内部に収容される部品に応じて変化する。側面80a,80bに開口する挿通孔90の端において、挿通孔90及び内周面93aの断面形状は、例えば略円形に形成される。
【0117】
支持面93bは、内面93のうち、+Y方向に向く部分である。支持面93cは、内面93のうち、-Y方向に向く部分である。二つの支持面93b,93cは、互いに向かい合っている。
【0118】
第1の部屋91は、挿通孔90と+Z方向に連通する。第1の部屋91に、ウォーム66が収容される。ウォーム66は、挿通孔90と第1の部屋91との接続部分を通って、ヘリカルギア67と噛み合う。
【0119】
第2の部屋92は、挿通孔90と+Z方向に連通する。第1の部屋91と第2の部屋92とは、Y方向に間隔を介して並んでいる。第2の部屋92に、操作部材74のガイドフランジ74b及び操作柱74cと、レバー75と、ブロック76と、ガイドバー77と、コイルバネ78とが収容される。レバー75の一部は、第2の部屋92に開口する孔を通って、筐体80の外部へ突出している。
【0120】
挿通孔90及び第2の部屋92において、筐体80は、非操作位置Puに位置する操作部材74を支持する。筐体80は、非操作位置Puに位置する二つの操作部材74が互いにさらに離間することを制限する。また、筐体80は、操作部材74がY方向に平行移動可能なように、支持環74a、ガイドフランジ74b、及びブロック76を支持する。
【0121】
軸受81,82は、例えば、合成樹脂によって作られたブッシュである。軸受81は、介在部81aと、フランジ81bとを有する。軸受82は、介在部82aと、フランジ82bとを有する。
【0122】
介在部81a,82aは、Y方向に延びる略円筒状に形成される。介在部81aは、側面80aの近傍において、内周面93aとヘリカルギア67との間に介在する。介在部82aは、側面80bの近傍において、内周面93aと中間部材56との間に介在する。挿通孔90の内周面93aは、介在部81a,82aを介して、ヘリカルギア67及び中間部材56を、筐体80に対して中心軸Ax1まわりに回転可能に支持する。
【0123】
ロッド51は、ヘリカルギア67及び軸受81を介して、又は中間部材56及び軸受82を介して、筐体80に支持されることができる。ロッド51は、ヘリカルギア67及び中間部材56から離間しても良い。すなわち、筐体80は、当該筐体80に対して相対的に回転可能にロッド51を支持しても良いし、ロッド51から離間しても良い。
【0124】
挿通孔90の内周面93aは、ナット52、ガイド部材54、中間部材56、ヘリカルギア67、板バネ71、保持部材72、及びコイルバネ73から離間している。なお、内周面93aが、ガイド部材54、中間部材56、ヘリカルギア67、保持部材72、及びコイルバネ73を支持しても良い。
【0125】
軸受81のフランジ81bは、+Y方向における介在部81aの端から、中心軸Ax1の径方向の外側へ突出している。フランジ81bは、Y方向において、内面93の支持面93bに支持されるとともに、例えばワッシャを介して、ヘリカルギア67に支持される。
【0126】
軸受82のフランジ82bは、-Y方向における介在部82aの端から、中心軸Ax1の径方向の外側へ突出している。フランジ82bは、Y方向において、内面93の支持面93cに支持されるとともに、例えばワッシャを介して、中間部材56に支持される。
【0127】
ガイド部材54、中間部材56、及びヘリカルギア67は、軸受81,82のフランジ81b,82bを介して、筐体80の二つの支持面93b,93cによりY方向に支持される。なお、ガイド部材54、中間部材56、及びヘリカルギア67は、Y方向において若干移動可能であっても良い。
【0128】
例えば、Y方向において、中間部材56及びヘリカルギア67と、ナット部材58との間に、ナット部材58の径方向の移動を許容するための隙間が設けられる。当該隙間により、ガイド部材54、中間部材56、及びヘリカルギア67は、Y方向において若干移動可能となる。
【0129】
ブラケット85,86は、例えば金属によって作られ、略L字状に形成される。ブラケット85,86は、取付壁85a,86aと、支持壁85b,86bとを有する。取付壁85a,86aは、アッパレール22の上壁41に取り付けられる。支持壁85b,86bは、取付壁85a,86aから-Z方向に延び、上壁41に設けられた孔41aを通じてアッパレール22の内部に配置されている。
【0130】
取付壁85a,86aがアッパレール22に取り付けられることで、ブラケット85,86は、アッパレール22に設けられる。なお、ブラケット85,86が省略されて支持壁85b,86bがアッパレール22に設けられても良い。
【0131】
支持壁85b,86bに、孔85c,86cが設けられる。孔85c,86cは、支持壁85b,86bをY方向に貫通する。ロッド51が、孔85c,86cを通る。孔85c,86cの直径は、中間部材56の筒56aの外径よりも大きく、且つヘリカルギア67の筒67aの外径よりも大きい。なお、孔85c,86cの直径は、この例に限られない。
【0132】
筐体80は、ブラケット85の支持壁85bと、ブラケット86の支持壁86bとの間に配置され、アッパレール22の内部に少なくとも部分的に収容される。これにより、筐体80は、ブラケット85,86の支持壁85b,86bとY方向に並ぶ。筐体80は、アッパレール22に、圧入又はネジ留めのような種々の方法により、取り外し可能に取り付けられる。
【0133】
筐体80の側面80aは、ブラケット85の支持壁85bに向いている。側面80bは、ブラケット86の支持壁86bに向いている。筐体80の挿通孔90と、ブラケット85,86の孔85c,86cとは、同軸上に配置される。
【0134】
外部部材87,88はそれぞれ、プレート95と、緩衝部材96とを有する。なお、外部部材87,88は、この例に限られない。プレート95は、例えば、金属によって作られる。プレート95は、例えば、中間部材56、ヘリカルギア67、及び筐体80よりも硬い。
【0135】
プレート95は、略L字状に形成されている。プレート95は、中間部98と、固定部99とを有する。中間部98は、筐体80の対応する側面80a,80bに当接する。これにより、外部部材87の中間部98は、側面80aと支持壁85bとの間に配置される。また、外部部材88の中間部98は、側面80bと支持壁86bとの間に配置される。
【0136】
中間部98に、貫通孔98aが設けられる。貫通孔98aは、中間部98をY方向に貫通する略円形の孔である。ロッド51が、貫通孔98aを通る。貫通孔98aの直径は、中間部材56の筒56aの外径よりも小さく、且つヘリカルギア67の筒67aの外径よりも小さい。さらに、貫通孔98aの直径は、ブラケット85,86の孔85c,86cの直径よりも小さい。
【0137】
中間部98は、挿通孔90の一部を筐体80の外部から覆う。-Y方向におけるヘリカルギア67の端部は、挿通孔90を通じ、隙間を介して外部部材87の中間部98に向く。+Y方向における中間部材56の端部は、挿通孔90を通じ、隙間を介して外部部材88の中間部98に向く。
【0138】
固定部99は、中間部98から略Y方向に延びている。固定部99に、嵌合孔99aが設けられている。嵌合孔99aは、+Z方向に開放されている。嵌合孔99aに、筐体80の突起80dが嵌め込まれる。突起80dは、嵌合孔99aに圧入されても良い。これにより、プレート95は、筐体80に取り付けられる。なお、プレート95は、ネジ止めや溶接のような他の手段により、筐体80に取り付けられても良い。
【0139】
図5に示すように、筐体80は、複数のカバー80eを有する。本実施形態において、筐体80は、二つのカバー80eを有する。カバー80eは、筐体80をX方向に二分割した部品である。複数のカバー80eは、筐体80と同じく、例えば、金属により作られるが、樹脂で作られても良い。
【0140】
二つのカバー80eはそれぞれ、側面80aの一部、側面80bの一部、下面80cの一部、及び二つの突起80dの一部を有する。また、二つのカバー80eはそれぞれ、挿通孔90の一部、第1の部屋91の一部、及び第2の部屋92の一部を形成する窪みを有する。
【0141】
二つのカバー80eが組み合わされると、筐体80が形成され、二つの突起80dも形成される。二つのカバー80eにより形成された突起80dが、プレート95の固定部99の嵌合孔99aに嵌め込まれる。これにより、固定部99は、二つのカバー80eを互いに固定し、二つのカバー80eが互いにX方向に離間することを制限する。二つのカバー80eは、例えば、ネジによりさらに互いに固定される。
【0142】
図6に示すように、緩衝部材96は、例えば、合成ゴムのようなエラストマーにより作られる。外部部材87の緩衝部材96は、外部部材87の中間部98に取り付けられ、中間部98と、支持壁85bとの間に介在する。外部部材88の緩衝部材96は、外部部材88の中間部98に取り付けられ、中間部98と、支持壁86bとの間に介在する。緩衝部材96は、筐体80とブラケット85,86との寸法公差を吸収するとともに、アッパレール22と筐体80との間における振動の伝達を低減する。
【0143】
図9は、実施形態の-Y方向の衝撃が作用したスライドレール装置11の一部を示す断面図である。図9に示すように、例えば車両1に-Y方向の衝撃が作用すると、シート12、アッパレール22、及びブラケット85,86が慣性により+Y方向に移動する。これにより、ブラケット85から、第1の介在部101を通じて、ナット52に+Y方向の荷重F1が伝達される。第1の介在部101は、介在部とも称され得る。
【0144】
第1の介在部101は、ヘリカルギア67と外部部材87とを有する。なお、第1の介在部101は、他の部品を有しても良い。第1の介在部101としてのヘリカルギア67及び外部部材87は、ナット52と支持壁85bとY方向に並べられ、ナット52と支持壁85bとの間に位置する。
【0145】
第1の介在部101において、ヘリカルギア67は、筐体80に収容されてナット52と支持壁85bとの間に位置する。また、外部部材87は、筐体80に取り付けられてヘリカルギア67と支持壁85bとの間に位置する。
【0146】
第1の介在部101は、第1の端部101aと、第2の端部101bとを有する。第1の端部101aは、+Y方向における第1の介在部101の端部である。本実施形態における第1の端部101aは、+Y方向におけるヘリカルギア67の端歯67dの端部である。言い換えると、ヘリカルギア67は、第1の介在部101の第1の端部101aを有する。なお、第1の端部101aは、この例に限られない。
【0147】
車両1に衝撃が作用していない通常時において、第1の端部101aは、筐体80の内部で、隙間を介してナット52に向く。具体的には、第1の端部101aは、ナット部材58の端面58dに向く。
【0148】
第2の端部101bは、-Y方向における第1の介在部101の端部である。本実施形態における第2の端部101bは、-Y方向における外部部材87の緩衝部材96の端部である。言い換えると、外部部材87は、第1の介在部101の第2の端部101bを有する。なお、第2の端部101bは、この例に限られない。
【0149】
第2の端部101bは、ブラケット85の支持壁85bに向き、支持壁85bに当接している。なお、第2の端部101bは、例えば車両1に衝撃が作用していない通常時において、支持壁85bから離間していても良い。
【0150】
車両1に衝撃が作用すると、筐体80の外部で、ブラケット85の支持壁85bから、第2の端部101bに+Y方向の荷重F1が作用する。外部部材87の緩衝部材96は、圧縮されるとともに、荷重F1を外部部材87のプレート95に伝達する。
【0151】
プレート95は、荷重F1を筐体80に伝達する。これにより、筐体80は、+Y方向に軸受81のフランジ81bを押す。合成樹脂によって作られたフランジ81bが荷重F1により圧縮され、筐体80は、ナット52及びヘリカルギア67に対して+Y方向に移動する。筐体80は、移動することで、荷重F1により応力や変形が発生することを抑制できる。
【0152】
筐体80がナット52及びヘリカルギア67に対して+Y方向に移動することで、側面80aがナット52及びヘリカルギア67に近づく。当該移動により、-Y方向におけるヘリカルギア67の端部は、挿通孔90の端に近づく。
【0153】
外部部材87のプレート95は、筐体80と一体的に+Y方向に移動する。これにより、プレート95の中間部98は、-Y方向におけるヘリカルギア67の端部に当接する。言い換えると、ヘリカルギア67は、挿通孔90を通って中間部98に当接する。これにより、プレート95が、ヘリカルギア67に荷重F1を伝達する。プレート95は、ヘリカルギア67よりも硬いため、ヘリカルギア67がプレート95に食い込むことを抑制できる。
【0154】
ヘリカルギア67は、プレート95に押され、筐体80及びプレート95と一体的に+Y方向に移動する。これにより、ヘリカルギア67に設けられた第1の介在部101の第1の端部101aは、ナット52に当接する。具体的には、第1の端部101aは、ナット部材58の端面58dに当接する。
【0155】
以上のように、第1の介在部101において、ヘリカルギア67と、外部部材87のプレート95及び緩衝部材96と、が互いに当接する。さらに、第1の端部101aがナット52に当接し、第2の端部101bがブラケット86に当接する。これにより、第1の介在部101のヘリカルギア67及び外部部材87は、筐体80を殆ど介さずに、荷重F1をナット52へ伝達することができる。
【0156】
車両1に衝撃が作用していない通常時において、ナット52と、ヘリカルギア67と、外部部材87のプレート95と、の間のY方向における間隔の合計は、Y方向におけるフランジ81bの長さ(厚さ)よりも短い。これにより、フランジ81bが圧縮されることで、ナット52と、ヘリカルギア67と、外部部材87のプレート95とが互いに当接することができる。
【0157】
第1の介在部101が荷重F1をナット52へ伝達する間、筐体80は、ナット52へ荷重F1を殆ど伝達しない。言い換えると、筐体80を介さずに第1の介在部101からナット52へ伝達される荷重F1は、筐体80を介してナット52へ伝達される荷重F1よりも大きい。これにより、筐体80は、荷重F1により応力や変形が発生することを抑制できる。
【0158】
+Y方向に移動した筐体80は、非操作位置Puに位置する一方の操作部材74を、+Y方向に押す。しかし、上述のように、非操作位置Puの操作部材74は、保持位置Phの保持部材72から離間している。このため、操作部材74は、筐体80から押されたとしても、保持部材72から離間したままに保たれ、保持部材72を保持位置Phに保つ。このため、ナット52の雌ネジ58eは、ロッド51の雄ネジ51aと噛み合ったまま保たれる。
【0159】
筐体80に押された操作部材74が、保持部材72に当接しても良い。この場合、操作部材74が保持部材72を若干移動させる。しかし、第1の介在部101は、ナット52及びブラケット86に当接することで、筐体80がさらに移動すること抑制する。保持部材72の移動量が小さく抑えられるため、ナット52の雌ネジ58eは、ロッド51の雄ネジ51aと噛み合ったまま保たれる。
【0160】
荷重F1は、ナット52からロッド51に伝達される。例えばナット52の雌ネジ58eがロッド51の雄ネジ51aから部分的に浮く(離れる)と、雌ネジ58e及び雄ネジ51aの一部に大きい応力が発生する。しかし、本実施形態では、雌ネジ58eが雄ネジ51aと噛み合ったまま保たれるため、例えば雌ネジ58e及び雄ネジ51aが荷重F1により変形することが抑制される。
【0161】
第1の介在部101は、外部部材87を省略しても良い。この場合、-Y方向におけるヘリカルギア67の端部が、第1の介在部101の第2の端部101bとなる。-Y方向におけるヘリカルギア67の端部が、筐体80の外部でブラケット85の支持壁85bに当接することで、第1の介在部101としてのヘリカルギア67が、荷重F1をナット52へ伝達することができる。なお、筐体80の外部は、挿通孔90と、筐体80の外部と、の境界を含む。
【0162】
図10は、実施形態の+Y方向の衝撃が作用したスライドレール装置11の一部を示す断面図である。図10に示すように、例えば車両1に+Y方向の衝撃が作用すると、シート12、アッパレール22、及びブラケット85,86が慣性により-Y方向に移動する。これにより、ブラケット86から、第2の介在部102を通じて、ナット52に-Y方向の荷重F2が伝達される。第2の介在部102は、介在部とも称され得る。
【0163】
第2の介在部102は、中間部材56と外部部材88とを有する。なお、第2の介在部102は、他の部品を有しても良い。第2の介在部102としての中間部材56及び外部部材88は、ナット52と支持壁86bとY方向に並べられ、ナット52と支持壁86bとの間に位置する。
【0164】
第2の介在部102において、中間部材56は、筐体80に収容されてナット52と支持壁86bとの間に位置する。また、外部部材88は、筐体80に取り付けられて中間部材56と支持壁86bとの間に位置する。
【0165】
第2の介在部102は、第1の端部102aと、第2の端部102bとを有する。第1の端部102aは、-Y方向における第2の介在部102の端部である。本実施形態における第1の端部102aは、-Y方向における中間部材56の端歯56cの端部である。言い換えると、中間部材56は、第2の介在部102の第1の端部102aを有する。なお、第1の端部102aは、この例に限られない。
【0166】
車両1に衝撃が作用していない通常時において、第1の端部102aは、筐体80の内部で、隙間を介してナット52に向く。具体的には、第1の端部102aは、ナット部材58の端面58dに向く。
【0167】
第2の端部102bは、+Y方向における第2の介在部102の端部である。本実施形態における第2の端部102bは、+Y方向における外部部材88の緩衝部材96の端部である。言い換えると、外部部材88は、第2の介在部102の第2の端部102bを有する。なお、第2の端部102bは、この例に限られない。
【0168】
第2の端部102bは、ブラケット86の支持壁86bに向き、支持壁86bに当接している。なお、第2の端部102bは、例えば車両1に衝撃が作用していない通常時において、支持壁86bから離間していても良い。
【0169】
車両1に衝撃が作用すると、筐体80の外部で、ブラケット86の支持壁86bから、第2の端部102bに-Y方向の荷重F2が作用する。外部部材88の緩衝部材96は、圧縮されるとともに、荷重F2を外部部材88のプレート95に伝達する。
【0170】
プレート95は、荷重F2を筐体80に伝達する。これにより、筐体80は、-Y方向に軸受82のフランジ82bを押す。合成樹脂によって作られたフランジ82bが荷重F2により圧縮され、筐体80は、ナット52及び中間部材56に対して-Y方向に移動する。
【0171】
筐体80がナット52及びヘリカルギア67に対して-Y方向に移動することで、側面80bがナット52及び中間部材56に近づく。当該移動により、+Y方向における中間部材56の端部は、挿通孔90の端に近づく。
【0172】
外部部材88のプレート95は、筐体80と一体的に-Y方向に移動する。これにより、プレート95の中間部98は、+Y方向における中間部材56の端部に当接する。言い換えると、中間部材56は、挿通孔90を通って中間部98に当接する。これにより、プレート95が、中間部材56に荷重F2を伝達する。
【0173】
中間部材56は、プレート95に押され、筐体80及びプレート95と一体的に-Y方向に移動する。これにより、中間部材56に設けられた第2の介在部102の第1の端部102aは、ナット52に当接する。
【0174】
以上のように、第2の介在部102において、中間部材56と、外部部材88のプレート95及び緩衝部材96と、が互いに当接する。さらに、第1の端部102aがナット52に当接し、第2の端部102bがブラケット86に当接する。これにより、第2の介在部102の中間部材56及び外部部材88は、筐体80を殆ど介さずに、荷重F2をナット52へ伝達する。
【0175】
第2の介在部102が荷重F2をナット52へ伝達する間、筐体80は、ナット52へ荷重F2を殆ど伝達しない。これにより、筐体80は、荷重F2により応力や変形が発生することを抑制できる。
【0176】
-Y方向に移動した筐体80は、非操作位置Puに位置する一方の操作部材74を、-Y方向に押す。しかし、操作部材74は、筐体80から押されたとしても、保持部材72から離間したままに保たれ、保持部材72を保持位置Phに保つ。
【0177】
荷重F2は、ナット52からロッド51に伝達される。雌ネジ58eが雄ネジ51aと噛み合ったまま保たれるため、例えば雌ネジ58e及び雄ネジ51aが荷重F2により変形することが抑制される。
【0178】
図2に示すように、スライドレール装置11は、複数の緩衝装置111をさらに有する。緩衝装置111は、押圧機構とも称され得る。緩衝装置111は、スライダ16に取り付けられる。本実施形態では、四つの緩衝装置111が、スライダ16に取り付けられる。
【0179】
図11は、実施形態の緩衝装置111を示す斜視図である。図12は、実施形態の緩衝装置111を分解して示す斜視図である。図13は、実施形態のロアレール21及びアッパレール22の一部と緩衝装置111とを示す断面図である。
【0180】
図12に示すように、緩衝装置111は、ケーシング112と、第1の移動体113と、第2の移動体114と、弾性部材115と、摺動部材116とを有する。なお、緩衝装置111は、例えば、他の部品を有しても良いし、摺動部材116を省略しても良い。
【0181】
ケーシング112、第1の移動体113、第2の移動体114、及び摺動部材116は、例えば、ポリアセタール(POM)のような合成樹脂によって作られる。なお、ケーシング112、第1の移動体113、第2の移動体114、及び摺動部材116は、他の材料によって作られても良い。
【0182】
図13に示すように、ケーシング112は、スライダ16に取り付けられる。本実施形態のケーシング112は、アッパレール22の取付壁45又はアタッチメント23の取付壁49に取り付けられる。これにより、ケーシング112は、ロアレール21の内部空間37に収容される。
【0183】
図4に示すように、X方向において、ケーシング112は、ロアレール21の外側壁32と内側壁34との間に位置する。また、Z方向において、ケーシング112は、底壁31と連結壁33との間に位置する。
【0184】
図12に示すように、ケーシング112は、支持フレーム121と、二つの保持フレーム122と、緩衝部123とを有する。言い換えると、緩衝部123は、ケーシング112に設けられる。
【0185】
支持フレーム121、保持フレーム122、及び緩衝部123は、一体に形成される。緩衝部123は、支持フレーム121及び保持フレーム122とは別の部品であっても良い。この場合、緩衝部123は、例えば、支持フレーム121及び保持フレーム122の材料よりもヤング率が低い、ナイロンのような材料により作られる。
【0186】
支持フレーム121は、略Y方向に延びる板状に形成される。図13に示すように、支持フレーム121は、上面125と、下面126とを有する。上面125は、間隔を介してロアレール21の連結壁33の内面33aに向く。下面126は、上面125の反対側に位置し、取付壁45又は取付壁49に支持される。
【0187】
上面125は、第1の斜面125aと、第2の斜面125bと、中間面125cとを有する。すなわち、第1の斜面125a及び第2の斜面125bは、ケーシング112に設けられている。
【0188】
第1の斜面125a、第2の斜面125b、及び中間面125cはそれぞれ、上面125の一部であり、間隔を介してロアレール21の連結壁33の内面33aに向く。なお、上面125は、他の部分を有しても良い。
【0189】
第1の斜面125aは、連結壁33の内面33aに対して斜めに傾いている。本実施形態の第1の斜面125aは、+Y方向における端が-Y方向における端よりも内面33aに近いように、内面33aに対して斜めに傾いている。+Y方向は、レール15に沿う方向であり、第1の方向とも称され得る。-Y方向は、+Y方向の反対方向であり、第2の方向とも称され得る。
【0190】
第2の斜面125bは、連結壁33の内面33aに対して第1の斜面125aと異なる角度で斜めに傾いている。本実施形態の第2の斜面125bは、-Y方向における端が+Y方向における端よりも内面33aに近いように、内面33aに対して斜めに傾いている。
【0191】
中間面125cは、+Z方向に向く平面である。中間面125cは、-Y方向における第1の斜面125aの端と、+Y方向における第2の斜面125bの端と、の間に設けられる。
【0192】
第1の斜面125aは、第2の斜面125bに近づくに従って内面33aから遠ざかるように、内面33aに対して斜めに傾いている。また、第2の斜面125bは、第1の斜面125aに近づくに従って内面33aから遠ざかるように、内面33aに対して傾いている。なお、第1の斜面125a及び第2の斜面125bは、この例に限られず、互いに近づくに従って内面33aに近づくように、内面33aに対して傾いていても良い。
【0193】
第1の斜面125aは、例えば、内面33aに対して約-5°傾いている。一方、第2の斜面125bは、例えば、内面33aに対して約5°傾いている。すなわち、第2の斜面125bは、第1の斜面125aの反対方向に、内面33aに対して傾いている。なお、本実施形態では内面33aを基準に第1の斜面125aと第2の斜面125bとは相反する方向に同じ角度(数字)だけ傾いているが、この例に限られず、例えば第1の斜面125aが第2の斜面125bより大きく傾いても良い。
【0194】
支持フレーム121に、スリット128がさらに設けられる。スリット128は、例えば、Z方向に支持フレーム121を貫通するとともに、Y方向に延びている。スリット128は、上面125及び下面126に開口する。なお、スリット128は、上面125に開口する有底の溝であっても良い。
【0195】
保持フレーム122は、Y方向における支持フレーム121の両端から、+Y方向及び-Y方向に突出している。言い換えると、支持フレーム121は、二つの保持フレーム122の間に位置し、Z方向における保持フレーム122の略中央に接続されている。なお、保持フレーム122は、この例に限られない。保持フレーム122は、上部131と、下部132とを有する。
【0196】
上部131は、支持フレーム121の上面125から略+Z方向に突出している。上部131はそれぞれ、内面131aを有する。二つの保持フレーム122の内面131aは、間隔を介して互いに向かい合う。内面131aに、凹部131bが設けられる。
【0197】
下部132は、支持フレーム121の下面126から略-Z方向に突出している。下部132はそれぞれ、内面132aと、保持突起132bと、二つの係合突起132cとを有する。二つの保持フレーム122の内面132aは、間隔を介して互いに向かい合う。
【0198】
保持突起132bは、支持フレーム121の下面126から-Z方向に離間した位置で、内面132aから突出している。係合突起132cは、支持フレーム121の下面126と保持突起132bとの間で、内面132aから突出している。二つの係合突起132cは、X方向に互いに離間している。
【0199】
アッパレール22の取付壁45又はアタッチメント23の取付壁49は、支持フレーム121と保持突起132bとの間、且つ二つの下部132の間に配置され、ケーシング112に取り付けられる。以下、取付壁45へのケーシング112の取付について説明する。取付壁49へのケーシング112の取付は、取付壁45へのケーシング112の取付と同様に行われる。
【0200】
Z方向において、取付壁45は、支持フレーム121の下面126と、二つの保持フレーム122の保持突起132bと、の間に配置される。下面126及び保持突起132bは、ケーシング112が取付壁45に対してZ方向に移動することを制限する。
【0201】
Y方向において、取付壁45は、二つの保持フレーム122の内面132aの間に配置される。二つの保持フレーム122の内面132aは、ケーシング112が取付壁45に対してY方向に移動することを制限する。
【0202】
二つの係合突起132cのうち一方は、取付壁45の切欠き45aに嵌め込まれる。係合突起132cは、ケーシング112が取付壁45に対してX方向に移動することを制限する。ケーシング112が合成樹脂によって作られることで、係合突起132cは、弾性変形により取付壁45の一部を乗り越えて切欠き45aに嵌め込まれることができる。取付壁49においては、係合突起132cは、切欠き49aに嵌め込まれる。以上のように、ケーシング112は、X方向、Y方向、及びZ方向の移動が制限された状態で取付壁45又は取付壁49に取り付けられる。
【0203】
図12に示すように、緩衝部123は、例えば、略Y方向に延びる棒状に形成される。Y方向における緩衝部123の両端123aは、支持フレーム121に接続されている。一方、緩衝部123のうち、両端123aの間の部分は、ロアレール21の外側壁32に向かって突出するように略円弧状に曲げられ、支持フレーム121から離間している。言い換えると、緩衝部123の両端123aの間の部分と支持フレーム121との間には空間がある。なお、緩衝部123は、この例に限られない。
【0204】
第1の移動体113は、楔141と、ガイド突起142とを有する。図13に示すように、楔141は、下面141aと、上面141bと、端面141cとを有する。端面141cは、第1の面とも称され得る。
【0205】
下面141aは、第1の斜面125aに支持される。下面141aは、+Y方向における端が-Y方向における端よりも内面33aに近いように、内面33aに対して斜めに傾いている。上面141bは、下面141aの反対側に位置する。上面141bは、-Y方向における端が+Y方向における端よりも内面33aに近いように、内面33aに対して斜めに傾いている。言い換えると、下面141a及び上面141bは、+Y方向に先細っている。
【0206】
端面141cは、-Y方向における第1の移動体113の端に設けられる。端面141cは、-Y方向に向く。端面141cに、凹部141dが設けられる。凹部141dは、第1の凹部とも称され得る。凹部141dは、略円形の有底の穴である。
【0207】
ガイド突起142は、下面141aから-Z方向に突出している。ガイド突起142は、支持フレーム121のスリット128に嵌め込まれている。ガイド突起142は、第1の移動体113が支持フレーム121に対してX方向に移動することを制限する。以上より、第1の移動体113は、第1の斜面125aに沿って移動可能にケーシング112に取り付けられている。
【0208】
第2の移動体114は、楔145と、ガイド突起146とを有する。楔145は、下面145aと、上面145bと、端面145cとを有する。端面145cは、第2の面とも称され得る。
【0209】
下面145aは、第2の斜面125bに支持される。下面145aは、-Y方向における端が+Y方向における端よりも内面33aに近いように、内面33aに対して斜めに傾いている。上面145bは、下面145aの反対側に位置する。上面145bは、+Y方向における端が-Y方向における端よりも内面33aに近いように、内面33aに対して斜めに傾いている。言い換えると、下面145a及び上面145bは、-Y方向に先細っている。
【0210】
端面145cは、+Y方向における第2の移動体114の端に設けられる。端面145cは、+Y方向に向く。第1の移動体113の端面141cと、第2の移動体114の端面145cとは、間隔を介して向かい合う。端面145cに、凹部145dが設けられる。凹部145dは、第2の凹部とも称され得る。凹部145dは、略円形の有底の穴である。
【0211】
ガイド突起146は、下面145aから-Z方向に突出している。ガイド突起146は、支持フレーム121のスリット128に嵌め込まれている。ガイド突起146は、第2の移動体114が支持フレーム121に対してX方向に移動することを制限する。以上より、第2の移動体114は、第2の斜面125bに沿って移動可能にケーシング112に取り付けられている。
【0212】
弾性部材115は、例えば、コイルバネである。なお、弾性部材115は、他の弾性体であっても良い。弾性部材115は、Y方向に延びている。弾性部材115は、第1の端部115aと、第2の端部115bとを有する。
【0213】
第1の端部115aは、+Y方向における弾性部材115の端部である。第1の端部115aは、第1の移動体113の凹部141dに収容され、凹部141dの底に支持される。
【0214】
第2の端部115bは、-Y方向における弾性部材115の端部である。第2の端部115bは、第2の移動体114の凹部145dに収容され、凹部145dの底に支持される。
【0215】
凹部141d,145dに嵌め込まれることで、弾性部材115は、第1の移動体113及び第2の移動体114に接続される。なお、この例に限られず、例えば、弾性部材115は端面141c,145cに設けられたお互いに向かいあう突起に取り付けられても良い。
【0216】
摺動部材116は、略Y方向に延びる板状に形成される。摺動部材116は、第1の移動体113及び第2の移動体114と、連結壁33の内面33aと、の間に配置される。摺動部材116は、上面151と、下面152と、二つの端面153と、二つの係合突起154と、二つの角面155とを有する。
【0217】
上面151は、ロアレール21の連結壁33の内面33aに向く。上面151は、内面33aに当接している。下面152は、上面151の反対側に位置し、第1の移動体113及び第2の移動体114に支持される。すなわち、第1の移動体113は第1の斜面125aと摺動部材116との間に位置し、第2の移動体114は第2の斜面125bと摺動部材116との間に位置する。
【0218】
下面152は、第3の斜面152aと、第4の斜面152bとを有する。第3の斜面152a及び第4の斜面152bは、下面152の一部である。なお、下面152は、他の部分を有しても良い。
【0219】
第3の斜面152aは、第1の移動体113に面し、楔141の上面141bに支持されている。第3の斜面152aは、-Y方向における端が+Y方向における端よりも内面33aに近いように、内面33aに対して斜めに傾いている。
【0220】
第4の斜面152bは、第2の移動体114に面し、楔145の上面145bに支持されている。第4の斜面152bは、+Y方向における端が-Y方向における端よりも内面33aに近いように、内面33aに対して斜めに傾いている。
【0221】
第3の斜面152aと第4の斜面152bとは、互いに接続されている。第3の斜面152aは、第4の斜面152bに近づくに従って内面33aに近づくように、内面33aに対して斜めに傾いている。また、第4の斜面152bは、第3の斜面152aに近づくに従って内面33aに近づくように、内面33aに対して傾いている。なお、第3の斜面152a及び第4の斜面152bは、この例に限られず、互いに近づくに従って内面33aから遠ざかるように、内面33aに対して傾いていても良い。
【0222】
第1の斜面125aと第3の斜面152aとの間の空間は、第2の斜面125b及び第4の斜面152bから遠ざかるに従って(少なくとも+Y方向において)狭まる。第1の斜面125aと第3の斜面152aとの間に位置する第1の移動体113の楔141も、第2の斜面125b及び第4の斜面152bから遠ざかるに従って(少なくとも+Y方向において)先細る。
【0223】
第2の斜面125bと第4の斜面152bとの間の空間は、第1の斜面125a及び第3の斜面152aから遠ざかるに従って(少なくとも-Y方向において)狭まる。第2の斜面125bと第4の斜面152bとの間に位置する第2の移動体114の楔145も、第1の斜面125a及び第3の斜面152aから遠ざかるに従って(少なくとも-Y方向において)先細る。
【0224】
第3の斜面152aは、例えば、内面33aに対して約5°傾いている。一方、第4の斜面152bは、例えば、内面33aに対して約-5°傾いている。すなわち、第4の斜面152bは、第3の斜面152aの反対方向に、内面33aに対して傾いている。なお、本実施形態では内面33aを基準に第3の斜面152aと第4の斜面152bとは相反する方向に同じ角度(数字)だけ傾いているが、この例に限られず、例えば第3の斜面152aが第4の斜面152bより大きく傾いても良い。
【0225】
端面153は、Y方向における摺動部材116の両端に設けられる。端面153は、保持フレーム122の上部131の内面131aに向く。端面153は、内面131aに当接することで、摺動部材116がケーシング112に対してY方向に移動することを制限する。なお、端面153は、内面131aから離間していても良い。
【0226】
係合突起154は、対応する端面153からそれぞれ突出している。係合突起154は、上部131の凹部131bにZ方向に移動可能に収容される。係合突起154は、摺動部材116がケーシング112に対してX方向に移動することを制限する。また、係合突起154は、摺動部材116がケーシング112に対して所定の範囲を越えてZ方向に移動することを制限する。これにより、摺動部材116は、連結壁33の内面33aに対してZ方向に移動可能にケーシング112に保持される。
【0227】
Z方向において、ケーシング112の支持フレーム121と、摺動部材116との間に、第1の移動体113の楔141と、第2の移動体114の楔145とが収容される。Y方向において、ケーシング112の二つの保持フレーム122の間に、第1の移動体113、第2の移動体114、弾性部材115、及び摺動部材116が収容される。ケーシング112のスリット128が、第1の移動体113及び第2の移動体114のガイド突起142,146を保持する。このように、第1の移動体113及び第2の移動体114は、ケーシング112に収容される。また、ケーシング112及び摺動部材116は、第1の移動体113及び第2の移動体114を保持する。
【0228】
角面155は、Y方向における上面151の両端と、端面153と、の間の角に設けられる。角面155は、略円弧状の曲面状に形成される。言い換えると、上面151と端面153との間の角面155は、いわゆるR面取りされている。
【0229】
弾性部材115は、第1の移動体113及び第2の移動体114を互いに離間する方向に押す(付勢する)。本実施形態では、弾性部材115は、第1の移動体113を+Y方向に付勢し、第2の移動体114を-Y方向に付勢する。
【0230】
弾性部材115は、第1の移動体113の楔141を第1の斜面125aに沿って連結壁33の内面33aに近づく方向に付勢する。内面33aに近づく楔141は、摺動部材116を内面33aに向かって押す。
【0231】
弾性部材115は、第2の移動体114の楔145を第2の斜面125bに沿って内面33aに近づく方向に付勢する。内面33aに近づく楔145は、摺動部材116を内面33aに向かって押す。
【0232】
楔141,145に押された摺動部材116は、ロアレール21の連結壁33の内面33aに押し付けられる。これにより、弾性部材115に付勢された第1の移動体113及び第2の移動体114は、摺動部材116を介して内面33aに荷重F3を作用させる。言い換えると、弾性部材115に付勢された第1の移動体113、第2の移動体114、及び摺動部材116は、内面33aに近づき、内面33aを押す。
【0233】
例えば、シート12に対してスライダ16が振動により―Z方向に移動して、ケーシング112が内面33aから離れることがある。この場合、弾性部材115に付勢された第1の移動体113が、第1の斜面125a及び第3の斜面152a上を摺動して、第2の移動体114から遠ざかる。また、弾性部材115に付勢された第2の移動体114が、第2の斜面125b及び第4の斜面152b上を摺動して、第1の移動体113から遠ざかる。
【0234】
第1の移動体113及び第2の移動体114は、支持フレーム121と摺動部材116との間の空間において、Z方向により狭い部分へ移動する。これにより、第1の移動体113及び第2の移動体114は、摺動部材116を内面33aに押し付け、摺動部材116が内面33aに当接したままに保つ。
【0235】
以上により、Z方向におけるケーシング112と内面33aとの間の距離が変化しても、緩衝装置111は、摺動部材116を内面33aに当接したままに保つ。弾性部材115のヤング率が比較的低く設定されることで、スライダ16がY方向にスライド移動しても第1の移動体113及び第2の移動体114は、Z方向におけるケーシング112と内面33aとの間の距離の変化に応じて滑らかに移動することができる。
【0236】
図13に示すように、連結壁33の内面33aに段差33bが設けられることがある。段差33bは、例えば突起又は窪みである。スライダ16がY方向にスライド移動すると、摺動部材116の角面155が段差33bに当接する。
【0237】
角面155がR面取りされているため、摺動部材116は、段差33bを容易に乗り越えることができる。摺動部材116は、段差33bを乗り越える間、傾くことがある。しかし、第1の移動体113及び第2の移動体114は、摺動部材116の傾きに応じてY方向に移動することで、摺動部材116を内面33aに押し付け続けることができる。
【0238】
図4に示すように、緩衝部123は、弾性変形した状態で外側壁32の内面32aに当接している。このため、X方向におけるケーシング112と内面32aとの間の距離が変化しても、緩衝部123は、内面32aに当接した状態に保たれる。なお、緩衝部123は必ずしも弾性変形する必要はなく、内面32aに当接していれば良い。
【0239】
ロアレール21の内部空間37において、アッパレール22及びアタッチメント23は、底壁31にローラ24を介して支持される。また、アッパレール22及びアタッチメント23は、連結壁33に緩衝装置111を介して支持される。このため、スライダ16は、レール15に対してZ方向にガタつくことを抑制できる。
【0240】
また、ロアレール21の内部空間37において、アッパレール22及びアタッチメント23は、二つの外側壁32に緩衝装置111を介して支持される。このため、スライダ16は、レール15に対してX方向にガタつくことを抑制できる。
【0241】
緩衝装置111は、例えば、以下のように組み立てられる。まず。第1の移動体113及び第2の移動体114の凹部141d,145dに、弾性部材115が挿入される。次に、第1の移動体113及び第2の移動体114のガイド突起142,146が、ケーシング112のスリット128に挿入される。
【0242】
次に、第1の移動体113と第2の移動体114とが互いに近づけられ、弾性部材115が圧縮される。そして、摺動部材116の係合突起154が、ケーシング112の凹部131bに、例えばスナップフィットにより嵌め込まれる。以上により、緩衝装置111が、組立部品(サブアッシー)として組み立てられる。
【0243】
組み立てられた緩衝装置111において、第1の移動体113と第2の移動体114との間の距離は、レール15及びスライダ16の寸法公差により変わり得る。しかし、組み立て時に互いに近づけられた第1の移動体113と第2の移動体114との間の距離は、レール15及びスライダ16の寸法公差において最も短いときの第1の移動体113と第2の移動体114との間の距離よりも短い。なお、緩衝装置111の組み立ては、以上の例に限られない。
【0244】
以上説明された実施形態に係るスライドレール装置11において、筐体80は、ブラケット85の支持壁85bとY方向に並び、ナット52を収容し、アッパレール22に取り付けられる。第1の介在部101は、ナット52とブラケット85の支持壁85bとの間に位置し、筐体80の内部でナット52に向く第1の端部101aと、ブラケット85に向く第2の端部101bと、を有する。筐体80の外部でブラケット85から第2の端部101bへY方向に荷重F1が作用したとき、第1の端部101aがナット52に当接し、第1の介在部101が荷重F1をナット52に伝達する。すなわち、第1の介在部101は、筐体80を介さずに荷重F1をナット52に伝達し、又は筐体80に作用する荷重F1を低減することができる。これにより、筐体80は、荷重F1により変形することを抑制でき、ひいては筐体80の変形によりロッド51の雄ネジ51aとナット52の雌ネジ58eとの噛み合いが弱まることを抑制できる。これは第2の介在部102側に関しても同様である。
【0245】
第1の介在部101は、ヘリカルギア67と、外部部材87とを有する。ヘリカルギア67は、第1の端部101aを有し、筐体80に収容されたナット52とブラケット85との間に位置する。外部部材87は、第2の端部101bを有し、筐体80に取り付けられ、ヘリカルギア67とブラケット85との間に位置する。ブラケット85から第2の端部101bへY方向に荷重F1が作用した場合、外部部材87がヘリカルギア67に当接し、ヘリカルギア67の第1の端部101aがナット52に当接し、外部部材87及びヘリカルギア67が荷重F1をナット52に伝達する。すなわち、筐体80の外部に位置する外部部材87が最初にブラケット85から荷重F1を受け、外部部材87がヘリカルギア67を通じてナット52に荷重F1を伝達する。これにより、第1の介在部101は、筐体80の外部から入力される荷重F1を筐体80の内部に位置するナット52へ、筐体80を介さずに迅速に且つ確実に伝達することができる。また、外部部材87がヘリカルギア67に当接するため、ヘリカルギア67が小さくても、外部部材87がブラケット85からの荷重F1をヘリカルギア67に伝達することができる。これは第2の介在部102の、中間部材56および外部部材88に関しても同様である。
【0246】
筐体80は、複数のカバー80eを有する。外部部材87は、複数のカバー80eを互いに固定する。すなわち、外部部材87は、複数のカバー80eの組付けに利用されるとともに、ヘリカルギア67を介してブラケット85からの荷重F1をナット52に伝達することにも利用される。これにより、複数のカバー80eを互いに固定する部材と、ヘリカルギア67を介してブラケット85からの荷重F1をナット52に伝達する部材とを別々に設ける必要が無く、スライドレール装置11は、部品点数を低減できるとともに、製造工数を低減することができる。
【0247】
ヘリカルギア67は、モータ61の回転をナット52に伝達する。これにより、モータ61の回転をナット52に伝達する部材と、外部部材87からの荷重F1を前記ナット52に伝達する部材とを別々に設ける必要が無く、スライドレール装置11は、部品点数を低減できるとともに、製造工数を低減することができる。
【0248】
保持部材72は、雌ネジ58eと雄ネジ51aとが噛み合うようにナット52を保持する保持位置Phと、ナット52をロッド51から離間可能にする解除位置Prと、の間でY方向に移動可能である。操作部材74は、操作されることで保持部材72を保持位置Phから解除位置Prへ押す。操作部材74は、筐体80に支持されるとともに保持位置Phに位置する保持部材72からY方向に離間した位置に配置される。これにより、荷重F1により変形した筐体80が、操作部材74をY方向に移動させて保持部材72を保持位置Phから解除位置Prへ移動させてしまうことを抑制できる。従って、スライドレール装置11は、荷重F1による筐体80の変形で雄ネジ51a部と雌ネジ58e部との噛み合いが弱まることを抑制できる。
【0249】
緩衝装置111は、ケーシング112と、第1の斜面125aと、第2の斜面125bと、第1の移動体113と、第2の移動体114と、弾性部材115と、を有する。ケーシング112は、スライダ16に取り付けられる。第1の斜面125aは、ケーシング112に設けられるとともに、レール15の内面33aに対して斜めに傾く。第2の斜面125bは、ケーシング112に設けられるとともに、内面33aに対して第1の斜面125aと異なる角度で斜めに傾く。第1の移動体113は、第1の斜面125aに支持される。第2の移動体114は、第2の斜面125bに支持される。弾性部材115は、第1の移動体113及び第2の移動体114に接続される。弾性部材115は、第1の移動体113を第1の斜面125aに沿って内面33aに近づく方向に付勢するとともに、第2の移動体114を第2の斜面125bに沿って内面33aに近づく方向に付勢する。弾性部材115に付勢された第1の移動体113及び第2の移動体114は、内面33aに荷重F3を作用させる。これにより、スライダ16に取り付けられた緩衝装置111は、レール15の内面33aを押し、スライダ16がレール15に対してガタつくことを抑制できる。さらに、一つのケーシング112に設けられた第1の斜面125a及び第2の斜面125bに第1の移動体113及び第2の移動体114が支持され、弾性部材115が当該第1の移動体113及び第2の移動体114に接続される。すなわち、一つのケーシング112の内部又はケーシング112上に、内面33aを押すための第1の移動体113、第2の移動体114、及び弾性部材115が配置される。従って、緩衝装置111は、ケーシング112をスライダ16に取り付けることで全体をスライダ16に取り付けることが可能となる。言い換えると、緩衝装置111は、スライダ16から独立して組み立て可能な組立部品(サブアッシー)として取り扱われることができるため、スライドレール装置11の組み立てを容易にすることができる。また、弾性部材115は、ケーシング112の外部へ延長される必要がないため、スライダ16をレール15にロックする機構のような他の部品に干渉することを抑制できる。また、緩衝装置111は、スライダ16から独立した組立部品であるため、スライダ16の形状が異なる複数のスライドレール装置11に共通して用いられることができる。
【0250】
摺動部材116は、第1の移動体113及び第2の移動体114と内面33aとの間に配置されるとともに、内面33aに対して移動可能にケーシング112に保持される。第1の移動体113は、第1の斜面125aと摺動部材116との間に位置する。第2の移動体114は、第2の斜面125bと摺動部材116との間に位置する。これにより、摺動部材116は、第1の移動体113及び第2の移動体114を保持し、第1の移動体113及び第2の移動体114がケーシング112から脱落することを抑制できる。
【0251】
第1の斜面125aは、レール15に沿う+Y方向における端が-Y方向における端よりも内面33aに近いように内面33aに対して斜めに傾く。第2の斜面125bは、-Y方向における端が+Y方向における端よりも内面33aに近いように内面33aに対して斜めに傾く。摺動部材116は、第3の斜面152aと、第4の斜面152bとを有する。第3の斜面152aは、第1の移動体113に面するとともに-Y方向における端が+Y方向における端よりも内面33aに近いように内面33aに対して斜めに傾く。第4の斜面152bは、第2の移動体114に面するとともに+Y方向における端が-Y方向における端よりも内面33aに近いように内面33aに対して斜めに傾く。弾性部材115は、第1の移動体113を+Y方向に付勢し、第2の移動体114を-Y方向に付勢する。これにより、+Y方向に移動する第1の移動体113と-Y方向に移動する第2の移動体114とが効率良く摺動部材116を内面33aに向かって押すことができる。従って、スライドレール装置11は、第1の移動体113及び第2の移動体114が摺動部材116を介して内面33aを押すために必要な移動範囲を小さくでき、緩衝装置111をレール15に沿うY方向において小型化することができる。
【0252】
レール15は、内面33aが向く方向と異なる方向に向く内面32aを有する。緩衝装置111は、ケーシング112に設けられるとともに弾性変形した状態で内面32aに当接する緩衝部123、をさらに有する。すなわち、緩衝装置111は、内面33aを押すとともに、内面32aをも押し、スライダ16がレール15に対して複数方向にガタつくことを抑制できる。
【0253】
第1の移動体113は、第2の移動体114に向くとともに凹部141dが設けられた端面141cを有する。第2の移動体114は、第1の移動体113に向くとともに凹部145dが設けられた端面145cを有する。弾性部材115は、凹部141dに収容された第1の端部115aと、凹部145dに収容された第2の端部115bと、を有し、第1の移動体113及び第2の移動体114を互いに離間する方向に付勢する。これにより、弾性部材115の長さは、長く設定されることができる。例えばコイルバネである弾性部材115は、第1の移動体113及び第2の移動体114が互いに近づいたときに線間密着が生じることを抑制できる。また、第1の移動体113及び第2の移動体114に設けられた突起に弾性部材115が取り付けられる場合に比べ、第1の移動体113と第2の移動体114とは、互いに干渉することを抑制できる。
【0254】
以上説明した本実施形態では、ロッド51がロアレール21に取り付けられ、ナット52、回転駆動機構53、ガイド部材54、切替機構55、筐体80及びブラケット85,86がアッパレール22に取り付けられる。また、ナット52が回転する。しかし、ロッド51がアッパレール22に取り付けられ、ナット52、回転駆動機構53、ガイド部材54、切替機構55、筐体80、及びブラケット85,86がロアレール21に取り付けられても良い。さらに、ロッド51が回転し、ナット52が固定されても良い。
【0255】
また、以上説明した実施形態では、第1の移動体113及び第2の移動体114は、摺動部材116を介してロアレール21の連結壁33の内面33aを押す。しかし、摺動部材116が省略され、第1の移動体113及び第2の移動体114が直接的に連結壁33の内面33aを押しても良い。また、摺動部材116の下面152が略平坦であっても良い。
【0256】
また、以上説明した実施形態では、弾性部材115は、第1の移動体113及び第2の移動体114を互いに遠ざかる方向に押した。しかし、弾性部材115は、第1の斜面125a、第2の斜面125b、第3の斜面152a、及び第4の斜面152bに応じて、第1の移動体113及び第2の移動体114を、互いに近づく方向に引っ張っても良い。
【0257】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態及び変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。
【符号の説明】
【0258】
11…スライドレール装置、15…レール、16…スライダ、21…ロアレール、22…アッパレール、32a,33a…内面、51…ロッド、51a…雄ネジ、52…ナット、56…中間部材、61…モータ、67…ヘリカルギア、72…保持部材、74…操作部材、80…筐体、80e…カバー、85,86…ブラケット、87,88…外部部材、101…第1の介在部、101a…第1の端部、101b…第2の端部、102…第2の介在部、102a…第1の端部、102b…第2の端部、111…緩衝装置、112…ケーシング、113…第1の移動体、114…第2の移動体、115…弾性部材、115a…第1の端部、115b…第2の端部、116…摺動部材、123…緩衝部、125a…第1の斜面、125b…第2の斜面、152a…第3の斜面、152b…第4の斜面、Ph…保持位置、Pr…解除位置、F1,F2…荷重。
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