特開 2022-77935 布マスク

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2022077935

(43)【公開日】2022-05-24

(54)【発明の名称】布マスク

(51)【国際特許分類】

   A41D 13/11 20060101AFI20220517BHJP

   A62B 18/02 20060101ALI20220517BHJP

【ＦＩ】

A41D13/11 D

A62B18/02 C

A41D13/11 Z

【審査請求】未請求

【請求項の数】2

【出願形態】書面

(21)【出願番号】P 2020199891

(22)【出願日】2020-11-12

(71)【出願人】

【識別番号】520473546

【氏名又は名称】西野 雅也

(72)【発明者】

【氏名】西野 雅也

【テーマコード（参考）】

2E185

【Ｆターム（参考）】

2E185AA07

2E185CC73

(57)【要約】

【課題】 布マスクに使用する織布の地の目を上端部と下端部で異ならせることにより、上下の伸縮を変えることができる布マスクを提供する。
【解決手段】 布マスク１は、鼻や口などの呼吸器を覆うように形成され、布マスク１は、地の目を有する織布により形成されるとともに、略菱形形状に形成され、織布は、縫合線１ａを中心に山状に形成された左右の上端部１ｂの各稜線と平行な地の目３とし、下端部１ｃの稜線と所定角度傾斜させたバイアスの地の目４としている。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

鼻や口などの呼吸器を覆うように形成された布マスクであって、
前記布マスクは、地の目を有する織布により形成されるとともに、略菱形形状に形成され、
前記織布は、縫合線を中心に山状に形成された左右の上端部の各稜線と平行な地の目とし、下端部の稜線と所定角度傾斜させたバイアスの地の目としたことを特徴とする布マスク。

【請求項2】

前記布マスクは、縫合線を中心に左右対称に形成されるとともに、上端部と下端部の間を中心に上下対称に形成された請求項１に記載の布マスク。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、衛生マスクとしての布マスクに関し、特に上端部と下端部の伸縮を異ならせた布マスク関する。

【背景技術】

【0002】

衛生マスクは、ウイルスや細菌、或いは花粉など空中に浮遊する異物の吸入を防止するために着用されるほか、食品の製造や販売、理美容室、病院などにおいて、鼻や口などの呼吸器からの発生する飛沫を遮断するために、従業員、医師、看護師などに着用され、衛生用に用いられている。衛生マスクとして、本体が布地を用いる布マスクは、実用新案登録３２２８３７６号公報（特許文献１）、実用新案登録３２２８２４１号公報（特許文献２）、或いは、実開昭５６－１２４４５２号公報（特許文献３）に示されるように、本体がガーゼや布地で構成され、鼻や口を覆うように構成されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】実用新案登録第３２２８３７６号公報

【特許文献2】実用新案登録第３２２８２４１号公報

【特許文献3】実開昭５６－１２４４５２号公報

【発明の開示】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

上記特許文献１乃至特許文献３に開示された布マスクは、本体がガーゼ等の織布で構成さている。通常は、織布から最も多数のマスクが得られるような材料採りを行っている。ところが、織布の横目と縦目の方向が、頭と顎を結ぶ縦方向と両耳を結ぶ横方向と一致した場合には殆ど伸縮させることができない。このため、着用者にとって会話が困難になる不具合が生ずる。また、布マスクの横方向の長さを着用者の鼻に合わせて調整した場合には、顎の部分が緩くなり、逆に顎に合わせて調整した場合には、鼻の部分が緩くなり、鼻と顎の両方を同時に調整することが困難となる問題があった。

【0005】

本発明の課題は、布マスクに使用する織布の地の目を上端部と下端部で異ならせることにより、上下の伸縮を変えることができる布マスクを提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0006】

上記課題を解決するため、本発明による布マスクは、鼻や口などの呼吸器を覆うように形成された布マスクであって、前記布マスクは、地の目を有する織布により形成されるとともに、略菱形形状に形成され、前記織布は、縫合線を中心に山状に形成された左右の上端部の各稜線と平行な地の目とし、下端部の稜線と所定角度傾斜させたバイアスの地の目としたことを要旨としている。

【0007】

また、前記布マスクは、縫合線を中心に左右対称に形成されるとともに、上端部と下端部の間を中心に上下対称に形成している。

【発明の効果】

【0008】

本発明の布マスクによれば、布マスクを形成する織布を、縫合線を中心に山状に形成された左右の上端部の各稜線と平行な地の目とし、下端部の稜線と所定角度傾斜させたバイアスの地の目にしていることから、上端部側では伸縮することがなく、下端部側ではバイアスの地の目により伸縮させることができる。このため、上端部側を鼻に対応させるように装着した場合には、布マスクを鼻に固定させることが可能となる。一方、下端部側はバイアスの地の目により伸縮するので、顎をゆったりと覆うことが可能となり、着用者の会話を容易にすることができる。さらに、布マスクを略菱形形状に形成しているので、上端部と下端部を反転することが可能であり、反転させた場合には、着用者の顎を平行な地の目により固定し、鼻の部分はバイアス目によって伸縮するので、緩やかな装着が可能となる。

【0009】

また、布マスクは、縫合線を中心に左右対称に形成され、さらに、上端部と下端部の間を中心に上下対称に形成しているので、上下を反転させて装着することにより、鼻の部分の固定と、顎の部分の固定を任意に変えることができる。しかも、上下を反転させて装着しても、布マスクを装着した形態が変化しないので、装着感の変化がなく、美観も変化することがない。

【図面の簡単な説明】

【0010】

【図1】本発明による布マスクを示す正面図である。

【図2】着用者が布マスクを装着した状態を示す説明図である。

【図3】布マスクの上端部の地の目を示す要部正面である。

【図4】布マスクの下端部のバイアス目を示す要部正面である。

【発明を実施するための形態】

【0011】

本発明による布マスクは、鼻や口などの呼吸器を覆うように形成された布マスクであって、前記布マスクは、地の目を有する織布により形成されるとともに、略菱形形状に形成され、前記織布は、縫合線を中心に山状に形成された左右の上端部の各稜線と平行な地の目とし、下端部の稜線と所定角度傾斜させたバイアスの地の目としている。

【0012】

以下、図面に基づいて本発明の好適な実施例について説明する。図１は、本発明による布マスク１を示している。布マスク１は、木綿、麻等の天然繊維、或いは合成繊維からなる経糸と緯糸を交互に交差させた平織からなる織布を素材としている。この布マスク１の形状は、縫合線１ａを頂部とした山形の中心に左右対称の略菱形状に形成されている。さらに、上端部１ｂと下端部１ｃの間を中心として上下対称に形成している。この布マスク１は、一般的には、立体マスクの形式となっている。

【0013】

そして、布マスク１を構成する織布の地の目は、縫合線１ａを中心に山状に形成された左右の上端部１ｂの各稜線と平行とし、下端部１ｃの稜線とは、所定角度傾斜させたバイアスの地の目としている。このような地の目に形成するには、織布の地の目を上端部１ｂの稜線に合わせて裁断することにより、下端部１ｃに至るに従って稜線と所定角度傾斜させたバイアスの地の目４に形成される。また、左右両端には、ゴムや布からなる紐５を通す紐通し部１ｄが形成されている。なお、布マスク１の縫製は、一般的な布マスクと同様であり、詳細な説明は省略する。

【0014】

以上のように形成された布マスク１は、図２に示すように、着用者２の鼻２ａと口２ｂの呼吸器を覆うように装着される。このとき、布マスク１の中心の縫合線１ａは、鼻２ａと一致するように覆い、山状に形成された左右の上端部１ｂは、鼻２ａから耳２ｃの方向に延びている。そして、下端部１ｃは、口２ｂの下方の顎２ｃを覆うように装着される。

【0015】

このような装着したとき、鼻２ａの左右両側の上端部１ｂは、図３に示すように、各稜線と平行なたて目又はよこ目の地の目３となっているので、織布は延び難いことから、鼻２ａにきちんと固定される。一方、口２ｂの下方の顎２ｃを覆う下端部１ｃは、バイアスの地の目４となっているので、図４に示すように、左右方向に伸長することから、顎２ｃの表面を緩やかに被覆される。すなわち、布マスク１の上端部１ｂを稜線と平行な地の目３とし、下端部１ｃをバイアスの地の目４とすることにより、布マスク１を鼻２ａによって固定し、口２ｂから下方を伸縮によって緩やかに包囲するので、着用者２が会話しても、布マスク１が固定される。

【0016】

このように構成した布マスク１は、上端部１ｂと下端部１ｃを反転させて、上下を変えることにより、着用者２の装着感を変化することができる。すなわち、反転した場合には、下端部１ｃのバイアスの地の目４が鼻２ａを覆い、上端部１ｂの地の目３が顎２ｃを覆う。これにより、鼻２ａがバイアスの地の目４によって緩やかに被覆され、顎２ｃが地の目３によって固定される。この結果、布マスク１は顎２ｃの固定によって、上下方向の移動が減少に、安定した位置で装着することが可能となる。

【0017】

以上、本発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることは言うまでもない。例えば、上端部と下端部の稜線を直線以外に、多少湾曲させても良い。

【符号の説明】

【0018】

１ 布マスク
１ａ 縫合線
１ｂ 上端部
１ｃ 下端部
２ 着用者
２ａ 鼻
２ｂ 口
３ たて目又はよこ目の地の目
４ バイアスの地の目

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】